『自動車の社会的費用』

表記は、宇沢弘文教授が1974年に著した時代を先取りする名著だ。2022年2月号の雑誌「世界」で特集が組まれたので久しぶりに名前を聞き、大学3年の時に読んだ瑞々しい感覚を思い出した。

 当時の東大経済学部には綺羅星の如き経済学界の巨星が揃っていた。宇沢弘文、小宮竜太郎、根岸隆、浜田宏一といった先生方で、まだ皆さん巨星というのには若く元気いっぱいだった。

 自分は経済学部でも経営学科で、理論経済には弱い。宇沢先生のこの著書を覚えているのは、それが岩波新書でありとても読み易いものだったからだ。この中で宇沢先生は、クルマ社会の在り方に根源的な疑問を投げかけ、「社会的共通資本」(最近のベストセラー「人新生の資本論」で著者の斎藤幸平氏が説く「ソーシャル・コモン」に酷似した概念だ)の重要性を説いている。クルマ依存社会を拒否しなければ世界は持続しないまで1974年に述べているのだ。

 さて経済理論の話を続けるのは私には荷が重いので理論的な話はこの辺で。当時経済学部でもっとも人気のあった一人である宇沢先生がクルマ社会を否定する一方、最も人気のあるもう一人であった小宮先生は、クルマ愛好家で、どこに行くにも自家用車を運転していた。
 好対照のお二人だったなー。

(2022.1.20 Thursday)

世界の動き 2022.1.20 Thursday

N.Y. Times 電子版より

1.ウクライナでロシアの短時間の事前通知での侵入を米警戒
【記事要旨)
この件は日本でも大きく報道されているので詳細は省きます。明日ブリンデンとラブロフ会談で外交交渉は終了の見込み。
【感想】
記事に追加的に以下の説明あり。
A court in Ukraine ruled that former President Petro Poroshenko could await trial while released, declining a request from the government to arrest him.
ポロシェンコは前回大統領選挙で喜劇俳優のゼレンスキーに敗れた親露の実業家・政治家。
ロシアとしては、ウクライナの国論を分断し親露政権を樹立するのが望ましいシナリオだろう。ポロシェンコはその際の有力な駒。

2.英国でコロナ規制解除
【記事要旨】
屋外でのマスク着用不要。大規模集会参加に際しワクチン接種証明・罹患証明不要。勤務者に職場へ戻ることを奨励。
【感想】
ジョンソンは不信任決議を逃れるのに必死。世界で最初にコロナを克服とアピールしたい。
【関連記事】
Japan announced emergency measures in Tokyo and 12 other prefectures because of a rise in Omicron cases.  日本でマンボー発出
The Biden administration will make 400 million nonsurgical N95 masks available, free of charge, across the U.S.  バイデン政権、4億枚のN95マスクを家庭に配布する計画。オミクロンが沈静化している今、「安倍のマスク」の二の舞にならなければ良いが。。

3.台湾人であること
【記事要旨】
90%以上の住民が中国に由来する台湾で、台湾人のアイデンティティーが高まっている。強権中国に統合されるのは拒否するが戦争のリスクのある独立も望んでいない。23百万国民の60%は自分は台湾人と考えており、中国人と考えているのは2%に過ぎない。
【感想】
安倍さんの勇ましい台湾有事は日本有事はさておき、台湾の現状維持は日本にとって最重要な外交課題の一つだ。
アジア・世界で最親日国を失う愚は避けたい。

(2022.1.20 Thursday)

トンガってどこ?

海底火山の大爆発で津波が発生したトンガ。どんな被害を受けたかはまだ断片的にしかわからない。「トンガで火山の爆発」、と聞いたとき、トンガがどこにあったか思い出せなかった。

ニューギニアとソロモン諸島までは太平洋戦争での激戦地だったので覚えているのだが、フィジー、バヌアツ、温暖化で海没すると言われるキリバス、今回のトンガは判然としなかった。

わかりやすい地図を見つけた。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ps_summit/palm_06/pdfs/map.pdf
オーストラリアから東に向かっていくと、ニューカレドニア(フランス領)、バヌアツ、フィジー、トンガと続く。トンガの北側にサモア、キリバスがある。

トンガの国旗を見て驚いたが、赤地の左上隅にスイスの国旗に似たものがある。スイスの国旗のようなものはキリスト教(国教だ)を、白は純潔を、赤はキリストの血を示しているという。キリスト教文明から地理的に最も離れたところでキリスト教を国旗に示しているのごい。

各国の言語も面白い。それぞれ現地の言葉があるが、これまでの経緯で英語とフランス語が広く使われている。英語圏であるオーストラリアに一番近いニューカレドニアがフランス語。トンガは英語。その中間のバヌアツでは英語もフランス語も広く使われているそうだ。太平洋の島嶼エリアでの英仏のこれまでの勢力争いを調べると面白そうだ。

さて、ニューカレドニアは「天国に一番近い島」と言われる。l’ile la plus proche du paradis ですね。

(2022.1.19 Wednesday)

世界の動き 2022.1.19 Wednesday

N.Y. Times 電子版より

1.ゲームとメタバース事業へ賭けるマイクロソフト           【記事要約】
 マイクロソフトはアクティビジョン・ブリザード社を68.7億ドルの現金で買収することに合意した。この買収でマイクロソフトはテンセントとソニーに次ぐ世界3位のゲーム企業になる。
 この買収は最近大流行りのメタバース分野でマイクロソフトのFBに対する競争力を強化する。
【感想】
 米当局がこの大型買収にどう対応するかは見ものと記事の中に記載あるが、テンセントを有する中国もちゃちゃを入れてくる可能性が大だと思われる。
 ソニーが世界二位のゲーム会社とは知らなかった。メタバースやEVの分野で息を吹き返すソニーを見てみたい。

2.オミクロンにより打撃を受ける米国の病院
【記事要約】
 コロナによる入院患者は全米で157000人で、2週間で54%増加。
 オミクロン株の感染はピークを過ぎたとの見方もあるがあと2週間程度は入院患者の増加が見込まれる。
 多くの医療関係者は疲弊しており、辞めた人も多い。
【感想】
 日本ではまたぞろマンボウが出た。飲食店のみを規制するやり方は、有効性に大きな疑問がある。病床には余裕があるようだが、どうなるのだろうか。
 香港でペットショップの2,000匹のハムスターが処分された、という記事もあり。中国なら何でもやるということでしょうね。犬や猫は大丈夫かな。

3.全豪オープンで大いなるカムバック
【記事要約】
 1年4か月を経てOsaka Naomiがコートに戻ってきた。いろいろあったが大いなるカムバックだ。
 女子はAshleigh BartyとOsaka Naomiが優勝候補。
 男子はDjokovic不在のすきに、Rafael Nadal と Roger Federer が4大大会の21勝目一番乗りを競っている。
【感想】
 Osaka Naomi頑張れ!

(2022.1.19 Wednesday)

犬を見る 

毎朝、大体9時ころに散歩している。道筋はほぼ決まっていて、途中で犬を見るのを楽しみにしている。ジャック・ラッセル・テリア(多分)でいつも犬小屋につながれている。9時頃までは犬小屋に朝日が当たるので、小屋の外に出ていることが多い。
彼(性別がわからない)が飼い主に伴われて歩いている姿を見たことが無い。彼は散歩に連れていってもらっているのだろうか。毎朝彼の顔を見て手を振る怪しい男を認識してくれているのだろうか。

散歩でよく合うのは、この犬。コッカスパニエル(多分)を二匹連れた体格の良い中年の女性。おじいさん(マスクあり) とおばあさん(いつもマスクなし)に連れられた幼稚園児と思われる女の子。先日は、コロナ以前に行っていた銭湯でよく見かけたおじさんを見た。無言ですれ違ったが、相手もわかったはずだ。同じ日に、丸子橋のたもとで、旧知の会計コンサルタントに出会ったときは驚いた。

人生をLPレコードに例えれば、私は輪舞曲(ロンド)を、回転するレコードの上で踊り続けてきた。その過程でいろいろな人々に出会ってきた。私と彼らのロンドに接点があったのだろう。コロナ下でロンドの接点がとても減ったが、犬と出会うのに楽しみを見出している自分がいる。

シェークスピアは人生を舞台に例えている。以下のマクベスのセリフは有名だ。
Out, out, brief candle! Life’s but a walking shadow, a poor player that struts and frets his hour upon the stage and then is heard no more.
哀れな舞台俳優より、輪舞曲を無心に踊り続けていくほうが幸せではないだろうか。

(2022.1.18 Tuesday)