ESGファンド 備忘的メモ

 ESGファンドの欠陥を、インドのアダニグループへの無節操な投資を例にとった記事が11月26日のBloombergに記載されていたので以下記録する。

『ESG(環境・社会・企業統治)ファンド運用者は、インド新興財閥アダニ・グループを巡る市場の混乱で、再び打撃を受けることになった。

  アダニ・グループの創業者ゴータム・アダニ氏が贈賄の罪で米検察当局に起訴されたことを受け、グループ傘下の再生可能エネルギー会社アダニ・グリーン・エナジーの株価は約25%下落した。同社株を保有しているESGファンドは世界で約770本に上る。

  ESGに基づくスクリーニングを通過した同社は、ニュースを聞いた投資家から投げ売りされる結果となった。

  再生可能エネルギーに関する同社の主張について財務面の矛盾を以前から指摘していたアクティビスト(物言う投資家)、スノーキャップ・リサーチの共同創設者ヘンリー・キナズリー氏は、「アダニ・グリーンのガバナンスのひどさは誰の目にも明らかだった」と指摘する。

  空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチは2023年初め、アダニ・グループについて、株価操作や不正会計を何十年も続けているとリポートで指摘していた。それから2年近くを経た先週、米検察当局は、インドの政府高官に2億5000万ドル(約380億円)強の賄賂を渡すとともに、その事実を米投資家に隠した罪で、アダニ氏らを起訴した。

  アダニ・グループは今回の起訴ついて、根拠がないものだとコメントしている。だが投資家がニュースに注目する中、同グループの時価総額は計約270億ドル減少した。同グループが市場に影響する情報の開示義務に違反したかインドの規制当局が調査中とされている。

  アダニ・グリーン株を保有するファンドの大半は、欧州連合(EU)のルールの下で、ESG指標を「促進」するかESGを明確な「目的」とするカテゴリーで販売されている。

欠陥指摘する好機との見方
  770のファンドの運用資産は計約4000億ドルに上り、世界最大級の運用会社が手掛けているものもある。アダニ・グリーン株の保有比率は平均で純資産額の1%未満にとどまる。

  ESGファンドの運用者はESGリスクから投資家を守るため特別なスクリーニングを実施すると想定されており、そのために手数料が通常よりも高くなる場合が多い。それにもかかわらず、ESGラベルは何度も期待を裏切っている。

  ブルームバーグはロシアのプーチン大統領がウクライナに侵攻した際、ESGファンドがロシア資産を保有していると報じた。 保有資産は国債や国営石油・ガス会社に及んだ。 ESGファンドはまた、ガバナンスリスクの高まりに対応できず、昨年前半に米シリコンバレー銀行(SVB)が破綻した際も判断を誤った。

  シンガポールのSGMCキャピタルのポートフォリオマネジャー、モヒト・ミルプリ氏は、数百本のESGファンドが今もアダニ・グリーンに投資している事実は「驚くべきこと」だと指摘する。同氏は、レバレッジに過度に依存している懸念から22年末にアダニ・グリーン社債を売却したと言う。

  ミルプリ氏はアダニ・グリーンについて「現時点で株式を保有する理由はない」とし、ESGファンドによる同社株の保有について、ガバナンスリスクを適切にスクリーニングする能力を「疑わせる」と語った。

  ESGと長年距離を置いてきた投資家らは今回の事例を、欠陥を指摘する好機と捉えている。

   英ヘッジファンド、アルゴノート・キャピタル・パートナーズの創設者兼最高投資責任者(CIO)のバリー・ノリス氏はアダニ・グリーンの事例について、ESGムーブメントに「不正、ごまかし、悪巧み」が潜み、「道徳の衣」でそうした行為を覆い隠していることを示すと話した。』

 ESG投資には米国の保守派が強硬に反対し、共和党の知事がESG投資の差し止めを要求している。この辺りの事情を記したキャノングローバル研究所の論考を引用する。杉山大志研究主幹 『米保守が「ESG」拒否する理由』 産経新聞 2023年4月19日付「正論」に掲載

『「ESGは、米国の存立基盤である経済と自由を脅かす。だからフロリダでは誕生させない」

ESGとは環境(E)、社会(S)、企業ガバナンス(G)を考慮した投資や事業を行うことだ。これまで日本では、ESGは今後「世界の潮流」になると喧伝(けんでん)されてきた。それを真っ向から批判する。

何と強烈な言葉だろうか。これを述べたのは誰かといえば、いま最も注目を浴びている政治家であるフロリダ州知事、ロン・デサンティス氏である。トランプ前大統領に次ぐ人気を誇る、共和党の有力な大統領候補だ。そのデサンティス氏が強力に反ESG運動を率いている。

経済と自由が損なわれる
ESGとは、要は「良い」会社や事業に投資しましょうということなのだが、その「良い」とはいったい何か、それを誰が決めるのか、といった問題が生じる。

民主党のバイデン政権は、投資アドバイザー、投資ファンド、年金基金、金融機関などに対し、投資に際しESGの視点を織り込むよう、ルールを整えてきた。例えば労働省は、年金を運用するに際し、ESGを考慮するよう関係機関に求めるようになった。

これに対し、デサンティス氏は3月16日に「バイデン氏のESG金融詐欺と闘う」という18の州知事との連名での声明を発表した。名を連ねたのはいずれも共和党の州知事たちである。いわゆる米国のレッド・ステートだ。

声明のポイントは2つだ。第1は経済的なもので、運用の在り方がESGによって歪(ゆが)められ、環境などの目的が優先される結果、国民の利益を損なうことだ。第2は自由に関わるもので、選挙されたわけでもない高級官僚や金融機関が、自分たちエリート好みの特定の価値観に沿った投資を強制するのはおかしい、ということだ。

米国ではここ数年、民主党政権の下、性的少数派のLGBT、人種・移民問題、銃規制、そして環境などの様々な問題について、左翼リベラル的な価値が相次いで制度化されてきた。その対象は経済活動にも及び、ESGは最前線で具現するものだった。

まるで「社会主義」と反発
だが、かかる動きは「覚醒した資本主義」と揶揄(やゆ)され、まるで社会主義だとして反対が起こった。伝統的価値を重んじる保守層と軋轢(あつれき)を起こし、党派的な分断が深まった。

デサンティス知事はフロリダ州において州政府のみならず、民間企業の業務からも徹底的にESGを排除するよう、禁止を規定した法案を提出している。この法案が成立すれば、先の声明に名を連ねた18州も類似の法律を制定してゆくとみられ、影響は大きくなるだろう。

ESGへの反対にはもう1つの側面がある。それは州民のお金を預かるほか、州内で事業をしておきながら、ESGを理由に州内の産業に投資をしないことは不適切だ、ということだ。

これまでも石炭、石油、天然ガスの採掘や、それを燃料にして事業を営む企業が、ESGを理由に投資や融資を受けられなくなり、事業の売却を余儀なくされるといった圧力を受けてきた。

だが米国には化石燃料に関連する産業で潤っている州は多い。石油、天然ガスの生産量、石炭の埋蔵量も世界一である。

このため共和党は、バイデン政権の進めるグリーンディール(日本で言う脱炭素)や、その推進手段であるESGの強化には強固に反対してきた。

のみならず、民主党の議員であっても、ウェストバージニア州選出のマンチン上院議員らを筆頭に、化石燃料産業への抑圧には反発がある。

民主党から造反者が出たため、この3月の初めには、米連邦議会で上下両院とも、「労働省の年金基金運用はESGを考慮する」という規則を否定する決議が通ってしまった。結局これはバイデン大統領が拒否権を行使したので無効になったが、米国ではいかにESGが不人気なのかよく分かる。

日本もESG再考の時
それでは気候変動はどうなるのか、と読者は思われるかもしれない。実は米共和党は、気候危機説は誇張が過ぎ、極端な脱炭素は不適切だと認識している。トランプ氏だけが例外なのではなく、デサンティス氏も含めて、共和党の重鎮はみな同じだ。

さて日本はどうするか。経済と安全保障の基盤として、化石燃料利用への投資は必須であり、またいま防衛産業の強化も急務だ。だがESGはこういった産業を投資対象から外す傾向にある。

しかもこれが国民の意見が全く届かないところで、海外の左翼リベラルによる価値の押し付けという形で決定されてゆく、ということで果たしてよいのだろうか。

フロリダ州の経済はデサンティス知事の下で絶好調である。起業が相次ぎ、失業率は低く、世界から投資がなされている。日本もESG一辺倒をやめ、自らの経済と自由を守るべきではないのか。』

 投信家の立場から言うと、運用対象についての制限はない方がパフォーマンスが上がるのが普通だから、投資有対象としてESGにこだわるのは得策とは思えない。

 議論の行方に注目したいが、ESGの波を起こしたのが米国であり、それを消そうとする波も米国から出て来ているところにダイナミズムを感じる。

2024年11月30日 土曜日

世界の動き 2024年11月29日 金曜日

今日の一言
「ジャパン・プレミアム」
Wikipediaによれば、『ジャパン・プレミアム(Japan Premium)とは、日本の金融機関が海外の金融市場から資金調達するとき上乗せされた、その他の国の(表向きは同程度の信用力とされる)金融機関より高い金利のことである。1997年秋より発生し、1998年秋にはさらに金利が上乗せされたが、日本経済の回復とともに概ねこのような金利が上乗せされることは無くなったが、日本経済の悪化に伴い、再び上乗せされる虞れがある。』
この言葉を何故思い出したか。昨日の日経夕刊でフランスの国債のドイツ国債に対する上乗せ金利(信用力の弱さを反映する)がギリシャを上回り0.9%に近付き西欧諸国で最大になったという記事を読んだからだ。フランスの年間の財政収支がGDP比6.1%の見込みになり財政再建に赤信号が灯ったのが引き金だ。
振り返って我が国を見れば、財政赤字残高はGDPの2倍以上であり、毎年の財政収支ではGDPの6-7%の赤字が常態化している。
政府の(国民の?)野放図さのおかげで、昔懐かしいジャパン・プレミアムが市場からの圧力により日本国債の金利上昇で再現する日も近いと思うのだが。幸いなことに国債急落説はここ10年叫ばれているが実現していない。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.レバノンの停戦は維持されたようだ
【記事要旨】
停戦は2日目を迎え、ほぼ維持されたが、イスラエルは停戦協定の条件に違反した過激派を標的とした空爆を実施した。
イスラエルの攻撃は、水曜日の夜明け前に停戦が発効して以来初めてのものだったが、イスラエルとヒズボラのどちらも本格的な戦闘再開の意図はないようだ。
停戦で主要な役割を果たす予定のレバノン軍は、イスラエルが昨日「数回」停戦に違反したと非難した。
レバノン全土で、人々はを停戦を安堵とともに迎え、平常心を取り戻すことを期待した。

他の中東関連:
・シリア反政府勢力がここ数年で最大規模の攻撃を開始し、シリア軍基地を制圧した。
・レバノンでの停戦により、ガザのハマスはますます孤立している。
・ヒズボラが弱体化する中、イランは対立を減らしたいとの兆候を示している。
【コメント】
このまま薄い氷が割れなければ良いのだが。

2.ロシアがウクライナの電力網を攻撃
【記事要旨】
ロシアがミサイルとドローンでウクライナのエネルギーインフラを攻撃。100万人以上のウクライナ人が停電に見舞われた。プーチン大統領は、この攻撃はキエフが米国の長距離ミサイルでロシア領土を攻撃したことに対する報復であると述べた。
ウクライナのエネルギー省は、同国のエネルギーインフラに対する大規模な攻撃は今年11回目だと述べた。
背景:ロシアとウクライナはここ数週間、攻撃の激化に巻き込まれている。両国は1月にドナルド・トランプ次期大統領が就任する前に交渉の立場を改善しようとしているようだ。
【コメント】
サッカーの試合でのラスト5分だ。

3.オーストラリア、16歳未満の子どものソーシャルメディア利用を禁止
【記事要旨】
オーストラリア上院は昨日、16歳未満の子どものソーシャルメディア利用を禁止する法律を承認した。
新法では、ソーシャルメディアプラットフォームは、16歳未満のアカウントを作れないように「合理的な措置」を講じなければならない。企業は年齢要件を実施しなかったことで罰金を科せられる可能性があるが、未成年のユーザーもその親も、違反で処罰されることはない。
ソーシャルメディア企業には、法律の要件を満たすための12か月の期間が与えられているが、法律がどのように施行されどう機能するかについて大きな疑問が残っている。
【コメント】
いいね! 出来れば公共の場所でのスマホの使用も禁止して欲しいものだ。

その他の記事
米国では:
感謝祭:
雨に濡れたニューヨーク市で行われた毎年恒例のメイシーズ感謝祭パレードを、街頭や自宅で何百万人もの人々が見守った。
家族:
次期大統領の息子ドナルド・トランプ・ジュニアは、トランプの政治ブランドへの忠誠心を最もよく評価できる人物として名を馳せている。
テクノロジー:
マーク・ザッカーバーグはマール・ア・ラーゴでトランプと会談した。ザッカーバーグは次期大統領とのより良い関係を築こうとしている。

その他の国では:
英国:
感情的な公開討論の後、議員らは今日、末期患者の安楽死を認めるかどうかの投票を行う予定。
中国:
政府は、軍のエリート幹部が「重大な規律違反」の疑いで停職処分を受けたと発表した。
南アジア:
バングラデシュでヒンズー教の僧侶が扇動罪で逮捕されたことを受けて、インドとバングラデシュは激しい非難を交わした。

2024年11月29日 金曜日

世界の動き 2024年11月28日 木曜日

今日の言葉
「関税自主権」
  幕末に幕府が欧米と結んだ通商条約では日本には関税の決定権が無かった。明治時代の日本史を学んだ際に興奮したのは陸奥宗光と小村寿太郎の条約改正での活躍だ。
 陸奥は、外務大臣を務めていた1894年(明治27年)に日英通商航海条約を改正し、関税自主権の一部回復に成功した。この条約では、領事裁判権の撤廃や最恵国待遇条款の相互化も実現された。
 小村外務大臣のもとで、1911年(明治44年)に日米通商航海条約が締結され、関税自主権が完全に回復した。幕末以来の重要外交課題であった条約改正が達成され、国際社会の中で日本は列国と対等な地位を得た。
 関税の自主権は独立国の権利ではあるが、世界一の大国がそれを振りかざして国策を推し進めている。こういう風に使われるとは、自由貿易に慣れた我々には思いもよらない事態だ。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.レバノンで脆弱な平和が始まった
【記事要旨】
 レバノン軍は昨日、米国が支援するイスラエルとヒズボラの停戦合意が定着し始めたため、南レバノンにさらに部隊を派遣すると発表した。
 避難民数千人が南部の町や村に戻り始めたためベイルートから南に続く道路は渋滞した。イスラエル軍は、一部の地域にはすぐに戻らないよう警告し、南レバノンの大部分に夜間外出禁止令を発令した。停戦の持続性については多くの疑問が残っている。
 13か月に及ぶ戦争の後、ヒズボラは停戦の受け入れは敗北ではないと人々に納得させるのに苦労するだろう。
【コメント】
 ガザでは戦闘が継続している。ガザ保健省によると、イスラエル軍はハマスの軍事施設だとする数十か所を攻撃し、少なくとも33人を殺害した。

2.トランプ氏、ウクライナ・ロシア特使を選出
【記事要旨】
 トランプ次期大統領は昨日、第1次政権で勤務した退役将軍のキース・ケロッグ氏をロシアとウクライナの特使に任命すると発表した。新設されたこのポストで重要な役割を果たす可能性が高い。
 トランプ氏は、カナダ、メキシコ、中国からの製品に高関税を課す計画にとって重要な役割となる米国通商代表には、弁護士でトランプ政権の元職員であるジェイミーソン・グリア氏が選出された。
 分析:現在大統領は2人いる。1人は公式、もう1人は非公式で、それぞれ異なる方向に向かっている。世界の指導者たちは、退任する人のもとで何かを成し遂げようとする方が賢明なのか、それとも後任に備える方が賢明なのかを検討している。
【コメント】
 バイデン氏はレームダックの最後の一かきを頑張っている。

3.中国との囚人交換で米国人3人が解放される
【記事要旨】
 バイデン政権は、FBIの情報提供者だった1人を含む米国人男性3人の解放のため、中国と囚人交換の交渉を行ったと米国当局者は述べた。ジョン・レオン、カイ・リー、マーク・スワイダンの3人は昨日、米国行きの飛行機に乗った。
 数か月前から準備が進められ、米国にいる中国人囚人少なくとも1人の解放が含まれる。
 通常は囚人交換を行わない中国は、トランプ大統領に重要なシグナルを送っている可能性があると専門家は見る。
【コメント】
 交換のためには日本でも囚人を抱えておく必要があるのだが、日本に中国が返還を求めそうな中国人の囚人はいそうもない。

その他の記事
パキスタン:
 イスラマバードでは、投獄された元首相イムラン・カーンの支持者に対する一夜の取り締まりで600人以上が逮捕された。
ミャンマー:
 国際刑事裁判所の主任検察官は、軍事政権の指導者であるミン・アウン・フライン上級大将に対し、人道に対する罪で逮捕状を請求した。
英国:
 英国にある米空軍基地4カ所の上空を多数の小型ドローンが飛行しているのが目撃された。国防総省は監視中だとしている。

野球:
 フリーエージェントの投手ブレイク・スネルが、ドジャースと5年1億8200万ドルの契約に合意した。
大谷翔平:
 野球スターのニューバランスとの契約には、シグネチャーコレクションと新しいロゴが特徴だ。

2024年11月28日 木曜日

世界の動き 2024年11月27日 水曜日

今日の一言
「公職選挙規制法」
 せっかく再選されたのに兵庫県の斉藤知事への公職選挙規制法違反の疑惑が問題になっている。選挙の戦略を兵庫県西宮市のコンサルティング会社「merchu」(代表取締役・折田楓氏)へ外注したとの疑惑だ。

 詳細について、大手紙の政治デスクによる説明は以下だ。
 『SNSによる広報戦略を業務で行なったことが事実なら、インターネットによる選挙運動を行なった者への報酬支払いを買収と規定する公職選挙法違反にあたるとみられます。
 今の時代にネット制限するのは違和感があるかもしれませんが、選挙は無報酬が原則です。事前に選管に届け出たウグイス嬢と手話通訳者、要約筆記者、事務員だけが例外になると明確に決められていて、それ以外の人にお金が渡ればアウトです。陣営の責任ある者が買収したとなれば、候補者本人の当選が無効になります。
 折田氏のnoteは記述が具体的で、それを裏付けるビジュアル資料も豊富です。永田町界隈では『斎藤氏は当選無効を免れるのはかなり難しいのではないか』という声でもちきりです。』ということだ。

 このような少額の外注も出来ないという現在のルールを知って驚いた。選挙活動の一切を個人の手弁当に依存するシステムが、統一教会による自民党への食い込みの大きな原因になったのは記憶に新しい。

 政治資金規正法だけでなく公職選挙法も時代に合った改正が必要だと思う。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
(6時21分配信。ヒズボラとの停戦記事で遅れたか。)
1.イスラエル、ヒズボラとの停戦提案を承認
【記事要旨】
 ベンヤミン・ネタニヤフ首相の内閣は昨日、1年以上続くイスラエルとレバノンの武装組織ヒズボラとの間の戦闘を停止する停戦協定を承認した。
 バイデン大統領は「敵対行為の恒久的な停止を目的としたもの」であると称賛し、停戦は今日発効する予定だとした。
 ネタニヤフ首相は合意を重視していた。ヒズボラはこの承認についてすぐにはコメントしなかった。
 レバノン政府はヒズボラを支配していないが、合意を前進させるには政府の承認が不可欠であり、今日停戦合意について話し合う予定だ。
以下、エルサレム支局長とのQ&A
Q: 双方はこの停戦に何を望んでいるのか?
A: イスラエルは主に、ヒズボラがレバノン南部の国境地帯から撤退し、国境の反対側のイスラエル人コミュニティへの脅威を取り除くことを望んでいる。ヒズボラが実際に撤退しない場合にはレバノン国内に再配置する権利をイスラエルは求めている。
 ヒズボラは公の場で、イスラエルが砲撃をやめ、レバノン南部から撤退することを主に望んでいると示唆しているが、内心では、イスラエルの新たな侵攻や航空作戦を誘発することなく、自軍を可能な限り国境近くに留まらせたいと考えているだろう。
Q: ガザで進行中の戦争にはどのような影響を与える可能性があるか?
A: 大きな効果は得られないかもしれない。ほとんどの専門家はガザでの停戦は空想的だと考えている。ハマスは活動を開始すると予想されており、イスラエル政府はハマスの完全破壊を推進し続ける可能性が高い。
Q: イスラエル内閣が停戦を承認した今、次に何が起こるのか?
A: レバノン政府は、空白を埋めるために、レバノン南部にさらに多くの自軍を配備する予定であるが、機能するかは誰にもわからない。何が起こるにせよ、今回の合意により、再配備を完了するまでに各方面に60日間の猶予が与えられると予想される。
【コメント】
 とりあえず60日間の猶予期間が無事存続することを祈るのみだ。薄氷の合意で、破れる恐れは極めて高い。

2.米国の関税戦争が迫る中、脅迫が飛び交う
【記事要旨】
 トランプ次期大統領の就任初日にカナダ、メキシコ、中国からの製品に重い関税を課すという誓いは世界中に反響を呼んでいる。
 メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は昨日、トランプ大統領がメキシコから米国に輸入する製品に25%の課税を脅迫した場合、政府は報復する用意があると示唆した。カナダのジャスティン・トルドー首相は、トランプ大統領の関税案について州および準州の指導者らと緊急会議を開催すると発表した。
 メキシコ大統領は、関税を引き上げても米国での不法移民や違法薬物の消費は抑制できないと述べ、メキシコで数十年にわたり事業を展開しているゼネラル・モーターズ、ステランティス、フォード・モーターなどの自動車メーカーを挙げ、関税合戦は両国経済に悪影響を与えるだけだろうと示唆した。
 中国:トランプ大統領が中国に対して関税を課した場合、中国政府は自国通貨の下落を許す可能性がある。それは通貨戦争につながる恐るべきリスクとなる。
【コメント】
 メキシコをベースに乗用車を米国に輸出してきた日産はどうなるのだろうか。

3.ロシア、ウクライナが米国のミサイルで攻撃したと発表
【記事要旨】
 ロシアは、ウクライナが米国が供与したミサイルで再び自国の領土を攻撃したと発表した。この攻撃で軍事インフラが損傷し、一部の兵士が負傷し、ロシア政府は「報復措置」を準備していると述べた。
 ウクライナ空軍は昨日、ロシアが約200機の無人機を使った夜間攻撃を行ったと報告した。この攻撃は、ここ数日激化している両国間の一連の空襲の最新のものであった。
【コメント】
 特にするべきコメントも見つからない。愚行の継続に暗澹たる思いだ。

その他の記事
パキスタン:
 警察とイムラン・カーン元首相の支持者が衝突したため、必要に応じて発砲するよう命令を受けて首都に軍が出動した。
エジプト:
 月曜日に紅海で観光船が沈没し、4人の遺体が回収され、7人が未だ行方不明であると当局が発表した。
宇宙:
 日本の主力ロケットの一つのエンジン試験が火災発生後に中止され、日本の衛星への野心は打撃を受けた。

2024年11月27日 水曜日

世界の動き 2024年11月26日 火曜日

今日の一言
「ラスト5分」
サッカーの試合で最後の5分は最もスリリングだ。両軍が死力を尽くして勝利を目指す。
温存していた新戦力を投入し、作戦を変更する。負けている方は同点に追いつこうと長距離シュートを打つ。
ウクライナ戦争の現状にそっくりだ。トランプの就任で、戦争はにわかにラスト5分を迎えた。ロスタイムになだれ込むことは避けてもらいたいのだが。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.検察官、トランプ氏に対する刑事告訴の却下を申し立て
【記事要旨】
特別検察官のジャック・スミス氏は昨日、ワシントンの連邦判事とアトランタの裁判所に対し、次期大統領ドナルド・トランプ氏に対する2件の起訴状を却下するよう求めた。1件は2020年の選挙結果を覆そうとしたという告訴、もう1件は機密文書を違法に保有したという告訴である。
スミス氏は、この動きは現職大統領は起訴されないとする司法省の方針によるものだと明言した。「司法省の憲法解釈に基づき、政府は却下を求める」とスミス氏は記した。
この要請は、2年間の法廷劇の後、検察はトランプ氏に2020年の選挙結果を覆そうとしたことや、退任後に多数の機密文書を違法に保有したという告訴について責任を問うことはできない、というスミス氏の最終的な認識だった。トランプ氏が任期を終えた後に再度告訴される可能性は残している。

トランプ氏についてさらに詳しく:
・トランプ氏は2人の億万長者を重要な経済ポストに任命した。彼らは労働者階級を助けることになるだろうか?
・トランプ氏の中東担当特使スティーブン・ウィトコフ氏は、この地域の石油資源の豊富な国々と以前からつながりがある。
・トランプ氏の忠実な補佐官ナタリー・ハープ氏は、大統領との情報交換の主要パイプ役になる見込みだ。
・最長在任期間を誇る上院院内総務のミッチ・マコーネル氏は、次期議会でその職を辞す。同氏の計画はトランプ氏と対立する可能性がある。
【コメント】
スミス氏はさぞ残念だっただろう。トランプ氏は当選と落選で天国と地獄だったわけだ。トリプルレッドに加え最高裁も保守派で押さえているトランプは4年間は無敵だ。

2.レバノン停戦の決定は近いと当局者らが語る
【記事要旨】
ネタニヤフ首相は本日閣僚と会談し、ヒズボラとの停戦案を決定する予定だと当局者らは語った。米国はイスラエルに対し、木曜日までに合意をまとめるよう圧力をかけている。
この案では、イスラエル軍は60日以内にレバノンから撤退。ヒズボラはイスラエル国境から北へ移動。その後、レバノン軍が南へ展開し、国境沿いに緩衝地帯を形成するプランだ。
難点:残るハードルは、ヒズボラの戦闘員が停戦を破ったり、レバノン軍が国境からヒズボラを遠ざけることができなかった場合にイスラエルが軍事行動を取れるようにしたいということだ。ネタニヤフ連立政権の強硬派も合意に反対している。
【コメント】
ベイルートは毎日空爆を受けている。レバノン軍はヒズボラと対峙する実力は無さそうで、合意が維持できる可能性は少ないと見る。

3.パキスタンで数千人がカーン氏の釈放を求めて抗議
【記事要旨】
元首相イムラン・カーンの数千人の支持者は昨日、政府のロックダウンにもかかわらず、同氏の釈放を求めてイスラマバード郊外までデモ行進した。少なくとも警官1人が死亡しデモ参加者数人が負傷した。
背景:カーンは2023年8月から投獄されており、150件以上の刑事事件に直面しているが、依然として絶大な人気を誇っている。
【コメント】
群衆の抗議は整然としているように見えるが、負傷者が出たようだ。参加者の多く白い体を包む服を着ており、南アジアは東南アジアとはずいぶん違う印象を受ける。政情が安定しないとアフガニスタンのように過激派が跋扈する事態になりかねない。心配だ。

その他の記事:
フィリピン:
サラ・ドゥテルテ副大統領が、自分が殺害されたらフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領が暗殺されるよう手配したと主張したことで、政治的混乱が激化した。
した。
ルーマニア:
今週末に行われた大統領選挙の第1回投票で、無名の超国家主義者が予想外の勝利を収めたことで、同国は政治的混乱に陥った。
イギリス:
イングランドとウェールズで大規模な洪水により少なくとも3人が死亡した。

野球:
ロサンゼルス・エンゼルスは左投手の菊池雄星と3年6,300万ドルの契約に合意した。

2024年11月26日 火曜日