世界の動き 2025年11月14日 金曜日

今日の一言
「サンユー建設」
自宅の付近に2つの上場企業の本社がある。一つはアルプス電気、もう一つはサンユー建設だ。
昨日MBOが市場に広まり株価が急騰した。詳細は以下だ。
サンユー建設(証券コード1841)のMBO(マネジメント・バイアウト)が2025年11月12日に正式に発表された。カバロ企画(東京都大田区、同社副社長馬場雄一郎氏が代表)が主体となって、非公開化(上場廃止)を目的にTOB(株式公開買付け)を実施する.
・公開買付け(TOB)の概要
買付価格は1株あたり1,600円で、直近終値(1,250円)に対し約28~40%のプレミアムだ。
買付期間は2025年11月13日から12月25日までの30営業日.
買付予定株数は2,059,981株、下限は所有割合29.36%(957,500株).
公開買付代理人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、復代理人は三菱UFJ eスマート証券.
・経営陣と創業家の構図
カバロ企画はサンユー建設の創業家一族の資産管理会社
TOBが成立した後、サンユー建設株は上場廃止となる予定で、創業家や資産管理会社などはTOBに応募しない.
TOB成立後は株式交換が行われ、カバロ企画がサンユー建設の全株式を取得、創業家がカバロ企画株を持つ構図になる.
・MBOの目的・背景
上場維持コストの削減.
短期業績や株式市場の評価に左右されない迅速かつ柔軟な経営判断、機動的な経営資源配分の実現.
中長期的視点で企業価値の向上、新規事業開拓や組織改革の推進を目指す.
・その他
サンユー建設は本MBOに賛同しており、株主にTOB応募を推奨している.
MBO発表後、東京証券取引所から監理銘柄(確認中)に指定されている.
建築、不動産、金属製品、ホテルなど多角的な事業展開を行っている企業.
最新情報をもとにすると、サンユー建設の今後は非公開化・上場廃止決定後、創業家主導の経営体制が再構築される見通しだ.
【コメント】
年商100億円程度で自己資本比率が80%近い上場企業で、上場している意味は少ない。知名度の向上と人材の確保といったメリットよりも、上場に伴うディスクロージャやコンプライアンスコストのデメリットが大きくなっていたのだろう。自宅近くの上場企業の半分がなくなるのは少し寂しい。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.文化的貧困と孤独な男たち
【記事要旨】
ブッカー賞を受賞したデイヴィッド・サレイの小説『フレッシュ』 “Flesh” by David Szalay は、文化的・道徳的に疎外された現代の男性像を描いた冷たく厳粛な作品である。主人公はハンガリー出身の孤独な青年で、ロンドンで運転手として働きながら上流階級に入り込むが、友情も尊敬もない世界で空虚さを抱えて生きる。
●主なテーマと論点
– 文化的貧困と孤独:主人公は物質的には成功するが、精神的・文化的な空白を抱えている。
– 男らしさの危機:現代社会における若い男性の疎外感や道徳的支柱の欠如が描かれる。
– 非道徳的な世界観:登場人物に尊敬すべき存在はなく、教育や育ちが人間性を高めるという希望もない。
– 移民と根なし感:主人公の孤独は移民であることに加え、文化的な繋がりの欠如から来る。
– 世代間の視点:安定した家庭環境の有無が若者の精神形成に大きく影響すると語られる。
●文学界への視点
– 若い女性作家の台頭は歓迎されるが、男性の疎外感を描く作家の声も重要である。
– 『フレッシュ』は読むのに覚悟が必要な作品だが、深い洞察を与える。
– 読後におすすめの、より気軽に読める作品としてイアン・マキューアン Ian McEwanの『What We Can Know』が挙げられている。
【コメント】
一風変わった書評のような記事だ。『Flesh』というタイトルは、主人公の人生を通じて描かれる「身体を通じた存在の実感」や「言葉にならない感情の表現」を象徴するものであり、現代文学における沈黙と感覚の力を強く示しているようだ。

2.パキスタンは巨額支出でトランプ大統領に取り入る
【記事要旨】
パキスタンは、トランプ政権とのこれまで険悪だった関係を好転させた。これはイスラマバードの巧みな外交戦略によるものとされている。
パキスタンは今春、ワシントンの著名なロビー活動会社と一連の高額契約を締結した。ホワイトハウスがパキスタンに有利な新政策を発表したわずか数週間前のことだ。この政策により、パキスタンは世界有数の関税率を実現し、最大のライバルであるインドに対して優位に立つことができた。
トランプ大統領に影響を与えるための、この作戦には首相側近数名が起用されたという。
【コメント】
パキスタンの現在の首相はシャリフ氏だ。2024年3月、パキスタン議会は「イスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)」のシャバズ・シャリフ前首相を首相に再選した。シャリフ氏は下院での投票で201票を獲得。過半数の169票を超え、首相に選ばれた。一方、若者から強い支持がある服役中のイムラン・カーン元首相が率いる「パキスタン正義運動(PTI)」が推していた対立候補のオマル・アユーブ氏は92票を獲得した。
カーン氏の逮捕をめぐって混乱していたパキスタンの政治は現状は小康状態のようだ。

其の他の記事
・トランプ大統領は政府再開のための歳出法案に署名し、米国史上最長の閉鎖に終止符を打った。
・フランスは、130人が死亡、500人以上が負傷した2015年のパリ同時多発テロ事件の10周年を記念した。
・ロシアが戦略都市ポクロフスクの制圧目前となる中、ウクライナ軍の司令官らは、ウクライナが都市を必要以上に長く掌握している可能性があると指摘している。
・イスラエル人入植者は、占領地ヨルダン川西岸で過激派による暴力が激化する中、モスクを焼き払った。
・イラクのモハメド・アル=スーダニ首相は、同国の総選挙でリードしているように見えたが、得票率は政権樹立に必要な票数には届かない可能性がある。
・シリアの元治安当局者は、長年にわたりヨーロッパで人目につく場所で生活していた後、拷問の罪で起訴された。

2025年11月14日 金曜日

世界の動き 2025年11月13日 木曜日

今日の一言
「JPモルガンへの巨大な罰金」(少し長いですが事件をまとめました)
 ドイツ金融監督庁(BaFin)は、2025年11月6日にJPモルガンSEに対し、マネーロンダリング対策の不備を理由に過去最高額となる4,500万ユーロ(約80億円)の制裁金を科した。問題の核心は、疑わしい取引の報告義務違反にある。
● 制裁の概要と背景
 対象機関:JPモルガンSE(JPモルガン・チェースのEU統括法人、フランクフルト拠点)
 制裁金額:4,500万ユーロ(約52.5百万ドル)
 違反内容:
 2021年10月4日〜2022年9月30日の間、疑わしい取引報告(SAR)を「遅延なく」提出しなかった。報告義務違反が「組織的かつ継続的」であったとBaFinは判断。
 法的根拠:ドイツのマネーロンダリング防止法(Geldwäschegesetz)に基づき、金融機関は疑わしい取引を即時にFIU(金融情報機関)へ報告する義務がある
● なぜ問題なのか?
 即時報告の重要性:FIUが迅速に捜査や資金凍結を行うためには、報告の「即時性」が不可欠。JPモルガンSEの不備は、内部監視体制の不備や報告プロセスの遅延に起因しており、結果としてドイツのAML(マネロン対策)体制の信頼性を損なうものとされた。
●制裁の意義と影響 
 BaFin史上最大の制裁金:これまでの記録(ドイツ銀行への4,000万ユーロ)を上回る。

 EU AMLA設立直前の象徴的措置:2025年7月にフランクフルトに設立されるEUの新たなAML監督機関(AMLA)を前に、ドイツ当局の姿勢強化を示す動きと解釈されている。
 JPモルガンの対応:
「過去の問題であり、当局の捜査を妨げた事実はない」とコメント。既に内部体制の強化と職員教育の徹底を実施済みと説明。
●今後の注目点
 JPモルガンは2026年にドイツでChaseブランドのデジタル銀行を展開予定であり、今回の制裁はレピュテーションリスク(評判リスク)としても注目されている。国際金融機関に対するローカル規制順守の重要性が改めて浮き彫りになった事例だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.緊張地域での2件の爆殺事件
【記事要旨】
●インドとパキスタンで相次いだ爆破事件の概要
– 今週、インド(ニューデリー)とパキスタン(イスラマバード)で爆破事件が発生し、両国でそれぞれ約12人が死亡。
– 犯行の直接的関連性はないが、パキスタンではタリバンが犯行声明を出した。
– 両国間の緊張が再び高まり、5月の軍事衝突の再来が懸念されている。
●インドの対応と背景
– インドは慎重な姿勢を保ちつつ、デリーの爆発をテロとして捜査中。犯人は未特定。
– カシミールでの宗教的虐殺事件後、モディ首相はパキスタンへの軍事攻撃を実施し、今後のテロは戦争行為とみなすと宣言。
– インドはISなど複数のテロ組織を警戒している。
●パキスタンの反応と主張
– イスラマバードの裁判所前で自爆テロが発生。パキスタン政府はインドの関与を主張。
– タリバン政権がインドと連携しているとする見方が強まり、国内の暴力行為の責任をインドに転嫁。
– シャリフ首相は複数の攻撃が「インドの扇動」によるものと非難。インド外務省はこれを否定。
●地域情勢と外交の行き詰まり
– 両国の外交関係は近年最低水準。軍・政治指導者の強硬姿勢が目立つ。
– 一部の識者は冷静さを呼びかけており、全面戦争の可能性は低いとする見方も。
– ただし、春の衝突ではトランプ大統領の介入がなければ戦争に発展していた可能性があり、事態の急速なエスカレーションには警戒が必要。
【コメント】
 南アジアで核兵器を保有する2大国の緊張関係の激化だ。トランプに何かの効力があるなら、また出張ってもらおう。平和賞にさらに近づく。

2.エプスタイン被告のメール、トランプ大統領が自身の行為を知っていたと主張
【記事要旨】
 民主党議員らは昨日、刑務所で死亡した性犯罪者ジェフリー・エプスタイン被告が、トランプ大統領が自身の性的人身売買組織の被害者の一人と「私の家で何時間も過ごした」と書いたメールを公開した。あるメッセージの中で、エプスタイン被告はトランプ大統領が「少女たちのことを知っていた」と主張していた。
 数時間後、共和党議員らはエプスタイン被告の遺産管理団体から2万3000ページに及ぶ膨大な文書を公開した。共和党は、エプスタイン被告と不和になるまで友人だったトランプ大統領を守ろうとしてきた。しかし同時に、エプスタイン被告と権力者との交流の完全開示を求める有権者の要求にも直面している。
 トランプ大統領は、エプスタイン被告の性的人身売買組織への関与やその知識を断固として否定している。ホワイトハウス報道官は昨日、民主党が「トランプ大統領を中傷するために虚偽の物語をでっち上げようとしている」と非難した。
【コメント】
 これだけ証拠がそろってもトランプは言い逃れることができるのだろうか。たとえ、罪に問われなくても、MAGA層からの支持の低下はまぬかれないとは思う。

其の他の記事
・イスラエルは、ガザ地区北部への国境検問所を再開したと発表した。これは、同地区への支援物資の搬入を目指す団体からの長年の要請だった。
・高市早苗首相は、「過労死death from overwork」の爪痕が残る日本で午前3時に会談を予定したことで批判を浴びた。
・イスラエル大統領は、トランプ大統領から、汚職罪で裁判にかけられているベンヤミン・ネタニヤフ首相の恩赦を求める書簡が届いたと述べた。

2025年11月13日 木曜日

世界の動き 2025年11月12日 水曜日

今日の一言
「社会民主主義」
 ニューヨークの新市長マムダニ氏は自身を社会民主主義者と標榜している。トランプは彼を共産主義者と批判しているが、どう違うのだろうか。
 社会民主主義とは、議会を通じて資本主義社会の矛盾を解決し、段階的に社会主義を実現しようとする思想だ。共産主義のプロレタリア独裁を否定し、社会保障制度の充実や公正な市場経済の実現、民主的な政策運営を重視する点が特徴だ。
 主な特徴は以下だ。
・議会主義: 共産主義のように革命ではなく、議会を通じた社会政策や民主的な手段で社会変革を目指す。
・混合経済: 公有制と私有制企業が共存する混合経済を肯定する。
・社会保障の重視: 福祉や医療、教育などの公共サービスを充実させ、人々の生活条件の向上を図る。
・市場経済の調整: 市場の機能を認めつつも、格差を放置せず、社会的な規制や監視を通じて公正な市場経済を目指す。
・階級の融和: 階級間の対立を激化させるのではなく、社会の各階級を結束させ、共同の利益を追求する。
 ドイツを中心に一時は欧州を席巻した社会民主主義は衰退してきた。理由はいくつか考えられる。
・冷戦終結と共産主義の終焉:
 1989年の東欧革命と1991年のソ連崩壊により、社会民主主義が目標としてきた平等社会の実現を目指すモデルが、共産主義の挫折と結びつけられるようになった。
・共産主義国家の行き詰まり(特権階級による富の独占、官僚主義、政治的弾圧など)が社会主義全体への不信感につながった側面もある。
・グローバル化への対応の難しさ:
 グローバル化は、資本の移動を容易にし、国内産業の競争力を低下させた。
 社会民主主義が重視してきた、国家による産業保護や再分配といった政策が、グローバルな市場経済の中で制約を受けるようになった。
 経済成長を優先するネオリベラリズム(新自由主義)の台頭と、福祉国家への財政的負担増大も、衰退に拍車をかけた。
・中道左派政党の変化:
 社会民主主義を掲げていた中道左派政党の多くが、市場経済を容認し、財政規律を重視する「第三の道」やネオリベラリズム的な政策へと転換した。
 これは、伝統的な社会民主主義を支持してきた層からの支持を失い、労働者階級という伝統的な支持基盤を弱体化させる結果につながった。
 米国ではトランプの強権政治への対抗策として社会民主主義が再評価されているようだ。日本では参政党による右巻きのブームが発生している。庶民の多くが生活苦を感じる現在、清新なリーダーが率いる社会民主主義政党が注目される時期かと思う。既存政党ではれいわ新選組が近いようだが、今一つ伸びていない。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.女性指導者と右派
【記事要旨】
 ●高市早苗氏の登場とG7の文脈
– 高市氏の自民党党首当選は、日本で約250年ぶりの女性指導者誕生という歴史的快挙。
– G7ではイタリアのメローニ首相と並び、女性指導者は2人に。
– 過去のG7女性指導者の多くは右派出身で、左派はフランスのクレソン氏のみ。
 ●女性指導者の少なさと政治的傾向
– 世界的に女性指導者は少数で、国や時期が異なるため共通パターンの特定は困難。
– G7以外では左派女性指導者も存在(メキシコ、デンマークなど)。
– 先進国では左派政党が女性指導者を輩出できていない傾向がある。
 ●左派の矛盾と右派の台頭
– 左派はジェンダークオータ制など女性進出を推進してきたが、指導者には結びついていない。
– 右派の女性指導者(高市氏、メローニ氏)は、伝統的価値観を支持しつつも、アウトサイダーとして台頭。
 ●政治危機と女性の登場
– 多くの女性指導者は政治的混乱期に登場(サッチャー、メルケル、メイなど)。
– 現代の政治危機の常態化が、異質な存在としての女性指導者に信頼を与える構造を生んでいる。
 ●今後の展望と懸念
– 右派女性議員の増加は鈍化傾向。
– フランスでは極右のルペン氏が高支持率を維持し、2027年の大統領選が注目される。
【コメント】
 日本の地方の首長選では左派系の女性首長も誕生している。山形県知事、仙台市長、杉並区長などがそうだ。国政の自民党のように二世、三世議員が独占する世襲政治から、地方での変化を期待したい。

2.パキスタンの首都で死者を出した攻撃
【記事要旨】
 昨日、イスラマバードの裁判所前で爆弾が爆発した。首都では過去10年間、同様の攻撃はほとんど発生していなかったが、少なくとも12人が死亡、27人が負傷した。
 パキスタン政府に対して激しい反乱を続けているパキスタン・タリバンが犯行に関与したかどうかについては、情報が錯綜している。あるアナリストは、厳重な警備体制が敷かれたイスラマバードでの今回の攻撃は、パキスタンの治安にとって不吉な兆候だと警告した。
 この攻撃は、ニューデリーの地下鉄駅近くで少なくとも8人が死亡した爆発の翌日に発生し、警察はテロ攻撃の可能性もあるとして捜査している。2つの攻撃の関連性を示す証拠はないが、カシミールでのテロ攻撃をきっかけに今年発生したインドとパキスタンの軍事衝突を受け、緊張が高まっている。
【コメント】
 インドとパキスタンで相次いで爆発とくれば、イスラムとヒンズー原理主義の暗躍かと思いがちだが、タリバンという要素もあった。テロの激化を懸念する。

其の他の記事
・イラク国民は、次期政権がイラン支援民兵の武装解除を行うことを望んでいる米国が注視する選挙で、新たな議会を選出した。
・米国上院は、イラク史上最長の政府閉鎖を終わらせる法案を可決し、下院に送付した。
・ソフトバンクは、人工知能(AI)への新たな投資資金を調達するため、保有するNVIDIAの株式すべてを58億ドルで売却した。【コメント:売り時を捉えた印象だ。孫さんはさすがだ】

・日本を代表する映画スターの一人で、「乱」での演技で知られる仲代達矢さんが92歳で亡くなった。

2025年11月12日 水曜日

世界の動き 2025年11月11日 火曜日

今日の一言
「 ペルソナ・ノン・グラータ(persona non grata)」
 この言葉は、ラテン語で「好ましからざる人物」という意味である。
– 外交関係に関するウィーン条約(1961年)第9条に基づき、受け入れ国が外交官の受け入れを拒否または撤回する際に使う正式な表現だ。指定する側は、指定する理由を述べる必要はない。
– 指定された外交官は通常、一定期間内に退去しなければならず、退去しない場合は外交特権を失う可能性がある。
 中国の中日大阪公使の「汚い首を切る」という発言をめぐり、これを適用すべしという議論が起きている。高市さんは首相でなければ当然そうした議論を展開していたはずだ、
 しかし、いざ、首相になると慎重な対応が必要になる。中国は、日本の外交官に同じ対応をすることは第一歩で、駐日公使を英雄視する論調を中国内で広める、対日世論をあおり日本企業や日本製品のボイコットにつながることする、といった対応が容易に予想できる。
 2024年の日本の名目GDPは609兆円(約4.0兆米ドル)、中国の名目GDPは134兆9084億元(約18.7兆米ドル)で、中国は日本の4.5倍だ。2010年に追い抜かれてから、15年間でこれだけ差をつけられた。“Wealth attracts many friends.” という箴言がある。Global Southで中国が頼られる所以だ。
 「臥薪嘗胆」という言葉もある。日本が再び「世界の真ん中で咲き誇る」まで、腹の虫を収める対応が必要な時期だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.BBCに対する批判
【記事要旨】
・幹部辞任の直接原因
– BBCが1月6日の米議会襲撃前のトランプ大統領の演説を誤解を招く形で編集したことが発覚。
– これにより、BBCのティム・デイビー局長とニュース部門CEOデボラ・ターネスが辞任。
・背景にある構造的問題
– BBCは世界的な公共放送局として、政治的偏向(特に左派寄り)や報道姿勢をめぐり、英国内外から継続的な批判を受けている。
– 特に保守派や外国政府(米国、インドなど)との摩擦が多く、報道の中立性が問われている。
・過去の論争と批判
– 性的不品行への対応遅れ、難民政策批判キャスターの停職、料理番組司会者の不適切行動への対応不足など、複数のスキャンダルがBBCを揺るがした。
– イスラエル・ハマス戦争関連の報道では、現地のナレーターの父親がハマス関係者だったことが問題視され、番組配信停止に。
– グラストンベリー・フェスティバルでの反イスラエル発言の放送継続も批判の的に。
・トランプ政権との関係
– トランプ大統領はBBCの報道姿勢に強い不満を示し、ナイジェル・ファラージ氏との会談でもBBC批判を展開。
– 英国内でもボリス・ジョンソン前首相ら保守派がBBCの改革や解体を求めている。
・信頼と今後の展望
– ピュー・リサーチによると、BBCは米国の主要ネットワークよりも視聴者からの信頼が高い。
– 英国政府はBBCへの支援を条件付きで継続する姿勢だが、スターマー首相はトランプとの対立を避けるため慎重な対応を迫られている。
– メディア専門家は「BBCは現状をリセットし、政治的偏向の克服に取り組むべき」と提言。
【コメント】
 ​​幹部らが辞任したのは、BBCが1月6日の米国議会議事堂暴動に先立つトランプ大統領の演説を誤解を招く形で編集し、実際には約50分離れた発言をつなぎ合わせていたという、流出したメモを受けたためだ。大きな印象操作を報道で行ったことになり、辞任に値すると思う。

2.シリア大統領、ホワイトハウスで歓迎される
【記事要旨】
 シリアのアハメド・アル=シャラ大統領は昨日、トランプ大統領と会談した。シリアの国家元首としてホワイトハウスを訪問したのは初めてだ。
 かつて米国からテロリストに指定されたイスラム主義の元反政府勢力指導者であるアル=シャラ氏は、シリアを国際社会に復帰させ、14年近く続いた内戦を経て国を再建したいと考えている。トランプ大統領は彼を温かく迎え入れ、対シリア制裁の解除を約束した。
 イラクで米兵を殺害しようと企んだジハード主義者から、今日の洗練された融和主義の指導者へと変貌を遂げたアル=シャラ氏の転換がどれほど完全なものなのか疑問視する人もいる。
【コメント】
 ネズミを捕るのは良い猫だ。同氏の手腕に期待したい。

其の他の記事
・ニューデリーの夕方のラッシュアワー時に混雑した地区で車が爆発し、少なくとも8人が死亡した。
・タイは、係争中の国境地帯で地雷が爆発し、タイ兵士2人が負傷したことを受け、カンボジアとの和平交渉を中断した。
・米国上院は、史上最長の政府閉鎖を終わらせる法案を採決するとみられていた。
・ウクライナの汚職対策当局は、国営原子力エネルギー会社が関与する大規模な賄賂詐欺を摘発したと発表した。
・米国最高裁判所は、2015年に同性婚を合法化する画期的な判決の覆しを検討するよう求める申し立てを却下した。

2025年11月11日 火曜日

世界の動き 2025年11月10日 月曜日

今日の一言
「ドバイが一番」 以下Bloombergの記事より。
  ドバイが富裕層に最も魅力的な都市に選出
 不動産会社サヴィルズの調査によると、世界30都市の中でアラブ首長国連邦(UAE)のドバイが、富裕層にとって最も暮らしやすい都市として1位に選ばれた。 Top5は、ドバイ、ニューヨーク、シンガポール、香港、アブダビになった。東京は24位で、アジアの都市では、北京14位、上海16位、バンコク17位の後塵を拝している。
 ドバイが選ばれる理由:
– 税制優遇:相続税・キャピタルゲイン税・資産税がゼロ
– 家族向けインフラ:教育・医療などが充実
– 高い安全性
– 「ゴールデンビザ」制度:約8300万円の投資で10年間の居住権と低課税が得られる
 世界の富裕層動向:
– 世界の富は2022年の低迷から回復中
– アジア太平洋地域が最も急速に成長
– 富裕層の移住先は伝統的金融都市からテクノロジー都市へ移行中(例:深圳(27位)、ベンガルール(ランク外)
🏆 ランキング上位都市の特徴:
– ドバイとニューヨーク(2位)は、ビジネス環境・税制・地政学的安定性で高評価
– ロンドン(9位)はライフスタイル面で評価されるも、相続税の高さが足かせとなり順位を下げた
 東京はライフスタイルは世界で上位だが、相続税の高さが順位を大きく下げる要因だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.気候変動に米国抜きで戦えるか
【記事要旨】
 過去10年で排出量の増加が鈍化し、気温上昇の予測も改善傾向にあるものの、アメリカの不参加や政策転換は世界の気候変動対策に大きな影響を与えている。
 一方、中国は再生可能エネルギー分野で世界をリードし、安価なクリーンテクノロジーの輸出によって多くの国の脱炭素化を後押ししている。
 しかし、気温上昇は続き、特に貧しい国々や脆弱な人々への支援が不足している現状も指摘されています。
 結論として、アメリカの協力がなくても世界は行動を起こす必要があり、気候変動への適応と対策は全人類の課題である。
【コメント】
 米国だけではない。中国、ロシア、日本の首脳は出席しない。オーストラリア、インドネシア、トルコの首脳も同様だ。
 個人的なコメントで少数派だ。Co2と気温の上昇は、因果関係だろうか。いまだに、単なる相関関係だと思えてならない。

2.超大型台風がフィリピンを襲った
【記事要旨】
 フィリピンを脅かす今年最大の超大型台風に分類される台風フンウォンは、最大風速195キロメートルでルソン島本島に上陸した。100万人以上が自宅から避難した。この台風は、200人以上の死者を出した台風カルマエギからわずか1週間後に発生した。
【コメント】
 これも温暖化の影響だろうか。

其の他の記事
・BBCの局長とニュース担当最高責任者は、ドキュメンタリー番組がトランプ大統領が1月6日の攻撃を扇動したと誤解を招くように編集されていたとの疑惑を受け、辞任した。
・昨日、米国の主要空港で1,600便以上が欠航となった。ショーン・ダフィー運輸長官は「事態はさらに悪化するだけだ」と述べた。
・ハマスは、2014年からパレスチナ武装勢力に拘束されていたイスラエル兵、ハダル・ゴールディン中尉の遺体を引き渡した。
・イラン当局は、深刻な干ばつが深刻化する中、テヘランで水の配給を開始した。

2025年11月10日 月曜日