Managers tend to make their biggest mistakes in things that they have previously done best. In business, hubris is the indefensible sin of acting cocky when you move things very well.
Old Greek saying: Hubris is followed inexorably by Nemesis.
月別: 2019年11月
JDIでの不正事件
本日付の新聞とテレビで、(株)ジャパンディスプレイ(JDI)で元従業員による578百万円の窃盗事案が報道されており、同社のホームページでもそれを裏付けるプレスリリースが掲載されている。
それによれば、元幹部社員による実体のない会社への業務委託費の支払いが2014年7月から2018年10月の間で積もり積もって、架空の契約書に添付する印紙代の不正を併せ、合計578百万円になったということだ。事件は昨年起きていたのにマスコミに騒がれるまで発表しないという会社の姿勢も問題だ。
あまりに単純な不正に長い期間一部上場企業が気づかなかったことに驚きを禁じ得ない。「この会社は腐っている」というのが偽らざる印象だ。
筆者の経験では、いくつかの特徴的な要因が挙げられると思うので述べてみたい。
1.寄り合い所帯では内部統制が弱体化しがちだ
JDIは産業革新機構の主導のもとに日立、ソニー、東芝のディスプレイ部門が統合されて誕生し、2012年4月1日に事業活動を開始した。誕生時には、中小型液晶で世界シェア1位の「日の丸液晶」パネルメーカーが誕生したと喧伝されたものだ。
このような寄り合い所帯では、特に営業面で大きなプレッシャーを受けている会社では、内部管理部門は2の次にされがちだ。3社から担当者が来て話をして落ち着き場所は一番緩い統制だ。寄り合い所帯であるそもそものJDIの成り立ちに事故の萌芽があると思える。
2.業績が悪化すると内部統制は弱体化する
JDIは最近の5年間ずっと赤字だった。このような状態になると管理部門での人員は減らされ、ダブルチェックが効かなくなる。おそらく元幹部は一人で業務委託を決裁し支払いを承認する立場に長年いたのだろう。
・取引先の実体確認・取引開始の承認
・取引先の信用確認・取引限度額の設定 といった普通の会社で普通にしていることを行わず、誰からのチェックも受けずに架空の会社に自由に支払いをすることにより私腹を肥やすことが出来たのだろう。
業績の良い会社はダブルチェックに注意を払う余裕がある。業績の悪いJDIにはそれが無かった。
3.何事も内部統制の不備のせいにする
この事件が起きた原因についてJDIは、「当社では、従前より内部統制の強化に取り組んでまいりましたが、本件のような不正行為を把 握することができなかったことは誠に遺憾であります」として内部統制の不備を理由にしている。
「内部統制が不備だったので不正が起きた」というのは「試験が出来なかったので落第した」というのと同じで、何の説明にならない戯言だ。
内部統制が機能するには、5つの構成要素(統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリグ)が整備され機能することが必要だ。
構成要素のどこに問題があるかかぎ分けて改善しなければ、同じ誤りを繰り返し、
落第を繰り返すことになるのだ。
(内部統制の整備については回を改めて説明したい)
日本の一流企業での不正事件には本当にがっかりだ。出資を見送った中台連合はこのことを知っていたのだろうか。追加出資するというアップルはどうなのだろうか。
JDIにはしっかり足元を固め再建を期待したい。
(2019.11.21)
Leadership by Lao Tzu (老子)
As for the best leaders, the people do not notice their existence.
The next best, the people honor and praise.
The next, the people fear;
and the next, the people hate…
When the best leader’s work is done the people say,
“We did it ourselves!”
(2019.11.18)
ベルリンの壁崩壊から30年
ベルリンの壁崩壊から30年
1989年11月9日はベルリンの壁が崩壊した日。ドイツでの式典を映すテレビを見ながら、あの頃自分は何をしていたのかを思い起こす。はて、自分は何をしていたのだろうか。
1989年5月に3年間赴任していたタイから帰国して銀行の資本市場部に配属され、海外に新規に証券ビジネス拠点を作る仕事をしていた。タイの3年間では、営業面で赫赫たる成果を上げていたと自負しており、自分は営業向きの人間だと思っていたので、またまた本部のデスクワークかよと、げんなりした記憶がある。
時はバブルの真っ盛り。家を買おうかと検討したが、猫の額にポチの家のような物件が1億円もしてとても手が出ずあきらめた。株価はうなぎのぼり。89年末に日経平均終値の史上最高値である38,915円を付けたのはご高尚のとおり。あの頃は証券会社や有名な経済評論家の誰もが60,000円は目前などとはやしたてていたのだから、人間の予知能力は知れたものだ。
ベルリンの壁崩壊のまえにソ連の崩壊があり、東欧のソ連の衛星国の民主化があった。これからは「世界中で、自由と民主主義を基礎とする、グローバリゼーションが進展する」ということに誰も疑いを抱かなかった。バブルで湧く日本では、日本経済のますますの拡大に疑問を抱かなかった。
いま思い返してみると、1989年は政治の転換点だけでなく経済の転換点でもあったのだ。日本は1986年のプラザ合意による円高を契機に、実力以上に贅肉をつけすぎたのだろう。碁で言えば、ほしくもない石を取らされて喜んでいたのだ。
日本はある程度の制限がある中でちまちまとした勝負では力を発揮する。制限が外れたグローバリズムと新自由主義の世界では力を発揮しにくい。当時は「都銀13行は1行たりともつぶさせない」と大蔵省は言っていた。電器産業でも10社程度が同じような製品を作って存続していた。いまでは、そのうちの何社が国際競争力を維持して生き残っているだろうか。
大きな変化の一歩が1989年だったが、将来を見通せる人は自分を含め日本には居なかった。
(2019.11.11)
大統領の弾劾に出てくる言葉
CNNのAnderson Cooperを愛聴しているのは前回のブログで書きました。今日は、その中で何度も出てくる言葉をピックアップしてみたいと思います。
impeachment: 弾劾
the state of being liable to impeachment
弾劾を受けやすい状況
testimony: 証言
give testimony in court
法廷で証言する
subpoena: 召喚状 発音難しい:サピーナ
a subpoena of the accused
被告人に対する召喚状
quid pro quo: 代償、見返り
as a quid pro quo for …
…に対する見返りに
弾劾すべきかどうかについてについて国論が二分しているのは前回のブログに書いた通り。
(2019.11.6)