ニューヨーク・タイムズ電子版より
今日の一言:
「二つの日本病」
東大の渡辺努教授(日銀の黒田総裁に消費者の値上げ耐久力で引用された論文の著者)の指摘する二つの日本病は、「慢性デフレ」と「急性インフレ」。確かに大きな課題だ。簡単に解決できるとも思えないが、教授の処方箋はこうだ。
「日本企業の多くは商品やサービスに同じ価格を過去30年にわたり付け続けてきた。この慣行が、賃金が安く物価も安いバランスを永続させてきた。海外発のインフレが「物価高・賃金高」をもたらすチャンスが出てきた。企業は思い切って価格を挙げ、賃金を上げることが可能になる。政府としては価格補助金でなく所得税の減税で消費者を支援するべきだ。」
説得力のある論考かと思うので紹介した。
1.より強力なNATOが出現
【記事要旨】
マドリッドでの首脳会談でNATOはロシアを主敵と、中国を戦略的チャレンジと位置付けた。冷戦後長らくロシア敵視はせず中国は興味の対象外だった状況から大きな転換。フィンランドとスウェーデンの参加を正式に招請した。事務総長は東に位置する8か国でNATOの軍備強化の発言。トルコは2か国の参加反対を撤回し米はトルコへのF-16の売却へ動く。
【コメント】
軍備での同盟関係強化は無法なロシアに対抗するには不可避の選択だろう。ただし、外交の努力やしたたかさがそれ以上に重要だと思われる。日本はロシアや中国との関係には特に慎重であるべきだ。
2.上海でのロックダウンの影
【記事要旨】
市民生活は正常に戻りつつあるが2か月のロックダウンが与えた市民への心の影響は大きい。精神的なカウンセリングは前年比3倍になり市民の40%は鬱状態との統計もある。政府のゼロコロナ政策堅持により上海では7月末まで全地域での週末PCR検査が継続される。マカオは患者急増でロックダウン。
【コメント】
2か月家の中に閉じ込められていれば精神的な影響は大きいだろう。近くのコンビニに行く。本屋で本をパラパラ見る。こうした日常がとても貴重だとわかる。
3.インドでの騒乱が拡大
【記事要旨】
二人のムスリムがムハンマドを侮辱したヒンズー教徒の洋服屋を虐殺する画像がインド中に拡散される。モディ首相の女性報道官がムハンマドを侮辱するとムスリムが考えるコメントをしたことが今回の騒乱の発端。殺された洋服屋は女性報道官支援をアプリで表明していた。二人のムスリムは彼を殺害することで首相に抗議し次の目標は首相だと警告。
【コメント】
ヒンズーとイスラムの争いはインド建国以来の宿痾。純粋な一神教と極端な多神教で絶対に折り合えない。お互いに見下しあっており中道を選ぶことができない。
その他:
フィリピンでも言論弾圧か
The Philippine government ordered Rappler, the news site co-founded by the Nobel Peace Prize laureate Maria Ressa, to shut down for violating foreign ownership rules. Ressa vowed to appeal the decision.
スコットランドは分離へ国民投票
Scotland’s first minister announced plans for a referendum next year on Scottish independence, reviving the question over her country’s future.
中国へ情報流出を警戒
A U.S. official called for Google and Apple to remove TikTok from their app stores, citing concerns that the video app, which is Chinese owned, could send American data back to Beijing.
(2022年6月30日 木曜日)