世界の動き 2025年8月18日 月曜日

今日の一言
「キッシンジャー博士の慧眼」
キッシンジャーは100歳で2023年11月に亡くなった。彼が最晩年に力を振り絞って行ったウクライナ和平の提言がある。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻の初期段階においてキッシンジャーは停戦計画を提唱し、大きな注目を集め、議論を巻き起こした。彼の2022年5月の提案は、以下の主要な点を掲げていた。
• ロシアは、2022年2月24日の本格侵攻以前に存在していた最前線(すなわち、今回の攻勢以前のいわゆる「接触線」)まで部隊を撤退させるべきである。
• ロシアが2014年に併合したクリミアの将来の地位については、停戦協定の中で直ちに決定されるべきではなく、別途交渉されるべきである。
このアプローチは、少なくとも更なる交渉が行われるまでは、ウクライナがクリミアとドンバスの一部に対するロシアの支配を一時的に受け入れることを意味する。
キッシンジャーはこれを、当面の戦闘を停止させ、より包括的な協議への道を開く現実的な方法だと考えていた。キッシンジャーは、交渉なしに紛争を長期化させれば、より大規模な戦争へとエスカレートする可能性があると懸念を表明した。
しかし、彼の計画は、ウクライナ領土を犠牲にして平和を実現するという「宥和政策」を示唆しているように思われるとして、ウクライナと西側諸国から激しく批判された。ウクライナの指導者たちは、いかなる領土の譲渡にも断固として反対し、クリミアとドンバスを含むロシアの完全撤退こそが公正な平和の実現に必要だと主張した。
ドローンがこれだけ安価に製造できる時代になると、ロシアがウクライナへの攻勢を弱める可能性は低く、いつまでもロシアの殺戮が続く可能性が大だ。ウクライナがロシア国内への長距離攻撃能力を拡大すればロシアは核兵器の使用をちらつかせることになる。そういった意味では我々は第三次世界大戦のとば口にある。
トランプの提唱する今回のディールは、キッシンジャーのプランの焼き直しだ。しかし、開戦当初も今も、これ以上の惨禍を防ぐ唯一の方法に思える。博士の慧眼に思いを致す。
ところで、キッシンジャー博士とはニューヨークの街角ですれ違ったことがある。ブランド商品のディスカウントショップの回転ドアで、入ろうとする私と出ようとする博士の視線があった。背丈は私と同じくらい。恰幅がよく、眼光の鋭い紳士だった。

ニューヨークタイムズ電子版より(今日から以前のTop3記事で配信しています)
1.ウクライナとEU首脳がホワイトハウスを訪問
【記事要旨】
ウクライナのゼレンスキー大統領は本日、トランプ大統領と会談する予定です。この会談は、トランプ大統領がロシアのプーチン大統領と会談し、同盟国との交渉を決裂し、プーチンの提案する和平案を支持した直後に行われました。この和平案は、ウクライナに相当量の領土を割譲させるものだ。
ドイツのメルツ首相、フランスのマクロン大統領、英国のスターマー首相を含む欧州の首脳は、ゼレンスキー大統領に同調し、連帯を示すと述べた。
金曜日にアラスカで行われたトランプ大統領とプーチン大統領の友好的な会談は、ウクライナと欧州同盟国にとって痛手となった。しかし、キエフにはわずかな希望の光が残った。それは、将来のロシアの侵略を抑止するために、ウクライナに安全保障上の保証を与えるという米国の提案です。
背景:ロシアの戦争終結に向けた提案は、ウクライナに対し、東部のロシア語圏工業地帯であるドンバス地方を放棄するよう説得することに重点を置いている。
現地の状況:ロシアの空爆によって故郷を追われたウクライナ人は、トランプ・プーチン首脳会談を侮辱だと非難した。
【コメント】
キッシンジャーの慧眼に私の考えは述べています。

2.米国、ガザ地区への医療ビザ発給を停止
【記事要旨】
トランプ政権は、ガザ地区出身者への訪問ビザの発給を停止したと発表した。これは、重篤な症状を抱える幼児を含む、米国で医療を求める人々にとって痛手だ。
この動きは、右翼活動家ローラ・ルーマー氏による激しいロビー活動を受けて行われた。ルーマーは、SNSへの投稿で、ガザ地区からの航空機を「国家安全保障上の脅威」と非難した。ルーマー氏はトランプ政権の決定において並外れた影響力を行使している。
オハイオ州に拠点を置く、パレスチナ人の家族と子供たちを支援する団体は、今月、ガザ地区で手足を失った11人の子供たちを米国の病院に避難させるため、このビザを利用したと発表した。
イスラエル:軍が攻勢拡大の準備を進める中、数十万人がガザ地区で即時停戦と人質解放を求めて抗議活動を行った。
【コメント】
極右の活動家として知られるインフルエンサーのローラ・ルーマー(31)はトランプに強い影響力を持つ。同氏)からの助言を受け、今年4月には、国家安全保障会議(NSC)の数人の職員と米サイバー軍のトップが解任された。

3.ボリビアの幻の大統領候補
【記事要旨】
エボ・モラレス前大統領は出馬を禁じられ、15歳の少女を妊娠させた容疑で告発されているものの、依然として選挙結果に影響を与えようとしている。同氏は、ボリビア国民が大統領選挙の第1回投票を行う中、森の中の別荘で影の選挙活動を展開している。
忠実な支持者に囲まれたモラレス氏は、支持者に対し抗議として無効票を投じるよう呼びかけている。かつての左派の同盟者たちは、この戦術は、中道右派の実業家サミュエル・ドリア・メディナ氏、あるいは保守派のホルヘ・「トゥト」・キロガ元大統領に有利に働く可能性があると指摘する。
背景:ボリビア初の先住民指導者であるモラレス氏は、疎外されたボリビア国民に発言権を与えることで、政治情勢を一変させた。しかし、4期目を目指した彼の試みは、混乱と一時的な亡命という形で幕を閉じた。
【コメント】
ボリビアといってもどこにあるか知る人は少ないだろう。地理に太平洋への出口を塞がれた内陸国で首都ラパスは高度3600メートルにある世界最高の首都だ。
近時はウユニ塩湖で日本でも知られるようになった。歴史を見ると革命、暴動、動乱が継続し、豊富な資源を生かせない「玉座に座る貧民」という言い方があるそうだ。

その他の記事
カナダ:ストライキ中のエア・カナダの客室乗務員は、交通混乱が続く中、裁判所の職場復帰命令に従わないと表明した。
パキスタン:鉄砲水により1日で少なくとも194人が死亡し、壊滅的なモンスーンシーズンによる死者数は増加の一途を辿っている。
トルコ:数十人の野党幹部が汚職容疑で逮捕された。批評家はこれをレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領による政治的弾圧だと非難している。

プラスチック:世界的なプラスチック汚染防止条約をめぐる交渉は、米国を含む石油生産国の反対により決裂した。
米国:抗議者たちは、トランプ大統領による州兵派遣に反対する平和的なデモを行い、ワシントンD.C.の路上を埋め尽くした。

2025年8月18日 月曜日

戦後80年の時代認識

 寺島実郎氏によると現在は100年前の第一次世界大戦終結直後に類似しているそうだ。同氏の主張する1920年代と現代の共通点を以下に要約する。
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・アメリカの内向き志向と「アメリカファースト」
 第一次世界大戦後、アメリカは大きな犠牲を払いながら欧州に兵を派遣するが、戦争への反感や内向的な気運が国内で高まり、ウッドロー・ウィルソン大統領が提唱した国際連盟構想にも最終的に米国自身は加盟しなかった。その後、共和党政権が三代続き、当時のスローガンが「アメリカファースト」だった点は、今日のトランプ政権および現代アメリカにも通じる。
・資本主義の繁栄と「貯蓄から投資へ」
 1920年代の米国は大量生産・大量消費社会が隆盛し、自動車を中心とした消費拡大が経済成長を牽引した。フォーディズムの台頭や「貯蓄から投資へ」というキャッチフレーズも当時の特徴であり、現代のデジタル資本主義や金融資本主義のような米国経済の構造と重なる。
・歴史の教訓と警告
 第一次大戦後は国際協調の理想(国際連盟)も挫折し、各国が内向きになり、経済的にもブロック化が進んだ。寺島氏は、現代も米中対立や新たな分断、難民問題など「内向き」や「分断」の潮流が強まりつつあり、100年前の空気が現代に再現しつつあると警告している。
・次の危機への懸念
 1920年代の繁栄の果てに襲ったのが1929年の世界大恐慌だった。寺島氏は、現在のデジタル資本主義や分断された国際秩序も、同様に大きなリスクを孕んでいるとみている。
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 日米の株式市場は最高値を更新中だが、寺島氏のアナロジーで行けば、1929年の世界大恐慌に匹敵する激震が市場を襲うことになるのだろうか。

 また、強権中国の拡大と、自国利益中心主義の米国と対峙してゆくにはどうしたらよいのだろうか。

 以下は、寺島氏の分析を基に、AIとの会話で導き出した結論だ。
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【具体的な政策提言】
経済安全保障の実態重視
 食料、エネルギー、技術など国民生活の基盤となるリソース調達の多角化や強化。単なる「中国封じ込め」論に流されず、冷静に自国経済の強靭化と本質的安全保障を追求すること。
 特に日本が緊密な関係を築くべきアジア諸国は、中国と緊密な経済関係にあるので、単純な中国敵視が受け入れられるはずがない。

国際ルール形成への積極参画
 一方的な対立に乗るのではなく、国際秩序づくりやルール作り(環境政策、データ流通、人権など)に日本が主体的に関与することで影響力を高めていく。米中両国が事実上協力・競争する場面では、日本も独自の価値観や基準を提案できるポジションを取る。

「全体知」に基づく戦略的判断
 通俗的な「米中冷戦」論や、米国への過剰依存、感情的敵対に陥らず、状況全体を俯瞰する知見の構築と、それに基づく外交・経済政策の体系化(DX・産業競争力強化、アジア基軸技術への投資など)。
 日本の影響力が強いアジア開発銀行や日本のODAを国家戦略を支える形で活用すべきだ。

アジアでの責任あるプレゼンス確保
 日本は民主主義・技術・産業力・ソフトパワーを武器に、アジア太平洋地域における安定、安全、持続可能な発展に具体的な貢献を増やす。また、「米中のどちらにつくか」という単純な選択ではなく、独自外交の余地を最大限活用し、アジア地域のリーダーとして実質的な信頼と影響力を培う例として医療・環境・インフラ支援を行う。
 アジアで唯一の安定した自由民主主義大国として強権中国への歯止め役の機能を果たすべきだ。

対中国・対米国との実際的な向き合い方
・米中の「本音」と綱引き構造を正確に見抜く
 米国は中国を封じ込める以上に、アジアでの影響力を最大化しつつ、両者をバランスよく動かす外交を展開している。日本はこの現実を理解し、米中の「覇権争い」イメージに流されず、長期的な国益と地域安定を最優先に。
・イデオロギー対立からの脱却
 「民主主義vs権威主義」という単純な二分法に依存せず、状況に応じて実利・国益を重視し、必要であれば対話・協調路線も柔軟に取り入れる。対米依存一辺倒、過剰な対中警戒ではなく、多角的な選択肢を持ち続ける。

危機管理体制の拡充と国民合意
 安全保障/外交政策は国民的コンセンサスと透明性が強く求められる分野だ。合意形成のためには、国民的対話を通じた質の高い政策意思決定が不可欠だ。
 国防予算は現状中国の10分の1で、GDP比2%になっても5分の1に過ぎない。エマニュアル・トッドではないが、核武装の是非についてもどこかで議論を始めることが必要だ。
 トランプの米国が安定性と信頼性が欠ける中、日本はAUKUS(豪英米)に加わり安全保障体制を強化することが第一歩になるだろう。

2025年8月17日 日曜日

ポーランド旅行

8月上旬に1週間のポーランドツアーに参加した。往復LOT(ポーランド航空)のワルシャワ直行便で楽だった。飛行機は、成田ー北京ーウルムチーバクーー黒海を回り込んでーワルシャワという経路で約14時間、飛行した。機内画面の航路図ではドンバス上空を通る経路が示されたが、ロシアの領土を避け、黒海も避けたルートだった。

クラクフ、アウシュビッツ、ワルシャワと一筆書きで動くコンパクトな旅だった。最高気温が26度ぐらいで湿度が低く快適な気候だった。ポーランドは国土の広さは日本の5分の4。人口は3800万人。一人当たりGDPは25000ドルで、日本の33000ドルに近付いている。

旅で一番印象に残ったのはアウシュビッツ訪問だった。アウシュビッツはドイツ人が設置した最大規模の強制収容所で、火葬場、絶滅収容所、および強制労働収容所がある強制収容所の集合体だった。クラクフ近郊にあったポーランド陸軍の兵舎を改造した捕虜収容所が、ユダヤ人を抹殺する施設へ拡大していったものだ。現在は、アウシュビッツ第1強制収容所、アウシュビッツ第2強制収容所(ビルケナウ)が見学の対象になり、言語別ツアー専門のガイドさんが案内してくれる。日本人の訪問者はコロナ前が年間32000人ほど。今は8000人ほどに減少しているとのことだ。

収容されていたユダヤ人の10人中9人、100万人を超える人々がアウシュビッツで命を失った。4つの巨大なガス室は、それぞれ同時に2,000人が入れた。シャワーを浴びさせるという名目で裸にして毒ガスで殺害しすぐに遺体を焼却した。

収容所の入り口に掲げられている看板には「ARBEIT MACHT FREI」と書かれている。これは「働けば自由になる」という意味だが、実際は、その全く逆で、貨車で送り込まれた大量のユダヤ人で強制労働に耐えられそうな者を除き、ほとんどのユダヤ人はすぐにガス室に送られた。

ナチスによるユダヤ人抹殺の狂気はヒトラー個人の思想を基にするものだったが、大量虐殺を実施したのはナチス党の幹部とそれに従う官僚機構だった。

「関心領域」という映画で扱われたルドルフ・ヘスというアウシュビッツ所長の住宅が残っている。彼は、官僚として大量のユダヤ人の処理を何のためらいもなく粛々と実行したのだ。人間の大衆心理による狂気は動き始めたら止めるのは困難だ。ドイツの現政権が、極右のAfDの台頭に神経をそばだてるのは理解できる気がした。

さて、ポーランドの3大偉人は、ショパン、キュリー夫人、コペルニクス。ワルシャワではショパンの心臓が収められている教会を見、公園でオープンコンサートを見、郊外の生家を訪ねた。

英語のジョークで「世界で最も短い3冊の本は何だ」というのがある。正解は、

Polish Who’s Who
Italian War Hero
Jewish Work Ethics

というのだが、ポーランドの偉人3人は凄い。日本でこれに匹敵する偉人としては誰を挙げられるだろうか。

ポーランドの夏を楽しんで、ワルシャワ・ショパン空港から帰路についた。

2025年8月16日 土曜日

世界の動き 2025年8月15日 火曜日

今日の一言
「8月は 6日9日 15日」
 毎年8月になると先の大戦を思い出す報道が並ぶ。今日15日は戦没者を慰霊する特別な日だ。
 ほとんどの報道が、戦争の悲惨さを語り、生存者の声を伝える情緒的な内容だ。
 先の大戦への日本の参戦は、八方ふさがりの国情を打開するために軍部・政府そして国民が打った大きな博打という要素が多かった。
 現在の我が国を取り囲む情勢は「新たな戦前」と言われるほど厳しい。いまわれわれが何をすべきかは週末に考えたい。今日は、しばし黙祷。

世界の動き
ニューヨークタイムズ電子版より
1.ウクライナの運命はアラスカで決まるのか?
【長文記事】
 トランプ氏とプーチン大統領は本日、ウクライナ戦争の今後について協議するためアラスカで会談する。ウクライナ側からは誰も出席していない。
 事態は流動的ではなく戦線はここ数年ほとんど動いていない。ロシアとウクライナの目的は変わっていない。
 しかし、トランプ氏が何をするかは誰にも分からない。過去7ヶ月間、彼の戦争に関する立場は大きく揺れ動いた。大統領執務室でウクライナのゼレンスキー大統領を侮辱し、プーチン大統領の「戯言」を批判し、モスクワへの制裁をちらつかせた。
 先週、トランプ氏はロシア大統領と長らく待ち望まれていた一対一の会談を突然実現させたが、ゼレンスキー大統領を招待リストから外した。ウクライナとそのヨーロッパの同盟国は、トランプ氏がプーチン大統領と取引をすることを懸念している。
 この戦争を理解するためのいくつかの方法を挙げよう。
 誰が勝っているのか? 2022年にウクライナが装備不足のロシア軍を壊滅させた後、プーチン大統領は自国を戦争に備えさせるべく再構築した。ロシアは新規兵士の募集に巨額の資金を投じ、イラン製ドローンにも多額の投資を行った。プーチン大統領は自国の兵士を犠牲にすることをいとわず、ウクライナの約2倍の犠牲者を出している。苛酷な消耗戦が今やロシアに有利に働いている。
 ウクライナは依然としてロシアに打撃を与えることができる。資金と兵士の不足をドローン戦がいかに補えるかを示した。ロシアの奥深くに数十億ドルの損害をもたらしたウクライナの奇襲攻撃「スパイダーズ・ウェブ作戦」では使用されたドローンの価格はわずか600ドルだった。
 トランプとプーチンの関係:トランプはロシア大統領を高く評価しているようだ。これは、彼が強権政治家を一般的に称賛していることを反映している。彼は、ロシアの干渉が2016年の大統領選での自身の勝利を後押ししたという非難に依然として憤慨している。トランプ氏が『ロシア捏造Russia hoax』と呼ぶものに対する彼の怒りは何年もくすぶり、今ではプーチン氏を被害者意識を持つ味方と見なしている。
 戦争を変えた戦争:数千機のドローンがウクライナ(そして時にはロシア)上空を殺戮の実験場と化した。この戦争は、誰がこの紛争を、そしておそらくはその後のあらゆる紛争を制するかを競うダーウィン的な競争を促した。
 人的損失:この戦争は世界政治を一変させたが、実際に戦っているのは生身の人間だ。100万人以上のロシア兵とウクライナ兵が殺害または重傷を負った。民間人も悲惨な被害を受けた。Timesのフォトジャーナリストたちは、ロシア軍の進撃から逃れる避難民、戦闘に復帰した重傷を負ったウクライナ兵、そしてロシアの激化する攻撃による血なまぐさい犠牲者を取材してきた。
【コメント】
 So what?という内容の記事だ。この記事の内容の殆どを読者は理解しているだろう。会談の結果の可能性やその後の両国の政策展開についての洞察が欲しかった。

2.ガザ地区への物資供給は増加しているが、まだ十分ではない
【記事要旨】
 ガザ地区への支援物資輸送を調整しているイスラエルの機関は、ここ数日、毎日約300台のトラックがガザ地区に入り、食料価格が下落していると述べた。
 しかし、人道支援団体と国連は、これではまだ十分ではないと指摘する。多くのトラックが目的地に到着する前に、困窮した人々や武装勢力に阻止されている。また、ガザ地区へのルートが限られていることや、イスラエルの検問所での長時間の待ち時間なども障害になっている。
 関連記事:世界がガザ地区に注目する中、ヨルダン川西岸地区の過激派入植者たちは、1967年のイスラエルによる同地区占領以来、最も暴力的で効果的な脅迫と土地収奪作戦の一つを展開している。私たちの報道によると、覆面をした入植者たちは、通常、真夜中にパレスチナ人の村に忍び込み、車両や建物に放火している。
【コメント】
 ガザが少し落ち着いたと思ったら、ヨルダン河西岸がきな臭いようだ。イスラエルの武力を使った拡張主義はとどまるところを知らない。

その他の記事
スーダン:戦争と避難により、同国ではここ数年で最悪のコレラ流行が発生している。
インド:インド領カシミールの巡礼路で発生した突発的な洪水により、数十人が死亡、数百人が行方不明となっている。
カナダ:エア・カナダは昨日、客室乗務員によるストライキの可能性に備えて、運航停止措置を開始した。

貿易:トランプ大統領が計画している関税は、長年にわたり米国の製薬会社が税制優遇措置を受けてきたアイルランドの医薬品産業の中心地を脅かす。

2025年8月15日 金曜日

世界の動き 2025年8月14日 木曜日

今日の一言
「インドで成功する方法」
 McKinseyのニュースレターの記事だ。
 「豊富な人材、巨大な消費者市場、そして改善を続けるインフラを背景に、インドは急速にグローバルビジネスハブとして台頭しているが、インドで事業を設立または拡大しようとする企業は、複雑な規制、労働ストライキ、官僚主義といった特有の課題を乗り越えなければならない。McKinseyが成功している企業を分析した結果、以下の5つのアプローチが有効だと分かった。
•長期的な視点を持つ
•適切なリーダーを育成する
•現地の嗜好に合わせて製品をカスタマイズする
•事業を現地化する
•迅速に行動する
 こうしたアプローチでインドを単なる製造拠点ではなく、イノベーションと新製品開発の源泉することが可能だ。」
 結論は驚くほど平易だ。世界中で通用するアプローチだ。但し、それぞれを実際に実行するのは簡単ではない。また、日系企業の多くでは、インドの有力なパートナーと組むというのが第一ステップとなるが、McKinseyはその点は重視していない。

ニューヨークタイムズ電子版より
(Timesはニュースレターのフォーマットを変更する意向のようで、一つのテーマ(今日は「エアコン文化」)を長く取り上げるようです)
1.エアコンと文化戦争
【記事要旨】
 8月に入り、ヨーロッパは猛暑に見舞われている。今週はスペインとフランスの一部で気温が40度(華氏104度)を超えると予想されている。
 このような暑さになると、多くの人がエアコンに頼る。しかし、フランスではエアコンに対する感情が突如として政治的なリトマス試験紙となった。
 極右政党のマリーヌ・ル・ペン党首は先月、自身の政党が政権を握れば、全国に「大規模エアコン導入計画」を展開すると宣言しました。緑の党のマリーヌ・トンドリエ党首はこの提案を冷笑し、フランスは都市の「グリーン化」と建物のエネルギー効率向上に注力すべきだと提言した。
 保守系紙「ル・フィガロ」に掲載された論説記事は、エアコンを擁護するものだった。左派系リベラシオン紙は、この技術を「環境異常environmental aberation」と呼んだ。「エアコンは極右の産物なのか?」とあるトークショーは問いかけた。
 ひどくアメリカ的なアメニティ
長年、ヨーロッパの人々はエアコンを不必要な、そしてひどくアメリカ的なアメニティと見なしてきました。しかし、時代は急速に変化しています。
 EUの宇宙計画の一部であるコペルニクスのデータによると、ヨーロッパの多くの地域で40年前よりも長い猛暑を経験している。
 しかし、エアコンは依然として珍しい存在だ。イタリアでは、住宅の約半数、スペインでは約40%、フランスではわずか20~25%にしかエアコンが無い。
 フランスでエアコンを悪とみなす人々(主に左派)は、気候変動の原因を解決せず対処療法の例だ。エアコンは必要な人のために控えめに導入されるべきだと言う。それ以外の人々は、地球温暖化をさらに悪化させない解決策に焦点を当てるべきだと主張する。
 エアコンを支持する人々(主に右派)は、エアコンが不当に悪く言われている。フランスは電力の大部分をカーボンニュートラルな原子力エネルギーに依存している。エアコンから漏れる汚染ガスは少なくなっている。耐候性や断熱性の向上といった対策の効果には限界がある。と主張する。
 賛否両論の議論があるにもかかわらず、実際には幅広い合意が得られている。すべての家庭にエアコンを設置するよう強く求める人はほとんどいない。ほとんどの人は、老人ホーム、病院、学校といった施設にはエアコンが必要だと考えている。
 「ほとんどの人は中立的な立場です。」家庭の省エネ改修を支援するフランスのコンサルティング会社社長は「エアコンは便利なツールです。」と述べた。
 フランスでエアコンをめぐる白熱した議論は、先月の熱波後の数週間で気温が下がるにつれ、沈静化した。しかし、ヨーロッパの夏の暑さが増すにつれ、この問題は解決の兆しを見せていない。

猛暑に関するその他の情報:
・猛威を振るう山火事:アルバニア、ギリシャ、モンテネグロ、スペイン、トルコでは、消防士たちが鎮火に苦戦している。
・エアコン大国:アメリカ人の約90%が何らかのエアコンを使用しており、これは気候変動の原因であると同時に解決策でもある。
・フィードバックループ:世界の冷房用電力消費量は2050年までに倍増すると予測されており、温室効果ガス排出量の増加と地球温暖化のさらなる悪化につながる。
・「私たちは耐えているだけで、生きているわけではない」:気温が40度を超えるパキスタンのカラチでのある男性の一日だ。
【コメント】
 欧州の古いホテルでは冷房がないところが多い。これまではそれで済んでいたのだろうが、今後は無理だ。人間の生存のためにエアコンは必要だ。

2.トランプ・プーチン会談
【記事要旨】
 トランプ大統領は、明日アラスカで行われるプーチン大統領との会談でプーチン大統領が戦争停止に同意しない場合、モスクワは「非常に厳しい」結果に直面するだろうと述べた。
 トランプ大統領とのビデオ通話後、欧州各国首脳は、ウクライナへのいかなる和平案も停戦から始まるべきだという主張を含め、会談に向けた戦略を大統領と協議したと述べた。
【コメント】
 トランプのチームはイエスマンばかりで結局はトランプの独断で議論が終始することになるだろう。Let’s wait and see!

その他の記事
その他のニュース
イスラエル:軍参謀総長のエヤル・ザミール中将は、ガザ市制圧計画に反対したことで圧力が高まり、ある閣僚は解任の可能性を示唆した。
イギリス:J・D・ヴァンス副大統領は、反移民政党「改革U.K.」のナイジェル・ファラージ党首と会談した。
アメリカ:連邦控訴裁判所は、トランプ政権が数十億ドル規模の対外援助支出を拒否し続けることを承認した。

テクノロジー:企業はAIに数十億ドルを投入しているが、まだ成果は出ていない。
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野球:ドジャースのスーパースター、大谷翔平選手と代理人が、ハワイの2億4000万ドルの高級不動産プロジェクトをめぐって訴訟を起こされている。
【日本でも報道されている。以下中日スポーツより】
 『ドジャースの大谷翔平選手とネズ・バレロ代理人が、ハワイ島の「不動産開発プロジェクトを妨害した」として、不動産開発業者とブローカーから訴えを起こされた。11日(日本時間12日)、AP通信と米紙USAトゥデーが報じた。
 報道によれば、ハワイ州巡回裁判所に提出された訴状では、開発業者とブローカーはハワイ島ハプナ・コーストにおける2億4000万ドル(約355億円)規模の開発プロジェクトに11年間を費やした後、2023年に大谷選手を宣伝役として抜てきした。だが、ほどなくして同代理人がさまざまな譲歩を求めるようになり、それが実現しなければ大谷選手を広告塔から外すと脅したという。最終的に、同代理人は原告をプロジェクトから排除するよう要求し、実現させたと主張している。
  訴状は大谷選手と同代理人を「不法な妨害」と「不当な利益の獲得」で訴えており、「2人はプロジェクトにおける原告の役割を不安定化させ、最終的には崩壊させるためにセレブとしての影響力を利用した」「この訴訟が訴えているのは権力の乱用だ。被告らは脅迫や根拠がない法的主張をし、ビジネスパートナーに契約上の義務を裏切ることと、被告らが築き上げたプロジェクトそのものから排除されることを強要した。被告は行動の責任を負うべきであり、知名度と舞台裏で暗躍する代理人から守られるべきではない」と述べている。
 大谷は同プロジェクトの『最初の居住者』として広告塔を務め、24年のプレスリリースには「私にとって、ハワイは太平洋文化の美しい融合です。ここのマウナ・ケア・リゾートで、私は自分自身の天国を見つけました。2つの完璧なビーチ、2つの見事なゴルフコース、それだけでは言い切れません。私は私の住宅地を厳選し、そしてここに冬の家を建設中です。ここは特別な場所です。まもなく『わが家』と呼ぶ場所です」と記されている。』

2025年8月14日 木曜日