世界の動き 2025年5月16日 金曜日

今日の一言
「固定電話」
 2000年頃の話だ。住宅ローンの申請に際し固定電話が無いと認めない金融機関が多かった。携帯電話は、その人の信頼性を担保するものとしては、まだあまり信用されていなかったということだ。家に定着しきちんと固定電話を持つ人が信頼性が高いという判断だったのだろう。
 今では20-30代の家計では、固定電話を引いている人は10%を下回るそうだ。携帯で何でも解決できる時代に、固定電話の重要性が急落したということだ。
 毎日何度も掛かってくる詐欺電話も、固定電話を避ける大きな要因だ。街の公衆電話も姿を消している。時代はPhoneからMobileだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ウクライナ・ロシア協議は混乱に陥った
【記事要旨】
 ウクライナとロシアの代表団は昨日、3年ぶりとなる和平交渉のためトルコに到着したが、1日の大半を別々の都市で過ごし、そもそも会談が実現するかどうかも不透明だった。
 プーチン大統領は参加せず、中堅代表団をイスタンブールに派遣した。ウクライナのゼレンスキー大統領はトルコ大統領と会談するためアンカラを訪れ、国防相を筆頭とする縮小代表団をイスタンブールに派遣すると発表した。
 こうした状況に影を落としたのはトランプ大統領だ。彼は大統領専用機同乗していた記者団に対し、「プーチン大統領と私が合意するまで何も起こらない」と述べた。
 ロシアとウクライナの当局者は、何らかの形で協議は継続されるものの、本日まで延期される可能性を示唆した。
 背景:この混沌とし​​た外交の背景には、戦争終結をめぐるモスクワとキエフの大きな意見の相違がある。ゼレンスキー大統領は即時無条件停戦とそれに続く和平交渉を望んでいる。一方、戦場でロシアが優位に立っていると確信しているプーチン大統領は、自らの望みが叶うまでは戦闘を中止するつもりはない。
【コメント】
 プーチンのくせ球に、アメリカもウクライナも踊らされている印象だ。今回の交渉では何の進展も見られないだろう。

2.トランプ大統領、中東首脳に「もう説教はしない」と約束
【記事要旨】
 トランプ大統領は本日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで祝賀を受け、同国最高の文民栄誉賞を受賞した後、湾岸諸国での最後の1日を終える。
 トランプ大統領は、地域の首脳に対し、米国は国家建設と介入に終止符を打つと明言した後、ワシントンに戻る予定だ。サウジアラビアでは、米国はもはや「生き方についての説教」はしないと大々的に宣言した。
 トランプ大統領は湾岸諸国の平和と利益を重視する一方で、その発言は一部のアラブ諸国の聴衆に、人権侵害に対する米国の圧力が今後終了する可能性、そしてそれが自国にどのような影響を与えるかについて懸念を抱かせた。
 イラン:トランプ大統領は、政権が核合意締結に「近づいている」と述べた。
 テクノロジー:トランプ大統領は、アラブ首長国連邦(UAE)をAI大国へと変貌させる大規模キャンパス建設の契約を締結した。
【コメント】
 中東諸国は大事なお客様だから、政治体制や人権について上から目線でアドバイスはする立場にない、という声明だ。
 米国から何かを大量購入しておけば、トランプはご満悦だ。

3.イスラエルは、かつてガザ地区の人々が避難していたラファを破壊
【記事要旨】
 昨年、100万人のパレスチナ人が、ハマスとの戦争におけるイスラエルの爆撃の矢面から逃れるため、ガザ地区最南端の都市ラファに避難した。イスラエルがラファに侵攻した際、ラファの大部分は攻撃を免れた。
 しかし、もはやそうではない。3月の停戦解除以降、イスラエル軍はラファの広範囲を破壊した。タイムズ紙が分析した衛星画像と動画には、制御爆破や掘削機による建物の破壊の様子が映し出されている。新たな軍事施設も建設されている。
 現地では、ガザ保健省が発表したところによると、イスラエル軍の攻撃により、昨日ガザ地区全域で数十人が死亡した。
【コメント】
 何度も言うが、これはジェノサイドだ。イスラエルはガザ住民を抹殺しようとしている。

その他の記事
シリア:トランプ大統領が制裁解除を約束したことを受け、内戦中に国を離れた事業主たちは帰国の計画を立てている。マルコ・ルビオ国務長官はシリア外相と会談し、制裁解除に向けたロードマップについて協議した。
ポーランド:日曜日に始まる大統領選挙には、多くのことがかかっている。中道政権は、この合意がポピュリズムから国を遠ざける一助となることを期待している。

貿易とビジネス
インド:トランプ大統領は、インド政府が米国に「関税ゼロ」を課す用意があると示唆した。インドの外相は、両国はまだ交渉中だと述べた。
英国:米国との関税協定により、米国産食肉の英国への輸出が可能になる。しかし、英国の消費者は米国の食品生産に警戒感を抱いている。
セルビア:トランプ一家がベオグラードで進めている高級ホテル建設計画が、厄介な事態に陥っている。セルビア当局者が、合意における重要文書の偽造を認めた。

2025年5月16日 金曜日

世界の動き 2025年5月15日 木曜日

今日の一言
「コンプライアンス研修」
 兵庫県の斉藤知事が延び延びになっていたコンプライアンス研修を受講したそうだ。
 コンプライアンス研修とは、企業組織の法令遵守や倫理観を向上させるための従業員向けの研修だ。従業員のコンプライアンス意識を高め、組織全体で不正行為やリスクを防止することを目的としている。具体的には、労働法、情報セキュリティ、ハラスメント防止など、様々なテーマが取り上げられる。
 コンプライアンス研修の効果を上げるポイントは以下だ。
・定期的な研修: 法改正や企業の状況に合わせて、定期的に研修を行う必要がある。
・従業員の理解を深める: 研修の内容だけでなく、参加者の理解度を把握し、必要に応じてフォローアップを行う。
・研修後のフォローアップ: 研修で学んだことを実際に業務に活かせるように、社内制度や業務プロセスを見直す。
 いずれにしても、受講者にコンプライアンスを堅持する姿勢が無ければ研修は無意味だ。知事の姿勢は改まったのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領、新指導者と会談 シリアに希望
【記事要旨】
 シリアの人々は昨日、トランプ大統領の制裁解除の約束を祝福し、10年以上続いた戦争を経て生活が改善されることを期待した。給与は上がり、パンの値段は下がり、ガソリンも安くなるだろう。
 トランプ大統領は昨日、アハメド・アル・シャラ大統領と会談した。これはシリアが孤立から脱却しようとする中で、新たな節目となる出来事だった。両国首脳の会談は25年ぶりのことだ。
 サウジアラビア訪問中に行われた30分間の会談で、トランプ大統領はかつてアルカイダの支部を率いていたアル・シャラ大統領に対し、「この国で歴史的な偉業を成し遂げる機会を得た」と語ったと、ホワイトハウスの報告書は伝えている。カタールへ向かう大統領専用機エアフォースワンの機内で、トランプ大統領はアル・シャラ大統領を「若く魅力的な男。タフガイ。輝かしい過去、まさに輝かしい過去。戦士」と評した。
 湾岸地域訪問2日目、トランプ大統領は首都ドーハでカタール首長の歓迎を受け、車列を率いてラクダに乗った男たちの横を通り過ぎ た。
 合意:トランプ大統領は、カタール航空がボーイング社製ジェット機210機の購入に合意し、両国が防衛協力に関する声明に署名したと発表した。
【コメント】
 外交成果と自身の家族の実利を得てご満悦のトランプ大統領だ。

2.南アフリカの指導者が、米国へ渡航するアフリカーナーを批判
【記事要旨】
 南アのラマポーザ大統領は、米国へ渡航した南アフリカの白人は「臆病だ」と述べた。今週、数十人の南アフリカの白人が米国に到着し、さらに8,000人以上が米国への再定住に関心を示している。
 ラマポーザ大統領は火曜日、「彼らは南アフリカの問題解決を支援する義務から逃げている」と述べた。さらに、「逃げる者は臆病者だ」と付け加えた。
 政府は、アパルトヘイト時代にアフリカを支配した白人少数派であるアフリカーナーは難民資格を得るべきだとするトランプ政権の主張を強く否定した。
 背景:トランプ氏は長年、南アフリカの白人への虐待に関する陰謀論を広めてきた。南アフリカ生まれの彼の側近であるイーロン・マスク氏も、Xに関して同様の見解を示している。両者とも白人農民の命が危険にさらされていると主張しているが、その主張を裏付ける証拠はない。
【コメント】
 以下AIの分析だ。
 『南アフリカから白人が脱出するという現象は、アパルトヘイト崩壊後の南アフリカにおける政治的、経済的な不安定さ、人種差別、文化的な変化など、様々な要因が複合的に影響していると考えられます。これらの要因は、一部の白人を南アフリカを離れることを余儀なくし、南アフリカ社会に影響を与えました。』
 マンデラが目指した白人と黒人の融和と共存社会の実行は容易でない。トランプの主張にも一理あるのかも知れない。

3.キャシー、ショーン・コムズによる身体的虐待について証言
【記事要旨】
 キャシーとして知られる歌手カサンドラ・ベンチュラは、元恋人でレーベルのボスでもあるショーン・コムズの裁判で、2日連続で証言台に立ち、彼の意に反することへの恐怖の中で生きてきたと証言した。彼女は、コムズから頻繁に身体的虐待を受け、キャリアに傷をつけるような露骨なビデオを公開すると脅迫されて脅迫されたと述べた。
 ベンチュラは検察側の重要証人であり、検察側は、彼女ともう一人の女性が「フリークオフ」と呼ばれる薬物依存の長時間性行為を強要されたと主張している。コムズは性的人身売買と恐喝共謀罪で無罪を主張し、性行為は合意に基づいていたと述べた。
【コメント】
 音楽業界のドンを巡るおぞましい事件の概要があからさまになってきている。

その他の記事
ガザ:病院長は、イスラエル軍による夜間の攻撃で北部で数十人のパレスチナ人が死亡したと述べた。ハマス指導者ムハンマド・シンワル氏の安否は不明だ。仮にイスラエルがシンワル氏を殺害したとしても、事態の好転にはつながらない可能性がある。
中国:関税の撤回は首脳会談への道を開く可能性があるが、中国が領土主張を撤回することはないだろう。
科学者募集:オーストラリア、カナダ、そしてヨーロッパ諸国は、トランプ政権の予算削減によって取り残された研究者の誘致に取り組んでいます。

ロシア・ウクライナ関連:
・ヨーロッパ:ヨーロッパの商業貨物インフラへの損害を企てたとして、ウクライナ人男性3人がドイツとスイスで逮捕された。
・移民:政府の弁護士は裁判官に対し、トランプ政権が2022年にロシアから亡命したハーバード大学の科学者をロシアに強制送還する意向であると伝えた。
・ロシア:同国唯一の独立系選挙監視機関の責任者、グリゴリー・メルコニヤンツ氏に懲役5年の判決が下された。

テクノロジーとビジネス関連:
・AI:OpenAIは、AI搭載のコンピュータープログラミングツールWindsurfを約30億ドルで買収する交渉を行っている。
・ファッション:英国のブランド、バーバリーは、売上不振から黒字転換を目指し、最大1,700人の人員削減を行うと発表した。
・関税:トランプ大統領による中国への145%の関税が、米国へのTシャツ輸送に与えた大きな影響。

2025年5月15日 木曜日

世界の動き 2025年5月14日 水曜日

今日の一言
「債券投資」
 株式のボラティリティを避けるためには当然債券をポートフォリオに組み込むことが考えられる。これは個人でも機関投資家でも同様だ。
 日本生命はCLOの投資では従来AAA格の債券にしか投資して来なかったがAA格にまで拡大を検討しているそうだ。
 ブルームバーグのデータによると、米5年国債の利回り4.1%に対して、CLO流通市場での現在のAAA格の利回りは5.2%前後、AA格は5.6%前後、A格は6%を超える。こうした利回りの改善が大きな魅力だ。
 個人投資家にも参考になる動きだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエル軍当局者、ガザ地区が飢餓の瀬戸際にあると警告
【記事要旨】
 イスラエルは数ヶ月にわたり、ガザ地区の住民には十分な食糧があると公言してきたが、ここ数日、一部のイスラエル軍当局者が司令官に対し、数週間以内に広範囲にわたる飢餓が発生すると警告したと、イスラエル国防当局者3人が明らかにした。
 ガザ地区の人道状況を監視しているイスラエル軍当局者は、封鎖が速やかに解除されなければ、多くの地域で最低限の生活必需品を賄うための食糧が不足する可能性が高いと述べた。月曜日には、国連が支援する栄養失調監視イニシアチブも、ガザ地区で飢餓が差し迫っていると警告した。
 背景:イスラエル軍内部からの警告は、イスラエルの治安当局の一部が主要な援助団体と同じ結論に達していることを明らかにしている。
 今後の見通し:国防当局者3人によると、イスラエル軍指導部は状況の深刻さを認識し、ハマスを回避しながら援助物資の供給を再開する方法を検討している。
 地上では、イスラエルの戦闘機が昨日、ガザ地区南部のハンユニス市を爆撃し、同地区に残るハマスの最後の指導者の一人、ムハンマド・シンワル氏の殺害を試みた。
【コメント】
 イスラエル軍部の関係者がガザでの飢饉を警告したのが新しい展開だ。以前から人道団体や国連関連機関が警告し続けていたがついに飢饉が切迫したということだろう。
 炊き出しに群がる人々や子供の映像は悲惨だ。イスラエルの指導者はガザでホロコーストを実行する意向のように思われる。ナチスがユダヤ人を劣等民族を見做したように、今のイスラエルはガザの住民を劣等民族と見做しているのだ。

2.トランプ大統領、シリアに対する米国の大きな転換を発表
【記事要旨】
 トランプ大統領は、シリアに対する制裁解除を発表した翌日、本日サウジアラビアでシリアのアハメド・アル・シャラ大統領と会談する予定だ。
 この発表は、トランプ大統領の湾岸諸国歴訪の初日に行われた。サウジアラビアでは、大統領が盛大な歓迎を受けた。トランプ大統領は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子との会談後、シリアに対する制裁解除を決定したと述べた。
 「皇太子のためにできることは何でもする」と、トランプ大統領はリヤドで開催された投資フォーラムで述べた。制裁解除はシリアにとって大きな変化を意味する。14年近く続いた戦争からの復興を支援する国際的な援助と投資が可能になる。
 背景:米国は、2011年のシリア蜂起に対するバッシャール・アル=アサド大統領による残忍な弾圧を受け、シリアに制裁を課した。シリアの新指導者とアラブ諸国の同盟国は、制裁措置はもはや目的を失っていると主張した。
 初めての出来事:かつてアルカイダの支部を率いていたものの、自身のイメージを落ち着かせるために同組織との関係を断ったアル=シャラ氏にとって、トランプ大統領との会談は驚くべき転機となるだろう。
 取引:ホワイトハウスは、トランプ大統領がサウジアラビア政府および企業と6000億ドル規模の取引を確保したと発表したが詳細は曖昧だった。
【コメント】
 シリアへの制裁解除はアル=シャラ氏の不安定な新政権にとって大きな支援になりそうだ。ただ、トランプ氏が今後の展開を熟慮しての動きかどうかは不明だ。

3.ゼレンスキー大統領、トランプ大統領に和平交渉への出席を要請
【記事要旨】
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、トランプ大統領が月曜日に和平交渉への出席を表明したことを受け、トルコで行われる和平交渉に向け、明日会談を行うようトランプ大統領に要請した。ゼレンスキー大統領は、トランプ大統領が会談への出席を表明すれば、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にも同様の圧力がかかると考えていると述べた。
 クレムリンは、プーチン大統領が会談に出席するかどうかについてコメントを控えた。報道官は「大統領が適切と判断し次第、発表する」と述べた。
【コメント】
 プーチンの提案にウクライナと米国が前のめりになっている印象だ。期待しないで交渉の行方に注目したい。プーチンの求めるウクライナの非ナチ化要求に、米国はどうした対案を準備しているのだろうか。

その他の記事
旅行:国境での拘束とビザ発給の混乱により、海外からの旅行者が減少。米国は125億ドルの損失を被る可能性がある。
中国:習近平国家主席は北京でラテンアメリカ諸国の当局者に対し、技術協力の拡大を希望すると表明した。
マスク:テキサス州オースティンはかつてイーロン・マスク氏を歓迎した。しかし、彼が右傾化するにつれ、かつてリベラルで有名だったこの街も彼と共に右傾化し始めた。

ビジネス
日本:ホンダと日産は悲観的な利益見通しを発表したが、これは米国の関税に関連した数十億ドル規模の損失によって圧迫された。
ドイツ:調査によると、製造業は米国への投資から撤退しており、既に米国に投資している企業も将来に暗い見通しを抱いている。
宝飾品:世界最大の宝飾品ブランド、パンドラは、貿易戦争を乗り切るための「戦闘態勢」を整えていると述べた。

カナダ:ホンダは、人気車種「CR-V」の生産をオンタリオ州から米国工場に移管し、カナダで電気自動車とバッテリーを製造する110億ドル規模の計画を延期すると発表した。

2025年5月14日 水曜日

世界の動き 2025年5月13日 火曜日

今日の一言
「トランプ遊び」
 米中の関税合戦に一時的な合意が成立した。米国は30%へ中国は10%へ関税を引き下げるということだ。米国の30%のうち20%は合成麻薬の流入に関してのものだから、中国が何らかの処置を取れば、それも引き下げられる可能性がある。
 そうなると、米国の仮想敵国への関税が、同盟国への関税よりも低くなることになる。
 手札が揃わないのに掛け金を思い切り引き上げてブラフを掛ける下手なポーカープレイヤーのようだ。
 ホワイトハウスでのゼレンスキーとの会談でトランプは彼に「お前にはカードがない」と恐喝した。
 「カードがないのはお前じゃないか!」

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領の湾岸歴訪はビジネスが全て
【記事要旨】
 トランプ大統領は常に、大統領職を世界的な取引の探求だと考えてきた。本日、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦を4日間訪問する予定のトランプ大統領は、1兆ドルを超える規模の取引を発表したいと顧問らに伝えた。
 いかなる大戦略の代わりに、トランプ氏はアメリカの労働者の雇用を生むものとして一連の金融取引を推進するだろう。彼はサウジの指導者たちに米国に1兆ドルを投資するよう圧力をかけているが、経済学者たちはこの額はサウジの年間国内総生産全体に相当するため非現実的だと指摘している。
 トランプ氏の政策は、彼自身のビジネス計画の拡大と都合よく一致している。彼の家族は、サウジアラビアが過半数を所有する不動産会社との6件の取引、UAEとの暗号通貨取引、カタール政府の援助を受けたゴルフ場と高級ヴィラプロジェクトを交渉中だ。
 疑問の贈り物:カタール王室はトランプ大統領の支持を獲得するためにあらゆる手を尽くしており、エアフォースワンとして使えるよう改修される豪華なボーイング747-8型機を寄付として申し出ている。トランプ大統領は昨日、このような申し出を断るのは「愚か者」だけだと述べ、贈り物に関する倫理的な懸念を怒って無視した。
 ガザ:ハマスは昨日、ガザで人質にしていた最後のアメリカ人人質エダン・アレクサンダーを解放した。この行動は、戦争を終わらせる合意に対するアメリカの支持を確保するための試みだとした。

その他のトランプ関連ニュース:
・テクノロジー:トランプ政権は数百万台の AI の販売を検討している。米国が中国との関係を認めたアラブ首長国連邦の企業、G42にチップを供給した。
・イエメン:トランプ大統領はフーシ派民兵に対する勝利を突然宣言した。
・米国:トランプ家の暗号通貨の主要購入者は大統領との夕食会に招待される。米国の政策に影響を与えようとしてこのコンテストに参加した人もいる。
【コメント】
 トランプの優先順位は、自分の利益、家族の利益、彼の取り巻きの利益、選挙民からの支持。
 米国の国家としての利益を優先する姿勢は見られない。

2.米国と中国は一時的に関税を削減した
【記事要旨】
 米国と中国は昨日、それぞれの関税を90日間停止し、交渉を継続することで合意した。トランプ大統領は、今週中国の習近平国家主席と会談する予定だが、完全な合意にはしばらく時間がかかるだろうと述べた。
 全面的な貿易戦争のコストが世界経済を脅かす中、ホワイトハウスは譲歩したように見えた。これはトランプ大統領の貿易に対する積極的なアプローチの限界を示す一つの例だ。
 ジュネーブでの2日間の協議を経て、米国は中国からの輸入品に対する関税を145%から30%に引き下げることに合意し、中国も米国製品に対する輸入税を125%から10%に引き下げた。発表後、世界中の株価が急騰した。
 ラテンアメリカ:習近平国家主席は今週、ブラジル大統領と他の地域当局者を北京に招き、中国がその地域で確固たる足場を維持する意向を強調した。
【コメント】
 アメリカの独り相撲を面白く見た。
 中国の毅然とした態度にトランプが屈したのは明らかだ。世界中で中国が高く評価され、アメリカの権威は失墜した。米国民の多くはまだ目覚めないのだろうか。

3.EU、ロシアに停戦か制裁かの選択を迫る
【記事要旨】
 欧州各国首脳は昨日、クレムリンがウクライナにおける無条件停戦を受け入れない場合、ロシアに対し新たな制裁措置を科すと警告した。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアのプーチン大統領に対し、木曜日にトルコで会談を行うよう求めた。トランプ大統領は、会談に参加する可能性を示唆し、交渉の緊張を高めた。クレムリンは、トランプ大統領の出席の可能性について直ちに反応しなかった。
【コメント】
 トランプが参加すると、まとまるものもまとまらなくなることを懸念する。
 「成功すれば自分の手柄、失敗すれば他人のせい」という彼の姿勢としたり顔を見るのは沢山だ。

その他の記事
インド・パキスタン:国境沿いの状況は依然として不安定だが、停戦協定の重大な破綻の報告はなかった。両国の株価は急騰した。
米国:難民認定を受けた南アフリカの白人を乗せた最初の航空機が米国に到着した。トランプ大統領は彼らを「ジェノサイド」の犠牲者だと主張したが、これは警察の資料によって裏付けられていない。
フィリピン:人道に対する罪で拘束されているロドリゴ・ドゥテルテ前大統領は、ダバオ市長選で再選を果たした模様だ。

経済:英国は防衛費に数十億ポンドを追加支出しているが、この資金は苦境に立たされている地方自治体の復興にも役立つ可能性がある。
カリフォルニア州:ギャビン・ニューサム知事は、数百の市町村に対し、ホームレスキャンプを事実上禁止するよう要請した。
レオ14世記者会見:レオ14世は、記者会見で初めて記者団に対し、今日のメディア環境における激しい言論を冷静にするよう、ジャーナリストたちに訴えた。

2025年5月13日 火曜日

世界の動き 2025年5月12日 月曜日

今日の一言
「個人は米株式市場へ復帰」
 以下Bloombergの記事より
 『米株式相場は過去1カ月で目覚ましい回復を見せたが、牽引したのは幅広い銘柄に押し目買いを入れてきた個人投資家だ。一方で機関投資家は、景気減速や貿易戦争激化への懸念から株式を敬遠してきた。
  しかし、4月8日に底を打ってからの1カ月間でS&P500種株価指数が14%上昇する中、機関投資家の間でも市場に戻るべきかどうか、また戻るならどのタイミングが望ましいかとの議論が広がっている。』
  著名な機関投資家の中には、過剰な政府債務とトランプ関税が1930年代のような経済恐慌をもたらすと予言するものもいる。
  一方、ウクライナの停戦への動き、米中貿易交渉の進展、米英関税交渉の決着、インドのパキスタンの米国による紛争調停と、市場を取り巻く報道は明るいものが多い。
  今回は個人投資家の先行が成功する可能性が高そうだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.米国、中国との合意に向けて「進展」があったと発表
【記事要旨】
 ベッセント財務長官は昨日、ジュネーブでの週末の会合の後、米国は中国との協議で「大幅な進展」を見せており、詳細は今日発表されるだろうと述べた。
 ベッセント長官と共に協議に参加した米国通商代表部のグリア氏は、中国の貿易慣行に関する米国の国家安全保障上の懸念に対処するための何らかの「合意」が成立した可能性を示唆した。グリア氏は、両国が制裁関税の撤廃で合意したかどうかについては言及しなかった。
 中国の国営メディアによると、中国の経済政策担当副首相の何立峰氏は、協議は「率直で、綿密かつ建設的」だったと述べ、両国は経済・貿易問題を協議するための「協議メカニズム」を設置することで合意したと述べた。
 タイムズの貿易担当記者は、「米中間の貿易に依存する企業にとって、緊張の緩和はどんなものであれ朗報だ。しかし、たった2日間の会談に過度な期待を抱くのは控えたい。明日の成果として考えられるのは単に会談が増えるだけかもしれない」と述べた。
【コメント】
 ベッセント長官の発表を期待を以って待ちたい。

2.インドとパキスタンは停戦を維持
【記事要旨】
 インドとパキスタン間の停戦は、ほぼ維持されているように見えた。両国は4日間続いた紛争に勝利したと主張している。
 土曜日に当初は戦闘があったものの、トランプ大統領はその後、米国の仲介の助けを借りて両国が停戦に合意したと発表した。トランプ大統領は、両国との貿易を「大幅に」拡大し、カシミールをめぐる紛争の解決に向けて協力していくと付け加えた。
 パキスタンは米国の仲介を称賛したが、インドは当初、米国の関与について言及しなかった。その後、インド政府は米国当局者との協議を認めたものの、独自の判断を下したと述べた。
 銃撃戦:カシミールで生まれ育ったショーカット・ナンダ氏は、銃声を聞きながら育ったが、パキスタンとインドが戦闘を始めるまで、軍の爆撃下で夜を過ごしたことはなかった。
【コメント】
 トランプの仲介が有効であったかどうかにかかわらず停戦が成立したことは喜ばしい。

3.トランプ大統領とネタニヤフ首相の亀裂の兆候
【記事要旨】
 トランプ大統領は今週、初の主要外遊として中東を訪問する準備を進めているが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との間には、4月以降深まっている亀裂の兆候が見られている。
 2月には、フーシ派、イラン、ガザといった問題で両者の見解は一致していた。しかしその後、トランプ大統領はネタニヤフ首相がイランの核兵器能力の排除に向けた共同行動を希望していることを拒否した。さらにトランプ大統領は、フーシ派のミサイルがイスラエルの主要空港を攻撃した数日後に、フーシ派民兵に対し米軍の空爆を停止することで合意したと発表した。ガザ問題でも亀裂の兆候が見られる。
 ハマス:パレスチナ武装勢力は、ガザで捕らえられている最後の米国人、エダン・アレクサンダー氏を解放すると表明した。
【コメント】
 これまで一枚岩だったトランプとネタニヤフの関係が少しギクシャクしてきたのだろうか。
 しかし、ネタニヤフの訪米頻度には驚かされる。彼の腰の軽さと、そうした行動を好むトランプとの関係はまだまだ強固に思えるのだが。

その他の記事
ウクライナ:ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、トランプ大統領から即時停戦要求をまず棚上げするよう促された後、ロシアとの直接会談に出席することに同意した。
英国:過去1週間にわたる山火事は、スコットランド、ウェールズ、イングランドの森林地帯を焼き尽くした。
政治:トランプ大統領は、エアフォースワンとして使用する予定のカタール王室から高級ボーイング機を受け取る予定で、大きな倫理的問題を引き起こしている。

2025年5月12日 月曜日