世界の動き 2025年7月29日 火曜日

今日の一言
「スキルマトリクス」
 近年、上場企業で取締役会の「スキルマトリックス」を公表する動きがよく見られるようになった。スキルマトリックスは、各取締役が保有するスキルを可視化して示すことで、役員の総体としても能力を示し、会社経営の透明性を確保するなどの効果がある。
 どのような形でスキルマトリックスを作成するべきかは個々の会社によって異なるので、自社に合った形でのスキルマトリックスの作成・公表が必要だ。
 役員の名前をタテにとる。横軸には、企業経営、マーケティング・営業、財務・ファイナンス、IT・デジタル、人材・労務・人材開発、法務・リスクマネジメント、グローバル経験、といった項目が並ぶのが一般的だ。その会社の役員のスキルが一目瞭然となる。
 今、自民党の総裁を誰にするかでもめている。いろいろな候補がいるが、彼らのスキルマトリクスを図示するとどのようになるのだろうか。石破総裁は、企業経営、グローバル経営ではスキルがあるとは到底思えない。総裁候補の人たちを比べるのは面白いかもしれない。
 メディアの政治家の分析は、右か左か、財政規律へのスタンス、外国人問題、党内の支持層といった観点しかないので、物足りない。

 政治家にとっては「清廉潔白性」「言行一致」という資質も重要だろう。そういった観点も含んだスキル(資質)マトリクスを作ってみるも一興だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領、ガザ地区で「子どもたちに食料を与えなければならない」と発言
【記事要旨】
 トランプ大統領は昨日、ガザ地区では「真の飢餓」が起こっていると述べ、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が同地区には十分な食料があると主張したことに異議を唱えた。
 「これは真の飢餓だ。私は目の当たりにしており、偽ることはできない」と、スコットランドで英国のキール・スターマー首相と共に記者団に語ったトランプ大統領は述べた。「子どもたちに食料を与えなければならない」
 トランプ大統領の発言は、ガザ地区に関する注目すべき転換点となった。トランプ大統領は、現在の援助配給システムは非効率的だと批判し、より多くの食料配給所を設置したいと考えており、英国もその取り組みを支援すると付け加えた。
 国際機関、専門家、医師たちは、イスラエルが数ヶ月にわたって援助を制限している中で、ガザ地区全域に飢餓が広がっていると指摘しています。これまでトランプ大統領は、ガザ地区のパレスチナ人への支援を確保するためにアメリカの力を利用することに慎重な姿勢を示しており、食料の窃盗は主にハマスによるものだと非難しています。つい先日の日曜日にも、大統領はガザは「アメリカの問題ではなく、国際問題だ」と発言していた。

ガザについてさらに詳しく:
・イスラエルはガザを壊滅させたが、3月の停戦解除以降、ほとんど目標を達成していない。
・ガザでイスラエル政府が行っている残虐行為に対し、イスラエル国民の間で抗議の声が高まっている。
・イスラエルで最もよく知られている市民権団体であるベツェレムとイスラエル人権医師会は、イスラエルがガザでジェノサイドを犯していると主張した。
【コメント】
 またもメラニアさんの助言が効いたのかもしれない。トランプから人道的な発言を聞くのは初めてだ。

2.米EU貿易協定はヨーロッパにとって良いものなのか?
【記事要旨】
 米EU間の貿易協定は、まだ多くの詳細が詰められていないものの、反応はやや肯定的なものから露骨に批判的なものまで様々だ。ドイツの首相は慎重な支持を表明した一方、フランスの首相は協定の提出は「暗い日」を意味すると述べた。
 米国とEU27カ国は、年間約2兆ドルの物品・サービスを貿易している。協定の判断は時期尚早である可能性がある。15%の関税が免除されるEU製品のリストや、EU最大の輸出品である医薬品への影響といった具体的な事項はまだ決まっていない。
 この合意は確かに欧州経済の助けにはならないだろうが、ウクライナ紛争など、多くの欧州指導者を悩ませてきた外交問題へのトランプ大統領の関与を維持するだろうと見られる。
 中国との協議:米中両国は本日、スウェーデンで2日目の協議を開催し、4月に発表された関税再導入の期限である8月1日までに合意に達するよう努める予定だ。
【コメント】
 日米の合意のほぼ焼き写しだ。重要な細部が決まっていない点もそっくりだ。

3.カンボジアとタイ、戦闘停止で合意
【記事要旨】
 タイとカンボジアの首脳は昨日、少なくとも38人が死亡し、数十万人の民間人が避難を余儀なくされた国境紛争について停戦合意に達した。
 タイのプムタム・ウェチャヤチャイ首相代行とカンボジアのフン・マネト首相はマレーシアで握手した。両国の係争国境で木曜日に衝突が発生して以来、両国が直接会談するのは初めてとなる。暴力行為が鎮静化するかどうかは不透明だ。
 背景:この紛争の中心には、古代クメール文明にまで遡る共通の文化遺産を持つ民族がいる。
【コメント】
 共通文化遺産とはいうが、タイ語とカンボジア語は日本語と韓国語ほど異なる。

その他の記事
ロシア:トランプ大統領は、プーチン大統領に対し、ウクライナ紛争終結に10日から12日以内に応じなければ新たな制裁措置に直面すると述べた。
北朝鮮:北朝鮮の最高指導者であり兄でもある金正恩委員長の代理人を務める金与正氏は、韓国の新大統領による会談提案を拒否した。
中国:少林寺は、著名な住職である石永新氏が資金の不正使用と女性との「不適切な関係」の疑いで捜査を受けていると発表した。

健康:新たな研究によると、運動、適切な食事、脳トレ、社交といった健康的な活動を組み合わせることで、認知症のリスクがある人の認知能力が向上する可能性があるという。

2025年7月29日 火曜日

世界の動き 2025年7月28日

今日の言葉
「巨大な影響」
 トランプ関税の業績への影響を危惧する報道が多い。
 昨夜のTV番組では三菱自動車の業績を例に挙げていた。
 三菱自動車 2025年度第一四半期業績(2025年4月1日~6月30日)
売上高
2025年度Q1:6,090億円
前年同期(2024年度Q1):6,275億円
前年同期比:約2.9%減
営業利益
2025年度Q1:56億円
前年同期(2024年度Q1):355億円
前年同期比:84.1%減
 この営業減益の殆どはトランプの25%関税によるものだとの会社説明で、番組のコメンテーターも関税の「巨大な影響」を危惧していた。
 こんなに乱暴な議論があるのだろうか。
 三菱自動車は、米国での価格はどうしたのか。関税分の値上げをしたのか。関税分を米国での実質値下げて吸収したのか。日本からの輸出価格を引き下げたのか。
 詳しい分析が今こそ必要とされるのに、「巨大な影響」の一言で済まされている。
 そういえば、トランプ大統領は過大な形容詞を使う名手だ。tremendous success とか greatest deal とか。形容詞に惑わされず、物事の本質を見極めたい。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
(今日はウクライナに関する1本のみです)
ウクライナ国民が戦時中に抗議行動を起こした理由
 先週、数千人が街頭に繰り出し、ウクライナ政府が2つの汚職対策機関を機能不全に陥れようとしていることに抗議した。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は撤回を余儀なくされ、抗議行動は、今のところ勝利を収めている。
 この公然たる不満の表明は、ロシア侵攻以来維持されてきた戦時中の結束を損なうというタブーを破るものだった。しかし、Timesの同僚は、これらの抗議行動参加者にとって、ウクライナの民主的制度を守るための闘いは、そもそもそれがウクライナがロシアと戦っている根底にあるからだ。
 ウクライナは二つの戦争を戦っている。一つはロシアに対する戦争、もう一つは汚職に対する戦争だ。しかし、ある意味では、これらは同じ戦争、つまり民主主義のための戦争なのだ。
 怒りの一部は、ゼレンスキー大統領が裏切ったという思いから生じている。彼は2019年の選挙で反汚職キャンペーンを掲げて勝利した。そして先週、彼は汚職撲滅に取り組む二つの独立機関を政府の管理下に置く法案に署名した。これらの機関は、彼の政党の議員や閣僚を捜査していたのだ(ゼレンスキー大統領自身は捜査対象ではない)。
 しかし、怒りの一部は、政治問題としての汚職の影響力から生じている。ウクライナ人にとって、汚職は国の歴史と未来に深く関わる問題だ。
 最近の抗議活動がこれほどまでに重大に感じられる理由の一つは、同じマイダン広場で行われた2014年のデモを彷彿とさせるからだ。これらの抗議行動は、ウクライナとロシアの関係、そしてプーチン大統領の盟友であり、ウクライナが西欧諸国に接近することを決して許さないと明言していた当時のヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領への怒りが一因だった。
 しかし、同時に腐敗も問題だった。ヤヌコビッチ大統領自身の不正に得た富は、ウクライナの「盗賊政治」という評判を象徴するものだった。そして、ヨーロッパで最も腐敗した国として知られるウクライナは、誰が政権を握ろうとも、決してEU加盟を認められることはなかった。
 2014年のマイダン抗議行動は、ヤヌコビッチ大統領の失脚だけでなく、同年後半のロシアによるクリミア占領にもつながり、最終的には2022年の本格的な侵攻につながったと多くの人が主張しています。言い換えれば、良き統治を求める闘いが、ウクライナを今日の状況へと導いた一因となっているのだ。

「ウクライナはロシアとは違う」
 先週の抗議活動について読んだとき、私は有力ニュースサイト「ウクラインスカ・プラウダ」の編集長、セヴジル・ムサイエワのことを思い出した。昨年11月に会った時でさえ、ムサイエワはウクライナに残る「ソ連的本能」について彼女は語ってくれた。
 ジャーナリストとして、彼女はそれを身をもって体験してきた。ヤヌコビッチ政権時代から汚職を捜査してきたムサイエワは、前大統領の裕福な支持者の一人が勤務先のニュースメディアを買収したことで、最初の職を失った。ゼレンスキーが政権を握った時、彼女は希望を抱いていた。しかし、ロシアが侵攻し、国は立ち直った。しかし、汚職問題は依然として残っている。
 それが彼女にとってジレンマとなった。開戦から9ヶ月が経った時、ムサイエワと同僚たちは編集会議を開き、ウクライナの最前線地域の指導者による戦時中の不当利得に関する記事を掲載すべきかどうかを議論した。ロシアの侵略に直面し、西側諸国からの援助を必要としていた時期に、出版することは裏切り行為のように感じられた。しかし、ジャーナリストとして真実を報道する義務を感じたと彼女は語った。「ウクラインスカ・プラウダ」はウクライナの真実を意味する。このサイトがロシアで禁止されているのは偶然ではない。
 結果はすぐに現れた。ムサイエワ氏によると、ゼレンスキー政権は政治家に対し、彼女のジャーナリストと話すことを禁じ、広告主には他の媒体を利用するよう指示したという。タイムズ紙の同僚たちは、ウクライナのメディアに対する規制と圧力が強まっていると記事を書いている。
 ウクライナが最終的にロシアのようになってしまったら、戦争は無駄になるだろうとムサイエワ氏は述べた。「肝心なのは、ウクライナはロシアとは違うということです」と彼女は私に言った。
 先週、キエフやその他のウクライナの都市でデモを行った人々は、ムサイエワ氏と同じようなジレンマを経験していた。彼らは西側諸国の目が自分たちに向けられていることを知っていたのだ。彼らは彼女と同様に、ウクライナを守る最善の方法はウクライナの民主主義を守ることだと決断した。
【コメント】
 長文の記事だ。ロシアとの戦いと汚職との戦いはいずれも民主主義を守る戦いなのだと言う結論はNYタイムズ的だと思う。自由と民主主義が最高の価値を持つものなのだ。
 「機会があれば私腹を肥やしたい」というスラブ的な考えは歴史学者のエマニュエル・トッドなら、どのように分析するだろうか。

その他の記事
貿易
暫定合意:数週間にわたる緊迫した協議を経て、米国とEUはEU製品の大半に15%の基本関税を課すことで合意した。
詳細:トランプ大統領は、EUが7,500億ドル相当の米国エネルギー製品を購入し、対米投資を6,000億ドル以上増やすことで合意したと述べました。この合意は、世界で最も重要な経済関係の一つであるEUとEUの関係に一定の落ち着きをもたらし、貿易戦争の激化への懸念を和らげる可能性がある。
【コメント】
 結局WTOに違反するトランプにEUも対抗できなかった。一方、中国はまだ抵抗している。レアアースの威力は強力だ。

その他のニュース
ガザ:イスラエルは、当初の方針を一転し、ガザ地区3地域での軍事作戦を一時停止し、援助の増額を可能にすると発表した。
飢餓:ガザ地区の少なくとも3つの病院では、栄養失調の子供や大人の治療に必要な栄養液が不足している。看護師たちは飢餓と脱水症状で意識を失っている。
東南アジア:タイとカンボジアの首脳は、本日マレーシアで停戦協議のため会談する予定です。
【コメント】
 世界中で国境に関する紛争が激化している。国内政治への不満が底流にある。国内の経済が不振で政治的に不安定さが増している中国の動向へは注意が必要だ。

2025年7月28日 月曜日

不正の温床

明日、明後日と金融財政事情研究会主催の「金融内部監査人」養成コースの講師をつとめる。金融機関で内部監査部門に初めて配属された人向けのコースで、部長クラスから若手までいろいろな受講者が揃う。このコースは既に63回を数え、修了者の総数は1500人を超えている。

いろいろな話をするが、「不正」については皆関心が高く当方の説明に耳を傾けてくれる。不正を木に例えて考えると、不正の実が木に成るのは、修正が簡単だ。悪い実を摘めばよいからだ。木の幹や木の根が腐っていたり、木を取り巻く土壌が汚染されている場合は、解決が難しくなる。

最近の東北地方の信用組合で起きた不正融資事案では、信組の経営陣が、理事長から監事に至るまで、事案に関与していたことだ。監事や内部監査は、明白な犯罪行為に異をとなえず、組織内での自身の保身を図っていた。これは木の幹や根が腐っていた事例だ。

建設業界で以前は普通だった談合は、業界自体が汚染されていた例で、不正の防止は難しい。

筆者は以前、日本の金融機関のタイの現地法人で営業の責任者(日系企業・多国籍企業担当)をしていたことがある。
タイの地場企業向けの融資担当者は、貸出を実施すると貸出先からお礼の金品を受け取っていることが、しばらく勤務してからわかった。タイ人の社会ではそれが当たり前だから、誰もそれが不正だとは思っていなかった。これは業界を超えて、その国の風土と係る問題だった。

さて、こうした場合に、どのように対処すべきだと思われますか?

2025年7月27日 日曜日

上場企業の会計不正の動向

日本会計士協会が例年の「上場会社等における会計不正の動向」(2025年版)を7月24日に公表している。

日経新聞が記事にしているのでそれを参考に会計不正について考えたい。

(日経記事より)・・・・・・・・・・
上場企業の会計不正が増えている。2024年度(25年4月16日までの約1年間)に公表したのは56社と前の年度より24%増え、過去10年間で最多となった。ガバナンス(企業統治)改革によりあぶり出される例が目立つ。日本の資本市場に対する投資家の信頼を損ないかねず、一段の統治改革が欠かせない。
日本公認会計士協会が24日発表した。同協会は財務諸表に意図的な虚偽表示をする「粉飾決算」と、企業の資産を経営者や従業員が私的に使う「資産の流用」を会計不正と定義しており、調査報告書などで判明した事案を集計した。会計不正を公表した上場企業は4年連続で増えた。・・・・・・・・

不正が見つかるのは「内部統制」と内部者・外部者からの「タレコミ」による。日本版JSOXの導入から始まった日本の内部統制整備の動きが少しは役に立ったということだろうか。社内で、不正についての問題意識が共有されない場合、不正を経営層が握りつぶしたり、経営層が不正を主導している場合には、タレコミによる発見が多くなる。

内部統制の強化では、会計監査人、監査役(監査等委員)、内部監査による三様監査の強化が効果的だ。企業に「企業理念」がある場合は、それと見比べて現在の経営は理念に沿ったものになっているかどうか、年に一度は見比べるのも役に立つ。

最近は情報技術の進化で、常時、会計の動きが把握できるようになった。生成AIを使って会計の異常を常時検証できるようになった。

(日経記事より)・・・・・・・・・・
会計不正を早期に発見する上で期待されるのが人工知能(AI)の活用だ。大手会計事務所は不正リスク対応への活用を進めている。KPMGジャパンは財務データやテキストデータを使い異常取引などを検知するサービスを始めた。あずさ監査法人の神保桂一郎パートナーは「AIを活用すれば全ての会計処理を精査できる。会計不正をけん制する効果がある」と話す。・・・・・・・・・・

粉飾や不正が起こりやすいのは「プロフェッショナルな判断(professional judgement)」が必要な状況だ。会計分野では、専門的な知識や経験に基づいて、状況を評価し、適切な会計処理や開示を行うことを指す。収入と支出の認識時期や、資産と負債の実在性や評価等が代表的だが、明確なルールがない場合や、複数の解釈が可能で、どちらの選択肢も妥当な場合に特に重要になる。

AIもここまで役に立てる状況には未だ至っていないようだ。内部統制のプロの腕の見せ所だ。

2025年7月26日 土曜日

世界の動き 2025年7月25日 金曜日

今日の一言
「ミーム株」
 米国株式市場のボラティリティの高まりを受けて、ミーム株投資が再燃する動きがあるようだ。
 ミーム株とは個人投資家たちがレディット、ストックツイッツ、XなどのSNS上で集まって株価を押し上げ、ショートスクイーズを引き起こす企業の銘柄を指す俗称だ。
 ショートスクイーズとは、株式市場などで、空売り(ショートポジション)をしている投資家が、予想外の株価上昇により損失を被り、その損失を確定するために買い戻し(ショートカバー)を余儀なくされることで、さらに株価が上昇する現象を指す。
 対象となる企業は経営基盤が弱く業績も赤字なため空売り比率が高いが、ミーム株投資家たちは安い株価を好んで、群がってショートスクイーズに追い込み株価を上昇させ売り抜ける作戦なのだ。
 米国の個人投資家は今週、百貨店大手コールズやドーナツチェーンのクリスピー・クリームなど業績は不振ながら空売り比率の高い企業の株価上昇に賭けようと再び結束している。4年前にウォール街を席巻した「ミーム株」ブームを彷彿させる動きだ。
 日本市場でもミーム株はあるのだろうか。以下のような事例がある。
 ひらまつ(2764)
 特徴
  2021年5月中旬からわずか3週間で約60%の株価上昇を記録した。SNSや掲示板などで話題となり、短期間で個人投資家による売買が集中したことが要因。経営再建中・継続疑義注記銘柄で、機関投資家の保有比率が低かったこともあり、値動きが大きくなった。
 ペッパーフードサービス(3053)
 立ち食いステーキ店「いきなり!ステーキ」運営会社。経営不振の局面でSNS等の影響から株価が急騰した時期があり、「日本版ミーム銘柄」候補として名前が挙がった。
 日本では値幅制限が厳しいため、米国のように大規模かつ極端なミーム株の暴騰は少ないものの、SNSやネット掲示板の影響で短期的に急騰する銘柄が話題となる。主に外食や小売り、業績低迷で市場から注目度が高まった企業が中心になっている。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.フランス、パレスチナ国家を承認へ
 マクロン大統領は昨日、フランスがパレスチナを国家として承認すると発表した。主要7カ国(G7)の中で初めてだ。
 マクロン大統領は突然の声明を発表し、9月にニューヨークで開催される国連総会で正式発表すると述べた。戦争終結に向けて独自の動きを見せているトランプ大統領を刺激する可能性が高い。ほとんどの国はパレスチナを国家として承認しているが、米国とその同盟国のほとんどは承認していなかった。
 「今日最も緊急なことは、ガザにおける戦争を終結させ、民間人を支援することだ」とマクロン大統領は述べた。
 21ヶ月にわたる壊滅的な戦争の後、ガザにおける食料と水の不足は、若者、高齢者、そして病人に深刻な打撃を与えている。世界食糧計画(WFP)は今週、ガザの人口の3分の1が「何日も連続して食事を摂っていない」と発表している。
 ガザ地区の病院は、イスラエルの空爆、そして最近では食料輸送車列付近や救援物資配給所に集まった絶望的な群衆を解散させるためのイスラエル軍の銃撃によって負傷した人々の対応に苦慮している。医師たちは今、飢餓が患者の命を奪い、栄養失調で亡くなる子供の数がここ数日で急増していると訴えている。
 停戦協議:米国とイスラエルはハマスとの停戦交渉から撤退した。米国の特使は人質の帰還に向けて「代替案」を検討すると述べたが、詳細は明らかにしていない。
 イスラエル:イスラエル政府のアミハイ・エリヤフ大臣は昨日、イスラエルにはガザ地区の飢餓を緩和する義務はなく、ガザ地区住民の追放を目指していると述べた。
【コメント】
 国家として認めるとガザの住民の絶望的な状況に何か変化が生じるのだろうか。国の代表は住民に信任されていないアッパース議長になるのだろうか。疑問が山積だ。

2.タイとカンボジアが国境で衝突
【記事要旨】
 タイ当局は、昨日、カンボジアとの係争国境沿いで発生した銃撃戦で、少なくとも民間人11人と兵士1人が死亡したと発表した。この衝突は、カンボジアとタイの間で過去10年以上で最悪の戦闘となった。
 両国は相手国が先に発砲したと非難している。タイ軍は、カンボジアがタイ4県の民間地域にロケット弾を発射したと発表し、これを受けてタイはF-16戦闘機を派遣してカンボジアの標的を攻撃し、国境地域からの避難を命じた。カンボジア当局は、タイ軍が両国が領有権を主張するプラサート・タ・ムエン・トム寺院でカンボジア軍に発砲したと述べている。
 両国間の緊張は、国境での小競り合いでカンボジア兵士が死亡した事件を受けて、5月下旬から高まっている。水曜日には、国境で地雷が爆発し、タイ兵士が片足を失ったことで、紛争はさらに激化した。
 紛争地域:戦闘の中心地となっているタイ北東部スリン県の国境は、長年にわたり争われてきた。スリンは、9世紀から13世紀にかけて栄えたクメール王国の遺跡があることで知られている。
【コメント】
 タイのミャンマー側の国境には行ったことがあるがカンボジア側は行ったことが無い。暑苦しいところでの国境紛争は大変だ。タイの現首相がカンボジアに迎合する発言で窮地に立っているようだが、どのように着地するか注目だ。

3.中国がSpaceXに遅れをとっている理由
【記事要旨】
中国は今年、SpaceXに追いつき始めるはずだったが、その努力は実を結ばなかった。記録によると、中国の二大衛星ネットワークは、計画の1%にも満たない約120基の衛星を打ち上げた。対照的に、イーロン・マスク氏のSpaceXは、地球低軌道に約8,000基のStarlink衛星を保有している。
 以下に動画の説明ありhttps://www.nytimes.com/video/technology/100000010290263/china-starlink-space-race.html?campaign_id=7&emc=edit_mbae_20250724&instance_id=159191&nl=morning-briefing:-asia-pacific-edition®i_id=153728061&segment_id=202556&user_id=bad9ac9a15a4d9a3d1f1458b2e5694f5
【コメント】
 改めて認識するのはSpaceXの凄さだ。

その他の記事
欧州:EU首脳は米国との15%の関税による貿易協定締結を望んでいるが、それが失敗した場合には反撃する用意があることを明確にしている。
エプスタイン:米国当局は、性的人身売買で20年の刑に服しているジェフリー・エプスタインの長年の仲間、ギレーヌ・マクスウェル氏から事情聴取を行うとみられる。
シリア:サウジアラビアは、シリアへの64億ドル相当の投資を発表した。このうち約30億ドルはインフラ整備に、約10億ドルは通信部門に充てられる。

米国:ジョー・バイデン氏はホワイトハウス時代を振り返る回顧録を執筆中。版権は1000万ドルで売却された。

文化
 抹茶は長年にわたり世界中で人気が高まっており、特に健康志向の消費者の間で人気が高まっているが、昨年はソーシャルメディアでの話題性により、日本の粉末緑茶の需要が驚異的なレベルまで急増した。
 抹茶業界は、この熱狂的な需要に対応できる体制が整っていない。抹茶の原料となる茶葉を生産する日本の茶園の多くは、小規模な家族経営だからだ。

墓銘碑
 派手でシャツを引き裂くプロレスラーとして、このスポーツを数十億ドル規模の産業へと変貌させたハルク・ホーガンが71歳で亡くなった。
【コメント】
 アントニオ猪木をアックスボンバーで気絶させた1983年の試合が強烈に記憶に残っている。ご冥福を祈りたい。まだ私より3歳も若いのに。。

2025年7月25日 金曜日