世界の動き 2026年2月18日 水曜日

今日の一言
「捨てる神あれば」
 Aiの台頭で米国ではソフトウェア会社の株価が下落しているのは良く知られているがローンの価格も値下がりしている。
 倒産の危機は少ないと考えれば、こうしたローンに投資する好機かもしれない。
 カーライルやブラックロックなど有力な投資会社が、値下がりしたソフトウエア関連などのローンを購入し、新たなCLO(ローン担保証券)組成を進めているということだ。
 こうしたダイナミズムが米国市場の面白さだ。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.Cool China(クール中国)
【記事要旨】
 TikTok では若者が「中国化」するという軽いブームが起きており、スリッパを履く、白湯を飲む、お粥を食べるといった“中華的”行動が流行している。これは単なるネット上の流行に見えるが、世界の一部では「中国が以前よりクールに見える」という空気が広がっている。
 アメリカの人気インフルエンサーや NBA 選手が中国を訪れ、高速鉄道や都市の光景を絶賛したり、唐装風のアディダスのジャケットが世界的にヒットしたり、中国発のキャラクター「Labubu」が世界的ブームになったりしている。
 中国は技術開発やサプライチェーン構築では強いが、長年「ソフトパワー」では苦戦してきた。権威主義的な政治体制や検閲がイメージを損ねてきたためだ。しかし最近は外国人観光客の受け入れを改善するなど、対外発信が巧妙になっている。観光客は政治的抑圧をあまり感じず、普通の中国人の日常に触れることで印象が変わることも多い。
 ただし、中国の人気上昇は「中国そのものが魅力的になった」というより、アメリカの魅力が低下している反動だという指摘もある。米国の政治的分断やインフラの老朽化が目立ち、中国の高速鉄道などが相対的に魅力的に見えるのだ。
 こうした空気の変化は、各国の対中姿勢にも影響しうる。若いアメリカ人の多くは「中国が米国を追い越してもあまり心配していない」という調査結果もあり、対中強硬策への支持が弱まる可能性がある。
 しかし、この「クールな中国」ムードが長続きするかは不透明だ。文化的な流行は地政学の影響を受けやすく、中国はまだ世界的ヒット映画などを生み出していない。また、中国政府自身も外国の華やかな生活を紹介するインフルエンサーに警戒を示し、「西側のソフトな侵略」を助長すると警告している。
【コメント】
 クールJapanはどこへ行ったのだろうか。
 2000〜2010年代前半、世界が求めていたのは
– アニメ- ゲーム- ファッション(原宿)- カワイイ文化- 職人技・和食 といった「文化的・サブカル的な魅力」だった。
 しかし今、世界が注目しているのは
– 巨大市場としての存在感- 技術力・インフラ力- SNSで拡散される“圧倒的な体験” つまり「文化」より「スケールと勢い」のようだ。日本の停滞感も悪影響を与えており、中国や韓国が圧倒的に強くなった。

2.ジェシー・ジャクソンを悼む
【記事要旨】
 公民権運動の象徴的指導者であり、アメリカの黒人政治史に大きな足跡を残したジェシー・ジャクソン牧師が84歳で死去した。宗教界、友人、政治家など多方面から追悼の声が寄せられている。
 ジャクソンは、キング牧師の時代とオバマ大統領の誕生の間において、最も影響力のある黒人指導者とされる人物だった。1984年と1988年の大統領選に出馬し、指名獲得には至らなかったものの、数百万の黒人有権者登録を促し、多民族連合(レインボー・コアリション)を築き、多くの黒人政治家が公職に就く道を開いた、という功績を残した。オバマ夫妻は声明で「私たちは彼の肩の上に立っているWe stood on his shoulders’」と述べた。
 また、ジャクソンはアフリカでも広く尊敬され、特に南アフリカのアパルトヘイト撤廃運動への貢献が高く評価されている。
【コメント】
 80年代の民主党で大統領選の候補として注目されてきた。ご冥福をお祈りしたい。

3.イラン、米国との協議に「良い進展」
【記事要旨】
 イランのアラグチ外相は、スイスで行われた米国との間接協議で、将来の合意に向けた「指針となる原則」について一致が得られたと述べた。両国は今後、合意案の草案を交換することで合意したが、外相は「合意が間近というわけではない」と慎重な姿勢を示した。
 米国側の当局者も進展を認めつつ、イランが今後2週間でより詳細な提案を提示する見通しだと述べた。
 今回の協議(約3時間)は、中東が米国による軍事攻撃の可能性で緊張する中で実施された。
 一方イラン国内では、抗議デモ弾圧で死亡した人々の追悼集会が、政府への怒りを表明する場として dissidents(反体制派)に利用されている。
【コメント】
 どうでもよいことだが、アラグチ氏には好感が持てる。語り口が穏やかなのと、新口、あるいは荒口という日本にありそうな名前だからだ。

その他の記事
・ウクライナとロシアはスイスで米国の仲介による新たな和平交渉を開始したが、進展への期待は低かった。
・ペルー議会は、政府の調査対象となっていた中国人実業家との会談内容を公表しなかったとして、ホセ・ジェリ大統領の弾劾決議を可決した。
・ワーナー・ブラザース・ディスカバリーはパラマウント・スカイダンスとの交渉を再開し、Netflixに勝利してハリウッドの再構築につながる可能性のある取引を成立させる新たなチャンスを得る。
・スペインは、人工知能(AI)によって生成された児童虐待コンテンツを拡散した疑いで、X、Meta、TikTokを捜査する。
・歴史インタビューは、オバマ大統領とその顧問たちが国の情勢の変化を見逃し、ドナルド・トランプの台頭を予測できなかったことを示している。

2026年2月18日 水曜日 曇り
AM7:05 気温4度 旧正月が昨日始まりました

世界の動き 2026年2月17日 火曜日

今日の一言
「GDP0.2%成長」
 二四半期ぶりにプラスになったが、年率0.2%という低い数字にとどまり予想を下回った。物価高で消費が回復していないのが理由だという。一方「K字型回復」という言葉がある。K字型回復とは 何か。「K」の形が示すものを見れば、

  • 上向きの線:恩恵を受けて成長する層・産業
  • 下向きの線:取り残され、悪化する層・産業

つまり、回復が均一ではなく、勝ち組と負け組がはっきり分かれるのが特徴だ。 不況下の株高で富裕層は所得を増やし、その富裕層が消費を支えている構図だ。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.状況を改善しようとする米国民主党
【記事要旨】
 これまで国際的な注目は主にトランプ氏に集まっていたが、11月の中間選挙を前に、民主党の主要政治家たちが欧州で存在感を示し始めている。
 ミュンヘン安全保障会議にはニューサム(カリフォルニア州知事)、マーフィー上院議員、ケリー上院議員など複数の民主党有力者が参加し、欧州との協力関係やトランプ氏への懸念を表明した。
 2028年の大統領選に誰が出るかは不透明だが、民主党がどのようなビジョンを提示できるかが問われている。
■ AOC(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス)の影響力
 AOCは2018年に下院議員に当選して以来、民主党をより労働者寄りの方向へ導こうとしてきた。彼女は民主党が長年「エリート寄り」で労働者の現実を無視してきたと批判。 必要な改革として、
富裕税の導入と企業権力の集中を防ぐ反トラスト政策 を挙げている。
 彼女は「格差の拡大が権威主義の台頭を招いている」と警告し、労働者階級への実質的な利益提供が不可欠だと主張した。
■ 民主党の今後
 AOCのようなポピュリスト左派のビジョンが2028年の民主党主流になるかは不明だ。 ニューサム知事のように富裕税に反対する有力候補もいる。
 欧州側は民主党から「同盟関係の回復」を期待する声を聞いたが、たとえ次期大統領が民主党でも、以前の状態に完全に戻る保証はない。
 AOCは「もう元の時代には戻れない。新しい時代に向き合う必要がある」と述べた。
【コメント】
 ミュンヘン安全保障会議にこんなに民主党の有力議員が参加しているとは知らなかった。
 日本からは茂木敏充 外務大臣が出席し、「欧州とインド太平洋の安全保障は不可分である」と強調し、自由で開かれた国際秩序(FOIP)の重要性を訴えた。

2.イランとの緊迫した協議
【記事要旨】
 米国とイランは本日、ジュネーブで新たな協議ラウンドを開催する予定だが、イランの核開発計画をめぐり根本的な相違が残っている。
 協議前夜、米国が軍備増強を続ける中、イランはホルムズ海峡で実戦演習を実施した。ペルシャ湾を含むこの地域には、12隻の米軍艦が展開している。トランプ大統領は、イラン指導部が核開発計画に同意しない場合、イランを攻撃すると警告している。金曜日には、公然と政権交代を支持した。
 イランでは、同国の聖職者に対する抗議活動は終結した。しかし、多くのイラン人は怒りの感情が残り、何もかもが正常化していないと感じている。
【コメント】
 トランプは、イラン政権の「体制転換(regime change)」が“最善”だと発言し、それが緊張を一段と高めている。

その他の記事
・インドネシアは、トランプ大統領の「平和委員会」構想の一環として、数千人の兵士をガザ地区に派遣し、平和維持活動を行う準備を進めている。
・マルコ・ルビオ国務長官は、ハンガリーの独裁政権を率いるオルバーン・ビクトル首相に対し、接戦の選挙を前にトランプ大統領は自身の成功に「深くコミットしている」と述べた。
・ニコラス・マドゥロ大統領の逮捕後、海外在住のベネズエラ人は自国での不動産購入を検討しており、これが価格高騰の原因となっている。
・専門家によると、習近平国家主席は中国軍の粛清において、絶対的な忠誠心を求め、毛沢東主義的なイデオロギー浄化戦術に回帰しているという。
・台湾をめぐる日本と中国の外交対立は、中国人観光客に依存する日本経済に打撃を与えている。

・専門分野の外国人労働者に対する米国のビザをめぐる議論は、南アジア人に対する人種差別を助長している。
・エプスタイン・ファイル
 コロンビア大学は、エプスタインの恋人が歯科大学に入学するのを支援した2人を処罰した。エプスタインと学界の関係は、大学の資金調達の裏側を露呈している。
++
・『地獄の黙示録』や『ゴッドファーザー』など、映画で幅広い役柄を演じたオスカー受賞俳優ロバート・デュヴァルが95歳で亡くなった。

2026年2月17日 火曜日 曇り
AM7:15 気温3度 もうじき雨になりそうです

世界の動き 2026年2月16日 月曜日

今日の一言
「コーポレートガバナンス・コードとは」
 時事通信で金曜日に解説が載っている。以下だ。
・・・・・・・・・・
 コーポレートガバナンス・コードとは金融庁と東京証券取引所が2015年に策定した上場企業が順守すべき行動原則を示した企業統治指針。企業の持続的な成長と価値向上につなげる狙いで、株主の権利確保や適切な情報開示、取締役会の責務を定めている。法的拘束力はないが、従わない場合は理由を説明する必要がある。これまで18年と21年に改訂されており、女性活躍の促進を含む多様性の確保、政策保有株式の縮減、気候変動問題への対応なども促している。
・・・・・・・・・・
 「コード」とは法律ではなく、遵守が求められるが義務ではない。コードに記載されている項目が守られているかどうか、守られなければその理由を説明しなければならないというものだ。
 現在、改定が検討されており、大企業に蓄積された現金の使用がどのようにコードに記載されるかが注目されている。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.ジゼル・ぺリコの勇気と再生
【記事要旨】
 フランスで大規模な集団レイプ事件の裁判において、匿名権を放棄して公に証言したジゼル・ペリコは、長年にわたり夫とその共犯者たちから薬物を使った性的暴行を受けていた事実を知り、世界的な注目を集めた。彼女はこれまで多くを語らなかったが、ついに自身の半生と被害、そして回復の過程を綴った回想録を出版し、長時間のインタビューに応じた。
 ペリコは、記憶の欠落やブラックアウトに苦しみ、自分が精神的に崩壊しているのではないかと恐れていた時期を語り、加害者の一部が未特定のままであることへの恐怖も明かした。それでも彼女は「被害者としてではなく、困難を乗り越えた人間として見てほしい」と語り、離婚後に新たなパートナーと人生を再構築している。
 一方で、娘の画像も夫のデバイスから見つかったことで家族関係は深く傷つき、娘との関係修復はまだ途上にある。ペリコは、家族に起きたことを「すべてを吹き飛ばす爆発」と表現した。
 インタビューの最後に彼女は涙を拭いながら、自分の経験を語ることで心の整理が進んだと述べ、いつか元夫に面会し、「なぜこんなことをしたのか」という答えを求めたいと語った。彼女は、夫が対面したときに少しでも後悔を示すことを願っている。
【コメント】
 恐ろしい犯罪だ。夫の動機は裁判でも明確になっていない。

2.バングラデシュ、革命から選挙へ
【記事要旨】
 2024年に学生主導の運動によって前政権が倒れた後、バングラデシュで初めての総選挙が行われた。現地取材をした記者によると、選挙ではバングラデシュ民族主義党(BNP)が圧勝し、党首タリク・ラーマンが首相に就任する見通しとなった。彼は「体制側の人物」と見られており、学生たちの反応は賛否が分かれた。
 一方、イスラム主義政党が学生リーダーと連携したことで議席の約4分の1を獲得し、過去最大の躍進を遂げた。これは新たな政治勢力の台頭を示している。
【コメント】(wikipediaから抜粋)
 1947年にイギリスからインドが独立する際、現在のバングラデシュに当たる地域は「東パキスタン」と呼ばれパキスタンの一部であった。しかし、パキスタン本土から遠く離れていること、イスラム教以外の文化的結びつきが薄かったことから、分離独立運動がおこり、内戦(バングラデシュ独立戦争)やインドの介入(第三次印パ戦争)を経て、1971年にパキスタンから独立した。
国内最大の都市は首都のダッカ。バングラデシュは南アジアにおけるイスラム圏国家の一つである。バングラデシュの人口は1億6,468万人で、都市国家を除くと世界で最も人口密度が高い国であり、人口は世界第8位となっている。 日本の約4割の国土に、日本をはるかに上回る人口を有している若い国だ。

3.中国の核開発復活
【記事要旨】
 衛星画像によると、中国四川省にある複数の秘密核関連施設が近年大幅に拡張・改修されていることが確認された。これらの施設は約60年前に建設され、1980年代には縮小や閉鎖が進んでいたが、2019年頃から再び建設が加速し、長く続いた「自制の時代」が終わったと専門家は指摘している。
 施設の設計から、一部は核弾頭の金属コアを製造している可能性があり、別の施設では「高性能爆薬」の試験が行われているとみられる。ただし、地上から見える改修の目的については専門家の間でも議論が続いている。
【コメント】
 このような動きが周辺国に軍事的な脅威を与えている。高市政権の支持率の高さの一因でもある。

その他の記事
・欧州5カ国によると、アレクセイ・ナワリヌイ氏は南米のカエルから発見された毒素によって毒殺された可能性が高い。
・ミュンヘン安全保障会議で、マルコ・ルビオ国務長官は米国と欧州の摩擦を和らげようと試みた。しかし、欧州の現状は彼が描写した姿とは大きく異なっている。
・トランプ大統領は生涯を通じて自身のパーソナルブランドを売り込んできた。今、彼は個人崇拝を築き上げようとしている、とホワイトハウス担当主任記者は書いている。
・エプスタイン・ファイル
 新たな文書は、エプスタイン氏とスーパーモデルのナオミ・キャンベル氏との繋がりの深さを示唆している。
・『嵐が丘』は、主人公の「白人化」をめぐる論争にもかかわらず、公開週末の全世界での興行収入が8,200万ドルに達すると予想されていた。
【コメント:『嵐が丘』の中心人物であるヒースクリフの取り扱い。出自不明の孤児で、非白人の可能性が高い。キャサリンとの悲恋と復讐が物語の核になっている。映画で白人俳優が演じると whitewashing と批判されるのが常だ。】

・オーストラリアは世界で最も高価なタバコを生産しており、その価格が数十億ドル規模の闇市場を活性化させている。【コメント:タバコ一箱が約4000円する】

2026年2月16日 月曜日 曇り
AM6:47 気温8度 暖かい朝です。

ダニング=クルーガー効果

 心理学で有名な仮説だ。この仮説は、今回の衆院選で「中道」が壊滅的な敗北を喫したことの説明に使えるかもしれないので詳述してみたい。

 ダニング=クルーガー効果は、「能力が低い人ほど自分の能力を過大評価し、能力が高い人ほど自分を過小評価しがちになる」という、心理学でよく知られた認知バイアスだ。1999年に心理学者のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーが提唱した。

●ダニング=クルーガー効果の核心
 1. 能力が低い人は、自分の欠点に気づけない
• ある分野の知識やスキルが不足していると、「自分が何を知らないか」を判断する能力も不足するため、自信だけが高くなりやすい。
 2. 能力が高い人は、他人も同じようにできると思いがち
• 熟練者は、自分にとって簡単なことを「誰でもできる」と考え、自分の能力を過小評価する傾向がある。

 なぜ起きるのか。自己評価には「メタ認知(自分を客観的に理解する力)」が必要だが、能力が低いほどメタ認知も未熟なため、自分の実力を正しく測れないからだ。

●ダニング=クルーガー効果で読み解く「中道」が苦戦しやすい構造 (以下は、日本の「中道改革連合」だけでなく、世界中の民主主義国での「中道」に当てはまる一般的な傾向としての説明だ。)
 1. 中道は「自分の立場の難しさ」を過小評価しやすい
 ダニング=クルーガー効果の“熟練者側”の特徴として、
• 複雑な問題を複雑なまま扱おうとする
• 自分の立場が「誰にでも理解できる」と思いがち
という傾向がある。
 中道はしばしば「極端ではない、合理的でバランスの取れた立場」を自認するが、これは高度なメタ認知を必要とする。
 そのため、
• 自分たちの主張が有権者にとって理解しやすいと思い込む
• “中庸”が自然に支持されると期待してしまう
という自分の置かれた立場の困難さを“過小評価”しやすい。

 2. 有権者側は「複雑な政策」を理解する負荷を避ける傾向がある
 ダニング=クルーガー効果の“初心者側”の特徴として、
• 複雑な問題を単純化したい
• 分かりやすいメッセージに惹かれる
• 自分の理解の限界に気づきにくい
という傾向がある。
 その結果、
• 「白黒はっきりした主張」
• 「敵と味方を明確に分ける語り」
• 「強いスローガン」
が支持を集めやすくなる。
 中道のように
• 「状況による」
• 「両方にメリット・デメリットがある」
• 「慎重にバランスを取るべき」
といったメッセージは、認知負荷が高く、理解に努力を要するため、選挙戦では不利になりやすい。

 3.中道は「自分たちの合理性が伝わる」と過信しやすい
 これはダニング=クルーガー効果の応用的な見方だが、
• 高度な理解を持つ側ほど、他者も同じレベルで理解していると錯覚するという現象があります。
 中道はしばしば、
• 「極端より合理的だから支持されるはず」
• 「有権者は冷静に判断するはず」
と期待する。
 しかし、実際には選挙は
• 感情
• 同調圧力
• 単純化された物語
• アイデンティティ
が強く働く場であるため、合理性を重視する側ほど、選挙戦略の難しさを過小評価することがある。

●中道が勝つための心理学的戦略(一般論)
1. 複雑な政策を“単純な物語”に変換する
 中道の最大の弱点は、「正しい(かもしれない)が、分かりにくい」ことである。心理学では、人は複雑な情報よりも物語・比喩・象徴を好むことが分かっている。
 中道がやるべきこと
• 「バランスが大事」ではなく、1つの象徴的なストーリーに落とす
• 「中庸」ではなく、“安定の物語”として語る
• 数値ではなく、人間の生活の変化として語る
 中道は“正しさ”を語りがちですが、選挙では“物語”が勝つのだ。

2. 「敵を作らない」ではなく、“共通の課題”を提示する
 中道は敵を作らないことを美徳とするが、心理学的には敵がいないメッセージは弱い。敵を作るのではなく、「共通の課題」という形で“外部の問題”を設定することは可能だ。
 例(一般論)
• 「私たちの敵は〇〇ではなく、△△という構造問題だ」
• 「対立ではなく、課題解決に力を使おう」
 これは“外敵効果”を穏やかに利用する方法だ。

3. 有権者の“認知負荷”を下げる
 中道の政策は複雑になりがちだが、人は理解に努力を要するメッセージを避ける傾向がある。
 対策
• 3つのポイントに絞る
• 図解・メタファーを多用する
• 「なぜ今これが必要なのか」を1行で言う
 中道は「説明しすぎる」傾向があるため、情報量を削る勇気が必要。

4. “中道=弱い”という印象を心理的に反転させる
 多くの国で、中道は「優柔不断」「どっちつかず」と見られがちだ。これは心理学でいうステレオタイプ効果。
 反転の方法
• 「極端よりも、安定のほうが強い」というフレーミング
• 「中道=調整役」ではなく、“舵取り役”として語る
• 「中道は弱い」ではなく、“中道こそ成熟した選択”と提示する
 ステレオタイプは、言い換え(reframing)することで変えられる。

5. “感情”を軽視しない
 中道は理性を重視しますが、選挙は感情の競技だ。
 中道が取り入れるべき感情戦略
• 「安心」「安定」「信頼」といった“低刺激の感情”を強調
• 怒りや恐怖ではなく、未来への希望を語る
• 「極端な対立に疲れた人」への共感を示す
 中道は“冷静さ”を売りにするが、冷静さだけでは心は動かない。

6. “自分たちの合理性は伝わる”という過信を捨てる
 これはダニング=クルーガー効果の“熟練者側”の罠の代表例だ。中道はしばしば、「有権者は冷静に判断するはず」と期待するが、心理学的にはそうではない。
 必要なのは
• 「伝わる前提」ではなく、“伝わらない前提”*設計する
• 専門家の言葉を一般化する
• 「理解してもらう努力」を最優先にする
 中道は“自分たちの正しさ”を過信しがちなので、伝達のデザインが最重要。

7. “中道のアイデンティティ”を作る
 人は政策ではなく、自分のアイデンティティに合う選択をする。
 中道はアイデンティティ形成が弱い。必要なのは
• 「中道を選ぶ人は、成熟した市民である」という自己像
• 「極端ではなく、現実を見据える人」という誇り
• 「静かな強さ」というブランド
中道が勝つには、“中道を選ぶ自分が好きになる”構造を有権者に作る必要がある。

 今回の話は、衆議院選の中道の惨敗を基に述べてきた。ダニング=クルーガー効果は、選挙だけでなく、組織の意思決定、ガバナンス、投資判断、教育、交渉など、様々な領域にもそのまま応用できるはずだ。
• 複雑なものをどう物語化するか
• 認知負荷をどう下げるか
• “中庸=弱い”という印象をどう反転させるか
• メタ認知の差をどう埋めるか
 これらは、まさに「伝える力」「構造化する力」と深くつながっており、組織体の効果的・効率的な経営には不可欠な考えだ。

2026年2月15日 日曜日 快晴
AM10:58 気温13度 初夏が来たような陽気です

週間市場動向 2026年2月9日ー13日 備忘録

【米国株式市場】
 2月9日(月)から13日(金)の週、米国株は「重要指標を前に下落トレンドが継続し、CPI発表後も戻りは限定的」という1週間でした。

週間の値動きと騰落率
 主要3指数の週間騰落率(2月9日終値→2月13日終値ベース)は、おおむね以下のとおりです。
 S&P500: 6,836.17(2/13 終値)週間▲約1.4%
​ ダウ平均:49,500.93(2/13 終値)週間▲約1.0%
​ ナスダック総合:22,546.67(2/13 終値)週間▲約2.1%(ハイテク売りが続き、3指数で最も弱い)
 週間としては3指数とも陰線で、特にナスダックは5週連続安と報じられています。

日別の流れ
2月9日(月):前週末の大幅高の流れを引き継ぎ、3指数とも続伸。ダウは50,135ドルと過去最高圏で引け、S&P500も史上最高値に近い水準まで上昇、ナスダックも0.9%高と堅調でした。
2月10〜12日:週後半の重要指標(雇用統計・CPI)を控えて警戒感が強まり、特にAI関連など成長株・ハイテク中心に利益確定売りが優勢となり、指数はじりじりと下落しました。
2月13日(金):CPI発表後、インフレ率は「事前予想よりやや弱め」、ガソリンや中古車価格の下落が効いているとの評価で、ダウとS&P500は小幅高、ナスダックはわずかに反落という「まちまち」の引け。週トータルでは3指数ともマイナスで終了しました。

主要イベントと株価の反応
 この週は「雇用関連指標+CPI」が相場のテーマで、FOMCメンバー講演も含めて、金融政策見通しが株価を左右しました。
 2月11日前後:遅延していた雇用統計(NFP)と失業率が発表され、市場予想と比べて雇用は底堅く、失業率はむしろ低下という内容で、「景気は強く、利下げは急がれない」との見方が強まりました。景気にはプラスですが、利下げ期待の後ずれ懸念から、特に金利に敏感なハイテク株が重しとなり、ナスダック中心に下落基調が強まりました。
 2月13日(金)CPI:総合CPIはガソリン・中古車価格の下落などで伸びがやや鈍化し、「最悪シナリオ(インフレ再加速)は回避」と受け止められました。発表直後は金利低下・株高の反応となり、ダウとS&P500は小幅高で引けましたが、インフレはなお目標上であり「早期大幅利下げ」は織り込みづらいとの見方もあり、上値は限定的でした。ハイテクには戻り売りが続き、ナスダックはCPI後も0.2%安と弱含みで、この週の下げ幅は3指数で最大となりました。

セクター・テーマの動き(概観)
上昇寄与:金融・エネルギー・一部景気循環株(雇用や景気指標が底堅いことで恩恵を受ける銘柄)。
下落寄与:AI・半導体を含むハイテク、高バリュエーションの成長株。AI投資過熱感の巻き戻しと、利下げ期待の後ずれ観測が同時に重なった形です。

まとめイメージ
イメージとしては「前週末〜週初にかけて一旦リバウンドしたが、雇用統計とCPIを前後して金利見通しが引き締め方向に再調整され、特にナスダック主導で上昇分を吐き出し、週足では3指数ともマイナス」といった1週間でした。

【日本株市場】(高市トレード)
 自民党の歴史的な大勝を受けて、日本株は「高市トレード」が再点火し、株高・円安・金利上昇が同時進行する局面になりました。

「高市トレード」とは何か
内容:日本株の上昇、円安進行、日本国債利回り上昇(=国債価格下落)という組み合わせを指し、高市首相の積極財政・防衛費増・成長投資への期待を織り込むポジションです。
背景:高市首相就任時や今回の衆院選前から、「責任ある積極財政」を掲げたことで、外国人投資家を中心に日本株買い・円売り・JGB売りが積み上がり、このパターンが定着しました。

自民党大勝後の株価の動き
衆院選の結果:2月8日の総選挙で自民党は単独316議席を獲得し、維新との連立と合わせて衆院2/3超の「戦後最大級」の大勝となり、政権基盤が大幅に強化されました。
ニッケイ・TOPIXの反応:選挙翌営業日の月曜、日経平均は一時3,000円超(約5〜6%)上昇し、5万7,000円台を突破して史上最高値を更新、TOPIXも過去最高水準まで上昇しました。
値上がり銘柄の広がり:東証プライムの約8割の銘柄が上昇する「全面高」に近い状態で、選挙前は自民単独過半数程度を織り込んでいたのに対し、「予想を上回る圧勝」がサプライズとして買いを誘発しました。

セクター別の恩恵と物色
恩恵が大きい分野:
防衛関連:防衛費の一段の拡大・装備更新需要への期待。
半導体・AI・デジタル投資:高市政権が重点投資分野として明示しているため、製造装置・半導体材料なども含めた広い半導体関連に資金流入。
インフラ・建設・内需:公共投資拡大や減税検討への期待から、建設、資本財、小売・サービスなど内需系にも買いが波及しました。
出遅れ修正:選挙前にイベント警戒で売られていた一部の金融・不動産も、「長期金利上昇=利ざや拡大」「デフレ脱却期待」を背景に買い直されましたが、国債利回り上昇を嫌気する向きもあり、反応はセクター内でまちまちでした。

金利・為替と「高市トレード」のセット
為替:高市政権誕生以降、円は対ドルで約6%下落し、大勝後も一時1ドル=156円台〜160円近辺まで円安が進行しました。
ただし、金曜には、152円台へ円は上昇。これは円売りポジションの偏り解消と利益確定により円買い戻しが優勢になったことと、日本のインフレや賃金指標が底堅く、「2026年内に複数回利上げもあり得る」との見方が強まり、日銀の追加利上げ期待が上昇していることによる。
債券:10年国債利回りは2.2%台後半まで上昇し、追加国債発行や財政拡張への警戒がじわじわと織り込まれています。

高市トレードの評価と今後の論点
ポジティブ要因:
 政治的安定と政策遂行力の強化(下院2/3超)により、設備投資・防衛・成長分野への支出が加速するとの期待。
 デフレ脱却路線の定着と、企業収益拡大(円安による外需企業の増益、内需の需要押し上げ)への期待。
リスク要因(高市トレードの「裏面」):
 行き過ぎた財政拡張がインフレ・長期金利上昇を招き、株式のバリュエーションを圧迫する懸念。
 円安が160円台を超えるような水準まで進行した場合、実質所得低下や輸入インフレを通じて内需にマイナスもあり得るとの指摘。

プロの投資家の間では、「自民党大勝→高市トレード再加速→短期的には日本株に強い追い風だが、中長期はインフレ・金利・財政規律との綱引きになる」という見方が多く、現時点では株式市場が最も素直に好感しているフェーズと整理できます。

【金利・為替市場】
 2月9〜13日の局面は、「日米とも長期金利がやや低下するなかで、日米金利差縮小期待とポジション調整を背景に、急激な円安が一服し円高方向に振れた週」と整理できます。

円ドルレートの動き
レベル感
2月上旬のドル円は、おおむね1ドル=156〜157円台からスタートし、高市トレード再加速と米金利の高さを背景に円安方向に振れた後、週半ば以降は155円台前半〜半ばに戻るなど、やや円高方向へ調整しました。
2月9日終値は約156.1円、11〜13日にかけては153〜155円台方向へじりじりと押し戻されており、「円安一方向」から「往って来い」に近い形です。
方向性
1月中旬にかけては159円台まで円安が進んでいたのに対し、1月末〜2月は152〜157円レンジ内での推移となっており、「極端な円安水準からはやや円高方向へ修正」というトレンドです。

日米長期金利の動き
米10年国債利回り
 2月9日時点で米10年は4.19%前後で、その後CPIを含む指標発表を通じて4.05%近辺まで低下しました。CPIは「インフレ再加速ではない」と受け止められ、FRBの早期大幅利下げ観測はなお限定的なものの、「これ以上金利が大きく上方向に行くリスク」はいったん後退し、利回りは小幅に低下しました。

日本10年国債利回り
 日本の10年JGBは、1月19日に一時2.33%と27年ぶり高水準を付けた後、財政への過度な警戒がやや後退し、2月13日時点では2.21%前後まで低下しました。それでも水準としては歴史的に高く、日銀のマイナス金利解除・利上げ継続期待が残っていることを反映しています。

金利と円相場の関係(今回の局面)
日米金利差の「縮小方向」
 米10年は4.1%前後から4.0%前後へ、日本10年は2.2%台後半から2.2%前後へと、双方とも若干低下しましたが、米側の低下幅の方がやや大きく、「長期ゾーンの日米金利差はわずかに縮小」した方向です。このため、金利差拡大に賭けたドル買い・円売りポジションの一部が巻き戻され、円買いが入りやすい地合いになりました。

「高市トレード」のポジション調整
 高市トレードとして積み上がっていた円売り・日本株買い・JGB売りのうち、為替と債券については「一気に円安・金利上昇が進みすぎた」との警戒感から、週後半にかけては円買い戻し・JGB買い戻し(利回り低下)の動きが出ました。

介入警戒ゾーンからの反転
 ドル円が1月に159円台まで円安が進んだことで、「160円に近づけば当局の口先介入・実弾介入リスクが高まる」という意識が強く、2月に入ると上値が重くなっていました。
 そこへ米金利低下・日米金利差縮小の思惑が重なり、「テクニカルな天井感+介入警戒」から円高方向への瞬間的な変化が起きやすい条件が整っていたといえます。

まとめのイメージ
ドル円は1月の極端な円安水準(159円台)から、2月第2週には155円前後まで円高方向に修正。米10年は4.2%→4.0%台前半、日本10年は2.3%→2.2%前後と、双方とも利回り低下だが、相対的には「金利差縮小方向」。その結果、「高市トレードで進みすぎた円安・金利上昇」を一部巻き戻す形で、金曜にかけて円高・金利低下(特に米側)が同時に進んだ、と整理できます。

【PE市場、プライベートクレジット市場の動き】
 機関投資家の資金アロケーションの観点から整理したい。機関投資家のフローという観点では、「ヘッジファンドへの新規・追加アロケーションがやや優位、PEはロックアップと分配停滞で重く、プライベートクレジットは高止まりしつつも伸びが鈍化」という絵姿が見えます。

ヘッジファンドへのアロケーション動向

  • 2025年はヘッジファンドに約250億ドルの純流入があり、回答したアロケーターの55%がネットで増額。

  • 2026年は回答者の64%がさらにネットで増額予定と回答しており、推計240億ドル規模の純流入見込みとされています。

  • FundFireなどの調査では「オルタ全体の比率は大きく変えないが、PEにロックされた資金が多いため、余剰キャッシュはヘッジファンド側に回っている」とのコメントも出ています。

  • 背景には、2025年のリスク調整後リターン(キャッシュ+400〜600bp)と、マクロ・イベントドリブン環境でのヘッジファンドの「ボラ・ヘッジ+α」機能への期待があります。

PEとの比較:「配当は細るが、アロケーションは縮まない」

  • マッキンゼーの2026年PEレポートでは、2025年のPEはディストリビューション減少とエグジット停滞で「DPI不足・ロックアップ長期化」が課題とされています。

  • その結果、「新規コミットはトップティア大型ファンドに集中し、中堅以下のファンドレイズは厳しい」という“バリューシフト”が鮮明になっており、LPは規模・実績重視にシフト。

  • ただし、年金・ソブリンなどの戦略アロケーションとしてのPE比率そのものを大きく削っているわけではなく、「新規ドライパウダー抑制+既存コミット消化」で横ばい〜緩やかな増加というスタンスが多いとされています。

  • その間の「流動性確保・ボラ対策」の受け皿として、ヘッジファンドが相対的に選好されている、という整理が多いです。

プライベートクレジットとの比較:高水準キープだが、ヘッジファンドと奪い合い

  • プライベートクレジットは、2025年までにダイレクトレンディング残高1兆ドル超、オルタ内の中核アセットとして「コア・アロケーション化」しています。

  • 2026年アウトルックでは、「リファイの波と新規LBO需要が供給を上回る=投資機会は豊富だが、北米コア直貸しはコモディティ化が進み、欧州やニッチ戦略にシフト」というトーン。

  • アロケーション面では、「既に目標比率に近づいている/達している」機関投資家が多く、PE同様に増加ペースは鈍化、ヘッジファンドとの“マージンの奪い合い”の様相を呈しています。

  • 一方、ウェルス/リテールチャネルからのフロー(BDCs、インターバルファンド等)は高成長継続とされ、機関マネーというより「個人マネーがプライベートクレジットを支え、機関は相対的にヘッジファンドへ」という構図も指摘されています。

ざっくりした位置づけ

  • ヘッジファンド:

    • 資金フローはプラスに転じ、2026年も追加アロケーション意向が優勢。

    • マクロ・マルチストラテジー・L/Sなど、ボラ環境を前提とした戦略に期待が集まる。

  • PE:

    • ロックされている既存コミットが重しで、新規の増額余地は限定。

    • ただし長期アロケーションとしての位置づけは不変で、大型・トップティアへの集中が進行。

  • プライベートクレジット:

    • 既に「持ち高十分」な機関投資家が多く、アロケーションは高水準横ばい。

    • リファイの波とセカンダリー拡大で投資機会は豊富だが、新規資金の伸びはヘッジファンドほど強くない、という評価が多いです。

要するに、「オルタ全体の比率は維持しつつ、流動性と機動性を求めて、周辺マージンがややヘッジファンド側にシフトしている」というのが、足元2026年初の一般的な描写と考えてよさそうです。

2026年2月14日 土曜日 晴れ

12:00 Noon 気温13度@大田区 暖かい日です