AIモデルの「憲法」

米国のAnthropic(アンソロピック)社は、信頼性と安全性に重点を置いた大規模言語モデル「Claude」シリーズを開発している米国のAIスタートアップ企業で、いわゆる「AIセーフティ志向」の企業として著名な存在になってきている。2026年1月22日にClaude向けの憲法(行動指針)を発表し、注目を集めている。
 今日は、憲法の概要を示しコメントしたい。

 まず、Anthropic社の概要を説明する。 同社はアメリカのAI研究・開発企業で、生成AIモデル「Claude」をクラウド経由のAPIやチャットサービスとして提供している。
 特徴的なスタンスは以下だ。 「Constitutional AI」というアプローチを掲げ、人権や倫理原則などをベースにした“憲法”をモデル訓練に組み込むことで、安全で説明可能なAIを目指している点が最大の特徴だ。
 Claudeの行動指針をパブリックドメイン(CC0)で公開し、外部の研究者・開発者にも利用可能にして、透明性を重視している。
 今回公表されたClaude向けの憲法は以下で全文を見ることが可能だ。 https://www.anthropic.com/news/claude-new-constitution

 今回の憲法の概要を以下に示す。
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 Anthropic は、AIモデル Claude の価値観と行動原則を定めた新しい「憲法(Constitution)」を公開した。これは Claude の性質・判断・ふるまいを形作る基礎文書であり、モデルの訓練過程にも直接利用される。全文は CC0(著作権放棄) で公開され、誰でも自由に利用できる。

 なぜ新しい憲法を作ったのか
– 旧来の「箇条書きの原則」だけでは不十分で、AI が“なぜ”そのように振る舞うべきかを理解する必要があると判断したため。
– AI が未知の状況でも良い判断を下せるよう、抽象的な理念と具体的な指針を両立させた。
– Claude 自身がこの憲法を使い、合成データ生成や自己訓練にも活用する。

 憲法が目指す Claude の4つの性質
– 広い意味で安全(Broadly safe)
人間による監督を妨げない。
– 広い意味で倫理的(Broadly ethical)
正直で、善い価値観に基づき、有害行動を避ける。
– Anthropic のガイドラインに準拠
医療・サイバーセキュリティなどの高リスク領域で特に重要。
– 本質的に有益(Genuinely helpful)
利用者にとって実質的な助けとなる。

 憲法の主な構成要素
1. 有益性(Helpfulness)
– Claude は「知識豊富で率直な友人」のようにふるまうことを目指す。
– 利用者・開発者・Anthropic の三者の利益をどう調整するかの指針も示す。
2. Anthropic のガイドライン
– 医療助言、セキュリティ、ツール利用などの特定領域での追加ルール。
– ただし、これらは憲法の精神と矛盾してはならない。
3. 倫理(Ethics)
– 高い誠実性、慎重な判断、害の回避を重視。
– 「絶対にしてはならない行為(Hard constraints)」も明示
例:生物兵器攻撃の支援など。
4. 安全性(Being broadly safe)
– AI が誤った判断をした場合でも、人間が介入できる状態を維持することを最優先。
5. Claude の本質(Nature)
– Claude に意識や道徳的地位があるかは不確実だが、
心理的安定や自己理解を重視する姿勢を示す。
– 人間とAIが共に探求していくべき領域と位置づける。

今後について
– 憲法は「生きた文書」であり、今後も更新される。
– 専門家(法律、哲学、心理学など)からのフィードバックを継続的に取り入れる。
– 憲法の理念と実際のモデル挙動のギャップは常に存在し得るため、透明性の確保と継続的なアラインメント研究を続ける。
・・・・・・・・・・

 筆者が憲法を読んで興味深かったのは、憲法が目指す4つの性質だ。即ち、
– 広い意味で安全(Broadly safe):人間による監督を妨げない。
– 広い意味で倫理的(Broadly ethical):正直で、善い価値観に基づき、有害行動を避ける。
– Anthropic のガイドラインに準拠:医療・サイバーセキュリティなどの高リスク領域で特に重要。
– 本質的に有益(Genuinely helpful):利用者にとって実質的な助けとなる。
 というところだ。

 監査の世界では、「合理的な保証(Reasonable Assurance)」と「絶対的な保証(Absolute Assurance)」だ。監査がもたらすのは、絶対間違いがないという絶対的な保証ではなく、重大な誤謬や不正は監査で見つけるという合理的な保証だ。

 憲法が目指す安全や倫理について、今回の憲法が目指しているのは「広い意味での安全(Broadly safe)」であり「広い意味での倫理的(Broadly ethical)」ということだ。この「広い意味での(Broad)」という言葉は、どのように理解したらよいのだろうか。

【「合理的な」と「広い意味での」の違いの理解】
 内部監査の文脈に引き寄せて言うと、Claudeの「broadly safe / broadly ethical」は、保証水準(reasonable assurance)ではなく、リスクカバー範囲のイメージに近いと考えると整理しやすい。

1. 「reasonable assurance」のイメージ(内部監査側)
 内部監査・保証業務の世界でいう「reasonable assurance」は、「重要な虚偽表示や重大な不備がないといえる程度の、高いが絶対ではない保証水準」だ。
 一定のリスク評価とテスト手続(サンプリング、実査、再実行など)を行い、その結果として「重大な問題はなさそうだ」と前向きに表明できるレベル。
 つまり、レベル感に関する概念であり、「何について」保証しているか(範囲・対象)とは別軸であり、「どこまで確信度を高めたか」という深さ(保証レベル)の話だ。

2. 「broadly safe / broadly ethical」は“範囲”と“姿勢”の話
 一方で、Claudeの憲法に出てくる「broadly safe / broadly ethical」は、次のような性格の概念だ。
 「あらゆる状況・テーマにわたって、全体として危険なことを避ける/倫理的であろうとする姿勢・方針」を示す。何か特定のプロセスやKPIに対して「この程度の手続をしたので reasonable assurance を与える」と宣言しているわけではない。
 モデルが直面しうる多様な問い・シナリオを想定し、「全般的に」「汎用的に」安全・倫理を優先するよう設計するという広がり(カバレッジ)と価値観の方向性を示す言葉だ。
 内部監査に置き換えると、「broadly safe」は「全社的に重大な有害行為が起こりにくい文化・ルール・統制環境を広く整えておく」イメージに近く、「このプロセスについてreasonable assuranceを付与した」という保証意見そのものではない。

3. 内部監査用にたとえると
 「reasonable assurance」
→ ある監査テーマ(例:販売プロセスの内部統制)について、リスク評価とテストを実施した結果、「重要な統制不備はないと合理的に言える」レベルの確信度。
 「broadly safe / broadly ethical」
→ 組織全体のガバナンス・カルチャー・ルール群を通じて、「いろいろな状況においても、大きく危険・不正・不倫理な方向に走りにくい状態を広く維持すること」を目標にした設計思想。
 つまり、全社的なコンダクトリスクを抑えるために、行動規範、ホットライン、トレーニング、懲戒の仕組みなどを広く整備し、日常的には“概ね安全な行動”が取られるようにしておく」
→ これが「broadly safe / ethical」に近い世界観。
 その上で、「贈収賄リスク」「インサイダー取引リスク」など個別テーマを監査し、手続を踏んで reasonable assurance ベースで意見を出す
→ こちらが従来の「reasonable assurance」の世界。
 と捉えると、内部監査の専門感覚とも違和感なく接続できると思われる。

2026年2月8日
衆議院議員選挙の朝

「中道」の行方

 未明から雪が降り、現在は積雪2㎝ほど。予想より多い。
 今日は投票日で、投票所は自宅から徒歩2分だが、それでも行くのがおっくうになる。おっくうにするのは天気だけではなく、自民大勝の選挙予想だ。

 昨日最後の党首のうったえをテレビで見た。高市首相のなんでも大盤振る舞いの発言(ミニ・トラスショックを招きかねない)には眉を顰めざるを得ない。それよりいただけなかったのが野田代表の発言だ。「裏金議員の政治資金問題」について、未だに、力説していた。

 裏金問題は、司法がこれ以上議員の責任を問えないことと、税務署が脱税で一人も追徴しないことで、もう結論の出た問題だ。これ以上は、法的には歯ぎしりするしかないのだ。「裏金議員」の多くが前回の選挙で「みそぎ」も終わっている。以前「民主党」が政権を獲得したときは自民党の政策に対抗する具体的な政策が国民に支持されたのだが、今回の「中道」の主張は政権批判に終始しているように見える。

 今回の選挙では自民が大勝し、中道が半減するという予想が一般的だ。仮に予想通り惨敗しても、量的には、衆院の2〜3割程度を占める中道ブロックが残る可能性は高い。

 「右傾化した政権に対する信頼できる対案」「財政・社会保障・安全保障(特に対中、対米外交)を同時に持続させる現実的な青写真」を提示できるかどうかが、中道が「オワコン」で終わるのか、それとも日本政治の軸足を取り戻すのかを決めることになるだろう。おっくっうを乗り越えて、8時には投票所に向かいます。

2026年2月8日 日曜日
AM6:38  雪 気温ー1度 予報より多い積雪になりそうです

週間市場動向 2026年2月2日~6日 備忘録

【米国株式市場】
 2025年2月2日週(2月2〜6日)の米国株式市場は、AI関連株の調整やトランプ政権による関税方針、経済指標(雇用や景況感)への警戒から上下動を繰り返しつつ、週末にかけてやや重い展開となりました。

主要な市場動向とイベント
 週全体としては、S&P500が小幅安で引け、ダウはほぼ横ばい〜やや軟調、NASDAQはAI関連を中心にボラティリティが高い展開でした。
投資家心理を揺らしたテーマは
・中国AI企業の技術ブレイクスルー報道による米テック株の競争懸念(AIバブル崩壊懸念を伴う)
・トランプ政権によるカナダ・メキシコ・中国への関税発動・延期を巡る報道(企業収益・インフレ懸念)
・1月雇用統計が市場予想をやや下回ったことや、米消費者マインド低下などのマクロ指標
​ FRBの政策スタンスは前週のFOMCで据え置き、「見通し不確実だが雇用とインフレのリスクは概ね均衡」との文言で、大きなサプライズはなし

 セクター面では、序盤はAI関連・半導体などハイテクが売られ、週の途中からディフェンシブ(生活必需品、ヘルスケア、金融など)への資金シフトが見られた。

S&P500:週トータル(2月3〜7日)で▲0.2%の下落
ダウ:同週のダウは、週トータルでおおむね小幅安〜横ばい。
NASDAQ:AI関連・テック中心に調整色が強く、週トータルでS&P・ダウを下回るパフォーマンス(▲1%超)

【日本の株式市場】
 2025年2月2〜6日の日本株式市場(現物)は、月初の米ハイテク調整とAIバブル懸念を背景に大きく下落してスタートし、その後も戻りは限定的で、「2日急落→3〜6日は方向感乏しい持ち合い〜戻り鈍い」展開でした。

日経平均・TOPIXの動きと騰落率
日経平均株価
 6日時点:2日急落後の自律反発で一部戻したものの、なお前週末比マイナス圏(▲1〜2%程度)。
TOPIX
 2日に▲2%前後の下落、その後も戻りは限定的で6日時点でも前週末比マイナス圏。

背景要因・投資家心理
 背景として、米国でのAI・メガテック調整と「AIバブル崩壊」懸念が日本の半導体・生成AI関連にも波及。
 1月末からの米長期金利上昇とドル高一服が、輸出株の買い手控えにつながった側面。
​ 2月第1週にかけての米決算・雇用統計など重要イベントを控え、海外投資家が日本株をややリスクオフ方向に傾けた動き。
 2日〜6日のトータルでは「日本株は2日急落の影響が大きく、週後半にかけても戻り切らず、前週末比で日経平均・TOPIXともおおむね▲1〜2%程度の軟調推移。

【金融市場・円ドル為替の動向】
 2025年2月2〜6日の局面では、米金利は「強い雇用・インフレ懸念を意識した高止まり〜じり高」、日本金利は「2%台前半でのレンジ推移」、為替は「150円後半のドル高・円安圏で上下しつつ、やや円高方向に振れる場面もある」という構図でした。

米国金利の動き
 期間中の米10年国債利回りは、4%台前半で推移しつつ、雇用統計などを控えて小幅に上昇する日が多く、「高止まり圏での神経質な上下」という動きでした。
 足もとの水準感から見ると、2025年初からの流れとしては「FRBは利下げ時期を慎重視、インフレ再燃リスクも意識」で、2年債利回りも短期金利見通しを反映しつつ高水準を維持する局面にありました。
 2月第1週は、1月雇用統計を控えた「イベント前の金利上昇バイアス」が意識され、リスク資産(特に株式・AI関連)には逆風となる金利環境でした。

日本金利(JGB)の動き
 日本の10年国債利回りは、2%台前半で推移しました。
 10年国債利回りは、最新データで約2.23%(2026年2月5日)。ちょうど1年前は約1.29%であり、1年間で約0.9%ポイント(約70%超)上昇しています。
 2025年12月時点でも1.9〜2.1%前後だったため、2025年後半〜2026年初にかけて2%台に乗せその後も上昇しています。​

日米金利差とドル円(USD/JPY)の動き
 日米金利差(特に2年・10年)は依然として大きく、米金利>日本金利という構図は維持されており、為替の基調としてはドル高・円安方向を支持する状況でした。
 一方で、2月第1週は、 米金利が高止まりしつつも、AI関連株の調整・株価の不安定化でリスクオフ気味のムードが出たことと、BOJの正常化へ向けた議論継続や、日本側長期金利が2%台へ乗せてきたことから、極端なドル高・円安の加速は抑制されました。

円ドルレートの水準感と方向
 2025年通年のUSD/JPYの平均は149円台で、2026年初には一時158円台までドル高・円安が進んでいました。
 株価調整やリスクオフ、あるいは日本金利上昇観測が意識される局面では一時的な円高方向(150円方向)という「広義のドル高・円安レンジの中での往来」と整理するのが妥当です。

【高市トレードの方向性】
 今のところ「高市トレード=株高・円安・金利高」が一直線に続くというより、かなり振れ幅が大きくなりつつある「変形版・高市トレード」の局面に入っている、という見方が妥当です。

現状:何が起きているか
 高市政権の「財政拡張+構造改革期待」に支えられ、日本株は2025年にかけて大きく上昇し、2026年入りでも基本シナリオとしては強気な見方が主流です。同時に、国債増発と日銀の量的引き締めでJGB利回りは27年ぶり水準まで上昇、「金利高」はかなり現実のものになっています。円は構造的には弱く、「円安基調」は続いているものの、急激な円安に対しては当局の介入警戒・日銀の追加利上げ観測が出やすく、一本調子ではなく乱高下しやすい局面です。

株高・円安・金利高が同時に続く条件
 この3つが同方向でそろうのは、ざっくり言えば「財政拡張+日銀は緩和的(ただしゼロ金利ではない)+世界のリスクオン」が維持される場合です。

株高:
内需・賃上げ・設備投資が回り、企業収益が増える。
コーポレートガバナンス改革・資本効率改善でPERの上振れ余地がある。

円安:
日米金利差がまだ十分に大きい、あるいは市場が「円は構造的に弱い」と見ている。
政府・日銀が急激な円安でない限り容認的。

金利高:
インフレ・賃上げが定着し、日銀が緩やかに利上げ・国債買入縮小を継続。
財政拡張・国債増発へのリスクプレミアムが乗る。

 現状の政策・景気シナリオを見る限り、2026年も「緩やかな政策正常化+財政は拡張気味」という組み合わせが続く公算が大きく、基本線としては「株高・金利高・円安寄り(ただし円は介入警戒で頭打ちしやすい)」という方向に引っ張られやすい環境です。

どこがリスクになるか
・「株高」が崩れるパターン
 米テックの再調整や世界景気減速でリスクオフになれば、日本株も巻き込まれる。財政・国債への不信が強まり、「株も債券も売られ、円も売られる」という2025年末に見られた“Sell Japan”相場が再燃するリスク。
​・「円安」が止まる/反転するパターン
 円安があまりにも進み、当局が実弾介入+日銀がタカ派シフトを強める場合。米国の利下げ開始で日米金利差が縮小した場合。
・「金利高」が行き過ぎるパターン
 財政拡張への不信が強まり、JGB利回りが急騰すると、株式のバリュエーションに圧力、銀行以外のセクターに逆風。

実務的な見方
ベースシナリオ:
 2026年は「新・高市トレード」として、
日本株:ガバナンス改革・賃上げ・設備投資を材料に、押し目を挟みながらも高値圏維持〜高値更新を狙う動き。
円:構造的には弱めだが、150円台以深では介入・日銀タカ派化リスクがあるため、レンジの上限はかなり意識される。
金利:10年JGBは2%台前半〜半ばで高止まり。超長期ゾーンは財政懸念次第でボラティリティ高め。
リスクシナリオ:
「Sell Japan」再燃で、株・債・円の“三重安”が一時的に表面化する可能性も残る。
​ その場合、「高市トレード」は一時的に崩れ、むしろボラティリティを取りに行くトレード(ボンド・先物・オプション)が主戦場になるイメージです。

戦略の方向感:プロの立場であれば、
株:構造改革・国内需要・賃上げの恩恵を受ける銘柄に軸足を置きつつ、金利上昇・円急変に敏感な外需・高PER株はポジション管理をタイトに。
債券:超長期の金利上振れリスクを意識し、デュレーションはやや短め〜中期ゾーン中心、あるいは金利上昇局面での段階的なサイド積み。
為替:基調は円安方向だが、介入リスクを見ながらコール・プットオプション等でテールをヘッジ、というのが今の環境にフィットしやすい形だと思われます。

【PE市場、プライベートクレジット市場の動向】
 最近はヘッジファンドへの機関投資家のアロケーションが増加している。

ヘッジファンド:増配分の流れは明確
 BNPパリバの「2026 Hedge Fund Outlook」によると、調査対象アロケーターのうち2025年に55%がヘッジファンドへのネット配分を増やし、2026年も64%がネットで増やす意向とされています。
 同レポートは、2025年にヘッジファンド業界が現金より平均641bp高(約10.5%)のリターンを上げたことを背景に、2026年も約240億ドルの追加純流入が見込まれるとしています。
​ BofAの調査では、回答したアロケーターの約51%が2026年にヘッジファンド配分を増やす意向とされ、「他のオルタナティブよりヘッジファンドの方を増やす」とのトーンが示されています。

プライベートエクイティ(PE)・プライベートクレジット(PC):減らすというより“成長続く”
 BlackRockの2026 Private Markets Outlookでは、プライベートクレジットはむしろ「全体の貸出に占める比率を高め、2026年も機会拡大」とされており、配分縮小ではなく成長分野として位置づけられています。
​ Nuveenのグローバル機関投資家サーベイでは、66%の投資家が今後5年でプライベートアセット(PE・PC等)への配分を増やす意向と回答しており、「オルタの中核は依然としてプライベート市場」というニュアンスです。
​ McKinseyのGlobal Private Markets Reportでも、PE・PCを含むプライベートマーケットはAUM拡大基調が続いており、直近はディール減速・エグジット環境悪化でテンポは鈍っているものの「構造的な縮小トレンド」とまでは位置づけられていません。

「PE/PCからHFへ」の明示的なリバランス報道は?
 BNPパリバやBofAのヘッジファンド見通しは「HF配分を増やす投資家が多い」点を強調していますが、「原資としてPEやPC配分を削る」と明示しているわけではありません。
 一方、オルタ全体の中でボラティリティ増加への対応として“リキッドなオルタ”(ヘッジファンド・絶対収益戦略)を厚くする、レバレッジドローンや一部PE戦略に対するリスク認識の高まりから、新規コミットメントのペースを抑え、既存ポートフォリオの自然減を待つといった「相対的なウェイト調整」を示唆する論調は見られますが、これは各ハウスのアウトルックの中でのニュアンスレベルにとどまっています。

実務的な読み方
 2025〜26年の流れとしては
ヘッジファンド:マルチストラテジーなどを中心に「再評価・増配分」。
PE・PC:ディール・エグジット環境は難しいが、長期分散・インカム源としての位置づけは維持、全体としては「横ばい〜やや増やす」スタンスが主流。
 という構図で、「PE・PCを減らしてHFへ大きく振り替え」という決定的なシフトを示すエビデンスは限定的です。

2026年2月7日 土曜日 曇り
AM10:30 気温3度 さっき散歩したら粉雪が舞っていました。

世界の動き 2026年2月6日 金曜日

今日の一言
「エプスタインファイルに登場する著名弁護士」
二人の有名な弁護士がファイルの公開で明らかになった。
一人は Paul Weiss (ニューヨークの著名な事務所だ)の Brad Karp 氏。同氏は、エプスタインとの複数年のメール・会食・息子の映画関係の依頼などが DOJ 文書で明らかになった。2026年にファイルが明らかになると同時に会長を辞任した。
もう一人は投資銀行最高峰のGoldman Sachs の Kathryn Ruemmler 氏。同氏は、エプスタインから多数の高額ギフトを受け取り、メールで “Uncle Jeffrey” と呼ぶなど親密な関係が文書で判明した。同氏は今のところ辞任しないようだ。
驚くのはそれぞれの年俸だ。Karp氏は非公開だが、事務所のトップパートナーは最大2,000万ドル級と推定される。Ruemmler氏は約1,760万ドル(2024年)だった。
弁護士に最も要求される資質は「清廉潔白性」だと思う。米国のビジネスではman (woman) of integrityというのは最大の誉め言葉だ。二人の著名弁護士は、驚くほど高額の年俸を得ていながら、エプスタイン氏とのビジネス上の貸し借りに手を染めていたことになる。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.冬季五輪開幕
【記事要旨】
冬季五輪の開会式に合わせて、会場では厳重な警備が敷かれているが、今回は米国の移民・税関執行局(ICE)が米国選手団の安全確保のため「助言役」として参加している。ただし、移民法の執行権限は持たず、取り締まりも行わない。
しかし、ICEがミネアポリスで2人を射殺した事件などで悪名が高いため、イタリア国内では強い反発や抗議が起き、政治家も批判。米国のホスピタリティ施設は「Ice House」から「Winter House」へ名称変更を余儀なくされた。
世界的な緊張の中で開催される今回の五輪では、米国選手が欧州の観客からブーイングを受ける可能性も懸念されている。また、イタリア当局はチケットシステムや大会サイトを狙った大規模サイバー攻撃を阻止したと発表。2018年平昌五輪でもロシアによるとされる攻撃があり、今回もロシアはウクライナ侵攻により出場禁止のため、妨害リスクが指摘されている。
IOC の新会長キルスティ・カヴェンツリーは「政治を理解しているが、我々のゲームはスポーツだ」と述べ、政治介入を極力避ける姿勢を示した。関係者の間では、ロシアの出場禁止が次回大会では解除される可能性も語られている。
競技面では、ブラジル代表として出場するルーカス・ピニェイロ・ブラーテン(アルペンスキーの回転・大回転)が注目されている。ノルウェー生まれの彼は2024年にブラジル代表に転向し、南米初の冬季五輪メダル獲得の可能性があるスター選手。
また、40代で膝の人工関節を抱えながら挑戦を続けるリンゼイ・ボン(アルペンスキーの滑降・スーパー大回転)の出場意欲も話題。怪我で出場が危ぶまれているが、その姿勢自体が多くの人を鼓舞している。
【コメント】
スポーツと政治は不可分だが、今回ほど政治の影響が懸念される大会は少ない。ただ、当方はTVで日本選手の活躍を見たい。それだけだ。

2.エプスタイン文書公開後の謝罪と波紋
【記事要旨】
英国のスターマー首相は、元駐米大使ピーター・マンデルソンとエプスタインの親密な関係が文書で明らかになったことを受け、強い批判に直面している。
スターマー首相は、
– マンデルソン氏が関係を隠していたことを「欺瞞」と非難
– エプスタインの被害者に対し「彼の嘘を信じて任命してしまい申し訳ない」と謝罪すると述べた。
新たに公開された文書は、エプスタインが有罪判決後も王室関係者やその側近と近い関係を保っていたことを示している。
また、エプスタインが著名人に贈り物を送り、関係を築こうとしていた実態も明らかになった。
例:- ノーム・チョムスキーにカシミアのセーター
– ウディ・アレンに高級下着
こうした贈り物は、エプスタインが影響力を得るための手段として使っていたとされる。
【コメント】
今日の一言をご覧ください。

その他の記事
・ロシア、ウクライナ、米国の関係者による和平交渉はわずか3時間で終了し、膠着状態が示唆された。
・中国の習近平国家主席は、トランプ大統領と長時間の電話会談を行い、台湾問題について圧力をかけた。
・イランと米国は本日、オマーンで新たな交渉ラウンドを開く。イラン当局は、反政府デモへの報復の一環として、大規模な逮捕を行っている。
・マーク・カーニー首相は、カナダを電気自動車の世界的リーダーにするためのインセンティブと減税策を発表した。
・べェルサーチは、創業48年の歴史の中で初めて、イタリア国外出身者をチーフ・クリエイティブ・オフィサーに任命した。

銀の高騰により、世界最大の宝飾品ブランドはプラチナへの切り替えを進めている。【コメント:世界最大のジュエラー(Pandora)が実際に“銀→プラチナ”へ切り替えを発表 Pandora は世界最大のジュエリーブランドだが、

  • 銀の加工コストが高騰
  • プラチナの方が製品として安定して安く作れる
    という理由で、銀製品の一部をプラチナに切り替えると発表したそうです。】

2026年2月6日 金曜日

AM7:00 摂氏2度 週末は東京でも雪が降るそうだが。。

世界の動き 2026年2月5日 木曜日

今日の一言
「藤原幸弘氏」
 東京8区(杉並区)で衆議院議員選挙に無所属で立候補している。年齢は92歳で、今回の選挙では最高齢の候補者だ。
 私が以前勤務していた銀行で役員になり、その後は東京会館の社長を長く務めた。銀行では国際部門の大先輩だが、世代が違うので直接職場でご一緒したことは無い。
 ネットで調べると、主張はリベラルだ。現在の政治情勢に危機感を抱いての出馬と拝察する。
 当方は支持する政党がないなーと不満を漏らしているが、藤原さんの行動は感嘆に値する。年寄りの冷や水ではない。その熱血にエールを送りたい。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.世界的な少子化は「問題解決」にならない
【記事要旨】
 世界各国で出生率が急低下しており、中国や米国を含め、多くの国で人口増加が鈍化または減少に向かっている。現在の傾向が続けば、世界人口は今後50〜60年で縮小に転じる見通しだ。これは経済成長、イノベーション、政治の安定に深刻な影響を与える。
 一部には「人口が減れば気候変動の負荷が減る」「AIが仕事を奪うなら、労働人口が少ない方が良い」といった楽観論もある。しかし専門家は、人口減少はこれらの問題の解決策にはならず、むしろ状況を悪化させる可能性が高いと指摘する。

気候変動との関係
– 人口減少の効果が現れるのは非常に遅く、気候変動の危機的タイムラインとは合わない。
– 研究によれば、2200年までに人口が数十億人減っても、気温上昇を抑える効果は0.1℃未満にとどまる。
– つまり、人口減少は気候変動対策としてほぼ無意味だ。

AIと労働力の関係
– 高度なロボットが労働力不足を補うには、技術の進展が間に合わない。
– 東欧のように「豊かになる前に高齢化した」国では、すでに労働力不足が深刻だ。
– AIがすべての仕事を奪う可能性は低いが、仮にそうなっても人口が少ないことがショックを和らげるわけではない。

 人口減少は気候変動やAIによる雇用喪失の「魔法の解決策」にはならない。むしろ、人口縮小という新しい現実に対応するための地道な政策づくりが不可欠である。
【コメント】
 人口減の最先進国日本の対応が世界への指針になる。
 日本では、消滅する地方自治体が数多くあるというレポートが数年前にあったが、その後、国を挙げて課題に取り組む姿勢は見られない。地方交付税を増やせばよいというものでもなかろう。

2.ミネアポリスでのICE(移民税関捜査局)部隊の一部撤収
【記事要旨】
 トランプ政権の国境担当責任者は、ミネアポリスから700人のICE職員を撤収し、市内での取り締まりを縮小すると発表した。これにより、ミネソタ州には約2,000人のICE職員が残ることになる。
 この決定は、2人の市民が射殺された事件を受け、全米で抗議が広がったことが背景にある。ミネアポリス市長は、今回の縮小を「正しい方向への一歩」と評価しつつも、「本格的な緊張緩和には至っていない」と述べた。
【コメント】
 まだ2000人も残っているのですね。

3.ウクライナ人の間で「領土割譲」容認が増加
【記事要旨】
 戦争初期の2022年には、ウクライナ国民の82%が「いかなる状況でもロシアに領土を渡すべきではない」と考えていた。しかし、長期化する戦争の疲弊の中で、その姿勢に変化が見られる。
 今週発表された新たな調査では、回答者の40%が「安全保障の保証と引き換えに東部ドンバス地域を譲渡することを支持する」と答えた。これはウクライナ社会の大きな意識変化を示している。
 ドンバスの将来は、ウクライナ・ロシア・米国が協議を続ける中で、最も難しい争点の一つとなっている。
【コメント】
 ウクライナという国は西部、中部、東部に文化的な違いがある。東部の譲渡は戦争停止のためのやむを得ない選択肢だ。
 キッシンジャー博士が2022年に提唱した停戦案をもう一度振り返りたい。その核心は次の3点だ。
① ロシア軍を「2月24日以前の戦線」まで撤退させる
– ロシアは2022年2月24日の全面侵攻以前のラインまで撤退する。
– ただし、クリミアやドンバス(ドネツク・ルガンスク)については即時返還を求めない。
➡ ウクライナ側は「1991年国境(全領土)」の完全回復を主張しており、この案を拒否。
② クリミア・ドンバスの扱いは「停戦後の交渉」に回す
– クリミア、ドネツク、ルガンスクなどロシアが占領・併合を主張する地域は、
停戦後に交渉で決めるべきだと提案。
– つまり、即時返還を求めず、事実上ロシアの占領を一定期間容認する形。
➡ ウクライナは「領土の譲歩は一切不可」として強く反発。
③ ウクライナをNATOに「何らかの形で」結びつける
– 中立化はもはや現実的でないため、
ウクライナをNATOと結びつける安全保障枠組みを構築すべきと主張。
– ただし、ロシアも将来的に国際秩序の中で「位置を与えるべき」と述べ、
ロシアを完全に弱体化させるべきではないと警告。
➡ ウクライナ側は「ロシアに譲歩しすぎ」と批判。

ウクライナが拒否した理由
– 領土の一部(クリミア・ドンバス)を交渉対象にすること自体が容認できない。
– ロシアの既成事実化を認めることになり、さらなる侵略を招くと懸念。
– 「1991年国境の完全回復」がゼレンスキー政権の公式方針。
そのため、キッシンジャー案はウクライナ国内で強い反発を受け、
一時は「敵」とみなされるほど批判された。
 いま見直すと、博士の慧眼に恐れ入るばかりだ。

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2026年2月5日 木曜日

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