世界の動き 2025年2月20日 木曜日

今日の一言
「新ヤルタ会談」
ヤルタ会談は1945年2月にクリミア半島のヤルタでアメリカ(ルーズベルト)、イギリス(チャーチル)、ロシア(スターリン)が集まって、戦後処理を決定した首脳会議だ。
戦争相手国であるドイツと日本は招かれなかった。
ドイツ降伏後3カ月以内にロシアが日本に参戦する密約がなされた。
ウクライナが交渉に招かれず、戦後の領土の決定が3か国だけでなされた点が、いま進行している米露のウクライナ停戦交渉に類似している。
トランプは、「戦争を始めたのはウクライナだ」とか「ゼレンスキーの支持率は4%(実際は57%)だ」とかロシア寄りの言説をまき散らしている。
病身を押してヤルタ会談に参加しロシアに融和したルーズベルトの動きに似ているところも「新ヤルタ会談」と言われるゆえんだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ氏とゼレンスキー氏は激しく応酬
【記事要旨】
トランプ大統領は昨日、ウクライナのゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼び、米国から資金を受け取ってロシアと戦争したと述べた。ソーシャルメディアの投稿で、トランプ氏は2014年にウクライナの領土の一部を奪ったことについては言及しなかった。
トランプ氏はまた、ウクライナの将来の安全保障は米国の問題ではないと示唆した。
「この戦争は、我々よりもヨーロッパにとってはるかに重要だ」と、同氏はトゥルース・ソーシャルに書いた。「我々の間には大きくて美しい海がある」。
サウジアラビアでウクライナを除外した火曜日の米露和平会談後、トランプ氏はウクライナが戦争を始めたと示唆した。その後、ゼレンスキー氏は、トランプ氏が「偽情報の網に捕らわれた」と述べた。
EU: 昨日、トランプ大統領がロシアに接近する中、首脳らは米国との関係再調整を模索する2回目の緊急会議を開催した。
反応: ロシア人は、ワシントンとモスクワが関係を再構築しようとしている今、正常化が近いと期待している。ウクライナでは、多くの人がトランプ政権に幻滅しつつある。

トランプ大統領についてさらに詳しく:
・米国が最近パナマに強制送還した移民のうち100人近くが、ジャングル郊外の収容キャンプに移されたと、移民の何人かが語った。
・環境保護団体は、トランプ政権が広大な新地域を沖合の石油・ガス掘削に開放するのを阻止するために訴訟を起こした。
・ニューヨークの判事は、エリック・アダムス市長に対する汚職事件を取り下げるよう求めるトランプ政権の要請を検討している。
・トランプ大統領は、新しいエアフォースワンの遅延に憤慨している。彼は、最高顧問の一人であるイーロン・マスクに、ボーイング社にもっと早く行動するよう促すための抜本的な方法を見つける権限を与えた。
・トランプ大統領は、ニューヨーク市の渋滞料金制度を廃止するという政権の動きを称賛し、ソーシャルメディアで自分を王様にたとえた。
【コメント】
すべてやれやれだ。
日本にとっては自動車関税25%のほうが重大だ。

2.アラブの指導者たちはガザの将来に関する提案に取り組んでいる
【記事要旨】
アラブ5カ国の特使は明日サウジアラビアで会合し、ガザのビジョンを具体化することを開始する予定だ。彼らは3月4日にカイロで開催されるより大規模なサミットで再び会合する予定だ。
外交官や当局者によると、エジプト、ヨルダン、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦は、この地域の国々がガザの再建に資金援助し、監督するとともに、住民を定住させ、パレスチナ国家の可能性を維持することを期待している。しかし、イスラエルの指導者たちは、パレスチナの主権への道を開く戦後計画に反対している。
【コメント】
「中東のリビエラ」というトランプ発言は、中東の問題は中東が解決しろという意味だったのかとも思える。

3.トランプメディア、ブラジルの判事を提訴
【記事要旨】
トランプ大統領のメディア会社は昨日、ブラジルの最高裁判所判事を提訴し、ソーシャルメディアで右派の意見を違法に検閲したと非難した。この起訴状により、判事は元ブラジル大統領のジャイル・ボルソナーロ氏の逮捕を命じるかどうかの判断を迫られていた。
背景:ボルソナーロ氏は火曜日、2022年の選挙で敗北した後、判事暗殺計画への参加などクーデターを企てたとして起訴された。ボルソナーロ氏は先月、タイムズ紙のインタビューで、判事に対して行動を起こすようトランプ大統領に呼びかけていた。
【コメント】
同じことをした盟友を助けようとするトランプの動きだ。大統領選で勝たなければトランプも同じ運命をたどったはずだ。Lucky man!

その他の記事
ドイツ:
ネオナチや国家転覆の陰謀とつながりのある政党AfDの党首、アリス・ヴァイデルを紹介しよう。AfDは今週日曜日の選挙を前に世論調査で2位となっている。
アフリカ:
コンゴ民主共和国とルワンダはどちらも同じ湖に接している。ルワンダの湖岸ではジェットスキーやその他の水上アクティビティが楽しめる。コンゴでは死体が打ち上げられる。
宇宙:
天文学者によると、小惑星 2024 YR4 は、地球に衝突する可能性が最も高いと予測されている大型の宇宙岩石だ。危険性はまだ低い。

テクノロジー:
Apple は、Apple Intelligence と呼ばれる人工知能システムを搭載した 599 ドルの iPhone 16e を発表した。
ビジネス:
かつて大型トラックのテスラになることを夢見ていた電気自動車の新興企業ニコラは破産保護を申請した。

2025年2月20日 木曜日

世界の動き 2025年2月19日 水曜日

今日の一言
「優先順位」
 八潮市の下水管破裂による陥没事故については続報が少なくなったが、老朽化した下水道が消え去るわけでは無い。高度成長期に整備されたインフラの全てが更新の時期を迎えている。
 こうした際に聞かれるのは、そのための財源が無いという言い訳だ。
 一方、有権者の目につきやすい高校の無償化が私立高校にまで拡大されている。多子家庭の大学の学費補助、地方自治体独自の学費や生活費の支援策も盛りだくさんだ。
 国会の予算審議ではばらまく金額の多寡の議論ばかりで、そもそも限られた予算を何に振り向けるかと言う議論は聞こえてこない。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.アメリカとロシア、ウクライナ問題と関係の再構築について協議
【記事要旨】
 米国とロシアの高官は昨日、ウクライナ戦争の終結に向けて協力するだけでなく、金融投資と関係の正常な再構築でも協力することに合意した。
 サウジアラビアで行われたこの会議は、2022年のロシアのウクライナ攻撃後の西側のロシ孤立化させる努力と、米露関係を目まぐるしくリセットするものだ。 トランプ大統領は、ロシアへの制裁、孤独化、ウクライナへの武器供与を撤回する姿勢を示してきた。
 記者団に対して、米国主導者はロシアのウクライナ攻撃の国際法違反、告発されている戦争犯罪、ロシアの砲撃と爆撃によってもたらされたウクライナの荒廃については語らず、トランプの取組を称賛した。
 その他の議題: ロシアは、利益と資源に対するトランプ氏の関心に応え、米国の石油会社などがロシアで再びビジネスを行うことで数千億ドルの利益を得る可能性があると主張した。
 ゼレンスキー大統領は、ウクライナが交渉に招待されなかったので、自身のサウジアラビア訪問を延期した。

トランプ氏についてさらに詳しく
・ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は、保健福祉省の職員に対して、小児用ワクチンや精神科の薬も含めて課題は無制限だと話した。社会保障長官は、イーロン・マスク氏の効率化チームが数百万人の米国人の個人情報へのアクセスを求めた後に辞任した。
・CIAはフェンタニルの研究所を探すためメキシコ上空での秘密のドローン飛行を強化した。
・専門家は、トランプ大統領の保健福祉省への予算削減により、新たなパンデミックが発生した場合、米国人がより大きなリスクにさらされる可能性があると指摘している。
・ホワイトハウスは米国の学校に対して、助成金、雇用、その他のさまざまな活動で慎重を期すると警告した。
・何百人もの米国人アーティストが多様性「ジェンダーイデオロギー」に対するトランプ大統領の制限を撤回するよう芸術基金に要請した。
・トランプ政権の発表によって市場が不安定になる中、一部のテクノロジー企業は上場を延期している。
・ユタ州の中道右派政治家たちは、MAGA政治に対するモルモン信者の嫌悪感に支えられ、より穏やかで礼儀正しい共和主義を主張しようとしている。
・トランプ大統領の元ホワイトハウス首席戦略官、スティーブ・バノン氏はマスク氏を「寄生的な不法移民」と呼び、マスクとの確執を再燃させた。
【コメント】
 トランプの前のめりの姿勢はロシアを利するだけのように見える。戦闘をすぐ止めなければ倍返しするという姿勢が望まれるのだが。

2.ハマスはイスラエル人人質の遺体を返還すると発表
【記事要旨】
 ハマスの首席交渉官は昨日、パレスチナ人囚人の解放と引き換えに、明日イスラエル人人質4人の遺体をイスラエルに引き渡すつもりだと述べた。同氏とイスラエル首相府はまた、土曜日に解放予定の生存人質の数が3人から6人に増えると述べた。
 ハマスの交渉官は、世界的に最も有名な人質の一部であるビバス家のメンバーが、明日イスラエルに引き渡される4体の遺体に含まれると述べた。イスラエルはこの発表について確認もコメントもしていない。
 レバノン:イスラエル軍は昨日、イスラエルとヒズボラの双方が同地域から撤退する期限が過ぎたため、南レバノンの戦略的国境地点を制圧した。
【コメント】
 予定通り人質の解放は進んでいるようで、停戦は継続している。

3.米国からの返送移民はパナマに閉じ込められている
【記事要旨】
 トランプ政権は先週、アフガニスタン、イラン、中国からの数百人の移民をパナマに送り込み、武装した男たちが警備する一軒のホテルに閉じ込めた。パナマ当局が彼らの今後を決めることになる。
 ​​政府はジャーナリストをホテルから締め出したが、同僚たちはホテルに閉じ込められた数人と電話で話すことができた。彼らは恐怖と不安、自殺を図った強制送還者や、故郷で死が待っているのではないかと恐れた人々について語った。
【コメント】
 この辺の報道は日本では聞かれない。数万人の単位でこういう状況に置かれる移民が増加するだろう。

その他の記事
バチカン:
 フランシスコ法王は両肺に肺炎を発症し、健康上の問題のため週末の活動には参加しない、とバチカンは発表した。
ニューヨーク市:
 キャシー・ホックル知事はエリック・アダムズ市長の解任の可能性を提起し、今後の方向性について市の指導者らと会談した。
スーダン:
 スーダンの破滅的な内戦で権力を争う準軍事組織ラピッド・サポート・フォースは、分離政府を樹立する計画を発表した。

日本:沖縄の住民は沖縄の米軍基地を戦争と植民地主義の遺産とみなしているが、若い世代は中国の脅威も懸念している。

2025年2月19日 水曜日

世界の動き 2025年2月18日 火曜日

今日の一言
「デパート」
渋谷の東急本店跡地は複合高層ビルになり、その中にデパートは無いそうだ。
いまデパートに行って流行っているのは地下の食品売り場と上層階のレストラン街で、その他の売り場は閑散としている。
複合流通業の東急グループがデパートの出店を見送るとは、デパートと言う戦後の成長を牽引した一つの業界が終焉する時期が来た象徴的な動きだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.EU首脳が会合、米国がウクライナ問題で前進
【記事要旨】
トランプ政権がウクライナ戦争終結に向けてロシアとの独自の協議を開始する準備を進める中、欧州首脳は昨日パリで会合し、協調的な対応について協議した。首脳らは軍事費や、恒久的な停戦または和平協定が成立した後のウクライナの安全をどう保証するかといった問題も協議するとみられる。
しかし、戦争終結とはどのようなものになるのだろうか?現在、ウクライナにはロシアの戦場での最近の優勢を覆す選択肢はほとんどなく、いかなる合意もキエフが痛みを伴う領土譲歩を強いられることになる可能性が高い。
ロシアは1日あたり約1,000人の死傷者を出し、莫大な戦争費によるインフレの暴走で経済が打撃を受けている。和解が成立すれば、西側諸国の制裁緩和への道が開かれる可能性がある。
外交:ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は昨日、捕虜交換とロシアからのウクライナの子供たちの帰還をめぐるロシアとの会談のためアラブ首長国連邦を訪問した。

トランプ氏についてさらに詳しく
・ニューヨーク市長のエリック・アダムス氏の上級補佐官4人は、同氏がトランプ氏の国外追放を支持したため司法省が同氏の汚職事件を却下したことを受けて辞任する予定。
・トランプ氏が監視機関のトップを解任しようとしたことで、独立政府職員を解任する能力が初めて試されるのは最高裁である。
・元検察官や倫理弁護士によると、従順な議会を背景に、トランプ氏は自身の職権を自身の家族の事業利益のために利用している。
・就任後1カ月で、大統領は米国史上前例のない報復キャンペーンを展開した。そして、標的のリストは増え続けている。
・事情に詳しい関係者によると、イーロン・マスク氏の政府効率化チームのメンバーが、納税者の​​機密データにすぐにアクセスできる可能性があるという。
・カナダの首相選で最有力候補となっている保守派は、カナダ併合を誓うトランプ大統領の発言を懸念する有権者と対峙している。
【コメント】
NHKの「映像の世紀」プーチンとゼレンスキー ロシアとウクライナの100年は必見の番組だ。
『2000年、ロシアに47歳の若き大統領が誕生する。ウラジーミル・プーチン。19年後隣国ウクライナにコメディアン出身の大統領が誕生する。ボロディミル・ゼレンスキー。この百年、両国は3度戦火を交えてきた。一度目はロシア革命直後、ウクライナは独立を求め戦った。2度目は第二次世界大戦、ナチスの後押しを受けた市民がソ連に牙をむいた。そして3度目の今。二人の指導者が背負う、ロシアとウクライナの百年の歴史。』

2.米国特使がサウジアラビアの指導者と会談
【記事要旨】
マルコ・ルビオ国務長官は、他の2人の米国特使とともに昨日サウジアラビアで同国の事実上の指導者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談した。ルビオ氏とその同僚は、サウジ指導部に戦後のガザに対するビジョンを提案するよう迫るとみられている。
会談についての詳細はほとんど明らかにされていないが、皇太子がトランプ政権と協力できてうれしいと述べたビデオが公開された。トランプ氏はガザの人口削減と占領というアイデアで広く批判されている。
停戦:ベンヤミン・ネタニヤフ首相の閣僚らは、ハマスとの停戦延長交渉の進展について議論する予定である。
レバノン:イスラエル軍は昨日、本日の完全撤退期限が過ぎた後もレバノン南部の5か所に軍を駐留させると発表した。
ヨルダン川西岸:イスラエルが数週間にわたり数都市で実施した軍事作戦により、およそ4万人のパレスチナ人が家を追われた。歴史家や研究者らは、これは1967年のアラブ・イスラエル戦争以来、同地域で最大規模の民間人の避難であると述べている。
【コメント】
イスラエルの火事場泥棒的な軍事力の行使は酷いが、それを追及できない国際社会はもっとひどい。

3.中国の指導者が民間企業を歓迎
【記事要旨】
習近平国家主席は昨日、民間企業への支持を示すため、中国のビジネスリーダーらと会談した。アリババグループの創業者、ジャック・マー氏は、北京が2020年に馬氏のアントグループの340億ドル規模の新規株式公開を阻止して以来、習主席と初めて公の場に姿を現し、中国共産党より優位な企業はないというメッセージを送った。
一部の幹部は、習主席が民間部門を脇に追いやり、国有企業を優先した後、このサミットを軌道修正の兆しと見ていた。しかし、この会談が企業に前向きな変化をもたらすのか、それとも中国のより広範な経済問題への対処に役立つのかはまだ明らかではない。
関連記事:ドイツの自動車メーカーは、高級車の定義を電気自動車、スマート、手頃な価格に変えたライバルに中国市場を奪われつつある。
【コメント】
EV企業の育成では中国は大成功した。税制優遇と世界のEV化への動きを先取りしたのが原因だ。民間企業への抑圧姿勢を解除すれば中国はもっと強力になる。脅威だ。

その他の記事:
バチカン:
フランシスコ法王は先週末に入院し、一連の検査で「複雑な臨床像」が示された後、引き続き入院する予定であるとバチカンは発表した。
韓国:
政府は、データセキュリティ上の懸念から、中国企業ディープシークのチャットボットの新規ダウンロードを一時的に停止したと発表した。
南アフリカ:
同性愛者の権利とLGBTQイスラム教徒への寛容の促進に生涯を捧げたイマームが土曜日に射殺されたと警察が発表した。

日本:
数十年にわたり、円安は企業の競争力を高め、経済を活性化させた。しかし、一般家庭にとって、通貨安は生活を困難にするだけだった。

2025年2月18日 火曜日

世界の動き 2025年2月17日 月曜日

今日の一言
「株式市場の方向性」
 『トランプ大統領が鉄鋼・アルミニウム関税、および多数の貿易相手国への相互関税を発表したことで、世界的な貿易戦争のリスクは危険なほど現実味を帯びている。しかしS&P500種株価指数は先週、最高値に接近して終了した。発動の先送りや除外検討といった動きに好戦的な発言が織り交ぜられるなど、政権の政策がますます混迷しているためだ。この株価上昇に拍車をかけている買い手が、トランプ氏の動向を適切に判断しているのか、あるいは危険なほどに慎重さを忘れているのかが今問われている。』(Bloomberg記事より)
 米国の民主主義リーダーシップの不在による世界経済の混乱。相互関税による物価の上昇を考えれば株価の上値は重そうだ。第二のNVIDEAを捜すのではなく、健全に利益を成長させる企業を見極める能力がいま求められている。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ウクライナ協議から外され、EU首脳が再集結
【記事要旨】
 欧州首脳は本日パリで緊急会議を開き、ウクライナ戦争と欧州の安全保障について協議する予定だとフランス当局者が昨日発表した。目的は、トランプ政権が欧州とウクライナ抜きで戦争終結についてロシアとの協議を開始したことへの対応を調整することだ。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は週末のインタビューで、キエフが交渉に参加しなければ、米国とロシアが結んだ和平協定をウクライナは「決して」受け入れないと繰り返した。
 今後の予定: トランプ大統領の外交政策担当補佐官3人が今週後半にサウジアラビアでロシア当局者と会談し、戦争終結への道筋について協議する予定だ。
 安全保障: JD・ヴァンス副大統領とピート・ヘグゼス国防長官の最近の発言は、米国が欧州から離れてモスクワと足並みをそろえるのではないかという懸念をあおっている。こうした変化はこれまで考えられなかった勝利をプーチン大統領にもたらすことになるだろう。
 トランプ氏は、ウクライナに対し、過去および将来の米国の支援と引き換えに、鉱物資源の半分以上を譲渡するよう提案した。ゼレンスキー氏は、安全保障上の保証がないとして、こうした合意を拒否した。

トランプ氏についてさらに詳しく:
・トランプ政権の外交政策協定への取り組みは、過去の帝国主義的アプローチを復活させており、裏目に出る可能性があると専門家らは指摘する。
・トランプ氏はソーシャルメディアで、「国を救っている」のであれば、法律に違反することはない、と示唆した。
・ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は、移民の住宅費に充てられるはずだった8000万ドルの資金をトランプ政権が回収したことを受け、同政権を訴える意向であることが市役所からの書簡で明らかになった。
・JD・ヴァンス副大統領とイーロン・マスク氏はともに、ドイツの数十年にわたるヒトラーの再来を防ぐための政治的過激主義への取り組みを批判している。
・ホワイトハウスは、米国の貿易相手国に相互関税を課すプロセスを開始することで、不確実性をまき散らし、世界経済をひっくり返すリスクを負っている。
・トランプ政権の削減と連邦政府の人員削減で世界が混乱に陥る中、米国の科学者たちは戦略を練っている。
・トランプと民主党に腹を立てたリベラル派の寄付者は、資金を引き揚げている。
【コメント】
 このままでは第二次大戦前の「ミュンヘン会談」の二の舞になるのは確実だ。ウクライナはトランプにとっては支援対象ではなく経済的メリットを得るべき対象だ。

2.ルビオ氏はガザの将来について話し合うためイスラエルを訪問
【記事要旨】
 マルコ・ルビオ国務長官は昨日エルサレムでイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談し、ガザを占領しパレスチナ住民を追い出すというトランプ氏の呼びかけについて話し合った。
 ルビオ氏は今後数日中にサウジアラビアとアラブ首長国連邦に向かうとみられており、アラブ諸国の指導者らはトランプ氏のガザ計画についてより明確な説明を迫ることはほぼ確実だ。
 今後の展開:トランプ大統領の中東担当特使スティーブ・ウィトコフ氏は昨日フォックス・ニュースで、ガザ停戦合意の第2段階に関する協議が今週行われると述べた。ネタニヤフ氏の事務所は、イスラエルの指導者が合意の第2段階について話し合うため本日安全保障閣僚会議を招集すると述べた。
 人質:ハマスは土曜日にイスラエル人人質3人を解放し、イスラエルはパレスチナ人囚人369人を解放した。
【コメント】
 アラブ諸国のリーダーはどのように反論するのだろうか。行方に注目だ。

3.アジアで最も若い国の成長痛
【記事要旨】
 東ティモールは、インドネシアの残忍な占領の後、2002年に独立したアジアで最も若い国であり、最も貧しい国だ。同国の経済は石油とガスの収入に大きく依存しているが、それは急速に消えつつあり、同国の140万人の人口の40%以上が貧困状態にあると推定されている。
 しかし、他の基準では、東ティモールは成功している。同国は、回復力のある若い民主主義を築き、権力の複数回の移譲を伴う競争的な選挙を実施した。東ティモールは、報道の自由に関してアジアで最も高いランクにある。平均寿命は延び、現在、全国民が電力を利用できます。専門家は、同国は紛争後の若い国にとって前向きなケーススタディであると述べています。
【コメント】
1 面積
約1万4,900平方キロメートル(首都4都県(東京、千葉、埼玉、神奈川)の合計面積とほぼ同じ大きさ)
2 人口
約134万人(出典:東ティモール国勢調査(2022年))
3 首都
ディリ
4 民族
メラネシア系とパプア系が大部分を占める。その他マレー系、中華系等、ポルトガル系を主体とする欧州系及びその混血等。
5 言語
公用語は、テトゥン語及びポルトガル語。実用語に、インドネシア語及び英語。その他30以上の地方言語が使用されている。
6 宗教
キリスト教99.1%(大半がカトリック)、イスラム教0.79% (以上、外務省HPより)

その他の記事
コンゴ:
 戦闘員と住民のビデオによると、反乱軍は重要な貿易拠点であるブカブ市をほぼ抵抗なく占領した。
インド:
 クンブメーラ祭に向かう巡礼者の群れがニューデリーの主要鉄道駅で押し寄せ、15人が死亡したと当局者が語った。
オーストリア:
 当局者によると、シリア人亡命希望者がフィラッハでISISに触発されたナイフ攻撃で10代の若者を殺害、5人を負傷させた。

2025年2月17日 月曜日

トランプのPE/ヘッジファンド向け課税強化案

トランプは投資ファンド寄りの人間と思っていたが、PEファンドやヘッジファンドの運用者が成功報酬として計上する「キャリードインタレスト」(業界では通常キャリーと呼ばれる)への課税を強化する計画を推進しているというので驚いた。

キャリーは通常、投資家に示した投資運用の目安(例えば年率8%)を上回って運用が出来た際に、運用者が、上回った利回りの一定割合(例えば20%)を成功報酬として受け取るものだ。キャリーには通常20%のキャピタルゲインの課税がされ、事業収益とはみなされない扱いだ。

この扱いをトランプは税の抜け穴だとして塞ぐことを方針にしている。この間の事情をCNBCの記事から引用する。

『ドナルド・トランプ大統領は13日木曜日、共和党議員らと会談し、ウォール街で人気の税制の取扱いを廃止する計画を含む税制政策の概要を説明した。
「キャリード・インタレストの抜け穴」とは、プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、ヘッジファンドのマネージャーが受け取る特定の報酬に対して、税制優遇措置を提供することを指す。
投資ファンドのゼネラル・パートナーGPは、キャリード・インタレストと呼ばれる仕組みでファンドの収益の一部を受け取る。これは3年以上保有すると長期キャピタルゲイン税率で課税される。
高所得者はキャピタルゲイン20%と純投資所得税3.8%を支払う。一方、通常の所得に対する最高税率は2025年で37%である。
投資マネージャーGPの収益の大部分はキャリード・インタレストから得られる。
キャリード・インタレストの批判者は、これらの収益はキャピタルゲイン優遇措置を受けるのではなく、給与のように通常の所得税率で課税されるべきだと主張する。
この問題は超党派で何度も取り上げられてきたが、業界のロビイストからは一貫して反対の声が上がっている。
「我々はトランプ政権と議会に対し、雇用、労働者、中小企業、地域社会を支援するこの健全な税制政策を維持するよう促す」とプライベート・エクイティを代表する業界団体、アメリカ投資協議会は声明で述べた。』

ファンドの申し子のようなトランプ氏がキャリーへの優遇課税に反対するのは驚きだが、第一次政権でもそうしようとした実績がある。その際は反対が多く実現しなかったが、今回はどうなるのだろか。

実現すれば所得再分配の観点から投資課税全般の見直しに飛び火しかねない動きであり注目すべきだ。

2025年2月16日 日曜日