【総論】
11月は、米国株は「やや軟調〜まちまち」、日本株は「中旬以降の調整で月間マイナス」という動きでした。 主要指数の月間騰落率は概略ベースで、米国は小幅なプラス・マイナスが入り混じり、日本は日経平均が▲4%前後、TOPIXがやや小さめのマイナスです。
米国株式市場(11月全体)
S&P 500 は、月末にかけての反発で「ほぼ横ばい〜ごく小幅なプラス」で11月を終えた。
ダウ平均(Dow Jones Industrial Average )は、月間を通じて相対的に底堅く推移し、11月トータルではプラス数%。
ナスダック総合(Nasdaq Composite)は大型テックの調整の影響で他指数より弱く、11月は▲1〜2%程度の下落。7カ月続いた上昇トレンドに一服感が出た。
日本株式市場(11月全体)
日経平均株価(Nikkei 225)は、11月5日前後にAI・半導体関連の急落を伴う大きな調整があり、月間では▲4%前後の下落で「2011年以降で最も厳しい11月」。
TOPIX は構成銘柄の裾野が広いぶん日経平均より下落が緩やかで、月間では▲3%前後のマイナス。AI・高PER銘柄中心の調整という色彩が強かった。
背景要因の概略
米国では、AI関連・大型テックのバリュエーション警戒や、Fedの追加利下げペースに対する思惑が交錯し、途中の急落と月末のリバウンドが混在する「ボラティリティの高い1カ月」となりました。
日本では、年初からの大幅上昇で偏っていたAI・半導体・高額値がさ株への「ポジション調整」が11月に顕在化しつつ、米利下げ期待や国内景気指標の底堅さが中下旬の押し目買いを支えた形です。
【金利と為替】
11月は、米金利は「やや低下」、日金利は「緩やかに上昇」、為替はドル高・円安基調(USD/JPY上昇)という組み合わせでした。 概略として、米10年金利は4%前後に低下、日10年金利は1.8%近辺に上昇し、ドル円は153円台前半から156円台方向へ円安が進行しました。
米国金利(11月)
米10年国債利回りは11月末時点で約4.0%(4.02%)で、月間ではおおよそ▲0.06%ポイント低下(4.08%→4.02%程度)と報じられ、FRB追加利下げ期待が長期金利を押し下げました。
イールドカーブ全体では2年〜10年スプレッドのマイナス幅がやや縮小する動きが続き、景気減速懸念と利下げ観測を背景に中長期ゾーン中心に利回り低下圧力がかかりました。
日本金利(11月)
日本の10年国債利回りは、11月末に約1.81%とされ、1カ月で約+0.15%ポイント上昇(おおよそ1.66%→1.81%)しており、YCC終了後の「長期金利の自律的な水準調整」が続いた形です。
政府の大型経済対策や国債増発観測に加え、インフレ率の高止まりを背景に、日銀の長期的な正常化を意識した金利上昇圧力が意識されています。
為替(ドル円)(11月)
USD/JPYは、11月1日時点で1ドル=約153.99円から月末には約156.1円へと上昇し、月間でおおよそ+1〜1.5%程度のドル高・円安となりました。
米金利低下にもかかわらず、日米金利差が依然として大きいことや、日本の10年金利上昇が相対的に小幅にとどまっていることが、円売り・ドル買い基調の継続要因とみられます。
【12月の見通し】
12月は、米国株・日本株ともに「年末ラリー期待はあるが、政策イベントとAI関連の調整リスクに要注意」という相場付きになりそうです。 米国はFRB、 日本は日銀会合と金利動向が最大のテーマで、指数全体よりもセクター・個別物色の色彩が強まりやすい局面とみられます。
米国株式市場の見込み
例年12月は統計的にダウ平均(Dow Jones Industrial Average )やS&P 500 にとって上位の「強い月」であり、今年も年末ラリーへの期待が意識されています。
一方で、AI関連・大型テックの高バリュエーション調整が尾を引いており、ナスダック総合(Nasdaq Composite )を中心に、FRBの12月FOMCのトーン次第では一時的な下振れリスクも指摘されています。
米国株の注目イベント・ポイント
12月上旬〜中旬の雇用統計・CPIと、12月FOMC(利下げ有無とドットチャート)が最大イベントで、「利下げ+ハト派トーン」なら株高、「据え置き+タカ派寄り」ならAI・高PER株中心に再調整というシナリオが意識されています。
税損売り・ドレッシング(アンダーパフォーマー売りと勝ち組銘柄の買い増し)など、フロー要因によるボラティリティ上昇もリスクとして挙げられています。
日本株式市場の見込み
日本株は11月の調整でバリュエーションがやや落ち着いた一方、年初来では依然として高水準にあり、「長期の上昇トレンドの中で一服局面にある」という見方が多い状態です。
12月18〜19日の日銀会合での追加利上げの可能性が市場で意識されており、金融株には追い風、輸出・グロース株には逆風となり得るため、指数全体よりスタイル間のパフォーマンス差に注目が集まっています。
日本株の注目イベント・ポイント
日銀の政策金利・長期金利誘導のスタンス(12月利上げか、来年以降への先送りか)、および総裁会見での物価・賃金認識が、円相場と日本株の方向感を左右します。
コーポレートガバナンス改革、自己株買い・株主還元強化といった構造要因は引き続き日本株の中長期の支えとされており、短期の政策イベントでの調整は「押し目待ちの海外投資家の買い場」になり得るとの見方もあります。
共通のリスク・チャンス
共通リスクとして、AI・ハイテク関連のバリュエーション調整継続、流動性の薄くなる年末特有の急変動、地政学リスクや米大統領の政策不透明感などが挙げられています。
一方で、金利ピークアウトとインフレ鈍化が確認されれば、「グロース+クオリティ」株中心のリスク資産全体にとっては、来年に向けた再評価の起点となる可能性も意識されています。
【PE市場とプライベートクレジット】
PE(プライベートエクイティ)市場とプライベートクレジット市場はともに「成長は続くが、資金循環とリスク管理が主要テーマ」という局面にあります。 PEはディール・エグジットの停滞による流動性制約が続き、プライベートクレジットは銀行融資の空白を埋めつつ規模とリスクがともに拡大している、という構図です。
PE市場の現状と特徴
グローバルPEのファンドレイズは2021年ピークから減速したものの、2025年上期だけで約4,250億ドルを調達しており、年ベースでは直近数年の水準を維持し得るペースです(件数は減少し1ファンド当たり規模は大型化)。
ディール件数・エグジットは依然2019〜2021年水準を下回り、「NAVが古いビンテージに滞留し、DPI(キャッシュ回収)が伸びない」流動性クランチが続き、セカンダリー取引が過去最高ペースで拡大しています。
PEの構造変化・リスク
LPは「高IRRより現金回収の早さ(DPI)」や専門性を重視し、メガ・バイアウト一辺倒から、成長株・セクター特化・共同投資などへ配分をシフトさせています。
IPO出口の細りや高金利環境の長期化でレバレッジ負担が重くなり、バリュエーション調整・デフォルトリスク・エクイティリターン低下の可能性が指摘されています。
プライベートクレジット市場の現状
プライベートクレジット(ダイレクトレンディング等)は、オルタナの中で最も高いパフォーマンスを示すアセットの一つとされ、オウム全体は2024年時点で約1.8兆ドルから2025年に2兆ドル規模へ拡大するとの推計もあります。
高金利環境の下で、公募債より高いスプレッドとカスタマイズされた条件を武器に、LBOファイナンスやリファイナンス需要を取り込み、特にミドル・ローワーミドル市場向け直接融資の伸びが目立ちます。
プライベートクレジットのリスク・論点
直近ではディールボリューム鈍化や返済増加により、案件獲得競争が激化し、SOFR+500bp未満の案件が増えるなどスプレッド圧縮が進行しており、リスクに見合うリターン確保が課題になっています。
欧州を中心に、機関投資家のオルタナ配分拡大が「流動性の低いローン・複雑なストラクチャー・グループ内のインセンティブ不整合」を通じて金融システムへの波及リスクを高めているとの規制当局の警戒も強まっています。
投資家視点での位置付け
マクロ減速と金利ピークアウト局面では、PEよりも金利連動の収入が得られるプライベートクレジットや短期クレジットを好む機関投資家が増えており、「PE<プライベートデット」という相対評価が多くのハウスの見立てです。
一方で、バリュエーション調整後のPEビンテージ(2024〜2026年頃)を「長期的な妙味が大きい投資タイミング」とみる見方も根強く、セカンダリーや共同投資を通じてコストを抑えつつエクスポージャーを取る戦略が提案されています。
2025年11月29日 土曜日