世界の動き 2025年10月14日 火曜日

今日の一言
「政局」
 高市総裁が首相になれるかどうか、急に大きな「政局」になっている。この言葉は、 本来は、ある時点における政治の動向。政界の情勢を指す。
 しかし、現在では、首相の進退、衆議院の解散など、重大局面につながる政権闘争を指すことが多い。また、安定政権の元では、与党内での主導権争い。多く、国会などでの論戦によらず、派閥や人脈を通じた多数派工作を指す言葉だ。
 日本の政治は、人事をめぐる政局の繰り返しで、国家の基本政策をめぐる論点が政局化することがない。メディアも人事抗争が大好きで、火に油を注ぐことしかしない。
 石破おろし以来の政治空白で一番困るのは国民なのだが。

ニューヨークタイムズ電子版より
中東和平の実現?
【記事要旨】
 希望と現実の間で揺れる停戦合意:
– 停戦合意の成果:トランプ大統領は、20人の人質返還と約2,000人のパレスチナ人囚人解放を含む停戦合意を「中東の平和」と称賛。米国務長官も「過去50年で最も重要な日」と評価した。
 現地の複雑な状況:
– 停戦の第1フェーズは順調に進行したが、今後の展開には不確実性が多い。
– ハマスはイスラエルの完全撤退を要求、イスラエルは計画の成果が得られるまで撤退を拒否。
– ガザ統治の担い手が不明確で、ハマスは武装解除に応じていない。イスラエルはパレスチナ自治政府の関与を拒否。
 治安と統治の空白:
– ガザではハマスが再び勢力を強めており、停戦の空白を埋めようと動いている。
– 国際安定化部隊の派遣構想があるが、武装解除のタイミングや部隊の訓練期間など課題が多い。
 各国の立場と希望の兆し:
– アラブ諸国やイスラム諸国が米国の和平努力を支持しており、これは前向きな兆候。ただし、和平の加速よりも困難の増加が現実的との見方もある。
 勝利の主張と和平の可能性:
– ハマスは囚人解放や国際的注目の獲得を「勝利」とし、イスラエルは人質返還とハマスの弱体化を成果と主張。
– 米国の圧力によりイスラエルが交渉に応じたことも重要な転機。
– 停戦によってイスラエル国民が国際的孤立を再認識し、和平への意識が高まる可能性がある。
 結論:未解決の課題は多いが、関係国の支持と停戦の成果により、オスロ合意以来の最大の和平の希望と捉える声もある。
【コメント】
 ここまでは、容易ではないものの、漕ぎつけることができた。問題はこれからだ。ここで和平を実現すれば本当に平和賞ものだ。

其の他の記事
・ウクライナ当局は、戦争終結のための戦略として、ロシアの石油産業の大半が集中しているロシア西部への攻撃を挙げている。
・トランプ大統領が対中関税の脅威を軽視したにもかかわらず、アジア市場は下落した。
・フランスでは新政権が発足したが、政治的混乱はまだ終わっていない。

・技術が成長を牽引する仕組みに関する研究で、3人の経済学者がノーベル経済学賞を共同受賞した。
【日経新聞より
 「スウェーデン王立科学アカデミーは13日、2025年のノーベル経済学賞を米ノースウエスタン大のジョエル・モキイア教授(79)と仏コレージュ・ド・フランスのフィリップ・アギヨン教授(69)、米ブラウン大のピーター・ホーウィット教授(79)の3氏に授与すると発表した。授賞理由は「イノベーション主導の経済成長の解明」。
 3氏は技術進歩の原動力となる仕組みに注目した。人類史のほとんどの期間で経済成長は停滞したが、新しい製品や生産技術が出てきて古いものと置き換わることで持続的な成長が生じ、生活水準が向上するメカニズムを定式化した。
 受賞者のうちモキイア氏は歴史的資料を用いて、産業革命以降、特定の発見が次の発明を生み、持続的な成長が可能となっていくプロセスを解明した。技術革新が続くための科学的な素地や、発明を受け入れる社会的基盤の重要性も強調した。
 同じく持続的成長のメカニズムを研究したアギヨン氏とホーウィット氏は、旧来の製品を新たな製品が押しのけることで成長が加速する「創造的破壊」のプロセスを数学的なモデルで表現した。」ということだ。

2025年10月14日 火曜日

世界の動き 2025年10月13日 月曜日

今日の一言
「スポーツの日」
 いま、驚いた。「体育の日」ではなく「スポーツの日」だったのか! Wikipediaでは、以下の説明だ。
・・・・・
 スポーツの日は、日本の国民の祝日の一つ。10月の第2月曜日。
1964年(昭和39年)に東京オリンピックの開会式が行われた10月10日を「体育の日(たいいくのひ)」に定め国民の祝日とし、2000年(平成12年)から移動祝日になり、2020年(令和2年)に現在の名称に改称した。日本の移動祝日の中では、一年の内で最後の祝日である。日本の祝日では、初めての英語由来の片仮名の名称である。
・・・・・
 つまりスポーツの日になってからもう25年も経っていたのに、うかつにも今日まで気が付かなかったわけだ。英語ではSports Dayと称するそうで、One of those stupid National Holidays in Japan という印象だ。
 記憶を思い起こすと、1959年(総和34年)に、皇太子明仁親王殿下(現:上皇)と正田美智子さん(現:上皇后)がご成婚された。この時のパレードを見るために我が家は白黒TVを買った。そして5年後に、東京五輪を見るためにカラーTVを買ったのだ。昭和は輝いていた。そんな時代だった。
 さて、後期高齢者に近づく現在、AIにどんなスポーツをよいか聞いてみた。「散歩」「水中ウォーキング」「太極拳」「グラウンドゴルフ」との回答だった。「大田区でグラウンドゴルフができるのはどこか」と聞いたら、東京で出来るところは無いそうだ。ちょとひどい回答だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.チベット高原で進む中国のクリーンエネルギー革命
【記事要旨】
 高地の利点を活かした再生可能エネルギー
– 中国は標高3,000m超の青海省(チベット高原)で、太陽光・風力・水力発電を大規模に展開。
– 太陽光パネルはマンハッタンの7倍の面積に広がり、冷涼な気候と強い日射により高効率。
– 発電された電力は1,500km以上離れた都市やAI用データセンターにも供給。
 国家戦略と青海省の役割
– 習近平主席は温室効果ガス削減と再生可能エネルギーの6倍拡大を表明。
– 青海省はその中心地で、外国人記者の立ち入りが制限される中、政府主催の視察が行われた。
 経済と産業の変化
– 青海省では太陽光・風力の発電コストが石炭より約40%安く、電力集約型産業が移転。
– 珪岩からポリシリコンを製造する工場や、空調不要の省エネ型データセンターが増加中。
 環境と住民への配慮
– 初期の太陽光パネル設置は遊牧民の放牧に支障をきたしたが、現在は高所設置で改善。
– 高地での発電は人口密度が低く、移住の影響が比較的少ない。
 驚異的な拡張ペース
– 中国は三峡ダムの発電能力に匹敵する太陽光パネルを、約3週間ごとに設置している。
 このプロジェクトは、地理的・気候的条件を最大限に活かしながら、環境負荷を抑えた未来型エネルギー供給モデルの一端を示している。
【コメント】
 最後の、「 中国は三峡ダムの発電能力に匹敵する太陽光パネルを、約3週間ごとに設置している。」というのは事実だろうか。三峡ダムの発電能力は2250万KW。柏崎刈羽原発の発電能力は7基で821万だ。
 この記事の英文タイトルはHigh Energyだ。中国高地でとんでもない出力の発電を行っているのだ。

2.イスラエルとパレスチナ、人質・囚人交換を待つ
【記事要旨】
 イスラエル政府は、ガザ地区で生存する人質全員の解放が本日早朝から開始される予定だと発表した。同時に、イスラエルは約2,000人のパレスチナ人囚人を解放する予定だ。この交換は、2年間続いた壊滅的な戦争に終止符を打つ可能性のある停戦合意に基づいて行われる。
 トランプ大統領は、人質の家族と面会し、イスラエル議会で演説するためイスラエルを訪問する。その後、エジプトへ飛び、合意を支持するアラブ諸国の指導者たちとの首脳会談に臨む予定だ。
 イスラエル当局は、ガザ地区に約20人の生存人質と、約25人の死亡者の遺体が拘束されているとみている。今回の合意は、戦争を通じて悪化する深刻な人道危機に見舞われているガザ地区への大規模な援助の流入も規定している。
【コメント】
 この合意は、これまで出来なかったのだろうか。トランプの存在が可能にしたのだとすれば、平和賞ものの貢献だ。

其の他の記事
・マダガスカルの軍部隊が大統領の辞任を求める抗議活動に加わり、クーデター未遂の懸念が高まっている。
・フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、セバスチャン・ルコルニュ首相を再任し、もはや打つ手がないと認めたかのようだ。
・中国は、トランプ大統領が中国の希土類金属への新たな規制への対抗措置として中国からの輸入品に100%の関税を課すと発表したことを受け、米国の二重基準を非難した。
・ハリウッドやファンは、土曜日に79歳で亡くなったダイアン・キートン氏を悼み、彼女を繊細な女優であり、思いやりのある同僚として偲んだ。
・カンタス航空は、サイバー犯罪者が顧客の個人情報約600万件を盗み出し、オンライン上に流出したと発表した。 

2025年10月13日 月曜日

米国のなりすまし詐欺

 NYタイムズで「The catfishing scam putting LPGA golfers and fans in danger」という記事が目をひいた。これは、女子プロゴルフ界(LPGA)を舞台にして急増している「なりすまし詐欺」(catfishing scam)について報じたものだ。特に人気の高いNelly Korda(ネリー・コルダ)をはじめとする有名選手が標的になっており、ファンも巻き込まれて被害を受けている。

詐欺の手口
• 詐欺師は選手になりすました偽アカウントをSNS(Instagramなど)で作成。
• ファンにDM(ダイレクトメッセージ)を送り、親しげな会話を始める。
• すぐにTelegramやWhatsAppなど、監視の緩いプラットフォームに誘導。
• 「VIPディナー」「大会の特別席」「投資話」などを持ちかけ、暗号通貨やギフトカードでの支払いを要求。
• 支払いが終わると、詐欺師は姿を消す。

Nelly Kordaの対応と警告
• ネリー・コルダはInstagramのプロフィールに警告文を固定表示し、「ファンに金銭を要求することは絶対にない」と明言。
• 「ファンと自由に交流することが難しくなった」と語り、詐欺の影響で本物の交流が妨げられていると懸念。
• 彼女は1日に20件以上の偽アカウントを報告していたが、今では1時間に何十件も増えるほどの勢いだそうだ。

被害事例
• 72歳の男性が「ネリー・コルダと結婚する」と信じ込み、退職金15,000ドル(約220万円)を送金。家を売る寸前までいったという事例もある。老齢と分別は別物のようだ。
• ペンシルベニア州の男性が、ローズ・チャンとのVIPディナーを信じて70,000ドル(約1,000万円)を送金し、現地に現れたが詐欺だったと判明。彼女は日本食が大好きだそうだが、架空の夕食のメニューは何だったのだろうか。

LPGAとセキュリティ専門家の見解
• LPGAはセキュリティ会社TorchStone Globalと連携し、選手とファンの安全確保に努めている。
• 一部の被害者は、真実を告げられても信じず、選手本人を責めるケースもあるという。

 こうしたなりすまし詐欺は、選手だけでなくファンの人生にも深刻な影響を与えている。ネリー・コルダのような人気選手が声を上げることで、より多くの人が注意を払うようになることが期待されている。

 日本では、有名評論家をかたる「投資話のなりすまし詐欺」が一時期隆盛を極め、何千万円も失う人が続出したが、いまはどうなっているのだろか。「世に盗人の種は尽きまじ」というが、AIの力を得て、手段はますます巧妙化している。

2025年10月12日 日曜日

世界の動き 2025年10月7日 火曜日

今日の言葉
「リベンジする」
スポーツ中継をTVで見る機会が増えた。負けた選手へのインタビューでよく聞かれるのが、「次はリベンジする」という言葉だ。
英英辞典で調べるとRevenge, reprisal, retribution, vengeance suggest a punishment, or injury inflicted in return for one received. Revenge is the carrying out of a bitter desire to injure another for a wrong done to oneself or to those who are felt to be like oneself: to plot revenge. となっており、相手に身体的な危害を与える復習を指す言葉だ。
昔、池江里佳子選手がオリンピックで敗れた時に「リベンジする」と言っていたのを聞いて強烈な違和感を感じたが、今では、高校生まで普通に使う言葉になっているようだ。大谷選手も使っている。目の大きい通訳の人は、英語で何と言っているのだろうか。

JICA/外務省の「ホームタウン」構想が頓挫した。もともと故郷を指す言葉だからアフリカ諸国が日本へ移住できるととらえたのも自然な解釈だった。和製英語の乱用と誤用には本当に注意すべきだ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1. 自国との戦争に直面するイスラエル
【記事要旨】
戦争の長期化と分断:ハマスによる2023年10月7日の攻撃から2年が経過し、イスラエルは深刻な分断と孤立に直面。ガザでは数万人のパレスチナ人が犠牲となり、イスラエル人の人質も未だ解放されていない。
二重のトラウマ:イスラエルはハマスとの戦争だけでなく、国内の政治的・社会的分裂とも戦っている。ホロコーストとナクバの記憶が両民族の被害者意識を強め、敵意を深めている。
国際的な視点と提案:トランプ大統領はガザの経済的繁栄による平和構築を提案するが、パレスチナ人の統治権が限定される構想には批判が集まっている。
人質問題と市民の怒り:イスラエルでは人質解放を求める市民の抗議が続き、ネタニヤフ政権への不信が高まっている。戦争の継続は政権維持のためとの批判もある。
ガザの壊滅的状況:ガザでは住民の34人に1人が死亡し、街やコミュニティは崩壊。人々は生き延びることに精一杯で、未来を描く余裕すらない。
【コメント】
和平交渉の行方はどうなるのだろうか。破壊しつくされた街に暮らすガザ住民の意思とは関係なく、交渉は進み、頓挫する。

2.フランス近代史上最短の政権
【記事要旨】
セバスティアン・ルコルニュ首相は昨日、組閣から24時間も経たないうちに辞任し、国民を驚かせた。政権は1か月も持たず、第五共和政史上最短の政権となった。
この辞任を受け、エマニュエル・マクロン大統領に対し、早期の議会選挙実施、あるいは辞任を求める圧力が高まった。マクロン大統領はこれまでこれらの選択肢を否定してきた。市場はルコルニュ氏の辞任に動揺し、フランスが年末までに急増する財政赤字に対処するための予算を成立させる可能性が危ぶまれる。
【コメント】
辞任に際し、ルコルニュ氏は「首相を続ける条件が整っていない」「各政治勢力が譲歩せず、妥協点を見出せなかった」と述べ、政局の硬直化を批判した。また、「普通の国として機能するために、党派を超えた協力が必要だ」と訴えた。

其の他の記事
オレゴン州とイリノイ州の指導者たちは、トランプ大統領によるポートランドとシカゴへの部隊派遣の試みを阻止しようとした。
ウクライナの防衛産業の多くは、汚職の歴史があるにもかかわらず、戦時中の秘密に包まれている。タイムズ紙による政府監査の調査で、懸念すべき点が見つかった。
シリア初の議会選挙の結果は、アサド政権打倒に尽力したスンニ派イスラム教徒の多数派に有利に働いた。
OpenAIは、ライバルの半導体メーカーであるNVIDIAとも同様の契約を結んだと発表してから数週間後、AMDから数十億ドル規模のコンピューターチップを購入すると発表した。
パキスタンは、アフガニスタンのタリバンの支援を受けて再燃した、ここ10年で最も激しいタリバンの反乱と戦っている。

ノーベル生理学・医学賞は、免疫システムに関する研究で、メアリー・ブランコウ、フレッド・ラムズデル、シモン・サカグチの3人に授与された。
【坂口志文博士、おめでとうございます。】

2025年10月7日 火曜日