世界の動き 2025年10月6日 月曜日

今日の一言
「笑顔」
 高市さんは表情が柔和になったという人が、特に彼女の支持層に多いようだ。そうだろうか。
 同氏の表情には、厳しい表情と、大きく笑った表情の二種類しかないように見える。そして笑顔はとても不自然だ。喜びを表す笑顔ではない。
 高市氏の笑顔には、「自己防衛的な笑顔」と「他者迎合的な笑顔」の二つがある。前者は、麻生氏などの力を持つボスに接する際に、後者は、休日に詰めかけた記者に対応する際に、発揮される。
 首相就任後ただちに、トランプ大統領の来日やAPAC首脳会議といった外交日程が続くが、高市さんにはあまり笑顔を振りまかず、頑張ってもらいたい。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.複雑化するウクライナ戦争
【記事要旨】
 ウクライナ戦争の現状と課題:技術革新と政治的持久戦
 ウクライナ戦争は複雑化しており、米国大統領トランプ氏の発言も一貫性を欠いている。ある時はウクライナの勝算を否定し、別の時には全領土奪還の可能性を示唆するなど、混乱を招いている。
 技術革新の競争:ドローン戦争の進化
 初期は砲撃や戦車が主力だったが、現在は小型で安価なドローンが戦闘の中心に。ロシアは今年だけで3万4千機以上のドローンをウクライナに投入し、数で優位に立つ。地上・海上でも無人機が活躍し、人命を守る役割も果たしている。
 ドローン対策も進化しており、電子妨害や光ファイバー接続、ネットによる迎撃などが試されている。ウクライナではスタートアップへの投資が活発化し、ロシアはイランや中国から支援を受けている。AIによる次の技術的飛躍が戦況を左右する可能性もある。
 政治的持久戦:国内の安定維持
 ウクライナでは汚職対策機関の弱体化を巡り抗議が起き、ゼレンスキー大統領は撤回したが、国民の不安は残る。戒厳令下で選挙は行われておらず、民主主義の脆弱性が懸念されている。戦争初期の団結は徐々に崩れつつあり、ロシアによる政治的混乱の工作への警戒も高まっている。
 ロシア側の状況
 プーチン大統領は表面的には安定しているが、側近の離脱や反乱の余波が続いている。戦争継続のために巨額の支出を行い、兵士への高額報酬で不満を抑えている。ロシアが財政的に持ちこたえられるかどうかは、ウクライナの政治的結束との持久戦となっている。
【コメント】
 戦争の初期は、西側諸国が何台の新型戦車を送ってウクライナを支援できるかという議論が大きかったが今は全く出てこない。ウクライナ戦争は戦争の方法を全く変えた。ドローンの後に登場するのは武装したヒューマノイドだとすると、全く「ターミネーター」の世界になる。恐怖だ。

2.エジプト、ガザ紛争終結に向けた重要な協議を開催
【記事要旨】
 イスラエル、ハマス、米国の代表団は本日、ガザ紛争終結に向けた協議のためエジプトを訪問している。イスラエルとハマスは共にトランプ大統領の停戦計画を前進させる用意を示すが、依然として大きな隔たりが残っている。
 ハマスは金曜日、ガザに残る人質全員をイスラエル国内のパレスチナ人捕虜と引き換えに解放する用意があると表明した。エジプトでの協議では、この交換に加え、イスラエルによるガザの一部からの撤退が焦点となる見込みだ。
 しかし、次の段階の交渉ははるかに困難になる可能性がある。ハマスの武装解除や、ハマスを排除したガザの新政府の樹立といった問題が絡むことになるだろう。
 イスラエルは、ガザには約20人の人質が生きており、少なくとも25人の遺体も残っていると見ている。ハマスが包括的合意に達する前に人質を解放するかどうかは不明だ。ハマスは人質を重要な交渉材料と見なしている。
 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はガザ計画の功績をほぼ独り占めしてきたが、トランプ大統領が実権を握っていることが明らかになった。
【コメント】
 これから交渉の山場になるが、ブローカーであるトランプ氏がどこまで熱心に議論を進められるかには疑問符が付く。

其の他の記事
日本初の女性首相を目指している高市早苗氏は、女性の権利について複雑な見解を抱いています。プロフィールをご覧ください。
米国政府閉鎖が2週目に突入する中、トランプ大統領と米国議会は予算案の審議で進展を見せていません。
シリアでは、反政府勢力が10か月前にバッシャール・アル・アサド大統領を打倒して以来、初めて議会選挙が行われます。
チェコ共和国では、ウクライナへの軍事支援に懐疑的な億万長者元首相アンドレイ・バビシュ氏の政党が議会選挙で勝利しました。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、新内閣の大半を任命し、主要ポストには多くの留任者を据えました。

台風マトモが中国南部に上陸し、15万1000人以上が避難を余儀なくされ、洪水の懸念が高まっています。

2025年10月6日 月曜日

高市新総裁誕生

【高市新総裁】
 自民党の新総裁に高市早苗氏が選出された。女性初の総裁で、首相に選出されるのも確実だ。
 高市氏の選出を見て、リズ・トラス氏が英国の首相に選出されたときのことを思い出した。
 ダウニング街の官邸前で当時47歳だったトラス氏は自信たっぷりに首相就任演説を行った。危機に瀕したこの国を立て直すのだと。その直後、同氏の拙速な経済政策は「トラスショック」を引き起こした。

【トラスショック】
 トラスショックとは、2022年9月に英国のトラス政権が発表した、財源が不明確な大規模減税策(ミニ・バジェット)が引き金となり、英国の金融市場で発生した混乱だ。財政赤字拡大の懸念から英国国債が売られ価格が下落(金利が急騰)、ポンド安、株安が同時に発生し、「トリプル安」とも呼ばれた。中央銀行の介入や減税策の大部分の撤回、そしてトラス首相自身の辞任につながり、政権の短命化を招いた。

【トラスショック発生の背景】
 積極財政の減税策: 当時のトラス政権は、財源の裏付けを示さずに大規模な恒久減税を発表した。
 財政規律への不安: 市場参加者は、この減税が財政赤字を拡大させ、インフレを加速させると懸念した。
 イングランド銀行の政策: ちょうど金融引き締め(量的引き締め、QT)に踏み出した中央銀行の政策とも重なり、市場の不安が増幅された。
 そして、財源不明な減税策への市場の信頼喪失が、国債価格の急落(金利急騰)、ポンド安、株安を同時に引き起こした。

【日本への示唆】
 現在の日本は、国債金利の急騰、円安、まではトラスショック時の英国と同じだ。かろうじて株高がトリプル安を免れさせている。ただしこの株高は、日銀の国債引き受けによる過剰流動性とETFやREITの日銀購入で支えられた株高という面が強く、日銀は徐々にそれを修正しようとしている。ここで株安が起きれば、トラスショックのトリプル安が日本でも現出される。
 高市氏は5人の候補の中では唯一のアベノミクスの信奉者で、減税へのアレルギーも林氏や小泉氏に比べて少ないようだ。財政規律を国民が気にし始めると彼女の基本政策には逆風になる。

【信頼ということ】
 トラス氏は若かったが、政治の経歴は長かった。ただ、同氏は英国経済の苦境を乗り切るための自分の考えで、世論と市場を説得することができなかった。結局、彼女は、世論と市場の信頼を得られなかったということだ。
 一回目の党員投票で高市氏が一位になったのを見て、自民党員と一般国民の乖離が気になった。一般国民の人気では小泉氏と筆者は思っていたからだ。
 世襲政治家でない高市氏を筆者は評価してきた。靖国参拝や、男系天皇堅持、夫婦別姓反対といった筆者と意見が異なる点は多いにしてもだ。その高市氏が、最後に世襲政治家のボスである麻生氏に支援を求め、それが決選投票の議員票獲得に奏功したようだ。
 トラス氏のように、国民の信頼と市場の信頼を失うことなく、長期安定政権を築くことができるだろうか。

2025年10月5日 日曜日

週間市場動向(9/29-10/3/2005) 備忘録

9月29日〜10月3日の株式市場の動き
米国市場(ダウ・NASDAQ・S&P500)
– ダウ平均: 終値46,441.10 前週比 +1.9%
– S&P500: 終値6,711.20 前週比 +3.5%
– NASDAQ総合: 終値22,755.16 前週比 +5.6%
– 背景: 雇用統計の鈍化(非農業部門雇用者数が市場予想下回る)により、FRBの利下げ期待が強まり、株価を押し上げ。

日本市場(日経225)
– 日経平均: 週初から堅調に推移し、終値44,932.63。4万5000円台で値固めの展開。
– 背景: 米国の利下げ観測、国内企業収益改善期待、自民党総裁選による政策期待が買い材料に。

株価が史上最高値圏にある理由と見通し
– 米国: 利下げ再開(9月FOMCで0.25%引き下げ)、企業業績の堅調、GDP成長率の上方修正(7〜9月期は年率3.9%成長)。
– 日本: 日銀短観で製造業DI改善、非製造業も高水準維持。政策期待と円安が企業収益を押し上げ。
– 見通し: 米国は年内2回の利下げが市場に織り込まれつつあり、株価は底堅く推移。日本も政策期待と業績改善で高値維持の可能性。
【大方の市場関係者は楽観的だが、当方は、今は絶好の利食いのチャンスととらえている。「利食い千人力」のことわざもある。
日銀はETFの売却を始めるものの処分に100年以上かかるとの総裁発言あり。市場のムードがら楽観的な今こそ急いで利食うべき時期だ。】

金利と為替の動向
米国
– FF金利: 9月FOMCで0.25%利下げ。年内もう1回の利下げが予想される。
– 長期金利: 一時4.5%超え。インフレ懸念と利下げ期待が交錯。
– 為替: 円安ドル高傾向(1ドル=150円前後)。利下げ観測でドルの上昇は一服する可能性。
日本
– 長期金利: 10年国債利回りが1.635%台に上昇。(20年2.590%、30年3.115% 9/29日) 日銀の金融政策修正観測が背景。
– 為替: 円安が企業収益を押し上げる一方、輸入物価上昇で生活コストに影響。
【イールドカーブの傾斜が高まるが順イールドなのは好ましい状況。ただし、住宅ローン市場への影響は注視する必要あり】

注目セクターと注目株
米国
– 注目セクター: 情報技術(+5.9%)、通信サービス(+5.7%)。
– 注目株: エヌビディア(AI関連)、インテル(提携報道)、テスラ(EV関連)。
日本
– 注目セクター: バリュー株(金融・素材)、防衛関連(中東情勢の緊張)、インバウンド関連(円安恩恵)。
– 注目株: 三菱重工、任天堂、ソフトバンクグループ。NVIDIAとの提携でNECや富士通にも恩恵がありそう。

PE市場とプライベートクレジット市場
– PE市場: 金利上昇局面でも資金流入継続。企業価値の見直しが進み、買収機会が拡大。
– プライベートクレジット: 銀行融資の縮小を背景に、代替融資手段として急成長。利回りの高さが投資家を惹きつけている。

2025年10月4日 土曜日

世界の動き 2025年10月3日 金曜日

今日の一言
「尊敬できないボス」
米国の国防長官(今は正しくは戦争長官か)のピート・ヘグセス氏は2025年9月30日、バージニア州クアンティコ基地に世界中から米軍の高官を集め、演説をした。以下は演説の趣旨だ。
•「肥満の将軍は許されない」「髭は禁止」「女性兵士は“最高の男性基準”を満たさなければ戦闘職に就けない」
•「DEI(多様性・公平性・包括性)プログラムの廃止」「“戦士の精神”への回帰」を強調。
•軍高官に対して「心が沈むなら辞職せよ」と発言。
内容は極めて保守的で攻撃的だ。
これを聞いた軍高官たちは、ほぼ全員が沈黙。拍手も笑いもなく、表情を変えずに聞いていたと報道されている。軍関係者の証言では「この演説はメールで済む内容だった」「忠誠心のテストのようだった」という声も出ているようだ。
軍の伝統として、政治的演説に対しては拍手を控える傾向があるが、今回は特に冷ややかだったと複数の報道が指摘している。
今回演説したヘグセス長官は州兵としてアフガンやイラクに派遣された経験を持ち、最終的な階級は少佐だった。綺羅星のように並ぶ将官たちに比べると軍歴に乏しく、政治家としての実績も皆無の同氏の演説を、将官たちは舌打ちしながら聞いていたに違いない。さらに長官演説の後で、肥満体のトランプ大統領が意味不明の発言を繰り返す様子を見て、忠誠心すら衰えたのではなかろうか。
物事がうまくいけば自分の手柄、うまくいかなければ部下の責任にして、自分の考えを部下に押し付けるのは最悪の上司だ。その実例が米国にあるのは悲劇だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
新しい担当者になってから6時丁度に配信されなくなった。とても困っています。
1.米軍を米国の都市に
【記事要旨】
今週、トランプ大統領は米軍の高官たちに対し、注目すべき場所として海外ではなく、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスなどの米国内の都市を挙げ、「これらの危険な都市を軍の訓練場として使うべきだ」と述べた。これらの都市は民主党が主導し、トランプの政敵に投票した人々が多く住んでいる場所だ。
彼はこれを「内なる戦争」と呼び、軍を国内の治安維持に使う意向を示したが、これは軍が国民に向けられる可能性があるという世界的な懸念を呼び起こすものだ。
アメリカ建国の父たちは、常備軍が政府によって専制的に使われることを警戒し、軍の国内使用には制限を設けた。歴史的には、軍の国内使用は人種問題と深く関わってきた。
今回のトランプの発言は、広範な市民騒乱が起きていない都市に対して軍を派遣しようとするものであり、政治的意図が強いと専門家は指摘している。
軍の指導者たちは政治的中立を保つため、トランプの発言に対して無表情で反応した。
【コメント】
民主党市長のいる都市を狙い撃ちするトランプ発言だ。自分の政策達成のためには軍の使用もためらわない、とんでもないボスだ。

2.ヨム・キプール(ユダヤ暦で最も神聖な日)にイギリスのシナゴーグが襲撃される
【記事要旨】
ユダヤ暦で最も神聖な日であるヨム・キプールに、英国マンチェスターのシナゴーグ前で、襲撃犯が車で突っ込み、その後も刺傷事件を起こし、2人が死亡した。
この襲撃が開始された数分後、警察官が男を射殺した。警備員と通行人が男のシナゴーグへの入構を阻止していた。シナゴーグではヨム・キプールの朝の礼拝が始まったばかりだった。
警察がテロ行為と呼ぶこの暴力行為は、イスラエルとガザ地区におけるハマスとの戦争に関連した反ユダヤ主義の高まりを受け、欧州と米国でユダヤ人の安全に対する懸念が高まる中で発生した。
【コメント】
犯行の意図はまだ不明だが、一般のユダヤ人に狂気の矛先が向くのはいかがなものかと思う。

3.多くのパレスチナ人は「もうたくさんだ」と訴える
【記事要旨】
ハマスは、トランプ大統領とネタニヤフ首相による停戦提案に対し、未だ反応を示していない。この提案はイスラエルのほぼすべての要求を受け入れ、パレスチナ国家樹立への明確な道筋を示していない。しかし、地元の保健当局によると、6万5000人以上のパレスチナ人が命を落とした残忍な紛争が2年も続いており、イスラエルも食糧援助を組織的に制限しているため、多くのガザ地区の人々はただ戦争の終結を望んでいる。
「ハマスはこの提案を受け入れなければならない。私たちはすでに地獄を経験してきたのだ」と、戦争中ずっとガザ市で6人の子供たちと共に、荒廃した自宅に留まっていた住民は語った。
この提案には、ハマスが受け入れがたいとしているいくつかの要素が含まれており、その中にはガザにおける権力の放棄も含まれている。そのため、パレスチナ人はイスラエルとハマスの間で板挟みになっている。
「私のために交渉している人たちは、エアコンの効いた部屋に座っている。砂浜に住み、水を汲むために30分も歩いたり、小麦粉の袋を探して殺されたりしている人たちとは違う。」と住民は語る。
【コメント】
アラブ諸国からの圧力もありハマスは追い詰めれれている。どう反応するのだろうか。

その他の記事
モロッコでは、Z世代の反政府デモで3人が死亡。マダガスカルでは、数千人の若者が首都で街頭に繰り出し、大統領の辞任を要求した。
トランプ大統領は、政府閉鎖を「前例のない機会」と呼び、さらなる大量解雇によって連邦政府の官僚機構を縮小すると述べた。
デンマークでは、ドローンによる一連の侵入事件が国民の不安を煽って以来、非常用ラジオ、米、サバ缶の売上が大幅に増加したと小売店が報告している。

2025年10月3日 金曜日