世界の動き 2025年7月2日 水曜日

今日の一言
「ハイベータ株」
 ベータ値とは、株式の価格変動の大きさを表す指標で、市場全体の変動に対する感応度を示す。ベータ値が1より大きいと、市場の変動よりも株価の変動幅が大きいハイベータ株、1より小さいとローベータ株とみなされる。
 ハイベータ株は、相場の上昇局面で大きな利益を狙える可能性がある一方で、下落局面では損失も大きくなるリスクがある。そのため、ハイベータ株への投資は、相場の動向をよく見極め、リスク管理を徹底することが重要だ。
 4月から急回復を遂げた米国株だが、大きな理由は個人投資家が高リスク銘柄に飛びついているからだ。4月から6月で、ビットコイン関連株は78%、量子コンピューティング銘柄は69%上昇した。
  高リスク銘柄の多くは、すでに買われ過ぎの水準に達している。利益確定売りや空売り再燃のリスクが高まっており注視すべき状況だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.上院はトランプ大統領の看板政策法案を可決
【記事要旨】
 上院は昨日、トランプ大統領の大規模な減税と社会保障制度改革法案を51対50で可決した。共和党上院議員たちは、トランプ大統領の政策を実現すべく、根深い党内の亀裂を乗り越えて奮闘したが、下院における法案の行方は不透明だった。
 トランプ大統領が「大きく美しい法案」と呼ぶこの法案に、共和党議員3名が民主党議員全員とともに反対票を投じたため、J・D・ヴァンス副大統領が可決可否同数の票を投じることになった。
 この採決は、24時間以上にわたる激しい議論、採決、交渉の末に行われた。共和党は最後の瞬間まで妥協点を見出し、懐疑派と交渉を重ねた。この勝利は、共和党の政治的将来にとって大きなリスクとなる恐れがある。
 詳細:この法案は、トランプ大統領の最初の任期である2017年に施行された約3兆8000億ドルの減税措置を延長し、国境警備と軍事費に数百億ドルの新たな資金を提供する。医療保険やその他の連邦政府からの援助が削減されることで、数百万人もの低所得のアメリカ人が甚大な経済的損失を被る可能性がある。
 今後の見通し:下院は本日、法案がトランプ大統領に署名のために送付される前に、最終承認の採決を行う予定である。
【コメント】
 結局上院を通過した。共和党支持の低所得者層はどう考えているのだろうか。

2.インドで最も暑い地域、その対策は?
【記事要旨】
 インドの一部地域では、日中の気温が摂氏50度近くまで上昇し、国民の4分の3が猛暑の危険にさらされている。
 多くの人にとって、この暑さから逃れる術はない。エアコンは夢物語であり、多くの仕事は炎天下の屋外で行われている。しかし、どんなに暑くても生活は続けなければならない。そのため、インドの日常生活は変化しつつある。最も暑い地域であるスリ・ガンガナガルで1日を過ごしてみた。
 その他の地域:猛暑はヨーロッパでも息苦しい状況だ。数千万人もの人々が、危険な気温が続く日々に備えている。月曜日、ウィンブルドン選手権は記録的な猛暑の初日を迎えた。
【コメント】
 快適な室内から一歩も出たくない状況だ。

3.タイ首相、停職処分
【記事要旨】
 タイは昨日、憲法裁判所が就任から1年も経たないパトンターン・シナワット首相を停職処分にしたことで、新たな政治的混乱に陥った。
 上院議員らは、首相が倫理的失態を犯したと非難した。彼らは、先月、国境での小競り合いでカンボジア兵が死亡した後、カンボジアのフン・セン首相と電話会談を行った際に起きたと主張している。裁判所は申し立てを審理することに同意し、パトンターン首相を即時停職処分とした。彼女は裁判所の決定を受け入れ、近日中に自らの主張を表明すると述べた。
 詳細:フン・セン首相が公表したフン・セン首相との電話会談で、パトンターン首相は自国軍を軽蔑する発言をしたとみられる。彼女はフン・セン首相を「おじさん」と呼び、彼が望むことなら何でも「手配する」と申し出た。
【コメント】
 政情がやっと安定したと思っていたら。今後の展開が注目される。それにしても日本のニュースでは全く報道されない。

その他の記事
ウクライナ:ロシア軍がドローンへの依存を強める中、ロシアの夏季攻勢は勢いを増している。
英国:スターマー首相は、自党議員の一部が社会福祉制度の改正に反対票を投じたことで、議会で大規模な反乱に直面した。
イスラエル:イランとの停戦がガザ地区の停戦への弾みとなる可能性があるため、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は来週トランプ大統領と会談する予定だ。

デンマーク:デンマークは初めて、女性にも兵役義務の抽選対象を拡大した。

2025年7月2日 水曜日

世界の動き 2025年7月1日 火曜日

今日の一言
「木更津アウトレットモール」
 昨日初めて行った。川崎駅から直通バスで45分。バスはほぼ満員だった。
 広大なモールの中は人出は多かったが、買い物をして袋を下げている人は少ない。よく見ると大きな袋を下げている人の多くは中国からの観光客。グッチでは店内を独占。アウトレットでもインバウンドの威力を痛感した。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領、増税・歳出法案可決に上院議員に圧力
【記事要旨】
 トランプ大統領の1年目の立法議題は昨日、上院が大統領の包括的な経済・国内政策法案の修正案の採決を開始したことで、不透明な状況となった。
 トランプ大統領は、独立記念日の祝日である金曜日までに法案を可決するよう議会に圧力をかけているが、共和党が可決に必要な票数を確保できるかどうかは不明だ。
 共和党から離反者が4人いれば法案は否決される可能性があり、少なくとも2人の上院議員が賛成票を投じないと表明し、6人の上院議員は未定となっている。医療費と社会保障給付の削減案は民主党の激しい反対を招き、複数の共和党議員を不安にさせている。
 法案の内容:超党派の議会予算局(CBO)によると、この法案は10年間で少なくとも3兆3000億ドルの国家債務増加につながる。提案されている法案には、国境警備と軍事への多額の投資が含まれる。この法案は、大幅な減税に加え、低所得者向けの医療制度であるメディケイドや食料支援といったセーフティネットプログラムへの支出を大幅に削減するものだ。
 今後の展開:上院で法案が可決されれば、下院で可決され、最終的に大統領の署名を得て法律として成立する。
【コメント】
 この減税案を巡ってはイーロン・マスクとの間で再び口論になっているようだ。

2.中国は未来の電力供給競争で大きくリードしている
【記事要旨】
 中国は依然として、米国と欧州を合わせたよりも多くの気候変動汚染物質を排出している。しかし、中国は猛スピードでよりクリーンな電力供給へと転換している。
 昨年、中国に設置された風力タービンと太陽光パネルの数は、世界の他の地域を合わせた数を上回り、クリーンエネルギーブームは世界規模で拡大している。中国企業は、ブラジル、タイ、モロッコ、ハンガリーなどに電気自動車やバッテリー工場を建設している。中国はすでに複数のクリーンエネルギー機器の製造で世界をリードしており、月を追うごとにその技術的優位性を拡大している。
 背景:一方、米国は石油とガスを推進している。どちらの戦略も、主に国家安全保障が推進している。米国とは異なり、中国は自国で容易に入手できる石油やガスをあまり持っていないため、輸入化石燃料への依存を脱却し、再生可能エネルギーで経済の原動力を拡大することに熱心である。
【コメント】
 中国は未来にベクトルが向いている。米国はベクトルが過去に向いている。日本にはベクトルが無い。

3.トランプ氏とエルサルバドルの合意を詳しく見る
【記事要旨】
 米国は、米国から強制送還された移民の収監を支援する見返りに、エルサルバドルに数百万ドルを支払うことに同意した。この合意の一環として、米国はエルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領の特別な要請、すなわち暴力組織MS-13の主要メンバーの帰国に同意した。
 両国は、ギャングのリーダーたちはエルサルバドルで裁きを受けるだろうと述べている。しかし、タイムズ紙の調査によると、米国検察はエルサルバドル政府とギャングのリーダーたちがブケレ氏を政治的に支援するために結んだ不正な協定の相当な証拠を収集していたことが明らかになった。
【コメント】
 なるほど。難民移民を放出する受け皿をエルサルバドルは喜んで引き受けたわけだ。エルサルバドルの非道な刑務所に入れられては堪らない。米国の不法移民が戦々恐々となるのがよくわかる。

その他の記事
ヨーロッパ:気温が一部地域で40度を超え、英国、フランス、イタリア、スペインで猛暑警報が発令された。
イラン:米国によるフォルド核濃縮施設への攻撃から数日後に撮影された衛星画像には、活発な活動が映し出されている。
旅行:世界中の航空会社は、戦争や紛争への対応を迫られており、運航路線の見直しを迫られている。

ノルウェー:ある航空会社が、数千人に宝くじで高額当選したと誤って伝えたとして謝罪した。同社は、このミスはコードエラーによるものだと説明した。

貿易と経済
カナダ:カナダは本日から国内貿易障壁を撤廃する。しかし、経済学者たちは、これは米国との貿易機会の喪失を補うものではないと指摘している。
インド:インドは、Apple向けにiPhoneを組み立てているFoxconnなどの企業のために、生産拠点を確保しようとしている。
交渉:トランプ大統領は7月9日に関税を発動すると表明しており、各国は合意に向けて急いでいる。しかし、追加関税の脅しによって交渉は停滞している。
欧州:米国とEUの交渉担当者は、7月9日までに貿易協定を締結すべく、必死に作業を進めている。合意に至るのは、大まかな骨組みにとどまる可能性もある。
【コメント】
 日本との交渉についてBloombergは以下のように伝えている
『トランプ米大統領は日本が米国産コメの輸入に消極的だとして、日本に新たな関税を賦課する構えを見せた。ソーシャルメディアへの投稿で「日本はわれわれからコメを買おうとしない。それなのに日本は深刻なコメ不足になっている」と主張。「だからわれわれは日本に書簡を送るつもりだ。米国はこれからも長い間、日本が貿易相手国であることを望んでいる」と述べた。国家経済会議(NEC)のハセット委員長は日米の貿易交渉について、「何も終わっていない。大統領が投稿した内容は知っているが、協議は最後まで続くだろう」と話した。』
 狂人との交渉はいつまでやっても仕方がないと思う。赤沢氏はまるでガキの使いだ。少しクールオフしたらどうかと思う。

2025年7月1日 火曜日

世界の動き 2025年6月30日 月曜日

今日の一言
「詐欺メール」
 一日に100通以上の詐欺メールが来る。使っていない銀行や証券会社からのメールが山ほど届くのは詐欺だとわかりやすい。
 よく出来ていると思うのは、高速道路を使ったり、飛行機に乗ったりすると、すかさず、高速道路の料金未納とか、ポイント獲得。航空券のマイレージ未登録、マイレージ失効のメールが届くことだ。うっかりひっかっかりそうになる。
 私の行動が把握され、行動に応じた詐欺メールが送りつけられるシステムが出来ているのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエルによる悪名高い刑務所への攻撃で71人が死亡、イランが発表
【記事要旨】
 イラン国営メディアは昨日、イスラエルが6月23日にテヘランのエヴィン刑務所を攻撃し、71人が死亡したと報じた。この刑務所には、野党の政治家、活動家、弁護士、ジャーナリスト、学生など、反体制派や政治犯が収容されている。
 イラン司法当局報道官の声明によると、死者には被収容者、面会に訪れた親族、そして刑務所職員が含まれていた。報道官は死者の氏名を明らかにしなかったため、攻撃以来、愛する人たちから連絡がないと訴える被収容者の家族の懸念は高まっている。
 イスラエル国防省はコメントを拒否し、イスラエル軍もコメント要請に直ちには応じなかった。タイムズは報道官の主張を独自に検証することができなかった。
 背景:イスラエル軍がエヴィン刑務所を攻撃した際、イスラエル国防相は、同刑務所が標的となった複数の場所の一つであると述べた。その中には、イランで抗議活動者を容赦なく弾圧してきたイスラム革命防衛隊傘下の義勇兵組織「バシジ」の本部も含まれている。
 分析:イスラエルと米国との12日間にわたる紛争の後、イランは瀬戸際に立たされている。経済危機に陥り、揺さぶられたイランは、自国の大統領が「変革の絶好の機会」と呼ぶこの状況をどう捉えるのだろうか。
【コメント】
 刑務所の攻撃は政治犯だけでなく凶悪犯も市中に放ち治安を悪化させる狙いもありそうだ。

2.裁判所が米国の主要国外追放事件を審理中
【記事要旨】
 ニューオーリンズの連邦控訴裁判所は本日、トランプ大統領が主要政策目標の一つである移民の大量国外追放を推進するために「外国人敵対者法」を利用できるかどうかを審理する。
 この事件は、米国で最も保守的な裁判所の一つで審理されており、最高裁まで持ち込まれる可能性が高い。最高裁では、トランプ大統領が同法を違法に利用したかどうかについて、判事が判断を下すことになる。この問題は、全米の裁判所が3ヶ月間、結論に苦慮してきた。
 背景:外国人敵対者法は、米国がフランスとの戦争の脅威にさらされていた1798年に制定された。これまで同法が使用されたのはわずか3回で、すべて戦時中のものだった。大統領は敵対的な外国の構成員を拘束・追放することができた。トランプ大統領は同法を行使し、ベネズエラのストリートギャング「トレン・デ・アラグア」のメンバーだと主張する多数の移民を逮捕・追放した。
【コメント】
 先日出た米最高裁の決定(以下にBBCの記事を引用)が今回の判断にどのように影響するのだろうか。
(BBC記事引用)
 2025年6月28日
 米連邦最高裁は27日、下級裁判所の裁判官が大統領命令を阻止する権限は限定的なものだとする判断を示した。ドナルド・トランプ大統領はこれを、「巨大な勝利」と歓迎した。一方、少数意見を書いたリベラル派の最高裁判事は、最高裁が法の支配を守る役割を放棄し、大統領が憲法を嘲笑したと批判した。
 判決は、アメリカで生まれた子どもにほぼ無条件で国籍を与えるいわゆる「出生地主義」制度を、トランプ氏が大統領令で修正しようとしたことをめぐる訴訟について。
 最高裁は、大統領令に対する差し止め命令の範囲を改めて審理するよう、下級裁に命じ、トランプ大統領の大統領令について、命令は6月27日から30日間は発効しないとした。また、大統領令が合憲か違憲かの判断は下さなかった。
 最高裁の判事9人は6対3で、政権側の主張を認める判断を示した。最高裁は、これは出生地主義修正に関する判断ではなく、大統領の決定を下級審が差し止めること全般についての判断だと説明した。
 金曜日の判決によれば、裁判所は違憲または違法とみなされる大統領の行動を止めることはできるものの、それは司法のプロセスの中でより進んだ段階で行われることになり、大統領に行動する余地を与えることになる。

3.ロシアはウクライナに対し過去最大規模の空爆
【記事要旨】
 ロシアは数百機のドローンとミサイルでウクライナを攻撃したと、ウクライナ当局は昨日発表した。ロシアがウクライナを攻撃する頻度が低いウクライナ西部を含む、国内各地でインフラへの攻撃が報告された。民間人の死傷者は不明だが、ウクライナ空軍は、攻撃を阻止しようとしたパイロット1名が墜落し死亡したと報告した。
 空軍によると、ロシアは一晩で537機のドローンとミサイルを発射した。これは、戦争勃発以来、一夜で記録された最多数である。
【コメント】
 トランプさん、何とかしてください。

その他の記事
ヨーロッパ:大陸の広い範囲を危険な熱波が襲い、健康被害と火災に関する警報が発令されている。
米国:上院共和党が可決を目指している国内政策法案は、今後10年間で少なくとも3兆3000億ドルの国家債務増加につながると、議会予算局は推計している。
ガザ:トランプ大統領が停戦合意を求めたため、イスラエル軍はガザ地区の住民に広範な避難命令を出した。

ニューヨーク:アメリカ最大のプライドパレードに数百万人が集まる中、LGBTQコミュニティは、トランスジェンダーの人々に対する全国的な反発をますます懸念している。

2025年6月30日 月曜日

投資信託とETF

 個別の株式を買うのではなく、ある種類の株式をパッケージで買う方法に投資信託とETFとがある。この二つはどう違うのか説明したい。

 以下AIによるわかりやすい説明だ。出所はSMBC日興証券の解説だ。
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 投資信託とETF(上場投資信託)の主な違いは、上場しているかどうかです。ETFは証券取引所に上場しており、株式のようにリアルタイムで売買できます。一方、投資信託は上場しておらず、1日に1回算出される基準価額で取引されます。

 投資信託とETFの違いを詳しく説明すると:
上場・取引方法:
  ETFは証券取引所に上場しており、株式と同様に市場 の動きを見ながらリアルタイムで取引できます。
  投資信託は上場しておらず、1日に1回算出される基準価額でしか取引できません。
価格の決定:
  ETFは市場価格で取引されるため、購入時の価格をある程度予測できます。
  投資信託は購入時に基準価額が確定しないため、ブラインド方式で購入することになります。
購入場所:
  ETFは証券会社でのみ購入できます。
  投資信託は証券会社、銀行、郵便局など、さまざまな金融機関で購入できます。
手数料:
  ETFは株式と同様に売買手数料がかかります。
  投資信託は購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額などがかかります。
分配金:
  ETFの分配金は自動的に口座に支払われます。
  投資信託は分配金を再投資するか、受け取るかを選択できます。
その他:
  ETFは信用取引や貸株サービスが利用できる場合があります。
  投資信託は一般的に積立投資がしやすいです。

どちらを選ぶべきか:
ETFが向いている人:
  リアルタイムで取引したい人。
  自分のタイミングで売買したい人。
  手数料を抑えたい人。
投資信託が向いている人:
  積立投資をしたい人。
  分配金を自分で管理したい人。
   少額から始めたい人。
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 現在米国では新規設定に関しては、投資信託よりもETFの方が上回っている。現代の上場投資信託(ETF)市場は、個人投資家が基本的にあらゆるものに簡単に投資することを可能にしてきた。
 例えば、様々な暗号通貨($IBITと$ETH)、民主党議員の投資戦略($NANC)、ペットケアブランド($PAWZ)、そしてイーロン・マスク氏のSpaceX($XOVR)やOpenAI($ARKVX)に投資するプライベート・エクイティ・ファンドなどが含まれいる。
 利便性から言えば、ETFに分があるのは明らかで、投信業界は既存投信をETFに組み直すことが可能になるようにロビー活動を続けてきた。しかし、証券取引委員会(SEC)は、民間投資会社を通じてアクセスできるこれらのファンドと、個別株のように公開取引所で取引されるETFの間にファイアウォールを構築してきた。この規制が緩むかどうか注目されている。2030年には30兆ドルに及ぶと見られる投信業界にとっては大きな影響がある規制の緩和だ。

2025年6月29日 日曜日

パイオニアの思い出

昨日聞いたニュースには驚いた。
『パイオニア(東京)は26日、台湾の液晶大手イノラックスの子会社で、自動車向けシステムを手がける企業の傘下に入ると発表した。 欧州系の投資ファンドEQTが、保有するパイオニアの全株式を約1600億円で売却する。 子会社はシンガポールのCarUXホールディング。2025年中に取引を完了する。』(毎日新聞)

私が中高生のころ、サンスイ、トリオ、パイオニアは高級ステレオを代表するメーカーだった。中学の一年先輩の家に行ったとき応接間にパイオニアのコンポーネントステレオがドンと置かれクラシックのLPが数多く並べられているのを見て驚愕したことがあった。我が家の一体型のナショナルのステレオは酷く見劣りがした。

自分ではパイオニアの音響機器を所有したことが無い。パイオニアで思い出すのは何と言ってもコンポーネントカーステレオのLonesome CarboyのTV広告だ。

1975年頃流行した片岡義男さんの小説「ローンサム・カウボーイ」に触発され、コピーライターの秋山晶氏が作ったコピーが素晴らしい。

CM自体が一つのストーリーになっている。若い男性がニューメキシコの辺地を車で移動している。その間に自宅にいる妻に電話する。そして都会の喧騒に戻ってくる。
こうしたストーリーのバックに流れるのがRy CooderのAccross the Boaderlineというサビの効いたブルースというかカントリーというかの曲だ。この曲自体もCM作成のためにわざわざ作曲させたものだ。

YoutubeでRyCooder, Accross the Boaderlineと入れればPionnerのCM全編を見ることが出来るので是非見て下さい。

秋山氏のTVCMの名コピーをいくつか紹介したい。CMでこれを読んでいるのは片岡義男氏だ。

・ワイフが子供の頃の写真をダッシュボードにとめた。
・陽が落ちる前にワイフが生まれた町を通った。
人口800に満たない小さな町だった。
・507マイル離れて電話で聞くワイフの声は若かった。
・ニューメキシコナンバーの車を見つけて
タバコ一本分だけ待った。
・人が本当に孤独を感じるのは群衆の中だ。

新聞広告のコピーも紹介しよう。

『荒野にいたときよりシカゴにいたときの方が寂しかった。
ウインディ・シティは、その名のとおり風の街だった。
緑の匂いのない風に吹かれ、僕の心は大陸が年齢を重ね
グレート・プレーンズになったように死んでいった。
真上から見ると、巨大な四つ葉のクローバーのように見えるインタチェンジをすぎると、定規で引いたようにインタステートは地平に向かう。
風の荒野。ロンサム・カーボーイ。』
(パイオニア/1980年)

1980年当時のパイオニアにはカーステレオの新しい文化を切り開く意欲と力があった。TVCMのために、わざわざ外国人アーティストに作曲までさせた懐の深さがあった。

その後のステレオ御三家を見ると、サンスイは2018年に会社が消滅した。トリオはJVCケンウッドとして命脈を保っている。他に1970年代に存在した音響メーカーではAKAI、TEAC、ONKYO等が海外勢の傘下に入ったあと会社としては消滅している。会社の栄枯盛衰は激しい。

中学の先輩は数年前に亡くなった。人の世も「無常(常に同じではない)」だ。

2025年6月28日 土曜日