世界の動き 2023年6月30日 金曜日

今日の言葉:
「羽田空港線」
 京浜急行のドル箱路線でいつも混んでいる。
 30年前くらいまでは3両編成のローカル電車で利用者はまれだった。その後、空港へ行く人口が増加し、都心や成田空港からも路線がつながり、利用者が爆増した。
 途中の、糀谷、大鳥居、穴守稲荷といった以前は寂れていた駅ももマンションが立ち並ぶ街に変化した。空港線を利用するたびに時の流れを思わされる。今日利用したところだ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.米国のアファーマティブ・アクションに打撃
【記事要旨】
 米国最高裁判所は昨日、ハーバード大学とノースカロライナ大学における人種に基づく入学優遇は違憲であるとの判決を下した。 この決定は、学生の多様性を増やそうと努めてきた米国のエリートキャンパスでは、黒人やラテン系アメリカ人が少なくなる可能性が高いことを意味する。
 判決は裁判所の保守派多数派によって6対3で決定された。 ジョン・ロバーツ首席判事は、人種を意識した入学プログラムは「必然的に人種を否定的な形で利用し人種的な固定観念を伴う」と述べた。
 ソニア・ソトマイヨール判事は反対意見の中で、「この決定の壊滅的な影響は誇張することはできない。私たちの民主的政府と多元的社会のまさに基盤である教育における人種的不平等をさらに固定化させている」と述べた。
 アジア系アメリカ人の入学はこの議論の中心となっている。 長年にわたり、自分たちのアイデンティティを「あまりアジア人ではない」ように見せるために努めてきた。 原告らは、ハーバード大学が「好感度」などの主観的な基準を用いて、長年にわたりアジア系アメリカ人を組織的に差別してきたと非難して来た。
 今回の判決により、全米の入学プロセスが大幅に変更され、企業は採用の際に人種をどのように考慮するかを再考するよう促される可能性がある。
 バイデン大統領はこの決定を批判し、どのようにすればより包括的で多様性のある生徒集団を構築できるかを分析するよう教育省に指示した。 大統領選挙に立候補している共和党議員らはこの判決を称賛した。
【コメント】
 女性役員を3割以上という動きもあファーマティブ・アクションだ。日本で問題視されるとどうなるのだろうか。

2.フランス、警察による殺害に抗議
【記事要旨】
 パリ郊外での十代の若者の殺害を受け、フランスでは特に有色人種に対する警察の暴力に対する怒りが再燃している。
 火曜日に17歳の運転手を射殺した警察官が殺人容疑で拘留された。 この殺害により十数の都市で暴動が発生した。
 当局はさらなるデモに備えており、全国で起こり得る暴動を鎮圧するために約4万人の警察官を投入し、 少なくとも180人が逮捕された。
 国民の怒りは、警察関係者の話に基づいたフランスのニュースメディアが「少年が交通停止中に警官に突っ込んだ」と当初は報道していたが、その主張を否定するビデオが現われて、激化した。
 被害者は、アルジェリアとモロッコ系フランス国民のネヘル M. であると特定された。 彼は一人っ子でナンテール郊外のデモ行進に母親が参加していた。
 近年、拘留中の暴行や死亡事件により、警察に対する監視が厳しくなっている。 一部の議員は、警官が走行中の車両に発砲することを容易にした2017年の法律を廃止するか、少なくとも改正すべきだと主張している。
【コメント】
 フランス版Black Lives Matterと言うことだろう。簡単に発砲せず、銃を持った殺人者に殺される日本の警察とどちらがまともだろうか。

3.SHEINのインフルエンサーがどのように裏目に出たか
【記事要旨】
 ファストファッションのブランドであるSHEINは、インフルエンサーを中国に連れてきて工場を見学し、会社について明るい物語を投稿することを望んだ後、反発に直面している。
 中国で設立され現在シンガポールに拠点を置いている同社は、強制労働を使用しているという告発を受け、同社とソーシャルメディアのクリエイターはビデオを見たユーザーによって炎上している。
 あるクリエーターはInstagramとTiktokに、幸せな労働者にインタビューしたことを伝えようとしたので、ユーザーは「誠実さは旅行以上の価値がある」などのコメントを残した。
 SHEINは、そうした反応を見るのは「悲しい」という声明を出した。
【コメント】
 UNIQLOも注意しないといけない。新疆ウイグル産の綿花を多くのファッション産業はまだ使っているのだから。

その他:
ロシアの将軍が反乱に加担か
 Russian authorities appear to have detained Gen. Sergei Surovikin under suspicion that he was involved in or had knowledge of the Wagner rebellion, U.S. officials said.
プーチンは民衆に健在をアピール
 President Vladimir Putin mingled with the Russian public in a rare, heavily publicized effort to show he still had their full support.
整形したインディ・ジョーンズ?
 Harrison Ford was given a digital face-lift in the new Indiana Jones movie. Our critic calls it “weird and distracting.”

2023年6月30日 金曜日

世界の動き 2023年6月29日 木曜日

今日の言葉:
「日本株に強気」
 ウォーレンバフェットは日本の5大商社への投資で大きな利益を実現しているようだ。
 彼はさらに、製造分野での中国離れと日本見直しの動きに注目しているようだ。また株価が低迷してPBRが1倍未満の日本のメガバンクも欧米の銀行に比べれば安心できる投資対象と考えている模様だ。
 彼のように影響力のある投資家の動きは自己実現的になる。バフェットの動きには注目したい。

ニューヨークタイムズ記事より
1.ロシアの反乱について誰が知っていただろうか?
【記事要旨】
 以前ウクライナでロシアの最高司令官だったセルゲイ・スロビキン将軍は、反乱について知っており、他のロシアの将軍や外国諜報機関も、プリゴジンの計画について、初期の段階で察知していたようだ。
 ロシア国家警備隊長であり、プーチン大統領の元ボディーガードでもあるヴィクトル・ゾロトフ将軍は、プリゴジンの陣営から情報漏洩があったと述べた。
 米国の情報当局は反乱のことは知っていたが、公に何か言えばプーチン大統領が米国がクーデターを画策したと非難するだろうと考えて沈黙を守っていた。
 もしスロビキンが反乱に関与していたとすれば、ロシアの指導部の内紛の最新の兆候となるだろう。プリゴジンはロシアのエリートと大きなつながりを持っており、米国当局者は、権力の座にある他の将軍が助けに来てくれると信じていなかったらプリゴジンは反乱を起こさなかっただろうと述べた。
 ベラルーシのルカシェンコ大統領は、プーチン大統領がプリゴジン殺害を検討していると述べたとベラルーシ国営メディアが報じた。

ウクライナからの最新情報
 クラマトルスクの人気レストランへのミサイル攻撃による死者数は11人に増えた。
 米国防総省は、55台の装甲車両や地雷原除去用装備を含む武器を追加で5億ドル送ると発表した。
【コメント】
 事態の行方はよくわからない。日本の専門家の見方も定まらない。ユーラシアGのイアン・ブレマー氏は「今回の騒動ではっきりしたのは、プーチンは自分の生き残りのためには何でもすることであり、そこに停戦の可能性がある」と述べている。慧眼だ。

2.経済を活性化するために、中国は輸出に注目
【記事要旨】
 中国は経済不況から脱却するために輸出強化を検討しているが、この手法は世界的な反発を引き起こす可能性がある。
 中国政府は1月中旬以降、人民元の対ドルで約7%の下落を容認しており、海外での自国製品の相対コストが安くなり、輸出の回復を引き起こす可能性がある。
 しかし、中国製品の洪水が自国の経済を侵食し、労働者の職を奪う可能性を懸念する国々に反発を引き起こす可能性がある。 欧州では、当局者が中国の貿易黒字の急増を懸念している。 EU各国はすでに中国車の流入に対処するのに苦労しており、中国政府とロシアとの関係を警戒している。
 米国は中国への技術輸出のさらなる抑制を検討し、今回はAIに不可欠なチップが対象となる。このニュースでハイテク株は急落した。
 中国の雇用主は35歳を超える人を雇わないという見方が ソーシャルメディア上で広まっている。若年層の失業率の高さに労働者の中には敗北感を感じている人もいる。
【コメント】
 すでに国内での不動産投資によりエンジンをふかすことは出来ないので
輸出に目が行く。中国のEVの高性能化は日本車にとって安閑としていられない脅威だ。

3.インドの卒業生は職を求めて必死だ
【記事要旨】
 インド経済は年間約 6% のペースで成長しており、これは世界的に明るい兆しだが、インドが中国を追い越して最も人口の多い国になるにつれ、その成長が雇用の不均衡を生み出している。
 毎年卒業する学生が増えるにつれ、高収入のポジションをめぐる競争は熾烈になっている。 北部の都市パトナでは、若者たちが政府の職に就くための授業を受けている。トップレベルの求人倍率は 1,800 倍だという。
 インド製造業は労働者を必要とするが、パトナから千マイル南にある都市コインバトールのアルミニウムダイカスト工場のオーナーは自動化に目を向けている。有能で信頼できる人材が十分に見つからないそうだ。
【コメント】
 インドのような高成長国でも人が不要になりつつあるということだろうか。AIの発達で状況はますます悪化するだろう。
 日本は省人化で生産性を改善し、一人当たりGDPの維持向上を目指すべきだ。

その他:
カナダでのデイケア―
 Canada is trying to make day care cheaper for more families.
ニュージーランドで鼠がいなくなる
 New Zealand is trying to be free of rats by 2050, the BBC reports.
地下水くみ上げが自転に影響か
 Scientists think that groundwater pumping for crops and households may partially explain why Earth’s spin went off-kilter around the turn of the millennium.

2023年6月29日 木曜日

世界の動き 2023年6月28日 水曜日

今日の言葉:
「合併=人員削減」
 日本で金融機関が合併した際に大規模な人員削減が行われることはない。簡単に人を切れない労働慣行のなせる事情だ。同じ業務を少ない人員でこなせば固定費が大規模に削減できるので、これが欧米での金融機関の合併の大きなインセンティブになる。
 最近UBSに救済合併されたクレディスイスCSの場合はどうだろうか。
 「UBSは、総勢4万5000人のCS従業員の半数余りの削減に7月から着手する計画だ。削減はロンドンとニューヨーク、また一部アジアにおけるクレディ・スイスの投資銀行部門のバンカー、トレーダー、サポートスタッフが中心となる見通しで、UBSはCSと合わせた従業員の総数を最終的に約30%(約3万5000人)減らす意向だという。」(Bloomberg記事より)
 厳しい生き残りがCS従業員を待ち受けている。

ニューヨークタイムズ記事より
1.プリゴジンがベラルーシに到着
【記事要旨】
 国営メディアの報道によると、ワグネルのリーダー、プリゴジン氏が昨日ベラルーシに到着した。 同氏が週末に蜂起を中止したことを受け、ロシア当局は同氏とその戦闘員に対する刑事告訴を取り下げた。
 ロシア国営メディアは、ワグネルが軍事装備を陸軍に引き渡すと報じた。 ワグナー戦闘員の何人がロシア軍の指揮下に置かれることに同意するかは不明だ。
 ロシアでは、プーチン大統領が クレムリン敷地内で屋外演説し、「内戦を実質的に止めた」ロシア軍に感謝の意を表した。 彼はまた、ロシアを犠牲にしてプリゴジンが私腹を肥やすのを助けた当局者に対して警告した。
 ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介した協定に基づき、プリゴジンはベラルーシで亡命生活を送ることになる。ワグネルのメンバーにはベラルーシ国内の「放棄された」軍事基地を提供された。
 外交官やアナリストによると、武装蜂起に動揺しているとはいえ、ロシアの支援者がプーチンを見捨てる可能性は低いという。
 ロシアのミサイルにより、クラマトルスクの混雑したレストランで少なくとも4人が死亡した。前線での戦闘は続いている。
【コメント】
 ワグネルメンバーが使える基地もベラルーシに用意されたのをこの記事で知った。彼らは武装解除されたのだろうか。ルカシェンコはどのようにワグネルをコントロールし使うつもりなのだろうか。

2.アメリカ国民はバイデンに米中の緊張緩和を許すだろうか?
【記事要旨】
 世論調査によると、アメリカ人はかつて冷戦時代にソ連について考えていたのと同じように、中国についても考え始めている。
 2000年から2016年までの間、米国人の中国の見方は好意的と否定的がほぼ半々だった。 2018年、ドナルド・トランプ大統領の反中発言と貿易戦争で状況は一変し、今日、ほとんどのアメリカ人は中国を非友好的か敵と見なしている。
 国民の見方が悪化すると、関係を修復したり紛争を回避したりすることが難しくなる可能性がある。 アメリカ人が中国に関して指導者から受け取っているメッセージは非常に否定的であり、国民の敵意は、指導者に攻撃的な発言や行動を促す可能性があり、そのタカ派性をジャーナリストが国民に伝えることになる。
 マクロレベルでは、米中は実際に真剣な競争の中にあり、今や大衆もそう見ているので、一夜にしてこの動きを立て直すことはできない。
【コメント】
 アメリカと欧州には温度差があり、欧州主要国は中国との関係強化を望んでいるようだ。日本は国益の観点からどのようにカジ取りするか知恵が問われる。
 強権中国は嫌いだがインバウンドの中国人は歓迎だというねじれがある。

3.中絶のない米国の生活を垣間見る
【記事要旨】
 グアムは、最も近い州から数千マイル離れており、中絶を行う常駐医師はいない。 現在、米国の裁判所の判決により、中絶薬を入手するには医師の直接の診察が必須となり、ほとんどの住民にとって妊娠を中絶するための唯一の合法的な方法が実質的に遮断されている。
 この島は、中絶がほぼ全面的に禁止された下の生活がどのようなものかを示す極端な例となる可能性がある。 1年前に最高裁判所がロー対ウェイド事件を破棄して以来、十数の州がすでにこうした禁止令を導入している。
 世論調査では、ほとんどのアメリカ人が中絶は「道徳的に容認できる」と述べ、法律が厳しすぎると考えている。世論調査では “プロチョイス”という回答が多数派になりそうだ。
【コメント】
 難しい政治問題化しているが「中絶天国」の我が国から見るとよくわからない。日本では経口避妊薬が医師の診断書なしに手に入るようだ。米国へ横流しして金儲けする人が出そうだ。

その他:
米国南部で熱波
 The South is in the middle of a wave of record heat, which is expected to continue through the July 4 holiday.
トランプは極秘文書を見せびらかす
 An audio recording from 2021 appears to undercut Donald Trump’s claim that he did not show classified documents at a meeting.
トランスジェンダーは自殺の可能性が高い
 A study from Denmark found that transgender people are at a significantly higher risk of suicide compared with the rest of the population.

2023年6月28日 水曜日

世界の動き 2023年6月27日 火曜日

今日の言葉:
「灰色のサイ」
 動物を使った面白い表現がある。一番有名なのは「ブラックスワン」だろう。従来、すべてのスワン(白鳥)は白色と信じられていたが、17世紀後半にオーストラリアで黒いスワンが発見されたことにより、その常識が大きく覆された事例に因んでいる。市場において、これまでの知識や経験からは事前にはほとんど予想できず、起こりえないと思われていた事柄が現実に起きたときの衝撃が大きく、人々に多大な影響を与えるという意味の言葉だ。
 さて、「灰色のサイ」は、誰でも知っている大きなサイについての表現だ。将来大きな問題を引き起こす可能性が高いにもかかわらず、現時点で軽視されがちな潜在的リスクを示す。 体は大きくても普段はおとなしいサイが、いったん暴走し始めると誰も手を付けられなくなることに由来する。
 中国共産党下の「環球時報」でプリゴジンの乱を「灰色のサイ」に例えているので紹介した次第だ。中国共産党は今回の事態を冷静に分析しているようだ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.プーチン大統領が反乱について言及
【記事要旨】
 プーチン大統領は昨日の短いテレビ演説で、プリゴジン率いるワーグナー傭兵集団による週末の反乱について言及した。
 プーチン大統領は、反乱を「脅迫」と非難し、「ロシア社会全体が団結し、全員を結集させた」と主張し、明らかに怒っているようだった。 彼はプリゴジンの名前には言及しなかった。
 「彼らは前線やウクライナの反攻での失敗に対する復讐を夢見て手をこすり合わせ、ロシア人同士が戦うのを望んだ」とプーチンは語った。
 その日の早朝、プリゴジンも土曜日以来初めて公の場で発言した。
「私たちは抗議活動を示すために行ったのであって、国内政府を転覆させるために行ったわけではない」とプリゴジンは語った。 現在、ワーグナーグループの将来は不透明であり、プリゴジンは依然として告訴される可能性がある。
 この反乱はプーチン大統領の23年間の統治の中で最も劇的な挑戦であり、長期的には彼の権力を損なう可能性がある。
 ウクライナ指導者らは、ロシアの混乱に乗じたいと考えているが 反撃は止まりつつある。指導者らは忍耐を呼び掛けており、本格的な攻撃はまだだとしている。
【コメント】
 昨日はやくざの世界での動きに例えたが、プリゴジン若頭の処遇をプーチン親分は決めかねているようだ。

2.パキスタン軍での弾圧
【記事要旨】
 パキスタン軍は、イムラン・カーン元首相を支持する最近の抗議活動中の行為を巡り、上級司令官3名を解雇し、幹部15名を懲戒処分とした。これは軍が自軍に対してここ数十年で取った中で最も強力な行動だ。
 これは、カーン氏への支持は軍内で容認されないというメッセージを送った。 この処罰はまた、カーン氏への支持を打ち消すために軍がますます強力な手段を用いることを強調した。
 先月、カーン氏が汚職容疑で一時逮捕された後、暴力的なデモが勃発したが、カーン氏は容疑を否認していた。 軍報道官は、懲戒処分を受けていた軍関係者らがデモ参加者の攻撃から軍事施設を確保できなかったと述べた。
 抗議活動以来、カーン氏の支持者のうち少なくとも5,000人が逮捕された。 軍報道官は少なくとも102人が軍事法廷で裁判を受けると発表したが、これは人権団体から広範な批判を招いている。
【コメント】
 パキスタンでも政情不安が起きているが、この辺の報道は日本ではほとんどない。核大国であるパキスタンの動向は日本にも無縁ではないので注視する必要がある。

3.米中関係が融資を複雑化
【記事要旨】
 中・低所得国は、長年の低金利で借り入れが増え、返済不可能な債務に苦しんでいるが、中国と米国の対立により、時間通りに救援を受けることが困難になっている。
 何十年もの間、IMFは、資金援助の条件として緊縮財政を要求してきたが、近年、中国は世界中の発展途上国に対する緩い貸出条件での主要な貸し手として台頭しており、貸出条件の厳しい融資に対する需要は減少している。
 IMFとその最も影響力のある参加国である米国は、中国の金融機関が参加する以前に債務ストレス国に救済を与えることに二の足を踏んでいる。 そうでなければ、中国の金融機関は他社が延長した債務免除にただ乗りしていることになるからだ。 しかし、中国政府はますます自己主張を強める一方で、西側に屈することを拒否している。
 その結果、ガーナ、エチオピア、パキスタンなどの国々は、それぞれが債務の増大に直面しているが、その多くは中国の国営金融機関に対するものであり、集中砲火に巻き込まれている。
 例えば、スリナムはIMFから低利融資を提供されているが、IMFは中国の債権者が5億4500万ドルの債権(スリナムが道路や住宅の建設に使っていた融資)を再編することを断固として要求した。 インフレが急上昇し、子供たちが飢えに陥る中、救済が遅れている。
【コメント】
 中国には無限に資金があるように見えるが、打ち出の小づちがあるわけでもあるまい。国内の経済回復と成長のために資金が必要だが、海外での条件の緩い貸し出しがいつまで継続できるか疑問だ。

その他:
ギリシャでの右派政党が勝利
 Kyriakos Mitsotakis, the leader of a conservative Greek party, was sworn in for a second term after a landslide victory. It’s another win for the right in Europe.
ウガンダでは太った人に金を貸す
 A study found that loan officers in Uganda were more likely to offer credit to heavier-looking people. In a place where food can be scarce, obesity can signal financial security.
中森康文さん(海外で有名ですね)
 Yasufumi Nakamori, a senior curator at the Tate Modern in London, will  become director of the Asia Society in New York.

2023年6月27日 火曜日

世界の動き 2023年6月26日 月曜日

今日の言葉:
「やくざの手打ち」
 ショイグ兄貴のやり方に不満を抱いたプリゴジン若頭の反乱を、プーチン親分は組の団結を乱すとして厳しく臨んだ。事態が収拾できそうになくなると、そこにルカシェンコ叔父が出てきてプリゴジンをなだめ自分が引き取ることで円く収めた。
 やくざの手打ちそのものだが、こう見るとプーチン親分の影は薄い。

ニューヨークタイムズ記事より
1.ロシアの危機は和らぐ
【記事要旨】
 プーチン政権に対するワグネルによる武装反乱が土壇場で沈静化された翌日、プーチン大統領も傭兵指導者プリゴジンも公の場に姿を現さなかったため、ロシア中に広がる不確実性と混乱がさらに高まった。 ここ数日間の出来事は、プーチン大統領の権威とウクライナ戦争の将来について疑問を残した。
 プリゴジンが主導した武装蜂起は、ロシアのウクライナ戦争の正当性と軍事指導者の能力に疑問を投げかけた。 ワグネル軍はロシアの軍事指導者に挑戦する目的でモスクワに向けて進軍し、ロシアの中規模都市ロストフ・ナ・ドヌを制圧したものの、多くの国民の支持を集めることができなかった。
 土曜日の夜までに、ベラルーシのルカシェンコ大統領が介入し、プリゴジンがベラルーシに行って刑事告発を回避し、ワグネル兵士らが影響を避けるよう手配した。
 土曜日にロストフ・ナ・ドヌを出発する傭兵たちを住民たちは歓声を上げ抱きしめた。 自分たちの行動を「正義のための行進」と表現したプリゴジンの言葉は、多くのロシア人の共感を呼んだようだったが。
 ロシア政府へのこのような直接的な挑戦の影響は、数日または数週間は感じられないかもしれないが、ロシアの世界的地位に重大な影響を与える可能性がある。この混乱は戦争遂行の破綻につながる可能性があるが、核武装国の混乱は常に懸念材料である。
 ワグネルの将来とその中でのプリゴジンの役割は不透明だ。不確実性は、数千人の戦闘員がいるアフリカでのグループの作戦にも広がっている。
【コメント】
 現状はこの記事のとおりだろう。はらわたが煮えくり返っていると思われるプーチンがどのような声明を出し、実際にはどう動くかが焦点だ。また、ワグネル以外の軍事会社はどのように動くのだろうか。

2.中国はロシアに致命的な援助を提供しているのか?
【記事要旨】
 これまで報告されていなかった中国国有企業とロシアの軍需工場間の輸送は、ロシアの対ウクライナ戦争における中国政府の役割について新たな疑問を引き起こしている。
 中国国営企業ポリ・テクノロジーズは昨年2回に分けて、ロシア中部の弾薬工場に数万キロの無煙火薬を送った。 これらの貨物は、米国に拠点を置く貿易データ収集会社である Import Genius によって特定された。
 米当局者らは、中国が戦争遂行に役立つ製品をロシアに提供する可能性があると懸念を表明しているが、中国がそのような輸送を行ったと明言はしていない。
 中国は戦争において公式には非同盟のままであるが、昨年初めに「無制限」のパートナーシップを宣言して以来、ロシアにとって重要なパートナーとなっている。
【コメント】
 西側諸国が無制限に軍備の支援をウクライナにしているので、中国がロシアに軍事支援をしても、おあいこだろう。

3.台湾の #MeToo ウェーブ
【記事要旨】
 セクハラや暴行に対する告発の洪水が台湾の政界の上層部にまで届き、アジアで最も進歩的な民主主義の島における女性の権利の見直しを促している。 ほぼ毎日、新たな疑惑が浮上し、トークショーやソーシャルメディアで議論が巻き起こっている。
 民進党の党幹部や政府高官らも最初の告発者に含まれており、蔡英文総統は党内の苦情に対する不手際について謝罪を余儀なくされた。 このスキャンダルは来年の選挙を前に若い有権者からの信頼にリスクをもたらしている。
  噴出する苦情は、Netflix の人気政治ドラマ「ウェーブ メーカーズ」によって引き起こされた。 この番組には台湾の政党でのセクハラ行為を題材としたサブプロットがあり、ある登場人物の「今回はこのまま放置はやめましょう」という反応がネット上で大声で叫ばれた。
  台湾は女性の著しい進歩で際立っているが、セクハラ告発の殺到は、学者らによると、根深い性差別と被害者をすぐに非難する文化を示している。
【コメント】
 日本が125位になったジェンダーギャップランキングで台湾が何位か調べてみた。台湾は無かった。香港もない。国扱いされていないようだ。
 韓国が105位、中国は107位。日本は125位だった。

その他:
ミャンマーでの平和スト
 A “flower strike” marking the birthday of Myanmar’s imprisoned civilian leader, Aung San Suu Kyi, led to widespread arrests.
中国での異常気象は自給を阻む
 Extreme weather has ravaged farms in China, underscoring the risks that climate shocks pose to the country’s goal of self-reliance in its food supply.
選挙でのAI利用
 The use of A.I. in elections worldwide has set off a scramble for guardrails against disinformation.

2023年6月26日 月曜日