Oracle of Omaha

Oracleはもともと神託を意味する言葉。転じて神のお告げを伝えるほどすごい人、哲人の意味。
Oracle of Omahaはオマハの哲人。ウォーレン・バフェットを指す言葉だ。

今日のMcKinseyのニュースレターに、もう90歳になった彼の投資成果を称賛する記事があった。

バフェット流の投資の要諦は、忍耐、注意、そして継続性だ。

もし1964年に1ドルをSP500に投資していたとすると、現在198ドルに増えている。これだけでも素晴らしい実績だ。
もしその1ドルをバークシャーハザウェイ株に投資していたら、現在は27,373ドルになっていたそうな。驚くべき実績だ。

バフェットの投資スタイルが批判を浴びたこともある。曰く、IT株に出遅れている。コロナ禍に積極的なM&Aを行ってこなかった。
しかしながら、こういう時期だからこそ、バフェットの投資の要諦である、忍耐、注意、継続性が重視されなければならないといえるのだ。

と、ここまで書いてきて、日経のネット版の「バフェット氏の投資会社日本の5大商社の株を5%以上取得」という記事に気が付いた。5大商社とは、伊藤忠、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅である。

大手商社の株価はヴァリュー投資をするバフェット氏の狙いに合致した投資対象だ。ただ、ちよっと筆者が違和感を感じたのは、5大商社の株をまんべんなく買っていることだ。

バフェット流は対象を絞って大きく買っていくのがスタイルだ。5大商社のどこかを決め打ちするか、6番目の商社、双日、の株をもっと大量に買うような動きがバフェットらしいと、私には思えるのだ。

バフェット氏の選択眼の冴えが無くなったと見るべきか、5大商社は甲乙つけがたいほど良好な投資機会を提供すると見るべきか。

今日は商社株が全面高のようだ。バフェット氏の神通力は衰えていないのは確かなようだ。

(2020.8.31)

コロナと酷暑と

TVを見るとコロナと酷暑の報道の繰り返しだ。
これほど時間をかけて各県で何人陽性者が出た何人入院患者が増えたと報道する意味があるのだろうか。
もっとわからないのは、今日の暑さのランキングを延々と報道し、外に出るな、部屋でも冷房をかけろ、水分をとれと幼稚園児にするような説明を繰り返している。

それら以外は、どのチャンネルもお笑い芸人が沢山登場し、食べ物の話か、娯楽の話をしている。
あほらしいかぎりだ。

今日、安倍総理が辞任の意向を記者会見で表明したので、明日から毎日、安倍首相のこと、総裁の選出のことでTVのニュースは持ちきりになるだろう。

日本の周りを見れば、中国は尖閣列島周辺の日本の領海への侵入を繰り返している。韓国との間では言わゆる徴用工や従軍慰安婦の問題への解決の糸口が見つからないし、竹島は実効支配され続けている。
中国も韓国も、「執拗に」自分たちの主張を繰り返し続けている。「嘘も100回付けば事実になる」のが怖い。我が国の「それは嘘だ」という反論も弱い。
日本のメディアはもう少し日本をとりまく環境について歴史問題も含めて報道する姿勢が必要だ。

日本のTV報道で取り上げられる海外のニュースはせいぜい米国の大統領選挙の動向だ。トランプやバイデンの動きを表面的に追ったものが多く米国の本質に迫る報道は乏しい。
・Qアノンの動向
・BLM運動とスポーツ界の動き
・暴動に対する「法と支配」の考えの根源
とかもう少し深堀した報道を期待したいのだ。

アメリカ以外のニュースはほぼ皆無で
・反プーチン運動の代表が毒を盛られたことへのドイツの対応
・トランプのくせ玉:イスラエルとUAE和平の意味
・中国にロックダウンされている新疆ウイグル自治区の状況
とか、日本のTVを見ていても殆ど知ることが出来ない。

8年間続いた安倍政権の大きな成果は、政権が続いたそのことだ。G7でも一応日本の首相の名前が憶えられるようになった。
次の首相がだれになるかわからないが、我々国民としては世界的な視野の中でどのような国政のかじ取りをしてくれるか期待して見守りたい。

パンとサーカス(食べ物番組とお笑い芸人が沢山出てくるバラエティー番組)のみを国民が求めたときにローマ帝国は滅亡した。

この国の未来にはあまり期待してはいないが、衰退を少しでも食い止めるためには、もうすこし国際的な観点をもつTV報道が必要だと痛感するのだ。

(2020.8.28)

ブルドーザー考

太平洋戦争の日本軍が攻勢から守勢に転換することになった契機の戦いにガダルカナル島の攻防がある。戦闘の詳細はwikipedia「ガダルカナル島の戦い」を参照されたい。

この戦いの影の主役にブルドーザーがある。日本軍の設営隊がシャベルとつるはしとモッコで作った飛行場は、米軍の上陸により米軍の手に落ち、ブルドーザーで拡張強化された。
日本軍はこの飛行場を無力化するために戦艦を投入して何度も艦砲射撃を行った。穴ぼこだらけになった滑走路はブルドーザーにより整地され、鉄板で穴が塞がれ、すぐに使えるようになった。

ガダルカナル島の奪回を目指し日本軍は2回の総攻撃をかけるが、飛行場が米軍の手にあり制空権が無いため無残に失敗した。
飛行場の修復作業はブルドーザーなしには不可能だったし、その速さは日本軍の想定外だったのだ。

米国では1930年代からブルドーザーが実用化されていた。キャタピラーから日本はブルドーザーを輸入しコマツが製造を試みたが、コマツ製は当時全く使い物にならなかったという。

個人的な体験を書くと、一昨日、家の前にあった松の木を伐採した。伐採後、直径60cmほどの切り株が残った。年輪を数えると樹齢60年はする樹だった。
伐採に使われた小型のパワーショベルでは切り株を微動だにさせることが出来なかった。昨日、大型のブルドーザーが来て、ものの数分で切り株を掘り起こした。

目の当たりにしたブルドーザーの威力に、ガダルカナル島の戦いを思いだした次第だ。

高度成長期を通じコマツは重機メーカーとして世界的な企業になった。キャタピラーに追い付き世界一になったという見方も出来る。以って瞑すべきかもしれない。

(2020.8.26)

外国人技能実習生は今

外国人技能実習生制度は知っていても、身近に実習生を見たことのない人が多いのではなかろうか。

いま自宅と庭の改修をしているが、工事にベトナムからの技能実習生がきている。昨日も今日も、工事に来た2人のうち1人が実習生だった。

この工事を請け負った業者さんは社員総勢45名。うち8名がベトナムからの技能実習生だそうだ。
昨日今日来た二人は実習の5年目で、日本語も達者。来年にはベトナムに帰ると目を輝かせて話していた。
地盤を水平にするための測量をしたり、重機を扱ったりして貴重な戦力になっているようだ。

外国人技能実習生というと、激務で心身衰弱に陥ったとか自殺したとか上手くいかない事例がニュースになることが多い。悪い業者がピンハネするという事例も多いと言われていた。

技能実習制度の改定時には野党が大騒ぎして外国からの肉体労働者を最低賃金以下で働かせる制度として批判した。その後、現行制度の良否や改善すべき点の議論は聞かれない。

制度は常の改善の余地があり、他の国の制度(特に韓国やシンガポールは日本より外国人に優しい制度と聞く)との比較が必要だろうと思われる。
その際には日本でうまく行っている事例も勘案して制度の改善を進めるべきだろう。

(2020.8.24)

橋の名前

大田区の我が家から1キロほどのところに多摩川があり、丸子橋がかかっている。

川崎側から東京の方へ向かうと「まるこばし」という橋の名前が書いてある。
東京から川崎へ向かうと「丸子橋」という名前が書いてある。

橋の名前の書き方には決まりがある。東京(江戸)へ向かう(上って行く)側はひらがなで、東京(江戸)から地方へ向かう(下ってゆく)側には漢字で書くのが決まりだ。

これは、地方から江戸へ向かうものは無学なためひらがなしか読めないのでひらがなで書かれているが、江戸で学問を収めたものは漢字が読めるので漢字で書かれるようになった、というのが理由だ。

東京ではこのルールが貫徹しているので確かめてみてください。

八百八橋と言われた大阪では別の決め方があると大阪市役所の方から聞いたことがあるが、詳細は聞き洩らした。残念。

我が家の近くに福山雅治のヒット曲でおなじみの「桜坂」があり、坂をまたぐ形で真っ赤な「桜橋」がかかっている。この橋の名前はどう書かれているだろうか? 橋を挟んで、学問のある側と、学問の無い側が橋の名前の書き方でわかるのだ。

期待を以って見たら、橋の両側に道を挟むかたちで2本の柱が立っていた。その片方にひらがなで、もう片方には漢字で、名前が書かれていた。橋の両側の住民に配慮した名前の書き方だ。

(2020.8.23)