明日、明後日と金融財政事情研究会主催の「金融内部監査人」養成コースの講師をつとめる。金融機関で内部監査部門に初めて配属された人向けのコースで、部長クラスから若手までいろいろな受講者が揃う。このコースは既に63回を数え、修了者の総数は1500人を超えている。
いろいろな話をするが、「不正」については皆関心が高く当方の説明に耳を傾けてくれる。不正を木に例えて考えると、不正の実が木に成るのは、修正が簡単だ。悪い実を摘めばよいからだ。木の幹や木の根が腐っていたり、木を取り巻く土壌が汚染されている場合は、解決が難しくなる。
最近の東北地方の信用組合で起きた不正融資事案では、信組の経営陣が、理事長から監事に至るまで、事案に関与していたことだ。監事や内部監査は、明白な犯罪行為に異をとなえず、組織内での自身の保身を図っていた。これは木の幹や根が腐っていた事例だ。
建設業界で以前は普通だった談合は、業界自体が汚染されていた例で、不正の防止は難しい。
筆者は以前、日本の金融機関のタイの現地法人で営業の責任者(日系企業・多国籍企業担当)をしていたことがある。
タイの地場企業向けの融資担当者は、貸出を実施すると貸出先からお礼の金品を受け取っていることが、しばらく勤務してからわかった。タイ人の社会ではそれが当たり前だから、誰もそれが不正だとは思っていなかった。これは業界を超えて、その国の風土と係る問題だった。
さて、こうした場合に、どのように対処すべきだと思われますか?
2025年7月27日 日曜日