週間市場動向 2025年12月8日~12日 備忘録

【株式市場の動き】
12月8日(月)~12日(金)の週は、日米ともに主要株価指数が総じて堅調で、日本はTOPIX・日経平均ともに上昇、米国はS&P500・ダウが小幅安、NASDAQがやや軟調という流れでした。​

日本株式市場の動き
日経平均株価は12月12日終値で50,836.55となり、前週末から約0.7%の上昇でした。​
TOPIXは12月12日終値が3,423.83で、週間では約1.8〜2.0%程度の上昇となり、過去最高水準を更新しました。​
背景として、米FRBの利下げとその後の米株高を好感した買いが優勢となり、金融や輸出関連中心に幅広い銘柄が買われました。​

米国株式市場の動き
ダウ平均は12月12日終値が48,458.05で、週初8日の47,739.32からみるとおおむね1〜1.5%程度の上昇幅にとどまりました(週間では小幅安〜横ばい圏の評価)。​
S&P500は12月12日終値が6,827.41で、週初の6,846.51近辺からみるとわずかに下落し、週間では概ね▲0.3%前後のマイナスでした。​
NASDAQ総合は12月12日終値が約23,200〜23,500台(例:23,195.17~23,488.87のレンジ)で、週を通してハイテク主導で調整色が強く、1%強の下落となりました。​
この週は、利下げ決定後の金利動向とAI関連など大型テック株の利益確定売りが重なり、ハイテク比率の高いNASDAQが相対的に弱い動きとなった一方、景気敏感株やディフェンシブを含むダウ・S&P500は比較的下げが限定的でした。

【金利と為替の動き】
米国の金利動向
米10年国債利回りは、12月8日時点で約4.17%、9日に4.18%といった水準で推移し、その後11日に4.14%とわずかに低下するなど、4.1〜4.2%台でのレンジ内の動きでした。​
FOMCは9〜10日に0.25%の利下げを実施したものの、先行きの追加利下げペースには慎重なトーンが示され、長期金利は急低下ではなく「やや上昇気味で高止まり」という反応になっています。​

日本の金利動向
日本の10年国債利回りは12月8日に1.965%まで上昇し、2007年6月以来およそ18年ぶりの高水準を更新しました。​
12月12日時点でも約1.96%と高止まりしており、インフレの持続や大型補正予算・国債増発、日銀の近い将来の利上げ観測が重なって、長期金利に上昇圧力がかかり続けています。​

ドル円(USD/JPY)の動き
ドル円は12月8〜12日の間、概ね1ドル=155円前後を中心に、154円台後半〜156円近辺のレンジで推移した日が多く、高水準の円安は維持しつつも、米利下げ決定と日本金利上昇を受けて一時的に円高方向(ドル安・円高)へ振れる場面も見られました。​

【来週の相場見通し】
日銀会合と日本の物価統計、米国の雇用・インフレ関連の遅延データが重なり、「金利と為替をにらみながら、ボラティリティは高めだが下値には押し目買いも入りやすい」という展開が想定されます。​

日本株市場の見通し
最大のイベントは18〜19日の日銀金融政策決定会合で、市場は政策金利を0.5%→0.75%に引き上げる可能性をかなり織り込みつつあります。​
すでに10年国債利回りが約2%まで上昇しており、「利上げはある程度織り込み済みだが、声明と植田総裁のトーン次第で、銀行・保険など金融株と輸出・グロース株で明暗が分かれる」展開になりやすい局面です。​
TOPIX・日経平均とも、高値圏でのイベント待ちからスタートし、日銀が想定通り小幅利上げ+その後のペースに慎重な姿勢なら、金融株主導で指数は底堅いシナリオがメイン、一方「タカ派サプライズ(利上げペースを急がす示唆)」が出れば、円高・金利高を通じて指数全体の調整リスクが意識されます。​

米国株市場の見通し
直近のFOMCで0.25%利下げが決定したものの、2026年の利下げ回数を巡り「FRB予測(1回)vs 市場(2回)」のギャップが残っており、来週公表される遅延していた雇用統計や11月CPI、11月小売売上高などが、このギャップを埋めるかどうかが焦点です。​
直近ではAI関連を中心にナスダックが大きく調整する一方、ダウやバリュー株・金融株・素材など景気敏感株のパフォーマンスが良く、「グロースからバリュー・循環株へのローテーション」が進行中と見られます。​
来週は、マクロ指標が市場予想通り〜やや弱めに収まれば「利下げ期待維持 → 長期金利横ばい〜やや低下 → S&P500・ダウは押し目買い優勢」、逆に強いインフレ・雇用指標が出れば「金利再上昇 → 既に高バリュエーションの米株に再調整圧力」という二方向のリスクが意識されます。

注目セクター
来週は「AI・半導体などハイテクは一旦調整継続リスク、金融・ディフェンシブ・一部景気敏感と日本の銀行株に物色がシフト」という構図がメインシナリオになりやすい状況です。​

日本:利上げ局面での注目セクター
金融(銀行・保険)
日銀の0.75%利上げ観測と10年国債利回り2%前後という環境から、利ざや拡大が意識されるメガバンク・地方銀行、長期金利上昇の恩恵を受けやすい保険株は引き続き物色対象になりやすいと見られます。​
内需ディフェンシブ
利上げと円高リスクを意識すると、電力・ガス、通信、食品・医薬品など景気感応度が相対的に低いセクターへの資金シフトも想定されます。​
中長期でのエクスポージャー
構造改革と政策支援の文脈から、自動車(電動化・グローバル再編)、半導体・AI関連、ITサービス、防衛・インフラなどは、短期のボラティリティを許容できる前提で中長期の注目テーマとされています。​

米国:バリュー・金融・ディフェンシブと“調整中ハイテク”
バリュー株・金融・小型株
直近はAI関連・大型テックの調整でナスダックが売られる一方、ダウ構成銘柄中心のバリュー株と金融株、小型株指数が相対的にアウトパフォームしており、「グロース→バリュー・小型」へのローテーションが示唆されています。​
金利が高止まりしつつも利下げ方向にある局面では、銀行・保険・一部小売などの金利・景気敏感バリュー株が引き続き注目されやすいとの指摘があります。​
ディフェンシブ(生活必需品・ヘルスケア)
AIバブル懸念とバリュエーション負担からハイテクが売られる中、生活必需品などディフェンシブセクターが物色され、S&Pの11セクターのうち消費安定(Staples)が上昇した日も報告されています。​
調整局面のAI・大型テック
AIバブル懸念で半導体・AI関連が一斉安となっている一方、フェアバリュー比では一部のメガキャップ(例:AIインフラ・クラウド・サイバーセキュリティ銘柄)は割安に近づきつつあるとの評価も出ており、中長期投資家にとっては「拾い場候補」との見方があります。​短期はイベント前後のボラティリティが高く、来週に関してはトレーディング前提のハイベータ枠としての位置づけが現実的です。​

【PE、プライベートクレジット市場】
PE(プライベート・エクイティ)市場
ディール・エグジット
2024年からの回復が続き、2025年はM&A・IPOの再開でディールバリューはコロナ後で最も高い水準に接近しつつあります(Q1だけで約4,950億ドル、Q3までで約1.5兆ドル超など)。​
一方で件数はパンデミック前より少なく、「メガディール中心・大型優良案件に資金が集中」という傾向が鮮明です。​

ファンドレイズとセカンダリー
2025年YTD(9月時点)のグローバルPEファンドレイズは約4,560億ドルと、前年同期比で金額▲23%・本数▲13%と減少しており、3年連続の減少という統計も出ています。​
プライマリーの厳しさを補う形で、2024〜25年にセカンダリー取引が過去最高近辺まで拡大し、「流動性確保と資産の持ち越し(GP主導セカンダリー、継続ファンド)」が大きなテーマになっています。​

戦略とリターンドライバー
低レバレッジ・高金利環境を前提に、「マルチプル拡大ではなくオペレーショナルな価値創造」がリターン源泉という見方が主流で、特に中堅ミドルマーケット・成長株(グロースエクイティ)で妙味が大きいとするレポートが多いです。​

プライベートクレジット市場
市場規模と成長
プライベートクレジット残高は2024年初に約1.5兆ドル、2029年に2.6兆ドルに達するとの試算があり、銀行規制強化・銀行融資の慎重化を背景に2025年も構造的な拡大トレンドが続いています。​
2025年上期だけで約1,240億ドルの新規ファンドレイズが行われ、2024年通年を上回るペースとの指摘もあります。​

収益性とリスク
変動金利ローンへの高金利が続いたことで、2025年もダイレクトレンディングを中心に高いキャリーが続き、レバレッジドローン市場の予想リターンは7.5〜8%程度といった見方があります。​
ただし借り手サイドでは、インタレストカバレッジ低下やPIK(金利の元本繰入れ)の増加など「表面化しにくいストレス」の兆候もあり、ヘルスケアやコンシューマー・ディスクリショナリーなど一部セクターで業績二極化が指摘されています。​

今後の方向性
FRBの漸進的な利下げとM&A・LBOの回復により、2026年にかけてディール・貸出ボリューム増加が見込まれる一方、スプレッドはややタイト化し、リターンは「まだ魅力的だが、与信選別がより重要」という環境が続くとの予測が多いです。​

2025年12月13日 土曜日

世界の動き 2025年12月12日 金曜日

今日の一言
「銘柄選択の難しさ」
ウォルト・ディズニーが2.5%上昇した。OpenAIに10億ドルを投資するとともに、ミッキーマウスなどの代表的キャラクターをOpenAIの動画生成ツール「Sora」にライセンス提供することで合意したことが材料だ。契約期間は3年。ディズニー、マーベル、ピクサー、スター・ウォーズのアニメやキャラクターのライブラリーを使い、Sora上で動画を生成できるようになる。同時に、ディズニーはOpenAIの主要顧客にもなり、同社のツールを使って新たな製品や体験を構築し、社内向けには「ChatGPT」を導入する。
一方、オラクルが10%急落した。前日の引け後に公表した決算で、人工知能(AI)データセンターや関連設備への投資が膨らむ一方、それがクラウド部門の売上高に結び付くまでに時間を要していることが示されたためだ。データセンター投資の指標とされる設備投資は120億ドルに増加。アナリスト予想平均は82億5000万ドルだった。一方、クラウド部門とインフラ部門の売上高はいずれもアナリスト予想をわずかに下回った。
大型株も乱高下する現状は、銘柄選択が本当に難しくなっていることを示す事例だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.盗まれた遺物が返還されるとき
【記事要旨】
●背景
ベニン・ブロンズは1897年に英国軍がベニン王国(現在のナイジェリア)から略奪した美術品で、植民地支配の象徴的な略奪例とされる。ナイジェリアは1930年代から返還を求めてきたが、近年ようやくオランダ、ドイツ、スウェーデン、ケンブリッジ大学などが返還を進めている。
●返還をめぐる複雑さ
当初、西洋の博物館はベニン市に近代的な博物館を建設し展示する計画だった。しかしナイジェリア政府は、ブロンズは本来の所有者である現オバ(王)に返すべきだと決定。オバは国際的な博物館計画に反対し、自ら「王立博物館」を建設して収蔵すべきだと主張した。
●西洋側の懸念
公的博物館が私的な王室に美術品を渡すことへの不安があり、保存環境や管理体制が十分でないと感じる声もある。現在はオバがナイジェリア政府と5年間の協定を結び、政府が代わりに管理することで返還が再開されている。
●植民地主義の影
西洋が返還条件や保存基準を押し付けること自体が「植民地主義の延長」と批判されている。返還後の扱いをめぐる議論は、返還の正当性を揺るがす要因ともなっている。
●今後の影響
この混乱が他の博物館に「返還はリスクが高い」と思わせる可能性がある一方、オランダやスウェーデンのように「所有国がどう扱うかはその国の自由」として返還を進める動きも続いている。
【コメント】
要するに、ベニン・ブロンズ返還は「植民地時代の略奪の象徴」であり、返還後の扱いをめぐる西洋とナイジェリアの対立が、文化財返還の今後に大きな影響を与えているということだ。
ベニン王国は、12世紀から1897年までナイジェリア南部の海岸地帯に存在した王国。首都は現在のベニンシティ。イギリス外交官虐殺事件を契機にイギリスの侵攻を受け、1897年に滅亡した。
現在のベナン共和国はこの国の名にちなんで命名されたが、地理的にも歴史的にもつながりは全く無い。
オバについて詳しく説明する。
– 人物
オバ・エウアレ2世(Oba Ewuare II)は、ナイジェリア・エド州ベニン王国の伝統的支配者であり、エド族の文化と歴史の守護者です。彼は2016年に先代のオバ・エレディアウワの死後に即位した。
– 役割
オバは単なる政治的指導者ではなく、精神的・文化的リーダーとしても位置づけられている。王位は神聖なものとされ、エド族の人々にとって統合の象徴だ。伝統儀式や祭礼を主宰し、文化遺産の保護に大きな役割を果たしている。
– 近年の活動
エウアレ2世は、ベニン・ブロンズ返還問題に積極的に関与し、国際社会に対して文化財返還を強く訴えてきた。彼の治世では、ベニン王国の文化復興や人々の福祉向上に力を入れている。
– 歴史的背景
ベニン王国の王位は「エウェカ王朝」と呼ばれる系譜に属し、11世紀から続く非常に古い王統で、現在もその伝統は途切れることなく継承されている。

2.ブルガリアの政情不安
【記事要旨】
ブルガリアの首相は、多数の若者を含む抗議者による数週間にわたる街頭デモの後、昨日辞任した。
ブルガリアでは、1月1日のユーロ導入を前に、5年間で6度目の首相となったロゼン・ジェリャズコフ氏の政権に対する反対が高まっていた。しかし、批判はより広範な問題にまで広がり、多くの抗議者がロシアとの連携を支持する政治家によって汚職が蔓延していると考えている。
【コメント】
この辺のニュースはほとんどないので、頻繁な政変を知り驚いた。ブルガリアがEUに入れるのにウクライナはダメというのは難しいだろうと思われる。

その他の記事
・米国による石油タンカー拿捕は、ベネズエラ経済の活路を揺るがした。
・ノーベル平和賞受賞者のマリア・コリーナ・マチャド氏は、1年以上潜伏生活を送っていたベネズエラから脱出できたのは米国の支援によるものだと述べた。
・パキスタンの軍事裁判所は、元情報機関長官のファイズ・ハミード中将に対し、汚職、政治介入、権力乱用の罪で懲役14年の判決を下した。
・メキシコは、米国の圧力を受け、中国製品への最大50%の関税を承認した。
・ゼレンスキー大統領は、米国が支援する改訂版和平案は依然としてウクライナのドンバス東部からの撤退を求めていると述べ、この譲歩は拒否した。

2025年12月12日 金曜日

世界の動き 2025年12月11日 木曜日

今日の一言
「原発の再開」
 柏崎刈羽、泊と原発の再開の決定が進んでいる。私がわからないのは、本当に原発が安全かどうかなのだ。
 福島第一原発では、震度7の地震が襲った際に原子炉が破壊されたのか、冷却水が断たれたために破壊されたのか、わかっていない。
 冷却水の供給は複数の手段で守ることができるだろうが、震度7以上の地震が原発を襲う事態は避けられない。長文の福島第一発電所の事故報告書を読んでもそこははっきりしない。
 原子炉の当時の状況は多くの人からのヒアリングで証拠を固めているが、ヒアリングをいくつ積み重ねても確証が得られないからだ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.物議をかもす平和賞受賞者
【記事要旨】
●ノーベル平和賞受賞者と背景
ベネズエラの事実上の野党指導者マリア・コリナ・マチャドが、民主化を平和的に推進しようとした功績でノーベル平和賞を受賞。
他の指導者が亡命する中、彼女は国内に残り、弾圧や検閲を行うマドゥロ政権に挑戦。選挙不正後は1年以上潜伏生活を送った。
●論争点
受賞をトランプ大統領に捧げたが、トランプ政権はカリブ海で軍事作戦を展開し、民間人犠牲を出していると批判されている。
マチャド自身も軍事力によるマドゥロ排除を支持しており、「平和賞」との整合性が疑問視されている。
●反発と抗議
ノーベル研究所前では「戦争屋に平和賞を与えるな」と抗議デモ。
ノルウェー平和評議会は伝統的な受賞者行進を拒否し、彼女は「平和の価値観に合致しない」と表明。
●歴史的文脈
ノーベル平和賞は過去にも論争を呼んできた。
– アウン・サン・スー・チー(1991年受賞後、ロヒンギャ虐殺擁護で批判)。
– オバマ大統領(就任直後に受賞、その後ドローン攻撃拡大)。
– キッシンジャー(1973年、ベトナム戦争停戦交渉で受賞も停戦崩壊)。
– アビィ・アハメド(2019年、民主化推進で受賞後ティグライ空爆)。
●民主主義と平和の関係
平和賞は象徴的意味が強く、マチャドの受賞は民主化を求める多くのベネズエラ市民を代表するものと解釈される。
彼女の娘は「民主主義は平和に不可欠であり、自由のために戦う覚悟が必要」と演説。
●賞の本質的課題
政治的に活動中の人物が受賞すると必然的に論争を呼ぶ。
亡命や拘束中の dissident(反体制派)なら受賞は比較的受け入れられるが、権力を持つ人物は複雑で、平和賞の理念と現実の政治の間に緊張が生じる。
【コメント】
マチャド氏の受賞は「独裁から民主主義への移行」を象徴する一方で、軍事介入を容認する姿勢が平和賞の理念と矛盾し、ノーベル平和賞の目的そのものを問い直す事例となっている。
昨年の被団協のような団体の受賞は問題がないが、今活動している政治家、トランプを含む、に賞を与えるのは考え物だ。

2.トランプ大統領補佐官がテート兄弟の釈放をいかに推進したか
【記事要旨】
 タイムズ紙の調査は、今年初めにアンドリュー・テートとその弟トリスタンがルーマニアから釈放された際に、トランプ政権当局者がいかに重要な役割を果たしたかを詳述している。
 いわゆる「マノスフィア(男性優位社会)」で威勢のいい影響力を持つこの兄弟は、女性にポルノ出演を強要したとしてルーマニアからの出国を禁じられた。彼らの釈放は、アンドリューがトランプ大統領の顧問や親族、大統領の息子であるバロンとドナルド・ジュニアを含む親族と連携を築こうと長年努力してきた成果だった。
【コメント】
テート兄弟の米国渡航は、トランプ政権関係者による外交的圧力と、トランプ家との人的ネットワークが大きな要因とされている。表向きにはトランプ本人は関与を否定したが、実際には米国特使がルーマニア政府に働きかけていたことが確認されており、司法と政治の境界が揺らいだ事例といえる。

その他の記事
・米国は外国人観光客のソーシャルメディア履歴を精査する計画だ。
・判事は、ジェフリー・エプスタイン事件に関する連邦大陪審の捜査記録開示請求を認めた。この捜査記録は、同事件についてこれまでで最も広範な情報を提供する可能性がある。
・捜査官によると、ルーブル美術館のセキュリティシステムは10月の強盗事件をカメラで捉えていたが、警備員がライブ映像を確認したのは手遅れだったという。
・米連邦準備制度理事会(FRB)は、賛否両論の末、政策金利を0.25%引き下げた。
・台湾は、国家安全保障への脅威を理由に、台湾の半導体メーカーTSMCからインテルに転職した幹部の自宅を家宅捜索した。

2025年12月11日 木曜日

世界の動き 2025年12月10日 水曜日

今日の一言
「そろばん」
 老齢者の認知症予防に効果があるということで静かなブームになっているようだ。
 当方、そろばんで困ったのは銀行員になりたての時だった。「札勘(さつかん」と並んで「そろばん」もある程度できなければならなかったのだ。小学校の時に学校で数時間習った後放っておいたそろばんを手に新入生研修に向かった。
 同期にそろばんの上手な人間がいた。9とか8を足すのにまごまごしている私に、9を足すには「1取るの10」8を足すには「2取るの10」と教えてくれた。
 たった一言でコツがつかめた瞬間だった。友のありがたさを感じた。ただ、営業店に配属後は、カシオの電卓(10桁で当時は4万円もした)を使ってしのぎ、そろばんを使うことは無かった。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.ヨーロッパの極右政党とトランプの微妙な関係
【記事要旨】
●米国の新国家安全保障戦略
– 「ヨーロッパの偉大さの促進」と題された章は、極右政党の宣言文のような内容。
– 大量移民でヨーロッパは「見分けがつかなくなる」とし、エリート層が言論を抑圧していると批判。
– 米国は移民に反対する「愛国的」政党を支援すべきだと主張。
●ヨーロッパの反応
– 主流政治家は「米国が内政干渉している」と激しく反発。
– 一方、支援対象とされる極右政党は沈黙を保ち、積極的な支持表明はほとんどない。
●「アメリカ・ファースト」との矛盾
– 第一次トランプ当選直後は極右政党が歓迎したが、二期目は関税政策などで現実は複雑化。
– ドイツAfD支持者の47%、フランス国民連合支持者の43%が「トランプは自国に悪影響」と回答。
– AfD共同代表ヴァイデルは「ドイツが不当に影響を受けた」と批判。
– 国民連合のバルデラは「米国による経済戦争」と非難し、「米国には良いがヨーロッパには悪い」と明言。
●根本的な緊張関係
– 極右政党は移民政策や反リベラル思想ではトランプと一致するが、貿易や安全保障では利害が衝突。
– 「アメリカ・ファースト」と「ドイツ・ファースト」「フランス・ファースト」は本質的に両立しない。
– ナショナリズムが「ゼロサム競争」を前提とするため、同盟関係には限界がある。
●今後の可能性
– フランスのバルデラはEUに対し「トランプの関税に報復せよ」と要求。
– EUが妥協的な関税合意を結ぶと、ヴァイデルは「EUの屈服」と批判。
– これは通常のEU批判であると同時に、将来的にトランプの欧州戦略を阻む要因となり得る兆しでもある。
【コメント】
ヨーロッパの極右政党は思想的にはトランプと近いが、経済・安全保障の利害対立から全面的な支持は困難だ。むしろ「自国第一」と「アメリカ第一」の矛盾が、彼らをトランプの潜在的な障害に変える可能性がある、という記事だ。お互いが自国第一を貫けば衝突が起こるのは当然であり、このタイムズの長文の論考は意味がない。

2.オーストラリアでソーシャルメディア禁止法が施行
【記事要旨】
 オーストラリアで本日施行された包括的な新法により、10代の若者や16歳未満の児童が保有する数十万件のソーシャルメディアアカウントが無効化される予定だ。
 この法律は、世界中の親、研究者、政府関係者から注視されるだろう。一部の10代の若者はVPNを使って禁止を回避するだろうし、多くの若者は最初に登録する際に年齢を偽ったり、中には両親の情報を使ってアカウントを取得したり、年上の兄弟姉妹の個人情報を悪用したりする者もいる。15歳の2人がこの禁止法に異議を唱え、裁判を起こしている。
【コメント】
 SNSは、ほとんどが石の玉石混交だ。オールドメディアはバラエティ番組だらけで見る気もしない。

その他の記事
・トランプ政権は、NVIDIAが同社で2番目に高性能なチップを中国に販売することを許可する。
・アフガニスタンとパキスタンは、幾度もの死傷者を出した軍事衝突の後、現在貿易戦争に陥っている。
・リトアニアは、隣国ベラルーシから送られた不審な風船を撃退した後、国家非常事態を宣言した。
・ブリジット・マクロン仏大統領夫人は、抗議者を非難する中傷的な言葉を使ったところ、動画に捉えられた。
・ホンジュラスは、トランプ大統領によって最近恩赦を受けたフアン・オルランド・エルナンデス前大統領に対し、国際逮捕状を発行した。

2025年12月10日 水曜日

世界の動き 2025年12月9日 火曜日

今日の一言
「ダブルの災害に備える」
 昨夜寝入りばなに長い震動を感じた。すぐTVをつけたところ青森で震度6強とのニュースだった。
 昨年の能登地震でもそうだったが、災害のダブルパンチが最近は起きるようになった。大地震と豪雨、大火災と津波、山火事と水不足といった具合だ。
 これからは一つの災害に備えるだけでなく、複合的に起こる事象に備える必要がある。
 これは自然現象だけでなく、身近な経済事象にも当てはまるだろう。「金利高」と「住宅高」、「物価高」と「失業」とかいろいろな事象が考えられる。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.第二の「チャイナ・ショック」
【記事要旨】
●第一のチャイナ・ショック(2000年代)
欧米企業が中国へ製造を委託し、中国は「世界の工場」と化した。安価な製品の大量輸出により欧米の産業が崩壊し、数百万規模の雇用が失われ、政治的影響は現在も続いている。
●第二のチャイナ・ショック(現在進行中)
– 米国市場では関税により販売が制限され、中国は輸出先を途上国へシフト。さらに現地に工場を建設している。
– 途上国は製造業依存度が高く、西側諸国以上に影響を受けやすい。
●具体的影響
– インドネシア:過去2年間で30万人以上が衣料・繊維産業の雇用を喪失。ソロ市では工場閉鎖により1万人が一夜で失業。
– タイ:中央銀行が「中国輸出の洪水」に警告。製造業の過剰能力が圧力を強めている。
– アフリカ:中国からの輸入が急増し、2025年9月には600億ドルに達し、前年をすでに超過。
– 中国の世界貿易黒字は初めて年間1兆ドルを突破。輸出は世界貿易全体の3倍の速度で拡大。
●工場の輸出
– ベトナム:家具や靴など労働集約型産業が移転し、現地雇用にプラス効果。
– マレーシア:中国企業が巨大な太陽光発電工場を建設し地元産業を駆逐。しかし米国の関税で中国企業が撤退し、マレーシアの太陽光産業は壊滅。
●社会的不安
– 多くの途上国で国内製造業が急減速。若年層人口が多く、失業や機会不足が抗議運動につながっている。
– インドネシアでは若者の抗議が拡大。反中感情が歴史的に根強く、1998年の暴動や2014年ベトナムでの工場焼き討ちの記憶が残る。
●教訓
西側は自ら中国の製造力を受け入れ、その後の社会的・政治的代償に苦しんできた。
一方、東南アジアやアフリカ諸国は望まずして第二のチャイナ・ショックに直面しており、今後の衝撃に備える必要がある。
【コメント】
 第二のチャイナ・ショックは途上国を中心に広がり、製造業の崩壊・失業・社会不安を引き起こしつつあり、影響は第一のショック同様に深刻になる可能性が高い。こうした見方があるのを知らなかった。

 巨大なドラゴンは世界中で軋轢を起こしている。ドラゴンが来る、彼と食卓をともにしなければ、食べられる方になってしまう。

2.ハマスはガザで「依然として抵抗」
【記事要旨】
 10月に停戦合意に基づきイスラエル軍がガザの一部から撤退して以来、ハマスは迅速に行動を起こし、再び警察部隊を街頭に展開している。
 ハマスは現在、ガザ地区の領土の半分以下を支配しており、残りはイスラエルが占領している。しかし、この過激派組織は再び勢力を回復することに成功した。「彼らは依然として抵抗を続けている」と、イスラエルの国内情報機関シンベトの元高官は述べた。この急速な再編は、ハマスのないガザを再建するという米国の計画にとって大きな障害となっている。
【コメント】
 壊滅間近と思っていたら、まだ頑張っているのか。。

3.タイとカンボジアの新たな戦闘の波
【記事要旨】
 タイとカンボジアの国境で新たな暴力が発生し、少なくとも5人が死亡、数十万人が避難を余儀なくされた。
 タイの戦闘機が昨日、カンボジアの標的を爆撃した。タイ軍は、この空爆は、同日早朝にカンボジアによる攻撃があり、少なくともタイ兵1人が死亡、8人が負傷したことへの報復措置であると述べた。今回の戦闘は、カンボジアとタイの間の亀裂がいかに深刻であるかを改めて浮き彫りにした。
【コメント】
 ここはディールメーカーの登場だ。トランプさん、助けて。

その他の記事
・シリアでは、反政府勢力が独裁者バッシャール・アル・アサドを倒してから1年が経ったことを祝った。
・パラマウントは、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーがストリーミング事業とスタジオ事業をNetflixに売却することに合意した数日後に、同社への敵対的買収を開始した。
・英国、フランス、ドイツの首脳は、和平交渉が難航する中、ウクライナへの支援を継続することを表明した。
・ナイジェリアのカトリック学校から誘拐された100人の子どもたちが日曜日に解放されたが、約165人の児童と職員は依然として拘束されている。
・ブラジルのサンパウロでは、武装集団が図書館からアンリ・マティスの作品を含む12点以上の美術作品を盗んだ。

2025年12月9日 火曜日