サイバーセキュリティ監査 (備忘録的メモ)

 2025年7月4日に金融庁から、「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン(以下、ガイドライン)」の一部改正について、が公表された。

 これは、「サイバー対処能力強化法整備法」の施行に伴い、内閣官房「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」が令和7年7月1日付で「国家サイバー統括室」に改組されたことに伴うガイドライン上の使用語句の変更に過ぎない。

 これを機会にガイドラインで内部監査がどのように言及されているか確認しておこう。以下ガイドラインで内部監査(監査)に言及されている部分だ。

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1.2.2. 経営陣の関与・理解
 サイバーインシデントによる業務の中断は、顧客に大きな影響を与え、金融機関等ひいては金融システムの信頼に大きな影響を与えかねない重大なリスクである。こうしたリスクの性質に鑑みれば、サイバーセキュリティは、IT・システム部門の問題に止まらないことは明らかであり、経営責任が問われかねない問題である。また、サイバーイ
ンシデント発生時に、顧客、金融システムへの影響を最小化し、極力早期の復旧を目指すためには、各業務所管部、企画、広報、コンプライアンス、リスク管理、監査などの
各部門間の連携が不可欠であるし、また、現場担当者に止まらず、経営陣の主体的な関与が求められる。さらに、顧客、法執行機関、情報共有機関、当局等との連携も求めら
れる。こうした組織全体としての対応を実現するためのガバナンスの確立が必要であり、そのためには経営陣のリーダーシップが不可欠である。

 経営陣は、サイバーセキュリティに関する監査の結果や、関係主体等(顧客、地域社会、株主、当局等)からの要求事項や、法規制等の内外環境を踏まえ、サイバーセキュリティ管理態勢の継続的改善を行うこと。

 経営陣が適切な経営判断を行うための前提として重要なサイバーセキュリティに係るガバナンスの確保のため、サイバーセキュリティに関する十分な知識を利用(外部専門家の利用を含む)できるようにしておくこと。これには、一般的な3線防衛態勢(業務部門、リスク管理部門及び内部監査部門)の下、サイバーセキュリティに関する各部門の役割分担の明確化や外部専門家を利用した検証の仕組みを構築することを含む。

 経営陣は、少なくとも1年に2回、以下の報告を担当部署等に求めること。
・ サイバーセキュリティにかかるパフォーマンス指標(KPI)及びリスク指標(KRI)
   KPI の例:標的型メール訓練の報告率、脆弱性対応率、情報資産棚卸進捗率、トレーニング受講率等。
   KRI の例:サイバー攻撃試行件数、監査指摘件数、インシデント件数、未対応の脆弱性件数等。

 人材の育成については、例えば、以下のような人材を外部人材の活用も含めて計画的に確保していくこと。
 ・ 新たなデジタル技術の導入に際し、生じ得るサイバーセキュリティに関するリスク評価を行う人材
 ・ サイバーセキュリティ戦略・計画の企画・立案を行う人材
 ・ サイバーセキュリティに関する研修や人材育成を行う人材
 ・ サイバーセキュリティの観点からシステムの設計・開発を行う人材
 ・ サイバーセキュリティ脅威、脆弱性に関する情報収集やシステムへの脆弱性対応を行う人材
 ・ ログの監視・モニタリングを行う人材
 ・ サイバーインシデント発生時に対応を行う人材
 ・ フォレンジック調査等を行う人材
 ・ 脆弱性診断やペネトレーションテストを行う人材
 ・ サイバーセキュリティ監査を行う人材

2.1.5. 内部監査
【基本的な対応事項】
① 内部監査部門は、必要に応じて外部専門家を利用しつつ、独立した立場から、リスクベース・アプローチに基づき、サイバーセキュリティに係る内部監査計画を策定し、サイバーセキュリティ(整備状況・運用状況、対応・復旧、法規制の遵守状況、サードパーティリスク管理を含む)をテーマとする内部監査を実施すること。
② 内部監査部門は、内部監査で指摘した重要な事項について遅滞なく代表取締役及び取締役会等に報告するとともに、指摘事項の改善状況を的確に把握すること。
【対応が望ましい事項】
a. 内部監査部門にサイバーセキュリティに係る適切な知識及び専門性等を有する職員を配置すること。

継続的な改善活動
 演習・訓練、脆弱性診断及びペネトレーションテスト、監査、リスク評価、及び実際のインシデントから得られた推奨事項、発見事項、教訓については、関連手続等に従って改善すること。

クラウドサービス利用時の対策
 情報公開等の設定にミスがないか確認すること。設定の妥当性の確認においては、必要に応じて、専門家によるシステム監査や誤設定の自動検知等の診断サービス等を利用すること。

サードパーティリスク管理
 サードパーティが遵守すべきサイバーセキュリティ要件を明確化の上、重要度に応じ、サードパーティ等との契約や SLA(サービスレベルアグリーメント)等において、例えば、以下の項目を明記すること。
 ・ サードパーティとの役割分担・責任分界
 ・ 監査権限
 ・ 再委託手続
 ・ 実施すべきセキュリティ対策
 ・ サードパーティの役職員が遵守すべきルール
 ・ インシデント発生時の対応及び報告
 ・ 脆弱性診断等の実施及び報告
 ・ 深刻な脆弱性が判明した場合の対応及び報告
 ・ サイバーセキュリティに係る演習・訓練の実施(共同演習・訓練への参加を含む)
 ・ データの所在・保管・保持・移転・廃棄に関する取決め
 ・ 契約終了の条件及び契約終了時の取決め
 ・ 外部評価等の実施(第三者保証報告書の提出、第三者認証の取得を含む)

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 内部監査について一節が割り振られており、サイバーセキュリティ分野での内部監査の重要性がわかる。

 経営層のリーダーシップと管理のツボの中にも監査が適宜引用され、重要さが理解できる。それにしてもサイバーセキュリティを作る、運用する、管理する、監査するといった能力のある人材確保は非常に困難だ。

2025年7月5日 土曜日

世界の動き 2025年7月4日 金曜日

今日の言葉
「党首の顔」
 他人の容貌について述べるのは良くないのは知っているつもりだ。しかし、党首討論を見ると石破首相の人相の悪さが際立つ。表情が乏しく目が座っていてねばねばした発言を繰り返している。
 自民党には、コバホークや小泉進次郎といったすっきりした印象の政治家がいるので、選挙後の総裁の交代に期待したいところだ。少数与党になり首相の椅子がはっきりしない状況で火中の栗を拾おうとする政治家が出てくるかも見ものだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.下院、トランプ大統領の国内政策法案を可決
【記事要旨】
 米国下院は昨日、減税の延長と社会保障制度の削減を含む、トランプ大統領の国内政策を実現する包括的な法案を僅差で可決した。
 最終的な採決結果は218対214だった。共和党議員のうち2名を除く全員が賛成し、民主党議員はこぞって反対した。ニューヨーク州選出の民主党議員ハキーム・ジェフリーズ氏は、この法案を「アメリカ合衆国国民の医療に対する全面的な攻撃」と呼んだ。
 この法案の可決は、トランプ大統領と共和党にとって大きな勝利ですが、来年の中間選挙を前にした大きな政治的賭けでもある。支持基盤の弱い共和党議員は、社会保障削減を含む政策を支持していることで、厳しい批判にさらされることは間違いない。
 分析:「この法案の可決は、トランプ大統領が共和党を無制限に支配しているように見えることの新たな例に過ぎない。数週間にわたり、あらゆるイデオロギーの議員たちが法案の様々な側面について公然と不満を述べてきた。削減幅が大きすぎるという議員もいれば、削減幅が小さすぎるという議員もいた。それにもかかわらず、トランプ大統領は圧力を強め、彼が設定した期限である7月4日までに可決させた。」とタイムズのホワイトハウス担当は述べる。
 今後の展開:トランプ大統領は、自らが「大きく美しい法案」と頻繁に呼んでいるこの法案に速やかに署名し、法律化すると予想されている。
【コメント】
 トランプの圧力が怖くて共和党から造反者は出てこない。こうした状況がいつまで続くのだろうか。

2.ヨーロッパの危険な熱波が東へ移動中
【記事要旨】
 ヨーロッパ大陸を襲った猛暑が東へ移動したため、西ヨーロッパの一部地域では昨日から気温が下がり始めた。予報官は中央ヨーロッパで危険な気温になると警告する。
 スペインでは4人が死亡し、フランスと共に週初めの厳しい状況の矢面に立たされました。高温と干ばつが相まって、スペインをはじめとするヨーロッパ各地で山火事が発生しています。ギリシャのクレタ島では、消防隊が消火活動にあたる中、観光客を中心に約1,500人がホテルや自宅から避難しました。
 原子力発電所の停止:フランスとスイスの原子力発電所は、猛暑のため少なくとも3基の原子炉を停止した。
【コメント】
 気候変動の影響が原子力発電所の稼働にまで及び始めている。欧州では原子炉の稼働に必要な冷たい冷却水を確保できず、稼働を停止せざるをえないことが増えた。温暖化の意外な影響だ。

3.米国はベトナムを利用して中国を締め付けようとしている
【記事要旨】
 トランプ大統領は各国に対し、サプライチェーンから中国を排除するよう圧力をかけており、ベトナムとの予備的な貿易協定はその目標に向けた第一歩となる。
 ​​協定の詳細は不明だが、ベトナムから米国への輸出には20%の関税が課されることは分かっている。ベトナムからの輸出で、積み替え貨物(原産国ベトナム外でベトナムを経由した貨物)に分類されるものには、40%の関税が課される。中国はこれまで、ベトナムや近隣諸国を利用して、自国製品に対する米国の関税を回避してきた。同様の制裁措置が取られれば、これらの国々はサプライチェーンにおける中国製品の比率を削減せざるを得なくなるだろう。
【コメント】
 全ての米国への輸出品に原産地証明をつけるのだろうか。現実性の乏しい手間だけ掛かる規制のように見えるが。
 いずれにしても、ベトナムは成功、日本は失敗というコントラストがはっきりした。石破首相には厳しい状況だ。

その他の記事
ロサンゼルス:カリフォルニア州の一部のラテン系住民コミュニティは、移民捜査への懸念から独立記念日のパーティーを中止した。
ロシア:トランプ大統領はウラジーミル・プーチン大統領と約1時間にわたる電話会談を行った。これは1月以降、両首脳間の6回目の電話会談となる。
移民:米国によってエルサルバドルに不当に強制送還されたキルマー・アブレゴ・ガルシア氏の弁護士は、同氏がエルサルバドルの刑務所で暴行を受け、睡眠を奪われ、精神的拷問を受けたと述べた。

韓国:ラブバグは無害だが、ソウルとその周辺都市の一部では今年、蔓延がひどく、住民は当局に駆除を求めている。
(ラブバグは1cmほどのハエ目の昆虫。 なぜ「ラブバグ」と呼ばれるのか、というと、交尾する間はもちろん、飛び回る時も雄雌がくっついているためだ。 日本では沖縄で大量発生したことがあるそうだ。)

貿易と経済
韓国:新大統領が投資家に有利な政策を採用するとの期待から、韓国の株価は30%上昇している。
(アベノミクスの時の日本株のようだ。)
インドネシア:経済が減速しているにもかかわらず、政府は依然として学校給食の無償化などの選挙公約に重点を置いている。批判派は、政府の優先順位が間違っていると指摘している。

2025年7月4日 金曜日

世界の動き 2025年7月3日 木曜日

今日の一言
「日本語」
 産経新聞が報じる石破首相の発言。
 「七面倒くさい日本語、日本の習慣を日本政府の負担によってでも習得してもらい、適法な人に入ってもらう」
 こんなことを言い出す石破さんは日本の首相にはふさわしくないことは明白だ。野党にも適当な候補がいないし、参院選で国民はどうすればよいのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ショーン・コムズ、性的人身売買の罪で無罪判決
【記事要旨】
 音楽界の大物ショーン・コムズは昨日、自身にかけられた最も重い2つの罪状、性的人身売買と恐喝で無罪となった。彼は売春目的の移送罪2件で有罪判決を受けていた。
 終身刑の可能性があったコムズにとって、この判決はある種の勝利となった。売春2件の罪状でそれぞれ最高10年の懲役刑が科される可能性があるが、最終的な判決は裁判官の判断に委ねられる。
 マンハッタンで行われた8週間の裁判で、陪審員はコムズの常習的な薬物使用と、元交際相手のカサンドラ・ベンチュラと「ジェーン」と名乗った女性への暴力行為について聴取された。検察は、コムズが女性たちを「フリークオフ」、つまり男性売春婦との長時間の性行為に強要した​​として告発していた。
 反応:判決が読み上げられた後、コムズは陪審員に向かって両手を合わせ、「ありがとう、ありがとう」と口にした。その後、彼はひざまずき、祈りを捧げているようだった。女性支援団体は失望を表明した。コムズの弁護団は彼の早期釈放を強く求めた。
 詳細:火曜日、陪審員団は組織犯罪容疑で評決が行き詰まり、裁判官は審議の継続を指示した。昨日、陪審員団はコムズを無罪とする評決を下したと発表した。陪審員団はまた、事件の核心であるセックスマラソンに女性たちが強制参加させられたという主張にも納得しなかった。
 さらに詳しく:ポップミュージック評論家は、陰惨な証言はコムズをヒップホップ界の有力経営者としての地位から完全に引きずり下ろすほどの説得力はなかったと評している。
【コメント】
 この人を知りませんでした。以下wikipediaから抜粋。
『フォーブスの「アメリカで最も裕福なセレブリティ」では8位にランクするなど、アフロアメリカンの音楽家の中でも特に成功したエンターテイナーの一人である。プロデューサーとしては主にメアリー・J・ブライジやジェニファー・ロペスなどの作品を手掛けたことで有名であり、特にメアリーの初期2作へのプロデュースとヒットはMTVニュースの記事で「驚異的な相性」と伝えられるほどだった。』ということです。

2.イスラエル、ハマスとの協議再開を希望
【記事要旨】
 イスラエル外相は昨日、米国主導によるハマスとの集中的な停戦交渉再開に向けた取り組みに「いくつかの前向きな兆候」が見られると述べた。イスラエルは「できるだけ早く」協議が再開されることを切望していると付け加えた。
 サール外相の発言は、トランプ大統領がイスラエルがガザ地区における60日間の停戦を「最終決定するための条件」に同意したと発言した翌日のことだ。停戦により、同地区に依然として拘束されている人質の一部が解放されることになる。
 ​​サール外相は、合意の詳細を具体化するために必要な仲介を指し、「近接協議」を早期に開始することが目標だと述べた。ハマスは、米国が支援する提案を検討していると述べた。
 背景:米国がイスラエルに同調してイランの核施設を爆撃すると決定したことを受け、ネタニヤフ首相が来週ワシントンでトランプ大統領と会談する準備を進める中で、新たな協議に向けた機運が高まっている。
【コメント】
 ネタニヤフ首相の動きの軽さにはいつも驚かされる。何度トランプと直接協議をしているのだろうか。イスラエル国策の節目で必ずトランプの同意を取り付けている。腰の非常に重い石破首相とは好対照だ。

3.武器供与停止で米国のウクライナ支援への疑念深まる
【記事要旨】
 トランプ政権が一部兵器供与停止を発表したことを受け、ウクライナは昨日、キエフ駐在の米国高官を召喚し、説明を求めた。供与停止には、防空迎撃ミサイル、精密誘導爆弾・ミサイルなどが含まれる。
 公式には、この決定は米国の備蓄量の減少によるものだが、別のメッセージが明確に示されているように思われる。米国は戦争から撤退するのだ。タイミングは特に悪い。ロシアは数日おきにウクライナの防空網を突破しようと攻撃を仕掛けている。無人機の後に続く強力な弾道ミサイルは、米国が供与するパトリオットミサイルでしか迎撃できないことが多い。
【コメント】
 トランプの動きはプーチンの野心を助ける。トランプの従来からの決意「この戦争はウクライナの敗北で集結させる」は動かない。
 トランプは思い込みの強い人間だ。彼の「日本は米国車の受け入れを拒んでいる」「日本は米国のコメを決して輸入しない」と言った思い込みは決して変化することが無い。

その他の記事
ダライ・ラマ:今月90歳を迎えるチベットの精神的指導者は、中国は後継者について口出しする権限を持たないと述べた。その理由は以下の通り。
【コメント】
 チベットについて。
 『チベット高原を含む東経77から105度、北緯27から40   度に至る地域を占め、南はヒマラヤ山脈、北は崑崙山脈、東は邛崍山脈に囲まれた地域。チベット民族の祖国とされるこの地域は、1949年以来、中華人民共和国が実効支配しており、その主権と領有についてインドにあるチベット亡命政府と対立している。』
イラン:イランは国連の核査察官との協力を停止した。イランの主な目的は、最近の攻撃からどれほど早く立ち直れるのか、世界に当惑させることだ。

日本:トカラ諸島では過去2週間で800回以上の小規模地震が発生している。

貿易と経済
テスラ:テスラのCEOであるイーロン・マスク氏が自動運転車に注力したことで、同社の世界販売台数は第2四半期に大幅に減少した。
ベトナム:トランプ大統領は、米国がベトナムとの貿易協定に合意し、ベトナム市場を米国製品に開放する見返りに一部関税を撤廃すると述べた。
日本:関税協定をめぐる日米間の交渉は行き詰まっている。日本はトランプ大統領の日本の政策に対する不満を見誤ったとの見方もある。

2025年7月3日 木曜日

世界の動き 2025年7月2日 水曜日

今日の一言
「ハイベータ株」
 ベータ値とは、株式の価格変動の大きさを表す指標で、市場全体の変動に対する感応度を示す。ベータ値が1より大きいと、市場の変動よりも株価の変動幅が大きいハイベータ株、1より小さいとローベータ株とみなされる。
 ハイベータ株は、相場の上昇局面で大きな利益を狙える可能性がある一方で、下落局面では損失も大きくなるリスクがある。そのため、ハイベータ株への投資は、相場の動向をよく見極め、リスク管理を徹底することが重要だ。
 4月から急回復を遂げた米国株だが、大きな理由は個人投資家が高リスク銘柄に飛びついているからだ。4月から6月で、ビットコイン関連株は78%、量子コンピューティング銘柄は69%上昇した。
  高リスク銘柄の多くは、すでに買われ過ぎの水準に達している。利益確定売りや空売り再燃のリスクが高まっており注視すべき状況だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.上院はトランプ大統領の看板政策法案を可決
【記事要旨】
 上院は昨日、トランプ大統領の大規模な減税と社会保障制度改革法案を51対50で可決した。共和党上院議員たちは、トランプ大統領の政策を実現すべく、根深い党内の亀裂を乗り越えて奮闘したが、下院における法案の行方は不透明だった。
 トランプ大統領が「大きく美しい法案」と呼ぶこの法案に、共和党議員3名が民主党議員全員とともに反対票を投じたため、J・D・ヴァンス副大統領が可決可否同数の票を投じることになった。
 この採決は、24時間以上にわたる激しい議論、採決、交渉の末に行われた。共和党は最後の瞬間まで妥協点を見出し、懐疑派と交渉を重ねた。この勝利は、共和党の政治的将来にとって大きなリスクとなる恐れがある。
 詳細:この法案は、トランプ大統領の最初の任期である2017年に施行された約3兆8000億ドルの減税措置を延長し、国境警備と軍事費に数百億ドルの新たな資金を提供する。医療保険やその他の連邦政府からの援助が削減されることで、数百万人もの低所得のアメリカ人が甚大な経済的損失を被る可能性がある。
 今後の見通し:下院は本日、法案がトランプ大統領に署名のために送付される前に、最終承認の採決を行う予定である。
【コメント】
 結局上院を通過した。共和党支持の低所得者層はどう考えているのだろうか。

2.インドで最も暑い地域、その対策は?
【記事要旨】
 インドの一部地域では、日中の気温が摂氏50度近くまで上昇し、国民の4分の3が猛暑の危険にさらされている。
 多くの人にとって、この暑さから逃れる術はない。エアコンは夢物語であり、多くの仕事は炎天下の屋外で行われている。しかし、どんなに暑くても生活は続けなければならない。そのため、インドの日常生活は変化しつつある。最も暑い地域であるスリ・ガンガナガルで1日を過ごしてみた。
 その他の地域:猛暑はヨーロッパでも息苦しい状況だ。数千万人もの人々が、危険な気温が続く日々に備えている。月曜日、ウィンブルドン選手権は記録的な猛暑の初日を迎えた。
【コメント】
 快適な室内から一歩も出たくない状況だ。

3.タイ首相、停職処分
【記事要旨】
 タイは昨日、憲法裁判所が就任から1年も経たないパトンターン・シナワット首相を停職処分にしたことで、新たな政治的混乱に陥った。
 上院議員らは、首相が倫理的失態を犯したと非難した。彼らは、先月、国境での小競り合いでカンボジア兵が死亡した後、カンボジアのフン・セン首相と電話会談を行った際に起きたと主張している。裁判所は申し立てを審理することに同意し、パトンターン首相を即時停職処分とした。彼女は裁判所の決定を受け入れ、近日中に自らの主張を表明すると述べた。
 詳細:フン・セン首相が公表したフン・セン首相との電話会談で、パトンターン首相は自国軍を軽蔑する発言をしたとみられる。彼女はフン・セン首相を「おじさん」と呼び、彼が望むことなら何でも「手配する」と申し出た。
【コメント】
 政情がやっと安定したと思っていたら。今後の展開が注目される。それにしても日本のニュースでは全く報道されない。

その他の記事
ウクライナ:ロシア軍がドローンへの依存を強める中、ロシアの夏季攻勢は勢いを増している。
英国:スターマー首相は、自党議員の一部が社会福祉制度の改正に反対票を投じたことで、議会で大規模な反乱に直面した。
イスラエル:イランとの停戦がガザ地区の停戦への弾みとなる可能性があるため、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は来週トランプ大統領と会談する予定だ。

デンマーク:デンマークは初めて、女性にも兵役義務の抽選対象を拡大した。

2025年7月2日 水曜日

世界の動き 2025年7月1日 火曜日

今日の一言
「木更津アウトレットモール」
 昨日初めて行った。川崎駅から直通バスで45分。バスはほぼ満員だった。
 広大なモールの中は人出は多かったが、買い物をして袋を下げている人は少ない。よく見ると大きな袋を下げている人の多くは中国からの観光客。グッチでは店内を独占。アウトレットでもインバウンドの威力を痛感した。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領、増税・歳出法案可決に上院議員に圧力
【記事要旨】
 トランプ大統領の1年目の立法議題は昨日、上院が大統領の包括的な経済・国内政策法案の修正案の採決を開始したことで、不透明な状況となった。
 トランプ大統領は、独立記念日の祝日である金曜日までに法案を可決するよう議会に圧力をかけているが、共和党が可決に必要な票数を確保できるかどうかは不明だ。
 共和党から離反者が4人いれば法案は否決される可能性があり、少なくとも2人の上院議員が賛成票を投じないと表明し、6人の上院議員は未定となっている。医療費と社会保障給付の削減案は民主党の激しい反対を招き、複数の共和党議員を不安にさせている。
 法案の内容:超党派の議会予算局(CBO)によると、この法案は10年間で少なくとも3兆3000億ドルの国家債務増加につながる。提案されている法案には、国境警備と軍事への多額の投資が含まれる。この法案は、大幅な減税に加え、低所得者向けの医療制度であるメディケイドや食料支援といったセーフティネットプログラムへの支出を大幅に削減するものだ。
 今後の展開:上院で法案が可決されれば、下院で可決され、最終的に大統領の署名を得て法律として成立する。
【コメント】
 この減税案を巡ってはイーロン・マスクとの間で再び口論になっているようだ。

2.中国は未来の電力供給競争で大きくリードしている
【記事要旨】
 中国は依然として、米国と欧州を合わせたよりも多くの気候変動汚染物質を排出している。しかし、中国は猛スピードでよりクリーンな電力供給へと転換している。
 昨年、中国に設置された風力タービンと太陽光パネルの数は、世界の他の地域を合わせた数を上回り、クリーンエネルギーブームは世界規模で拡大している。中国企業は、ブラジル、タイ、モロッコ、ハンガリーなどに電気自動車やバッテリー工場を建設している。中国はすでに複数のクリーンエネルギー機器の製造で世界をリードしており、月を追うごとにその技術的優位性を拡大している。
 背景:一方、米国は石油とガスを推進している。どちらの戦略も、主に国家安全保障が推進している。米国とは異なり、中国は自国で容易に入手できる石油やガスをあまり持っていないため、輸入化石燃料への依存を脱却し、再生可能エネルギーで経済の原動力を拡大することに熱心である。
【コメント】
 中国は未来にベクトルが向いている。米国はベクトルが過去に向いている。日本にはベクトルが無い。

3.トランプ氏とエルサルバドルの合意を詳しく見る
【記事要旨】
 米国は、米国から強制送還された移民の収監を支援する見返りに、エルサルバドルに数百万ドルを支払うことに同意した。この合意の一環として、米国はエルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領の特別な要請、すなわち暴力組織MS-13の主要メンバーの帰国に同意した。
 両国は、ギャングのリーダーたちはエルサルバドルで裁きを受けるだろうと述べている。しかし、タイムズ紙の調査によると、米国検察はエルサルバドル政府とギャングのリーダーたちがブケレ氏を政治的に支援するために結んだ不正な協定の相当な証拠を収集していたことが明らかになった。
【コメント】
 なるほど。難民移民を放出する受け皿をエルサルバドルは喜んで引き受けたわけだ。エルサルバドルの非道な刑務所に入れられては堪らない。米国の不法移民が戦々恐々となるのがよくわかる。

その他の記事
ヨーロッパ:気温が一部地域で40度を超え、英国、フランス、イタリア、スペインで猛暑警報が発令された。
イラン:米国によるフォルド核濃縮施設への攻撃から数日後に撮影された衛星画像には、活発な活動が映し出されている。
旅行:世界中の航空会社は、戦争や紛争への対応を迫られており、運航路線の見直しを迫られている。

ノルウェー:ある航空会社が、数千人に宝くじで高額当選したと誤って伝えたとして謝罪した。同社は、このミスはコードエラーによるものだと説明した。

貿易と経済
カナダ:カナダは本日から国内貿易障壁を撤廃する。しかし、経済学者たちは、これは米国との貿易機会の喪失を補うものではないと指摘している。
インド:インドは、Apple向けにiPhoneを組み立てているFoxconnなどの企業のために、生産拠点を確保しようとしている。
交渉:トランプ大統領は7月9日に関税を発動すると表明しており、各国は合意に向けて急いでいる。しかし、追加関税の脅しによって交渉は停滞している。
欧州:米国とEUの交渉担当者は、7月9日までに貿易協定を締結すべく、必死に作業を進めている。合意に至るのは、大まかな骨組みにとどまる可能性もある。
【コメント】
 日本との交渉についてBloombergは以下のように伝えている
『トランプ米大統領は日本が米国産コメの輸入に消極的だとして、日本に新たな関税を賦課する構えを見せた。ソーシャルメディアへの投稿で「日本はわれわれからコメを買おうとしない。それなのに日本は深刻なコメ不足になっている」と主張。「だからわれわれは日本に書簡を送るつもりだ。米国はこれからも長い間、日本が貿易相手国であることを望んでいる」と述べた。国家経済会議(NEC)のハセット委員長は日米の貿易交渉について、「何も終わっていない。大統領が投稿した内容は知っているが、協議は最後まで続くだろう」と話した。』
 狂人との交渉はいつまでやっても仕方がないと思う。赤沢氏はまるでガキの使いだ。少しクールオフしたらどうかと思う。

2025年7月1日 火曜日