世界の動き 2026年1月26日 月曜日

今日の一言
「円か二等辺三角形か」
 ある物体を見て、その形をある人は円だと言い、他の人は二等辺三角形だという。そんなことがあるのだろうか。
 実はその物体は円錐形だ。上から見ている人は円だと言う。横から見ている人は二等辺三角形だという。
 それぞれの見方は交わることがない。それぞれが自分が正しいと思っている。
 現在の日本と世界の政治情勢に似ている。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.ミネアポリスでの銃撃事件をめぐって
【記事要旨】
 事件について
 ミネアポリスで今月2度目となる致死的な銃撃事件が発生し、連邦捜査官が市民アレックス・プレッティ(37)を射殺した。彼は抗議活動中に携帯で撮影し、他の参加者を助けようとしていたが、複数の捜査官に取り押さえられた後、複数回撃たれた。政府は「銃で連邦捜査官を殺害しようとした」と主張したが、目撃映像ではプレッティが銃を抜いておらず、すでに武装解除されていたことが示されている。
 この事件は全米で大規模な抗議を引き起こし、連邦当局が州・市の捜査官の現場立ち入りを阻止したことで対立が激化。裁判所は証拠破壊を禁じる命令を出した。プレッティは犯罪歴がなく、合法的に銃を携帯していた市民で、周囲からは誠実で思いやりのある人物と評されていた。
 報道機関の役割について
 この事件は、政府発表と独立報道が食い違う状況が続く中で、報道の自由の重要性を改めて浮き彫りにしている。最近ではFBIがワシントン・ポスト記者の自宅を捜索するなど、米国内でも報道機関への圧力が強まっている。
 ニューヨーク・タイムズ発行人A.G.サルツバーガーは、トランプ政権が海外の権威主義的手法を模倣し、メディアへの攻撃・訴訟・規制圧力を強めていると指摘。過去の政権も報道に不満を示したが、今回の攻撃性は際立っていると述べた。
 彼は、報道の自由は行使し続けなければ守れず、圧力に屈すれば将来の攻撃を助長するだけだと強調。メディアは誤りがあれば正し、透明性を高め、政治的対立の一方に見られないよう独立性を保つ必要があると語った。
【コメント】
 米国憲法修正第2条(Second Amendment)では次のように定めている。
「規律ある民兵は自由な国家の安全に必要であるから、
人民が武器を保有し、携行する権利は侵してはならない。」
 この一文が、アメリカにおける「銃を持つ権利」の根拠だ。
 今回はこの権利が被害者が銃殺された根拠になっているようだ。

その他の記事
・中国は最高司令官を解任し、軍エリート層の粛清をエスカレートさせた。あるアナリストはこれを「最高司令部の完全な壊滅」と表現した。
・ロシア、ウクライナ、米国の当局者による和平交渉は、珍しく前向きな形で終了した。
・トランプ大統領は、カナダが「中国と合意」すれば高額な関税を課すと警告し、マーク・カーニー首相との確執を深めた。
【コメント:カーニー首相がダボス会議で行った感動的な演説への意趣返しだ。】
・イランではインターネットが遮断される中、短時間の通信が可能となり、政府による弾圧の様子をより鮮明に把握できるようになった。
・シリア政府は、同国北東部でクルド人主導の民兵との停戦協定が失効してから数時間後に停戦を延長した。

2026年1月26日 月曜日
現在零度、寒い朝です。

交渉のテクニック

  交渉テクニックとして代表的な、FITD(Foot in the Door)、DITF(Door in the Face)、BATNAという言葉をご存じだろうか。
それぞれを実務イメージに近い具体例付きで整理する。

1.FITD(Foot in the Door) 相手がドアを開けてくれたらすかさず足を入れて相手がドアを閉められなくするということだ。
概要:小さな依頼への「はい」を積み重ねてから、より大きな本命依頼を通すテクニックだ。
 最初の小さな行動を通じて、相手に「自分はこの人/このテーマを手伝うタイプだ」という自己認識をつくらせることがポイントだ。

典型的な例(営業・マーケティング)
 ウェブ上で、最初は「メールアドレス登録だけ」など小さな行動を求め、その後に有料サービスの案内を行う、という形で多用されている。

例:不動産ローン比較サイトで、最初に「簡単な質問に答えるだけ」のフォーム(年収帯、エリアなど)に回答してもらう。
最後に「詳細なローン診断結果をメールで送るので、氏名・メールアドレスを入力してください」と本命の情報提供依頼を行う。

ビジネス交渉への応用イメージ
取引先に対し、いきなり大きな仕様変更や単価改定を求めるのではなく、まずは「試験導入」「パイロットプロジェクト」「限定的な値上げ」など、インパクトの小さい承認から始める。

例:
第1ステップ:一部製品だけ3カ月間、+2%の価格改定を試させてほしい(小さい依頼)。
第2ステップ:うまくいったことを確認後、全製品への本格値上げや長期契約条件の見直し(大きな本命依頼)。

2.DITF(Door in the Face)相手がドアを開けてくれたらすかさず頭(つまり上半身を突っ込んで、そのあと徐々に身を引いて話をするやり方だ。
概要:まず「わざと断られるような大きな要求」を出し、その後に本当に通したい、より控えめな要求を提示して、相手に「譲歩してもらったから、こちらも譲歩しないと」と感じさせるテクニックだ。
 相手に「こちらが大きく引いた」という印象を与え、返報性や罪悪感を刺激する。

身近な例
親への門限交渉:
子ども「今日は24時まで外出していい?」
親「ダメ」
子ども「じゃあ、せめて22時まででもいい?」
→ 最初の要求よりかなりマイルドに見える22時が、通りやすくなる。

ビジネス交渉の例
フリーマーケットや値引き交渉で、最初に相場よりかなり高い価格を提示し、相手が断った後で「特別にここまで下げる」と、実はまだ自分に有利な価格で合意させるケースが挙げられる。

例:
売り手「このアンティーク時計は500ドルです」
買い手「高すぎるのでやめます」
売り手「では今日だけ特別に100ドルでどうですか」
→ 買い手は「400ドルも下げてもらった」と感じるが、そもそも自分の想定価値は50ドルであり、売り手に有利な価格で成立している。

3.BATNA(Best Alternative to a Negotiated Agreement)
概要
交渉が決裂した場合に、自分が取り得る「最良の代替案」のこと。
 「この条件なら合意せずにBATNAを選んだ方が得か?」という基準線となり、自分の底値(あるいは歩留まり条件)を決めるのに使われる。

シンプルな例(中古車の売買)
例:
ColinはTomの車購入を検討しており、Tomは1万ドルを提示。
Colinは他の市場調査から、同等の車を7500ドルで買えるとわかっている。
この場合、ColinのBATNAは「Tomとは合意せず、別の売り手から7500ドルで購入する」こと。
従って、Tomとの交渉で7500ドルを超える価格では合意すべきでない、という判断ができる。

企業交渉の例
 企業の合併・提携交渉で、「この相手と合意できなかった場合に、単独成長戦略や他社との提携など、どの代替案を取るか」を具体的に検討・強化しておくことで、交渉力が高まる。

例:
会社Bは会社Aとの合併交渉中だが、「合併しなくても、自社で新市場に進出し成長できる」という明確な代替案(BATNA)を持っていた。

そのため「不利な条件なら合併しない」という姿勢を貫き、結果として、経営陣の継続や文化維持など、より有利な条件を引き出すことができた。

4.トランプ大統領の交渉事例
 FITDはほとんど使わない。DITFとBATNA(あるいはBATNAの「演出」)として語られる事例の方が圧倒的に多い。

DITFに近い事例(極端要求 → 「譲歩」)
 トランプは「大きく吹っかけてから下げる」DITF型だと、心理学の文献などでは明示的に位置付けられている。そのやり方はTACO Trump Always Chickens Out と評されることがある。

代表的なパターン:
メキシコ国境の壁・予算要求
 2018年の政府閉鎖を伴う攻防では、象徴的かつ巨額な「壁の完全建設」や高額予算を強く要求し、拒否された後、より小さな妥協案に移行する形が見られた。​
 初手で「極端な案」を出し、後の縮小案を「譲歩」と見せる典型的なDITF的運用だ。

グリーンランドやガザに関する極端提案
 「グリーンランドを買収する」といった非現実的な案や、ガザ情勢での極端な要求を出し、その後より現実的な選択肢に移ることで、相手に「これならまだマシ」と思わせるフレーミングが指摘されている。

通商交渉(関税・NAFTA→USMCA等)
 「協定からの全面離脱」「大規模関税」などを最初に示し、その後の条件緩和や部分合意を「大きく譲歩した結果」として位置付けるやり方がたびたび見られる。 極端なスタートポジションでアンカーし、その後の要求を相対的に「合理的」に見せる点で、DITF的な構造を持っている。

BATNA(もしくはBATNAの強調)に該当する事例
 トランプの交渉スタイルを分析した研究や論考では、「相手に対し、自分側のBATNAが極めて強いと見せる」「代替案を誇張して示す」という特徴が繰り返し指摘されている。

代表的なケース:
関税交渉(対中国・対EU・鉄鋼アルミ関税など)
 米国の「世界最大の消費市場」「仕入先の多様性」「サプライチェーンの付け替え能力」を強調し、「合意しなくてもアメリカは困らない」「むしろ相手の方が困る」というメッセージを発信した。
​ 研究では、これは「強いBATNAを繰り返し強調し、相手の譲歩を引き出す戦略」と整理されている。

NAFTA再交渉(USMCA)
「NAFTAからの離脱」を公然と示唆し、離脱後でも米国はやっていけるという姿勢を打ち出すことで、カナダ・メキシコに「最悪の代替案(米国離脱)」を意識させ、譲歩を引き出したと分析されている。
 これは「こちらはいつでも席を立てる」というBATNAの強調と、「相手のBATNAを弱く見せる」組み合わせだ。

「BATNAの操作」としての関税・同盟カード
 関税や安全保障カードを用い、「合意しない場合の世界」を相手にとって一層不利に見せることで、「交渉に応じるしかない」と思わせる手法、即ち「BATNAの操作」を使っている。
​ つまり、実際のBATNAだけでなく、「相手にどう見せるか」まで含めて活用している、という評価だ。

今日は、FITD、DITF、BATNAについて説明した。実社会ではもちろん、内部監査のテストでよく出る分野なので、受験の参考にもなるはずだ。

2026年1月25日 日曜日

市場動向 2026年1月19日から23日 備忘録

【米国市場】
1月19〜23日の主要な出来事・相場の流れ
1月19日(月):休場(キング牧師記念日)
 米国株式市場はキング牧師記念日のため休場。
​ その間の先物市場では、トランプ大統領によるデンマークやドイツなど欧州諸国への10%関税示唆が嫌気され、S&P500先物 −1%前後、ダウ先物 −0.8%前後、ナスダック先物 −1.2%前後と軟調に推移。

1月20日(火):グリーンランド発言と関税懸念で急落
 トランプs氏が「グリーンランドの米国支配」にこだわる発言を行い、対欧州との緊張・貿易摩擦再燃への懸念が一気に高まり、今年最悪クラスの下げに。
 ダウは871ドル安(−1.8%)、S&P500 −約2.1%、ナスダック −約2.3〜2.4%と、10月以来の大幅安。
 リスク回避でドル安・金高が進展し、10年国債利回りは昨年8月以来の高水準に上昇。

1月21〜22日(水・木):政治・金融政策不透明感継続も、下げ一服・自律反発
 週前半の急落を受け、投資家は「Sell America」的な動きからポジション調整を進めつつも、過度な悲観はやや後退。
​ トランプ政権の対欧州関税カードやグリーンランド問題をめぐる「政治リスクプレミアムの上乗せ」がテーマとなり、ボラティリティは高止まり。
​ 一方で、半導体や一部大型テック、銀行株などがリバウンドし、S&P500は連日で小幅高となる場面もあった。

1月23日(金):小動きで週を終了
 週末の23日は、前日までの反発の流れを引き継ぎつつも、グリーンランド問題や対欧州関税の迷走がくすぶり、指数全体は小動きにとどまった。
 S&P500はわずかに上昇(+0.03%)して6,915.61、ナスダックも+0.28〜0.3%程度上昇して23,501.24で終了。一方、ダウは主力銘柄(ゴールドマン・サックス、キャタピラー、アメックスなど)の下落が重しとなり、−0.6%の下落で49,098.71と3指数の中で最も弱い動き。

週次では3指数ともマイナスで終了し、S&P500 −0.4%、ダウ −0.5%、ナスダック −0.1%と「小幅安の週」になった。

相場を動かした主なテーマの整理
政治リスク・通商リスク:トランプ大統領によるグリーンランドを巡る強硬発言と、欧州への10%関税カードの取り沙汰が、グローバルな貿易戦争再燃懸念を高め、週前半の大幅下落につながった。

安全資産へのシフト:株安の一方で、金価格は史上最高値を更新、スイスフランや円などの安全通貨高も進展し、「株から安全資産へ」のシフトが確認された。

金融政策・FRB人事への不透明感:パウエル議長への捜査報道や後任候補人事を巡る混乱などが、「FRBの独立性」や今後の利上げ・利下げスタンスへの不安要因となり、ボラティリティを押し上げた。

企業決算(半導体・金融など):決算シーズン入りで、半導体や銀行株中心に個別物色も見られたものの、マクロ・政治要因のインパクトが大きく、指数全体としては「決算好悪よりもヘッドラインリスク」で動いた1週間だった。

まとめ
 1月19〜23日の米国株は、「トランプ政権の対欧州スタンスとグリーンランド問題」→「金利・為替を巻き込んだリスクオフ」→「週後半の自律反発」→「小幅マイナス週で終了」という流れ。
​ 指数ベースでは、S&P500 −約0.4%、ダウ −約0.5%、ナスダック −約0.1%と、ボラティリティの高さの割に「週足では軽微な調整」にとどまった。

【日本市場】
1/19〜23の動き
1月19日(月)
 日経平均は前週末比で約 −1.7%安の52,991.10円で終了(53,936円→52,991円)。TOPIXも3,656.40→3,625.60と反落し、1日で約 −0.8%の下げ。
 背景には、欧米の関税懸念や米金利上昇を受けたリスクオフがあり、輸出株・景気敏感株を中心に売り優勢。

1月20日(火)
 日経平均は一時800円超安の場面もあり、終値は52,991.10円前後と前日比で続落(下げ幅1%超)。
​ 米トランプ政権のグリーンランド発言や欧州向け10%関税カードが意識され、外需株に売りが集中。

1月21日(水)
 日経平均は52,774.64円まで下落した後、引けにかけて下げ渋り。
​ FRB次期議長人事を巡る報道で利下げ期待が後退し、米ハイテク高と日本株のディフェンシブ買いが交錯する展開。

1月22日(木)
 日経平均は53,688.89円と反発し、前日の下げをやや取り戻す動き。TOPIXも3,616.38→3,629.70と2日連続で上昇し、バリュー株・金融株に買い戻し。

1月23日(金)
 日経平均は53,846.87円と小反発で週を終え、週初の急落からはかなり戻したものの、週ベースでは小幅マイナスにとどまった。TOPIXも0.37%高で引けましたが、週間では −0.79%とマイナス。

日本市場に影響した主な要因
米国発の政治・通商リスク
 トランプ政権による欧州関税示唆やグリーンランド問題が世界的なリスクオフを誘発し、日本株も週前半は「米株安連動の売り」が優勢でした。​
金利・為替動向
 米金利上昇とドル安進行を背景に、為替は一時円高方向に振れ、輸出関連株の重しとなりました。​
内需・グロース株の相対的底堅さ
 小売りのファーストリテイリングや一部内需グロース株は相対的に底堅く、指数の下支え要因に。

日本株は「週初の下げがきつく、その後戻しつつも、TOPIX中心にやや弱め」、日経平均は大型輸出株の戻りもあって「米主要株価指数と比べれば、ほぼ同程度〜やや底堅い」形で週を終えたと言えそうだ。

【日本の財政懸念が世界に広がる】
 2026年1月19〜23日の週は、日本の国会解散と総選挙を巡り、「財源手当ての不透明な消費減税・各種バラマキ公約」が一斉に出たことで、日本の財政リスクと市場への警戒感が世界的に意識された週となった。

各国高官・メディアの主な論調
日本国内・国際メディア
 日本政府は通常国会冒頭で衆議院解散を行い、2月8日投開票の総選挙に踏み切る見通しと報じられ、当初編成していた2026年度予算は年度内成立が困難となり、つなぎ予算が必要との指摘がなされた。
 ほぼすべての主要政党が、消費税(特に食料品の8%部分)の減税や一時停止、各種給付金・補助金拡大を公約に掲げており、「持続性よりも短期的な人気取り」に傾斜していると論じられた。
 主要紙の社説は、消費税減税で年間約5兆円規模の税収減が見込まれ、日本の財政不安・政府信用低下・円安進行と輸入物価上昇の悪循環につながりかねないと警告している。

海外メディア・市場関係者
 ロイターは、与野党ともに食料品への8%消費税撤廃などを掲げることで、既に脆弱な財政をさらに悪化させ、国債売りや長期金利上昇を招くリスクを強調し、「スナップ選挙が消費税減税の可能性を高めている」と報道した。
 アジア経済誌や国際メディアは、「各党の減税競争はグローバルなポピュリズム潮流の一環」と位置づけ、日本の歳出拡大・税収減・少子高齢化を考えると長期的な財政持続性への懸念が強まっていると解説している。
 ​一部の市場レポートは、「日本の財政運営が短期的な選挙対策に左右されれば、円安・金利上昇・国債市場のボラティリティ増大を通じて、世界の金利・リスク資産にも波及しうる」とコメントしている。

当局・高官の発言のトーン
 日本の財務省関係者は、解散・総選挙により26年度予算の年度内成立が難しくなり、暫定予算に頼らざるを得ないとしつつ、財政規律の維持の重要性を改めて示唆している。
​ 与党幹部は、物価高対策として食料品への消費税8%部分の2年間停止などの合意を強調する一方、年間約5兆円の税収減が見込まれ財政に「大きな穴」があくことも認めている。

特に注目されたのはベッセント財務長官の発言・メッセージだった。
・円安への「共通の懸念」表明
 1月13日前後の日米財務当局者会談で、片山財務相が「最近の一方的な円安」への強い懸念を伝え、ベッセント米財務長官もこれに同調したと報じられた。
 円が1ドル=158円台を超える中で、「日本側が為替介入を検討することに対し、米財務省が一定の理解を示した」と受け取れるメッセージで、市場にとっては“黙認シグナル”と解釈された側面がある。
・「円安の背景は金利差だけではない」との示唆
 長官は繰り返し、円安の背景には「日米金利差」だけでなく、日本の財政拡張期待やBOJの緩慢な利上げペースもあると示唆してきた。
 そのうえで、「円安を是正するには、BOJのより迅速な利上げが有効」との考えを示しており、事実上、日本の金融政策に対しタカ派方向を求める発言になっている。

長官の日本国債・世界市場への言及
 インタビュー等では、日本の長期国債利回り急騰や40年債4%乗せといった「JGBのボラティリティ上昇」を、世界的な金利上昇やリスク資産調整の一因として指摘し、「日本の財政・債券市場は今やグローバルなシステミック要因」だと強調した。
 また、ダボス等の国際会議を含め、「日本は歳出拡大よりも、潜在成長を高める構造改革と財政健全化のコミットメントを優先すべき」といったメッセージを発信しており、これは日本の拡張財政公約に対する牽制として受け止められている。

【金利・為替動向】
日本の金利動向(JGB)
・長期金利(10年・超長期)
 消費減税・補助金拡大といった拡張財政シナリオが意識され、日本国債は売られ、長期金利は約27年ぶりの高水準まで上昇した。
​ 各種レポートでは、30年国債利回りが1日で25bp超上昇し、導入以来の最高水準近辺まで急騰、10年国債利回りも2.3%台に乗せるなど、「債券市場のミニクラッシュ」と表現された。
・短期〜中期ゾーン
 BOJの物価見通し引き上げや「将来の利上げ観測」と相まって、2年〜10年ゾーンでも利回り上昇が進み、イールドカーブは「長期急騰→のちにフラット化(短期側も追随)」という形になったと解説されている。

 BOJの基本スタンス次第では、2026年中に2回の利上げもあり得るとのシナリオが、民間リサーチから提示されており、財政拡張と円安懸念が「金融政策の引き締め方向の圧力」になりうるとの指摘がある。

米国金利動向
・米長期金利
 米10年国債利回りは、FRB議長人事を巡る不透明感や、トランプ大統領の発言(グリーンランド問題・対EU関税示唆)を背景に、一時4.2%台を上抜けるなど、昨年からのレンジ上限をやや上回る水準に上昇した。
​ 各種レポートは、「パウエル後任を巡る思惑で、よりタカ派寄りの候補が意識され、米金利はじり高」「JGB急落の波及で米債にも売り圧力」という構図を指摘している。

日米金利差
 マクロ指標では、2年物の日米金利差は1月16日時点で約2.4%ポイント、19日時点で2.38%ポイントと高水準で推移しており、依然としてドル高・円安方向の基本圧力になっていたことが示されている。
 そこに日本側の金利急騰が重なり、JGBと米国債双方にボラティリティが高まった週だった。

円ドル為替の動き(USD/JPY)
 足元のヒストリカルデータでは、USD/JPYは今週、概ね155〜159円のレンジで推移し、19日には約158円前後、23日時点の参考レートとして155.9円付近が示されている。
 レポートでは、「JGB急落→日本金利急騰は本来なら円高要因だが、同時に財政悪化懸念・格付けリスクが意識され、“安全通貨としての円”に疑問が生じており、円買いは限定的」との見方が出ている。
 解散総選挙報道と、各党の減税・バラマキ公約が相次いで伝わる中で、「日本財政への構造不安」による円売りと、「JGB利回り急騰による金利差縮小観測」による円買いが綱引きする形となり、方向感に欠けた推移になった。
 トランプ政権による対欧州関税カード、FRB人事を巡る緊張など米側要因もドル全体に影響し、ドルインデックスは一時上昇、その後やや反落するなど、ドル円単独では読みづらい週だった。
 週末には、日銀による円安を是正するための介入が強く意識されドル円は158円台から一気に155円台まで円高が一気に進む展開となった。来週の行方が注目される。

【PE市場・プライベートクレジット市場の動き】
PE市場
 2025年通年のスローファンドレイズ(特にミッドマーケット・新興GP)と、セカンダリー・コンティニュエーションビークルの多用が続いており、1月も「LPの流動性制約が続く中での選別的コミットメント」という流れが継続。
 大手ハウス(例:EQTの大型ファンド、グローバルプラットフォーム)では、2026年に向けた新ファンド・クローズのアナウンスが見られ、「トップティアだけ回復が早い」構図が鮮明。

プライベートクレジット
 Q1 2026のクレジットコンディションレポートでは、レバレッジドローン・HY市場との相対で「ミドルマーケット直接融資のスプレッド優位は維持、ただしベストクレジットには競争でスプレッド圧縮」という現場感が示されている。
 新規ストラテジーとして、スペシャルティファイナンス(コンシューマー与信、フィンテック、データセンター/インフラ関連クレジット等)へのエクスポージャーを高める動きが2025年に目立ち、1月もその延長線上で新商品ローンチが多い。

【モデルポートフォリオの動き】
1月16日に総額100,000,000円で運用開始(と仮定)
現時点でのベストのポートフォリオ(のはず)の評価

●2620(iシェアーズ米国国債1-3年)(3000万円)
– 1/16:2,522円 → 11,895口
– 1/23:2,524円 × 11,895口
– = 30,023,000円(+23,000円)

● 1557 (SPDR S&P500 ETF)(3000万円)
– 1/16:110,000円 → 27.27口
– 1/23:109,600円 × 27.27口
– = 2,987,000円(–13,000円)

● 日本好配当リバランス(2000万円)
– 1/16:14,523円 → 13,770口
– 1/23:14,359円 × 13,770口
– = 19,780,000円(–220,000円)

● 銀行預金(2000万円)金利0.10#
– 元本:20,000,000円
– 利息:+383円
 =20,000,383

合計 99,790,383円

2025年1月24日 土曜日

世界の動き 2026年1月23日 金曜日

今日の一言
「裁判員裁判」
 安倍首相銃撃事件の判決が出た。今回は裁判員裁判なので被告に同情的は判決が出るかと思いきや、検察の求刑通り「無期懲役」だった。被告の悲惨な生い立しはいっさい考慮されなかった。統一教会に家庭を破壊され卒業文集に将来なりたいものは「石ころ」と書いたという青春を思うと胸が痛む。
 裁判員裁判は、裁判官3人と裁判員(国民から選ばれる)6人の多数決で、有罪か無罪か、有罪の場合の量刑も、多数決で決定される仕組みだ。ただ、多数決の中には裁判官が最低一人は入っていないといけない。つまり、裁判官には拒否権が与えられているのと同様だ。
 今回の判決では、たとえ裁判員の多くが「情状酌量」と考えていたとしても、裁判官が既に「無期懲役」という結論を下していれば、結論はそうならざるを得ない。
 私が不思議に思うのは、社会的に害悪をもたらしていた統一教会の強力な広告塔になっていた安倍首相の役割が裁判の論点として挙がってこなかった点だ。何故だったのだろうか。
 また別の裁判だが、一般道を194キロで運転し人をひき殺した事件で、地裁で出た「危険運転致死罪」を覆し、控訴審では「過失運転致死罪」として4年6か月の量刑に厳戒されたという驚くべき判決が出た。
 裁判について考えさせられる判決が続いた週だった。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.偽善をやめるダボス会議
【記事要旨】
 ダボス会議はかつて、「世界をより良くする」という大義を掲げ、ビジネス界や政治のエリートたちが社会正義や持続可能性を語る場として振る舞っていた。しかし、その建前はほぼ消えつつある。
 1971年にクラウス・シュワブが創設した当初は、政治家・学者・企業人が集まる場だったが、現在は巨大企業のショーケースのようになり、街全体がテック企業やコンサル、暗号資産企業の広告で埋め尽くされている。
 近年は、ブラックロックのラリー・フィンクが主導し、会議は完全にビジネス中心へと傾斜。「世界の状態を改善する」というスローガンも影を潜め、社会正義やサステナビリティといった言葉もほぼ消えた。これは、トランプ政権を歓迎するために意図的に“浄化”された結果だと指摘される。
 表向きは「グローバリスト vs トランプ」という対立構図が語られてきたが、実際には多くのCEOがトランプの減税・規制緩和を歓迎しており、両者は対立していなかった。現在も同様で、企業は短期的な株主利益を優先し、中央銀行の独立性や法の支配の長期的な損失よりも、目先の利益を重視している。
 フィンク自身もかつては気候変動や企業責任を語っていたが、今ではサステナビリティへの言及は消え、ダボスの“美辞麗句”はトランプへの迎合へと変質している。
【コメント】
 ダボスは劇的な一週間だった。トランプ大統領は欧州を揶揄する演説を行い、クリスティーヌ・ラガルド氏は米国商務長官主催のプライベートディナーを途中で退席した。エマニュエル・マクロン氏は、サングラスをかけた印象的な姿で「予測可能な」時代に生きていると皮肉たっぷりのジョークを飛ばした。そして、マーク・カーニー氏は各国に対し、脅迫者に立ち向かうよう訴え、スタンディングオベーションを浴びた。確かにカーニーの演説は感動的だった。日本も世界のミドルパワーの結集に大きな役割を果たせると思うのだが、首相は政権維持の選挙にしか関心がなさそうだ。

2.ゼレンスキー大統領、「失われた」欧州同盟国を批判
【記事要旨】
 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、欧州諸国の地政学的弱点を批判した。
 「真のグローバルパワーとなるどころか、欧州は依然として、美しくも断片化された中小国が入り混じった万華鏡のような存在だ」とゼレンスキー大統領は演説で述べた。「特にアメリカの関心が他に移っている今、世界の自由を守る主導権を握るどころか、欧州は迷っているように見え、米国大統領に変化を促そうとしている。しかし、大統領は変化しないだろう」
 ゼレンスキー大統領の演説は、ダボスでトランプ大統領と非公式会談を行った後に行われた。両首脳は、会談を簡潔に「良好」と表現した。
【コメント】
 トランプの関心はグリーンランドに移り、ウクライナには興味がもうなさそうだ。自分のパワーをひけらかせる機会を求める「ディールメーカー」の面目躍如だ。

その他の記事
・ニューヨーク・タイムズの分析によると、イーロン・マスク氏のチャットボット「Grok」は、数百万枚の女性の性的画像を生成した。
・日本が大規模原子力施設の原子炉を再稼働させてから数時間後、技術的なトラブルにより再び停止となった。
【コメント:せっかく再稼働したのに、すぐにミソをつけましたね】
・米国の入国管理局がミネアポリスで5歳の男児を拘束し、包囲されていると感じている住民の怒りを買っている。
・フィリピン人ジャーナリストがテロ資金供与の罪で有罪判決を受け、最長18年の懲役刑を言い渡された。人権団体はこれを報道の自由への侵害だと非難した。
・シリアの独裁者アサドの弟であり叔父で、「ハマの虐殺者」として知られるリファアト・アサドが今週ドバイで亡くなった。
【コメント:原文の “the brother and uncle of Syrian tyrants” は、
「シリアの独裁者たちの 兄であり、かつ叔父でもある人物」という意味だ。
つまり、Rifaat al-Assad(リファアト・アサド) は:
– 弟(brother):
→ シリアの元大統領 Hafez al-Assad(ハーフェズ・アサド) の弟
= ハーフェズにとっての「弟」であり、
– 叔父(uncle):
→ 現在のシリア大統領 Bashar al-Assad(バッシャール・アサド) にとっての「叔父」 ということだ。】

2026年1月23日 金曜日
現在ー3度c@雪谷大塚 今年一番の冷え込みです。

世界の動き 2026年1月22日 木曜日

今日の一言
「山本太郎氏」
昨日参議院議員を辞職すると発表した。病気が理由で議員を続けられないという理由だ。
彼の主張は相いれられない点も多かったが、行政の怠慢を厳しく追及する姿勢には大いに共感した。
彼の辞職のビデオを見て、随分と自身の命を削って議員を続けてきたことが理解できた。病気を治して議員として戻ってきてほしいものだ。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.グリーンランドという場所
【記事要旨】
ダボス会議では、トランプ大統領の到着前から「グリーンランド問題」が最大の話題となっていた。欧州側では対抗策を議論する外交官もおり、「欧州は自力で防衛できるか」というセッションも満席になるほど関心が高かった。
トランプ氏が登壇すると、NATO同盟国を批判し、アメリカがグリーンランドを得られなければ経済戦争も辞さない姿勢を示し、会場は緊張に包まれた。軍事力の行使は否定したものの、「アメリカが求めているのはグリーンランドという場所だけだ」と強調し、欧州に対して「拒否すれば覚えておくYou can say yes, and we will be very appreciative, or you can say no. We will remember.」と圧力をかけた。
週末には欧州への高関税を示唆して交渉を迫っていたが、その後、NATO事務総長ルッテ氏との会談を経て「グリーンランドと北極圏全体に関する将来の合意の枠組みができた」と述べ、2月1日に予定していた関税の発動を見送ると発表した。
しかし、具体的な内容は不明で、グリーンランドをめぐる交渉状況は依然として不透明なまま。カナダのカーニー首相が「世界秩序は断絶した」と語ったように、国際社会は未踏の領域に入ったという感覚が広がっている。
【コメント】
トランプ氏はTACOというより極端なマッチポンプだと考えるべきだ。彼の発言に相場が激しく乱高下する。彼の関係する投資会社は大儲けしているに違いない。

2.米国、シリアからISIS(イスラム国)拘束者の移送を開始
【記事要旨】
米国は昨日、シリア北東部の収容施設からイスラム国(IS)戦闘員150人をイラクに移送したと発表した。最終的には最大7,000人まで移送する可能性がある。
シリア政府とクルド人主導の勢力がこの地域の支配権を争う中、数千人規模の元ISIS戦闘員とその家族が拘束施設から逃亡する可能性があるとの懸念が高まり、移送が行われた。移送先は明かされていない。
クルド人主導の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」は日曜日、シリア政府に刑務所の管理権を移譲することで合意したが、移送は困難を極めている。
シリア民主軍(SDF)は10年以上にわたり、シリアにおける米国の最も緊密な同盟国であったが、米国がシリアの新政府を強力に支援する中で、その同盟関係は崩壊しつつある。
【コメント】
ISISとはそもそもイラク・シリア・イスラム国の略号だ。以前はシリアからイラクにかけて広大な支配地域を誇っていたが、今はどうなっているのだろうか。

その他の記事
・イスラエル軍はガザ地区で少なくとも11人を殺害した。イスラエル軍によると、3人のパレスチナ人ジャーナリストは無人機を操縦していたという。
・日本は、福島原発のメルトダウンから約15年を経て、大規模原子力施設の原子炉を再稼働させた。
・台湾の400億ドルの軍事費計画は野党議員によって阻止された。
・欧州議会は、南米4カ国との主要貿易協定の延期を決議した。
・韓国の元首相、韓悳洙(ハン・ドクス)氏は、戒厳令布告に協力したとして求刑より重い懲役23年の刑を宣告された。

2026年1月22日 木曜日