MBOが起きやすい上場企業

 久光製薬でのMBOを受けて、今後MBOが起こりやすい企業を選別してみました。以下の4つの条件は私が設定し、AIに銘柄選定を委ねました。

MBO候補を抽出するための「定量スクリーニング条件」
① PBR(株価純資産倍率)
– PBR < 1.0 → 市場から「資本効率が悪い」と見られており、創業家にとって非公開化のインセンティブが強い。 – 理想的には PBR < 0.8 → MBOのプレミアムを乗せても買収価格が合理的。

② 自己資本比率(Equity Ratio) – 自己資本比率 > 50%
→ 財務の安全性が高く、外部資金調達に依存しない。
– 理想は 60〜70% 以上 株式市場から調達の必要がない。
→ 久光製薬・大正製薬と同じタイプ。

③ 創業家持株比率(Founder Ownership)
– 創業家・同族が 20%以上保有
→ MBOの意思決定を主導しやすい。
– 30〜40% 以上なら “ほぼ支配”
→ MBOの実行可能性が高い。

④ ブランド力(定性だが重要)
– 消費者向けブランド(B2C)
– 老舗・長寿ブランド
– 安定キャッシュフロー
– 市場からの成長期待は低い(=PBRが低くなりやすい)

 業種別のMBOのしやすさや、株式市場での受け取りについても詳しく議論しましたが、それは捨象して、結論は以下です。

総合評価:最もMBOの“定量条件”に合う企業
  ◎ アース製薬
  ◎ ロート製薬
  ◎ ワコールHD
この3社は、
– 創業家支配
– 高自己資本比率
– ブランド力
– PBR低位
– 市場からの資本効率圧力
のすべてを満たし、久光製薬・大正製薬と極めて近いプロファイルです。ぜひ参考にしてください。

 このような分析は、従来は、証券会社の若手がデータを駆使して行ったものでした。多分小一時間かかる作業だと思います。投資ファンドのアナリスト(年収2000万円程度)が、データとファンドの知見を活かして分析していた分野でもあります。

 今回の私の分析では、4つの条件を入れたら瞬時にAIが回答してくれました。ハルシネーションもなさそうです。恐るべしAIです。今後は証券会社のセールスマンやアナリスト、投資ファンドのアナリストは本当に大変になるだろうという印象を強くしたAIとの対話でした。

2026年1月7日
松の内も明け、今日は七草がゆ。正月にたまった贅肉を落とさねば。。

世界の動き 2026年1月7日 水曜日

今日の一言
「大型MBO」
 「サロンパス」で知られる久光製薬はマネジメント・バイアウト(MBO)で株式を非公開化すると発表した。創業家出身の中冨一栄社長の資産管理会社が株式公開買い付け(TOB)を行い、全株を買い取る。買い付け価格は1株6082円で、5日の終値に対し約35%のプレミアムとなる。買い付け期間は7日から2月19日まで。MBOや再編に伴う上場廃止は、2025年に過去最多を更新した。市場再編や投資家からの資本効率向上を求める圧力が強まる中、非公開化を選ぶ企業が増えている。同じ製薬業界では、大正製薬ホールディングスが24年にMBOで上場廃止している。(Bloombergより)
 サロンパスほど有名なブランドを持つ企業で株式市場から資金調達の必要がない同族企業は、MBOによる非公開化が、自然な動きになる。こうした動きの候補企業はたくさんあるので注目したい。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.2026年のウクライナ、中東、中国:3地域の行方
【記事要旨】
■ ウクライナ:戦況は膠着、社会は疲弊
– 戦争は2月には5年目に入り、戦闘は激しいが前線はほぼ停滞。
– ロシア軍は少しずつ前進しているが、犠牲も大きい。
– ウクライナ軍は疲弊し、脱走や徴兵逃れが増加。前線に隙間が生じ、ロシアが突破する可能性も。
– 国民の多くが停電や犠牲に疲れ、譲歩してでも戦争終結を望む傾向が強まる。
– これによりゼレンスキー大統領は交渉の政治的余地を得つつある。
– トランプ政権はウクライナ支援を縮小しつつ、経済取引を餌にロシアに停戦を促すが、プーチンはイデオロギー的理由で応じるか不透明。
– 不確定要素(ワイルドカード):ウクライナのドローン攻撃がロシアの石油輸出を脅かし、世界の石油市場が不安定化する可能性。

■ シリア:アサド後の国家再建は岐路に
– 反体制派がアサドを倒して1年、国の方向性が問われている。
– 悲観的にみると、都市は破壊され、復興資金は乏しく、宗派対立も残る。
– 楽観的にみると、新政権のシャラー大統領(元ジハード戦闘員)は制裁解除に成功し、外交関係も改善。
– 内戦終結直後の高揚感は薄れ、今後の国家像が問われている。
– シリアは中東の要衝であり、安定すれば地域全体に良い影響を与える可能性。
– ワイルドカード:イスラエル。2025年に複数地域を空爆し、周辺国に軍事的影響力を拡大。軍事的成果はあるが、国際的評価は悪化し、持続的な和平の道筋は見えない。

■ 中国:2025年は「勝利」したが、2026年は不透明
– 2025年、中国はトランプ政権の関税に耐え、史上初の1兆ドル貿易黒字を達成。
– AI分野でもDeepseekなどが台頭し、米国の半導体規制を部分的に克服。
– トランプ大統領が他の重要課題(台湾や技術覇権)で譲歩する姿勢を見せたことも追い風。
– しかし、レアアース輸出停止の脅しは効果が薄れ、各国が脱中国依存を進めている。
– 中国製品の流入に警戒する国も増え、失業や賃金停滞など国内経済への悪影響が懸念される。
– ワイルドカード:中国の「ソフトパワー」。
– Labubu などの玩具ブーム、上海や重慶の都市映像がSNSで人気。
– 米国の若者の対中感情も改善。
– これが続けば、各国の対中政策にも影響を与える可能性。
【コメント】
 中国のソフトパワーの台頭というのはさらなる脅威だ。現在の米国の大学が獲得している世界の頭脳を集める動きを、今後は中国が代替することになるかもしれない。日本から新たな「遣唐使」が必要になるか、うーん。

2.トランプ氏の脅しが欧州と南北アメリカ大陸を揺るがす
【記事要旨】
 ベネズエラにおける最近の米国の軍事作戦、そしてコロンビアとメキシコへの介入とグリーンランドの制圧を脅かしたことを受け、欧州をはじめとする各国の指導者たちは、トランプ氏とその「力こそ正義」という権力のビジョンに反発した。デンマーク、フランス、ドイツ、英国などの首脳は、反抗的な共同声明の中で、「グリーンランドはそこに住む人々のものだ」と述べた。
 米州機構(OSA)の緊急会合では、ブラジル、メキシコ、コロンビアなどの国々がベネズエラにおける米国の軍事行動を非難した。ある抗議者がOSAの米国代表の発言を遮り、「ベネズエラに手を出すな」と叫び、米国の攻撃を「帝国主義的な石油収奪だ」と非難した。
【コメント】
 グリーンランドはカナダのやや右上で西半球にある。トランプのドンロー主義からは当然自分のものだ。

その他の記事
・欧州各国首脳はウクライナ情勢をめぐる協議のためパリに集結し、戦後安全保障へのコミットメントに焦点を合わせた。
・シリアとイスラエルは、国境紛争の緊張緩和について、米国の仲介の下、協議を再開した。
・トランプ支持者が連邦議会議事堂を襲撃してから5年が経ったが、大統領は依然として2020年の選挙結果に疑念を抱かせている。
・先週、スイスで発生した火災で死傷者を出したバーは、6年間も検査が行われていなかったことを当局が認めた。
・ハンガリー出身の映画監督で、数々の映画作品でアートハウス映画界のヒーローとなったベラ・タール氏が70歳で亡くなった。

2026年1月7日 水曜日
今朝は足が攣り、歩行困難です。

世界の動き 2026年1月6日 火曜日

今日の一言
「シェブロン」
 シェブロン株は5.5%急騰した。石油メージャーがベネズエラに国有化されたのに、なぜシェブロンだけが国有化を免れたのか?

1. シェブロンは Chávez・Maduro 政権と「対立しない関係」を維持した
  2007年、チャベス政権は外国石油企業の大規模国有化を進めたが、シェブロンは政府と交渉し、国営石油会社 PDVSA との合弁事業に同意した。
– ExxonMobil や ConocoPhillips は国有化に反発して撤退
– シェブロンは「政府が多数株を持つ合弁」に切り替えて残留
つまり、対立せず、妥協して残った唯一の米企業だった。

2. ベネズエラ政府にとってシェブロンは「必要な存在」だった
ベネズエラの石油産業は慢性的な資金不足と技術不足に苦しんでいた。
 シェブロンは:
– 技術力 - 投資資金 - 国際市場へのアクセス
を提供できる数少ないパートナーだった。
 政府にとっては、
「敵対して追い出すより、残しておいた方が利益になる」
という現実的判断が働いた。

3. 米国政府との関係を維持するための“安全弁”だった
 チャベス・マドゥロ政権は反米姿勢を取っていたが、
完全に米国との関係を断つことはできなかった。
 シェブロンを残すことで:
– 米国との最低限の経済的パイプを維持
– 制裁を少しでも緩和してもらう余地を確保
– 国際的孤立を避ける
という外交的な保険になっていた。

4. 米国の制裁下でも、シェブロンは特別ライセンスを得ていた
 トランプ政権・バイデン政権の制裁下でも、シェブロンは米財務省から特別ライセンス(OFAC)を継続的に取得していた。
理由は:
– ベネズエラの石油供給を完全に止めると国際市場が混乱する
– シェブロンの撤退は中国・ロシア企業の独占を招く
– 将来の政権交代後の米国企業の復帰の足場を残すため
つまり、米国政府自身もシェブロンの残留を望んでいた。

 厳しい国際情勢を切り抜けてきたのがシェブロンだった。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.米国によるマドゥロ拘束が世界に与えた衝撃
【記事要旨】
 米軍がベネズエラのマドゥロ大統領を突然拘束し、ニューヨークで裁判にかけるため連行したことで、ベネズエラ国内だけでなく世界全体が新たな現実に直面している。
1. 米国の「力による介入」が示したメッセージ
– トランプ大統領は、直接占領を避けつつ、従順な政権を樹立し、石油資源へのアクセスを確保する「仮想的占領」を進めている。
– ベネズエラでは混乱は広がらず、副大統領ロドリゲスが暫定大統領に就任し、一定の安定を保っている。
2. ベネズエラ国内の反応
– 国民は衝撃を受けつつも、「マドゥロよりは誰でもまし」という慎重な楽観もある。
– 経済成長を実現したロドリゲスは、ビジネス界からも支持を得ている。
– 正統な選挙勝者を擁する反対派は、米国によって事実上排除された。
3. 世界への波紋
– 米国は西半球を自国の勢力圏とみなし、コロンビアやキューバにも強硬姿勢を示している。
– ラテンアメリカでは、左派は「米国の帝国主義」、右派は「独裁者からの解放」と受け止めが分かれた。
– いずれにせよ、米国が再び地域の中心的存在となったことは共通認識となっている。
4. 中国・ロシアへの示唆
– トランプ政権は「西半球での米国の優位回復」を掲げている。
– 大国が小国に介入し資源を掌握するという前例は、中国の台湾、ロシアのウクライナでの行動を後押しする可能性がある。
5. 今後の不確実性
– ベネズエラ国内には反米感情が根強く、軍や治安機関を握る勢力との調整が必要。
– 台湾やウクライナと単純比較はできないが、第二次世界大戦後の国際秩序が大きく揺らいだことは確かだ。
【コメント】
 日本は中国に対抗し「法の支配」を強調しているが、頼りとする米国が法の支配に考慮しない国になった。トランプにとっては国際法は無視してい良い存在で、西半球内の秩序を決めるのは自分だという考えがあるのだろう。アジアへの関心は、習主席との良好な人間関係の構築以外は、とても薄れるだろう。

その他の記事
・1週間以上にわたる抗議活動の後、イラン政府は国民全員に月額約7ドル相当の給付金を支給する計画を発表した。
・ベルリンで放火事件が発生し、大規模な停電が発生した。極左グループが犯行声明を出した。
・ウクライナは、カナダの元副首相クリスティア・フリーランド氏を経済顧問に任命した。
・フランス大統領夫人へのネットいじめで10人が有罪判決を受けた。
・イスラエルは、反ユダヤ主義とボイコットに関する前市長の行政指令を撤回したニューヨークのゾーラン・マムダニ市長を批判した。

2026年1月6日 火曜日

世界の動き 2026年1月5日 月曜日

今日の一言
「年賀状激減」
 郵便局の統計では年賀状が前年比3割減だというが、当方は3分の一に減った。
 喪中はがきをいただいた先へ賀状を出さないまま継続が途絶えた。当方が1昨年末に転居したのが伝わっていない。年賀状をやり取りしている年齢層が後期高齢者に入り年賀状じまいをしている。いろいろな原因がありそうだ。
 いずれにしても静かな3が日が終わり、今日から本格的な仕事始めだ。健康に留意して1年頑張りましょう。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.トランプ氏の砲艦外交
【記事要旨】
 トランプ政権によるベネズエラ強制介入の全体像
 トランプ政権は数カ月前からベネズエラへの行動を示唆しており、麻薬テロ支援国家と非難し、小型船舶への攻撃や石油タンカーの拿捕を行ってきた。
 そしてついに、米特殊部隊が夜間作戦でマドゥロ大統領夫妻を拘束し、ニューヨークへ移送するという大胆な作戦を実行した。
 米国はカリブ海に軍を残し、ベネズエラの政策に影響力を行使し続ける姿勢を示している。トランプ氏は米企業がベネズエラの豊富な石油資源にアクセスする意図も公言した。
 作戦は4カ月かけて準備された。CIAの潜入、ドローン監視、マドゥロの行動把握、米国内でのマドゥロ氏の居住施設の模型を使った訓練などが行われた。サイバー攻撃でカラカスの電力を落とした後、米軍は空爆と特殊部隊投入でマドゥロを短時間で拘束した。
 今後の統治について、米国は「占領ではない」としつつ、マドゥロの副大統領ロドリゲスを暫定指導者として容認し、米国の方針に従うことを条件とした。これは米国が“後見人”のように政策を指導する体制だと報じられている。
 米国の介入理由としては麻薬対策や民主主義の回復が挙げられてきたが、トランプ氏はベネズエラが国有化した際に奪われた石油利権の回復が主要目的であることを明言した。
 国際的には、ブラジル・メキシコ・中国・ロシアなどが違法な介入として非難し、国連事務総長も危険な前例だと警告。一方、欧州は慎重ながらもマドゥロ排除を歓迎する声もある。
 現地では政府支持者の抗議が報じられる一方、多くの国民は変化を望んでいるとされる。
【コメント】
 中露が言うような国際法違反かどうかはともかく、米国の国内法違反であるのは間違いないだろう。戦争を始めるには議会の承認が必要だ。トランプ氏はこれは戦争ではない。逮捕状の出ている犯罪者を逮捕するための警察力の行使に軍が支援しただけだというロジックだが、とても受け入れられる説明ではない。
 いずれにしても、軍事強国の専横がまかり通る世の中になるのは間違いない。日本はどう存在感を示しつつ生存していくのか、難しい世界になっている。
 身近な点では、今日の株式市場がどう反応するか注目だ。地政学的リスクの高まりで全般にはネガティブ。防衛関連株、石油関連株にはポジティブではないか。

2.スイスの大晦日に発生した火災で、新たな犠牲者が確認
【記事要旨】
 スイスアルプスにあるバーで元旦に発生した火災で少なくとも40人が死亡した事件で、経営者2人が過失致死の疑いで刑事捜査を受けている。
 当局は、クラン=モンタナのバーで発生した火災は、ボトルに仕掛けられた小型花火が火花を噴き上げ、バーの地下室の天井の一部を覆っていた発泡断熱材に引火したことが原因とみている。町民が悲しみに暮れる中、昨日、新たな犠牲者が確認された。
【コメント】
 スイスの高級リゾートでの大晦日の惨劇には驚いた。

その他の記事
・イラン当局は、反政府デモが続く中、指導者たちは米国とイスラエルからの脅威に晒されながらも生き残りを図っていると述べた。
・サウジアラビアの支援を受けたイエメンの政府系部隊は、アラブ首長国連邦の支援を受けた武装分離主義者から、石油資源の豊富な地域を奪還した。
・ウクライナのゼレンスキー大統領は、汚職スキャンダルと和平案交渉のさなか、内閣改造を行っている。

2026年1月5日 月曜日
TBSラジオの「森本毅郎スタンバイ」平日朝6:30-8:30を愛聴している。肺炎で入院している森本氏の快癒をお祈りしている。

予測市場

 NYタイムズのDealBookという証券関係のセクションを読んでいて、聞いたことのない言葉に出くわした。Prediction Markets「予測市場」だ。
 この言葉はすでに定着しているようでWikipediaで検索すると日本語の説明が出てくる。その説明が理解できなかったので自分で調べてみた。今日はこの予測市場について解説したい。
 まず、NYタイムズの記事を紹介したい。NYTimes, DealBook, January 3, 2026より
・・・・・・・・・・
予測市場は勢いを維持できるだろうか?
 カルシKalshiとポリマーケットPolymarketは2024年、大統領選挙の結果を正確に予測したことで初めて注目を集め、今や巨大ビジネスへと成長した。カルシは最近、評価額110億ドルで10億ドルを調達した。これは、50億ドルの資金調達からわずか2か月後のことだ。一方、ポリマーケットは150億ドルの評価額で資金調達を進めていると報じられている。
これは、予測市場がもはや単なる選挙結果への賭け以上のものとして認識されているからでもある。カルシが数十億ドル規模の取引量を誇るようになったのは、スポーツベッティングの大手企業として大きな成功を収め、ドラフトキングスやファンデュエルといったオンラインスポーツブックメーカーに予測市場への参入を促したためだ。さらに、インターコンチネンタル取引所のようなウォール街の大手企業でさえ、ポリマーケットに投資している。
問題は、予測市場がどこまで拡大できるかだ。カルシの共同創業者兼CEOであるタレク・マンスール氏は、最終的にはあらゆるものに賭けられるようにしたいと述べている。しかし、規制当局、特に予測市場の収益の一部を得るためにこれらの企業を訴えてきた州当局は、この件について何か言うかもしれない。
・・・・・・・・・・

 この記事のポイントは今まで事象の賭け事にすぎなかった予測市場が、金融先物市場のようにリスクヘッジの手段に使えるかもしれないということだ。
 現状は、“賭け市場”の性格がまだまだが強いが、将来的には 先物市場に近い役割を果たす可能性がある、というのがこの記事の示唆だ。

予測市場と先物市場はの違い・共通点
共通点
• どちらも「未来の出来事に対する価格」を売買する。
• 価格は市場参加者の期待を反映する。
• リスクを移転する仕組みを持つ。
違い
    予測市場        先物市場
対象 選挙、天気、スポーツなど 金利、商品、株価など
   なんでも         経済指標
目的 主に投機         ヘッジ(リスク管理)、投機
規制  ギャンブル規制の対象   金融商品として規制対象

予測市場はヘッジに使えるのか?
  予測市場がヘッジになる具体例を示す。
① インフレリスクのヘッジ(KalshiのCPI市場)
株式や債券はインフレに弱い。
しかし予測市場では「CPIが上がる」契約を買うことで、
インフレ上昇時に利益が出る構造を作れる。
→ 債券のインフレリスクを部分的に相殺できる。

② 政策リスクのヘッジ
企業や投資家は政策変更に大きく影響される。
例:
– 「特定の税制改正が可決されるか」
– 「関税が導入されるか」
これらのイベントに対してポジションを取ることで、
政策ショックによる株価下落を補填できる。

③ 気候・天候リスクのヘッジ
農業・エネルギー・観光などは天候に左右される。
例:
– 「今年の降水量が平年より少ない」
– 「気温が平年より高い」
これらはコモディティ先物よりも細かくリスクをヘッジできる。

④ 地政学リスクのヘッジ
株式市場は地政学イベントに弱い。
予測市場では:
– 「制裁が発動されるか」
– 「選挙結果がどうなるか」
– 「紛争が拡大するか」
など、株式市場では直接ヘッジできないリスクを取引できる。

こう見てくると、何んとなく予測市場はヘッジに使えそうだという印象を持つ。以下では、Kalshi(カルシ)で実際にどうやってベットするのか を、できるだけ具体的に見てみよう。

Kalshi は「Yes/No の先物市場」のような仕組みなので、やり方を理解するととてもシンプルだ。以下、Kalshi.comを参照されたい。
Kalshiでベットする流れ(実際の手順イメージ)
以下は一般的な流れで、実際の画面や規制は変わる可能性がある。

① 口座を作る
– メールアドレスを登録
– 本人確認(KYC)を行う
– 米国在住者向けのサービスなので、国籍・居住地によって制限あり
筆者のように日本在住の場合、直接利用は現状難しいが、仕組みを理解すること自体は投資の視野を広げる意味で価値がある。

② 市場(Market)を選ぶ
Kalshi には多様な市場がある。
例:
– 「来月のCPIは3.0%以上か?」
– 「FOMCは次回利上げするか?」
– 「今年の降水量は平年より多いか?」
– 「特定の法案は可決されるか?」
それぞれが Yes/No の二択になっている。

③ Yes か No を選ぶ
市場を開くと、次のような価格が表示されます。
例:
“CPIが3.0%以上になる” → Yes = 0.42ドル、No = 0.58ドル
これは:
– Yes が当たれば 1ドルもらえる
– 今の価格は 0.42ドル
– つまり市場は「42%の確率」と見ている
という意味だ。

④ 購入数量(Contracts)を決める
Kalshiでは「1コントラクト = 最大1ドルのペイアウト」。
例:
Yes を 0.42ドルで 100コントラクト買う
→ コストは 42ドル
→ 当たれば 100ドル
→ 外れれば 0ドル
利益 = 100 – 42 = 58ドル
損失 = 42ドル
非常に明確で、オプションや先物よりも分かりやすい構造だ。

⑤ 満期(イベント発生日)まで保有する or 途中で売却する
Kalshiは「満期前に売買できる」のが特徴だ。
– 市場価格が上がれば途中で売って利益確定
– 下がれば損切りも可能
これは先物市場と同じで、流動性がある限り途中でポジションを閉じられる。

具体例:「来月のCPIが3.0%以上か?」
– 市場を見ると Yes = 0.40、No = 0.60
– 「インフレはやや上がりそう」と感じた投資家は
Yes を 0.40 で 50コントラクト購入
– コストは 20ドル
– 結果が Yes なら 50ドル受け取り
→ 利益30ドル
– 結果が No なら 0ドル
→ 損失20ドル
これは インフレ上昇リスクのヘッジとして機能する。
– 債券が下落する(インフレ上昇)
– しかし Kalshi の Yes ポジションが利益を出す
→ ポートフォリオ全体の変動が緩和される という構造だ。

Kalshiの特徴(他の賭け市場との違い)
– 金融商品としてCFTCに登録されている(米国)
– Yes/No の二択で分かりやすい
– 経済指標・政策・天候など、株式市場ではヘッジできないリスクを扱える
– 満期前に売買できる
– 1コントラクト最大1ドルなのでリスクが限定的(現状はレバレッジを効かせた取引は出来ないようだ)
ということで、「世界の出来事を資産クラスとして扱う」タイプの投資家には、非常に相性が良い仕組みだ。

今後の「予測市場」の発達と日本への波及について注目したい。

2026年1月4日 日曜日