世界の動き 2025年11月18日 火曜日

今日の一言
「ニューヨークのホテル投資」
 昨夜、テレ東(だと思うが)のニュース番組で、森トラストがニューヨークで高級ホテル(確かEquinoxというHudson Yardにある新興ホテル)を5億ドル(確か)で買収するという報道があった。記憶が不確かなのは、珍しく痛飲して帰宅したためだ。
 今朝、詳細を調べようと米国のメディアを調べたが何も報道がない。バブル期の米国不動産投資で懲りた日本勢が、また国際展開を図っているのは確かなようだ。
 当方、ニューヨークの不動案会社で2年勤務した経験あるので、詳細が分かり次第詳報したい。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.トランプ政権と「ドンロー・ドクトリンDonroe Doctrine」
【記事要旨】
– 西半球への強い関心
トランプ政権は2期目冒頭から、パナマ運河の占拠やグリーンランド併合、カナダの州化などを公約し、メキシコ湾を「アメリカ湾」と改名するなど、西半球に強い支配意欲を示した。
– 経済的介入
ブラジルに対して制裁を課し、アルゼンチンには200億ドルの救済策を提供するなど、同盟国への圧力と支援を使い分けている。
– 軍事的存在感
世界最大の空母をベネズエラ近海に派遣し、1万5000人の米軍兵士を駐留させるなど、ラテンアメリカへの軍事的関与を強化している。
– 外交政策の転換
米国の外交は「西半球重視」へと急転換しており、これは「ドンロー・ドクトリン」と呼ばれる。モンロー主義を現代的に再解釈し、西半球を米国の勢力圏とみなす姿勢が強調されている。
– 中国・ロシアとの競合
中国はラテンアメリカで資源投資や市場拡大を進め、ロシアもベネズエラやキューバに拠点を置いている。米国はこれに対抗する形で地域への影響力を強めている。
– ベネズエラ問題
最大の焦点はマドゥロ政権への対応。米国は「麻薬テロリスト排除」を名目に軍事行動を検討しているが、真の目的は隣国支配にあるとの見方もある。両国は緊張状態にあり、戦争の可能性が懸念されている。
【コメント】
「ドンロー・ドクトリン」は、モンロー主義をトランプ流に再構築し、西半球を米国の勢力圏と位置づける政策だ。経済制裁・支援、軍事展開を通じてラテンアメリカへの影響力を強化し、中国・ロシアとの競合を意識している。最大の不確定要素はベネズエラへの軍事介入の有無である。
 信頼できる隣人たるカナダとメキシコとの関係改善なしには、ドンロードクトリンは机上の空論だ。

2.サウジアラビア皇太子、ワシントン再訪
【記事要旨】
 サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は本日、久々にホワイトハウスを訪問する。7年前、サウジアラビア工作員がイスタンブールでワシントン・ポスト紙のコラムニスト、ジャマル・カショギ氏を殺害し、遺体をバラバラにした後、皇太子は一時、国際的なのけ者となった。
 しかし、ここ数年でムハンマド皇太子は、アメリカの政治家や企業のトップが無視できないほどの権力を握るようになった。また、トランプ大統領は、一族がサウジアラビアに重要な事業権益を持つサウジアラビアの温かい友人であることを繰り返し示してきた。
【コメント】
 こうした実利の伴う会談ではトランプは生き生きしている。

其の他の記事
・国連安全保障理事会は、ガザ地区における米国の和平案を支持する決議案の採決を予定している。ロシアはこれに対抗する案を提示している。
・トランプ大統領は方針を転換し、下院共和党は残りのエプスタイン関連ファイルの公開に賛成票を投じるべきだと述べ、「隠すものは何もない」と述べた。
・仮想通貨が主流になりつつある一方で、過去2年間で少なくとも280億ドルの違法行為に関連した資金が仮想通貨取引所に流入している。
・ジェフ・ベゾス氏はAIスタートアップ企業を設立し、共同CEOに就任する。2021年にアマゾンを退社して以来、ベゾス氏が企業で正式に業務執行役を務めるのはこれが初めてとなる。

2025年11月18日 火曜日

世界の動き 2025年11月17日 月曜日

今日の一言
「GDPの1%」
 防衛費の話ではない。
 AIの潜在的リスク(AIは致命的なウイルス拡散や食糧供給破壊など人類に不都合な影響を及ぼす可能性がある)を軽減するためには、「年間GDPの少なくとも1%(約3,000億ドル)」を投じることが正当化されるとスタンフォード大学のチャールズ・ジョーンズ氏は主張している。これは国立科学財団National Science Foundation, NSF予算の30倍以上だ。
 資金は、一流のコンピューター科学者や弁護士・外交官の給与としてつかわれ、国際的なAI規制条約の交渉や、強力な計算能力の確保に使用される。現在は、世界的なAIリスク軽減支出は昨年わずか1億ドル強で、ジョーンズ氏が正当化する額の0.03%に過ぎない。
 財源についても興味深い指摘をしている。 AIとロボットが労働を代替する社会では、所得税から消費税へ、さらに資本(コンピューターやロボット)への課税へと移行する必要があると述べている。
 研究者や思想家は、シンギュラリティ後の未来を複数のシナリオで描いている。
• ユートピア型
o AIが労働を代替し「脱希少性経済」が実現。人間は経済的制約から解放され、芸術・交流・探究に時間を割ける。
o AIが医療・都市設計・政策決定を最適化し、貧困や病気が大幅に減少。
• ディストピア型
o AIが社会的支配を強め、政治・経済の意思決定を独占。人間の自由が制限される。
o サイバー攻撃や兵器開発など、AIが人類に直接的脅威を与える可能性。
o 超知能による格差拡大や「人間の価値の低下」。
• 中間型(共存型)
• AIは効率化を担うが、人間は「非合理性」「身体性」「遊び心」など、AIが模倣しにくい領域で価値を発揮。
• 「無駄」や「偶然の出会い」が新しい文化的資源となり、人間らしさを再評価する社会。
 ジョーンズ氏の指摘は、ディストピア型の社会にならないようにするためには巨額の資金が必要だということだ。目の前にある脅威に対抗するための防衛費3.5%でさえ議論がまとまらないのに、10年単位の未来を見据えた潜在的な脅威に対し1%の予算が必要なのかという議論になるのかは疑問だ。
 「便利な機械」としてのAIを維持するための努力分野については良く議論して方向性を国家的に決めておく必要があるだろう。技術的、制度的、文化的な観点からの議論を深めて行けば、一体いくら資金が必要かという議論につながってゆくことだろう。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.COPブラジル大会の閉幕が近づいて
【記事要旨】
 パリ協定から10年経った。気候変動に関する読者の質問に回答したい。最近、気候変動危機が公の場であまり議論されていない一方で、読者からは多くの関心と質問が寄せられた。国際気候担当記者ソミニ・セングプタが代表的な質問に回答している。
●米国と中国の環境政策の違い
– 米国:豊富な石油・ガス資源を背景に化石燃料依存が強い。
– 中国:資源は少ないが、グリーン転換に必要な鉱物採掘・加工を支配し、再生可能エネルギー設備の製造力を持つ。
– 両国とも経済・安全保障を重視し、エネルギー自立を目指して競争している。
●再生可能エネルギーの持続可能性
– 太陽光や電気自動車はリチウム・コバルトなどの有限な鉱物採掘に依存。
– 採掘は環境・社会的コストを伴うが、法律や規制で被害を最小化できる。
– バッテリーリサイクルは可能だが、現状では率が低く改善が課題。
●個人ができる支援策
– ガソリン車の使用を減らす。
– 食品廃棄を減らす。
– 肉・乳製品の消費を減らす。
– 民主主義国家では投票を通じて意思を反映努力
【コメント】
 京都議定書(1997年12月京都で開催されたCOP3で採択された気候変動枠組条約の議定書。先進各国は2008年~12年の約束期間における温室効果ガスの削減数値目標を決定)の頃は世界をリードしていた日本の姿は、最近では見えない。

2.エプスタイン関連ファイルをめぐる亀裂
【記事要旨】
 マージョリー・テイラー・グリーン下院議員は、長年にわたり議会で最も闘争的な共和党議員の一人であり、トランプ大統領の側近でもあった。しかし、下院が今週、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインに関するファイルを司法省に公開するよう義務付ける法案の採決を控える中、両者の関係は緊張状態にある。
 トランプ大統領は金曜日、グリーン議員との関係を断つと発表し、グリーン議員がエプスタイン議員のファイル処理を批判したことを受け、彼女を「変人」「裏切り者」 “wacky” and a “traitor”と呼んだ。さらに、グリーン議員の議席についても、あからさまな警告を発した。これは、グリーン議員に同調して法案を支持しようと考えている下院共和党議員への公の警告だ。グリーン議員は昨日、インタビューで、依然としてトランプ大統領を支持するものの、譲歩はしないと明言した。
【コメント】
 エプスタインファイルをめぐりトランプは相当追い詰められているが、余裕があるように見えるのは不思議な資質だ。

其の他の記事
・英国は、難民申請者の取り扱いについて、より厳格な新制度を導入した。
・中国は、係争中の島々付近に海警局の艦艇を派遣し、日本に滞在する中国人留学生に安全上のリスクを警告するなど、日本との外交対立を激化させた。
・メキシコ全土の50以上の都市で、政府の汚職と暴力犯罪への対応に対する不満を表明するデモが行われた。
・チリでは、犯罪と移民の取り締まり強化を公約とする候補者が多数を占める大統領選挙が行われ、有権者は投票に向かった。
・職場や自宅で長期間にわたり暑熱にさらされるインドの女性たちは、健康と収入に大きな打撃を受けていると訴えている。

2025年11月17日 月曜日

相場の流れをどう読むか(相場格言)

 米国市場では株価下落の動きが目立ってきた。ついにAIバブルの崩壊を懸念する声が強まっている。本格的なバブルの崩壊につながるのか、それとも健全な調整の過程なのか、見極める時期といえそうだ。

 仮にバブルの崩壊だとしても、最近3回の市場暴落時に、全売却、一部利食い、そのまま保有の3つの戦略がその後どういうリターンをもたらしたかは以下だ。

  代表的な調整局面と戦略の結果
●2000年 ITバブル崩壊
– 全売却:その後の回復(2003年以降)を逃し、長期的な複利効果を失う。
– 部分売却・リバランス:IT株の比率を減らし、他セクターに分散した投資家は損失を抑制。
– 保有継続:AmazonやAppleなど一部の優良企業は大幅に成長し、長期保有者は大きな利益。
●2008年 リーマンショック
– 株価は世界的に50%近く下落。
– 全売却:現金化した投資家は2009年以降の急回復を取り逃がす。
– 部分売却+再投資:リスク資産を減らしつつ、調整後に段階的に再投資した投資家は回復を享受。
– 保有継続:長期投資家は2013年以降の強気相場で大きなリターン。
●2020年 コロナショック
– 日経平均は2月から3月にかけて約30%下落。
– 富裕層投資家の行動:25%が資産を売却した一方、38%が追加投資を実施。結果的に回復局面で利益を拡大。
– 市場全体:デジタル関連や物流施設など構造的に強い分野は急速に回復し、投資を続けた人が優位。

 要すれば、ろうばい売りは避け、長期保有に徹することが基本だということだ。自身のポートフォリオにかなりの利益がある際は、半分は利食いして利益を確定するのが筆者のお勧めだ。

 ただし、高値で売り抜け、底値で買うことは難しい。この辺を日本の相場格言は「鯛の頭と尾っぽは猫にくれてやれ」という。同様の格言が米国にあるかと思い調べてみた。こんな言い方がある。

“Nobody rings a bell at the market bottom.”
 → 誰も底値でベルを鳴らしてくれない。つまり、最安値を完璧に当てることは不可能。
“Bulls make money, bears make money, pigs get slaughtered.”
 → 強気でも弱気でも利益は出せるが、欲張りすぎると痛い目に遭う。頭と尻尾を欲張るな、という教訓。
“The trend is your friend until the end.”
 → トレンドに乗ることが利益につながるが、終わりを見極めるのは難しい。
“Cut your losses short and let your profits run.”
 → 損失は早めに切り、利益は伸ばせ。最安値や最高値を狙うより、流れに従う方が有効。
“The crowd is right during the trend but wrong at both ends.”
 → 群衆はトレンド中は正しいが、天井や底では間違える。

 11月は、米国の機関投資家が来年のポートフォリオ戦略を策定し持ち株を入れ替える時期だ。その点にも注目して11月の後半の相場の動きを注視したい。

2025年11月16日 日曜日

週間市場動向 2025年11月10日~14日 備忘録

【先週の株式市場の動き】
先週(2025年11月第2週)の日本と米国の株式市場は、米国が持ち高調整や半導体関連銘柄への高値警戒感で下落、日本も同様に主力株の一角に調整売りがありました。以下に主要インデックスの終値と週間騰落率をまとめます。​

米国主要インデックス
インデックス 11月8日終値 11月15日終値 週間騰落率
ダウ平均 47,457.22  46,865.71 -1.24%​
NASDAQ 23,527.64  23,280.00前後 -1.05%​
S&P500 6,832.43  6,785.50前後 -0.69%​
米国市場では、週前半にハイテクやAI関連株への利益確定売りが先行し、週末にかけても経済指標やFRB見通しに対する警戒感が続きました。​

日本主要インデックス
インデックス 11月8日終値 11月15日終値 週間騰落率
日経225 50,642.79  50,842.00 +0.39%​
TOPIX 3,298.85  3,359.81 +1.85%​
日本市場は米国市場の流れを受けつつも、決算発表や景気への期待感でしっかりした動きとなり、TOPIX、日経平均ともに前週比プラスとなりました。​

主要インデックス動向まとめ
米国株は主要3指数が週間で下落、特にダウ平均は利益確定売り先行。​
日本株はTOPIX、日経平均とも上昇し、内需株や一部主力株に買いが入りました。​
いずれも週後半に利益確定や調整の動きが強まり、日米ともに市場参加者の警戒感が見られる一週間となりました警戒感が見られる一週間となりました。​

今週(2025年11月第3週)の米国・日本株式市場は、経済指標発表や企業決算に加え、米金融政策や円相場の動向が相場への影響点として注目されます。​

米国市場の見通しと主要イベント
米市場では「利益確定売りが続く健全な調整か、本格的な下落トレンド入りか」を投資家が見極めています。​

重要経済指標の発表予定は「10月消費者物価指数(CPI)」「10月小売売上高」「住宅関連統計」などですが、政府閉鎖の影響で一部延期となる可能性があります。​

11月14日(金)に「米小売売上高」、19日(水)に「米住宅着工件数」、19日(水)深夜には「FOMC議事要旨」などが控えています。​

引き続きAI関連や大型テクノロジー株の調整局面、FRBの利下げ観測が注目されます。​

日本市場の見通しとイベント
日本市場は米株動向や為替が大きな影響要因。主力株への調整売りが続けば日経平均のレンジ下限(4万9500円近辺)を試す展開も想定されます。​

今週は「7-9月期GDP速報値」(11月17日)、「訪日外国人旅行者数」(11月18日)、「機械受注統計」(11月19日)、「消費者物価指数CPI」(11月21日)など重要なマクロ統計が集中します。​

ソフトバンクグループなど決算内容や、円安傾向の継続が日経平均の下支え要因になりうるとの見方です。​

注目点まとめ
米国は物価指標・住宅統計・消費関連のデータ、およびFRBの発言や議事要旨が注目。​

日本はGDP速報値、消費者物価指数、機械受注など景気指標に加え、大型株の決算や為替の動きが注目。​

世界的な金利動向と米国政府の統計発表スケジュールにも注意が必要です。​

投資家は、景気指標の内容や主要企業の業績動向、為替市場のボラティリティに注目し、短期的な市場変動リスクへの対応が求められます。

【今週の見通し】
今週(2025年11月第3週)の米国・日本株式市場は、経済指標発表や企業決算に加え、米金融政策や円相場の動向が相場への影響点として注目されます。​

米国市場の見通しと主要イベント
米市場では「利益確定売りが続く健全な調整か、本格的な下落トレンド入りか」を投資家が見極めています。​

重要経済指標の発表予定は「10月消費者物価指数(CPI)」「10月小売売上高」「住宅関連統計」などですが、政府閉鎖の影響で一部延期となる可能性があります。​

11月14日(金)に「米小売売上高」、19日(水)に「米住宅着工件数」、19日(水)深夜には「FOMC議事要旨」などが控えています。​

引き続きAI関連や大型テクノロジー株の調整局面、FRBの利下げ観測が注目されます。​

日本市場の見通しとイベント
日本市場は米株動向や為替が大きな影響要因。主力株への調整売りが続けば日経平均のレンジ下限(4万9500円近辺)を試す展開も想定されます。​

今週は「7-9月期GDP速報値」(11月17日)、「訪日外国人旅行者数」(11月18日)、「機械受注統計」(11月19日)、「消費者物価指数CPI」(11月21日)など重要なマクロ統計が集中します。​

ソフトバンクグループなど決算内容や、円安傾向の継続が日経平均の下支え要因になりうるとの見方です。​

注目点まとめ
米国は物価指標・住宅統計・消費関連のデータ、およびFRBの発言や議事要旨が注目。​
日本はGDP速報値、消費者物価指数、機械受注など景気指標に加え、大型株の決算や為替の動きが注目。​
世界的な金利動向と米国政府の統計発表スケジュールにも注意が必要です。​
投資家は、景気指標の内容や主要企業の業績動向、為替市場のボラティリティに注目し、短期的な市場変動リスクへの対応が求められます。

【PE市場とプライベートクレジット市場の動向】
2025年11月第3週時点で、PE(プライベートエクイティ)市場とプライベートクレジット市場は、ともに拡大と変革の局面にあります。ただし各市場ごとに課題や注目点が異なります.​

プライベートエクイティ(PE)市場
PE市場は運用資産を拡大し続ける一方で、「出口待ち」の案件が急増し、ファンドの分配遅延や新規ファンドレイズの鈍化が見られています。これは、2024年時点でPEファンドが4年以上保有している企業が1.8万社超と過去最大を更新しているためです。​
2025年は上場企業の非上場化や中小企業の事業承継が積極的に進められ、日本でもオリックスとカタール投資庁による大型PEファンド設立が話題となっています。​
セクターとしては、ノンコア事業のカーブアウト、テクノロジー・エネルギー・インフラ関連分野への投資が増加しています。また、ESG分野への関心の高まりや地政学リスクが投資先選定に影響を与えています。​

プライベートクレジット市場
グローバルのプライベートクレジット市場は、特に米欧を中心に、ここ25年で約40倍へ拡大し2024年末には1.6兆ドル規模に到達しました。​
成長の背景としては銀行規制強化による融資供給縮小を補う役割が大きく、AI・デジタル分野など高成長産業への直接融資が加速しています。​
システミックリスクの観測は現時点で限定的ですが、流動性や利回りに関する投資家の関心が続いており、特にアジア(日本含む)では新規案件やウエイト拡大が続いています。​

2025年11月の注目点と見通し
PE市場は出口環境(IPO、M&A等)が不透明で、資金回収や再投資ペースに課題あり。一方で資産多様化・グローバル展開が広がっています。​
プライベートクレジット市場は、米国を中心に高成長継続が予想され、特に銀行を介さないダイレクトレンディングが成長エンジンとなっています。​

両市場とも、グローバルな資金調達競争、運用リスク管理、規制強化への対応、ESG投資への流入――といったテーマが短中期的な注目領域です。​
このような状況から、PE・プライベートクレジット市場ともに多様化・拡大は続くものの、出口案件や資金流動性、規制変化をめぐる注意が必要となっています変化をめぐる注意が必要となっています。

2025年11月15日 土曜日

世界の動き 2025年11月14日 金曜日

今日の一言
「サンユー建設」
自宅の付近に2つの上場企業の本社がある。一つはアルプス電気、もう一つはサンユー建設だ。
昨日MBOが市場に広まり株価が急騰した。詳細は以下だ。
サンユー建設(証券コード1841)のMBO(マネジメント・バイアウト)が2025年11月12日に正式に発表された。カバロ企画(東京都大田区、同社副社長馬場雄一郎氏が代表)が主体となって、非公開化(上場廃止)を目的にTOB(株式公開買付け)を実施する.
・公開買付け(TOB)の概要
買付価格は1株あたり1,600円で、直近終値(1,250円)に対し約28~40%のプレミアムだ。
買付期間は2025年11月13日から12月25日までの30営業日.
買付予定株数は2,059,981株、下限は所有割合29.36%(957,500株).
公開買付代理人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、復代理人は三菱UFJ eスマート証券.
・経営陣と創業家の構図
カバロ企画はサンユー建設の創業家一族の資産管理会社
TOBが成立した後、サンユー建設株は上場廃止となる予定で、創業家や資産管理会社などはTOBに応募しない.
TOB成立後は株式交換が行われ、カバロ企画がサンユー建設の全株式を取得、創業家がカバロ企画株を持つ構図になる.
・MBOの目的・背景
上場維持コストの削減.
短期業績や株式市場の評価に左右されない迅速かつ柔軟な経営判断、機動的な経営資源配分の実現.
中長期的視点で企業価値の向上、新規事業開拓や組織改革の推進を目指す.
・その他
サンユー建設は本MBOに賛同しており、株主にTOB応募を推奨している.
MBO発表後、東京証券取引所から監理銘柄(確認中)に指定されている.
建築、不動産、金属製品、ホテルなど多角的な事業展開を行っている企業.
最新情報をもとにすると、サンユー建設の今後は非公開化・上場廃止決定後、創業家主導の経営体制が再構築される見通しだ.
【コメント】
年商100億円程度で自己資本比率が80%近い上場企業で、上場している意味は少ない。知名度の向上と人材の確保といったメリットよりも、上場に伴うディスクロージャやコンプライアンスコストのデメリットが大きくなっていたのだろう。自宅近くの上場企業の半分がなくなるのは少し寂しい。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.文化的貧困と孤独な男たち
【記事要旨】
ブッカー賞を受賞したデイヴィッド・サレイの小説『フレッシュ』 “Flesh” by David Szalay は、文化的・道徳的に疎外された現代の男性像を描いた冷たく厳粛な作品である。主人公はハンガリー出身の孤独な青年で、ロンドンで運転手として働きながら上流階級に入り込むが、友情も尊敬もない世界で空虚さを抱えて生きる。
●主なテーマと論点
– 文化的貧困と孤独:主人公は物質的には成功するが、精神的・文化的な空白を抱えている。
– 男らしさの危機:現代社会における若い男性の疎外感や道徳的支柱の欠如が描かれる。
– 非道徳的な世界観:登場人物に尊敬すべき存在はなく、教育や育ちが人間性を高めるという希望もない。
– 移民と根なし感:主人公の孤独は移民であることに加え、文化的な繋がりの欠如から来る。
– 世代間の視点:安定した家庭環境の有無が若者の精神形成に大きく影響すると語られる。
●文学界への視点
– 若い女性作家の台頭は歓迎されるが、男性の疎外感を描く作家の声も重要である。
– 『フレッシュ』は読むのに覚悟が必要な作品だが、深い洞察を与える。
– 読後におすすめの、より気軽に読める作品としてイアン・マキューアン Ian McEwanの『What We Can Know』が挙げられている。
【コメント】
一風変わった書評のような記事だ。『Flesh』というタイトルは、主人公の人生を通じて描かれる「身体を通じた存在の実感」や「言葉にならない感情の表現」を象徴するものであり、現代文学における沈黙と感覚の力を強く示しているようだ。

2.パキスタンは巨額支出でトランプ大統領に取り入る
【記事要旨】
パキスタンは、トランプ政権とのこれまで険悪だった関係を好転させた。これはイスラマバードの巧みな外交戦略によるものとされている。
パキスタンは今春、ワシントンの著名なロビー活動会社と一連の高額契約を締結した。ホワイトハウスがパキスタンに有利な新政策を発表したわずか数週間前のことだ。この政策により、パキスタンは世界有数の関税率を実現し、最大のライバルであるインドに対して優位に立つことができた。
トランプ大統領に影響を与えるための、この作戦には首相側近数名が起用されたという。
【コメント】
パキスタンの現在の首相はシャリフ氏だ。2024年3月、パキスタン議会は「イスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)」のシャバズ・シャリフ前首相を首相に再選した。シャリフ氏は下院での投票で201票を獲得。過半数の169票を超え、首相に選ばれた。一方、若者から強い支持がある服役中のイムラン・カーン元首相が率いる「パキスタン正義運動(PTI)」が推していた対立候補のオマル・アユーブ氏は92票を獲得した。
カーン氏の逮捕をめぐって混乱していたパキスタンの政治は現状は小康状態のようだ。

其の他の記事
・トランプ大統領は政府再開のための歳出法案に署名し、米国史上最長の閉鎖に終止符を打った。
・フランスは、130人が死亡、500人以上が負傷した2015年のパリ同時多発テロ事件の10周年を記念した。
・ロシアが戦略都市ポクロフスクの制圧目前となる中、ウクライナ軍の司令官らは、ウクライナが都市を必要以上に長く掌握している可能性があると指摘している。
・イスラエル人入植者は、占領地ヨルダン川西岸で過激派による暴力が激化する中、モスクを焼き払った。
・イラクのモハメド・アル=スーダニ首相は、同国の総選挙でリードしているように見えたが、得票率は政権樹立に必要な票数には届かない可能性がある。
・シリアの元治安当局者は、長年にわたりヨーロッパで人目につく場所で生活していた後、拷問の罪で起訴された。

2025年11月14日 金曜日