週間株式市場動向 2025年11月17日から21日 備忘録

【週間市場動向】
 米国株式市場と日本株式市場は、11月17日から21日にかけてともに調整局面となりました。以下に主要インデックスの終値と週間騰落率を示します.​

米国主要指数の動き
ダウ平均  終値: 45,808.65(11月21日)週間騰落率: 約-1.53%​
S&P500  終値: 6,672.41(11月21日) 週間騰落率: 約-1.11%​
NASDAQ総合  終値: 22,708.07(11月21日)週間騰落率: 約-2.12%​

 米国市場は週初から企業決算、FRB議事要旨、政府再開期待などが交錯する中、AI・テック銘柄のバリュエーション懸念が響き、全体的に乱高下し軟調推移となりました。​

日本株主要指数の動き
日経平均株価  終値: 48,282.39(11月21日)週間騰落率: 約-4.06%(週初50,323.91→週末48,282.39)​
TOPIX  終値: 3,347.53(11月21日)週間騰落率: 約-0.86%
(週初3,376.49→週末3,347.53)​

 日本市場でも米国株安や国内GDPの弱さ、地政学リスクなどが嫌気され急落。特に日経平均は50,000円台割れとなり、投資家心理に不安が広がりました。​

市場の背景
 米国は主要テック株の調整や年末利下げ観測の後退が重石となりました。​
 日本は経済指標の悪化や海外株安を受け、ハイテク・主力株が連鎖的に売られました。​
 この期間は世界的にリスクオフの動きが強まり株価は広範囲で反落しました。
 日本株でも、トヨタや三菱商事は値上がりしていおり、Buy the Bestという考えは有効だと思われます。

【今週の見通し】
 今週(11月22日週)の市場動向は、米国・日本ともに引き続き高い不安定性と短期反発が注目されます。特にFRBの利下げ観測や雇用統計などの経済イベントが、主要な注目材料となっています。​

米国市場の見通し・注目イベント
 先週末は、FRBの12月利下げ期待が再び高まり、市場は大きく反発しましたが、テクノロジー株(特にAI・半導体関連)のバリュエーションへの警戒感が強いままです。​

今週の注目点
・FRB関係者の発言やFOMC議事要旨
・11月主要経済指標(耐久財受注、新規失業保険申請件数など)の発表​
・企業決算の続報とAI・半導体分野の動向(Nvidia など)
投資家は年内利下げの有無、インフレ減速の持続性を注視しています。​

日本市場の見通し・注目イベント
 日経平均 は先週50,000円台割れとなり、ボラティリティが高まっています。米国市場の動向に引きずられる展開が続く見込みです。​

今週の注目点
・米国経済指標、円相場の動向
・国内11月消費者物価(CPI)や企業決算
・政治リスクや地政学的要因(中国関連含む)​
 日銀の政策修正や出口議論も引き続き投資家心理に影響しやすい見通しです。

主要経済イベント(今週)
日付  イベント
11/25-26 米国耐久財受注・新築住宅販売
11/27 米国GDP改定値
11/28 米国新規失業保険申請件数、個人消費支出
11/29 日本消費者物価(東京都区部)、失業率
特に米国のインフレ関係指標と雇用関連データが市場の金利観測に直結しやすく、ボラティリティ継続に注意が必要です。​

 総じて、市場は“短期的反発と中期的な警戒感の綱引き”が続く構図となっており、イベント主導型の値動きに警戒感が強い一週間と見込まれます。​

【金利と為替】
 2025年11月下旬、日本では金利高と円安が急速に進行しています。一方、米国では利下げ観測が一時高まったものの、金利政策の先行きは不透明な状況です。以下に金利と為替の動きを詳しく説明します。

日本の金利高と円安の背景
 日本の長期金利(10年国債利回り)は2025年11月に1.8%台まで上昇し、2008年6月以来、約17年半ぶりの高水準となりました。この上昇は、高市政権による大規模な経済対策や財政悪化懸念、日銀の利上げ期待が背景にあります。​​
 政府の積極財政政策(総合経済対策の規模拡大)が市場の財政悪化懸念を強め、国債の売りが加速しました。また、日銀の利上げ期待が高まり、金利上昇圧力が強まっています。​
 金利上昇は円安を加速させる要因となり、1ドル=156円台まで円安が進行しました。これは2025年1月以来の水準です。円安は対ユーロでも進行し、1ユーロ=180円台後半で推移しています。​

米国の金利動向
 米国では10月にFRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利を0.25ポイント引き下げ、3.75~4.00%にしました。12月の追加利下げ観測が高まっていますが、FRB議長や関係者の発言に温度差があり、利下げの有無は不透明です。​
 12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で追加利下げが実施される確率は約60%とされていますが、インフレ懸念や雇用市場の動向によって利下げ観測が後退する可能性もあります。​
 米国長期金利(10年国債利回り)は4.09%前後で推移しています。FRBの利下げ観測が高まると金利は低下し、逆に利下げ観測が後退すると金利は上昇しています。​

金利差と為替の関係
 日米の金利差が縮小する見通しはありますが、日銀の利上げが限定的で、米国の利下げペースも不透明なため、金利差がすぐに縮小するとは考えにくい状況です。​
 金利差が縮小しない限り、円安ドル高の基調は続く可能性が高いです。高市政権下で円安圧力がかかり続け、年内に160円を試す展開も十分ありうると予想されています。​
 ただし、為替介入の可能性も高まっており、162円を超えると当局の介入が予想されています。​

今後の見通し
 日本の金利高と円安は、政府の財政政策や日銀の金融政策運営に大きく影響されます。高市政権の積極財政政策が継続する限り、金利上昇と円安圧力は続く見通しです。​
 米国ではFRBの利下げ観測が高まっていますが、インフレ懸念や雇用市場の動向によって利下げ観測が後退する可能性もあります。金利政策の先行きは不透明な状況です。​

【PE市場、プライベートクレジット市場】
 PE市場(プライベートエクイティ)では引き続き流動性制約と分配の鈍化、セカンダリーマーケット活況といった傾向が鮮明です。プライベートクレジット市場(未上場企業向け直接貸付資金)については、その拡大ペースやリスク構造が「ゴキブリのような危険」、つまり表面化しにくい潜在リスクが集積するとの懸念も議論されています。​

プライベートエクイティ(PE)市場
 PE市場は2025年も取引数自体は回復傾向ですが、古いファンド資産の分配遅れ(「流動性クランチ」)が続き、配当/資産回収を重視する投資家ニーズが顕在化しています。​
 セカンダリー取引やオルタナティブ戦略への資金流入が続く一方、運用側は「キャッシュリターン重視」や「専門領域へのシフト」といったプレッシャーの下でディール選別が一段と厳格化しています。​

プライベートクレジット市場の動向とリスク
 世界のプライベートクレジット市場は2024年の2.1兆ドルから2030年には4.5兆ドルへの拡大予測があり、その資金流入と需要増を背景に貸出競争・スプレッド圧縮が加速しています。​
 一方で「ゴキブリ・リスク」――すなわち可視化しにくい債務条件の緩みや、リスク移転の連鎖が発生しています。代表例が「bad PIKs(支払繰延型利息の質的悪化)」など、表面上は無事に見えても債務者の返済能力悪化の兆候が増えています。​
 危険視される理由は
・情報開示・規制が銀行など公的部門より緩い
・「ハイイールド・ローン」的な高金利案件の増加
・強気過ぎるレバレッジ(借入倍率)
・マーケット規模拡大に伴い全体の質が低下しやすい
といった構造要因に加え、市場ショック時に一斉にリスクが顕在化しやすい点が挙げられます。​

暗部リスクの評価
 近時のプライベートクレジット市場では、延滞やローン条件の緩和(PIK増加など)を示すデータが蓄積されつつありますが、依然としてクーポン水準の高さ(8〜12%)、流動性供給策の多様化もあり「今すぐクラッシュ」には直結していません。​
 しかし「リスクに見合うプレミアムがあるうちは良いものの、市場ストレスや大型倒産時には一気に可視化するゴキブリ・リスクとなりうる」ため、規制当局や大手資産家も慎重姿勢を示しています。​
 総じて、プライベートクレジットの魅力と表裏一体で「見えにくい脆弱性」を警戒する声が増えているのが現状です。運用選別・情報精査の徹底と、マクロショック時のストレスシナリオ分析が一段と重要です。​

2025年11月22日 土曜日
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世界の動き 2025年11月21日 金曜日

今日の一言
「NVIDIAの決算」
 昨日NVIDIAが第三四半期の決算を発表した。AI相場を持ち直す好決算だった。
 業績は以下のとおりだ。
・前四半期の利益は319億ドル、売上は570億ドルで予想を上回る。
・今期の売上見通しは650億ドルと強気。
・ 来年までにBlackwell・Rubinチップで5000億ドルの販売契約を確保。
 Nvidiaの好決算を受け、世界の株式市場が上昇した。S&P500先物やNvidia株、AI関連株(CoreWeave、Nebius、Oracle)も反発した。 VIX(恐怖指数)は低下、暗号資産も回復傾向だ。
 CEOの発言が注目された。
 ジェンスン・ファンは「AIバブルではなく、実需がある」と強調し、サプライチェーン強化により、Blackwellチップの旺盛な需要に対応可能と説明した。
 特に “There’s been a lot of talk about an A.I. bubble, From our vantage point, we see something very different.” 「AIバブルについては盛んに議論されています。私たちの視点から見ると、全く異なるものが見えています。」というファン社長の発言は、それはそうなのだろうなと納得感をもって私は受け止めた。
 ただ、課題と懸念は残る。
 AIプロジェクトの約9割がNvidia製品に依存する一方、Google・Amazon・Meta・Microsoftは自社チップ開発を進めて依存度低下を模索している。 OpenAI、Mistral、Anthropicなどへの巨額出資(が「AIエコシステム強化」か「顧客囲い込み目的(資金還流)」か疑問視されている。
 今が利食いの時期であることは間違いないと思う。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.素晴らしい新世界?
【記事要旨】
・思想の自由の歴史的懸念
19世紀の民謡「Die Gedanken Sind Frei(思考は自由)」に象徴されるように、人間の心をコントロールされる恐怖は古くから存在。冷戦期にはソ連やCIAによるマインドコントロール技術への不安が広がった。
・現代の技術:ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)
脳表面に装着する小型デバイスが神経活動を読み取り、AIと連携して人の意図や動作を再構築。Neuralinkなどが実用化を進め、麻痺や疾患で失われた機能を回復させる事例が報告されている。
・応用例
– 患者が再び手を動かす、タイピングする、話すことが可能に。
– 過去の声をアルゴリズムで再現し、本人の思考を「声」として表現する事例もある。
・懸念点
– 思考や心という最も親密な領域へのアクセスが、商業的・政治的に悪用される可能性。
– プライバシーの限界を超えるため、倫理・法律・哲学的な議論が不可欠。
・思考の操作可能性
– 脳深部刺激療法で行動が変化する事例があり、脳操作による行動変容は可能。
– 光遺伝学ではマウスに偽の記憶を植え付ける実験が成功。人間への応用も理論的には否定されていない。
・ニューロプライバシー
脳活動や未言語化の思考をどこまで「プライバシー」として保護すべきかが議論されている。神経データは既存の個人情報と重なり、広範な規制が必要になる可能性がある。
・法的対応
米国の一部州やチリ・スペインなどで神経データ保護法が議論・制定されつつある。現状では健常者が合法的にインプラントを入手する方法はなく、議論はまだ初期段階。
【コメント】
 BCIは失われた機能を回復させる革命的技術である一方、思考や心の自由を脅かす可能性を秘めている。ニューロプライバシーをどう定義し、法的・倫理的に守るかが「素晴らしい新世界」への分岐点となる。「技術の進歩が人間の自由の境界をどう変えるか」という根源的な問いそのものだ。日本ではこの議論がどう展開してゆくのだろうか。

其の他の記事
・トランプ大統領とニューヨーク市次期市長のゾーラン・マムダニ氏は激しく非難し合っている。本日、両者はホワイトハウスで会談する予定だ。
・イランは、国際的な核査察再開に関する合意から離脱すると発表した。
・サウジアラビアの皇太子は米国に1兆ドルを投資すると約束したが、同国の政府系ファンドの資金は底をついている。
・ブラジルで開催されていた気候変動会議で火災が発生し、数千人の外交官、ジャーナリスト、活動家が集まっていた会議参加者は避難した。
・米国は今週末、ヨハネスブルグで開催されるG20サミットへの参加する。トランプ大統領の同サミットへのボイコット表明から方針転換した。
・エヌビディアの好決算は、AIブームに対する投資家の懸念を和らげたが、あるアナリストは「バブルへの懸念を一日延ばしただけかもしれない」と指摘した。
・インドネシアでスメル山が噴火し、村々に灰が降り注ぎ、数百人が家から避難を余儀なくされた。

特集記事(高市首相の服装について)
 日本の首相の象徴的なハンドバッグ
— 先週私が取り上げた著名な女性リーダーたちの中で、ハンドバッグを日常的に持ち歩いているのはただ一人、日本の高市早苗氏だけです。彼女の特大サイズの「グレース・ディライト・トート」は、ハンドバッグを愛用していた憧れのマーガレット・サッチャー氏へのオマージュです。私たちのチーフファッション評論家、ヴァネッサ・フリードマンが、自分の持ち物を持ち歩くことの記号学を解説します。

2025年11月21日 金曜日

世界の動き 2025年11月20日 木曜日

今日の一言
「日本の株式市場の脆弱性」
 AIバブルがはじけるかどうかひやひやしている投資家が多いだろう。米国で株式市場の崩落が起きたら、日本市場がどう反応するか見ておくのはリスク管理として必要だ。

 筆者は2度、株式市場の崩壊を経験した。一つはドットコムバブルの崩壊と、もう一つはサブプライム危機だ。それぞれの危機で米国市場と日本企業はどれだけ値下がりしたか見てみよう。

 • ドットコムバブル崩壊(2000〜2002)
  米国ダウ平均:ピークから約 –37% 下落
  日経225:2000年初頭から2003年にかけて約 –63% 下落
 • サブプライム危機(2007〜2009)
  米国ダウ平均:2007年高値から2009年安値まで約 –54% 下落
  日経225:2007年高値から2009年安値まで約 –61% 下落

 いずれも日本に原因がなく、特にサブプライムでは日本の金融機関の被害は米国に比べ極めて少ないのに株価の下落は日本のほうが大きかった。

 日本市場が米国以上に下落する理由は何だろうか。以下の要因が考えられる。
1. 構造的な弱さ
  日本は2000年代初頭には不良債権処理が長引き、金融システムへの信頼が脆弱でした。
  外部ショックに対して「自力で反発する力」が米国より弱かったため、下落が深くなりやすい。
2. 外資依存度の高さ
  日本株は海外投資家の売買比率が高く、米国発ショックの際に「連鎖売り」が起きやすい。
  米国市場が下がると、リスク回避で日本株が一斉に売られる構造。
3. 成長期待の差
  米国はITや金融で「次の成長物語」があり、回復も比較的早かった。
  日本は当時「失われた10年」の延長線上で、投資家心理が弱く、下落が長期化した。

  仮に「AIバブル崩壊」が起きた場合どうなるか予想したい。
• 米国市場
  AI関連株の中心は米国(NVIDIA、Microsoft、Googleなど)。
 バブル崩壊の直接的な打撃は米国が最も大きい。
 ただし米国は依然として多様な産業構造を持ち、他分野が「ショック吸収材」になり得る。
• 日本市場
 日本はAI関連の「本丸」ではないが、半導体製造装置や素材などサプライチェーンで米国に強く依存している。
 米国株が急落すれば、外資の資金引き揚げで日本株は連動して大きく下落しやすい。
 成長期待が米国より弱いため、「本家よりも下落率が大きくなる」可能性は高い。

  要すれば、
• 日本市場は「自国要因が少なくても、外資依存と成長期待の弱さ」で米国以上に下落しやすい。
• AIバブル崩壊が起きれば、米国が直接的な打撃を受ける一方、日本は「外資の売り」と「成長期待の脆弱さ」で再び大きな下落を経験する可能性がある。ということが言えるだろう。
 高市トレード効果が剥落する前に、利食いを強く勧めたい。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.欧州のテロ問題はどうなったのか
【記事要旨】
 ヨーロッパのテロ問題の要約
●過去の状況
– 2015〜2017年にかけて、バタクラン劇場、シャルリー・エブド、ニース、ベルリン、マンチェスターなどで大規模なイスラム過激派テロが頻発。
– 一度に数十人を殺害するような大規模攻撃が「日常化」していた。
●変化と衰退の理由
– ISISの崩壊:2017年までにシリア・イラクで領土と「カリフ制」の物語を失い、訓練拠点が消滅。
– 治安機関の強化:フランスでは過去10年で85件の攻撃を阻止。監視・摘発能力が向上。
– 都市の防御:ボラードなど物理的障害物の設置により車両突入型攻撃が困難化。
●動機に関する議論
– ジル・ケペルの見解:「アンビエント・ジハード主義ambient jihadism」=大規模攻撃は減ったが、オンライン上に潜在的脅威が拡散。
– オリヴィエ・ロイの見解:「過激主義のイスラム化the Islamization of radicalism」=移民2世の若者が不満の表現手段としてイスラムを選んだだけで、世代交代により衰退。
– 両者の理論は補完的であり、脅威は減少しつつも依然存在。
●現在の特徴
– 攻撃は小規模化し、失敗に終わることも多い。
– 実行者は10代の若者が中心で、イデオロギー色が薄く、学校銃乱射犯と区別が難しい。
– 動機はニヒリズムや心理的脆弱性、オンライン・サブカルチャーに根ざす。
●新たな懸念
– 小規模攻撃でも極右過激主義を刺激し、社会分断を助長。
– 「インターネット上のボラード」=過激化防止の仕組みが必要だが、テクノロジー企業は逆に防御策を弱めている。
●まとめ
 ヨーロッパのテロは、かつての大規模・組織的なイスラム過激派攻撃から、小規模で非イデオロギー的な若者による事件へと変化した。ISISの崩壊や治安強化で脅威は減少したが、オンライン過激化や極右の台頭など新たなリスクが残っている。
【コメント】
 日本では幸いイスラム過激派のテロは考えにくいが、オウム真理教のような狂信テロは起こりうるだろう。我が国のテロ対策はどうなっているのだろうか。

2.ロシア軍によるアパートへの攻撃で死傷者
【記事要旨】
 ロシアは昨日、ウクライナ西部テルノピリの住宅にミサイルとドローンによる集中攻撃を仕掛けた。ウクライナ緊急当局によると、少なくとも25人が死亡、約73人が負傷した。ロシア軍のミサイルが同市内の住宅に着弾したのは初めてだ。
 今回の攻撃は、ウクライナのゼレンスキー大統領がトルコでの会談で和平交渉再開を模索していたさなかに発生した。ウクライナ高官は、トランプ大統領のウィトコフ特使とロシア当局が、ウクライナに相談することなく戦争終結に向けた提案を準備していると述べた。
 汚職:ゼレンスキー大統領は、数百万ドル規模の賄賂スキャンダルに巻き込まれており、側近数名が関与している。
【コメント】
 休戦の「ディール」を早くまとめてください。トランプ大統領とウィトコフ特使の不動産ブラザース。

其の他の記事
・イスラエルはガザ地区への攻撃を開始し、少なくとも25人が死亡した。その前日には、レバノン南部のパレスチナ難民キャンプへのイスラエルの攻撃で、少なくとも13人が死亡した。
・世界で最も時価総額の高い企業であるNVIDIAは、最新の四半期決算を発表し、AIブームの現状を明らかにする。これは株式市場の不安を和らげる可能性もあるが、悪化させる可能性もある。
・ラリー・サマーズ前財務長官は、ジェフリー・エプスタインとのやり取りを示す電子メールが議会で公開されたことを受け、OpenAIの理事を辞任した。
・ミス・ユニバース大会では、審査員2人が辞任した。主催者が公の場で出場者を非難したことを受け、ミスコンを揺るがした2件目のスキャンダルとなった。

2025年11月20日 木曜日

世界の動き 2025年11月19日 水曜日

今日の一言
「ポリティカル・リスク」
日中関係の緊張で、中国人客の減少が予想される大手デパートや化粧品会社の株価の下落が大きく報じられていた。
もう一つあった。FOOD & LIFE COMPANIESは、国内外でスシローを中心とした寿司チェーンを展開し、当期(2005年9月期)は売上収益4,295億円(前期比19.0%増)、営業利益360億円(同54.4%増)と過去最高を更新した。特に海外事業(特に中国)が好調で、売上42.6%増、利益126.9%増と大きく成長した。株価は11月前半は8000円を超えていた。ここまでは17日までの話だ。
高市首相答弁への中国の猛反発を受けて、株価は一挙に6000円台に急落した。中国の店舗が石を投げられるような事態になれば一層の株価下落は避けられまい。まさにポリティカル・リスクが顕在化する事象だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.鉛に覆われた町
【記事要旨】
– 健康被害の深刻さ
ナイジェリア・オギジョOgijoでは、自動車バッテリーのリサイクル工場から発生する鉛粉塵が町全体に広がり、住民は呼吸や接触を通じて鉛を体内に取り込み、脳や神経系に深刻な障害を受けている。特に幼児は不可逆的な脳損傷の危険にさらされている。
– 調査結果
住民70名の血液検査で7割が有害な鉛濃度を示した。リサイクルされた鉛は米国大手バッテリーメーカーにも供給されており、グローバルなサプライチェーンの一部となっている。
– 構造的問題
・裕福な国々では厳しい規制により鉛汚染が抑制される一方、規制の緩い国へ生産が移転。
・仲介業者に依存する仕組みのため、メーカーは鉛の安全性を十分に確認できず、責任の所在が曖昧。
・「安く済ませる」インセンティブが強く、環境対策を行う企業は競争に敗れ、廃業に追い込まれる。
– 他業界との共通性
違法伐採、労働弾圧、児童労働など、他の産業でも同様にサプライチェーンの奥深くで不正や人権侵害が隠されている。
– 本質的な問題
サプライチェーンが複雑化し、消費者や企業から見えない部分で「安さ」が優先される結果、環境破壊や健康被害が放置される。鉛汚染はその典型例であり、グローバル経済の構造的な矛盾を映し出している。
【コメント】
サプライチェーンでのESG強化は、言うほど簡単じゃないという警鐘記事だ。

2.米国議会、エプスタイン関連ファイルの公開に賛成
【記事要旨】
下院は、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインの捜査に関連するすべてのファイルを司法省が公開するよう命じる法案を圧倒的多数で可決した。
一部の共和党議員は、これらの文書を「でっちあげ」だと一蹴したトランプ大統領の怒りを買うことを恐れ、数ヶ月にわたって採決を阻止しようと動いていた。しかし、トランプ大統領は後に態度を翻し、議員たちに法案への支持を促した。トランプ大統領には議会の承認なしにファイルを公開する権限がある。では、なぜそうしないのだろうか?
【コメント】
数々の修羅場を潜り抜けたトランプは、窮地に陥っても悠然としている。そこが岩盤支持層が支持し続ける理由だろう。

3.トランプ大統領、殺害事件でサルマン皇太子を擁護
【記事要旨】
トランプ大統領は昨日、ホワイトハウスでサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子MBSを称賛し、2018年にワシントン・ポスト紙の記者ジャマル・カショギ氏が殺害され、遺体が切断された事件に関する記者の質問には答えなかった。「よくあることだ」とトランプ大統領は述べた。
カショギ氏がイスタンブールのサウジアラビア大使館で殺害されて以来、米国を訪れていなかった皇太子にとって、今回の訪問は外交面での目覚ましい転換となった。トランプ大統領は月曜日、中国と安全保障上のパートナーシップを結んでいる同盟国へのF-35戦闘機の技術売却に伴うリスクを懸念しながらも、サウジアラビアへのF-35戦闘機売却の意向を表明した。
【コメント】
この二人はとてもウマが合いそうだ。

其の他の記事
・ウクライナのゼレンスキー大統領は、本日トルコを訪問し、ロシアとの和平交渉を活発化させようとしていると述べた。
・Googleは新しいAIモデル「Gemini 3」を発表し、OpenAIやAnthropicとの競争を激化させた。
・元財務長官でハーバード大学学長のラリー・サマーズ氏は、ジェフリー・エプスタインとの関係が新たに明らかになったため、公の場での発言を控えると述べた。
・国連安全保障理事会はトランプ大統領のガザ計画を承認したが、前途は依然として厳しい。数百人のガザ住民が謎の飛行機で南アフリカに到着し、同国政府を驚かせた。
・メトロポリタン美術館は、朝鮮戦争中に米軍が奪取したとみられる227年前の仏像を返還した。

2025年11月19日 水曜日

世界の動き 2025年11月18日 火曜日

今日の一言
「ニューヨークのホテル投資」
 昨夜、テレ東(だと思うが)のニュース番組で、森トラストがニューヨークで高級ホテル(確かEquinoxというHudson Yardにある新興ホテル)を5億ドル(確か)で買収するという報道があった。記憶が不確かなのは、珍しく痛飲して帰宅したためだ。
 今朝、詳細を調べようと米国のメディアを調べたが何も報道がない。バブル期の米国不動産投資で懲りた日本勢が、また国際展開を図っているのは確かなようだ。
 当方、ニューヨークの不動案会社で2年勤務した経験あるので、詳細が分かり次第詳報したい。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.トランプ政権と「ドンロー・ドクトリンDonroe Doctrine」
【記事要旨】
– 西半球への強い関心
トランプ政権は2期目冒頭から、パナマ運河の占拠やグリーンランド併合、カナダの州化などを公約し、メキシコ湾を「アメリカ湾」と改名するなど、西半球に強い支配意欲を示した。
– 経済的介入
ブラジルに対して制裁を課し、アルゼンチンには200億ドルの救済策を提供するなど、同盟国への圧力と支援を使い分けている。
– 軍事的存在感
世界最大の空母をベネズエラ近海に派遣し、1万5000人の米軍兵士を駐留させるなど、ラテンアメリカへの軍事的関与を強化している。
– 外交政策の転換
米国の外交は「西半球重視」へと急転換しており、これは「ドンロー・ドクトリン」と呼ばれる。モンロー主義を現代的に再解釈し、西半球を米国の勢力圏とみなす姿勢が強調されている。
– 中国・ロシアとの競合
中国はラテンアメリカで資源投資や市場拡大を進め、ロシアもベネズエラやキューバに拠点を置いている。米国はこれに対抗する形で地域への影響力を強めている。
– ベネズエラ問題
最大の焦点はマドゥロ政権への対応。米国は「麻薬テロリスト排除」を名目に軍事行動を検討しているが、真の目的は隣国支配にあるとの見方もある。両国は緊張状態にあり、戦争の可能性が懸念されている。
【コメント】
「ドンロー・ドクトリン」は、モンロー主義をトランプ流に再構築し、西半球を米国の勢力圏と位置づける政策だ。経済制裁・支援、軍事展開を通じてラテンアメリカへの影響力を強化し、中国・ロシアとの競合を意識している。最大の不確定要素はベネズエラへの軍事介入の有無である。
 信頼できる隣人たるカナダとメキシコとの関係改善なしには、ドンロードクトリンは机上の空論だ。

2.サウジアラビア皇太子、ワシントン再訪
【記事要旨】
 サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は本日、久々にホワイトハウスを訪問する。7年前、サウジアラビア工作員がイスタンブールでワシントン・ポスト紙のコラムニスト、ジャマル・カショギ氏を殺害し、遺体をバラバラにした後、皇太子は一時、国際的なのけ者となった。
 しかし、ここ数年でムハンマド皇太子は、アメリカの政治家や企業のトップが無視できないほどの権力を握るようになった。また、トランプ大統領は、一族がサウジアラビアに重要な事業権益を持つサウジアラビアの温かい友人であることを繰り返し示してきた。
【コメント】
 こうした実利の伴う会談ではトランプは生き生きしている。

其の他の記事
・国連安全保障理事会は、ガザ地区における米国の和平案を支持する決議案の採決を予定している。ロシアはこれに対抗する案を提示している。
・トランプ大統領は方針を転換し、下院共和党は残りのエプスタイン関連ファイルの公開に賛成票を投じるべきだと述べ、「隠すものは何もない」と述べた。
・仮想通貨が主流になりつつある一方で、過去2年間で少なくとも280億ドルの違法行為に関連した資金が仮想通貨取引所に流入している。
・ジェフ・ベゾス氏はAIスタートアップ企業を設立し、共同CEOに就任する。2021年にアマゾンを退社して以来、ベゾス氏が企業で正式に業務執行役を務めるのはこれが初めてとなる。

2025年11月18日 火曜日