週間市場動向 2026年1月12日から16日 備忘録

【米国市場】
1月12日から16日の米国株式市場は、指数ベースでは「高値圏での小幅な上下動」でしたが、個別では決算発表と半導体関連ニュースを中心に物色が進みました。​

全体観:高値圏でのもみ合い
S&P500とナスダックは週を通じて史上最高値近辺で推移しつつ、週トータルではわずかに反落しました(S&P500は週間で約0.4%安、ナスダックは約0.7%安)。
​ 一方、小型株のラッセル2000は堅調で、週間では約2%上昇し、連日で過去最高値を更新する場面がありました。

週を通じた主なテーマ
決算シーズン入り:
大手行(ゴールドマン、モルガン・スタンレー)と一部地域銀行の四半期決算が相次ぎ、好決算組は急騰する一方、予想未達の銀行株は下落するなど、銘柄間の明暗が分かれました。

AI・半導体関連への期待:
TSMCの「記録的な四半期」と積極的な設備投資計画が、米国上場の半導体・半導体製造装置株へ波及し、AI関連株に再度資金が向かいました。

マクロ要因:
週間新規失業保険申請件数の予想外の低下などを受け、労働市場の底堅さが意識され、米長期金利はやや上昇、ドル高気味で推移しましたが、株式全体への圧迫は限定的でした。

投資家センチメントの整理
インデックスレベルでは「高値警戒感からの利益確定売り」と「好決算・AI期待による押し目買い」が拮抗している状態でした。

セクターでは半導体・AI関連と一部銀行を中心に成長ストーリー銘柄へ物色が集まる一方、高値警戒感の強い一部大型グロース株や、決算が冴えない金融株には調整売りが入る、という構図が見られました。

【日本の株式市場】
1月12日から16日の日本株市場は、日経平均・TOPIXとも史上最高値圏でもみ合いながら、高市政権の解散観測と円安、日銀会合への思惑が交錯する展開でした。​

全体観:高値圏での調整入り
日経平均は5万4千円台を中心に推移し、週末時点でも5万4千円前後を維持しつつ、週トータルでは上昇(週間で日経約3.8%高、TOPIX約4.1%高)。1月上旬の急伸で「PER20倍水準の割高感」が意識され、12〜16日の局面では利益確定売りと押し目買いが交錯する「高値圏での調整」の性格が強まりました。
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1月14日まで:解散観測・円安・先物買いで最高値更新
直前の1月14日までに、日経平均は初の5万4千円台に乗せ、3日続伸・連日で史上最高値更新となり、TOPIXも連日で最高値を更新しました。高市首相による早期衆院解散観測が浮上し、「選挙前の株高(いわゆる高市トレード)」期待が先物主導で強まり、海外投資家の先物買いが指数を押し上げたこと。円安進行が輸出株の追い風となり、自動車・機械などグローバル企業に買いが広がったことが挙げられます。

1月15日:日経は4日ぶり反落
15日の現物市場の日経平均は、前日比約230円安の5万4,110円と4営業日ぶりに反落し、TOPIXは3,668.98ポイントと小幅安ながら高値圏を維持しました。前日までの急伸の反動による利益確定売りが優勢となったこと。米国市場でのハイテク株調整や、国内では決算本格化前のポジション調整が意識され、半導体など値がさグロースに売りが出たことが指摘されています。

1月16日:日銀会合・為替介入観測を意識した小反落
16日の日経225(CFDベース)は54,040ポイントと0.13%安、JP225指数ベースでも約0.3%安と小幅続落でしたが、依然として5万4千円近辺と高値圏を維持しました。同日のTOPIX現物は3,658.68と前日比0.28%安で引け、先物清算値は3,668.5ポイントと、やはり小幅安にとどまりました。来週の日本銀行金融政策決定会合を控え、「マイナス金利解除・利上げペース」に対する警戒感から、金融・金利敏感株を中心に持ち高調整が進んだこと。為替市場で円高方向への調整(介入警戒)も意識され、輸出関連に上値の重さが出たことです。

セクターと個別株の動き・テーマ
週を通じては、半導体・製造装置(東京エレクトロン、SCREENなど)と防衛・インフラ関連が強く、「高市政権の積極財政・防衛強化」期待と、世界的なAI・半導体サイクル拡大期待が重なりました。一方、16日には、東京エレクトロンやソフトバンクグループ、重工や自動車の一角に調整売りが入り、値がさ株主導で指数を押し下げる展開となりました。

政局では、高市首相が1月19日に財政・解散方針を含む政策の骨格を示すと見込まれており、「政策期待」と「国債金利上昇・財政悪化懸念」が同時に意識される中で、株式市場のボラティリティ上昇がテーマになりつつあります。

【金利と為替の動き】
日米とも長期金利は「小幅上昇・高止まり」、ドル円は一時159円台まで円安が進んだ後、158円台で引ける展開でした。

米国金利の動き
米10年国債利回りは12〜16日にかけて概ね4.1〜4.2%のレンジで推移し、12日4.19%→15日4.17%とほぼ横ばい圏内での小動きでした。週ベースでも2年・5年・10年とも数bpの上昇にとどまり、「早期大幅利下げ観測は後退しつつも、金利は落ち着いたレンジ相場」という評価が多くなっています。

日本金利の動き
日本の10年国債利回りは12日2.08%前後から16日には2.18%へ上昇し、約1週間で0.1%ポイント程度のじり高となりました。背景として、日銀によるマイナス金利解除・追加利上げ観測と、高市政権の積極財政・解散観測による国債増発懸念が意識され、長期・超長期ゾーンまで利回り上昇圧力がかかっています。

円ドル為替(USD/JPY)の動き
ドル円は12日終値158.15円前後から、14日に一時159.45円近辺まで上昇し、年初来高値圏の円安水準を試しました。その後は円安警戒や介入思惑もあって上値が抑えられ、15日158.54円、16日158.13円と、週末にかけては158円台前半へ小反落しています。

日米金利と為替の関係
米10年金利が4.1〜4.2%で横ばいの一方、日本10年金利が2%台前半まで上昇しても、依然として日米金利差は大きく、ドル高・円安基調の根底は維持されています。もっとも、日本側金利のじり高と日銀のタカ派寄りスタンスが意識され始めており、159円台では当局の口先介入・実弾介入への警戒から、短期的な円買い戻しが入りやすい地合いになっています。

【日本でトラスショックは再現しないか?】
完全に同じ形での「トラスショック再現」は確率が高くはないものの、日本でも条件次第では「債券急落+通貨不安」が起こり得る局面に入っている、というのが現状に近い整理になります。

トラスショックとは何だったか
2022年の英国トラス政権は、大規模減税と歳出拡大を「財源示さず・OBR(独立財政監督)評価なし」で打ち出し、市場の信認を一気に失いました。その結果、長期国債利回り急騰とポンド急落、年金基金のLDI運用に絡む「強制売り連鎖」が起き、英中銀が緊急買入れに追い込まれたのが「トラスショック」です。

日本が似てきていると言われる論点
高市政権の「積極財政+大型補正・防衛費増額」方針を背景に、日本の長期国債利回りは2025〜26年にかけて約2%超まで上昇し、超長期ゾーンも過去数十年で見ない水準まで売られています。
​ 一部海外投資家やストラテジストは、
・債務残高の巨大さ
・金利上昇と円安の同時進行
・独立した財政評価機関の不在
などを挙げ、「日本版トラス・モーメントのリスク」と警鐘を鳴らしています。

日本で「そのまま再現しにくい」理由
日本銀行が国債残高の約半分を保有し、イールドカーブ・コントロールや買入れの微調整によって長期金利の急騰を一定程度抑制し得る構造がある点は、英国と大きく異なります。
​ 年金・生保など国内機関投資家の国債保有がなお厚く、LDI型レバレッジ運用に依存した英国年金のような「短期でのマージンコール連鎖」が起きにくい点も相違です。

それでもリスクが顕在化し得る条件
財政規律への筋の通ったコミットメントが見えないまま、
・さらなる大型補正・防衛費拡大
・国債増発
・日銀の急速な利上げ・国債買入れ縮小
が重なると、「債券売り・円安加速・株安」が同時進行するリスクは高まります。
​ とくに海外投資家が「日本国債はインフレと財政の両面で懸念が高まった」と判断すると、日米欧の長期金利との差以上にリスクプレミアムを要求し、金利のボラティリティが跳ねる可能性があります。

実務的な見方のヒント
トラスショック型の「一週間で市場が崩れる」ような劇的展開より、数カ月〜数年かけたJGB利回りのじり高、円安・インフレ持続
を通じた「ゆっくり進む財政・金利ショック」の方が日本では現実的との見方が有力です。

ウォッチすべき指標としては、
・10年超(20・30・40年)のJGB利回りとスプレッド
・新発・増発の国債入札の応札状況(テールの拡大など)
・政府予算・補正予算の規模と税収見通し
・政府・日銀によるインフレ目標と財政健全化へのメッセージ
が挙げられます。

したがって、「英国と同じ轍をそのまま踏む」確率より、「財政・金利・為替のじわじわした不安定化」が日本流トラスショックとして現れる可能性を意識しておく、というスタンスが現実的だと考えられます。

【PE市場、プライベートクレジット市場の動向】
直近のPE市場は「ファンドレイズは弱いが投資とエグジットは持ち直し」、プライベートクレジット市場は「資金流入が続く高利回り資産」として拡大が続いています。

PE市場:ファンドレイズ減速、投資は高水準
2025年のグローバルPEファンドレイズ額は約4,800億ドルと前年比約13%減で、募資は引き続き鈍い一方、大手・実績豊富なGPへの「資金集中」が鮮明になっています。​
取引面では、2025年のPE投資額は2025年第3四半期時点で累計約1.5兆ドルと、Q2の一時減速から再加速し、大型パブリック・トゥ・プライベート案件(米ゲーム・航空リースなど)が全体を押し上げています。
​ PEのエグジット・分配の状況
IPO再開やM&A市場の回復で、2022〜23年の「ディストリビューション・ドライ」からは徐々に脱しつつあり、「最悪期は過ぎた」とする機関投資家向けリサーチも増えています。
​ ただし、バリュエーション調整や金利水準を踏まえ、売却タイミングを選びながらの部分回復であり、中堅・小型ファンドやニッチ戦略では依然としてエグジットの出遅れが目立つ状況です。

プライベートクレジット:資金流入と「フライト・トゥ・クオリティ」
プライベートクレジットは2024年に約2,100億ドルのファンドレイズ、2025年上期だけで1,240億ドルを集めるなど、年ベースで2024年超えペースの資金流入が続いています。
​ サブ戦略では、シニア・セキュアード中心のダイレクトレンディングが全体の約6〜7割を占める一方、それ以外の戦略(ディストレスト、メザニンなど)はボリューム減少と「安全志向」による選別が強まっています。
​リスク・与信環境
高金利長期化の影響で、借り手企業のインタレスト・カバレッジは低下し、PIK(金利の元本化)や期限延長を伴う「ライアビリティ・マネジメント」案件が増加しており、表面上のデフォルト率はまだ低いものの、クレジットの質にはばらつきが出ています。
​ 一方で、シニア担保・強いコベナンツ・優良スポンサー案件を中心としたダイレクトレンディングは、レバレッジドローン、に対して約200〜300bp程度のイールドプレミアムを維持しており、オルタ投資家にとっては依然「相対的に魅力的な収益源」と位置づけられています。

2026年に向けた全体トーン
オルタナティブ全体のアウトルックでは、PE・プライベートクレジット・インフラ・不動産などのうち、特にプライベートクレジットとインフラが「安定キャッシュフロー+インフレ耐性」で高く評価されており、PEについては「選別色を強めつつも再加速フェーズ」に入るとの見方が多くなっています。
​ 実務的には、LP側の資金配分は
PE:メガ/グロース/セカンダリーの一部に集中
プライベートクレジット:シニア・ダイレクトレンディング+一部オポチュニスティック
という「質とスケール重視」の傾向が強まっており、新興GPや高レバレッジ戦略には逆風が続いています。

2026年1月17日 土曜日

世界の動き 2026年1月16日 金曜日

今日の一言
「中道」
立憲民主党と公明党が新党の結成に合意したと昨日の16時ころ急にニュースが流れて驚いた。
敗者連合という冷ややかな見方から、自民は大きく苦戦という見方まで識者の見方はばらばらだ。
両党は中道勢力の結集というが、「中道」とは、単に「右と左の中間」という意味だけでなく、仏教的な「中(ちゅう)の道」を指し、「道に中(あた)る」、つまり物事の本質・根源(生命や尊厳)に迫り、真実の在り方を見極める姿勢を意味する。それは偏らず、生命の尊厳を重んじ、民衆の幸福や平和の実現を目指す哲学的な立場だ。
しっかりそうした考えを政策に反映して選挙を戦ってもらいたい。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.健康な脳は健康な肉体から
【記事要旨】
脳の健康は誰にとっても重要で、不安を感じやすいテーマだが、実は自分で改善できる部分が多い。
認知症の患者数は高齢化で増えているものの、発症率は低下しており、その理由は主に生活習慣の改善にある。
– 喫煙者の減少
– 心血管の健康向上(特に血圧管理)
脳の健康を守る基本は、よく知られた「食事・睡眠・運動」だ。
運動が脳に良いのは、筋肉などから分泌される「エクサーカイン」が神経を修復し、新しい神経回路を作るためだ。
脳の状態は睡眠の質に最も表れやすい。
よく眠れた日は頭が冴え、眠れない日は集中力や気分が落ちる。
散歩などの小さなセルフケアも脳の働きを良くする。
結論として、脳の健康と身体の健康は不可分であり、「健康な身体=健康な脳」という考え方が重要だ。
【コメント】
世界が混乱していると感じるほど、自分自身を大切にすることが重要になる。世界で何が起こっていても、自分や自分の家族が健康危機に陥れば、すべてが止まってしまうからだ。

2.イスラエルとアラブ諸国、トランプ大統領にイラン攻撃の自制を要請
【記事要旨】
トランプ大統領は、数日間検討してきたイランへの米国による攻撃を控える動きを見せている。水曜日、トランプ大統領はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談し、ネタニヤフ首相はイランへの米国による軍事攻撃計画の延期を要請したと、米国当局者が明らかにした。
カタール、サウジアラビア、オマーン、エジプトも、米国の軍事行動がより広範な地域紛争につながる可能性があるとして、トランプ政権に軍事行動の停止を要請した。
専門家によると、イスラエルが米国のイラン攻撃に慎重な姿勢を見せているのは当然のことだ。イスラエルへの反発、新たな戦争を含むリスクはあまりにも大きい。そして、大規模な攻撃以外でイランの聖職者による統治体制を転覆させる可能性は低い。
イランは昨日、数週間にわたるデモの後、政府が残忍な弾圧を続けているにもかかわらず、抗議活動参加者を処刑するとのこれまでの脅しを撤回したようだ。イラン当局は次のように語っている。
【コメント】
トランプはcontrarian:A contrarian is a person who goes against other people’s/majority/prevailing opinions. だ。
みんながやめろというとやる可能性がある。

その他の記事
・グリーンランドの人々は、トランプ政権との会談が行き詰まりに終わった後、今後何が起こるのか不安を抱いている。NATO加盟国の一部は、グリーンランドへの部隊派遣計画を発表した。
・国際宇宙ステーションから医療避難を受けた4人の宇宙飛行士が地球に帰還した。
・トランプ大統領は、ミネアポリスの抗議活動を鎮圧するため、大統領が米国内で軍事力を使用することを認める反乱法を発動すると警告した。
・ノーベル賞受賞者でベネズエラの野党指導者であるマリア・コリーナ・マチャド氏は、トランプ大統領に賞金を分け合うことを申し出た後、会談した。
・オーストラリアのソーシャルネットワークは、禁止措置発効から1か月後、10代の若者のアカウント約500万件を削除または削除した。

かつて世界で最も生産性の高い研究大学だったハーバード大学は、中国の大学がランキングを上げてきたため、3位に後退した。

2026年1月16日 金曜日 当方睡眠の質は低い。昨夜も2度起きた。

世界の動き 2026年1月15日 木曜日

今日の一言
「株価の重し」
 解散報道を受けて株式市場がさらに上昇。証券会社の一部は日経ダウの60000も間近とはやしている。マジか?
 根本的な懸念は少しも解決していない。

1. 財政赤字の持続不可能性 → 金利上昇リスク
 Fitchは、日本の財政赤字が再び拡大する方向にあり、長期的な債務圧力は依然として「重大」と明言している。さらに、2026年にかけて追加の利上げ(1.5%まで)を予測しており、国債費の増大は避けられない。
金利上昇は以下の経路で株価に逆風になる:
– 企業の資金調達コスト上昇
– バリュエーションの圧縮(特に高PER銘柄)
– 家計の可処分所得減少 → 消費鈍化
– 国債利回り上昇による株式から債券への資金シフト
つまり、財政懸念 → 金利上昇 → 株価の重石という構図は全く変わっていないリスクだ。円安で輸入物価が上昇し庶民の生活は全く楽にならない。

2. 業績改善ではなく自社株買いが株価を押し上げている
 2025年の株価上昇は「過去最大規模の自社株買い」による需給改善が大きかったとのアナリストレポートも多い。
 - 企業業績は予想を下回った
 - 米国関税の影響で製造業は伸び悩んだ
という現実もある。ファンダメンタルズが株価に追いついていない状況だ。需給主導の相場は、逆回転が始まると脆い。

3. 日銀のETF売却は「長期的な売り圧力」
 日銀は2025年からETFの売却を開始し、年間約6200億円のペースで売却する計画で、完了には100年以上かかる可能性があると報じられている。
 市場への影響としては:
– 日銀は日本株の約7%を保有 → 売却は需給悪化
– 特に大型株(TOPIX・日経225構成銘柄)に売り圧力
– 海外投資家のセンチメント悪化リスク
 長期的には確実に需給の重石になる。

4. 世界的な地政学リスクの高まり
 - 米中対立の激化
 - 中東・台湾海峡の緊張
 - AI・半導体を巡る国家間競争
 - 日本–中国関係悪化のリスク
これらは日本企業のサプライチェーンに直撃し、株価のボラティリティを高める。

【結論】高市トレードでしばらくは強い相場が続くだろう。その間に利益を確定しポートフォリオをリバランスするべきだ。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.まるで軍事政権下だ(ミネアポリスの現状)
【記事要旨】
 ミネアポリスでは、連邦捜査官によるレニー・グッド射殺事件から1週間、移民取り締まりの強化と強硬な逮捕が住民の怒りを招き、街は緊張状態にある。連邦政府は不法移民の摘発を強化し、住宅街や商業施設の駐車場で住民を拘束するだけでなく、米国市民まで乱暴に扱う事例が相次ぎ、SNSにはその映像が拡散している。
 住民や活動家は、連邦捜査官の行動を監視・記録し、時に妨害しようとしている。市議会議長を含む市民が武装した捜査官に押し倒されるなど、まるで「軍事占領」のようだとの声も上がる。
 一部の取り締まりは通常の法執行を逸脱し、車を衝突させて停止させるなど過激化。群衆が集まり捜査官に怒号を浴びせる場面も増え、暴力的な衝突への懸念が高まっている。
 トランプ大統領は事態の沈静化に関心を示さず、射殺の正当化を示唆し、さらに1000人の移民捜査官を追加派遣。ソマリア移民2,000人以上の保護措置の撤廃も発表した。ミネソタ州とミネアポリス、セントポール市は連邦政府の措置を差し止める訴訟を起こした。
 街では住民と捜査官の対立が激化し、催涙ガスやペッパースプレーが使用される事態も発生。ジョージ・フロイド事件から5年以上が経つが、警察署長は「2020年の再来」を懸念し、街が再び破壊される可能性を警告している。
【コメント】
 民主主義国家と権威主義国家の違いの一つは、治安部隊と市民の関係だ。民主主義社会では、警察官は市民の権利を守るために任命される。一方、治安部隊が市民に対して展開されると、それはしばしば権威主義の蔓延の兆候と見なされる。
 トランプ大統領はアメリカ各地の都市に移民税関捜査局(ICE)の職員を派遣し、ライフルや戦闘装備をつけた州兵を増派している。米国は対外的にも国内的にも権威主義国家と化している。

2.イラン情勢の緊張が高まる中、米国はカタールから人員を撤退
【記事要旨】
 トランプ大統領がイランによる反政府デモ弾圧への軍事対応を検討する中、国防総省はカタールの空軍基地から不要不急の人員の一部を撤退させ始めた。
 人権団体や遺族によると、イランはデモ参加者の死刑執行を計画しているという。しかしトランプ大統領は昨日、「イランでの殺害は既に停止しており、死刑執行の計画はない」との通知を受けたと述べ、イランがそのような死刑執行を実行した場合、「強力な措置」を取ると警告している。
【コメント】
 スターリンクで反政府運動の通信を助けることや、政府の通信をサイバー妨害することが軍事介入に先んじてとられる手段になりそうだ。ハメネイ氏のロシア亡命の噂があるが、どうなるだろうか。

3.グリーンランドをめぐる「根本的な意見の相違」
【記事要旨】
 デンマーク外相は昨日、ホワイトハウスでの会談後、協議は「率直」なものだったものの、グリーンランドの将来をめぐる米国との「根本的な意見の相違」は解決していないと述べた。
 デンマークとグリーンランドの外相は、J・D・ヴァンス副大統領とマルコ・ルビオ国務長官と会談した。これは、トランプ大統領がグリーンランドの購入または奪取を繰り返し脅迫していることについて両政府が協議する初の会談となった。これらの脅迫は、デンマークが加盟しているNATOにとって深刻な問題を提起する。NATO創設条約は、同盟国同士が攻撃した場合の対応について規定していない。
【コメント】
 ヴァンスやルビオの本心はどうなのだろうか。忠臣としてトランプに使えているのだろうか。彼らも同じように考えているのか。
 国内に大きな課題を抱えており、グリーンランドの領有問題の優先順位は極めて低いと思うのだが。

その他の記事
・中国は、世界中に輸出を殺到させ、過去最大の貿易黒字を発表した。
・カナダのマーク・カーニー首相は、重要な関係修復を目指し、中国への公式訪問を開始した。
・FBI捜査官は、情報漏洩捜査の一環として、ワシントン・ポスト紙のハンナ・ナタンソン記者の自宅を捜索し、彼女の機器を押収した。
・米国は、壊滅的な被害を受けたガザ地区の日常生活を監視するため、パレスチナのテクノクラートで構成される委員会の設置を間近に控えている。
・国際宇宙ステーションの乗組員1人の健康問題のため、4人の宇宙飛行士が早期離脱する。

・BTSは、5大陸79公演を予定する大規模なカムバックツアーを発表した。

2026年1月15日 木曜日

世界の動き 2026年1月14日 水曜日

今日の一言
「日本株急上昇の理由」
 日本の株価が上がっている。論理だって理由を説明すると、以下の要因が挙げられるようだ。
1. 海外投資家の資金流入
 米国株と比べた日本株の割安感(低PER)が強く意識され、海外勢の買いが急増していることが大きな要因だ。特に時価総額の大きい大型株に資金が入り、指数を押し上げている。
2. 個人投資家の買い(新NISA効果)
 新年入りとともに、NISA成長枠を使った個人の買いが需給を大きく改善しているとの指摘がある。「乗り遅れまい」という心理も働き、短期的な買い圧力が強まっていると言われる。
3. 日本企業の業績改善期待
 企業収益の改善、ガバナンス改革、積みあがった現預金の活用などが進み、今期以降の業績上振れ期待がある。TOPIXの予想EPSも上昇基調にあり、構造的な収益力改善が背景にある。
4. 高市政権への期待(積極財政・政策安定)
 高市政権の政策(積極財政、企業改革、成長戦略)への期待が、株価の下支えになっている。政治の安定は海外投資家にとっては重要な判断材料となる。
5. 米国株の堅調さとAI関連の追い風
 米国の利下げ観測やAI関連株の強さが日本株にも波及している。
特に半導体・AI関連(東エレ、アドバンテスト、レーザーテックなど)が指数を牽引している。
6. 賃金上昇 → 個人消費の拡大期待
 賃金上昇が4年目に入り、消費が本格的に拡大する転換点にあるとの分析もある。外食・レジャーなど内需株への期待が高まり、相場全体のセンチメントを押し上げている。
まとめると、
– 割安感 × 海外勢の買い
– 新NISA × 個人の買い
– 業績改善期待
– 政策期待
– 米国株の追い風
– 賃金上昇による内需回復期待
これらが同時に重なり、「買いが買いを呼ぶ」初動相場が形成されていると考えられるという説明が可能だ。
 今日は、相場急騰の理由を考えたが、リスクはむしろ高まっていると筆者はみる。その点は明日述べてみたい。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.世界の「北の頂点」をめぐる争い
【記事要旨】
 北極圏のスバールバル諸島は、長年「誰でも住める国際的な場所」として知られてきた。ノルウェー領でありながら、100年前の条約によりビザなしで各国の人々が移住でき、国際色豊かな共同体が形成されている。
 しかし近年、状況が変わりつつある。ノルウェー政府は主権をより強く主張し、
  - 外国人への土地売却の制限
  - 外国人の投票権剥奪
  - 科学研究の制限
  - 周辺海域の領有主張
などを進めており、他国の反発を招いている。
 背景には、北極をめぐる地政学的競争の激化がある。気候変動で氷が溶け、北極がアクセスしやすくなるにつれ、
  - 米国、ロシア、中国などが資源・軍事・航路の観点から関心を強めている
  - スバールバルやグリーンランドには銅・コバルト・レアアースなど豊富な資源が眠る
  - 北極海航路やミサイル監視・衛星データ受信の戦略拠点として重要性が増している
 また、スバールバル条約やグリーンランドの特殊な地位は、現在の「力が前面に出る」国際政治の中で弱点となりつつある。
 米国がグリーンランドの併合を模索していることも、世界秩序を揺るがす問題として注目されている。北極は、資源、地政学、気候変動という三つの要因が重なり、各国が競い合う新たなフロンティアになりつつある。
【コメント】
 スバールバル諸島の暮らしをYouTubeで見たことがあるが、4か月間は太陽が出てこない日が続く。正午でも真っ暗闇な氷の世界は想像を越える。物価は極めて高い。2500人ほどの住民が、これまでは平和な多国籍のコミュニティーを構成しているようだが今後はどうなるのだろうか。グリーンランドと合わせて注目したい。

2.イランにおける死者を出した弾圧
【記事要旨】
 イラン当局は、大規模な反政府デモの期間中、ほぼ完全な通信遮断を実施しており、情報の入手が困難になっている。しかし、動画や目撃証言から、政府が過去10年以上で最悪の弾圧を行っていることが示唆されている。
 最大3,000人が死亡したとみられる。目撃者によると、政府軍が非武装のデモ参加者に発砲したという。「政権は殺戮を続けている」とあるデモ参加者は語った。
 トランプ大統領はイラン国民に対し、抗議活動を続けるよう呼びかけ、デモ参加者殺害の責任者は「大きな代償を払うことになる」と警告した。「支援はすぐそこだHELP IS ON ITS WAY,」とソーシャルメディアで述べた。トランプ大統領は軍事介入も辞さない構えを見せており、イランと取引のある国には25%の関税を課すと表明した。
【コメント】
 繰り返すが、イランに米軍の介入は無いとみる。西半球では無いから優先順位は低い。ガザですら手に負えないのにさらにイランに介入するのは無理だ。

その他の記事
・検察は、戒厳令発令に失敗した韓国の尹錫烈前大統領に対し、死刑を求めた。
・ビル・クリントン氏とヒラリー・クリントン氏は、下院によるジェフリー・エプスタイン捜査での証言を拒否したことで、議会侮辱罪に問われる危険にさらている。
・フランスの極右政党指導者マリーヌ・ル・ペン氏は、大統領選への出馬を禁じられている横領罪の有罪判決に対し、控訴した。
・連邦準備制度理事会(FRB)の独立性に対する攻撃と広く見なされている刑事捜査を受けているジェローム・パウエルFRB議長に対し、12人の中央銀行関係者が支持を表明した。
・ウガンダ当局は、ヨウェリ・ムセベニ大統領が7期目を目指す選挙の数日前に、全国でインターネットサービスを遮断した。

漫画「ディルバート」の作者、スコット・アダムス氏が68歳で亡くなった。【この漫画は愛読した。作者が私より若いとは思っていなかった】

2026年1月14日 水曜日
久米宏さんが亡くなった。享年81歳。昨日NHKで片岡仁左衛門さんの「仕事の流儀」を見た。人間国宝、81歳。元気に仕事を続けられるのが何よりと思った。

世界の動き 2026年1月13日 火曜日

今日の一言
「トランプ関税への最高裁判断」
 1月9日には出る出ると言われていたが、現時点(2026年1月13日朝)では、トランプ大統領の新たな「グローバル関税」に関する最高裁の最終判断はまだ出ていない。

現状のステータス
 大統領が2025年に国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に導入した幅広い関税について、違法とした下級審判決をトランプ政権側が不服として最高裁に上告している。
​ 最高裁は2025年11月に口頭弁論を実施し、2026年1月以降に判決が出ると見込まれているが、1月8日・9日時点の意見公表日にはこの関税事件の判決は含まれておらず、言い渡し日は未定のままだ。

下級審での判断
 2025年5月、米国国際貿易裁判所(CIT)は、IEEPAはこのような包括的輸入関税を認めておらず、トランプ大統領が主張する「無制限の関税権限」は認められないとして、関税を違法と判断した。
​ 2025年8月、連邦巡回控訴裁判所(CAFC)もこの判断を支持し、IEEPAを使った今回の広範な関税発動は権限逸脱だと結論づけている。​

今後の見通し
 最高裁は、大統領がIEEPAを根拠に関税を課す権限をどこまで持つか、そして違法とされた場合に既に支払われた関税をどこまで返還すべきか、といった点を中心に判断するとみられている。
​ 判決内容次第では、数千億ドル規模の関税還付や、今後の大統領による単独の通商政策権限の範囲に大きな影響が出る可能性がある。

要するに、「関税は違法」とした下級審判断は出ているものの、それを最終的に確定させる最高裁の判決はまだ出ていない、という状況だ。パウエルの状況を見れば自分に反対の判断をした最高裁判事でさえトランプ政権に訴追対象にされかねない。

ニューヨークタイムズ・ニュースレターより
1.トランプによるFRBのいじくり
【記事要旨】
 トランプ大統領は、FRB(米連邦準備制度)のパウエル議長を繰り返し批判し、利下げを強く要求してきた。最近では、FRB本部の改修工事に関するパウエル氏の監督責任をめぐり、連邦検察が刑事捜査を開始したことが明らかになった。この捜査はトランプ氏に近い人物が指揮しており、パウエル氏は「金融政策が政治的圧力や威嚇で左右されるかどうかが問われている」と警告している。
 争点は、FRBが専門家による独立機関として雇用と物価安定を追求すべきか、それとも政治家が選挙などの目的を含めてコントロールすべきかという点にある。
 FRBは世界で最も影響力のある中央銀行であり、米ドルの安定は世界経済の基盤となっているため、その独立性への揺さぶりは国際市場にも動揺を与えている。
 実際、パウエル氏への捜査が報じられた直後、株式・ドル・米国債が不安定になり、金価格は過去最高を更新した。中央銀行の独立性が損なわれれば、他国でも同様の圧力が強まり、トルコのように高インフレを招く危険性がある。
 一方で、一部の学者は、FRBが低インフレに偏りすぎて国民の優先課題を十分に反映していない可能性を指摘し、政治的な関与を部分的に見直す議論も出ている。しかし、世界から見れば、政治介入はドルの信頼性を損ない、米国の財政運営にも悪影響を及ぼしかねない。
 トランプ氏は重要な点に触れているものの、パウエル氏を刑事的に脅すやり方は、中央銀行の説明責任を求める立場の人々でさえ支持していない。
【コメント】
 トランプはパウエル議長を口汚くののしっている。Jerome Powell a “clown,” a “dummy,” a “major loser” and a “bad head of the Fed.”
「道化師」「間抜け」「大敗者」「FRBの頭の悪い人」というようにだ。
 彼の政権の人たちはこんなことを言う指導者に唯々諾々と従っているのだろうか。

2.ガザ地区の建物を一つ一つ破壊
【記事要旨】
 2ヶ月以上前、イスラエルとハマスは停戦合意に署名した。この合意は、2年間にわたるイスラエルの激しい爆撃でガザ地区の大部分が廃墟と化した後、ガザ地区のパレスチナ人に休、破壊は続いている。、しかし破壊は続いている。
 ニューヨーク・タイムズが衛星画像を分析した結果、停戦開始以来、イスラエルはガザ地区で2,500棟以上の建物を破壊したことが明らかになった。これらの建物のほとんどはイスラエルの支配地域内にあるが、数十棟はイスラエル軍の占領地と合意された境界線の外側に位置している。
 イスラエル当局は、これらの破壊はトンネルや爆弾が仕掛けられた家屋を破壊し、ガザ地区を「非武装化」する取り組みの一環だと述べている。しかし、ガザ地区のパレスチナ人は、イスラエルが地域全体を破壊していると主張している。
 「これは完全な破壊だ」と、1990年代にガザ地区で軍を率いた元イスラエル軍司令官は語った。「選択的な破壊ではない。全てを破壊しているのだ。」
【コメント】
 大阪冬の陣の後、家康が大阪城の外堀を埋めたような行為だ。

その他の記事
・トランプ大統領が軍事攻撃を警告したことを受け、イラン政府は戦争への準備は整っているものの、交渉の用意もあると述べた。
・ベネズエラ政府は少なくとも24人の政治犯を釈放し、政治犯の総数は少なくとも41人となった。
・英国は、女性や子供の性的な画像を人工的に生成したソーシャルメディアプラットフォーム「X」の調査を開始した。
・EUは、中国製電気自動車について、自動車メーカーに対し、輸入を制限し最低価格を設定することで、高関税を免除するという回避策を与えた。
・スイスの裁判所は、元旦に火災が発生したバーのオーナーに対し、少なくとも3か月の公判前勾留を命じた。

2026年1月13日 火曜日