世界の動き 2025年12月16日 火曜日

今日の一言
「AIとコンサルタント」(Bloombergの記事より)
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米コンサルティング会社マッキンゼーの経営陣は、顧客対応を担わない部門全体で約1割の人員削減が必要だとの認識を社内で共有した。関係者が明らかにした。数千人規模の削減に相当し、今後18-24カ月かけて段階的に進める計画だという。人工知能(AI)の急速な進展で事業環境が大きく変わるなか、同社は体制立て直しの局面を迎えている。従業員数は2012年から22年にかけて約1万7000人から最大4万5000人まで増加したが、その後は減少し、現在は約4万人。
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デスクワーカーの削減はまず知的産業から始まる好例だ。人員不足のエッセンシャルワーカーへと人員のシフトがスムースに進むかが全世界的な課題だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.ガザ和平計画の進展可能性
【記事要旨】
●取材の困難さ
– イスラエルは軍同行以外のジャーナリストのガザ入りを認めていないため、現地取材は極めて制限されている。
●ハマスの立場
– 幹部フサム・バドランは「武器の将来」について議論する用意はあるが、条件として以下を提示:
– イスラエルのガザ完全撤退
– 軍事作戦の全面停止
– 西岸・ガザ・東エルサレムを含むパレスチナ国家樹立
●最大の争点:武装解除
– イスラエルとトランプ和平案は「ガザの完全非武装化」を要求。
– ハマスはこれを事実上の「降伏」と見なし、受け入れていない。
– ハマスにとって武装は政治的アイデンティティの核心であり、自己防衛の必要性も主張。
●国際安定化部隊の構想
– 米国と国際社会は「国際安定化部隊」設置を模索中だが、進展は遅い。
– 参加候補国としてアゼルバイジャン、インドネシア、イタリア、エジプト、UAEなどが挙げられるが、いずれも戦闘参加には消極的。
– 部隊の任務が「停戦監視」か「非武装化の強制」か不透明。
●今後の予定
– カタールで国際安定化部隊に関する会議が開催予定。1月にも追加会議が計画されている。
– しかし、イスラエル撤退の条件設定や部隊の役割は依然不明確。
●展望とリスク
– 計画は「欠陥がある」との批判もあるが、長期停戦の最良の機会と見る声もある。
– 失敗すればイスラエルが再び戦争に戻る可能性も残る。
【コメント】
要するに、ガザ和平計画は「イスラエル撤退」「ハマス武装解除」「国際安定化部隊の役割」という三重の難題に直面しており、進展は不透明ながらも、長期停戦への希少なチャンスと捉えられているという内容の記事だ。
「武力による支配」と「政治的アイデンティティの維持」が真っ向から衝突している点で国際ガバナンスの大きな検討課題だ。

2.ロブ・ライナーの息子、両親殺害容疑で逮捕
【記事要旨】
ハリウッド映画監督のロブ・ライナーと妻ミシェル・シンガー・ライナーの息子、ニック・ライナーは、両親がロサンゼルスの自宅で刺殺されているのが発見された後、殺人容疑で逮捕された。
32歳のライナーは400万ドルの保釈金でロサンゼルス郡の拘置所に拘留されている。彼は長年にわたり、薬物乱用やホームレス生活との闘いについて語ってきた。
78歳のロブ・ライナーは、『恋人たちの予感』や『スパイナル・タップ』といった人気映画を監督する前は、人気シットコム俳優だった。
【コメント】
シットコム (sitcom) は situation comedy の略で、特定の状況や舞台設定を背景に展開されるコメディ番組のことです。
– 例:家族の日常、職場、学校、アパートなどを舞台に、登場人物のやり取りやトラブルをユーモラスに描く。
– アメリカでは『フレンズ』『ビッグバン★セオリー』『フルハウス』などが代表的。
シットコム俳優 とは、こうした番組に出演し、コメディ的な演技で人気を得る俳優のことを指します。
– ロブ・ライナーの場合、映画監督になる前に『All in the Family』(1970年代の大ヒットシットコム)で俳優として活躍し、広く知られるようになりました。

3.オーストラリア、銃規制強化を検討
【記事要旨】
アンソニー・アルバネーゼ首相は昨日、過去30年間で最悪の銃乱射事件を受け、既に厳しいオーストラリアの銃規制をさらに強化すると誓った。
日曜日、シドニーでユダヤ教の祝日を祝うイベント中に銃撃犯が銃を乱射し、少なくとも15人が死亡、数十人が負傷した。当局によると、ボンダイビーチでの襲撃は、24歳のオーストラリア人とその50歳の父親によって実行された。父親は1998年に学生ビザでオーストラリアに入国し、父親の名義で6丁の銃器を登録していた。
関連情報:シリア生まれのオーストラリア人、アハメド・エル・アハメド氏は、銃撃犯の1人をタックルし、英雄として称賛されている。アハメド氏は「重傷」を負い、入院したが、負傷の経緯はすぐには明らかになっていない。
【コメント】
詳細説明
– 父親(サジド・アクラム, 50歳)
– 出身は パキスタン・ラホール。
– 1998年に 学生ビザでオーストラリアに入国し、その後パートナービザや永住権に移行。
– 銃撃事件当時は「Resident Return Visa(永住者再入国ビザ)」の資格で滞在していたと報じられています。
– 彼は銃器のライセンスを持ち、名義で6丁の銃を登録していたと当局が確認。
– 息子(ナビード・アクラム, 24歳)
– オーストラリア生まれの市民。
– 職業は失業中のレンガ職人。事件直前まで仕事を失っていたと報じられています。
– 過去にオーストラリア国内の治安当局(ASIO)の監視対象となったことがあり、イスラム過激派との関係が疑われていました。
– 事件の背景
– 父子は「釣り旅行に行く」と家族に告げていたが、実際にはシドニー郊外の短期滞在施設に滞在し、計画的に襲撃を準備していたとされています。
– 車両からは即席爆発装置(IED)やイスラム国の旗が発見され、テロ事件として捜査が進められています。

その他の記事
・中国共産党を長年批判してきたメディア王、ジミー・ライ氏は、香港の裁判所で国家安全保障犯罪の有罪判決を受け、終身刑に服する可能性がある。
・ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアとの停戦合意の可能性を探るため、2日連続で米国当局者および欧州各国首脳と会談した。
・ホセ・アントニオ・カスト氏はチリ大統領選挙で圧勝し、世界的な右翼運動の勝利となった。
・ノーベル平和賞受賞者のナルゲス・モハマディ氏の家族は、先週の拘束中にイラン当局からひどい暴行を受け、2回も救急外来を受診したと述べた。
・英国の諜報機関MI6長官、ブレイズ・メトレウェリ氏は、就任後初の公の場での演説で、ロシアは西側諸国にとって「深刻な脅威」であると警告した。

2025年12月16日 火曜日

世界の動き 2025年12月15日 月曜日

今日の一言
「利益の先取り」
 GoogleのGemini3がChatGPTを大幅に追い抜いたという報道がある。ChatGPTのアルトマン社長は緊急事態を社内に宣言したそうだ。
 こうした競争で驚くのは、AIの開発競争がほんの一握りの人に依存しており、彼ら彼女らは巨額の報酬を得ていることだ。一説には2000万ドル(円ではありませんよ)を超える報酬を得て自由な執務環境を得ている技術者が多数いるということだ。競争で勝ち抜くには優秀な技術者を集め、維持する(他社への流出を防ぐ)ことが何より重要になるのだ。
 生成AIの普及で、デスクワーカーの80%は不要になるという報道がある。生産性も大いに上がるだろう。将来、AIの活用からコストを削減し利益を拡大するシナリオだ。これはまるで、将来削減されるデスクワーカーの給与が、現在のAI開発技術者に移転されているように見える。
 AIが開発企業に開発コストに見合う利益をもたらすのかが大きな議論になっているが、多くの人たちの未来の人件費が、本当に一握りの開発技術者に転嫁される構造は、すでに現出している。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.ハヌカでの銃撃
【記事要旨】
 シドニーのボンダイビーチで行われていたハヌカの祝いの場で銃撃事件が発生し、少なくとも15人が死亡、30人以上が負傷しました。オーストラリア当局は、ユダヤ人コミュニティを狙ったテロ攻撃と発表しています。容疑者2人のうち1人は射殺され、もう1人は負傷して拘束されました。
数百人が集まる祝祭の中、子どもたちが遊ぶ平和な雰囲気を銃撃が一変させ、約10分間続いたと目撃者は証言しています。犯人は歩道橋から発砲し、途中で一般人が1人の銃を奪う場面も確認されています。
オーストラリアでは銃乱射事件は稀ですが、近年ユダヤ人コミュニティは反ユダヤ的攻撃の増加に不安を募らせていました。同国はイスラエルに次いでホロコースト生存者の人口が多い国でもあります。
【コメント】
 カンガルーとコアラの平和な国というイメージがあったが、この銃撃には驚いた。社会的な分断が進んでいる証拠だろうか。

2.儲かる危険な仕事
【記事要旨】
 近年、サウジアラビアで働くケニア人労働者、特に家政婦として渡航した若い女性が250人以上死亡していることが明らかになりました。死因は感電や骨折、不審な転落などで、レイプや暴行、監禁、飢餓などの被害を訴える帰国者もいます。
 サウジ国内での労働者虐待は以前から報告されていましたが、今回の調査では問題の根源がケニア政府にもあることが判明しました。失業危機に直面するケニア政府は、労働者を海外に送り出すことで経済を立て直そうとし、サウジアラビアを最大の受け入れ先にしています。フィリピンなど他国が労働者保護策を整備してきたのに対し、ケニアは労働者を「安価で保護の乏しい存在」として売り込み、サウジとの合意でフィリピン人より約40%低い賃金に設定しました。
 さらに調査では、ケニアの政治家や大統領ウィリアム・ルトの家族が労働者派遣会社や保険会社を所有し、労働者の低賃金・無保護状態から利益を得ている実態が浮かび上がりました。政府は家政婦の月給を約260ドルに抑え、セキュリティーネットもなく、労働者保護のための研修制度も企業利益のために撤廃されています。
 政府や業界関係者は虐待の責任を女性自身に押し付け、「怠惰」「無知」「態度が悪い」と非難し、レイプ被害も「誘惑した」として退けました。業界ロビイストは女性を「雇用主の所有物」と呼び、労働大臣も同様の発言をしています。
 しかし実際に取材で出会った女性たちは、教育を受け、家族を貧困から救うために危険を承知で挑戦する意欲的な人々でした。政府の「高賃金の約束」を信じて渡航したものの、多くが命や尊厳を失う結果となっています。
【コメント】
 これはひどい実情だ。フィリピン人より40%安い賃金を、送り出し側の政府が保証しているとは。犬扱いしているという記述もある。供給が続く限りケニア政府による搾取が続きそうだ。

その他の記事
・ハマスの最高司令官、ラエド・サード氏が土曜日、イスラエル軍のガザ攻撃により死亡した。
・ゼレンスキー大統領は、ウクライナは強力な安全保障の保証と引き換えに、NATO加盟の即時放棄など、特定の問題で妥協する用意があると述べた。
・連邦捜査官は、土曜日にロードアイランド州ブラウン大学で発生した銃撃事件(学生2名が死亡、9名が負傷)に関与した容疑者を拘束した。
・香港の判事は本日、メディア王ジミー・ライ氏の国家安全保障裁判の判決を言い渡す。
・トランプ大統領は、シリアでの攻撃で米兵2名と通訳1名が死亡したことを受け、イスラム国(IS)への報復を誓った。

2025年12月15日 月曜日

これからが これまでを決める

 年末にお寺から送られてきた来年の法語カレンダーの表紙の言葉だ。英訳もある。How I live from now reveals how I have lived until now. こちらの方が理解しやすいかもしれない。

 少し詳しく解釈してみたい。
「これからどう生きるか」は、過去に培ってきた習慣・価値観・選択の結果として現れるものだろう。つまり、未来の行動は過去の生き方を映し出す鏡のようなものだ。
 仏教では「因果」の考えがある。過去の行い(因)が現在のあり方(果)を形づくり、現在の行いが未来を生む。したがって、今の生き方を見れば、過去にどのような心で生きてきたかが分かる。
 一方、だからこそ、「過去に縛られる」ことなく、「今の生き方を変えることによって、過去の意味も変わり、未来も変わる」という希望を持つことができるのだ。

 「これからの生き方は、これまでの生き方の証明であり、同時に過去を新しく書き換える力さえ持っている。」
  もし今から誠実に生きれば、「過去も誠実に生きてきた人」として未来から振り返られるだろう。
  逆に今を怠れば、過去も怠惰だったと見なされる。


 つまり「今」という瞬間が、過去と未来を同時に照らす光になる。

 年末年始に、自分を戒める貴重な言葉だ。

2025年12月14日 日曜日

週間市場動向 2025年12月8日~12日 備忘録

【株式市場の動き】
12月8日(月)~12日(金)の週は、日米ともに主要株価指数が総じて堅調で、日本はTOPIX・日経平均ともに上昇、米国はS&P500・ダウが小幅安、NASDAQがやや軟調という流れでした。​

日本株式市場の動き
日経平均株価は12月12日終値で50,836.55となり、前週末から約0.7%の上昇でした。​
TOPIXは12月12日終値が3,423.83で、週間では約1.8〜2.0%程度の上昇となり、過去最高水準を更新しました。​
背景として、米FRBの利下げとその後の米株高を好感した買いが優勢となり、金融や輸出関連中心に幅広い銘柄が買われました。​

米国株式市場の動き
ダウ平均は12月12日終値が48,458.05で、週初8日の47,739.32からみるとおおむね1〜1.5%程度の上昇幅にとどまりました(週間では小幅安〜横ばい圏の評価)。​
S&P500は12月12日終値が6,827.41で、週初の6,846.51近辺からみるとわずかに下落し、週間では概ね▲0.3%前後のマイナスでした。​
NASDAQ総合は12月12日終値が約23,200〜23,500台(例:23,195.17~23,488.87のレンジ)で、週を通してハイテク主導で調整色が強く、1%強の下落となりました。​
この週は、利下げ決定後の金利動向とAI関連など大型テック株の利益確定売りが重なり、ハイテク比率の高いNASDAQが相対的に弱い動きとなった一方、景気敏感株やディフェンシブを含むダウ・S&P500は比較的下げが限定的でした。

【金利と為替の動き】
米国の金利動向
米10年国債利回りは、12月8日時点で約4.17%、9日に4.18%といった水準で推移し、その後11日に4.14%とわずかに低下するなど、4.1〜4.2%台でのレンジ内の動きでした。​
FOMCは9〜10日に0.25%の利下げを実施したものの、先行きの追加利下げペースには慎重なトーンが示され、長期金利は急低下ではなく「やや上昇気味で高止まり」という反応になっています。​

日本の金利動向
日本の10年国債利回りは12月8日に1.965%まで上昇し、2007年6月以来およそ18年ぶりの高水準を更新しました。​
12月12日時点でも約1.96%と高止まりしており、インフレの持続や大型補正予算・国債増発、日銀の近い将来の利上げ観測が重なって、長期金利に上昇圧力がかかり続けています。​

ドル円(USD/JPY)の動き
ドル円は12月8〜12日の間、概ね1ドル=155円前後を中心に、154円台後半〜156円近辺のレンジで推移した日が多く、高水準の円安は維持しつつも、米利下げ決定と日本金利上昇を受けて一時的に円高方向(ドル安・円高)へ振れる場面も見られました。​

【来週の相場見通し】
日銀会合と日本の物価統計、米国の雇用・インフレ関連の遅延データが重なり、「金利と為替をにらみながら、ボラティリティは高めだが下値には押し目買いも入りやすい」という展開が想定されます。​

日本株市場の見通し
最大のイベントは18〜19日の日銀金融政策決定会合で、市場は政策金利を0.5%→0.75%に引き上げる可能性をかなり織り込みつつあります。​
すでに10年国債利回りが約2%まで上昇しており、「利上げはある程度織り込み済みだが、声明と植田総裁のトーン次第で、銀行・保険など金融株と輸出・グロース株で明暗が分かれる」展開になりやすい局面です。​
TOPIX・日経平均とも、高値圏でのイベント待ちからスタートし、日銀が想定通り小幅利上げ+その後のペースに慎重な姿勢なら、金融株主導で指数は底堅いシナリオがメイン、一方「タカ派サプライズ(利上げペースを急がす示唆)」が出れば、円高・金利高を通じて指数全体の調整リスクが意識されます。​

米国株市場の見通し
直近のFOMCで0.25%利下げが決定したものの、2026年の利下げ回数を巡り「FRB予測(1回)vs 市場(2回)」のギャップが残っており、来週公表される遅延していた雇用統計や11月CPI、11月小売売上高などが、このギャップを埋めるかどうかが焦点です。​
直近ではAI関連を中心にナスダックが大きく調整する一方、ダウやバリュー株・金融株・素材など景気敏感株のパフォーマンスが良く、「グロースからバリュー・循環株へのローテーション」が進行中と見られます。​
来週は、マクロ指標が市場予想通り〜やや弱めに収まれば「利下げ期待維持 → 長期金利横ばい〜やや低下 → S&P500・ダウは押し目買い優勢」、逆に強いインフレ・雇用指標が出れば「金利再上昇 → 既に高バリュエーションの米株に再調整圧力」という二方向のリスクが意識されます。

注目セクター
来週は「AI・半導体などハイテクは一旦調整継続リスク、金融・ディフェンシブ・一部景気敏感と日本の銀行株に物色がシフト」という構図がメインシナリオになりやすい状況です。​

日本:利上げ局面での注目セクター
金融(銀行・保険)
日銀の0.75%利上げ観測と10年国債利回り2%前後という環境から、利ざや拡大が意識されるメガバンク・地方銀行、長期金利上昇の恩恵を受けやすい保険株は引き続き物色対象になりやすいと見られます。​
内需ディフェンシブ
利上げと円高リスクを意識すると、電力・ガス、通信、食品・医薬品など景気感応度が相対的に低いセクターへの資金シフトも想定されます。​
中長期でのエクスポージャー
構造改革と政策支援の文脈から、自動車(電動化・グローバル再編)、半導体・AI関連、ITサービス、防衛・インフラなどは、短期のボラティリティを許容できる前提で中長期の注目テーマとされています。​

米国:バリュー・金融・ディフェンシブと“調整中ハイテク”
バリュー株・金融・小型株
直近はAI関連・大型テックの調整でナスダックが売られる一方、ダウ構成銘柄中心のバリュー株と金融株、小型株指数が相対的にアウトパフォームしており、「グロース→バリュー・小型」へのローテーションが示唆されています。​
金利が高止まりしつつも利下げ方向にある局面では、銀行・保険・一部小売などの金利・景気敏感バリュー株が引き続き注目されやすいとの指摘があります。​
ディフェンシブ(生活必需品・ヘルスケア)
AIバブル懸念とバリュエーション負担からハイテクが売られる中、生活必需品などディフェンシブセクターが物色され、S&Pの11セクターのうち消費安定(Staples)が上昇した日も報告されています。​
調整局面のAI・大型テック
AIバブル懸念で半導体・AI関連が一斉安となっている一方、フェアバリュー比では一部のメガキャップ(例:AIインフラ・クラウド・サイバーセキュリティ銘柄)は割安に近づきつつあるとの評価も出ており、中長期投資家にとっては「拾い場候補」との見方があります。​短期はイベント前後のボラティリティが高く、来週に関してはトレーディング前提のハイベータ枠としての位置づけが現実的です。​

【PE、プライベートクレジット市場】
PE(プライベート・エクイティ)市場
ディール・エグジット
2024年からの回復が続き、2025年はM&A・IPOの再開でディールバリューはコロナ後で最も高い水準に接近しつつあります(Q1だけで約4,950億ドル、Q3までで約1.5兆ドル超など)。​
一方で件数はパンデミック前より少なく、「メガディール中心・大型優良案件に資金が集中」という傾向が鮮明です。​

ファンドレイズとセカンダリー
2025年YTD(9月時点)のグローバルPEファンドレイズは約4,560億ドルと、前年同期比で金額▲23%・本数▲13%と減少しており、3年連続の減少という統計も出ています。​
プライマリーの厳しさを補う形で、2024〜25年にセカンダリー取引が過去最高近辺まで拡大し、「流動性確保と資産の持ち越し(GP主導セカンダリー、継続ファンド)」が大きなテーマになっています。​

戦略とリターンドライバー
低レバレッジ・高金利環境を前提に、「マルチプル拡大ではなくオペレーショナルな価値創造」がリターン源泉という見方が主流で、特に中堅ミドルマーケット・成長株(グロースエクイティ)で妙味が大きいとするレポートが多いです。​

プライベートクレジット市場
市場規模と成長
プライベートクレジット残高は2024年初に約1.5兆ドル、2029年に2.6兆ドルに達するとの試算があり、銀行規制強化・銀行融資の慎重化を背景に2025年も構造的な拡大トレンドが続いています。​
2025年上期だけで約1,240億ドルの新規ファンドレイズが行われ、2024年通年を上回るペースとの指摘もあります。​

収益性とリスク
変動金利ローンへの高金利が続いたことで、2025年もダイレクトレンディングを中心に高いキャリーが続き、レバレッジドローン市場の予想リターンは7.5〜8%程度といった見方があります。​
ただし借り手サイドでは、インタレストカバレッジ低下やPIK(金利の元本繰入れ)の増加など「表面化しにくいストレス」の兆候もあり、ヘルスケアやコンシューマー・ディスクリショナリーなど一部セクターで業績二極化が指摘されています。​

今後の方向性
FRBの漸進的な利下げとM&A・LBOの回復により、2026年にかけてディール・貸出ボリューム増加が見込まれる一方、スプレッドはややタイト化し、リターンは「まだ魅力的だが、与信選別がより重要」という環境が続くとの予測が多いです。​

2025年12月13日 土曜日