今年ボスが口にした言葉

New York Timesの12月31日号電子版にあった面白い記事。

今年ボスが以前と比較して物凄く多く口にした言葉。

Unprecedented times 「未曽有の時だ」
これは日本でも言われたであろう言葉。
大きな困難に直面すると、人はこういうセリフを吐きがちだ。

Challenging 「挑戦的な/困難な」
challenging times とか challenging environment とかで多用しそう。

You’re on mute 「ミュートになってるぞ」
これは笑える。Zoom、Teams、Meetsによるリモート会議が一般的になり誰でも一度は言ったり言われたりしたことがあるのでは。

Humbled 形容詞だと「控えめな」とか「地味な」「謙虚な」という意味。動詞では「謙虚にさせる」という使い方。
例:Obviously, Covid has absolutely humbled the world.

あと2021年まで30分ほど。
「去年今年貫く棒の如きもの」久保田万太郎
コロナ禍に終止符を打ち2021は良い年にしたいですね。

(2020.12.31)

経済図書ベスト4を2時間で読む方法

年の終わりになり、多くの新聞、雑誌やニュースレターで今年の何々のベスト10が発表されている。

日経新聞の12月26日朝刊では、エコノミストが選ぶ2020年の経済図書ベスト10。うちTop4は米国の経済学者の著書が占めている。

第一位「絶望を希望に変える経済学」(邦題)
”Good Economics for Hard Times” (原題)
by Abhijit Banerjee and Esther Duflo (著者)
(インド生まれ)MIT(フランス生まれ)MIT

第二位「適応的市場仮説」
”Adaptive Markets”
by Andrew W. Lo
(米国人米国人中国系)MIT

第三位「プログレッシブキャピタリズム」
“Progressive Capitalism”
by Joseph E. Stiglitz
(米国人ユダヤ系)Columbia

第四位「自由の命運」
“The Narrow Corridor”
by Daron Acemoglu and James Robinson
(アルメニア系)MIT (米国人WASP?) Chicago

これらの著書を購入して読むのは大変だ。
私がお勧めする簡単な(そう簡単でもないが)方法は、日本語訳の紹介から英文の原題と著者名を見つけ出し、題名あるいは著者名をGoogleで検索し、Videoが無いか調べることだ。

これくらい有名な著書だと、著者自身が著書について話をする動画が存在する場合が多い。短ければ10分、多くが30分、長いと1時間で著書が理解できる。30分x4=120分で4冊の著書をマスターできる。英語に自信がなければ字幕を出せば内容がよくわかる。

さて、このリストを見て(それぞれの動画を見て)気づいた点を以下にまとめよう。

1.「絶望を希望に変える経済学」の著者はご夫婦。
二人そろってノーベル経済学賞を受賞。すごい。
2.「適応的市場仮説」のLo教授はMITのFinanceの人気教授。
授業が動画配信されている、とてもお値打ち。
3.純粋経済学というより社会学的なアプローチが
目立つ。一位、三位、四位はそうしたアプローチ。
4.すべて米国の大学教授で、6人中4人がMITの教授。人種的な構成も多様であり、米国には多彩な人材を集めた強さがある。ノーベル経済学賞での米国優位は揺るぎそうもない。

(2020.12.29)

Shigeru Miyamoto

The New Yorker(2020.12.20)のインタビューで似顔絵とともに大きく取り上げられていたので紹介したい。

宮本茂、68歳。任天堂でスーパーマリオやゼルダの伝説等数多くのヒット作を手がけた。「歴史上最も重要なビデオゲームのデザイナー」とニューヨーカー紙。

Wikipediaによれば、現在ゲーム開発の全体の責任者になったなった氏は。ゲーム完成の間際にダメ出しをすることがしばしばで、「ちゃぶ台返し」(Upending the Tea Table)として海外でも知られるらしい。

暴力を排した楽しいゲームを開発してきた氏は、任天堂のキャラクターを使った遊園地を考えているとニューヨーカーのインタビューは伝えている。

私は宮本茂さんのお名前を寡聞に存じませんでしたが、読んでいて誇らしい気持ちになる記事であった。

(2020.12.23)

Deal Book: The four-letter word

12月19日土曜のNYTimesに載っていた記事。
タイトルを見たときに驚いた。
通常four letter wordsというのは、通常は使用を避けるべき卑猥な言葉を指す。fxxx, cxxx, sxxx, の類だ。

タイトルにつられて読んでみると、最近盛況のSPACについての記事だった。
SPACはSpecial Purpose Acquisition Company 特別買収目的会社の略で2020年のM&Aにおいて多用され、まさに今年の流行4文字単語にふさわしい。

SPACは自分自身は事業を持たずに、主に未上場株に投資することを目的に設立され、IPOにより投資家から資金を集める。まだ何も投資先の決まっていない箱だけの会社の上場に、資金が集まるかどうかは、定評のあるプライベート・エクイティファンド(PEファンド)に資金が大量に集まる現状を想起すればよい。

しかも、PEファンドには数十億円無いと投資できないが、SPACのIPOには少額から投資が可能だ。上場株式だから、PEファンドには無い流動性も投資家は享受できる。

SPACに投資される非上場企業にとってはSPACに買収されることによりSPACと合併した新会社が上場企業に生まれ変わるメリットがある。こういう上場のやり方は裏口上場と言い、昔は嫌われたものだが現在はそうでもないらしい。

FRBに支えられた金余りにより株価が基本的に上昇する相場環境で、投資家も、投資対象企業も、SPACも三方得の状況が現出しているからだ。

2021年のSPACの行方に注目したい。

(2020.12.20)

コロナ禍で出来ないこと

コロナでいろいろなことが出来なくなると、ささいな、どうでも良いことが憧憬をもって思い出される。

例えば、ニューヨーク時代によくヤンキーズの試合を見に行ったものだ。まだ古いヤンキースタジアム。駐車場探しが一苦労だが、球場内にはいると緑の芝生がまぶしい。

フルスイングするバットの音。全力投球で投げ込むピッチャーのうめき声。ビールとつまみのシュニッツェル。
野球好きの次男に付き合って行っていたが、今になると、大声で声援し、得点すれば周りのみんなとハイタッチした。そんな日が懐かしく思い出される。

机の上には今も小さなスコアブック用の鉛筆。
そうだ、片手の不自由なジム・アボットがノーヒッターをやった試合も見たのだ。

(2020.12.15)