Trump era’s maxim: It doesn’t matter….

MSNBCのThe Rachel Maddow Show という番組を時々見る。
https://www.msnbc.com/rachel-maddow-show

ちょっと変わった女性司会者でTrump批判の急先鋒だ。
で、彼女が言って格言は、

It doesn’t matter how great the car is if you can’t drive.
「いくら素晴らしい車でも、運転できなきゃしょうがないね」という意味だ。

Trumpを指しているのはわかるけど、あまりはっきりしない。
実は米国CDCが今年2月25日に、「コロナビールスが米国で流行するか流行しないかは問題ではなく、(流行するのはあたりまえで)いつ流行し始めるかが問題だ」と発表した。
その直後2月26日にトランプ大統領は、「Johns Hopkins Universityの発表ではコロナへの対応はアメリカが世界一」だから、コロナの流行は心配ない、と記者会見で大見えを切った。そのことを指している。

当時は米国には素晴らしい車(コロナへの対応)があったが、
運転できない(トランプは)状況を滅茶苦茶にした。
という痛烈な皮肉をかましているわけだ。

こういうスパイスの効いた報道がアメリカの特徴だ。

(2020.12.9)

香港の失われる自由

香港を初めて訪れたのは1974年。大学3年のとき自分で企画したAIESEC主催の東南アジアステディツアーの最終訪問地だった。自由貿易港で高級品が安価で、英国と広東文化のまじりあったエキゾチックさに魅了された。猥雑で自由な都会だった。

金融機関に勤めてからはアジアの金融ハブとしての香港はいつも注目していた。英国から中国に返還されても、「香港が中国かされることはない。中国が香港かされるのだ」という英国人のアナリストのコメントを読みそうなると思っていた。経済的には中国が香港化されたが、政治的には香港は中国化された。

今、香港の自由は失われつつある。
今日のTBS報道特で、民間活動家二人と、それに続くApple Dailyの社主の収監を大きく取り上げていた。
TY局で香港政府に批判的な報道をしてきた時事報道のチーム全員が解雇されたということも報道された。

今の中国を見ると、国内では少数民族を抑圧し、核心的利益は絶対譲らず(尖閣、台湾、南シナ海)周辺諸国との武力衝突も辞さない。思想教育を強化し、反政府的な言動は厳しく取りしまり、共産党の利益にならないと判断すればアリババ(Jack Maは共産党員)の上場をも阻む。

これは太平洋戦争直前の大日本帝国に酷似していると思いませんか?
満州国という傀儡国家を作り、北部仏印さらには南部仏印に進駐する。
国内では思想統制を厳格にし、思想犯をとらえ大杉栄を憲兵が惨殺する。驚くほど似ている。

第日本帝国は無謀な米英相手の戦争に進み100倍返しをされるわけだが、今の中国は経済力、軍事力ともにアメリカに拮抗するので、尖閣や台湾に中国が攻めてきたとしても米国が即座に倍返ししてくれるかは覚束ない。

どうすればよいかはまた次回に回すとして香港に話を戻します。

Youtubeで中島みゆきの「世情」を見て下さい。
香港の雨傘運動の映像が流れ、当時の学生の高揚した民主化運動を映し出す。
今は集会も禁止され、命がけで民主化運動を行う香港人に目頭が熱くなる。

(2020.12.5)

1020年の歴史を持つ日本の老舗

ニューヨークタイムズに興味深い記事が載っていたので紹介したい。
This Japanese Shop Is 1,020 Years Old. It Knows a Bit About Surviving Crises. 2020.12.2

取り上げられている老舗は、「あぶり餅一和」を提供する一文字屋和舗。北区紫野今宮町にある疫神様の門前にある餅屋さんだ。

現代経営の考えでは、企業は利益を極大化し、大きく成長し、市場シェアと成長率を拡大して行くものだ。

しかし、一和の考えは全く違う。伝統を安定を利益と成長よりも重要と考えているのだ。更に、より高次な、疫神様にやってくるお遍路さんに奉仕するという目的がある。

日本には100年以上の歴史のある企業が33000ある。これは全世界の40%以上を占める。200年以上が3100あり、500年以上の歴史のある企業が140もある.

永続する企業ではコアバリューを家訓として難題にもわたり受け継いでいる。「従業員を大切にし、地域を支え、誇りを持てる商品を作り続けてゆく」といってことだ。

いたずらに拡大を求めないこれらの老舗は潤沢な手元資金を持ち、コロナ禍の売り上げ激減にも耐える金融力を持っている。

ニューヨークタイムズの記事は、こういった内容で、老舗の写真や京都の風景が載っている。日本人の我々には面映ゆくなるような内容だ。

老舗から発展した著名な企業として任天堂とキッコーマンが挙げられているが、中小企業全体が老舗の生き方ばかりしていては国としての活力は出てこないだろう。

ファイナンス理論的にはこれだけ借入金利が低い時は、金利を上回る収益が見込める際は借入を増やして(レバレッジを高めてなどと金融マンは言う)ビジネスを拡大すべきなのだが、日本の企業にはそうしたスピリットはずいぶん乏しくなった。

借入金利が低いのを良いことに、売り上げを上回る借金を重ねている主体がある。

財政赤字を野放図に拡大している日本政府だ。日本政府だけが拡大破滅型のワイルドなスピリットが持っているようだ。困ったことだ。

(2020.12.3)