1020年の歴史を持つ日本の老舗

ニューヨークタイムズに興味深い記事が載っていたので紹介したい。
This Japanese Shop Is 1,020 Years Old. It Knows a Bit About Surviving Crises. 2020.12.2

取り上げられている老舗は、「あぶり餅一和」を提供する一文字屋和舗。北区紫野今宮町にある疫神様の門前にある餅屋さんだ。

現代経営の考えでは、企業は利益を極大化し、大きく成長し、市場シェアと成長率を拡大して行くものだ。

しかし、一和の考えは全く違う。伝統を安定を利益と成長よりも重要と考えているのだ。更に、より高次な、疫神様にやってくるお遍路さんに奉仕するという目的がある。

日本には100年以上の歴史のある企業が33000ある。これは全世界の40%以上を占める。200年以上が3100あり、500年以上の歴史のある企業が140もある.

永続する企業ではコアバリューを家訓として難題にもわたり受け継いでいる。「従業員を大切にし、地域を支え、誇りを持てる商品を作り続けてゆく」といってことだ。

いたずらに拡大を求めないこれらの老舗は潤沢な手元資金を持ち、コロナ禍の売り上げ激減にも耐える金融力を持っている。

ニューヨークタイムズの記事は、こういった内容で、老舗の写真や京都の風景が載っている。日本人の我々には面映ゆくなるような内容だ。

老舗から発展した著名な企業として任天堂とキッコーマンが挙げられているが、中小企業全体が老舗の生き方ばかりしていては国としての活力は出てこないだろう。

ファイナンス理論的にはこれだけ借入金利が低い時は、金利を上回る収益が見込める際は借入を増やして(レバレッジを高めてなどと金融マンは言う)ビジネスを拡大すべきなのだが、日本の企業にはそうしたスピリットはずいぶん乏しくなった。

借入金利が低いのを良いことに、売り上げを上回る借金を重ねている主体がある。

財政赤字を野放図に拡大している日本政府だ。日本政府だけが拡大破滅型のワイルドなスピリットが持っているようだ。困ったことだ。

(2020.12.3)