経済図書ベスト4を2時間で読む方法

年の終わりになり、多くの新聞、雑誌やニュースレターで今年の何々のベスト10が発表されている。

日経新聞の12月26日朝刊では、エコノミストが選ぶ2020年の経済図書ベスト10。うちTop4は米国の経済学者の著書が占めている。

第一位「絶望を希望に変える経済学」(邦題)
”Good Economics for Hard Times” (原題)
by Abhijit Banerjee and Esther Duflo (著者)
(インド生まれ)MIT(フランス生まれ)MIT

第二位「適応的市場仮説」
”Adaptive Markets”
by Andrew W. Lo
(米国人米国人中国系)MIT

第三位「プログレッシブキャピタリズム」
“Progressive Capitalism”
by Joseph E. Stiglitz
(米国人ユダヤ系)Columbia

第四位「自由の命運」
“The Narrow Corridor”
by Daron Acemoglu and James Robinson
(アルメニア系)MIT (米国人WASP?) Chicago

これらの著書を購入して読むのは大変だ。
私がお勧めする簡単な(そう簡単でもないが)方法は、日本語訳の紹介から英文の原題と著者名を見つけ出し、題名あるいは著者名をGoogleで検索し、Videoが無いか調べることだ。

これくらい有名な著書だと、著者自身が著書について話をする動画が存在する場合が多い。短ければ10分、多くが30分、長いと1時間で著書が理解できる。30分x4=120分で4冊の著書をマスターできる。英語に自信がなければ字幕を出せば内容がよくわかる。

さて、このリストを見て(それぞれの動画を見て)気づいた点を以下にまとめよう。

1.「絶望を希望に変える経済学」の著者はご夫婦。
二人そろってノーベル経済学賞を受賞。すごい。
2.「適応的市場仮説」のLo教授はMITのFinanceの人気教授。
授業が動画配信されている、とてもお値打ち。
3.純粋経済学というより社会学的なアプローチが
目立つ。一位、三位、四位はそうしたアプローチ。
4.すべて米国の大学教授で、6人中4人がMITの教授。人種的な構成も多様であり、米国には多彩な人材を集めた強さがある。ノーベル経済学賞での米国優位は揺るぎそうもない。

(2020.12.29)