世界の動き 2025年11月13日 木曜日

今日の一言
「JPモルガンへの巨大な罰金」(少し長いですが事件をまとめました)
 ドイツ金融監督庁(BaFin)は、2025年11月6日にJPモルガンSEに対し、マネーロンダリング対策の不備を理由に過去最高額となる4,500万ユーロ(約80億円)の制裁金を科した。問題の核心は、疑わしい取引の報告義務違反にある。
● 制裁の概要と背景
 対象機関:JPモルガンSE(JPモルガン・チェースのEU統括法人、フランクフルト拠点)
 制裁金額:4,500万ユーロ(約52.5百万ドル)
 違反内容:
 2021年10月4日〜2022年9月30日の間、疑わしい取引報告(SAR)を「遅延なく」提出しなかった。報告義務違反が「組織的かつ継続的」であったとBaFinは判断。
 法的根拠:ドイツのマネーロンダリング防止法(Geldwäschegesetz)に基づき、金融機関は疑わしい取引を即時にFIU(金融情報機関)へ報告する義務がある
● なぜ問題なのか?
 即時報告の重要性:FIUが迅速に捜査や資金凍結を行うためには、報告の「即時性」が不可欠。JPモルガンSEの不備は、内部監視体制の不備や報告プロセスの遅延に起因しており、結果としてドイツのAML(マネロン対策)体制の信頼性を損なうものとされた。
●制裁の意義と影響 
 BaFin史上最大の制裁金:これまでの記録(ドイツ銀行への4,000万ユーロ)を上回る。

 EU AMLA設立直前の象徴的措置:2025年7月にフランクフルトに設立されるEUの新たなAML監督機関(AMLA)を前に、ドイツ当局の姿勢強化を示す動きと解釈されている。
 JPモルガンの対応:
「過去の問題であり、当局の捜査を妨げた事実はない」とコメント。既に内部体制の強化と職員教育の徹底を実施済みと説明。
●今後の注目点
 JPモルガンは2026年にドイツでChaseブランドのデジタル銀行を展開予定であり、今回の制裁はレピュテーションリスク(評判リスク)としても注目されている。国際金融機関に対するローカル規制順守の重要性が改めて浮き彫りになった事例だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.緊張地域での2件の爆殺事件
【記事要旨】
●インドとパキスタンで相次いだ爆破事件の概要
– 今週、インド(ニューデリー)とパキスタン(イスラマバード)で爆破事件が発生し、両国でそれぞれ約12人が死亡。
– 犯行の直接的関連性はないが、パキスタンではタリバンが犯行声明を出した。
– 両国間の緊張が再び高まり、5月の軍事衝突の再来が懸念されている。
●インドの対応と背景
– インドは慎重な姿勢を保ちつつ、デリーの爆発をテロとして捜査中。犯人は未特定。
– カシミールでの宗教的虐殺事件後、モディ首相はパキスタンへの軍事攻撃を実施し、今後のテロは戦争行為とみなすと宣言。
– インドはISなど複数のテロ組織を警戒している。
●パキスタンの反応と主張
– イスラマバードの裁判所前で自爆テロが発生。パキスタン政府はインドの関与を主張。
– タリバン政権がインドと連携しているとする見方が強まり、国内の暴力行為の責任をインドに転嫁。
– シャリフ首相は複数の攻撃が「インドの扇動」によるものと非難。インド外務省はこれを否定。
●地域情勢と外交の行き詰まり
– 両国の外交関係は近年最低水準。軍・政治指導者の強硬姿勢が目立つ。
– 一部の識者は冷静さを呼びかけており、全面戦争の可能性は低いとする見方も。
– ただし、春の衝突ではトランプ大統領の介入がなければ戦争に発展していた可能性があり、事態の急速なエスカレーションには警戒が必要。
【コメント】
 南アジアで核兵器を保有する2大国の緊張関係の激化だ。トランプに何かの効力があるなら、また出張ってもらおう。平和賞にさらに近づく。

2.エプスタイン被告のメール、トランプ大統領が自身の行為を知っていたと主張
【記事要旨】
 民主党議員らは昨日、刑務所で死亡した性犯罪者ジェフリー・エプスタイン被告が、トランプ大統領が自身の性的人身売買組織の被害者の一人と「私の家で何時間も過ごした」と書いたメールを公開した。あるメッセージの中で、エプスタイン被告はトランプ大統領が「少女たちのことを知っていた」と主張していた。
 数時間後、共和党議員らはエプスタイン被告の遺産管理団体から2万3000ページに及ぶ膨大な文書を公開した。共和党は、エプスタイン被告と不和になるまで友人だったトランプ大統領を守ろうとしてきた。しかし同時に、エプスタイン被告と権力者との交流の完全開示を求める有権者の要求にも直面している。
 トランプ大統領は、エプスタイン被告の性的人身売買組織への関与やその知識を断固として否定している。ホワイトハウス報道官は昨日、民主党が「トランプ大統領を中傷するために虚偽の物語をでっち上げようとしている」と非難した。
【コメント】
 これだけ証拠がそろってもトランプは言い逃れることができるのだろうか。たとえ、罪に問われなくても、MAGA層からの支持の低下はまぬかれないとは思う。

其の他の記事
・イスラエルは、ガザ地区北部への国境検問所を再開したと発表した。これは、同地区への支援物資の搬入を目指す団体からの長年の要請だった。
・高市早苗首相は、「過労死death from overwork」の爪痕が残る日本で午前3時に会談を予定したことで批判を浴びた。
・イスラエル大統領は、トランプ大統領から、汚職罪で裁判にかけられているベンヤミン・ネタニヤフ首相の恩赦を求める書簡が届いたと述べた。

2025年11月13日 木曜日