世界の動き 2025年12月15日 月曜日

今日の一言
「利益の先取り」
 GoogleのGemini3がChatGPTを大幅に追い抜いたという報道がある。ChatGPTのアルトマン社長は緊急事態を社内に宣言したそうだ。
 こうした競争で驚くのは、AIの開発競争がほんの一握りの人に依存しており、彼ら彼女らは巨額の報酬を得ていることだ。一説には2000万ドル(円ではありませんよ)を超える報酬を得て自由な執務環境を得ている技術者が多数いるということだ。競争で勝ち抜くには優秀な技術者を集め、維持する(他社への流出を防ぐ)ことが何より重要になるのだ。
 生成AIの普及で、デスクワーカーの80%は不要になるという報道がある。生産性も大いに上がるだろう。将来、AIの活用からコストを削減し利益を拡大するシナリオだ。これはまるで、将来削減されるデスクワーカーの給与が、現在のAI開発技術者に移転されているように見える。
 AIが開発企業に開発コストに見合う利益をもたらすのかが大きな議論になっているが、多くの人たちの未来の人件費が、本当に一握りの開発技術者に転嫁される構造は、すでに現出している。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.ハヌカでの銃撃
【記事要旨】
 シドニーのボンダイビーチで行われていたハヌカの祝いの場で銃撃事件が発生し、少なくとも15人が死亡、30人以上が負傷しました。オーストラリア当局は、ユダヤ人コミュニティを狙ったテロ攻撃と発表しています。容疑者2人のうち1人は射殺され、もう1人は負傷して拘束されました。
数百人が集まる祝祭の中、子どもたちが遊ぶ平和な雰囲気を銃撃が一変させ、約10分間続いたと目撃者は証言しています。犯人は歩道橋から発砲し、途中で一般人が1人の銃を奪う場面も確認されています。
オーストラリアでは銃乱射事件は稀ですが、近年ユダヤ人コミュニティは反ユダヤ的攻撃の増加に不安を募らせていました。同国はイスラエルに次いでホロコースト生存者の人口が多い国でもあります。
【コメント】
 カンガルーとコアラの平和な国というイメージがあったが、この銃撃には驚いた。社会的な分断が進んでいる証拠だろうか。

2.儲かる危険な仕事
【記事要旨】
 近年、サウジアラビアで働くケニア人労働者、特に家政婦として渡航した若い女性が250人以上死亡していることが明らかになりました。死因は感電や骨折、不審な転落などで、レイプや暴行、監禁、飢餓などの被害を訴える帰国者もいます。
 サウジ国内での労働者虐待は以前から報告されていましたが、今回の調査では問題の根源がケニア政府にもあることが判明しました。失業危機に直面するケニア政府は、労働者を海外に送り出すことで経済を立て直そうとし、サウジアラビアを最大の受け入れ先にしています。フィリピンなど他国が労働者保護策を整備してきたのに対し、ケニアは労働者を「安価で保護の乏しい存在」として売り込み、サウジとの合意でフィリピン人より約40%低い賃金に設定しました。
 さらに調査では、ケニアの政治家や大統領ウィリアム・ルトの家族が労働者派遣会社や保険会社を所有し、労働者の低賃金・無保護状態から利益を得ている実態が浮かび上がりました。政府は家政婦の月給を約260ドルに抑え、セキュリティーネットもなく、労働者保護のための研修制度も企業利益のために撤廃されています。
 政府や業界関係者は虐待の責任を女性自身に押し付け、「怠惰」「無知」「態度が悪い」と非難し、レイプ被害も「誘惑した」として退けました。業界ロビイストは女性を「雇用主の所有物」と呼び、労働大臣も同様の発言をしています。
 しかし実際に取材で出会った女性たちは、教育を受け、家族を貧困から救うために危険を承知で挑戦する意欲的な人々でした。政府の「高賃金の約束」を信じて渡航したものの、多くが命や尊厳を失う結果となっています。
【コメント】
 これはひどい実情だ。フィリピン人より40%安い賃金を、送り出し側の政府が保証しているとは。犬扱いしているという記述もある。供給が続く限りケニア政府による搾取が続きそうだ。

その他の記事
・ハマスの最高司令官、ラエド・サード氏が土曜日、イスラエル軍のガザ攻撃により死亡した。
・ゼレンスキー大統領は、ウクライナは強力な安全保障の保証と引き換えに、NATO加盟の即時放棄など、特定の問題で妥協する用意があると述べた。
・連邦捜査官は、土曜日にロードアイランド州ブラウン大学で発生した銃撃事件(学生2名が死亡、9名が負傷)に関与した容疑者を拘束した。
・香港の判事は本日、メディア王ジミー・ライ氏の国家安全保障裁判の判決を言い渡す。
・トランプ大統領は、シリアでの攻撃で米兵2名と通訳1名が死亡したことを受け、イスラム国(IS)への報復を誓った。

2025年12月15日 月曜日