犬を見る 

毎朝、大体9時ころに散歩している。道筋はほぼ決まっていて、途中で犬を見るのを楽しみにしている。ジャック・ラッセル・テリア(多分)でいつも犬小屋につながれている。9時頃までは犬小屋に朝日が当たるので、小屋の外に出ていることが多い。
彼(性別がわからない)が飼い主に伴われて歩いている姿を見たことが無い。彼は散歩に連れていってもらっているのだろうか。毎朝彼の顔を見て手を振る怪しい男を認識してくれているのだろうか。

散歩でよく合うのは、この犬。コッカスパニエル(多分)を二匹連れた体格の良い中年の女性。おじいさん(マスクあり) とおばあさん(いつもマスクなし)に連れられた幼稚園児と思われる女の子。先日は、コロナ以前に行っていた銭湯でよく見かけたおじさんを見た。無言ですれ違ったが、相手もわかったはずだ。同じ日に、丸子橋のたもとで、旧知の会計コンサルタントに出会ったときは驚いた。

人生をLPレコードに例えれば、私は輪舞曲(ロンド)を、回転するレコードの上で踊り続けてきた。その過程でいろいろな人々に出会ってきた。私と彼らのロンドに接点があったのだろう。コロナ下でロンドの接点がとても減ったが、犬と出会うのに楽しみを見出している自分がいる。

シェークスピアは人生を舞台に例えている。以下のマクベスのセリフは有名だ。
Out, out, brief candle! Life’s but a walking shadow, a poor player that struts and frets his hour upon the stage and then is heard no more.
哀れな舞台俳優より、輪舞曲を無心に踊り続けていくほうが幸せではないだろうか。

(2022.1.18 Tuesday)