世界の動き 2025年11月20日 木曜日

今日の一言
「日本の株式市場の脆弱性」
 AIバブルがはじけるかどうかひやひやしている投資家が多いだろう。米国で株式市場の崩落が起きたら、日本市場がどう反応するか見ておくのはリスク管理として必要だ。

 筆者は2度、株式市場の崩壊を経験した。一つはドットコムバブルの崩壊と、もう一つはサブプライム危機だ。それぞれの危機で米国市場と日本企業はどれだけ値下がりしたか見てみよう。

 • ドットコムバブル崩壊(2000〜2002)
  米国ダウ平均:ピークから約 –37% 下落
  日経225:2000年初頭から2003年にかけて約 –63% 下落
 • サブプライム危機(2007〜2009)
  米国ダウ平均:2007年高値から2009年安値まで約 –54% 下落
  日経225:2007年高値から2009年安値まで約 –61% 下落

 いずれも日本に原因がなく、特にサブプライムでは日本の金融機関の被害は米国に比べ極めて少ないのに株価の下落は日本のほうが大きかった。

 日本市場が米国以上に下落する理由は何だろうか。以下の要因が考えられる。
1. 構造的な弱さ
  日本は2000年代初頭には不良債権処理が長引き、金融システムへの信頼が脆弱でした。
  外部ショックに対して「自力で反発する力」が米国より弱かったため、下落が深くなりやすい。
2. 外資依存度の高さ
  日本株は海外投資家の売買比率が高く、米国発ショックの際に「連鎖売り」が起きやすい。
  米国市場が下がると、リスク回避で日本株が一斉に売られる構造。
3. 成長期待の差
  米国はITや金融で「次の成長物語」があり、回復も比較的早かった。
  日本は当時「失われた10年」の延長線上で、投資家心理が弱く、下落が長期化した。

  仮に「AIバブル崩壊」が起きた場合どうなるか予想したい。
• 米国市場
  AI関連株の中心は米国(NVIDIA、Microsoft、Googleなど)。
 バブル崩壊の直接的な打撃は米国が最も大きい。
 ただし米国は依然として多様な産業構造を持ち、他分野が「ショック吸収材」になり得る。
• 日本市場
 日本はAI関連の「本丸」ではないが、半導体製造装置や素材などサプライチェーンで米国に強く依存している。
 米国株が急落すれば、外資の資金引き揚げで日本株は連動して大きく下落しやすい。
 成長期待が米国より弱いため、「本家よりも下落率が大きくなる」可能性は高い。

  要すれば、
• 日本市場は「自国要因が少なくても、外資依存と成長期待の弱さ」で米国以上に下落しやすい。
• AIバブル崩壊が起きれば、米国が直接的な打撃を受ける一方、日本は「外資の売り」と「成長期待の脆弱さ」で再び大きな下落を経験する可能性がある。ということが言えるだろう。
 高市トレード効果が剥落する前に、利食いを強く勧めたい。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.欧州のテロ問題はどうなったのか
【記事要旨】
 ヨーロッパのテロ問題の要約
●過去の状況
– 2015〜2017年にかけて、バタクラン劇場、シャルリー・エブド、ニース、ベルリン、マンチェスターなどで大規模なイスラム過激派テロが頻発。
– 一度に数十人を殺害するような大規模攻撃が「日常化」していた。
●変化と衰退の理由
– ISISの崩壊:2017年までにシリア・イラクで領土と「カリフ制」の物語を失い、訓練拠点が消滅。
– 治安機関の強化:フランスでは過去10年で85件の攻撃を阻止。監視・摘発能力が向上。
– 都市の防御:ボラードなど物理的障害物の設置により車両突入型攻撃が困難化。
●動機に関する議論
– ジル・ケペルの見解:「アンビエント・ジハード主義ambient jihadism」=大規模攻撃は減ったが、オンライン上に潜在的脅威が拡散。
– オリヴィエ・ロイの見解:「過激主義のイスラム化the Islamization of radicalism」=移民2世の若者が不満の表現手段としてイスラムを選んだだけで、世代交代により衰退。
– 両者の理論は補完的であり、脅威は減少しつつも依然存在。
●現在の特徴
– 攻撃は小規模化し、失敗に終わることも多い。
– 実行者は10代の若者が中心で、イデオロギー色が薄く、学校銃乱射犯と区別が難しい。
– 動機はニヒリズムや心理的脆弱性、オンライン・サブカルチャーに根ざす。
●新たな懸念
– 小規模攻撃でも極右過激主義を刺激し、社会分断を助長。
– 「インターネット上のボラード」=過激化防止の仕組みが必要だが、テクノロジー企業は逆に防御策を弱めている。
●まとめ
 ヨーロッパのテロは、かつての大規模・組織的なイスラム過激派攻撃から、小規模で非イデオロギー的な若者による事件へと変化した。ISISの崩壊や治安強化で脅威は減少したが、オンライン過激化や極右の台頭など新たなリスクが残っている。
【コメント】
 日本では幸いイスラム過激派のテロは考えにくいが、オウム真理教のような狂信テロは起こりうるだろう。我が国のテロ対策はどうなっているのだろうか。

2.ロシア軍によるアパートへの攻撃で死傷者
【記事要旨】
 ロシアは昨日、ウクライナ西部テルノピリの住宅にミサイルとドローンによる集中攻撃を仕掛けた。ウクライナ緊急当局によると、少なくとも25人が死亡、約73人が負傷した。ロシア軍のミサイルが同市内の住宅に着弾したのは初めてだ。
 今回の攻撃は、ウクライナのゼレンスキー大統領がトルコでの会談で和平交渉再開を模索していたさなかに発生した。ウクライナ高官は、トランプ大統領のウィトコフ特使とロシア当局が、ウクライナに相談することなく戦争終結に向けた提案を準備していると述べた。
 汚職:ゼレンスキー大統領は、数百万ドル規模の賄賂スキャンダルに巻き込まれており、側近数名が関与している。
【コメント】
 休戦の「ディール」を早くまとめてください。トランプ大統領とウィトコフ特使の不動産ブラザース。

其の他の記事
・イスラエルはガザ地区への攻撃を開始し、少なくとも25人が死亡した。その前日には、レバノン南部のパレスチナ難民キャンプへのイスラエルの攻撃で、少なくとも13人が死亡した。
・世界で最も時価総額の高い企業であるNVIDIAは、最新の四半期決算を発表し、AIブームの現状を明らかにする。これは株式市場の不安を和らげる可能性もあるが、悪化させる可能性もある。
・ラリー・サマーズ前財務長官は、ジェフリー・エプスタインとのやり取りを示す電子メールが議会で公開されたことを受け、OpenAIの理事を辞任した。
・ミス・ユニバース大会では、審査員2人が辞任した。主催者が公の場で出場者を非難したことを受け、ミスコンを揺るがした2件目のスキャンダルとなった。

2025年11月20日 木曜日