今日の一言
「NVIDIAの決算」
昨日NVIDIAが第三四半期の決算を発表した。AI相場を持ち直す好決算だった。
業績は以下のとおりだ。
・前四半期の利益は319億ドル、売上は570億ドルで予想を上回る。
・今期の売上見通しは650億ドルと強気。
・ 来年までにBlackwell・Rubinチップで5000億ドルの販売契約を確保。
Nvidiaの好決算を受け、世界の株式市場が上昇した。S&P500先物やNvidia株、AI関連株(CoreWeave、Nebius、Oracle)も反発した。 VIX(恐怖指数)は低下、暗号資産も回復傾向だ。
CEOの発言が注目された。
ジェンスン・ファンは「AIバブルではなく、実需がある」と強調し、サプライチェーン強化により、Blackwellチップの旺盛な需要に対応可能と説明した。
特に “There’s been a lot of talk about an A.I. bubble, From our vantage point, we see something very different.” 「AIバブルについては盛んに議論されています。私たちの視点から見ると、全く異なるものが見えています。」というファン社長の発言は、それはそうなのだろうなと納得感をもって私は受け止めた。
ただ、課題と懸念は残る。
AIプロジェクトの約9割がNvidia製品に依存する一方、Google・Amazon・Meta・Microsoftは自社チップ開発を進めて依存度低下を模索している。 OpenAI、Mistral、Anthropicなどへの巨額出資(が「AIエコシステム強化」か「顧客囲い込み目的(資金還流)」か疑問視されている。
今が利食いの時期であることは間違いないと思う。
ニューヨークタイムズ電子版より
1.素晴らしい新世界?
【記事要旨】
・思想の自由の歴史的懸念
19世紀の民謡「Die Gedanken Sind Frei(思考は自由)」に象徴されるように、人間の心をコントロールされる恐怖は古くから存在。冷戦期にはソ連やCIAによるマインドコントロール技術への不安が広がった。
・現代の技術:ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)
脳表面に装着する小型デバイスが神経活動を読み取り、AIと連携して人の意図や動作を再構築。Neuralinkなどが実用化を進め、麻痺や疾患で失われた機能を回復させる事例が報告されている。
・応用例
– 患者が再び手を動かす、タイピングする、話すことが可能に。
– 過去の声をアルゴリズムで再現し、本人の思考を「声」として表現する事例もある。
・懸念点
– 思考や心という最も親密な領域へのアクセスが、商業的・政治的に悪用される可能性。
– プライバシーの限界を超えるため、倫理・法律・哲学的な議論が不可欠。
・思考の操作可能性
– 脳深部刺激療法で行動が変化する事例があり、脳操作による行動変容は可能。
– 光遺伝学ではマウスに偽の記憶を植え付ける実験が成功。人間への応用も理論的には否定されていない。
・ニューロプライバシー
脳活動や未言語化の思考をどこまで「プライバシー」として保護すべきかが議論されている。神経データは既存の個人情報と重なり、広範な規制が必要になる可能性がある。
・法的対応
米国の一部州やチリ・スペインなどで神経データ保護法が議論・制定されつつある。現状では健常者が合法的にインプラントを入手する方法はなく、議論はまだ初期段階。
【コメント】
BCIは失われた機能を回復させる革命的技術である一方、思考や心の自由を脅かす可能性を秘めている。ニューロプライバシーをどう定義し、法的・倫理的に守るかが「素晴らしい新世界」への分岐点となる。「技術の進歩が人間の自由の境界をどう変えるか」という根源的な問いそのものだ。日本ではこの議論がどう展開してゆくのだろうか。
其の他の記事
・トランプ大統領とニューヨーク市次期市長のゾーラン・マムダニ氏は激しく非難し合っている。本日、両者はホワイトハウスで会談する予定だ。
・イランは、国際的な核査察再開に関する合意から離脱すると発表した。
・サウジアラビアの皇太子は米国に1兆ドルを投資すると約束したが、同国の政府系ファンドの資金は底をついている。
・ブラジルで開催されていた気候変動会議で火災が発生し、数千人の外交官、ジャーナリスト、活動家が集まっていた会議参加者は避難した。
・米国は今週末、ヨハネスブルグで開催されるG20サミットへの参加する。トランプ大統領の同サミットへのボイコット表明から方針転換した。
・エヌビディアの好決算は、AIブームに対する投資家の懸念を和らげたが、あるアナリストは「バブルへの懸念を一日延ばしただけかもしれない」と指摘した。
・インドネシアでスメル山が噴火し、村々に灰が降り注ぎ、数百人が家から避難を余儀なくされた。
特集記事(高市首相の服装について)
日本の首相の象徴的なハンドバッグ
— 先週私が取り上げた著名な女性リーダーたちの中で、ハンドバッグを日常的に持ち歩いているのはただ一人、日本の高市早苗氏だけです。彼女の特大サイズの「グレース・ディライト・トート」は、ハンドバッグを愛用していた憧れのマーガレット・サッチャー氏へのオマージュです。私たちのチーフファッション評論家、ヴァネッサ・フリードマンが、自分の持ち物を持ち歩くことの記号学を解説します。
2025年11月21日 金曜日