世界の動き 2025年11月19日 水曜日

今日の一言
「ポリティカル・リスク」
日中関係の緊張で、中国人客の減少が予想される大手デパートや化粧品会社の株価の下落が大きく報じられていた。
もう一つあった。FOOD & LIFE COMPANIESは、国内外でスシローを中心とした寿司チェーンを展開し、当期(2005年9月期)は売上収益4,295億円(前期比19.0%増)、営業利益360億円(同54.4%増)と過去最高を更新した。特に海外事業(特に中国)が好調で、売上42.6%増、利益126.9%増と大きく成長した。株価は11月前半は8000円を超えていた。ここまでは17日までの話だ。
高市首相答弁への中国の猛反発を受けて、株価は一挙に6000円台に急落した。中国の店舗が石を投げられるような事態になれば一層の株価下落は避けられまい。まさにポリティカル・リスクが顕在化する事象だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.鉛に覆われた町
【記事要旨】
– 健康被害の深刻さ
ナイジェリア・オギジョOgijoでは、自動車バッテリーのリサイクル工場から発生する鉛粉塵が町全体に広がり、住民は呼吸や接触を通じて鉛を体内に取り込み、脳や神経系に深刻な障害を受けている。特に幼児は不可逆的な脳損傷の危険にさらされている。
– 調査結果
住民70名の血液検査で7割が有害な鉛濃度を示した。リサイクルされた鉛は米国大手バッテリーメーカーにも供給されており、グローバルなサプライチェーンの一部となっている。
– 構造的問題
・裕福な国々では厳しい規制により鉛汚染が抑制される一方、規制の緩い国へ生産が移転。
・仲介業者に依存する仕組みのため、メーカーは鉛の安全性を十分に確認できず、責任の所在が曖昧。
・「安く済ませる」インセンティブが強く、環境対策を行う企業は競争に敗れ、廃業に追い込まれる。
– 他業界との共通性
違法伐採、労働弾圧、児童労働など、他の産業でも同様にサプライチェーンの奥深くで不正や人権侵害が隠されている。
– 本質的な問題
サプライチェーンが複雑化し、消費者や企業から見えない部分で「安さ」が優先される結果、環境破壊や健康被害が放置される。鉛汚染はその典型例であり、グローバル経済の構造的な矛盾を映し出している。
【コメント】
サプライチェーンでのESG強化は、言うほど簡単じゃないという警鐘記事だ。

2.米国議会、エプスタイン関連ファイルの公開に賛成
【記事要旨】
下院は、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインの捜査に関連するすべてのファイルを司法省が公開するよう命じる法案を圧倒的多数で可決した。
一部の共和党議員は、これらの文書を「でっちあげ」だと一蹴したトランプ大統領の怒りを買うことを恐れ、数ヶ月にわたって採決を阻止しようと動いていた。しかし、トランプ大統領は後に態度を翻し、議員たちに法案への支持を促した。トランプ大統領には議会の承認なしにファイルを公開する権限がある。では、なぜそうしないのだろうか?
【コメント】
数々の修羅場を潜り抜けたトランプは、窮地に陥っても悠然としている。そこが岩盤支持層が支持し続ける理由だろう。

3.トランプ大統領、殺害事件でサルマン皇太子を擁護
【記事要旨】
トランプ大統領は昨日、ホワイトハウスでサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子MBSを称賛し、2018年にワシントン・ポスト紙の記者ジャマル・カショギ氏が殺害され、遺体が切断された事件に関する記者の質問には答えなかった。「よくあることだ」とトランプ大統領は述べた。
カショギ氏がイスタンブールのサウジアラビア大使館で殺害されて以来、米国を訪れていなかった皇太子にとって、今回の訪問は外交面での目覚ましい転換となった。トランプ大統領は月曜日、中国と安全保障上のパートナーシップを結んでいる同盟国へのF-35戦闘機の技術売却に伴うリスクを懸念しながらも、サウジアラビアへのF-35戦闘機売却の意向を表明した。
【コメント】
この二人はとてもウマが合いそうだ。

其の他の記事
・ウクライナのゼレンスキー大統領は、本日トルコを訪問し、ロシアとの和平交渉を活発化させようとしていると述べた。
・Googleは新しいAIモデル「Gemini 3」を発表し、OpenAIやAnthropicとの競争を激化させた。
・元財務長官でハーバード大学学長のラリー・サマーズ氏は、ジェフリー・エプスタインとの関係が新たに明らかになったため、公の場での発言を控えると述べた。
・国連安全保障理事会はトランプ大統領のガザ計画を承認したが、前途は依然として厳しい。数百人のガザ住民が謎の飛行機で南アフリカに到着し、同国政府を驚かせた。
・メトロポリタン美術館は、朝鮮戦争中に米軍が奪取したとみられる227年前の仏像を返還した。

2025年11月19日 水曜日