世界の動き 2022.1.4

NYTimesの電子版より

1.オミクロン株の急拡大とデータが示す希望
世界では一日150万人という未曽有のペースでオミクロン株による感染が広まっている。ただ、オミクロン株は患者を重症化させるリスクは少なく、ワクチン接種、特にブースター接種が重症化防止に有効だとのデータが英国で得られた。それで以下のようなことが言われ始めた。
Governments are now redoubling their focus on vaccinations and boosters, which are increasingly seen as the world’s ticket to “living with Covid.”

2.中国政府は香港の自由メディアを黙らせるためにメディア人を逮捕
Stand NewsとCitizen Newsの関係者が逮捕された。リンゴ日報の創業者・発行人の逮捕は記憶に新しいですね。
Jimmy Lai, who led the aggressively independent tabloid Apple Daily, was arrested in 2020 under a national security law aimed at quashing (鎮める)dissent.

3.非民主的な指導者はEUに属しているのか
Viktor Orban, Hungary’s prime minister, proudly refers to his country as an “illiberal state.”
こうした人間をEUは受け入れるのか?受け入れるべきでないのか?
EUの指導者たちは結局は事なかれ主義のようだ。Orbanをメルケル首相も受け入れていたのだ。
The leaders “prefer not to deal with hot potatoes or each other’s business when they can avoid it.”

(2022.1.4)

世界の動き2022.1.3

New York Timesの朝一の電子版による記事を使って、日本では殆ど報道されない世界の動きを紹介したい。

1.南アフリカの国会議事堂の火災
国会と隣接する旧議会ビルも大きな被害を被った模様。人の被害が無かったのは不幸中の幸い。50代の男が逮捕されたが詳細は不祥。ツツ司教の死去(2021.12.26)が政情の不安定要因になっているおそれ。
The blaze broke out a day after South Africa bid farewell to the archbishop with a simple funeral. Tutu’s death has reignited a conversation about the country’s reconciliation process and its democracy.

2.韓国と北朝鮮間の非武装地帯をめぐる違反
韓国軍は1月2日に不明者が韓国から非武装地帯を越え北朝鮮へ入国を図ったと発表。北と南は平和条約は結んでおらず休戦状態。
The two Koreas have technically been at war for decades — the Korean War halted in 1953 with a truce〈(休戦), not a peace treaty. Some 33,800 North Koreans have defected to the South since famine struck the​ North in the 1990s.
金正恩は北のトップになってすでに10年たった。難しい舵取り。
Kim Jong-un has begun his second decade as North Korea’s leader with a vow(誓い) to alleviate the country’s chronic food shortages, a problem that he inherited from his father 10 years ago.

3.中国は女性の権利を改善するとアピール
最近の女性の権利に関する法律の改善は大きな勝利と中国政府が喧伝。
But many women are skeptical that real progress will follow.
The government has sought to control China’s fledgling (未成熟の)#MeToo movement.
習近平は旧時代的で女性の地位向上に後ろ向き。Peng Shuaiの事件のごとく臭い物には蓋。
Peng Shuai(彭帅), a star tennis player, was censored within minutes after she said on social media that a top Chinese leader had pressured her into sex.
Women have been increasingly pushed out of the workplace and into traditional roles since China’s leader, Xi Jinping, assumed power.

(2022.1.3)

「命の経済 パンデミック後新しい世界が始まる」ジャック・アタリ 

読まなかった本の感想文(第一回)

この本はずっと枕元に置いていたが、年末年始の時間にやっと読むことができた。

印象:博覧強記の政治家であり作家、当代きっての文化人の謦咳に触れることができる。

表題の命の経済とは:

 著者の説く「命の経済」の概念を要約するのはとても難しい。
 パンデミック禍に株式市場ではStay at home銘柄が注目されたが、命の経済の大宗は市場の外にあるエッセンシャルな人的サービスによりもたらされるものだ。
 社会的/国際的な弱者を含む人の命を守ることを優先した経済システムを確立すべきであり、そのためには、教育は死活的に重要であり、食生活の改善や、環境保護も重要だ。
 こうした動きは営利追求型経済から非営利型経済への変化をもたらすことになる。こうした動きは、従来の資本主義とそれを支える人と物の狂った発展にその限界を見出させることになるかのようだ。

利他主義:

 著者の根底には、限られた地球の中で利己主義では生きて行けない、Altruism is the most rational form of selfishness. という考えが透徹している。こうした考えこそがポストコロナの時代に希望を持たせることになる。

 

結論:

専制主義に打ち勝つ「闘う民主主義の5原則」や、米中の覇権争いの行方への洞察等々、全編にわたり目からうろこの連続の良書。一読をお勧めします。

(2022.1.1)

年々や猿に着せたる猿の面

ブログの更新をさぼっていたので読者の皆さんから「何しているんだ」というお叱りを時々頂いた。

今日は大晦日。
うっとうしかった2021年も大団円である。
年の終わりにあたり、意を強くして、久しぶりに更新する次第だ。

題名は、正月を読んだ芭蕉の句だ。
アメリカの友人が年末の挨拶メールで引用していたので
久しぶりに思い出した句だ。

解釈は簡単ではない。
「年々猿回しが正月になると家にやってくる。
猿に猿の面をかぶせても中身は猿のままで変わりはしない。
人間も同じで新年だと言って改まって見せても変わりはしない。」
という意味だ。

久保田万太郎の名句。「去年今年 貫く棒の 如きもの」でも変わらない歳と人間が述べられており、こうした考えは我々の好みなのかもしれない。

コロナ禍で心も身体も鈍ってきており、このままではちょっと不甲斐ない。
今年は今年の抜け殻として、
来年はより良き年にするために少し歩を進めたい。

(2021.12.31)

内部統制が機能しないという言い訳(2)

前回の記事で最も気になるのは、「カンタツ内部の問題とともに、グループ内部統制の機能が奏功せず、親会社としての管理が不十分であった」というシャープの説明だ。

内部統制が機能しなかったので不正会計事象が発生した、という説明は、東芝(利益かさ上げのための不正会計事件)でも、商工中金(全店を挙げて顧客の資料を改ざんしてまで災害融資を拡大)でも、日本郵政(かんぽで顧客を無視した保険の継続や解約によるノルマの達成)でも見られたことだ。

この「内部統制が機能していないから事件が起きた」という説明は一流大企業で使われ、わが国では広く受け入れられているように思われる。しかしながら、これは「試験勉強が出来なかったからテストの出来が悪かった」というようなもので、説明になっていない点を認識すべきだ。何故試験勉強が出来なかったを説明すべきなのだ。

内部統制が機能しなかったとすれば、何故機能しなかったのか、そもそもまともな統制が整備されていたのか、曲がりなりにも整備されていたとすると、内部統制のどこに不備があったか、なぜ機能していなかったかを分析しなければならない。

こうした分析の第一歩は、我が国の金融商品取引法における内部統制整備において求められる≪内部統制の基本的要素≫が組織に具備され有効に機能しているか確認することだ。

内部統制の基本的要素は以下の6つだ。
統制環境
リスクの評価と対応
統制活動
情報と伝達
モニタリング
IT(情報技術)への対応

今回はここまで。
次回は、これらの基本的要素の勘所を説明したい。

(2021.3.14)