読まなかった本の感想文(第一回)
この本はずっと枕元に置いていたが、年末年始の時間にやっと読むことができた。
印象:博覧強記の政治家であり作家、当代きっての文化人の謦咳に触れることができる。
表題の命の経済とは:
著者の説く「命の経済」の概念を要約するのはとても難しい。
パンデミック禍に株式市場ではStay at home銘柄が注目されたが、命の経済の大宗は市場の外にあるエッセンシャルな人的サービスによりもたらされるものだ。
社会的/国際的な弱者を含む人の命を守ることを優先した経済システムを確立すべきであり、そのためには、教育は死活的に重要であり、食生活の改善や、環境保護も重要だ。
こうした動きは営利追求型経済から非営利型経済への変化をもたらすことになる。こうした動きは、従来の資本主義とそれを支える人と物の狂った発展にその限界を見出させることになるかのようだ。
利他主義:
著者の根底には、限られた地球の中で利己主義では生きて行けない、Altruism is the most rational form of selfishness. という考えが透徹している。こうした考えこそがポストコロナの時代に希望を持たせることになる。
結論:
専制主義に打ち勝つ「闘う民主主義の5原則」や、米中の覇権争いの行方への洞察等々、全編にわたり目からうろこの連続の良書。一読をお勧めします。
(2022.1.1)