世界の動き 2022.1.11 Tuesday

N.Y. Times電子版より

1.ウクライナに侵入する計画はないとロシア言い
【記事要旨】
 ジュネーブで、ウクライナに関する米(代表Wendy Sherman, the lead American diplomat)露(代表Sergei Ryabkov, a Russian deputy foreign minister)による外交交渉が行われた。
 ロシア曰く There is no reason to fear some kind of escalatory scenario.
米国曰く the U.S. was pushing back on security proposals that are simply non-starters for the United States.
【次は何が起きるか】
The talks were the first in a series of discussions that will take place in Geneva, Vienna and Brussels this week. Ukraine will be missing from two of the three sessions; President Volodymyr Zelensky has decided not to rely wholly on U.S.-led negotiations.
【感想】
 3回の会合で当事国ウクライナは2回に参加させられず。
 当事者である小国の悲哀はチェコ抜きにヒトラーとチェンバレンによりチェコ問題が話合われたミュンヘン協定のようである。
  ミュンヘン協定についてwikipediaで是非調べていただきたい
 特にドイツとチェコの間で帰趨が何世紀にもわたりもめたズデーテン地方の帰属問題は日韓間のねじれた問題解決の糸口になるかもしれない。
  ズデーテン地方についてwikipediaで是非調べていただきたい

2.裁判所の判断でジョコビッチは今のところオーストラリアに滞在できる
【記事要旨】
 裁判所は、ジョコビッチの有するビザの有効性を認める判断をしたものの、出入国担当相がジョコビッチの有するビザを無効にすることが可能であり、ジョコビッチが豪州オープンに出場できるかは確定していない。
【感想】
 このニュースは日本でも大きく報道されましたね。数少ない海外ニュースの一つでした。

3.大統領暗殺者への繋がりが疑われるハイチの首相
【記事要旨】
 Ariel Henry首相はJovenel Moïse大統領暗殺の容疑者である内務省の役人との緊密なつながりが発見されている。
【感想】
 Hnery首相の嫌疑はかなり濃く、彼が逮捕されることになればハイチの混迷がさらに続くだろう。

NewYorkerの記事から
  The Great Siberian Thaw(雪解け)
Permafrost (永久凍土)contains microbes(微生物), mammoths, and twice as much carbon as Earth’s atmosphere. What happens when it starts to melt?
  温暖化でシベリアの永久凍土が解けると言われているが大問題が起こりそうなのですね。

(2022.1.11 Tuesday)

世界の動き 2022.1.10 Monday

N.Y. Tines 電子版より

1.裁判所の聴取をまつジョコビッチ
【記事要旨】
月曜(Today)のヒアリングがジョコビッチがオーストラリアに入れるか追放され(今後3年間入国できない恐れもあり)るかを決定する。
ジョコビッチ側の論拠は2021年12月中旬にCOVIDに罹患したのでワクチン接種をせず入国できる条件に該当すると豪州テニス協会が述べていたこと。
豪州政府はワクチン接種を入国の必須条件としてはっきりと明記していたが、テニス協会が政府方針と矛盾する内容を参加選手に伝えていた可能性がある。
【感想】
政府方針(建前と本音がある)と現場の取扱いが異なることはどこにでもありそうで、最終的には「政治判断」で決定するのが通常のパターン。
この手の話は、我が国でのオミクロン株をめぐる取扱い、在日米軍との取り決め、追加ワクチン接種等々で次々に表面化しそう。
ジョコビッチは12月に陽性判明後マスクせずに会合に参加したり、素行にも問題は有りそう。入国が認められた方がファンは喜ぶでしょうね。
【関連記事)
At least six American figure skaters have tested positive, raising concerns about the upcoming Winter Olympics in Beijing.

どう対応するか難しそう。

2.カザフで暴動続く
【記事要旨】
6000人が逮捕され、ケガ人は2000人以上。死者は数十人。最大都市アルマトイは戦場の様相。
ロシア軍は3方向からカザフスタンを取り囲んでいる。ロシアに支援を求める現政府の姿勢は中央アジアでの大きな不安定要因になる恐れ。
【表現】
The tension comes after Nursultan Nazarbayev, Kazakhstan’s leader since its founding, began gradually handing power to a successor in 2019. Chaos typically follows autocratic leaders on their way out.
確かに専制的な指導者が退く際に(あるいは専制的な指導者が民主化運動や外圧で退かされる際に)起こるのは経験としてよくありますね。
【感想】
ウクライナに続きカザフでもロシアと交渉をするのはバイデン政権にとって頭の痛い話。普通は、外交危機は国内での支持率の上昇に結び付くが、国論が大きく二分され民主主義の危機にある米国では、支持率上昇につながりそうもない。上手く扱わないと支持率がますます下がりそう。

3.サウジの王女、牢屋から釈放される
【記事要旨】
本当の理由は明らかにされていないまま3年前に牢屋に入れられたPrincess Basmah bint Saudが解放(解放された理由も明らかにされていない)された。 逮捕前、同王女(現在58歳、元国王の娘)は、サウジの人権や政治についてオープンに批判をしてきた。
サルマン王子が権力を握るにつれて、牢獄に入れられるか自宅に幽閉された女性・人権擁護派の王族が多いが、多くはまだその状態が続いている。
【感想】
サウジの人権問題の記事や、著名新聞記者の殺害事件の続報は、日本では見ることができません。

(2022.1.10 Monday)

世界の動き 2022.1.7

N.Y. Times 電子版より

1.バイデン大統領が「トランプは民主主義を危険にさらすもの」と非難
 思い起こすと1年前の1月6日は選挙での敗北を認めないトランプ前大統領にそそのかされた群衆が米国会議事堂に乱入した日だった。1年経過後、バイデン大統領はトランプ氏を非難。
 非難の表現は英語NonNativeには役に立つ。
 President Biden denounced Donald Trump for spinning a “web of lies” and threatening democracy.
 Biden accused Trump and his allies of holding “a dagger at the throat of America” and attempting to undermine the legitimacy of the election system — comparing Trump’s actions to those of autocrats and dictators in faraway countries.
 It was Donald Trump’s big lie that soaked our political landscape in kerosene.
 It was Donald Trump’s rally on the Mall that struck the match. And then came the fire.
 こうした非難をバイデン大統領と民主党の上院議員は繰り広げたが、聴衆には共和党の上院議員は一人もいなかった。トランプの共和党へのグリップは他の追随を許さず、トランプが大統領選の第一候補だそうな。
 ああ、かくも長く、深い分断! 民主党も共和党も若くて活きのいい候補はいないものかな。

2.ロシアがカザフスタンに派兵
 これは昨日の続報ですな。
 デモは暴徒化し、政府建物への放火が相次ぎ、400人以上が負傷し、2000人が逮捕された。警察にも死者多数。それで、
 By morning, commercial banks and stores were ordered to close, causing people to rush to A.T.M.s to collect cash and line up for bread.
 脱現金と言うけれど、家に現金をキープしておくのは政情不安定な国では生活の知恵ですな。
 ロシアの派兵についてはこう書かれています。
 The troop deployment is the first by the Collective Security Treaty Organization, a military alliance of former Soviet states, dominated by Russia. The operation was described as a temporary peacekeeping mission.
 CSTOは集団安全保障条約機構と呼ばれるのだが(私は初耳でした)、2015年現在、ロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの6カ国が加盟している。ワルシャワ条約機構の残滓というか発展形というか。
 口実があれば長く駐兵するのはロシアの得意技なのでどうなるか注視したいですね。

3.オーストラリアのコロナルールに衝突するジョコビッチ
 このニュースは日本でも大きく報道されていましたね。
 OKのビザをもらったと思ってきたら首相から歓迎されないと言われジョコビッチは驚いていることでしょう。
 月曜までは滞在できるようなのでどのような顛末になるかは見もの。

日本に関する記事
 今日は日本に関する小さな記事が2つありましたのでご紹介します。
1.Japan asked the U.S. to impose lockdowns on its military bases in the country as it tries to slow a spike in infections linked in part to outbreaks among American service member.
  日米地位協定(U.S.-Japan Status of Forces Agreement)を何とかして欲しいですね。
2.Japan signed a defense pact with Australia as concern about China’s influence in the region looms, The Associated Press reported.
  同床異夢っぽいQUADを何とかうまく機能させてもらいたいですね。
  関が原に例えると、中国が東軍で、QUADは西軍の印象。米軍は全世界の軍事力は中国より強大だが、アジアに限れば中国より劣勢なので、西軍に例えるのは妥当な感じがしますね。

(2022.1.7)

世界の動き 2022.1.6

N.Y.Times 電子版より

1.オミクロンの拡大によりインドで広がる既視感
数か月前にデルタ株の拡大で大きな被害を受けたというのに、今、またぞろ広がるオミクロンは既視感を与える。
Now, with the rise of Omicron, the mixed signals from the government and rapid spread through cities are fueling a sense of déjà vu.
 ニューデリーでは夜間の外出を禁止し、レストランや映画館の入場を制限している一方で、他方ではモディ首相はマスクなしに選挙のための遊説を行ってる、とか、政府の動きはちぐはぐだ。
 インド人が接種したワクチンの90%を占めるアストラゼネカ製ワクチンは重症化を防ぐ効果はあるようだが感染を防ぐ効果は殆どないことも問題のようだ。

2.カザフではデモ隊が政府の建物を焼き討ち
政府が価格のキャップを外したことにより燃料が倍に値上がりしたことに端を発する抗議デモが暴徒化。400か所に火をつけ、200人が逮捕され、警察発砲で最低一人が死亡した。
 このニュースは今日の昼のニュースで取り上げられていました。死亡者はもっと増えているようです。
 2019年に就任したトカエフ大統領(それまで27年間大統領として実権を握ってきたナザルバエフ前大統領の傀儡という見方もある)は、ロシアの支援で苦境を切り抜けようとしているがこれまで蓄積してきた国民の不満が一気に火を噴いている模様だ。
As protests continued, the president promised to “act with maximum toughness.” Authorities shut off the internet and blocked social media and chat apps.

補足:カザフスタンについて
・面積:大きい。日本の7倍。世界9位。旧ソ連の共和国で最大
・人口:1900万人(2021年国連資料)
・一人当たりGDP:10000ドル弱でけっこう高い
・民族はカザフ系68%, ロシア系19%
・宗教はイスラム教70%. ロシア正教26%
・ロシアと親密。中国とも親密(日本やECとも親密)だが中国の影響力の高まりはロシアは望んでいない模様。
・原油・ガス産出国だが燃料価格を上手くコントロールできない政治・経済の脆弱性がある。

3.仕事も希望も失った中国のハイテク企業
詳しく言うと以下のようなことです。共産主義に沿っていないという一言で政府は何でも出来る状態、というのは怖い。
Major corporations have been hit with antitrust fines, and media and entertainment platforms are pulling popular content and influencers, wary of repeated government warnings that the content is not ideologically appropriate.
 Tencent, Alibaba, DiDiといった欧米でよく知られたハイテク企業は業績が落ち込み株価も振るわない。

(2022.1.6)

世界の動き 2022.1.5

N.Y. Times 電子版より

1.中国の人権問題に。足踏みするIOC
人権活動家(英語だと右翼活動家と誤解しそうですな)の要望に応えないIOC.
Rights activists have asked the Olympic committee to ensure that Beijing 2022 merchandise had not been made under duress(脅迫) by Uyghurs in Xinjiang.

2.フィリピンでのワクチン非接種者に対するロックダウン
コロナの流行を押さえワクチン接種を推進するためにマニラと周辺で取られた強権措置。
Health officials have suggested that vaccine complacency (満足)was behind the latest rise in infections.

3.ラテンアメリカの大統領選挙で左翼陣営の勝利が続く
First in Mexico, then in Bolivia, Peru, Honduras and Chile — and perhaps soon in Colombia and Brazil — leftist politicians have won presidencies, often defeating right-wing incumbents(現職)
メキシコ、ボリビア、ペルー、ホンジュラス、チリ、.それにコロンビア、ブラジルか。こんなに左翼が勝っているのを知りませんでした。
アメリカにとっては裏庭での左翼政権は頭が痛い問題でしょうし、中国がすかさず影響力を強め、地域の不安定さが増す恐れがありますね。

(2022.1.5)