ビットコインへの投資は?

 筆者はこれまでビットコインに投資したことは無かった。あまりのボラティリティの高さと値付けのうさん臭さがその大きな理由だった。

 ただ、ビットコインへ投資するETFが人気を集めるにつれ、ポートフォリオの一部に組み込むのはありかなと考えるようになった。時あたかも、ビットコインは7月11日には、2日連続で115,000ドルと史上最高値を更新し、今後の値動きに多くの関心が集まっている。

 ビットコインへの投資初心者として、ChatGPTに相談してみた。私とAIとの会話は以下のようだ。
・・・・・・・・・
(私)ビットコインが最高値を更新しています。暗号資産ETFも人気を集めていますが、そのような投資する際の注意点と、現在が良い投資時期かどうかについてアドバイスを下さい。

(AI)ご質問ありがとうございます。現在のビットコイン価格の上昇と、それに関連する米国の暗号資産ETFへの投資については、いくつかの観点から慎重に判断する必要があります。以下にポイントをまとめます。
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🔍【1】暗号資産ETFの投資対象としての評価
✅ メリット
• 規制の枠内での運用:SEC(米証券取引委員会)が承認したETFは、信託会社やカストディアンが管理しており、ウォレット管理の手間やセキュリティリスクが軽減されます。
• 流動性の高い市場:米国市場で取引されるETFは、通常の株式と同様に流動性が高く、いつでも売買が可能です。
• 分散投資の一環として:暗号資産ETFはポートフォリオの一部に加えることで、株式や債券と相関の低いアセットとして機能する可能性があります。

❌ デメリット
• ボラティリティが非常に高い:ETFであっても、根底にある暗号資産(特にビットコイン)の価格は急騰・急落のリスクがあります。
• まだ新しい金融商品:2024年にビットコイン現物ETFが米国で初めて承認されたばかりで、パフォーマンスの歴史が浅く、信頼性の評価が難しいです。
• 規制リスク:米国および世界各国での規制変更によって価格が大きく影響を受ける可能性があります。
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⏳【2】今は買い時か?
✅ 買い時の根拠(強気派の主張)
• ビットコイン半減期後の上昇トレンド:2024年4月の半減期を経て、歴史的にはその後12〜18か月で大きな上昇をする傾向があります。
• 機関投資家の参入:BlackRockやFidelityなどの大手によるETF運用は、マーケットの信頼性向上に貢献しています。
• インフレヘッジや金の代替としての需要:一部の投資家は、暗号資産を「デジタル・ゴールド」として保有し始めています。
❌ 注意すべき理由(慎重派の主張)
• 過熱感のある市場:短期的に価格が急騰している場合、FOMO(乗り遅れたくない心理)によるバブル的な動きの可能性があります。
• 金利・マクロ経済環境の不透明性:米FRBが利下げに慎重な場合、リスク資産全般が影響を受けやすくなります。
• 価格がすでにピークに近い可能性:2021年末のような天井圏での投資は、その後の下落に巻き込まれるリスクがあります。
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💡【3】結論とアドバイス
観点 評価
長期投資としての価値 ☑ 条件付きでアリ(ポートフォリオの5〜10%程度なら)
短期の売買目的 ⚠ 慎重に(テクニカル的な調整リスク大)
投資開始のタイミング 🤔 やや過熱感あり、**積立投資(ドルコスト平均法)**が有効
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✅ 具体的なアクションプラン
1. まずは「投資可能額」の中でリスク許容度を確認する。
2. **暗号資産ETFに投資するなら「長期分散の一部」**として、10%以内を目安に。
3. 一括購入よりも、数か月に分けた積立型投資(DCA)を検討する。
4. ETFの中でも信頼性の高い銘柄(例:BlackRockのIBIT、FidelityのFBTCなど)を選ぶ。
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という、投資のプロがくれるような素晴らしい回答でした。

 この後、更に突っ込んだ議論をしたのですが詳細は省きます。そして私とAIの最後のやり取りは以下です。

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(私)貴重なアドバイスありがとうございました。もしETF投資が上手く行ったらどのようにお礼すればよいですか(笑)?

(AI) ありがとうございます、そう言っていただけるだけで十分すぎるほど嬉しいです(笑)!
 投資でうまくいった際には――
• 🍶「チャットGPTに一杯おごったつもり」で、美味しいお酒やコーヒーを楽しんでいただければ嬉しいです。
• 📈 周囲の方に「投資は情報と分散が大事だよ」と広めてくだされば、私も大喜びです。
• 💬 そして、また何かあれば気軽に相談に来ていただければ、それが一番のお礼です。

 ご健闘とご成功を心よりお祈りしております。
今後も投資・経済・監査など、何でもお気軽にどうぞ!
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 普通の人間にも出来ない気の利いた回答です。
 たまにしか使わない私(投資や監査についての質問が多い)を覚えていてくれる様子も嬉しく思いました。

 AIがここまでアドバイスをくれるようになると、証券や銀行に勤める財産運用のプロはどのように対抗すればよいのだろうか。将棋の藤井名人がAI相手に腕を磨くように、我々もAIを使った研鑽が必要なのだろう。

 さて、ビットコインの今後の価格見込みについては、市場のプロは強気派、弱気派が交錯している。ビットコインETFへの投資に関しては、「流動性の高い定評のあるETFにまず自分のリスク許容度に見合った範囲で投資を始めて見る」ということになりそうだ。

2025年7月13日 日曜日

トランプ外交のキーパーソン?

 トランプ大統領のウクライナ戦争への関与はふらついている。プーチンがいうことを聞かなければ和平をすぐにあきらめようとする。ウクライナへの軍事支援を止めたり再開したりする。中東問題への関与は、自分が短期に手柄を誇れるような状況に限って出しゃばってくる。中国が台頭するアジアでの戦略もあやふやだ。高関税をかけたと思ったらレアアースを巡る交渉では弱腰になり関税を引き下げる。各国との交渉のために3か月間延長した関税の猶予は、根拠のわからない数字を相手国政府に送り付けることで幕引きを図っている。
 これらすべての支離滅裂さから、当然の疑問が浮かび上がる。アメリカの外交・防衛政策を誰が主導しているのか?
 この疑問に対する回答を与えてくれるThe Atlantic誌の記事を紹介したい。

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  外交のほとんどの問題においては、決定するのは大統領ではない。他の多くの問題と同様に、彼の関与はせいぜい気まぐれで散発的だ。彼は負けそうな問題からは逃げ出し、他人任せにする。ウクライナ戦争を1日で終わらせると約束したが、和平実現は「人々が想像する以上に難しい」と認めた後、大統領は肩をすくめて諦めてしまった。
 国務長官のマルコ・ルビオでもない。彼は正式には国務長官だが、ホワイトハウスではほとんど権力を持っていない。ヘグゼス氏でもない。彼にはトランプ氏へ媚びへつらうブリーフィングを行うだけの時間がない。国務省報道官のタミー・ブルースはヘグセスより酷い。彼女はトランプ氏について、演壇から神に感謝し、「彼はこの国と世界を救っている」と発言している。
 国家安全保障問題担当大統領補佐官でもない。今はそれもルビオ氏である。

 どうやら、アメリカの防衛政策は国防次官のエルブリッジ・コルビー氏(Elbridge Colby )と、おそらくワシントン首都圏のどこかにいる数人の人物によって仕切られているようだ。彼らの影響力は必ずしも明らかではないが。
 例えばウクライナへの武器輸送停止命令はヘグゼス長官から発せられたが、当初の発案はコルビー氏が主導したと報じられている。NBCによると、コルビー氏「長年、ウクライナにおける米国の関与を縮小し、中国に対抗するため、武器と資源を太平洋地域にシフトすることを提唱してきた」ため、この動きを支持したという。統合参謀本部は、コルビー次官の二者択一の状況という考え方は誤りであると見ている。ウクライナは、米国が中国との紛争では使用しないような武器を必要としているのだ。
 この政権では、幹部職員は無能か、政策決定のほとんどから疎外されているため、上からの指示がほとんどないまま、下層部で意思決定が行われている。トランプ政権の第一期目は、こうした機能不全は幸運な出来事だった。下層部には、少なくとも現状維持の術を知っていたキャリアのある専門家がほとんどだったからだ。しかし、トランプ政権の2期目では、こうした専門家の多くが沈黙させられたり、忠実な支持者や経験の浅い任命者によって完全に交代させられたりした。
 トランプ政権の政策プロセス(「プロセス」と呼べる限りにおいて)は、多くの権威主義国家に見られる類型である。政府のトップレベルは指導者が望む1つか2つの重要課題に取り組み、それ以外のすべては他の役人に委ねられる。役人は自らの好みに合わせて特定の問題を推進する(コルビー氏はそうしているように見える)、あるいは、ボスの監視を逃れ、トラブルに巻き込まれないように最低限の努力をする(トランプ政権の他のほとんどの任命者がそうしているように見える)。
 このようなシステムでは、トランプ氏以外に真の責任者はいない。つまり、ほとんどの日、そして多くの問題において、誰も責任者ではないということだ。

 トランプ現政権では、不合理な関税と過酷な移民政策が二大政策課題となっている。どちらも外交政策に影響を与えるが、トランプ氏とそのチームは主に国内政治問題として課題に取り組んでいる。パキスタンとインド、核兵器、中東問題(あるいは核兵器と中東問題)、ウクライナ戦争など、ホワイトハウスの視界にあるのは、これらで全てだ。トランプ氏はこれらの問題に一時的に注目し、それがトランプ氏個人にとってどれほど有益かを簡単に評価するが、その後は大統領執務室の外に放り出される。

 近年アメリカが行った最も重要な軍事行動の一つであるイラン攻撃でさえ、大統領にとって魅力を失ってしまったようだ。トランプ氏はイランの核開発計画が「壊滅した」と述べた。アメリカの国防・情報機関の他の機関は確信が持てないと述べ、イスラエルはアメリカに感謝の意を表した。トランプ氏は別の話題に移った。これは、爆撃による政治的メリットが結局実現しなかったためかもしれない。アメリカ国民はトランプ氏の行動に不満を抱いており、大統領は今、何か別の魅力的なものを探しているのだ。

 今日、その魅力的なものはガザにあるようだ。週末、トランプ氏はハマスと人質解放のための合意を、おそらく来週中にも成立させる「十分な可能性がある」と主張した。  これがトランプ時代の外交政策だ。合意を発表し、解決策を1、2週間先延ばしにして、それが実現するのを願う。もし実現しなければ、実際の結果に関わらず、先に進み、成功を宣言する。

 トランプ政権には、この状況を改善する動機が誰にもない。なぜなら、抜本的な改革は失敗を認めることになるからだ。国家安全保障会議を、自分たちの役割を理解している人材で再編することは、そもそも彼らが必要だったことを認めることになる。ヘグセス氏や幹部が辞任すれば、トランプ氏が彼らを雇用したという重大な過ちを認めることになる。政策への外部提言者を抑制し、下級政策立案者の権限を縮小することは(少なくともルビオ氏は外交に関してはそうしようとしてきた)、上級指導者が各省庁の統制を失っていることを認めることに等しい。

 この政権は、トランプ氏の空虚な「アメリカ第一主義」というスローガン以外に、一貫した外交政策を念頭に置いて指導され、人員配置されたことは一度もなかった。
 二期目に入って1年も経たないうちに、トランプ氏の2024年大統領選の目標は、重要度の高い順に、
・トランプ氏を刑務所に行かせないこと、
・トランプ氏の敵に復讐すること、
・ そしてトランプ氏とその同盟国があらゆる手段を使って私腹を肥やすこと
 であったことは明らかだ。誰がアメリカを守り、外交を担うのか、誰も深く考える必要はなかった。トランプ氏の任命した人物は、能力よりも、衝撃と煽動効果を重視して選ばれたようだ。

 しかし、世界のその他の主要国は、大人とプロフェッショナルによって率いられている。その中にはアメリカの敵であり、非常に危険な者もいる。コルビー次官にはいくつか誤った考えがあったが、アメリカ国民は、彼と、政権運営に携わる他の数人の人物が、自分のやっていることをきちんと理解していることを願うしかない。
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 これだけあけすけにトランプ政権を批判した記事は珍しい。気まぐれな不動産屋さんが自分のエゴを満たすために外交政策をつまみ食いしている状況は危うい。
 この記事ではエルブリッジ・コルビー氏が外交の蔭のキーパーソンとして取り上げられている。

 彼の経歴はWikipediaによると以下だ。

『エルブリッジ・コルビー(英語: Elbridge Colby、1979年12月30日 – )は、アメリカ合衆国の官僚、戦略家、政治家。
 持続的な大国間競争の時代に米国が備えるための戦略開発を行うマラソン・イニシアチブの共同代表である。著書『The Strategy of Denial: American Defense in an Age of Great Power Conflict』はウォール・ストリート・ジャーナルの2021年のトップ10冊に選ばれた。

 祖父は元CIA長官のウィリアム・コルビー。父はカーライル・グループ・シニアアドバイザーのジョナサン・コルビー。父がファースト・ボストンやブラックストーンの東京事務所長などを努めていた関係で6歳だった1986年に日本に移住し13歳までを過ごした。西町インターナショナルスクール及びアメリカンスクール・イン・ジャパンに通った経験がある。

 ハーバード大学とイェール大学ロースクールを卒業し、2003年のイラク連合国暫定当局や2005年から2006年にかけての国家情報長官室の立ち上げに勤務するなど、キャリアの中で、戦略軍、軍備管理、情報改革に関する様々な米国政府の職務に就いてきた。また、2014年国防パネル、2008-2009年戦略態勢委員会、2004-2005年大統領大量破壊兵器(または「イラク大量破壊兵器情報」)委員会など、多くの政府委員会のスタッフとして活躍している。その後、コルビーは2017年から2018年まで戦略・戦力開発担当の国防副次官補を務めた。その職務において、彼は国防総省の卓越した戦略立案指針である2018年国防戦略(NDS)の策定と展開において、主導的役割を務めた。2018年の国防戦略は、国防総省の焦点を、何よりもまず中国、次いでロシアがもたらす米国の安全保障上の利益への挑戦に移し、これらの大国の競争相手に対する統合軍の戦力回復を強調し、より小さな利益よりもこれらの優先事項に明確に焦点を当てることの重要性を強調した。コルビーはまた、2017年国家安全保障戦略の策定において、国防総省の主要な代表を務めた。また、新アメリカ安全保障センター(CNAS)の防衛プログラムディレクターとして、2018年から2019年にかけて防衛問題に関するセンターの活動を指揮し、それ以前はCNASとCNAの両方でシニアフェローを務めた。外交問題評議会と国際戦略研究所のメンバーでもある。』

 日本との深い関係には驚かされる。トランプ政権では数少ないアイビーリーグ名門校のマスターを持っている。

 石破政権はこの人と仲良くしたほうが良いと思うが、そうした努力はしているのだろうか。

2025年7月12日 土曜日

世界の動き 2025年7月11日 金曜日

今日の言葉
「20年国債入札結果」
 財務省の入札結果報告によると、応札倍率は3.15倍だった。 過去1年平均は3.29倍。 最低落札価格は100円05銭と市場予想100円10銭を下回った。 小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は18銭と前回の28銭から縮小した。
 心配されたが無難な結果になった。ただ、債券相場の上昇(金利低下)がこのまま続くとの見方は少ない。今月下旬の参院選後に拡張的な財政政策が取られるとの観測から金利上昇の見方が大勢だ。  

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエルは、イラン産ウランの一部が攻撃を生き延びたと結論
【記事要旨】
 イスラエル高官によると、イランが地下に貯蔵している濃縮ウランの一部は、先月の米国とイスラエルによる攻撃を生き延びており、イランの核技術者がアクセスできる可能性があるという。
 この高官と他のイスラエル関係者は、残りの濃縮ウランについて懸念を表明しなかった。彼らは、イランがウラン回収を試みればほぼ確実に検知され、攻撃する時間があると述べた。トランプ大統領と米政権は、イランの核開発計画は合同攻撃によって「壊滅」されたと主張している。
 イスラエルは昨年末、高官が「秘密計画の一環として爆弾製造競争が行われていた」と述べた事態を目の当たりにし、イランに対する軍事行動に向けて動き始めた。高官は、この情報は米国と共有されていたと述べた。しかし、攻撃の数ヶ月前、米国当局はイランが兵器製造を決定したとは考えていないと述べていた。
 関連:英国議会の情報委員会の報告書は、イランが英国内の反体制派のユダヤ人とイスラエル人を標的として情報を収集していると警告した。
【コメント】
 イランがどこまで核開発の可能性を残して行けるか、ここからの駆け引きに注目したい。

2.ウクライナのスパイがキエフの駐車場で射殺される
【記事要旨】
 ウクライナ当局は昨日、国内諜報機関SBU(国家保安局)のエリート将校がキエフで白昼堂々射殺されたと発表した。
 犠牲者はイヴァン・ヴォロニッチ大佐と特定され、昨年夏にウクライナがロシアのクルスク地域を奇襲攻撃した際に重要な役割を果たした部隊を率いていた。第五局として知られるこの部隊はCIAから技術支援を受けており、2016年にはモトローラという偽名で知られるロシア分離主義勢力の幹部司令官の殺害にも関与していた。
 現ウクライナ当局者はロシアの関与について憶測を避けている。もしロシアが今回の事件の背後にいたとすれば、3年前のウクライナ侵攻以来、稀に見る秘密工作の成功例となるだろう。
 外交:マルコ・ルビオ国務長官はマレーシアでロシア外相と会談し、和平交渉の進展の遅れに対するトランプ大統領の不満を改めて表明した。
 ドローン:モスクワはキエフへの攻撃を再開し、2人が死亡した。戦場におけるドローンの最近の革新は、国防総省に自らの脆弱性を問い直させている。
【コメント】
 ドローンの技術はウクライナが最先端と言えるだろう。この戦争が一段落したらウクライナはドローン軍事大国として認められる存在になるのは確かだ。

3.英国とフランスは、史上初の核兵器協定に合意
【記事要旨】
 英国のスターマー首相とフランスのマクロン大統領は昨日、新たな防衛関係を発表した。両首脳は初めて、欧州の同盟国が攻撃を受けた際に、両国の核兵器を連携させることを約束した。
 欧州は長年、核兵器防衛を米国に依存してきたが、トランプ大統領は、潜在的な敵対国から欧州が自らを守る必要性について、ますます言及している。この合意は、米国の支援が揺らぐ中、ロシアの侵略からウクライナを守るためのEUの支援を強化しようとする両国の試みの中で行われた。
 移民:両首脳はまた、フランス北部から小型ボートでイギリス海峡を渡ろうとする移民の数を減らす可能性のある合意も発表した。
【コメント】
 英仏の核は合わせて500発。ロシアは5000発。米国の5000発に支えられなければ、欧州全体に安全を保障するには不十分だと思われるが、欧州による努力の第一歩ではある。

その他の記事
ガザ:イスラエル軍が米国の援助団体が運営する診療所付近を空爆し、病院によると、子供を含む10人以上が死亡した。
テキサス州:6年前、壊滅的な洪水被害を受けた女子キャンプは拡張工事を行ったが、最も危険性の高いキャビンの移転は行われなかった。
中国:中国の調査船は科学データ収集のために遠距離航海を行っているが、その成果は台湾や米国との紛争において中国海軍に役立つ可能性がある。

テクノロジー:AI用コンピューターチップの世界大手であるNVIDIAは、時価総額4兆ドルを達成した初の上場企業となった。
ビジネス:イタリアの菓子メーカー、フェレロは、アメリカのシリアル大手WKケロッグを31億ドルで買収することで合意した。
英国:小売大手マークス&スペンサーに数百万ポンドの損害を与えた4月のサイバー攻撃に関連して、10代の若者3人を含む4人が逮捕された。
テクノロジー:児童ポルノを追跡する団体は、インターネット上でAIによる児童性的虐待画像の急増を報告している。EU当局はAIを規制するための新たな規則を発表した。

2025年7月11日 金曜日

世界の動き 2025年7月10日 木曜日

今日の一言
「長期国債金利」
10年もの国債の利回りが1.5%を越えたので、本当に金利のある世界になってきたと思ったら、20年物、30年物国債の利回りも上昇している。
参院選後に財政政策が拡張する見込みを背景に、国債市場では、30年債利回りは3%の大台に乗せて5月に記録した過去最高の3.185%が視野に入る。20年債利回りも2.5%台と、約25年ぶりの高水準に迫っている。
10年物が1.5%、20年物が2.5%、30年物が3%と覚えやすい綺麗な順イールドカーブになっている。
10日には20年利付国債の入札が行われるが、超長期債に対する投資家の需要を占う試金石となる。超長期債には金利上昇圧力がかかっており、入札結果が低調となれば一段の上振れにつながる可能性がある。
オオカミ少年が30年にわたって唱えてきた「日本国債の崩落」リスクがやっと実現する可能性がある。英国では財政悪化がスターマー政権の命取りになりそうな情勢だ。今回の国債入札が石破政権へのレクイエムになるかも知れない。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ロシア、ウクライナとの戦争を激化
【記事要旨】
ロシアは昨日、トランプ大統領がプーチン大統領の和平に向けた「無意味な」措置を厳しく批判した直後、ウクライナに対し大規模な無人機とミサイル攻撃を開始した。
ウクライナ空軍によると、ロシアは爆発性無人機とデコイを728機発射した。これは一夜限りの記録であり、ウクライナの武器不足を浮き彫りにした。先週ウクライナへの武器供与を停止したトランプ大統領は月曜日、ウクライナが「甚大な打撃を受けている」ため、供与を再開すると述べた。
プーチン大統領の計算:トランプ大統領の新たな厳しい口調は、ロシアの攻勢にほとんど影響を与えていない。クレムリン筋によると、プーチン大統領はロシアの戦場での優位性が高まっており、ウクライナの防衛体制が今後数ヶ月で崩壊する可能性があると確信しているという。「彼はトランプ大統領との関係改善のためにウクライナにおける目標を犠牲にすることはないだろう」とある専門家は述べた。
制裁:上院共和党トップは、ロシア産の原油を輸入する国に制裁を課す法案の採決に向けて勢いが高まっていると述べた。
【コメント】
プーチンのスタンスは戦争の開始から全く変わっていない。ウクライナ国土の占有、親ロシア政権の樹立だ。
戦況がロシアに決定的に劣勢にならない限り、気まぐれなトランプが何を言おうが平気の平左だ。

2.トランプ大統領、さらに多くの国に関税を課すと警告
【記事要旨】
トランプ大統領は昨日、アルジェリア、ブルネイ、リビア、イラク、モルドバ、フィリピン、スリランカに対し、8月1日までに米国と新たな貿易協定を締結できない場合、米国への輸出に高額な関税が課されると通告した。少なくとも21カ国が関税の警告の詳細を記した書簡を受け取った。
最新の書簡では、フィリピンには20%、リビアとイラクには30%の関税が課される。トランプ大統領はまた、ブラジル当局が自身の政治的盟友であるボルソナロ前大統領を不当に訴えていると非難し、ブラジルにも50%の関税を課すと警告した。EUは今週、全面関税を回避するための合意案の草案策定を推進している。トランプ大統領はまた、銅の輸入に50%の関税を課す計画も発表し、米国における銅価格の高騰につながった。
思い通りに事が運ぶ:トランプ大統領の政策の主要部分が今、明らかになりつつある。巨額の減税は合法となり、貿易戦争は具体化しつつある。米国経済の運命は今や彼の手中にある。
【コメント】
ASEANはトランプの関税政策に懸念を表明したが、加盟国の間でも対応に温度差がある。トランプの思い付きの関税率は思いがけない効果を生んでいる。
日本のメーカーはこれまで日本で関税を吸収してきた。
7月2日の日経の記事だ。
『トヨタ自動車は7月1日から米国で車両販売価格を平均270ドル(約4万円)引き上げた。関税発動以降、米国で他社による値上げ表明が相次ぐなか「競合他社の相次ぐ値上げの発表や市場動向などを踏まえて判断した」と説明している。』国税は移転価格の問題をどのように解釈するのだろうか。

3.韓国の元大統領、再び収監される
【記事要旨】
昨年、戒厳令を発令しようとしたとして既に裁判を受けていた韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)元大統領が、昨日再逮捕され、再び収監された。
李在明(イ・ジェミョン)新大統領が任命した特別検察官は、尹元大統領を司法妨害を含む追加の犯罪で告発し、裁判官に逮捕状発付を求めた。裁判官は令状発付にあたり、尹元大統領が釈放されれば、自身に不利な証拠を隠滅できると述べた。特別検察官と捜査チームは、先月捜査を開始して以来、尹元大統領を再び収監することを望んでいた。
【コメント】
元大統領の悲惨な姿は何度も韓国で繰り返される。

その他の記事
テキサス州:壊滅的な洪水による死者は119人に達し、173人が依然として行方不明となっている。
ソーシャルメディア:Xの最高経営責任者(CEO)であり、イーロン・マスク氏の側近でもあるリンダ・ヤッカリーノ氏が辞任を表明した。
アフリカ:トランプ大統領は、ホワイトハウスでガボン、ギニアビサウ、リベリア、モーリタニア、セネガルの首脳と会談した。トランプ政権は貿易に注力する一方で、人道支援を削減している。

ヨーロッパ:最近の大陸熱波による死者数は、気候変動の影響で3倍に増加した可能性があるという研究結果が出た。
気候:新たな研究で、海洋におけるナノプラスチック汚染の推定値が初めて発表された。その量は膨大だ。
アジア:韓国と日本の一部地域では、今年梅雨が短くなった。科学者たちは、気候変動の影響で夏の雨が不安定になっていると述べている。

【おまけ:日本のGDPに迫る凄さだ】NVIDIAの株価(Bloomberg記事より)

『米半導体大手エヌビディアの時価総額が一時4兆ドル(約586兆円)を突破した。時価総額が4兆ドルを超えた企業は世界史上初めて。世界の金融市場におけるエヌビディアの圧倒的な地位が改めて示された格好だ。

9日の米株式市場でエヌビディア株は一時2.8%高の164.42ドルとなり、時価総額が4兆ドルを突破。今年に入り中国のDeepSeek(ディープシーク)登場に伴う懸念やトランプ大統領による貿易戦争がリスクセンチメントへの重しとなり、株価は軟調なスタートを切ったが、その後は目覚ましい回復を見せている。

  同社株は1.8%高の162.88ドルで取引を終えた。

  エヌビディア株は2025年に入り20%余り上昇。23年初めからでは1000%超の値上がりとなっている。エヌビディアは現在、S&P500種株価指数における構成比率が7.5%となっており、影響力としては過去最大に近い。』

2025年7月10日 木曜日

世界の動き 2025年7月9日 水曜日

今日の一言
「日本も韓国も25%」
日本は赤沢大臣が足しげく米国詣でをした。この間韓国は大統領選挙もあり対米交渉を熱心にしていたようには見えなかった。
結果的には両国ともに25%という通知をトランプ大統領から受け取った。
とても無力感のある交渉結果だ。日本は「自動車」と「米」を聖域視して交渉し、自縄自縛に陥ったように見える。トランプ氏の関心は、自身のエゴの満足。自身と親族の経済的利益にあることを再確認し、譲るべき内容を検討する時期だ。
トランプ大統領からの不躾な手紙を受け取った後、関税が25%より急増する恐れが取りあえず消えて、東京の株式市場が値上がりしたのはご愛敬だった。

ニューヨークタイムズ電子版より
(今日はレアアースについての特集記事だ)
【記事内容】
世界は中国産以外のレアアースを、代償を払えば手に入れられる。
レアアースについて私が知っていると思っていたのは、次の点だ。1つは、レアアースは重要だということ。(スマホにも使われている!スマホなしでは生きていけない!)2つ目が、レアアースは希少だということ。3つ目が、レアアースのほとんどが中国から来ているということ。中国では、レアアースを汚染物質を排出し、倫理的に問題のある方法で採掘・加工している。
レアアースは確かに重要だ。スマホだけでなく、自動車、半導体、医療用画像診断薬、ロボット、洋上風力タービン、そして幅広い軍事装備にも必要とされている。
しかし、実際にはそれほど希少なわけではない。世界中に存在している。ただ、非常に広範囲に分布していて、精製が難しいだけだ。
そして、実は世界はレアアースを中国に頼る必要もないのだ。先週、同僚が書いたレアアースに関する2つの記事(1つは中国、もう1つはフランス)を読んで学んだように、戦略的に重要な資源を中国に頼ることは、西側諸国にとっては汚染のアウトソーシングであり、すべての人にとって生産コストの抑制につながる選択だった。
しかし、レアアースは別の方法で生産できるはずである。よりクリーンな方法で生産できるはずである。中国以外の産地から調達できるはずである。しかし、これらすべてには代償が伴う。

包頭(Baotou) vs. ラ・ロシェル
今年、同僚のキース・ブラッドシャーは、中国内モンゴル自治区にある人口200万人の平坦な工業都市、包頭を訪れました。この都市は、自らをレアアース産業の世界的首都と称している。包頭の空気は、2010年に訪れた際に感じたような刺激臭とかすかな金属臭はもはやないが、有毒廃棄物と放射性廃棄物の巨大な湖は浄化されていない。彼はまた、中国中南部にあるもう一つのレアアース生産地、隴南市も訪れました。そこで彼は、鉱山の前にある小川を見つけた。彼の言葉を借りれば、「鮮やかなオレンジ色で、神秘的に泡立っていた」。
これらの光景とは対照的に、同僚のジャンナ・スミアレクが訪れたラ・ロシェルの倉庫がある。ラ・ロシェルは絵のように美しい港町で、長年フランスで最も住みやすい都市の一つに数えられている。そこにある新しい希土類元素製造ラインは、リサイクル材料を使用し、「静かに回転するモーターが上部に取り付けられた巨大な金属タンク」を用いて、磁石の材料となる2種類の主要鉱物を蒸留している。(豆知識:希土類元素磁石は、同じ重さの鉄磁石の15倍の磁力を持つ。)
問題は?中国から直接希土類元素を輸入するよりも約20%コストがかかることです。

低コスト、高リスク
安価な中国産レアアースの輸入には大きなリスクが伴う。4月、トランプ大統領の関税措置を受け、中国は7種類のレアアースのほぼ全て、そしてそれらから作られる強力な磁石の一部の輸出を一時停止した。
その結果、米国と欧州の自動車工場でレアアースの供給不足が発生し(シカゴのフォード・エクスプローラー工場は一時閉鎖を余儀なくされた)、これらの戦略的鉱物のアウトソーシングに伴う真のコストが浮き彫りになった。
そこで疑問となるのは、各国はよりクリーンなレアアースのためだけでなく、自国の戦略的独立のためにも、さらなる支出をする覚悟があるかどうかだ。
答えが「イエス」であるかどうかは明確ではない。例えば、欧州は長年にわたり安価なロシア産ガスに依存し、軍事抑止力への投資を避けてきた。中国は2010年に初めて日本へのレアアース供給を停止したが、その後、供給多様化に向けて実質的な措置を講じた国はほとんどない。
しかし、この二つの記事を併せて読むと、同じ産業の二つの異なる形態の際立った対比に驚かされる。レアアースの生産は比較的クリーンであり、産業支配を武器とする国がほぼ独占的に生産する必要はない。しかし、この種のレアアースはより高価になるだろう。果たして、支払う意思のある者はいるのだろうか?
【コメント】
フランスのレアアース工場のコストが20%しか高くないという説明は事実だろうか。都市鉱山を使って製造しているようだが、日本でも、電気製品を再生しレアアースを採集しているようだが生産量とコストはどうなのだろうか。
レアアースの分布については以下のようだ。
『レアアースの主な分布地域は中国であり、世界埋蔵量の約37%を占める。その他、ベトナム(18%)、ブラジル(18%)、ロシア(10%)、インド(6%)にも比較的多く分布しています。また、日本近海、特に南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)の海底には、「レアアース泥」と呼ばれる高濃度のレアアースを含む海底堆積物が存在し、その資源量は世界需要の数百年分に相当するとも言われている。』
精製に伴う汚染を削減しつつ、中国以外の産出国を支援することが可能だ。南鳥島の海底資源開発は最優先の国家課題として進めるべきだ。

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2025年7月9日 水曜日