世界の動き 2022年9月27日 火曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:

「献花」北朝鮮を訪問した際に巨大な金日成・金正日象の記念碑の前で献花した。花を売る売店で全員が花を購入させられた。巨大な献花台だったが、九段の献花はどのように進むのだろうか。

ニューヨークタイムズ記事
1.イタリアは極右へ
【記事要旨】
反EUの言動で知られたジオージア・メロー二が主導する右派連合の勝利が西側諸国の安定を阻害すると金融界は警戒している。得票率は、下院では、メローニ党首の「イタリアの同胞」が26%で最大。右派勢力は合わせて44%近くで最大勢力となる見通しで、メローニが女性初の首相になるのが確実。パンデミック対策やロシアのウクライナ侵攻に対して示した西側の結束が乱れる懸念がある。メロー二の連立諸党は親ロシアであり、ウクライナ戦争の継続でイタリアのウクライナ支援のスタンスに変化が現れる恐れが懸念される。
【コメント】
すごく目がぎらぎらしている印象の女性だ。EUでは経済政策の独自性は取りにくいから大きな変化は無いと思う。EUから独自策を取りたかった英国はEUを離脱した。結果、英国ポンドはほぼドルと等価にまで下落した。イタリアの右派ポピュリスト政策には限界があるだろう。

2.ロシアの徴兵事務所を銃で襲撃
【記事要旨】
プーチン大統領は先週、「予備役」を招集する部分的動員令を発令したが、ロシア各地で、動員令に対する抗議デモが続く中でシベリアのイルクーツク州で発砲事件が起きた。徴兵事務所でショットガンを持った男が発砲し、撃たれた事務所長は病院に運ばれ、男はその場で拘束された。男の母親によれば、男は兵役経験のない親友が招集されたことを知って、乱入したのだという。当局の発表では、兵役経験者にとどまらず未経験者や学生に届く混乱が発生しているという。
【コメント】
強圧で当局は押さえつけようとするだろうが、どういう展開になるだろうか。

3.中国でEVが爆増
【記事要旨】
今年中国で販売される車の4分の1がEVかプラグインハイブリッドで、中国以外の世界全体よりも多い。現在300以上のメーカーがEVを製造しており5000ドル以下からテスラやドイツ製EVに匹敵する高級車まである。400万か所以上の給電ステーションが設置され、EVは補助金依存でなく、消費者は実利でEVを購入進陽になっている。習近平は2014年にEVが中国が自動車大国になる唯一の道と述べ、大量の補助金でEVを育成してきたが、コロナ禍や不動産不況下で、中国経済で唯一の明るい分野だ。
【コメント】
日本のメーカー(特にトヨタ)のEV対応の遅れが気になる。

その他:
ハリス副大統領の来日
Kamala Harris is visiting Asia for a memorial honoring Japan’s former Prime Minister Shinzo Abe. While there, she’ll meet controversy at every turn, The Associated Press reports.
英国ポンドは対ドル最安値
The British pound briefly fell to its weakest level against the U.S. dollar on record.
スノーデンにロシア市民権
Edward Snowden, the former U.S. intelligence contractor who disclosed mass surveillance techniques to news media in 2013, was granted Russian citizenship.

2022年9月27日 火曜日

世界の動き 2022年9月26日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「国葬までの時間」
 再掲する。シャルル・アズナブールは死後5日後、吉田首相は10日後、エリザベス女王は10日後に国葬が行われた。安倍首相は7月8日に凶弾に倒れ、9月27日に国葬が行われる。死期が予見された方々との違いはあろうが、あまりに間が空きすぎている。国葬への批判が巻き起こる原因の一つだ。

ニューヨークタイムズの記事
1.イランでの抗議拡大
【記事要旨】
 2009年以来最大の反政府運動は80都市に拡大。クルド人が主体のOshnavieh市での運動が報道されることが多いが、クルド系住民は迫害を心配している。Mahsa Aminiという女性の死に端を発した抗議運動は、政府の弾圧で35人の死者を出し、多くの市民が拘束されている。
【コメント】
 ヒジャブを脱ぎ火をつける映像は衝撃的だ。イスラム教義は本来平和的なもので女性も尊重されているが、原理主義的な適用を現代の世界で実施しようとするのは誤りだ。

2.安倍首相の国葬
【記事要旨】
 7月に亡くなった安倍首相は明日埋葬される予定だ。この国葬に関して大きな不満と議論が湧いている。数千人がデモで反対を表明している。税金の無駄使い、人気のない安倍首相が独断で決定、と言うのが反対の理由だ。安倍の殺害は自民党と統一教会の関係に注目を集めている。統一教会は韓国発祥で、安倍の襲撃犯の家族のような日本の社会的弱者から多額の資金を集めてきた。安倍は海外で著名だったが、国内では国論を分ける政策を多く行ってきた。このような状況でなぜもっと多くの人々が国葬に反対しないか不思議だと社会学者は語る。山上被告は、経済的に社会的に打撃を受けている人たちにとってアンチヒーローになっている。
【コメント】
 今日の一言で書いたように時間がかかり過ぎだ。国葬是認派にとっても「気の抜けたコーラ」のようだ。Timesの記事で「埋葬される」とあるが、これも正確ではない。すでに荼毘に付された遺骨が、今回の国葬のために武道館に運び込まれたそうだ。

3.ロシアはウクライナで徴集
【記事要旨】
 ロシアは占領地域でウクライナ人の徴集を試みている。プーチン大統領の予備役を動員するとの発表に続き、ケルソンとザポリジャ州で18-35歳のウクライナ人は移動を制限され兵役に就くことを強制されている。ロシアは占領地域でロシアへの編入を求める国民投票を金曜から進めている。ゼレンスキー大統領はこうしたロシアの動きに徹底した抗戦を呼びかける。ロシアは予備役の動員では少数民族と地方から集中的に行っている。ロシア全土で予備役動員への抗議運動が起き、少なくとも745人が拘束された。
【コメント】
 デモ参加者は拘束され、招集令状が渡されるらしい。怖い国だ。

その他:
フィリピンでの台風被害
Super Typhoon Noru hit the main island of Luzon in the Philippines last night. Heavy rains and winds may cause devastating flooding and landslides.
イタリアでは右派政権
Italy voted in national elections yesterday. Giorgia Meloni, the far-right leader of a party with post-Fascist roots, is the favorite to become prime minister. Here are live updates.
フェデラーの最後の試合
Roger Federer lost the last match of his professional career, playing doubles with his friend and rival, Rafael Nadal.

2022年9月26日 月曜日

90歳以上で夫婦どちらも要介護にならずに済む確率は?

野口悠紀雄さんは尊敬する経済学者だ。日本経済と日本企業のの現状について正鵠をえた警鐘を鳴らし続けている。最近の同氏のお先が真っ暗になる論考を紹介したい。

「90歳以上で夫婦どちらも要介護にならずに済む確率はたった5%未満」という題名で「現代ビジネス」のWEBで2022年9月18日に発表されたものだ。
https://gendai.media/articles/-/99759?page=5

詳細は是非上記を読んで欲しいが、要点を記す。
「歳をとれば、要介護状態になる可能性が高まる。では、そうなる確率は、どの程度だろうか? これについて正確に把握している人は、それほど多くない。」と筆者は切り出す。70歳代では問題は顕在化しないが、「85歳以上90歳未満では、ある人が要介護支援になる確率はほぼ5割だ。だから、夫婦のどちらも要介護支援にならない確率は、0.5x0.5=0.25でしかない。つまり、この年齢層では、介護と無関係というのは少数派なのである。」 続けて「90歳以上になると、もっと厳しくなる。要介護支援になる確率は、実に78.2%だ。つまり、要介護支援にならない確率は21.8%だ。だから、夫婦のどちらも要介護支援にならない確率は、その2乗である4.75%でしかない。」
そして「長生きすることの意味はなにかと、改めて考え込んでしまう。核戦争が現実的な危機であった1960年代に『核戦争の生存者は、死者を羨むだろう』と言われた。来るべき人生100年の時代にも、長寿者は死者を羨むのだろうか?」という暗い言葉で論考を締めくくっている。

先日、ジャン=リュック・ゴダールがスイスで安楽死を選んだ。後10年も経つと、日本でも安楽死が大きな問題として取り上げられるだろう。

自分は現在71歳だ。母は83歳で肺機能障害で亡くなり、父は100歳で老衰で亡くなった。単純平均すれば91.5歳まで生きることになる。自分の老後はどう展開するのだろうか。

(2022年9月25日 日曜日)

フィリップス曲線

FRBの金融政策についての米国での論考を読んでいたら、経済学上の基本概念であるフィリップス曲線(以下、P曲線)が出てきて驚いた。私が読んだペーパーでは、「FRBのジェローム議長は、インフレ率5%、失業率5%での均衡を目指している」と述べ、考え方の基礎でP曲線を使っているのだ。それでP曲線についておっとり刀で調べてみた。

 P曲線とは、1958年に英国の経済学者、アルバン・ウィリアム・フィリップスが論文で発表した考え方で、「失業率をグラフの横軸に、賃金上昇率を縦軸にとって関係を描くと、賃金が上がる(下がる)ほど失業率が下がる(上がる)右肩下がりの曲線が描けること」が実証的に示され、賃金上昇率と失業率がトレード・オフの関係になるという仮説だ。

 野村証券の用語集をみると、「縦軸の賃金上昇率に代えて物価上昇率(インフレ率)を取り、横軸の失業率の関係をグラフにすると同様の右肩下がりの曲線になる。中央銀行が景気動向(失業率)を考慮しながら、金融政策でインフレ率をコントロールする際の判断材料として参考にするが、デフレ下でも失業率が低下したり、インフレ下での不況(失業率の増大)というスタグフレーションの場合もあり、右肩下がりのフィリップス曲線では説明がつかない経済事象も起こっている。」という詳しい説明がなされており、P曲線の概念を適用する際の限界も示している。

 日本は、直近で、インフレ率が2.8%、失業率が2.8%というレベルだ。インフレ率が上昇するにつれ景気が後退し、失業率も増加して行く恐れがある。米国に比べ、我が国ではインフレを抑制する手段も、失業率を下げる手段も乏しいと思われるのだが、一番問題なのは、このような基本概念を使って経済政策の妥当性を説明してくれる専門家が極めて少ないことだと思う。

(2022年9月24日 土曜日)

世界の動き 2022年9月23日 金曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「為替介入」
 急速な円安をけん制するために財務省・日銀はドル売り介入を行った。ドル売りの資金は外貨準備により制限されるので、介入の金額には制限がある。日銀だけが世界の中銀で大規模緩和を続けており、ヘッジファンドが安心して円売りを仕掛けてくるだろう。どれだけ介入で立ち向かえるかは不透明だ。円安には日本国民すら日本経済の現状と政府に信を置いていないことにあると思われる。

ニューヨークタイムズ記事
1.徴兵を恐れ人々はロシアから逃げ出す
【記事要旨】
 30万人の追加徴兵で、数千人の若者がバスで兵営に送られる一方、ビザなしで入国できるArmenia, Georgia, Montenegro, Turkeyへの航空便は満員だ。徴兵は戦闘経験のある者に限られるとのロシア政府の発表だが、そうでない人々にも徴兵通知が届いている模様。西側諸国は事態への対応に苦慮している。
【コメント】
 ベトナム戦争時、米国のドラフトを逃れてカナダに移住する若者が多くいた。国際化の進んだ現在は、閉鎖的なロシアからでも若者の移動は防げないということだろう。ロシア全土で厭戦気分が広がることを期待したい。

2.日本は円相場に介入
【記事要旨】
 円相場の更なる下落を防ぐために日本政府は24年ぶりに円買い介入を行った。FRBの基準金利を75bp引き上げたことにより円は145円以上に対ドルで低下し、過去一年で20%以上下落してきた。日本は主要国で唯一低金利政策を取り続けているのが、円相場下落の主因とされる。
【コメント】
 各国はインフレ対応で金利を上げているが、日本は2.8%程度しか物価は上昇していないので、金利を上げるのはまだ先だろう。「悪い円安」には当面単発的な為替介入しか手はなさそうだが、いつまで頑張れるだろうか。

3.クメール・ルージュへの裁判
【記事要旨】
 カンボジアで1970年代後半に170万人の人々を殺したクメール・ルージュへの裁判が15年以上続いている。国連主導の裁判は3億ドル以上の費用をかけ勧められたが結局罪に問われたのは3人だけで、クメール・ルージュの主要メンバーはトップのポルポトを始めすでに死んでいる。
【コメント】
 全く知りませんでした。確かポルポトの遺体はどこかに安置されていると記憶。圧政でカンボジアの発展は周辺国に比べて大幅に遅れた。現在はどうなっているのだろうか。

その他:
北朝鮮はロシアへの武器売却を否定
North Korea denied a U.S. intelligence report that it was selling millions of artillery shells and rockets ​to Russia, accusing the U.S. of spreading a “reckless” rumor.
海底火山の噴火が気温を上げる?
Tonga’s enormous underwater volcano that erupted in January may have caused a short-term spike in global warming, scientists said.
世銀総裁が地球温暖化を否定?
David Malpass, the president of the World Bank, refused to acknowledge that human-caused global warming earlier this week. Yesterday, he said he accepted the overwhelming scientific conclusion.

(2022年9月23日 金曜日)