世界の動き 2022年9月22日 木曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「一身上の都合」
Wikipediaの説明によると以下のようになっている。
「労働者の個人的な理由で職を辞する場合、例えば、病気療養のため、結婚により家事に専念するため、老親の面倒を見るために出身地での就職を希望するため、自己の能力を生かせる職場に転職するためという意味で用いられる。
労働者が自らの意思で退職する場合、退職願には具体的事情を記入せず、「一身上の都合により」退職したい旨を記載するのが半ば社会的慣わしとなっている。また、労働法上も退職理由を申告する義務はない。
退職届だけでなく、前の職場を辞めた理由について、履歴書や職務経歴書に記入する場合もある。ただし、リストラなどの会社都合で退職した場合は「一身上の都合により」と記載することはできない。」
ENEOSのCEOがこれを理由に退職する事態が発生し、本当の理由が今日発売の週刊誌で大きく取り上げられている。俳優の香川照之に続いて、自分の一生を棒に振る「一身上の愚行」だ。

ニューヨークタイムズ記事
1.プーチンは戦争拡大を予告
【記事要旨】
約30万人の予備役を動員を示唆。国民への演説で、国土を守るためには核兵器の使用も辞さず脅しではない、と語る。バイデン大統領は国連総会で西側リーダーは一枚岩でウクライナ支援を約す。ロシア国内では抗議運動で1252人が拘束された。国外脱出を図る片道切符で乗る人で飛行機は満員だ。ウクライナでのロシア軍は20万人と見られており、今回の動員は兵力を2倍以上にすることになる。
【コメント】
西側諸国が何を言おうがプーチンは聞く耳を持たない。プーチンを止めることは側近にしか出来ないだろう。

2.イランでの抗議行動が拡大
【記事要旨】
“Mullahs get lost,” “Death to the supreme leader” “Life, liberty and women.”と叫ぶ抗議行動が全土に拡大。政府は暴動鎮圧部隊や私服警官を動員し鎮圧を図る。抗議デモが盛んな地域では携帯電話、ネット、インスタグラムに制限がかかっている。国連で演説したライシ大統領は、デモにも、ハメネイ師の病状にも触れなかった。
【コメント】
行き過ぎたイスラム原理主義に対する女性の反乱がどこまで通用するか見守りたい。

3.ニューヨークはトランプを詐欺罪で告発
【記事要旨】
銀行借り入れを引き出すために資産価値を不正に膨らませた罪状でトランプと3人の子供をニューヨーク州の司法長官が告発した。州法を何点か違反しており連邦法も違反の可能性が高いと説明するが、トランプの立候補を禁ずることは出来ないと見られている。詐欺の一例として、ニューヨークのパークアベニューにある賃料が規制されているアパートが評価人の評価を6倍に改竄し292百万ドルと評価した例があげられる。
【コメント】
粉飾で被害にあったのは銀行ではなく米国民だという論調が出てこないと、トランプを止めるのは難しそうだ。

その他:
イルカの大量死
Around 230 pilot whales are stranded on a Tasmanian beach where 470 whales were beached in 2020. Half have already died.
欧州からの中国投資は冷え込む
European corporate investment in China has fallen steeply. It is now limited to a handful of multinationals.
南太平洋で中国とせめぎ合い
In an effort to counter China’s growing influence in the Pacific, the U.S., the U.K., Australia and New Zealand are conducting joint military exercises with Fiji, The Associated Press reports.

(2022年9月22日 木曜日)

世界の動き 2022年9月21日 水曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「基準地価」
 基準地価は、国土利用計画法にもとづき、都道府県 がその年の7月1日時点における基準地の1㎡当たりの価格を判定するもの。毎年9月下旬に公表される。 一般の土地取引のほかに、地方公共団体や民間企業の土地取引の 目安として活用され、「都道府県調査地価」とも呼ばれる。
 昨日の発表では、全国平均(全用途)の変動率が前年比プラス0・3%となり、3年ぶりに上昇に転じた。住宅地はプラス0・1%と、バブル景気が終わった1991年以来31年ぶりの上昇となった。商業地もプラス0・5%に転じ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた落ち込みからの回復が鮮明になった。
 驚くのは、上昇率のトップは住宅地・商業地ともに北海道の北広島市であること。人口集中が進む札幌市に比べ割安感があり、駅前の再開発やプロ野球・日本ハムファイターズの新球場の建設が進み、宅地需要や店舗需要が増えて上昇傾向にあるということだ。

ニューヨークタイムズ記事
1.ロシアは併合へ動く
【記事要旨】
 ロシアはウクライナで占領する4つの地域でロシアへの併合の住民投票を行う意向だ。ゼレンスキー大統領はロシアは自分の「国土」を防衛するためには核兵器の使用を辞さないと併合の動きを警戒し世界に警告。ロシアは民衆の草の根の要望で、ルハンスク人民共和国、ドネツク人民共和国、ケルソン地域、ザポリージャ地域で、住民投票を36時間以内に行うとプロパガンダ公表。米国は「茶番」だとするも、2014年には ロシアは同様な手段でクリミアを併合した。ロシア国内タカ派はこの動きを歓迎している。
【コメント】
 やるやると言ってきたが、今回は本当にやるのだろうか。ロシア占領地域の住民の声が西側には報道されない。住民はどう考えているのだろうか。

2.「このままではいけない」グテーレス事務総長
【記事要旨】
 国連総会が開催され、グテーレス事務総長は大胆な演説を行った。“We cannot go on like this. We have a duty to act. And yet we are gridlocked in colossal global dysfunction.” 「巨大な機能不全に対して行き詰まってる状況に対し行動を」と呼びかけた。“Let’s have no illusions. We are in rough seas.”とも訴える。
【コメント】
 岸田首相は国連で何を訴えるのだろうか。

3.イランで抗議運動広がる
【記事要旨】
 22歳の女性が勧善懲悪省警察に収監され死亡したのを原因に、イラン全土の都市と大学で主に女性による抗議デモが起きた。イスラム講和国の終焉と病床にあるハメネイ師の死を叫んだ。死んだ女性は顔を隠すヒジャブを着用せず3日間収監されたあと死亡した。今回の抗議運動は米国でのジョージ・フロイドが警官に殺された事件に例えられる。
【コメント】
 イランはイスラム革命以前は自由な国だった。今後の動きに注目したい。

その他:
パキスタンでは疫病が広がる
Hundreds of people in Pakistan have died in recent weeks from flood-related diseases, including malaria and dengue fever, and officials fear infections could spread, Reuters reports.
大規模補助金不正はアメリカでる
The U.S. Justice Department charged 47 people with stealing $240 million from pandemic aid programs intended to feed children in Minnesota.
アメリカでのFaxを使っていたんですね
Health data in the U.S. is a mishmash of faxes, emails and hand-typed spreadsheets, undercutting the country’s ability to respond to outbreaks.

(2022年9月21日 水曜日)

世界の動き 2022年9月20日 火曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「ER」
 エリザベス女王の国葬中継を観て、衛兵が大きなERと書かれた伝統的な衣装を着ていたのに気が付いた。これはエリザベス女王の紋章でElizbeth Regine(エリザベス女王の御代)を示すそうだ。チャールズ国王になるとCharles Reignになると言われているようだが、どう変わるのだろうか。

ニューヨークタイムズ記事
1.英国は女王を埋葬
【記事要旨】
 女王はウィンザー城でフィリップ殿下の傍らに埋葬され英国の公式な服喪は終わった。国葬はウェストミンスター寺院で行われ、王族に加え各国からの来賓、約200名の国へのサービスを提供した人々が参列した。ウィンザー城への道筋は数十万の見送りの市民で埋められた。ウィンザー城での最後の礼拝は親族だけで行われ女王を安らかに送った。女王は一つの時代のブックエンドだったという見方がある。
【コメント】
 国葬は、本当に葬儀そのものだった。王族、親族、国への貢献者、英連邦からの来賓、その他来賓、という順序付けがはっきりしていた。天皇陛下、バイデン大統領を画面で捜したがわからなかった。TVからでも厳かな葬儀に参加した感想を持った。

2.国連総会開始
【記事要旨】
 第77回総会が昨日から始まった。3年来で初の実開催の総会では、ウクライナをめぐるロシアと欧米の対立、貿易問題と台湾をめぐる米中対立、食料・エネルギー危機、パキスタンの洪水のような気候変動が話し合われる。韓国の尹大統領は本日演説予定で、北朝鮮の核脅威に対して米日との協力で対抗する姿勢を示す。中露とインド首脳は総会に出席しない。欧米はイランに核開発の停止を迫る。開発援助に関する見方は途上国と先進国に大きな差がある。
【コメント】
 課題山積に対して国連の機能不全で、どのような展開になるのか不明だ。岸田首相と尹大統領の会談は是非実現してもらいたい。

3.ウクライナでは核の危機高まる
【記事要旨】
 ミコライフ地域のウクライナ第二の原発がロシアのミサイル攻撃を受け、発電施設から900フィート(274m)の原発建屋(水力発電施設)が破壊された。この損害で発電施設の一部が停止し電力供給が制限された。原発依存の高いウクライナでは冬季の電力供給が懸念される。
【コメント】
 ロシアの軍事作戦は最終的にプーチンが承認しているのだろうか?原発の危険性を理解しているとはとても思えない。

その他:
中国でのバスの事故
The deaths of 27 people on a quarantine bus in China renewed an anguished debate over “zero Covid.” Even in Tibet, where people live under repressive controls from the Chinese government, there are grumblings against lockdowns.
トランプは何をやってきた人か
Donald Trump is involved in six separate investigations. And the trial of one of his advisers, Thomas Barrack, who is accused of working secretly for the U.A.E., may shed light on foreign influence campaigns.
「オペラ座の怪人」の終焉
“The Phantom of the Opera” is the longest-running show in Broadway history. Based on Gaston Leroux’s 1911 novel, this symbol of musical theater will drop its famous chandelier for the last time in February after 35 years, becoming the latest show to fall victim to the drop-off in audiences since the pandemic hit.

(2022年9月20日 火曜日)

世界の動き 2022年9月19日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「敬老の日」
 「多年にわたり社会に尽くしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」趣旨の国民の祝日だ。1963年(昭和38年)に老人福祉法により国民の祝日として制定され、翌年から施行された。昭和40年の統計では、65歳以上の人口は619万人、総人口に占める比率は6.3%に過ぎなかった。
 2022年では、老齢人口は3621万人で総人口比は29.1%になっている。60歳代では働いている人が50%以上いるという。健康であれば、働くのが当然で、生活防衛の意味もあるだろう。
 もう、敬老の日の位置づけを変えるべきだろう。この国の若者に希望を与えるためにも、人口構成の変化に対応した社会福祉政策の抜本的見直しを進めてもらいたい。

ニューヨークタイムズ記事
1.エリザベス女王の国葬
【記事要旨】
 今日11時からウェストミンスター寺院で国葬が行われ、10日間の服喪が終わる。世界中から要人が参列し、世界中で何億人もが中継を視聴し、ロンドンから女王が埋葬されるウィンザー城には見送りの市民の列が見られる。
【コメント】
 歴史的な日だ。TV中継を観てみたい。

2.日本は歴史的な台風に備える
【記事要旨】
 猛烈な台風14号(英語ではNanmadol)は九州を襲い、大雨・強風・地滑り・洪水への警報が発令され、避難所に退避する市民が多数でている。九州では20インチ(50㎝)以上の降雨が予想され、19万戸で停電が発生し、新幹線は九州全域で運休し、国内線の多くの便がキャンセルされている。
【コメント】
 日本の記事は天災ばかりで、明るいニュースに乏しいですな。

3.チータがインドに戻る
【記事要旨】
 75年前にインドで絶滅したチータが戻ってきた。8頭がナミビアから輸送され、絶滅した猛獣が復活できるか実験される。チータは以前は、アフリカ、アラビア、アジアに広く生息していたが現在はアフリカに8,000頭ほどが生息するのみだ。8頭のチータはクノ国立公園に放たれる。インドは40頭に達するまでナミビアから輸入予定。英支配下のインドではチータの生息する森林が伐採され、上流階級の狩猟の対象にされた。今回のチータ再興はモディ首相のナショナリズム政策の一環だ。
【コメント】
 従来生息していたのなら、住環境は大丈夫なのだろうか。チータは何を食べていくのだろうか。

その他:
台湾の大地震
A powerful earthquake killed at least one person in Taiwan yesterday.
インドの富豪は世界一
Gautam Adani, the richest man in India, is now wealthier than Jeff Bezos, NPR reports.
困窮するハイチ
Protests over Haiti’s economic misery have pushed the country near anarchy. Regional leaders described the crisis as a “low-intensity civil war.”

(2022年9月19日 月曜日)

「騎虎の勢い」考

 プーチン大統領と習近平主席の会談で、中国はロシアが進めるウクライナ戦争についてのコミットは巧妙に避けた。中国は「騎虎に乗らず」と表現しているそうだ。虎(ロシア)の背に乗る(ウクライナ戦争にコミットする)と降りることができなくなるので、細心の注意を図らなければならない、という考え方だ。

 この「騎虎」について調べてみよう。日本では通常「騎虎の勢い」という言葉を使い、勢いが盛んで誰も止められないような状況を指す言葉として使われる。これは誤用だ。

 正しくは「騎虎の勢い、下るを得ず」(騎虎之勢,必不得下)という。これは,隋の楊堅(文帝)の后であった独孤氏(独孤皇后)の言葉である。

 この言葉の背景を述べる。(AMEBA History of Worldより引用)
 「中国の南北朝末期に建国された北周は,第3代皇帝・武帝の治世には,北斉を滅ぼして華北を統一し勢力を強めた。しかし,武帝の死後,つづく宣帝は即位後まもなくして7歳の息子・静帝に譲位し道楽に熱中し、政治を顧みなかった。そこで、宣帝の皇后の父であり,北周随一の実力者であった楊堅が,政治の実権を握るようになった
 580年に宣帝が没すると,後にはまだ幼い静帝が残された。実権を掌握した楊堅は,北周の帝位を奪って自身のものにすることを考えるようになったが,決行することにはためらいがあった。
 このとき,楊堅の后であった独孤氏は,夫・楊堅に対して「騎虎の勢い,下るを得ず」という言葉を人を通じて伝えた。すなわち,虎の背に乗った者は途中で降りれば食われてしまうため降りることができないように,機の熟したこの情勢においては止まることはありえず,決断が必要であることを説いたのである。
 この言葉を聞いた楊堅は決意をかため,581年,静帝に迫って帝位を譲らせ,自身が皇帝の地位についた。こうして,楊堅によって,新たに隋王朝が創始されることになった。」

 この話はマクベスとレディ・マクベスにそっくりだが、楊堅(隋王朝の開祖である文帝)と独狐(文帝の后)の場合には、一応、隋王朝が創始された。

 隋は文帝の子供である煬帝の時代には滅亡してしまう短命王朝だが、遣隋使が訪問するなど日本との関係は深く、日本が当時は先進的な中央集権王朝を作るモデルになった。そういう意味では文帝を焚きつけた独弧氏の「騎虎の勢い、下るを得ず」は、日本に大きな影響を与えた言葉でもあったのだ。

(2022年9月18日 日曜日)