世界の動き 2022年12月21日 水曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の言葉:
「イールドカーブコントロール」
(野村証券証券用語より)
 イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)は、2016年9月の日銀金融政策決定会合で日銀が新たに導入した政策枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の柱のひとつ。
 2016年1月から始めた短期金利のマイナス金利政策に加え、10年物国債の金利が概ねゼロ%程度で推移するように買入れを行うことで短期から長期までの金利全体の動きをコントロールすること。
 日銀は指定する利回りで国債買入れを行う指値オペレーションを新たに導入するとともに、固定金利の資金供給オペレーションの期間を1年から10年に延長することによりイールドカーブ・コントロールを推進する。
 今日の記事に関連する重要な言葉だ。

ニューヨークタイムズ記事
1.ゼレンスキーが最前線を訪問
【記事要旨】
 ゼレンスキー大統領は、数ヶ月にわたってロシアによる悪質な攻撃を受けている東ドンバス地域の都市バフムトを訪問した。 戦争が始まって以来最も最前線への危険な旅だった。
 「バフムトが戦っているので、東部は持ちこたえている」とゼレンスキーは昨日軍隊に語った。 「ここは我々の士気の砦だ。 激しい戦いと多くの命の犠牲のもとで、ウクライナ全員の自由が守られている。」
 プーチン大統領も、ロシア占領軍の人物やプロパガンダの指導者を称える授賞式をクレムリンで主宰し、軍事作戦を止めない意向を示した。 彼は、「困難で異常な時代」であり、ロシアの兵士を「英雄」と称賛した。
 バフムトに対するロシアの攻撃は容赦なく、ドンバスを支配するための戦いの中心だ。ゼレンスキーの訪問は、ウクライナ軍が市の端にあるいくつかの陣地からロシア人を追い出したと述べたときに行われたが、そこの状況は安定とはほど遠い。
 ウクライナの軍事指導者は最近、ロシアが今後数か月で戦争をエスカレートさせる準備をしていると警告した。 しかし、米国の高官は、ロシアの指導者はこの冬に新たな攻撃を開始するかどうかで意見が分かれており、「彼らの実際の行動」がどこに向かうのかは不明であると述べた。
【コメント】
 お互いに一歩も引かない構えを崩していない。クリスマス休戦もない血みどろの戦いが続く狂気だ。

2.日本の中央銀行は市場を驚かせる
【記事要旨】
 この夏、世界の中央銀行がインフレと戦うために金利を引き上げたとき、日本銀行だけが超低金利を維持しが、 昨日、心機一転したようだ。
 日銀は突然、債券利回り政策を緩和し、将来の金利上昇への扉を開く可能性を示した。この変化は、来年までそのような動きを予想していなかったアジアの投資家を驚かせた。
 発表後、円は3%上昇した。 数か月前には、円はドルに対して数十年ぶりの安値で取引され、日本は通貨を支えるために介入した。
 円高は、縮小する日本経済へのインフレ圧力を緩和する可能性がある。10 月のインフレ率は 3.6% で、世界の他の地域よりもはるかに低いが、家計や企業は、食品やエネルギー価格の上昇により、厳しい状況にある。
 超低金利を維持するという日銀の主張は、家計や企業に安価なお金の安定した流れをもたらしたが、円安を悪化させた。日銀は、方針は変わらないと述べた。
【コメント】
 10年債の金利はYCCの上限まで上昇し、円高が進み、株価は下落したから、市場は「利上げへ転換」と判断したのは明白だ。
 ただ、イールドカーブコントロールYCCの対象となる10年債の利回りがいびつなので、カーブの形を調整しただけだと言うのが黒田総裁の説明だ。マイナス金利もETF買い入れも変更ないとしている。
 円安放置への強い批判への日銀の回答だろうが、黒田総裁の頑固な性格とわかりにくい政策発信をどう判断するか、いろいろな見方が専門家から出てくるだろうが、あまり変わらないという失望感の広がりを自分は恐れる。

3.フィジーの新たな章
【記事要旨】
 総選挙をめぐる 6 日間の混乱の後、野党党首の Sitiveni Rabuka が次期首相になる態勢を整えている。 この変化により、フィジーは中国から離れ、西側とより緊密に連携するようになる可能性がある。
 ラブカは、北京と関係を深めた Frank Bainimarama の後任となる。 ラブカは、米国との同盟国であるオーストラリアとニュージーランドとの緊密な関係を好んでおり、ラブカの与党は、ソロモン諸島が今年署名したような北京との安全保障協定の提案を否定している。
 島国は最近、米国と中国の間の太平洋の影響力をめぐる戦いで重要なプレーヤーになった。今月の投票は、2013 年に民主的な投票が再導入されて以来、フィジーにとって 3 回目の総選挙だった。
 フィジーは 1987 年から 2006 年の間に 4 回のクーデターを経験した。最初のクーデターでラブカが権力を掌握し、最後のクーデターでバイニマラマが権力を掌握した。
【コメント】
 人口90万人の島国の行方が注目されている。安定した政権が樹立されて欲しいものだ。

その他:
中国では薬が不足
 Many Chinese people are struggling to find medicines, like fever-reducing drugs and Paxlovid, as Covid infections outpace supplies.
ドイツでのナチス犯罪への判決
 A 97-year-old woman in Germany, who worked as a secretary in a World War II concentration camp, was given a two-year suspended sentence for abetting over 10,000 murders.
(97歳の女性への判決とは驚きだ。こういう姿勢が「真摯に反省している」と世界から見られる原因だろう。)
オランダの首相が奴隷貿易を謝罪
 The Dutch prime minister apologized for his country’s role in the slave trade.
【長くなりますがNHKの記事を引用します。】
 オランダのルッテ首相は19日、オランダが19世紀まで奴隷貿易に関わっていたことについて「人道に対する罪として非難しなければならない」と述べ、政府として公式に謝罪しました。
 オランダのルッテ首相は19日、ハーグで、オランダが過去に関わった奴隷貿易について演説しました。
 このなかでルッテ首相は「オランダの奴隷商人によって60万人以上のアフリカの人々が奴隷として南米スリナムなどに送られた。彼らは家畜のように扱われた」などと述べました。
 そして「奴隷制の罪悪を認め、人道に対する罪として非難しなければならない。オランダ政府を代表して国家の過去の行為について謝罪する」と述べ、過去に奴隷貿易に関わっていたことについて政府として公式に謝罪しました。
 オランダではおととし設置された奴隷貿易に関する諮問委員会が去年、謝罪すべきだなどとする提言をまとめていました。
 このほか、オランダ政府は奴隷制に関する教育などのため、およそ2億ユーロ、日本円で280億円余りの基金を設けるとしています。
 ヨーロッパでは近年、過去の植民地支配などについて見直す動きが続いていて、去年、ドイツ政府がかつて植民地支配していたアフリカ南部のナミビアで、虐殺行為を行ったと認めて謝罪したほか、おととしにはベルギーのフィリップ国王がアフリカのコンゴ民主共和国の大統領に植民地時代に残虐な行為が行われたとして遺憾の意を伝えています。

2022年12月21日 水曜日