世界の動き 2022年10月28日 金曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「特例貸付」
 借り入れた人の3割以上が返済不能のようだ。79万1千件で返済が不能で、31万5千件(約1047億円)が返済免除が決定されたそうだ。緊急避難的に「補助金」を給付する代わりに、「貸付」でお金を供給したわけで、こうなることは始まからわかっていたと言える。生活困窮層に債務免除するのは致し方ないが、歯を食いしばって返済を続けている人がバカを見ないための配慮が必要だ。

ニューヨークタイムズ記事
1.米国は経済成長するがゆっくりと
【記事要旨】
 米国GDPは四半期ぶりに2.6%の成長。リセッション入りを予想する見方が強いがこのままソフトランディングするという見方もある。ただ、インフレ物価上昇による消費の低迷、住宅ローン金利の2002年以来の水準への高騰、経済をけん引してきたハイテク大企業の業績の変調といった向かい風は続いている。米国の高金利政策は日本、中国、インドの通貨を下落させ、ドル調達国への金利負担を増嵩させている。
【コメント】
 普段は強気のウォールストリートがリセッションが来ると警告しているのが不思議だ。

2.ウクライナの戦争はクリーンエネルギーを成長させる
【記事要旨】
 欧州はアフリカに化石エネルギー資源を求める動きを示すが、化石エネルギー価格の高騰が、風力、太陽光、原子力、水力といった資源開発を進ませ、EVやヒートポンプの普及を促進すると見る。2022年に1.3兆ドルだったクリーンエネルギーへの投資は2030年には2兆ドルに伸びると予想。
【コメント】
 世界的にはそうかもしれないが各国の状況でとられる政策は大いに異なる。例えばブラジル大統領選で現大統領が再選されればアマゾンの熱帯雨林の環境破壊が進むだろう。

3.中国は海外に警察署を作る
【記事要旨】
 オランダは中国が海外にいる中国人を取締る「警察署」を開設しているとして調査を開始している。中国は同様な施設を「サービスステーション」と称し、ニューヨーク、ロンドン、パリ、トロント、マドリッドに設置しているという。領事館で在外住民へのサービスは出来るので警察を作るのは生き過ぎだと市民・人権団体が告発している。オランダ政府も非公認機関が存在するのは違法と見ている。
【コメント】
 海外にいる中国人も自由な言論が封殺される時代が来ている。怖い国だ。

その他:
コロナがiPhone生産に影響
A Covid outbreak in China forced workers at a major iPhone manufacturing plant into quarantine right before an expected holiday buying surge.
資源のために協力
Israel and Lebanon, which are technically still at war, signed a maritime agreement regulating their rights to gas reserves at sea.
ポテムキンの遺骨を盗み出す
Russian loyalists stole the bones of Prince Grigory Aleksandrovich Potemkin from Ukraine. Potemkin is an inspiration to Putin: He persuaded Catherine the Great, his lover, to annex Crimea in 1783.

2022年10月28日 金曜日

世界の動き 2022年10月27日 木曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の言葉:
「総合経済対策」
 またぞろ補助金のオンパレードだ。エネルギー価格の高騰に対する補助金。旅行や食事に対する補助金。財源として2次補正予算が議論されている。財政規律は無い。英国のトラス前首相は財源を伴わない減税案に市場と国民からNoを突き付けられ退陣した。日本では財政再建議論は封印され、補助金の大盤振る舞いが歓迎されているようだ。我々日本人は健全な考え方を忘れ去っているようだ。一方高齢者を狙った負担強化も目立つ。介護保険料が引き上げられるそうだ。所得税の累進課税の強化や企業の内部留保課税を実行してもらいたいものだ。

ニューヨークタイムズ記事
1.イランはマーサ・アミ―ニを悼む
【記事要旨】
 アミ―ニの死後40日を祈念し何万もの人々が服喪のデモをした。治安警察は催涙ガスや暴力でデモを鎮圧した。テヘランでは多くの女性が「自由」と叫んでスカーフを脱ぎ捨て火をつけた。カンヌ映画祭で最優秀女優賞を“Holy Spider”で獲得したZar Amir Ebrahimiは女性の考えがここまで進めば社会全体がもうすぐそこまで来ていると語る。
【コメント】
 強権国家に対抗するイランの女性には感心する。

2.ミャンマーはロシアに接近
【記事要旨】
 ミャンマーは東南アジアで唯一ロシアのウクライナ侵攻を支持し、ロシアは軍事政権のミン・アウン・フラインを主要国で唯一首相と認めている。ミャンマーはロシア産原油と民衆を弾圧するための武器を輸入し制裁に苦しむロシアを助けている。ミャンマーでは2021年の軍事革命以来軍部は強権政治を続けている。
【コメント】
「捨てる神あれば拾う神あり」と言うところか。When one door shuts, one door opens.

3.気候への公約は未達
【記事要旨】
 気候変動への公約した193か国中で達成したのは26か国に過ぎない。このままでは2100年までに工業化以前に比べ2.1-2.9度気温が上昇する。2015年のパリ協定では1.5度の上昇が目標だ。2大排出ガス国である中国と米国はいくらかの行動はとったが更なる行動は取っていない。両国間の交渉は中断したままだ。皇帝ペンギンは米国により絶滅危惧種に指定された。このままでは2100年までに99%が死滅する見込みだ。
【コメント】
 2100年までの話は可視化出来ないし、頭で想像することも困難だ。アル・ゴアが作った「不都合な真実」の現状はどうなっているのだろうか。

その他:
吸入可能なコロナワクチン
Shanghai began using an inhalable form of the Covid-19 vaccine, China Daily reports.
タイのトランスジェンダーの富豪は何を買ったか
Anne Jakrajutatip, a transgender Thai billionaire and celebrity, purchased the Miss Universe Organization for $20 million, Reuters reports.
ウォール街は景気後退を警告
A measure tracked by Wall Street signaled that the U.S. could be heading toward an economic slump.

2022年10月27日 木曜日

世界の動き 2022年10月26日 水曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「投資銀行」
 イギリスのスヌク新首相は投資銀行出身だ。投資銀行と言うと何やら格好いいが日本の大手証券会社とやっていることは同じだ。商業銀行(普通の銀行)が預金を集め企業や個人にお金を貸付するのが主業務なのに対して、投資銀行は主に大手企業の株式や債券発行による資金調達を支援するのが業務だ。個人からの預金は集めていないし個人への貸し出しもしていない。系列の投資顧問会社が個人向けの投資商品を開発しそれを販売することはある。同じ銀行という言葉が付いているが内容は随分違う。

ニューヨークタイムズ記事
1.イスラエルはパレスチナの民兵組織を襲撃
【記事要旨】
 イスラエルはLion’s Den(ライオンの巣)と言われるパレスチナの民兵組織を余らヨルダン河西岸地区で襲撃しパレスチナ側の発表では組織のリーダー他4人が死亡した。この民兵組織は今年になって現れたが、既存勢力に所属せず若者の支援を得ている。西岸地区へのイスラエルの入植者や兵士を銃撃してきた。イスラエルでは2019年以来5回目の総選挙が火曜に予定され、今回の襲撃は政権奪取を目指すナタニエフ派に力を与える。西岸地域での紛争は今年になって急増し、入植者によるパレスチナ人への暴行も増加している。
【コメント】
 パレスチナ問題は皮膚感覚なく理解できない。土地への執着はわかるが、北方領土、竹島を見ると日本人はつくづく執着しない民族だと思う。

2.ミャンマーでは空爆で数十人が死亡
【記事要旨】
 カチン族の反乱拠点をめがけ国軍が空爆実施し80人以上が死亡した。反政府運動を支援している組織KIOの62周年を祝う集会が狙われ、国軍の政権獲得後最大の死傷者が出た。カチン族はヒスイの産地であるミャンマー、中国、インドの国境地帯に居住する。
【コメント】
 ミャンマーの政情不安も継続している。そこに中国が付け入るスキが出来る。

3.グリナーの収監
【記事要旨】
 ロシアの裁判所はグリナーの9年間の収監を支持。弁護団は上告するか決定していない。ロシアでは上告で外交問題が絡んだ事件では判決が覆ることが無いからだ。米国はグリナーとポール・ウェラン(2018年以来収監されている海兵隊員)とロシアの武器商人ヴィクトル・ボウトとの交換を提案しているが交渉は数か月進んでいない。
【コメント】
 女子バスケとボールのスターはロシアにとって米国を揺さぶる有効な手札だ。なかなか手放そうとしない。

その他:
豪州の新予算 (長い記事です)
Australia’s government released its first budget yesterday. It is the first from the Labor Party in almost a decade, The Guardian reports.
Australia’s plan emphasizes spending on families, as well as on older adults, defense and other countries in the Pacific, The Associated Press reports.
Reuters reports that the “low-drama” budget stressed stability, pragmatism and tight controls.
Australia is anticipating an economic slowdown amid rising global inflation, The Sydney Morning Herald reports.
英国の新首相(これも長いです)
Rishi Sunak is now Britain’s prime minister.
He opted for stability and continuity in his cabinet. Jeremy Hunt, who quickly reversed Liz Truss’s economic proposals, will stay on as the top finance minister.
Sunak supported Brexit and pledged to do “whatever it takes” to send asylum seekers to Rwanda. But he has been tight-lipped about his policy agenda.
China said it supported advancing ties with Britain under Sunak, despite simmering tensions.
Sunak’s ascent has inspired some members of the Indian diaspora. But his immense personal wealth makes him less relatable.
パンデミックは身障者雇用に追い風 (これまた長いです)
The pandemic prompted more employers to consider remote work arrangements. As a result, the share of adults with disabilities who are working has soared.
A man with autism spectrum disorder, which has made it difficult for him to find steady work, recently landed a full-time job — with a 30 percent raise. “If I have my bad days, I just pick up the laptop and work from home,” he said.

2022年10月26日 水曜日

世界の動き 2022年10月26日 火曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「企業文化の監査」
企業文化は組織の気風を築き働く人のモラルややる気の形成に大きな影響を与える。金融庁は金融機関に企業文化の監査を奨励している。これはそんなに簡単な話ではない。企業トップの考えや行動(Tone at the Top)が大きく影響する。トップの考えが立派でも社員がその通り動いているとは限らない。これを確認すれば企業文化の監査ができるという安直なポイントは無い。企業活動全体の活動を監査した後で初めて企業文化の監査が出来る。

ニューヨークタイムズ記事
1.スナクが英国首相に
【記事要旨】
トラス首相に7週間前に敗れたスナクが今日英国の首相に就任する。42歳のトラスは前蔵相でインド移民の息子であり、保守党の一部からはジョンソン首相に引導を渡した人物とみなされているが、30%以上引き離されている労働党との支持率の差を如何に回復するかが課題だ。トラスの経済失政でスナクの正しさが証明されてきているが物価上昇と金利高に対処する必要がある。総選挙を望む声も出ている。
【コメント】
安定感のある経済運営と日英関係の強化も期待したい。

2.習近平の権力集中に市場は反応
【記事要旨】
香港では6%の株価下落で13年来で最安値を記録。中国本土の市場は3%下落し人民元は対米ドルで14年来の安値だ。中国のGDPが5.5%の計画を下回る3.9%と言う発表後に市場は急落した。経済の停滞があってもゼロコロナ策を堅持すると見られている。李克強や汪洋といった開放派が指導部から排除されたのも影響している。
【コメント】
「中原の大国」は独自の道を歩むのだろう。中華意識が一層高揚してゆくと見ている。

3.若い中国人は静かに抗議
【記事要旨】
「圧政的な国賊」という北京の高速道路に掲げられた横断幕の画像は若者の間で広まっている。AppleのAirDrop機能を使い地下鉄車内で画像を共有する動きなど検閲を逃れる手法が広まっている。一人の指導者、一つの党、一つの思想に息をひそめている中国の若者は静かに抗議を行っている。横断幕を掲げた人はBridge Manと若者からは称されている。
【コメント】
若者の失業率は20%と言われている。経済の困窮が政治への不満の大きな原因だろう。

その他:
ロシア軍は迎撃を準備
There are growing signs that Russia’s occupation government in Kherson is preparing the city for fighting ahead of a possible Ukrainian counteroffensive.
コロナで成績低下?
Math scores fell in nearly every U.S. state, a sign of the pandemic’s toll.
エチオピアの内戦
Math scores fell in nearly every U.S. state, a sign of the pandemic’s toll.

2022年10月25日 火曜日

世界の動き 2022年10月24日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「仲本工事さん」
 昨日自宅近くの葬儀社の前に沢山の報道陣がいた。カメラマン多数が車道に乗り出し、警察が交通整理をしていた。聞けば仲本工事さんの葬儀だという。ドリフターズのバイプレイヤーだった。一番真面目そうで、演技も受けを狙ったわざとらしいものは無かった。そうそう、体操の演技では独壇場だったな。悲劇的な亡くなり方だったが、ご冥福をお祈りしたい。

ニューヨークタイムズ記事
1.習近平はグリップを強化
【記事要旨】
 習近平は3期目の国家主席に選ばれた。指導部は習近平に忠実な人物で固められ穏健派は排除された。開放的だった時代の指導者だった胡錦涛は会議中に呼ばれて退席した。強硬派の王沪宁Wang HuningはTop7にとどまり、政治局員には内政、国防に加え科学、技術に詳しい人間も選ばれた。退任した李首相の後任には、上海市のトップとして新型コロナの感染拡大を受けて厳しい外出制限を指揮した李強氏が、また、劉副首相の後任には、地方勤務が長い何立峰氏と、いずれも習主席の地方時代の部下が就くとみられている。
【コメント】
 同じ意見の人だけで固めた政治体制は弱い。経済に詳しい李克強が退き、GDPの発表が遅れている。どうなるのだろうか。習体制は集大成になるか終体制になるか。

2.ジョンソン前首相は参戦せず
【記事要旨】
 今週末の党首戦にジョンソンは参加しないと表明。前回選挙で147票を獲得したスヌク前蔵相が優位と見られている。他の候補者が100人の推薦を受けられなければスヌクは今日にも首相になる可能性がある。
【コメント】
 保守党のごたごたが続いている。支持率では約2倍の労働党は国政選挙が無いので政権奪還出来ない。

3.ロシアはウクライナの子供を移住させる
【記事要旨】
 2月の侵攻以来数千人のウクライナ人の子供がロシアに移住させられている。ロシアのTVでは戦争孤児が戦争から救われたと称賛する報道がされているが、意思に反して連れ去られてきた子供も多くいる。ロシアはウクライナの発電所の大規模な攻撃を続けている。
【コメント】
 ロシアは人を人間を捕囚するのに何の抵抗感もないのだろう。シベリア抑留を考えればよくわかる。

その他:
豪州女性がカタールで下腹部の検査を受ける
Five Australian women have sued Qatar two years after they underwent invasive medical procedures when a newborn was found in an airport bathroom.
パキスタンの政治混乱は続く
Pakistan’s election commission effectively barred former Prime Minister Imran Khan from office, escalating a political showdown and raising the possibility of mass unrest.
トランプ前大統領は召喚状を受ける
The Jan. 6 committee subpoenaed Donald Trump for testimony and documents.

2022年10月24日 月曜日