世界の動き 2023年5月23日 火曜日

今日の言葉:
「日経平均8日続伸」
 バブル崩壊後30年振りの31000円を超える水準まで日経平均が回復した。ダウ平均が33000ドルほどだから、やっと追いついてきたということだ。
 これを機に日銀は積みあがったETFの売却を進めるべきだ。株価の過熱を避け利益を実現する数少ないチャンスだ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.バフムトが廃墟となる中、ウクライナは焦点を移す
【記事要旨】
 ウクライナ当局者は本日、ロシア軍が市内に残っているウクライナ兵の「掃討」作戦に従事していると述べ、ロシアの支配を認めた。
 ウクライナはロシア軍によるバフムト市制圧を阻止する数ブロックを巡る激しい戦闘を重視してきたが、現在、バフムトの擁護からロシア側の保持を困難にすることに焦点が変わってきているようだ。
 バフムト自体は破壊され、岩塩鉱山とスパークリングワインで知られる平和だった街が灰燼と化している。
 バフムートの戦いは、戦争の中で最も長く、最も血なまぐさい戦いだった。戦争で重視されるまで無名だった、ゲティスバーグ、硫黄島、ファルージャとその名が並んだ。
【コメント】
 ゼレンスキーの演説の如く、バフムトの街は原爆投下後の広島を思わせる廃墟が並んでいる。
 冷静に考えよう。あの街を破壊尽くす戦いに人命をこれだけ費消するのをウクライナの国民もロシアの国民も望んでいるはずがない。
 両国の首脳には一刻も早い停戦を望みたい。

2.中国、米国製チップの一部販売を禁止
【記事要旨】
 中国政府は、重要情報を扱う中国企業に対し、電話やコンピューター、その他の電子機器に使用される米国マイクロン・テクノロジー製のマイクロチップの購入を禁止した。
 中国サイバースペース局は声明で、マイクロン製品は国家安全保障を脅かす可能性のある「比較的深刻なサイバーセキュリティ問題」を引き起こしていると述べた。
 日曜日に行われたこの動きは、米国と中国の間で進行中のテクノロジー戦争における最新の動きで、米国政府の、中国によるハイエンドチップへのアクセスを遮断しようとする動きに対する、中国の報復だとみなされる。
 この禁止により、中国のチップメーカーが埋めることができるスペースが市場に生まれる。米国の同盟国の企業が介入しマイクロンが失う可能性のあるビジネスを獲得できれば、米国と同盟国との間のくさびになる可能性がある。
【コメント】
 マイクロンのチップを代替できる中国製品があるのだろうか。もしそうならこういう動きは今後頻発するだろう。攻撃には攻撃で対抗する中国の正しい戦略だ。

3.メキシコの最高権力者がスパイウェアの標的に
【記事要旨】
 政府人権次官アレハンドロ・エンシナスは、軍による人権侵害を調査している際に、最も悪名高いスパイウェアであるペガサスの標的になった。
 誰がエンシナスの携帯電話をハッキングしたのか証拠はないが、関係者によると、メキシコでスパイウェアにアクセスできるのは軍だけだという。
 これまで報告されていなかったエンシナスへのスパイウェア攻撃は、アンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール大統領の、「違法スパイ行為を終わらせる」という公約を損なった。
 メキシコは長い間、スパイスキャンダルによって動揺してきたが、政権の上級メンバーがペガサスによって監視されたことが確認されたのは初めてだ。
【コメント】
 メキシコでの軍の政治関与は同程度あるのだろうか。軍が仕掛けたと見るのが自然だが、軍を弱体化できるのか、政争が大きくなり軍が影響力を増すのか注視したい。

その他:
中国の若者の失業率
 China’s youth unemployment reached a record high: The government reported that one in five young people were looking for a job last month.
米国は南太平洋支援を強化
 The U.S. signed a new defense pact with Papua New Guinea as it vies with China for influence in the Pacific, CNN reports.
コロラド河が干上がる
 The drought-strained Colorado River in the American West supplies drinking water to 40 million people. A breakthrough deal will keep it from going dry, for now.

2023年5月23日 火曜日

世界の動き 2023年5月22日 月曜日

今日の言葉
「F16」
 ウクライナが西側諸国に提供を求めている主力戦闘機だ。当然日本の航空自衛隊は採用していると思ったら、していない。
 日本の主力戦闘機はF15。200機保有している。F15はトップガンでトム・クルーズが乗っていたF14(海軍用)とほぼ同型の空軍機で、F18と同一のエンジンを2つ積み乗員が2名の重戦闘機だ。
 F18を日本が独自に改良したF2もある。91機保有。
 最新型のF35の保有が漸増し、27機を保有している。
 いずれにしてもF16を日本は保有していない。

ニューヨークタイムズ記事より
1.G7はウクライナ支持で終了
【記事要旨】
 G7サミットは昨日閉幕し、世界の主要経済国の首脳はゼレンスキー大統領を賓客として歓迎し、ウクライナへの支持を再確認した。
 バムフトを巡る戦いではロシアは勝利を主張し、モスクワは「任務完了」の瞬間を吹聴しているが、ウクライナは市郊外から主導権を握るチャンスを窺っている。
 ロシアによるバフムト占領は、ロシアがドンバス地域東部を征服するというより大きな目標に向けて必ずしも役立つとは限らない。ロシアがバフムトを守るために増援を送り続ければ、より広範な反撃を阻止する能力が損なわれる可能性がある。
 ゼレンスキーはバフムットは破壊しつくされ、サミットが開催された1945年の広島の惨状の映像にウクライナの痛みを重ねた。

G7 からのその他のアップデート:
 F-16:バイデン大統領は方針を転換し、ウクライナ人が米国製ジェット機で訓練を受けることに同意した。 同氏は同盟国に対し、他国によるウクライナへの戦闘機移送を承認する用意があると語った。
 中国:G7諸国は、中国政府からの「デカップリングではなく、リスク軽減」に焦点を当てるべきだと述べた。
 日本:駐東京米国大使のラーム・エマニュエルが同性愛者の権利を主張しすぎていると批判している。
【コメント】
 久しぶりに世界的に注目されたG7になった。欧米のメディアでもG7首脳の原爆資料館訪問を大きく報道している。
 主役はゼレンスキー大統領になったがG7首脳に加えい中立的なインドやブラジルの首脳とも会談し彼にとっても成果のある参加になった。
 グローバルサウスへの対応はG7各国で統一的に行っていくべきだろう。AIの規制については何か合意があったのだろうか。
 岸田首相の支持率は急上昇し「解散総選挙」への動きが加速すると見る。

2.タイで政治闘争が迫る
【記事要旨】
 ピタ・リムジャロンラット氏は先週の選挙で「前進党」を重大な勝利に導き、タイの政界を驚かせた。 軍部が阻止しない限り、彼は次期首相になる準備ができているようだ。
 ピタ氏が軍部が任命した上院を破るには、定数500の下院から376票が必要となるが、彼は 314票しか持っていない。
 複数の上院議員は、現状を脅かすピタ氏のような候補者は支持しないと述べており、現在、タイ国民は自分たちが選択した人が首相になるのか、それとも阻止されるのかを待っているが、その結果は国を政治的混乱に陥らせる可能性がある。
 ピタ氏の政策:彼はタイ政治に対する軍の支配を解き放ち、王政批判を犯罪とする法律を改正すると約束した。 9年間の軍事政権を経て、民主主義への復帰を求めている。 外交政策においても強力な姿勢をとりたいと考えている。
【コメント】
 上院は一枚岩なのだろうか。少数がピタ氏を支持すれば首相になれる。選挙で選ばれた首相に政権を委ねたいというタイ国民の希求は理解できるし実現するとよいと思う。 

3.米国国境にいるアフガニスタン人
【記事要旨】
 数千人のアフガニスタン人にとって、カブールからの米国撤退は安全を求める長い探求の始まりに過ぎなかった。 多くの人が南米に逃げ、米国に押し寄せる人波に加わりこの国に入ろうとした。
 中には何年も西側諸国と提携してきた者もいた。 彼らは弁護士、人権活動家、またはアフガニスタン政府の関係者だった。彼らのほぼ全員が米国への旅行中に強盗や恐喝に遭い、誘拐されたり投獄されたりする人もいる。
 「私はアメリカ人たちを助けました」と元アフガニスタン空軍情報将校はテキサス州の拘置所から、涙ながらに語った。 「なぜ彼らが私を助けてくれないのか理解できません。」
 パナマのデータによると、2022年の初め以来、約3,600人のアフガニスタン人が南北アメリカをつなぐ危険なダリエン溝を越えた。
【コメント】
 サイゴンの陥落時のベトナムの混乱とボートピープルの発生と同じような悲劇だ。日本にはアフガニスタンからの難民はどのくらいいるのだろうか。
 入国管理法の改正が問題になっているが、事実関係の報道が殆どないので一般国民には状況が理解できない。

その他:
スーダンでの停戦
 Warring groups in Sudan agreed to a seven-day cease-fire to begin today, the first truce to be signed by both sides.
ギリシャの総選挙
 Greece’s governing party leads in the election. But initial results show that it does not have a majority, setting the stage for another vote within weeks.
米国の債務上限交渉
 Kevin McCarthy sounded more sanguine yesterday than before about the prospects for a deal.
President Biden and Speaker Kevin McCarthy are planning to meet today to try to avert a looming debt default.

2023年5月22日 月曜日

日本の空き家を買いませんか?

 我が国の人口減少と地方の過疎化を象徴する記事がニューヨークタイムズに載った。

 Want to buy an abandoned house in Japan for $25,000?
  As Japan’s population shrinks, more properties go unclaimed. Over 10 million houses, mostly in rural areas, have been abandoned. Now, municipalities are creating incentives for people to buy them.

 「空き家が既に1000万戸以上あり、地方政府はインセンティブをつけて所有者のいない家や持ち主が居住しない家を仲介している。一戸300万円ほどの安さだ。」となかなか詳しい報道だ。

 TVで「ポツンと一軒家」という人気番組があり、ああいう暮らしも良いなと思うことがある。 しかし、ポツンと離れた一軒家のために地方自治体が電気を引き、道路を整備することは今後は不可能だ。行政サービスが低コストで受けられる範囲に住居を集約することが不可欠で、空き家問題の解決もその延長線上にあるだろう。

 視点が変わるが、フロリダ州ではデサンテス知事が「中国人・中国企業には土地を売らない」という州法に署名したそうだ。憲法違反ではないかという議論が起きているようだ。

 我が日本で地方の空き家を中国人や中国企業が買い始めたらどうするのだろうか。どこかの無人島を購入した中国企業があった。自衛隊の基地の近くは認めないというルールを作ったとか作るとかいう話が出ていたが、その後どうなったのだろうか。沖縄や南西諸島でも空き家は多いはずだから、安全保障上、対応を真剣に考える必要があるだろう。

 東京都の新築マンションの平均価格が1億円を超えたという報道があった。自然豊かな地方では300万円で一戸建てが買える。地方での就業環境を政府の施策で改善すれば、日本国民全体のQuality of Lifeは飛躍的に向上するだろう。「田園都市構想」とか思い付きの線香花火でなく、政府には具体策を考え実行して欲しいものだ。

2023年5月21日 日曜日

会議は踊る

G7会議を見ていて「会議は踊る」という名画を思い出した。
『『会議は踊る』は、ナポレオン・ボナパルト失脚後のヨーロッパを議した1814年のウィーン会議を時代背景にした、1931年のオペレッタ映画である。
題名は、オーストリアのリーニュ侯爵シャルル・ジョセフの言葉といわれる「会議は踊る、されど進まず」(フランス語: Le congrès danse beaucoup, mais il ne marche pas.)から借りている。その長引く会議の隙を縫った、ロシア皇帝・アレクサンドル1世とウィーンの街娘との夢のような逢瀬を描く。トーキー初期を代表する名作のひとつ』(以上Wikipediaより)

随分前にNHKで白黒で見た記憶があるが、筋書きも場面も覚えていない。AmazonPrimeでは見ることが出来ない。

G7サミットを見ると、1年間をかけて事務方が練り上げたプランに各国首脳が載って、あまり波風が立たない首脳宣言に落ち着く形で会議は進んでいるようだ。振付通り会議は進んできたが、ゼレンスキー大統領がリモートでなく実参加になり、波乱があるように見える。

G7とウクライナの結束を誇示すると、プーチンは西側のネオナチ陣営がウクライナに焚きつけてロシアを侵略しているという被害者意識を強め、核兵器で対抗するしかないという信念を強めるかもしれなった。

「筋書き通り進んだ会議が最後に筋書きのないドラマになった」というのが教訓その一。

歴史に関する名画をもう一つ思い出した。「歴史は夜つくられる」History is made at night. この映画はメロドラマで、タイタニックの悲劇を思わせる舞台設定になっている。AmazonPrimeで無料で見ることが可能だ。

題名は、「世に語り継がれている歴史の多くは、夜、すなわち大衆の多くが気づかない間に、創造されている」という格言という意味合いだ。

「今日の歴史は白昼衆人監視の下で想像されている」というのが教訓その二。

G7サミットから名画を思い出し、歴史の教訓を我田引水する次第だ。

2023年5月20日 土曜日

世界の動き 2023年5月19日 金曜日

今日の言葉:
「オフィスの空室率」
 Bloombergによればニューヨーク市のオフィス不動産は出遅れが目立つ。空室率は今年に入って過去最高の22.7%を記録。少なくとも2026年までは19%を切らないと市当局者はみている。商業用不動産は市の税収を支える柱の一つであるだけに、オフィスビル市況の低迷は当局には頭の痛い問題だ。
 東京の都心5区のオフィス空室率は4月時点で6.11%。堅調に推移している。

ニューヨークタイムズ記事より
1.G7に先立って中国が独自のサミットを開催
【記事要旨】
 世界で最も裕福な民主主義国の指導者たちが今日始まるG7サミットのために日本に集まる中、中国は中央アジア5カ国の指導者と独自の会議を開始した。 西側諸国と中国の間の緊張が高まる中、画面分割外交The split-screen diplomacyが行われる。
 昨日始まった第1回中国・中央アジア首脳会談は、中国を封じ込めようとする米国主導の世界秩序と中国政府がみなしているものに対抗する取り組みの一環である。 (G7では、米国が中国の自己主張の高まりと表現していることに各国首脳が取り組むことになる。)
 中国は、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの旧ソ連5共和国の指導者を大勢のダンサーや子供たちとともに駐機場で出迎えた。 2日間にわたる首脳会談により、中国はロシアが残した穴を一部埋めようとしている。 ウクライナ戦争により中央アジアにおけるロシアの影響力が一部弱まり、中国はチャンスをうかがっている。
 この地域に対する中国の関心は、中央アジア諸国と国境を接する新疆ウイグル自治区における暴力と民族的緊張に対する懸念からも生じている。 アナリストらによると、中国はこの地域の経済的繁栄が新疆のさらなる安定化につながると考えているという。
 G7で注目すべき点:一部の指導者は、ウクライナが予想される反撃で大きな成果を上げなければ、戦争は血みどろの凍結した紛争に落ち着く可能性があると懸念している。 F-16戦闘機についての議論が、そして初めて、人工知能技術の規制について話すことが期待されている。
【コメント】
 The split-screen diplomacyという表現は知らなかったが、世界の情勢が瞬時に報道される世界で報道を二分するための中国外交がよくわかる言葉だ。

2.メタは AI の宝を譲渡
【記事要旨】
 テクノロジー業界の人工知能開発競争は、強力なシステムを無料で提供するという決定によって一変した。 Meta は 2 月に、AI である LLaMA をリリースした。 ChatGPT を強化するのと同様のテクノロジーで、誰もが独自のチャットボットを構築するために使用できるオープンソース ソフトウェアだ。
 以前は Facebook として知られていた Meta は、その基盤となる AI エンジンを共有することは、会社の影響力を広げ、ライバルを弱体化させると考えている。 一方、Google や OpenAI などの企業は、自社の AI について秘密主義を強めるばかりだ。ツールが偽情報、ヘイトスピーチ、その他の有害なコンテンツの拡散に使用されることを恐れている。
 「オープンソースは従来勝つ傾向にあったが、今、このテクノロジーは潜在的に危険であるという違いがある」とメタのアナリストは語る。
【コメント】
 独自で追いつけなければオープンソース化して周知を集めようとするメタの動きは正しい戦略だ。ただ、誰もALの発展に規制を掛けられず、人類に望ましくない方向に向かう恐れがある。

3.ミャンマー軍事政権が援助を妨害
【記事要旨】
 サイクロン「モカ」がミャンマーに上陸してから数日が経ち、支援団体は今も物資を届けるための軍事政権の承認を待っている。
 援助団体は、人々が食料不足、病気、きれいな水の不足、住居の喪失に直面する中、死者数(一部では450人以上と推定されている)がさらに増加するのではないかと懸念している。 生存者はまた、洪水中に移動した可能性がある不発地雷の脅威にも直面している。
 内戦も援助活動を複雑にしている。 サイクロンの被害を受けた地域の多くで戦闘が起きている。 救助隊員や活動家、生存者らは、軍事政権は誰が援助を受けるかを管理したいため、部外者にアクセスを与えないと主張している。
 2008 年には、サイクロン ナルギスがミャンマーを襲い、135,000 人以上が死亡した。 嵐の余波で死者数も増加し、軍事政権の対応の遅さが批判された。
【コメント】
 最も弱い人たちが苦しむ。天災は人災で増幅される。

その他:
シンガポールの死刑
 Singapore hanged a man for trafficking 3.4 pounds of marijuana (about 1.6 kilograms). It is the country’s second drug-related execution in three weeks.
熱波は増大
 Scientists said that climate change made last month’s heat wave in parts of southern Asia at least 30 times more likely.
ウクライナを巡る中国と日本の動き
 A Chinese diplomat left Ukraine without any apparent breakthrough on efforts to end the war.
 Japan said it would accept and treat wounded Ukrainian soldiers, The Japan Times reports.

2023年5月19日 金曜日