世界の動き 2023年8月16日 水曜日

今日の言葉:
「子育て・介護の対価」
 異次元の少子化対策で政府は子育て家庭への補助を決めているが、米国での状況についてBloombergの興味深い記事を紹介したい。
『子育てや介護の対価として賃金を受け取ることができれば、米国の女性は年間で総計6270億ドル(約91兆1400億円)の追加収入を得られる。ワーキングファミリーの研究・擁護団体、ナショナル・パートナーシップ・フォー・ウィメン・アンド・ファミリーズ(NPWF)が14日、新しい分析を発表した。
  これによると、女性は1日平均で約52分を子どもや家族の世話に費やしている。同居していない家族のケアもこれに含まれる。一方で男性が費やす時間は1日平均約26分だ。保育士やホームヘルパーの平均賃金である時給14.55ドルを稼ぐと仮定すると、こうしたケアに賃金が支払われた場合に女性は年間4600ドル、男性は約2300ドル収入が増える計算だ。
  この報告書が発表された翌日は、「母親の賃金同等デー」となった。米国の平均的な父親が2022年に稼いだ収入を、平均的な母親が稼ぐのが23年のいつになるのかを示すもので、家族のケアが女性を経済的に追い詰めている状況を浮き彫りにしている。働く母親は一家の稼ぎ頭であっても、その収入は男性より少ないのが一般的だ。家族を介護している女性は勤務時間の短縮や休職など、キャリア面でも後退を余儀なくされる可能性が高い。このような不利が積み重なり、米国の女性労働者に科された賃金格差は1967年以降で61兆ドルに積み上がった。賃金の平等を目指す取り組みが現在のペースで進展するとして、これが解消されるのは早くても2056年以降と試算されている。:
  NPWFのシニアフェロー、キャサリン・ギャラガー・ロビンズ氏は「男性も女性も多くの時間と労力を費やしているが、ここで見せたかったのは男女の差だ。女性の方が負担が大きく、女性が介護役を担う可能性は男性より高い」と話す。2022年の米労働統計局データを基にまとめた今回のリポートを共同執筆した同氏は、「ケアは愛情があってこその労働だ。しかし負担が伴わないわけではない」と述べた。
  20年にわたって80万世帯の所得報告書を分析した最近の調査報告によると、給与や学歴に関係なく、すべての母親はいわゆる「母親ペナルティー」を科されている。第一子の誕生で年間約8000ドルを損するのが平均だ。一方で父親の所得は有意な影響を受けない。賃金の格差はまた、非白人の母親やシングルマザーの場合はさらに悪化する。』
 長文の記事だが、女性が果たしている重要な機能が経済的に報われず負担になっている状況がよくわかる。ただ、91兆円は誰が負担すれば公平なのだろうか。

ニューヨークタイムズ記事より
1.トランプ氏4度目の起訴
【記事要旨】
 ドナルド・トランプ前大統領は、2020年の同州選挙の結果を覆し、有権者の意思を覆すための「犯罪計画」を画策したとしてジョージア州で告発され、出頭まで10日間に迫られている。
 月曜遅くに発表された41件の起訴状では、トランプ大統領の元個人弁護士ルディ・ジュリアーニ氏や、選挙当時ホワイトハウス首席補佐官を務めたマーク・メドウズ氏など、トランプ氏の最も著名な顧問らも起訴されている。
 元司法省高官やジョージア州共和党元委員長を含む19人の被告全員が、同州の恐喝・腐敗組織法(RICO)に基づいて起訴された。
 ジョージア州のRICO法は、組織犯罪グループを解体するために可決された連邦法を模範としている。 同法に基づく起訴では、検察当局は被告らが「ドナルド・J・トランプ氏に大統領職を掌握させるという違法な目的を達成」しようとした企業の一員であったことを証明することが求められる。
 今後の展望:トランプ氏は2024年11月5日の大統領選挙までに4回裁判を受ける可能性があり、そのたびに遊説から離れなければならないだろう。
【コメント】
 今回の起訴は、筆者の判断では、最も有罪の可能性が高そうだ。選挙に臨むトランプ氏にはボディブロウのように効くのではないか。家族の支援も得られず孤立無援の闘いを展開することになる。

2.中国、若者の失業率報告を一時停止
【記事要旨】
 中国政府は、若者の失業率が7か月連続で増加すると予想されており、昨日、情報の公開を一時停止すると発表した。
 都市部の16~24歳の失業率は6月に21.3%と過去最高を記録した。 今年は毎月上昇しており、先月はさらに上昇すると広く予想されていた。 中国の決定は、政府の情報管理強化により中国でのビジネスが困難になっていると主張する投資家や経営陣の懸念をさらに悪化させる可能性がある。
 この発表は、中国最大のソーシャルメディアプラットフォームの1つであるWeiboで数時間以内に1億4000万回以上の閲覧を集めた。 コメントを寄せた人の多くは、中国政府が否定的な情報を隠蔽しようとしていると信じていると述べ、また、国民には情報を得る権利があると述べた人もいた。
【コメント】
 実体は若者の半分近くが失業しているという学者の発表もあった。中国関連の情報は興梠一郎氏のYouTubeが優れているので参考にすると良い。
 中国がくしゃみをすると日本が風邪をひく状況なので中国経済の行方は心配なところだ。

3.ロシアの戦時中の財政問題は山積する
【記事要旨】
 ロシア中央銀行は昨日、ウクライナ戦争初期の数週間以来最大となる利上げを実施したが、これはロシア経済の安定に対する懸念の大きさを浮き彫りにする劇的な措置だった。 これは、7月21日に1ポイント引き上げて以来、この1カ月以内で中銀が景気を冷やす2度目の試みとなった。
 最近の経済混乱は、西側諸国の制裁だけでなく、ウクライナ戦争の費用を支払うための支出増加にも部分的に起因している。 月曜日、ルーブルは象徴的に重要な為替レートである1ドル=100ドルを一時的に突破した。
 ロシアは先週末、黒海で貨物船を臨検し、ウクライナに対する封鎖を強行するとの脅しを見事に実行した。
 ウクライナ兵士の精神的健康に気を配っている人々は、彼らが直面する恐怖は利用可能な治療法よりも大きく、何年も続くだろうと言う。
【コメント】
 最後の段落が気になる。戦争を行うのは最前線の兵士たちだ。ウクライナでもロシアでも前途の有る若者が大勢死んでいる。愚行だが、止めようがない。

その他:
台風6号の被害
 Typhoon Lan pummeled western Japan, prompting officials to issue evacuation warnings and knocking out power to more than 50,000 homes.
日本経済の回復
 Japan’s economy recorded an impressive growth rate of 6 percent in the second quarter of 2023, evidence that the country is finally recovering from the Covid doldrums.
米国での深刻なオピオイド中毒
 New research showed that about 30 percent of Americans have been addicted to opioids, or have had an addicted relative.

2023年8月16日 水曜日