世界の動き 2023年5月18日 木曜日

今日の言葉:
「CDS」
 Credit default swapの略称で日本語読みはクレジット・デフォルト・スワップ。クレジット・デリバティブの一種で、企業の債務不履行にともなうリスクを対象にした金融派生商品。対象となる企業が破綻し金融債権や社債などの支払いができなくなった場合、CDSの買い手は金利や元本に相当する支払いを受け取るという仕組み。(野村証券)
 と言うことは、クレディ・スイスの債券は当然保護されると思っていたら、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場を監督するクレジットデリバティブ決定委員会(CDDC)は、クレディ・スイス・グループが発行したその他ティア1債(AT1債)が無価値とされたことについて、CDSの発動対象とはならず、損失の補償支払いは発生しないと決定した。
 発動が認められると見込んでいたヘッジファンドのフォーシックススリーやダイアミターなどには打撃となる。
 それはないだろうと思うのだが。誰もCDSを買わなくなる。

ニューヨークタイムズ記事より
1.G7で見るべきもの
【記事要旨】
 G7サミットが本日日本の広島で開幕し、主要7カ国民主主義国の指導者らが世界経済の安定を維持する方法について話し合う。 彼らはまた、世界的な不確実性が非常に高い時期に外交関係を強化することにも焦点を当てるだろう。
  「ウクライナ戦争をどう終わらせるか、そして中国にどう対処するか」が主要テーマだと見られる。
 しかし、最も差し迫った潜在的脅威は、米国の混乱かもしれない。米国があと2週間で債務不履行を起こせば自国経済と他のG7諸国の経済に衝撃を与えるだろう。
 サミット出席のため日本を訪問中のバイデン大統領は債務問題に対処するため、パプアニューギニアとオーストラリアへの訪問をキャンセルした。 米国が最近になって信頼と勢いを再構築し始めたばかりの同地域で、米国の信頼性の低さの恐怖が復活するだろうとアナリストは警告する。
 パプアニューギニアでは治安当局者1,000人を緊急動員し訪問に備えたがキャンセルされた。
【コメント】
 G7は今回盛り上がっているように見えるが、日本が開催国であることが主因だろう。
 私の関心は、岸田首相が世界の首脳を原爆資料館に案内できるかどうかだ。核兵器の悲惨さが理解できる世界で唯一の場所だからだ。

2.暑さは今後5年でさらに上昇する可能性がある
【記事要旨】
 地球の気温は今後5年間で記録的な最高値に達する可能性が高い。 世界気象機関は、人為的な温暖化とエルニーニョとして知られる気候パターンにより、2023年から27年までの5年間が観測史上最も暖かい期間となるのはほぼ確実であると述べた。
 科学者らは、気温の上昇により、熱波、山火事、干ばつ、その他の災害による危険がさらに悪化する可能性があると述べている。
 エルニーニョは降水パターンの変化にさらなる混乱を引き起こす可能性が非常に高い。 北欧やサハラ以南アフリカなどでは今後5年間で夏の降雨量が増加し、アマゾンやオーストラリアの一部では降雨量が減少すると予想している。
 世界の指導者の多くは、パリ協定に定められた、地球温暖化を摂氏1.5度に抑えるという目標を主張してきたが、各国はこの目標を達成するために必要な大きな変化を遅らせており、科学者らは現在、世界はおそらく2030年代初頭頃にその基準を超えるだろうと考えている。
【コメント】
 昨日も今日も真夏日を越える東京にいると、この予想が的中すると思わざるを得ない。しかし5月後半から6月前半は雨が降り気温が下がるようだ。
 ボラティリティが高まっているのは確かで天災も激甚化するのだろう。CO2を減らす予防的支出と、災害に備える対応的支出を比べると、予防の方が効果があるのだろうか。

3.インドネシアの首都移転計画
【記事要旨】
 ジャカルタは沈下しつつある。 そこでインドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、ヌサンタラと呼ばれる新しい首都をゼロから建設しようとしている。 この都市は、気候変動に立ち向かう発展途上国の他の大都市にとって、緑豊かで歩きやすいモデルになるはずだ。
 「建物を物理的に動かすのではなく、私たちは新しい労働倫理、新しい考え方、新しいグリーン経済を望んでいます」と首都建設の技術者は語る。
 このプロジェクトは、気候専門家が「管理された撤退」と呼ぶ、脆弱な土地からコミュニティを計画的に撤退させる大胆な試みである。 これは、急速な人口増加と気候変動への対応に苦戦している他の同様の大都市にとってのテストケースでもある。
 ヌサンタラは政治的反対に直面し、予定より遅れる可能性がある。ジョコ氏は来年8月に開設したいと考えているが、基本構造は一つも完成していない。
 なぜジャカルタは沈むのか? 森林伐採と過密化に加え、多くの住民がきれいな水を求めて何千もの違法な井戸を掘っているせいで地下水源が枯渇している。
【コメント】
 首都移転先はカリマンタン島の東カリマンタン州で、敷地予定面積は約25万6千ヘクタール(東京23区の約4倍)。政府機能は移転されるが、経済の中心としての機能はジャカルタに残る。ヌサンタラはインドネシア語で「群島」を意味し、1万7千の島で構成される同国を示している。
 いまネットで確認したが、まだまだ原野のようだ。

その他:
G7に間に合わせる
 Timed to the G7 summit, some Japanese lawmakers are pushing for an L.G.B.T.Q. rights bill. Japan is the only G7 country that has not legalized same-sex unions.
中国の強権と台湾総統選
 China fined a comedy studio about $2 million for a joke comparing the military to stray dogs.
  Opposition party nominated a moderate for president, an appeal to voters wary of Beijing.
ウクライナでの戦争
 European countries are pressuring the U.S. to allow Ukraine to procure American-made F-16 fighter jets.
 Ukraine said its gains around Bakhmut were shifting the momentum.

2023年5月18日 木曜日

世界の動き 2023年5月17日 水曜日

今日の言葉:
「米国の債務上限問題」
 Bloombergの記事より
『米債務上限問題を巡り、バイデン米大統領とマッカーシー下院議長ら議会指導者が今月2回目の会談を行った。マッカーシー氏は会談後、合意には依然程遠いと語った。ただ、今週末までに合意に至る可能性はまだあるとも述べた。バイデン氏はG7広島サミット出席後に予定していたオーストラリアとパプアニューギニア訪問を取りやめ、債務上限を巡る共和党との協議に戻る。関係者によれば、17日に日本に向け出発するが、G7サミット閉幕後の21日に米国に戻る』
 これまでは期限までには解決するのが通例だったが、今回は共和党は強硬そうだ。一時的にせよ米国債がデフォルトすると市場への打撃は大きい。
 ファンドマネジャーとしては思案のしどころだ。債券も株式も下がるだろう。市場価格の無い私募債や非上場株にはプラスだ。
 大量の資金の持っていき場所が無いので優良株には打撃は少ないだろう。Pick the best, leave the rest. かな、と思うのだが。

ニューヨークタイムズ記事より
1.ウクライナ、大規模なミサイル攻撃を阻止
【記事要旨】
 ウクライナ当局者は、キエフに向けられた極超音速キンジャールミサイル6発を迎撃したと発表した。 もしそれが確認されれば、ウクライナがロシアの最も洗練された兵器の一つを撃墜する能力があるという証拠となる。
 この攻撃は、ロシアによる3月以来最大規模の空襲の一つだった。ウクライナは、ロシアがキエフに向けてキンジャールミサイルと無人機を発射したが、ミサイルはすべて撃墜されたと述べた。 ロシアは、ミサイル1発が米国製パトリオットシステムに命中したと発表した。
 開始以来15か月にわたるロシアの戦争を悩ませてきた資源の不足、防衛の組織の乱れ、隊列の不一致という問題は悪化している。
 ロシア軍は、昨年以来、600マイルに及ぶ前線に沿ってほぼ停滞している。 最近、ウクライナ東部バフムット近郊の陣地から後退しており、ロシア国防省によると、大佐2名が戦闘で死亡した。 そして、ウクライナの待望の反撃はまだ始まっていない。
 それでも、プーチン大統領の決意は、何年も続く可能性のある戦争に備えていることを示している。ロシアの権威主義体制では、指導者の政策が国民の同意を得る必要はないと専門家は言う。
その他のアップデート:
 ウクライナのファーストレディ、オレナ・ゼレンスカ氏はソウルで韓国のユン・ソクヨル大統領と会談し、非致死的援助を要請した。
 アフリカ6カ国の首脳らは戦争終結に向けた協議のためモスクワとキエフを訪問する予定だ。
【コメント】
 ウクライナの反転攻勢はロシアの「終わりの始まり」になるのだろうか。

2.カンボジア反政府勢力のさらなる挫折
【記事要旨】
 カンボジアは、フン・セン首相の与党に対する唯一の主要野党の資格を剥奪した。 38年間政権を握ってきたフン・セン氏は、7月28日に予定される総選挙後に長男が後継者となるための基礎を築いている。
 フン・セン氏は法廷、選挙操作、脅迫、そしてクーデターを通じて権力を保持してきた。 今年2月には、カンボジアで批判的な報道を提供する数少ない報道機関の1つであるVoice of Democracyを閉鎖した。 3月には、最大野党政治家ケム・ソカ氏に27年の自宅軟禁の判決が下された。
 2018年の選挙前に裁判所が主要な挑戦者を解散させた後、フン・セン党は現在、国会の全125議席を保持している。 今回、国家選挙管理委員会が7月の選挙に向けて承認したのは、フン・セン氏と同調する政党とあまりにも無名な政党のみだった。
【コメント】
 カンボジアの状況は、正直、まったく知らなかった。ミャンマーの軍事政権もひどいがカンボジアも同じ状況だったのだ。
 カンボジア、ミャンマー、ラオスという地域は我々になじみがないし報道も少ない。タイの発展は民主主義の成功の証に見えるが、軍事政権も現れる。ベトナムは目覚ましく発展しているが共産主義国家だ。経済成長と政治の自由度の関係は簡単に説明できないようだ。

3.EVのバッテリーにおける中国の優位性
【記事要旨】
 西側諸国が数十億ドルの投資をしているが、中国は電気自動車用バッテリーの製造においてはるかに進んでおり、世界の他の国々が追いつくには数十年かかる可能性がある。
 リチウムイオン電池生産の各段階での中国の優位性は次のとおりだ。
 鉱業:中国は、電池の製造に必要な必須の希少鉱物を安価かつ安定的に供給できるようになった。 コンゴ民主共和国の鉱山を所有することで中国は世界のコバルトの 41 パーセントを支配している。また、インドネシアへの投資により、中国は2027年までに最大のニッケル管理国になるだろう。
 精製: ほぼすべての鉱物が精製のために中国に輸送される。 中国企業は安い土地とエネルギーで政府から支援を受けており、より大量かつ低コストで鉱物を精製できる。
 部品: バッテリーに使用される部品のほとんどは中国で製造されている。同社は最近、電池の陽極のより安価な代替品に投資し、これらは市場の半分を占めている。
 組み立て: 中国は最も多くのバッテリーと最も多くの自動車を製造しています。 人件費が安く、製造業者も多く、同国は北米や欧州の他国の半分近くのコストで電池工場を建設できると専門家はいう。
【コメント】
 最大の中国の強みは「資源」が自国内にあることかと思ったのだが、コンゴやインドネシアで鉱山開発をしていたとは知らなかった。先見力と大胆さがある証拠だ。代替品を見つけない限りEVシフトを一辺倒に進めるのは中国を利することになる。

その他:
スーダンからの難民
 Tens of thousands of people have fled growing violence in Darfur since the conflict in Sudan began. Many are now in Chad, where camps are growing.
トルコで野党候補が苦戦
 The political opposition in Turkey faces an uphill battle to defeat President Recep Tayyip Erdogan in a runoff on May 28.
マスク後の日本で笑顔のコーチ
 Many Japanese people who are unmasking after three years find that their facial expressions are a bit rusty. So some have recruited a smile coach. A one-hour session draws on yoga and emphasizes strengthening the zygomatic muscles, which pull the corners of the mouth.

2023年5月17日 水曜日

世界の動き 2023年5月16日 火曜日

今日の言葉:
「熊の被害」
 北海道で釣り人がクマに襲われ亡くなった。ここ数年毎年150件ほどの熊による人への襲撃事件が出ており死者は令和3年には5人に上っている。
 「森のくまちゃん」に万一であったらどうするか。すたこら逃げてはいけないらしい。相手を見ながらじりじり後ずさりをして安全を確保するというのが定説だが、そんなことが実際できるのだろうか。

ニューヨークタイムズ記事より
1.トルコ選挙、決選投票へ
【記事要旨】
 エルドアン大統領はトルコ大統領選挙で第1回投票で勝利を収めることができず、5月28日の決選投票に臨むことになったが、彼はさらに5年の任期を勝ち取るのに十分な立場にあるようだ。
 日曜の投票ではエルドアン氏が49.5%を獲得し、主な挑戦者であるケマル・キリクダログル氏の44.9%を上回った。 選挙戦から敗退した第3候補のシナン・オーガン氏の右派支持者は決選投票でエルドアン氏に投票する可能性が高く、エルドアン氏が勝利する可能性が高まっている。
 エルドアン大統領の党とその同盟者らは、日曜に行われた議会選挙で圧倒的多数を維持した。 それはおそらくエルドアン大統領の再選の可能性をさらに高めるだろう。
 しかし、エルドアン大統領が過半数を獲得できなかったという事実は、選挙活動に国家資源を活用し、メディアに頼って競争の場を自分に有利に傾けたにもかかわらず、一部の有権者が彼の財政管理と権力の強化に不満を抱いていることを示している。
 暫定結果によると、2018年の大統領選挙と比較して、国内のほぼすべての地域がエルドアン氏に反対する方向に傾いた。 最も厳しい非難は、トルコの二大都市であるイスタンブールとアンカラの周辺地域からのものだった。
 専門家らは、この結果はエルドアン大統領の恐るべき生存能力を示す例にすぎないと述べた。
【コメント】
 反エルドアン勢力の統一候補は意外に伸びなかった。確かにエルドアンの生存力の高さがわかる結果だった。20年の権力の座がさらに4年続くのをトルコの国民が本心から支持しているのだろうか。

2.タイ野党、連立政権樹立に合意
【記事要旨】
 タイの2つの野党は昨日、週末の総選挙で圧倒的多数を獲得したことを受け、連立政権樹立に向けて連携すると発表した。 しかし軍事政権が簡単に権力を移譲するかどうかは依然として不透明だ。
 前進党党首のピタ・リムジャロエンラット氏は連立政権構築の取り組みを主導し、首相に就任する可能性もある。 同氏は、軍部が任命した上院の反対が依然として自身の指名を阻止する可能性があることについては懸念していないと述べた。 「タイ国民がそんなことを許すとは思えない」と彼は語った。
 しかし、歴史が何らかの指標であるとすれば、軍がすぐに権力を手放す可能性は低い。 将軍たちは2017年に憲法を書き換え、上院と同盟し、軍が次期首相を決定することを確実にした。 アナリストらは、ピタ氏が国を率いることを阻止しようとするいかなる取り組みも抗議活動を引き起こす可能性が高いと述べた。
 「現在、多くの人がピタ氏を新首相として念頭に置いている」と専門家は語る。 「ピタ氏が首相になれず、前進党が政権を樹立できなければ、国民の心は引き裂かれるだろう。 そしてそれは非常に悪いものになるだろう。」
【コメント】
 上院250議席の力は侮れない。下院には意見の異なる多数の少数政党があり、それらを上手く統合できるかが野党政権が出来るかどうかのポイントになる。

3.中国人労働者が海外で脅威に直面
【記事要旨】
 3月には武装集団が中央アフリカ共和国の人里離れた鉱山を襲撃し、そこで働いていた中国人労働者9人を殺害した。 この攻撃やその他の同様の攻撃は、中国が海外で自国民を保護する能力に疑問を投げかけている。
 中央アフリカの政府は攻撃の原因は反政府勢力だと非難した。 反政府勢力はロシアのワグナー傭兵団を非難し、傭兵団も反乱軍を非難した。 どの側も証拠を提示していない。 外交官によると、十数人が現場にいたはずだが、現場を守っていた政府軍兵士はわずか4人だった。 4人全員が生き残った。
 この不透明さは、中国企業の拡大に伴い中国政府が直面する安全保障上の課題の増大を浮き彫りにした。 多くの場合、彼らは保護が限られた紛争地帯の真ん中でビジネスを行っている。 中国は、中国人労働者を保護するために地元の軍人、傭兵、民間企業のパッチワークに依存することが多い。
 「世界で最も統治が行き届いていない地域に参入し、紛争を激化させているという意味で、中国は薄氷の上にある。そして攻撃が起こるたびに中国国民は怒り、中国はこの直接介入しないやり方を再考せざるを得なくなる」と中国の開発金融の専門家は語った。
【コメント】
 治安の悪い途上国で国策ビジネスのまい進するのが中国企業のビジネスのやり方だが、このやり方で中国はアフリカでの影響力を拡大してきた。直接介入するとは中国人労働者保護のために保護人員を派遣することだろうか。一層現地の反発を招くだろう。

その他:
ジャニー喜多川の記事
 One of Japan’s top entertainment production companies issued an apology over sexual assault claims against its late founder.
EUはゲーム企業の買収を承認
 The E.U. approved Microsoft’s $69 billion takeover of Activision Blizzard, after U.S. and British regulators both moved to block the deal.
ウクライナの戦争
 Britain promised a large package of missiles and attack drones to Ukraine as President Volodymyr Zelensky paid a visit.
 Ukraine made further advances around Bakhmut, the country’s deputy defense minister said.

2023年5月16日 火曜日

世界の動き 2023年5月15日 月曜日

今日の言葉:今日がまさにそうだが、
 「Rainy days and Mondays(雨の日と月曜日は)」

 Talking to myself and feeling old
Sometimes I’d like to quit, nothing ever seems to fit
Hanging around, nothing to do but frown
Rainy days and Mondays always get me down
 とても奥深い言葉が並ぶカーペンターズの名曲だ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.タイの有権者は変化を支持
【記事要旨】
 タイの有権者は10年近い軍事政権の終焉を求め、軍と王政という2つの強力な保守組織の力を抑制すると約束した2つの野党に賛成票を投じた。
 今朝の開票率97%の時点で、定数500の下院で前進党(ムーブ・フォワード)は151議席、ポピュリスト政党のタイ貢献党は141議席を獲得した。
 ISEAS-ユソフ・イシャク研究所は、「今回の選挙を、タイ政治における伝統的な権力中枢に対する国民投票としてみるることができる。人々は単なる政権交代ではなく構造改革を望んでいる」と見る。
 この結果は、2014年にクーデターで権力を掌握したプラユット首相にとって屈辱的な打撃である。
 前進党は強制徴兵の廃止と王室批判を犯罪とする法律の改正を目指している。 都市部の若者や首都バンコクの有権者を魅了し、目覚ましい躍進を遂げた。
 タクシン元首相によって設立されたタイ貢献党は、2006年に汚職疑惑のさなかクーデターで追放された後も、貧しい人々の擁護者として今でも懐かしく記憶されている。 世論調査によると、タクシン氏の娘が首相候補の第一候補となった。
 タイ貢献党と前進党はどちらも過半数を形成するのに十分な議席を持っていないため、連立を確立するには他の政党と交渉する必要がある。 しかし、クーデター後に軍が作成したタイの現行制度の下では、軍事政権は依然としてキングメーカーの役割を果たすことになる。 誰がリーダーになるかの決定には数週間、場合によっては数か月かかる可能性がある。
【コメント】
 あれほど国民の尊敬を受けていたプミポン国王が亡くなった後どうしようもない皇太子が王位に就いたあと王室への批判が出てきた。
 英国王室やさらには日本の皇室への示唆もある。
 軍事政権から民主主義政権へ波乱なく移行して欲しいものだが多分一波乱あるのだろうと見る。

2.トルコの重要な選挙
【記事要旨】
 昨日トルコの有権者が投票に行ったとき、エルドアン大統領は、20年間の政権に対する最も激しい政治的挑戦に直面しており、選挙結果はトルコの内外政策を再構築する可能性がある。
 結果はまだ出ていないが、国営通信社は開票当初の結果ではエルドアン氏が優勢であると報じた。エルドアン大統領の最有力挑戦者ケマル・キリクダログル氏はツイッターに「我々がリードしている」と書き込んだ。
 どの候補者も過半数を確保できなかった場合、最有力候補 2 名が 5 月 28 日に決選投票に進むことになる。
  この投票は、エルドアン大統領の20年間を問う国民投票だ。2018年以来の痛みを伴うインフレに見舞われている経済状況に対する国民の怒りが主な理由で、非常に接戦となった。
 この投票はまた、トルコで地震により5万人以上が死亡した3か月後に行われ、エルドアン大統領が開発促進に重点を置いたために安全でない建物が生み出されたのではないかという疑問が生じた。
 トルコは本格的な民主主義でも本格的な独裁制でもない。エルドアンは過去 20 年間、自分に有利な方向に政治を傾けてきた。
 エルドアン大統領の敗北は西側諸国にとっては恩恵であり、ロシアにとっては損失となるだろう。 エルドアンはモスクワとの貿易を拡大し、プーチン大統領との緊密な関係を追求し、NATOの拡大を妨げてきた。
【コメント】
 20年の長期政権が倒れるのか注目したい。

3.サイクロン「モカ」が上陸
【記事要旨】
 ここ10年以上で最も強いと予想されているサイクロン・モカが昨日、ミャンマー西部のバングラデシュ国境近くに上陸した。少なくとも6人が死亡したが、これまでのところ当局が懸念していた人道的大惨事には至っていない。
 サイクロンの被害を受けた地域には、世界で最も貧しい人々が住んでいる。 嵐は世界最大の難民キャンプがあるバングラデシュの都市コックスバザールを通過したが、当局者らは現地での被害報告はまだ受けていないと述べた。
 世界食糧計画は大規模な緊急対応の準備を進めていると述べた。 しかし一部の当局者は、陸地では暴風雨が弱まるため、この地域は最悪の被害を免れることができるとの期待を表明した。
【コメント】
 多くの低地が水没する見慣れた光景が繰り返される。モンスーン地帯の悲劇がいつまでも繰り返される。

その他:
中国で外国企業への逆風
 Beijing’s crackdown on companies with foreign ties has spooked some business executives. The country’s focus on bolstering national security may harm its economic growth.
 China ordered Tesla to recall 1.1 million vehicles over braking risks.
中国が和平への道を開くか
 A Chinese envoy will visit Ukraine and Russia this week in an attempt to negotiate an end to the war.
昔コニー・チャンというキャスターがいました
 Many Asian American women are named after Connie Chung, a veteran U.S. television journalist. The writer Connie Wang explored the phenomenon, which she calls “Generation Connie.”

2023年5月15日 月曜日

弱肉強食

四字熟語の定番だ。お笑いでは「■肉■食」の穴埋め問題で「焼肉定食」を正解にするのが流行ったことがある。

今朝新聞を見ていて、竹中平蔵氏がAIのコンファレンスのキースピーカーで挙がっており、ああ、この方はまだ頑張っているんだと思い、竹中さんが経済財政+金融担当相になって大手銀行の不良資産を処分する政策を推し進め、大手銀行や証券会社が倒れ、実質債務超過の借入過多企業が沈み、貸剥がしのため中小企業が青息吐息になり、日本にもついに「弱肉強食」の時代が来たと考えたのを思い出したのだ。

私は2000年に銀行を辞めプラベートエクイティ(PE)業界に転じたのだが、ダイエーが倒れ、日産自動車がゴーン改革で子会社の多くを整理したこの時期は、それらの会社が案件の多くを供給してくれたPEにとっては良き時代だった。これで日本も資本主義化し「失われた10年」にも終止符が打たれると思いきや、そうはならなかった。

次第に「痛いのは、やっぱり、嫌だよね」と言うのが国民の多数派になり、嗅覚の鋭い政治は、国債を増発し増税を先延ばしして、国民の支持を得るのに一生懸命だった。資本主義は定着せず、悪しき平等主義・社会主義に逆戻りした。

コロナ禍も産業構造を改革する良い機会だった。生産性の低い企業は潰れざるを得ないのが資本主義の大原則だが、ゼロゼロ融資や、雇用調整助成金で、本来退場すべき企業の多くが生き残り、保守層の岩盤支持層になっているのだ。

日銀が長期金利を調整し、国債の増発分を生き受け、ETFの購入で株式市場を支えている状況は「常軌を逸している」のだが、そういう声はむなしく、金融緩和をいつまでも続けるリフレ派の声が強く、若者の支持も厚い。

頼みの綱だった自動車業界のトヨタでさえ、EVでは本当に出遅れた。日本発の産業に見るべきものが無いと言うと言い過ぎだろうか。

「インバウンド」に期待して生き残りを図る国策には観光しか生き残るすべのないギリシャやスペインの姿に重なる。ああ。

2023年5月14日 日曜日