立憲民主党に何をアドバイスするか?

党勢が伸び悩む立憲民主党はどうすれば良いのか?これは劣化する日本の民主主義を立て直すのに重要な課題だと思われる。この課題には、アメリカの政治学者である John B. Judisの、米国の民主党に対する考えが役に立つかもしれない。

 というのは、Judisは2002年に“The Emerging Democratic Majority” という著書を出し、「2002年当時の民主党の支持基盤とその当時の人口構成とその成長率を考えると今後の数十年間は民主党のマジョリティが揺るがない」と説いたのだ。当時大きな議論(主に賛成多数)を読んだが、結果は大外れだった。    せっかく政権交代したのに3年で政権を失った日本の民主党政権とその後の民主党(現在の立憲民主党)の状況に似ているではないか。

 現在、米の民主党は辛うじてマジョリティを維持しているものの、中間選挙に際して党の統一さえ困難なありさまだ。こうした状況に直面しJudisは米民主党にどのようなアドバイスが出来るのだろうか?彼の論を見てみよう。

米民主党への3つのアドバイス
1.法案(これはBuild Back Betterのことを指している)の成立に党で一致協力する。それが出来ないときは、人気のある部分を取り上げて部分的な成立をさせる。有権者に、民主党が有効であり政府を運営することが可能だ、と信じさせる。

2.国家がノーマルに戻るためにまだやっていないことがあればすぐに実行しろ。いまコロナの終焉が近づいている。民主党は、国家の再開の準備が出来ていることを示すべきだ。国民が幸せになり物事がノーマルになることを民主党が希求していることを明確にする。

3.党内で議論が分かれる論点を整理し、有権者の共感を得る論をしっかり示す。例えば、「犯罪に対しては厳しく望む。警察予算の削減には断固反対する」といったような考えだ。

こうして選挙に勝利すべきであり、勝利したら民主党を勝たせてくれた選挙民のために出来ることを実行することだ。

さてさて、日本の立憲民主党へのアドバイスになったでしょうか?

(2022.1.26 Wednesday)

世界の動き 2022.1.26 Wednesday

N.Y. Times電子版より

1.ロシアの軍事演習でウクライナの外交交渉はストップ
【記事要旨】
ロシアは火曜日に、太平洋からウクライナまでのロシア全土での軍事演習を発表。その中にはアラビア海での中国との共同演習が含まれている。この動きは米とNATOによるウクライナ問題への介入強化への対抗策とロシアは説明。
The Kremlin spokesman, Dmitri Peskov, said the U.S. and NATO were orchestrating “information hysteria” about Ukraine by reporting “lies” and “fakes.” lies、fakesというどぎつい言葉が使われている。
ロシアはベラルーシとクリミア半島でも軍事演習をしておりウクライナは包囲されている。
米は欧州への天然ガスがロシアから遮断された際の中東、北アフリカ、アジアからの供給を検討。
【感想】
米とNATOがカリカリしているのにウクライナ政府は、危機はそれほどでもないと言っているらしい。独立国としての彼らが一義的には解決すべき問題だから、米とNATOの姿勢は前のめりの印象も受ける。
露からのパイプラインはウクライナ経由がメイン。欧州へはトルコやイラン、エジプトからのラインもあるが、トルコのラインも露からの供給が多い。イランは対米強硬路線で期待できない。
日本でも有事に備え代替エネを中心としたエネルギー自給率の向上に国策として取り組みを加速すべき。
最近TVでロシア軍のボロネジ付近での演習の映像が流されている。ボロネジは第二次世界大戦の独ソ戦での激戦地の一つ。ウクライナではイタリア軍も戦った。名画「ひまわり」はウクライナで戦後生き残ったイタリア人兵士と彼をずっと待っていた妻との哀しいお話しでした。私の名画ベスト3に入ります。

2.EUは域内の旅行規制を緩和
【記事要旨】
EU域内27か国では、「過去9か月内にワクチンを接種している人、コロナに罹患し回復した人」は検査や隔離なしに、2月1日から、自由に旅行できることにする方針。
EUはコロナ後の日常化を推進。一方、ブースター接種は奨励している。
【感想】
合理的な判断だと思いますが、日本ではこうは行かないでしょうな。

3.シリア人とISISとの戦闘継続
【記事要旨)
シリアのハサカ刑務所(3500人のIS戦士を収監)がISの武装勢力に襲われ(20日に襲撃は始まり、世界に報道されたのは昨日)たが、武装勢力は刑務所の3分の1をまだ占拠している。米軍に支援されたクルド人勢力とISとの戦いは継続している。
【感想】
Fighting spreads between Syrian forces and ISIS というのが見出しですが、Syrian forcesというのはシリア政権軍ではなくて、反政府クルド人勢力なんですね。複雑です。
ハサカって写真でみるときれいな街だけど今はどうなっているのだろうか。ダマスカス、ベイルート、バグダッド等々、魅力的な都市が沢山あるのに戦乱で行くことができない。内戦を続けるのは愚の骨頂と思うが、いろいろな人々にいろいろな大義や信仰があり難しいのでしょうね。

(2022.1.26  Wednesday)

Garbage in, garbage out! (GIGO)

Garbage in, garbage out.は、若いころコンピュータを使って統計処理をする際に聞かされた警句だ。「ごみ(信頼できない情報)を入力しても、ごみ(使い物にならない結果)を出力するだけだ。

 コロナ禍を経験した2年にわたり、我が国のコロナに対する分析はGIGOだった。役に立たない感染追跡ソフトが作られ使われず放置された。保健所の濃厚接触者のフォローも尻切れトンボになった。国土交通省の建設データの改竄・不正入力もGIGOの典型だ。不正期間の日本のGDPは信用できない。

 昨日厚生労働大臣は恐るべき発言をした。「感染者の濃厚接触者に発熱などの症状が出た場合、検査を受けなくても、医師が感染したと診断できるようにする」というのだ。検査なしにコロナに感染しているかどうかどのように判断するのか。感染者数はどう判断するのだろうか。

 日本はワクチンと治療薬の開発に米、英、独、露、中の主要国に大きな差をつけられた。今追いつこうと必死になっている製薬会社があるが、開発の基礎になる感染者の情報はどのように入手していくのだろうか。検査をしなければ感染者数の情報はわからない。garbageならぬnothingが入力されるわけだ。

 Nothing in, nothing out. 「何も情報を入れなければ何も結果は出ない」
 頭脳のない政治家と言われたことしかやらない官僚が跋扈している。この国は万事窮した。

(2022.1.25 Tuesday)

世界の動き 2022.1.25 Tuesday

N.Y. Times 電子版より

1.西側諸国のウクライナ防衛強化に呼応し米が厳戒態勢
【記事要旨】
 米国防省は米軍8500名をウクライナへのロシア侵入に備え厳戒態勢を敷いた。ほとんどがNATOの強化に使われ一部は米の特殊任務の使われる。
 NATOは月曜にメンバー諸国の軍隊が即応体制を敷いたと発表。
【感想】
 米国や西側諸国が大使館員のウクライナからの退避を進めている。ますますきな臭くなってきている。

2.WHOは、オミクロン株の感染拡大でコロナは沈静化へ、と発表
【記事要旨】
 WHOの欧州責任者によればOmicron offers plausible hope for stabilization and normalization. ということで米のファウチ博士の見解も同様。
【感想】
 先進国ではコロナもここ数か月で落ち着く可能性が大きそう。
 しかし国連は途上国での教育の遅延に強い警戒感を示している。

3.ブルキナファソで軍事クーデター
【記事要旨】
 軍がクーデターを発表。President Roch Marc Christian Kaboréは幽閉されており首都は軍が占拠。民衆の不満を解決するための動きだと軍は発表。イスラム原理主義者の台頭で140万人が家を失い2000人が死亡。
 The past year has seen a flurry of coups in sub-Saharan Africa, the greatest concentration in years, including in Guinea, Sudan, Chad and Mali.
【感想】
 ギニア、スーダン、チャド、マリ、ブルキナファソと言われても場所と首都が言える人は少なかろう。
 欧米のメディアではサブサハラのアフリカの記事も多い。カバレッジが凄いな。

その他、こんな記事もあり。
Western diplomats began talks with the Taliban in Norway over Afghanistan’s humanitarian crisis. Norwegian officials said the talks were not a recognition of the new government’s legitimacy.
 我が国も世界を俯瞰する外交を標榜するからは、かかる努力も出来そうなものですがね。

(2022.1.25 Tuesday)

エマニュエルというと?

    駐日アメリカ大使が2年5か月振りにやっと決まった。Rahm Israel Emanuel氏。この名前を見て気が付くようにバリバリのユダヤ系の人だ。第55代シカゴ市長、バラク・オバマ政権にて第23代大統領首席補佐官などを歴任したコワモテの政治家らしい。 

  Wikipediaで見ると、イスラエルとの2重国籍で、1991年の湾岸戦争にはイスラエル軍にボランティアで参加したシオニスト、という説明になっている。

 今日はエマニュエル大使に因んで三題ばなし。

1.二重国籍について
 エマニュエル大使の経歴を読んで驚いたのは、イスラエルとの二重国籍でも大使に任命されていることだ。日本では蓮舫議員が問題になったように、日本国籍一本でない二重国籍人間は忠誠心に懸念があるという考えが一般的だろう。そもそも日本の国籍法は二重国籍を禁止している。

 こうした懸念は二つ目の国籍が主な国籍に反する作用をする恐れがあると思われるからであろう。エマニュエル大使で言えば、日本がイスラエルとアラブの係争に巻き込まれそうになる時に、エマニュエル大使はイスラエル側の利益代表になり日本のスタンスと衝突することは無いのだろうか? アメリカとの関係でも、トランプのようにバリバリの親イスラエル政権ならアメリカの国益と大使の考えはシンクロするだろうが、アメリカと大使のスタンスに、また同盟国日本のスタンスとの間に利益相反が起こる恐れは皆無であろうか?

 Wikipediaで調べると、「オーストラリア、フィジー、ニュージーランド、フィリピン、サモア、バヌアツでは、二重国籍が認められている。 フィリピン、オーストラリア、フィジーでは二重国籍が認められているが、公職者になることは禁止している」という記述がある。 公職者になることは禁止するという取扱いが妥当と思うがいかがなものであろうか。

2.外交に大使は必要ないか?
 今回の2年5か月の不在は長いが前任のハガティ大使も、ケネディ大使の離任から7か月経ってやっと着任した。今回は2年5か月というかくも長き不在だったが外交に影響はないのだろうか。
 慰安婦像が釜山の日本領事館前に設置されたのに抗議して日本政府は駐韓大使を召還した。2017年2月のことだ。(そういえば最近報道が無いが、まだあの慰安婦像は設置されたままのようだ。日本政府の”強い抗議”はどうなったのだろうか)また、潜水艦建造の契約破棄で、フランスは駐米、駐豪大使を召還した。いずれも強い意思表示だと言われるが、不在でも問題ないポジションだとしたら、形式上の意思表示という以上の物ではあり得ない。
 外交プロトコール上、例えば、駐日大使は日本の外務次官と、駐米公使は局長と話をするとかいうレベル合わせの決まりがあるのかもしれないが、あまり不自由はなさそうだ。
 大使にビザ発給権限があるのならば(あるいは有ることにして)、駐韓大使が不在なので韓国人に訪日ビザを発給できない、とか言うことになれば大使がいないことを外交上のレバレッジに使えるかもしれないが、どうなのだろうか。

3.エマニュエルという名前
 エマニュエルはイマニュエルから派生した名前だ。イマニュエルは、ヘブライ語で「神は我とともに」という意味で、イマニュエル・カントが有名だ。
 いまでは、キリスト教徒にポピュラーな名前で、歴史学者エマニュエル・トッド、仏大統領エマニュエル・マクロンらが容易に思いつく。女性でも男性でもある名前で、女性名ではeが付く。
 エマニュエル大使はラストネームがエマニュエルだ。エマニュエルというと、どうしても映画「エマニュエル夫人」を思い出す。このエマニュエルはラストネームかと思うと、そうではなくファーストネームだ。ちなみに、エマニュエル夫人の原作を書いたのはエマニュエル・アルサンというタイ出身の女性作家だ。

(2022.1.24 Monday)