世界の動き 2022年6月27日 月曜日

ニューヨーク・タイムズ電子版より

今日の一言:

「需給逼迫注意報」

聞きなれない名前だ。参院選でもエネルギー政策全般を見直す議論は盛り上がらず、野党を含む政策の失敗を市民に押し付ける印象が強い。

1.中絶禁止は合憲の米最高裁判断
【記事要旨】
米連邦最高裁が中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆した今回の判断を受け、テキサスとミズーリ州は直ちに両州での中絶が違法だと宣言。他の9州ですぐに、その他20州でもじきに違法とする見込み。この判断に対し各地で抗議集会が開かれた。妊娠しないピルの需要が急増しているが今後の論争の焦点になろう。中絶が合憲の州へ旅費が払えず移動できない低所得の黒人やヒスパニックの女性は中絶することが困難になろう。
【コメント】
今回の最高裁判断を共和党支持者の78%が賛成する一方、民主党支持者の83%が反対。銃規制に続き、中絶という国論を2分する問題での最高裁判断であり、11月の中間選挙に向け、米国の分断はさらに深まりそうだ。居住する州により中絶が認められるか認められないか決まりのは何とも釈然としない。

2.G7の開催に合わせロシアはキーウを攻撃
【記事要旨】
G7サミットでの一層のロシア孤立化策へのロシアの返答。何週間もなかったキーフへのミサイル攻撃を含む全土への攻撃を強化。ロシア産原油の制限による代替資源の確保は気候目標の達成を困難にする。G7では中国の影響拡大への対策も協議。
【コメント】
以下のニュースもある。
バイデン米大統領は中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する新たな枠組み「グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)」を打ち出す。中低所得国に5年間で6000億ドル(約81兆円)を投入する計画。米国は資金提供をG7首脳に呼びかけ、岸田文相は日本として650億ドル以上の拠出を目指す考えを表明した。
対中国での米国追随策は結構だが、欧米は裏で協力軸も確保しているので日本はしたたかに動きたい。

3.中国の監視国家強化策
【記事要旨】
過去1年間NYTimesでは中国政府の購買履歴を精査し、予想を上回る中国の監視国家化への動きを発見。監視カメラで眼鏡やマスクをかけていても人種、性別、を認識しソフトを通じデータを蓄積。電話の追跡ソフトで市民のデジタルと実際の行動を把握。DNAと声紋の収得も犯罪とは無関係に進めている。AIが使用され精神疾患のある人が学校に近づくのを警官に警告するとか偽装結婚を発見するようなことが可能になる。
【コメント】
米国の国論二分と対照的に中国では共産党集中が進んでいる。日本は住みやすい国だと改めて思う。

その他:
バングラデシュでの豪雨
Climate change has worsened the annual monsoon season in Bangladesh: At least 68 people have died from flood-related causes and more than 4,000 have been infected with waterborne diseases since May.
北欧でも起きる銃乱射
A gunman opened fire near a gay nightclub in Oslo, Norway, on Saturday, killing two and seriously wounding at least 10.
北京市内での水泳
Beijing is not known for its natural refuges — or its rule-bending. But “wild swimming” in the city’s lakes and waterways has continued to attract stubborn bathers, despite attempts by authorities to restrict the practice. During the pandemic, interest only grew.

(2022年6月27日 月曜日)

参議院選挙で二院制を思う

 参議院銀選挙がたけなわだ。掲示板に候補者ポスターが張られ、どの人にしようかと思案しながら立ち止まっている人を見かける。

 日本では選挙による獲得票により選出される議員による衆議院と参議院の二院制があたりまえのように思われている。議員の選出方法が両院でほぼ同じであり、法案審議等で衆議院の優先権があるので、参議院は衆議院のコピーに過ぎないという意見(極端な場合は参議院不要論)も聞かれる。

 先進民主主義国で構成されるG7の国々では二院の在り方は大きく異なるので概説してみたい。(以下の説明はWikipediaによる)

 アメリカでは、上院の定数は100議席であり、米国各州から2人の上院議員が6年の任期で一般投票によって選ばれる。下院の定数は435議席で、議員は一般投票によって直接選出され、2年ごとに全議員が改選される。議席は各州の人口比に応じて配分され、各州において選挙区割りが行われ、単純小選挙区制度により各議員が選出される。(我が国の「一票の重み」裁判では違憲確実の「上院の議員数は各州から2人」が貫かれている。)
 条約の批准と指名人事について、大統領に「助言と同意」を与える権限は上院のみが行使しうる。弾劾裁判においては下院による訴追に対して上院による裁判と役割が分担される。予算案および関連法案については下院に発議権がある。予算案を含むすべての法案が成立するためには上下両院での承認が必要であり、イギリスや日本の下院に付与されているような特定議院の優越はない。

 英国では、議会は両院制で、上院(貴族院)(定数785)と下院(庶民院)(定数650)から構成されている。君主は立法府の3つ目の構成要素を形成する(議会における女王)。貴族院は2つの異なるタイプの議員を含んでいる。すなわち、英国国教会で最も上級の聖職貴族で構成される聖職上院議員 (Lords Spiritual) 、及び首相の助言に基づいて君主により任命される連合王国貴族と一代貴族とで構成される世俗上院議員 (Lords Temporal) である。庶民院は、少なくとも5年ごとに行われる選挙に伴い、民主的に議員が選出される議院である。憲法上の慣習により、首相を含む全ての大臣(ministers)は、庶民院議員であるか、 – あまり一般的ではないが、貴族院議員であるか – である。議会法(イギリスの憲法の一つ)に、庶民院の優越がある。予算をはじめとする重要法案は庶民院議決が最優先される。また、その他の法案に関しても、庶民院が可決した法案は、貴族院が否決するかあるいは審議を先延ばしにしても、庶民院が再可決すれば成立する。庶民院が否決した法案は、貴族院では審議されない。なお、首相は選挙の際に庶民院で多数派を取った政党の党首が就くが、庶民院議員である必要がある。英国の上院が一般選挙で選ばれた人で構成されるのに驚く。

 米英のみならず、他の国々も日本の二院制とは大きく異なる。

 もともと貴族院という言葉が使われているのでわかるごとくローマの元老院を起源とする上院は、選出される人たちが庶民とは異なるという建付けになっている。英国では一般国民の選挙対象でもない。フランスでは上院議員は間接選挙でえらばれる。

 日本でも参議院は「良識の府」と言われた時期もあったが、今は「党利党略」による「衆愚政治」の場になっている感は否めない。ざるを2枚重ねても水は掬えない。各国の制度は衆愚政治への戒めを基礎にしたものになっているのではなかろうか。

(2022年6月26日 日曜日)

酷暑の日

今日は暑かった。体温を上回る熱さを記録した都会も多かったようだ。

 家の中でクーラーを利かせ読書するのに敷くは無い日だった。
 暑さにめげず散歩に出かけ、近隣の桜坂を通ると空気が心なしかひんやりして心地よい。桜のもたらす緑陰のお蔭だ。

 暑さで街中を歩く人は少ない。
 「ラーメン屋 顧客ゼロたる 酷暑かな」

(2022年6月25日 土曜日)

世界の動き 2022年6月24日 金曜日

ニューヨーク・タイムズ電子版より

今日の一言:
「この世で確かなのは死と税金だけだ」
自動車税、固定資産税と続き、昨日地方税を払い終わった。物価高の折り重税感が強い。税金に見合ったサービスを受けているとは思えないが払わないわけには行かない。
ベンジャミン・フランクリンのこの言葉を思い出す。英語ではNothing is certain but death and taxes.

1.アフガンでの地震被害
【記事要旨】
水曜に起きたマグニチュード5.9の地震は死者1000人以上をもたらしたが死傷者の捜索は終結へ。タリバン政権は支援を呼びかけイラン、カタール、パキスタンからの援助が届き、米国、国連、WHOも計画中。韓国は百万ドルの支援を提案。タリバンの政権獲得前は国家予算の75%を海外からの援助に依存していた。西側の支援者は女性への弾圧で支援に及び腰。
【コメント】
日本はどうしているのだろうか。韓国が出ているのに地震国日本が支援を名乗らないのは悲しい。

2.ゼレンスキーはアフリカのリーダーへ支援要請
【記事要旨】
ゼレンスキーはアフリカ連合のリーダーに支援要請するが、親露国が多く、「アフリカはロシアによる食糧危機により人質になっている」という主張への反応は鈍い。アフリカ連合議長のMoussa Faki Mahamatは要請後Twitterに発言を引用しただけで、プーチンとの面談時の親密さアピールする内容とは大きな違い。
【コメント】
国連でもアフリカの票数が最大。先進民主主義国とは事態の見方に大きな差があるのを実感。

3.中国での異常気象
【記事要旨】
豪雨で50万人以上が生命の危機に。南部の生産拠点である韶関(しょうかん)市では五十年来最大の水位で工場が生産停止。北東部、中部では酷暑が続き道路のひび割れが起きている。中国で続く異常気象は世界の異常気象の一環とみられる。中国では農地の急速な都市化が二酸化炭素を増やし汚染を拡大している。
【コメント】
日本では中国では600万人以上が大雨被害と報道されている。規模の大きさが凄い。

その他:
日本の7-11のフランチャイズの争いへの判決が記事に
For two and a half years, Mitoshi Matsumoto has fought 7-Eleven for control of a store he refused to operate 24 hours a day. Yesterday, a Japanese court ordered him to hand over the location and pay damages.
米国での銃規制の混乱
Yesterday, the U.S. Supreme Court overturned a New York law limiting guns in public. Hours later, the Senate advanced a bipartisan gun safety bill that responded to a spate of mass shootings.
インドのデザイナーが米国デビュー
India’s most famous fashion designer, Sabyasachi Mukherjee, has long dominated the country’s bridal industry with haute, maximalist traditionalism.

(2022年6月24日 金曜日)

世界の動き 2022年6月21日 木曜日

ニューヨーク・タイムズ電子版より

今日の一言:
「政党で選ぶか人で選ぶか」
 日本の政党間では政策の違いは乏しい。そのため選挙でどこに投票するか悩むことになる。長期政権の腐敗が目立つが、野党が逆転できる可能性は乏しい。与党野党間で大きな違いが無いからだ。ここは、国家の先行きを考え実行してくれると思われる人物に投票して、政治をしてもらうしかあるまい。今は政党でなく人物で投票すべき時だ。結果的に与野党均衡に近づき、緊張感のある政治が実行されるのではないだろうか。

1.アフガニスタンでの地震で1000人以上が死亡
【記事要旨】
 Khost市の郊外で午前1時過ぎに起きたここ20年来最大のマグニチュード5.9の地震は土と藁で出来た家を倒壊させた。強風と大雨が犠牲者の救出を阻んでいる。タリバン政権には大きな難題。
【コメント】
 あのあたりも地震がある地域だった。早期復興を祈りたい。

2.ウクライナ東部で激戦
【記事要旨】
 ロシア軍は要衝Lysychanskの占領によるルハンスク州全土の掌握に近づく。ドネツク州ではロシアは50%を支配するが一層の支配拡大には血みどろの戦闘が避けられない。スウェーデンとフィンランドはNATOへの早期加盟を目指すがトルコは違う考え。
【コメント】
 ロシアの補給線はいつまで持続するのだろうか。国内の厭戦気分は高まらないのだろうか。

3.中国は台湾からの魚の輸入禁止で揺さぶる
【記事要旨】
 中国は台湾からのグルーパ(ハタ)の輸入を禁止。台湾は昨年50百万ドル以上、漁獲量の91%を中国へ輸出していた。習近平による台湾孤立化政策の一環で、食料ではパイナップル、リンゴに続く輸入禁止措置。台湾はWTOに提訴の見込み。
【コメント】
 パイナップルの時は日本が輸入拡大で支援したが、グルーパは日本ではあまり食べないから支援出来ないのだろうか。

その他:
米国での新疆対策への新法
A new U.S. law cracking down on goods produced by forced labor in China could have significant — and unanticipated — ramifications for billions of dollars of imports.
ビル・コスビィで知っていますか
A jury found that Bill Cosby sexually assaulted Judy Huth in 1975, when she was 16, and awarded her $500,000 in damages.
韓国の拉致被害者は北朝鮮を提訴
Families whose relatives have been abducted or imprisoned by North Korea are seeking to sue the country in hopes of holding it financially accountable. Odds of collecting any money from the isolated nation are low, but a few recent payouts derived from seized North Korean assets have given some families a reason to be cautiously optimistic.

(2022年6月23日 木曜日)