世界の動き 2025年11月11日 火曜日

今日の一言
「 ペルソナ・ノン・グラータ(persona non grata)」
 この言葉は、ラテン語で「好ましからざる人物」という意味である。
– 外交関係に関するウィーン条約(1961年)第9条に基づき、受け入れ国が外交官の受け入れを拒否または撤回する際に使う正式な表現だ。指定する側は、指定する理由を述べる必要はない。
– 指定された外交官は通常、一定期間内に退去しなければならず、退去しない場合は外交特権を失う可能性がある。
 中国の中日大阪公使の「汚い首を切る」という発言をめぐり、これを適用すべしという議論が起きている。高市さんは首相でなければ当然そうした議論を展開していたはずだ、
 しかし、いざ、首相になると慎重な対応が必要になる。中国は、日本の外交官に同じ対応をすることは第一歩で、駐日公使を英雄視する論調を中国内で広める、対日世論をあおり日本企業や日本製品のボイコットにつながることする、といった対応が容易に予想できる。
 2024年の日本の名目GDPは609兆円(約4.0兆米ドル)、中国の名目GDPは134兆9084億元(約18.7兆米ドル)で、中国は日本の4.5倍だ。2010年に追い抜かれてから、15年間でこれだけ差をつけられた。“Wealth attracts many friends.” という箴言がある。Global Southで中国が頼られる所以だ。
 「臥薪嘗胆」という言葉もある。日本が再び「世界の真ん中で咲き誇る」まで、腹の虫を収める対応が必要な時期だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.BBCに対する批判
【記事要旨】
・幹部辞任の直接原因
– BBCが1月6日の米議会襲撃前のトランプ大統領の演説を誤解を招く形で編集したことが発覚。
– これにより、BBCのティム・デイビー局長とニュース部門CEOデボラ・ターネスが辞任。
・背景にある構造的問題
– BBCは世界的な公共放送局として、政治的偏向(特に左派寄り)や報道姿勢をめぐり、英国内外から継続的な批判を受けている。
– 特に保守派や外国政府(米国、インドなど)との摩擦が多く、報道の中立性が問われている。
・過去の論争と批判
– 性的不品行への対応遅れ、難民政策批判キャスターの停職、料理番組司会者の不適切行動への対応不足など、複数のスキャンダルがBBCを揺るがした。
– イスラエル・ハマス戦争関連の報道では、現地のナレーターの父親がハマス関係者だったことが問題視され、番組配信停止に。
– グラストンベリー・フェスティバルでの反イスラエル発言の放送継続も批判の的に。
・トランプ政権との関係
– トランプ大統領はBBCの報道姿勢に強い不満を示し、ナイジェル・ファラージ氏との会談でもBBC批判を展開。
– 英国内でもボリス・ジョンソン前首相ら保守派がBBCの改革や解体を求めている。
・信頼と今後の展望
– ピュー・リサーチによると、BBCは米国の主要ネットワークよりも視聴者からの信頼が高い。
– 英国政府はBBCへの支援を条件付きで継続する姿勢だが、スターマー首相はトランプとの対立を避けるため慎重な対応を迫られている。
– メディア専門家は「BBCは現状をリセットし、政治的偏向の克服に取り組むべき」と提言。
【コメント】
 ​​幹部らが辞任したのは、BBCが1月6日の米国議会議事堂暴動に先立つトランプ大統領の演説を誤解を招く形で編集し、実際には約50分離れた発言をつなぎ合わせていたという、流出したメモを受けたためだ。大きな印象操作を報道で行ったことになり、辞任に値すると思う。

2.シリア大統領、ホワイトハウスで歓迎される
【記事要旨】
 シリアのアハメド・アル=シャラ大統領は昨日、トランプ大統領と会談した。シリアの国家元首としてホワイトハウスを訪問したのは初めてだ。
 かつて米国からテロリストに指定されたイスラム主義の元反政府勢力指導者であるアル=シャラ氏は、シリアを国際社会に復帰させ、14年近く続いた内戦を経て国を再建したいと考えている。トランプ大統領は彼を温かく迎え入れ、対シリア制裁の解除を約束した。
 イラクで米兵を殺害しようと企んだジハード主義者から、今日の洗練された融和主義の指導者へと変貌を遂げたアル=シャラ氏の転換がどれほど完全なものなのか疑問視する人もいる。
【コメント】
 ネズミを捕るのは良い猫だ。同氏の手腕に期待したい。

其の他の記事
・ニューデリーの夕方のラッシュアワー時に混雑した地区で車が爆発し、少なくとも8人が死亡した。
・タイは、係争中の国境地帯で地雷が爆発し、タイ兵士2人が負傷したことを受け、カンボジアとの和平交渉を中断した。
・米国上院は、史上最長の政府閉鎖を終わらせる法案を採決するとみられていた。
・ウクライナの汚職対策当局は、国営原子力エネルギー会社が関与する大規模な賄賂詐欺を摘発したと発表した。
・米国最高裁判所は、2015年に同性婚を合法化する画期的な判決の覆しを検討するよう求める申し立てを却下した。

2025年11月11日 火曜日