世界の動き 2023年1月23日 水曜日

今日の言葉:
「基礎的財政収支」
 プライマリー・バランスともいう。税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除く歳出との収支のことを表し、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけまかなえているかを示す指標となっている。
 政府は2025年度に黒字化の目標を掲げてきた。税収は経済の成長に大きく依存するが、最近の実績を踏まえた実態に近い成長率を前提にした場合、2025年度についても6兆円余りの赤字を見込んでいる。
 財政均衡派と拡大派で財政の均衡の是非について見方が分かれる。防衛力強化や少子化対策と財政支出の拡大プランが目白押しなのに対し収入の伸びは限られる。確かなのは黒字化は遠のくばかりだということだ。

ニューヨークタイムズ記事
1.ウクライナでの汚職スキャンダル
【記事要旨】
 ゼレンスキー政権で膨らむ汚職スキャンダルの中で昨日、ウクライナの高官数人が解雇された。
 このスキャンダルが西側の軍事援助の不正使用に関係しているという兆候はなかったが、ほんの少しの不正行為でさえ、援助を遅らせる可能性がある。ゼレンスキーが汚職を一切容認しないことを同盟国に安心させるための努力を示唆していた。しかし、解雇を発表したウクライナ内閣省は、具体的な理由についての詳細を明らかにしなかった。
 詳細: 国防副大臣が解雇され、スペインに戦時中の休暇を取った検事次長も解雇された。 ゼレンスキーのオフィスの高官も、人道的使命のために寄付されたSUVを使用したことで批判された後辞任した.
【コメント】
 巨額の資金と物資が支援として流入する。一方、その使用については詳しくチェックできない。政府高官が不正を行おうとするには理想的な環境がある。

2.カリフォルニアでまた銃乱射事件
【記事要旨】
 ロサンゼルスで銃撃犯が 11 人を殺害してから 48 時間も経たないうちに、月曜日に銃撃犯がサンフランシスコ近郊で少なくとも 7 人を殺害した。 立て続けの銃乱射事件は、米国で銃暴力による死亡率が最も低く、銃に関する法律が最も厳しい州の 1 つであるカリフォルニア州に衝撃を与えた。
 旧正月のお祝いにかかわったこれらの事件は、主に移民の犠牲者の命を奪った。ロサンゼルス近郊の中国系アメリカ人が繁栄しているモントレーパークやアジアの農業労働者の多いサンフランシスコ近郊のハーフムーンベイでだ。
 容疑者は 60 代と 70 代のアジア系移民男性で、銃乱射事件の加害者としては珍しい年齢層だ。ハーフムーンベイの当局者は同僚を標的にしていた可能性があると述べた。モントレーパークでは、警察がまだ動機を探している。銃撃者は、彼がよく知っているダンスホールを標的にした。
 今年の最初の 24 日間で、少なくとも 39 件の銃乱射事件が起き、69 人が死亡した。 昨日は、ワシントン州のコンビニエンス ストアで銃を持った男が 3 人を殺害した。
【コメント】
 自己防衛上銃を持つ人が多い米国では規制強化には世論が二分するので実行は難しい。

3.ヒプキンスはアーダーンから距離を置く
【記事要旨】
 今日ニュージーランドのリーダーとして就任することになっているクリス・ヒプキンスは、10月の国政選挙に先立って、彼自身とジャシンダ・アーダーンの間にスペースを作るために努力をしている。
 彼はアーダーンと彼女の左派政策に冷めてきた中道派、中産階級の有権者にアピールしようとしている。例えば、アーダーンが好むマオリの名前であるアオテアロアとは対照的に、彼は国をニュージーランドと呼ぶことを好むようだ。
 「私は首相としてジャシンダ・アーダーンを支持しました。彼女は素晴らしい仕事をしたと思います。しかし、見てください。私たちは別の人であり、別のスタイルを持っています。」と彼は述べる。
 ヒプキンスは、アーダーン政府の主要な政策とその厳格な Covid 対応の設計者だったが、彼はよりずる賢く戦闘的なスタイルを持っている。これらの特徴と、勤勉に働く実用的な人物としての彼の評判は、都市以外の有権者の共感を呼ぶ可能性がある。
【コメント】
 まだ44歳の同氏はなかなか老練な政治家のようだ。手腕に期待したい。

その他:
米政府はGoogleを訴える
 The U.S. sued Google, accusing it of illegally abusing a monopoly over the technology behind online advertising.
ペンス前副大統領も秘密文書を保持
 Aides to Mike Pence found classified documents at his home in Indiana last week, one of his advisers said.
コロナワクチンは年一度でよい
 Health officials proposed offering new Covid-19 booster shots each fall, a strategy long employed against the flu.

2023年1月23日 水曜日

世界の動き 2023年1月24日 火曜日

今日の言葉:
「ゾンビ企業は再生させない」
政府がコロナ下で導入したゼロゼロ融資の返済が始まり多くの企業が行き詰まることが予想される。コロナであろうがなかろうが存続可能性が低かった企業がゼロゼロ融資で延命されたからだ。
「ゾンビ企業は再生させない」という政府説明は意味をなさない。再生させてはならない企業がゾンビ企業だからだ。
90年代末期の金融危機以来多くの企業が延命されてきた。企業を存続させ雇用を維持を最優先する政策が我が国の新陳代謝を阻み成長を阻害する要因になったといえる。ゼロゼロ融資の何らかの形での継続が議論されているが、理に合わない政策は続けるべきでない。

ニューヨークタイムズ記事
1.銃乱射事件で死者数が増える
【記事要旨】
モントレーパークでの銃乱射事件では、別の犠牲者が昨日病院で死亡し、死者数は 11 人となった。
犠牲者は 50 代、60 代、70 代で、 2 人の犠牲者が特定されているが、他の詳細についてはまだ明らかにされていない。彼らは、中高年に人気のある光昌武を練習していたダンスホールで殺害された。
72 歳の容疑者Huu Can Tran は日曜日、警察に射殺された、と当局は述べた。 彼が特に何人かの人々を標的にし、他の人を無作為に撃ったと信じている。中国系アメリカ人は今悲しみに暮れている。
【コメント】
事件の背景がまだわからない。名前で見ると犯人はベトナム系のようだが。

2.中国の揺らいでいる太平洋への序曲
【記事要旨】
何年もの間、中国は資金力に物を言わせ、世界中でその力を拡大してきた。ソロモン諸島では過去 3 年間、中国は国の経済と政治の隅々まで介入してきた。
しかし現在、ソロモン諸島の住民は、影響力を拡大しようとする中国の取り組みに反発している。中国が生産的で気配りがあることを認めているが、中国を善良なパートナーとしてではなく、横柄で腐敗した勢力と見なしている。
中国が建設中の新しいスタジアム複合施設での未払いの賃金に関する苦情と同様に、賄賂の報告がたくさんある。住民は、政府がより独裁的になり、北京に近づくにつれて、安全保障に関する中国との秘密協定が民主主義を損なう可能性があることを恐れている。
米国とその同盟国は、北京が将来の紛争の可能性を見越して深海港と衛星通信サイトを確保し、従属国を作っていることを懸念している.。中国に対抗するため、オーストラリアは今年度、ソロモン諸島に 1 億ドル以上の援助を行う予定だ。
【コメント】
歴史的に日本はこの地域と関係が深い。米国と豪州の動きが活発なようだが、我が国は何をしているのだろうか。

3.中国は出生率向上のために体外受精に目を向ける
【記事要旨】
中国は、人口減少に緊急に対処しようとしている。戦略の 1 つは、不妊治療の補助を補助することだ。
政府は、体外受精(I.V.F.)などの治療費の約半分を国民医療保険の下で負担することを約束した。 試行ごとに 5,000 ドルから 12,000 ドルを費やす余裕のないカップルにとって、人生を変えるものになる可能性がある。 この計画は、中国の当局者が国の低出生率に取り組むために制定している12以上の対策の1つにすぎない。
しかし、体外受精に対する明確な需要があるにも関わらず、北京のある病院幹部は、この処置のために彼の病院を訪れる患者の数は年々減少していると述べている。
中国の人口が再び増加し始めるのはほぼ不可能だろう、と専門家は言うが、生殖補助医療技術をより多くの人が利用できるようにすることで、国が安定した出生率を維持できるようになる可能性がある。
【コメント】
中国の12の少子化対策とは何だろうか。日本は30年間少子化を改善できなかった。子供を持つことは素晴らしいことだという社会的合意が無いと異次元の施策も有効ではない。今日は3つのニュースすべてが中国がらみだ。影響力の大きさを痛感する。

その他:
ドイツ製戦車の供給
Poland plans to send its own German-made tanks to Ukraine. Germany signaled that it would not stand in the way.
ウクライナ国内での腐敗
A Ukrainian minister was fired for embezzlement. In response, President Volodymyr Zelensky vowed to take action against endemic corruption as weapons and aid flood into the country.
ロシアの反戦デモ弾圧
Russia continues to crack down on antiwar protests. But after the devastating strike in Dnipro, Ukraine, some have dared to lay bouquets at a statue of a famous Ukrainian poet in Moscow.

2023年1月24日 火曜日

世界の動き 2023年1月23日 月曜日

今日の言葉:
「人気のない岸田首相」
 相変わらず支持率が低い。
 一つの原因は「大向こうをうならせる」ようなパフォーマンスが見えないことだ。
 せっかく欧州に行ったのだからキーウを訪問したらよかったのにと思う。
 昨日の大相撲の千秋楽では賜杯を貴景勝に渡しに行けばよかった。小泉首相のように。
 せっかくのチャンスを活かせない首相は残念だ。

ニューヨークタイムズ記事
1.旧正月の銃乱射
【記事要旨】
 カリフォルニア州ロサンゼルス郡のモントレー パーク市で 10 人を殺害少なくとも10人が負傷した銃乱射事件が、旧正月の前夜祭の数時間後に発生した。
 当局は30 歳から 50 歳のアジア人男性を容疑者として探している。 彼はダンスホールで発砲し、目撃者は彼が無差別に発砲したようだと言った. 他に少なくとも10人が負傷した。 動機は明らかでない。
 モントレー パークは「最初の郊外のチャイナタウン」と呼ばれ、住民の大多数がアジア系の祖先を持つ米本土で最初の都市として知られている。
 2023 年にはこれまでに米国で 33 件の銃乱射事件が発生している。
【コメント】
 すでに33件の乱射事件があるのだと慄然とする。

2.ニュージーランドの次のリーダー
【記事要旨】
  Covid-19 対応担当大臣として、パンデミックに対するニュージーランドの厳しい対応でのぞんだ44歳のクリス・ヒプキンスが、来月ニュージーランドの新しい首相になる予定だ。
 次期リーダーは、多くの大きな課題に直面している。有権者は、インフレ、継続する住宅危機、犯罪や子どもの貧困などの根深い社会問題からの猶予を求めている。アーダーンのリーダーシップを汚したパンデミック政策との関係を乗り越えるのに苦労する可能性がある。
 10 月の国政選挙で、ヒプキンスは中道右派の国民党党首であるクリストファー・ラクソンと対戦する。
【コメント】
 突然の燃え尽き辞任だ。繊細で正義感の強い人だと思う。政治には不向きな人だろう。

3.中国の緊張する旧正月
【記事要旨】
 旧正月に旅行する多くの中国人にとって、ロックダウンのリスクなしに休暇に愛する人に最終的に会えるという喜びは、不安に満ちている。 多くの人が都市部から、医療サービスが未発達な地方に移動している。彼らはウイルスを年配の親戚に広めることを恐れている。
 しかし、何年にもわたる控えめなお祝いの後、何億人もの人々が再会を切望している。ソーシャル メディア上では平常な状態への復帰の兆候として旅行ハブでの混雑を祝う人がいる。
 中国では今年、2022 年に比べて交通量がほぼ 2 倍になり、休暇期間中の乗客数が 20 億人を超えると予想している。
 ゼロCovid政策で一部の中国人起業家は国を去った。多くが財産とともにシンガポールに引っ越した。

【コメント】

 中国の旧正月の記事にはもう辟易する。終わった後のコロナの状況には興味はあるが。

 

その他:
ニュージーランドの生物規制
 Some cruise ships have been forced to idle at sea for days because they cannot pass New Zealand’s tight “biofoul” standards, which regulate foreign organisms on a boat’s exterior.
戦車をウクライナに送ることに悩むドイツ
 NATO countries failed to agree on whether to send tanks to Ukraine last week.
 Germany’s hesitance is born of history. After its Nazi past, the country is committed to promoting “peace,” and it’s long relied on Russian energy.
ハイテク企業での人員削減
 Job cuts in the tech industry are proving shocking for younger workers, who have yet to experience a cyclical crash.

2023年1月23日 月曜日

街の書店

 本をAmazonで買うことが多くなった。無限のセレクションがあり、新聞の書評欄に載った本がすぐ入手できるのが便利だ。

 ただ、実際の本を手にして自分で良書と判断し購入する喜びは何事にも代えがたい。街角の本屋さんは貴重だ。

 私が住む街には5年ほど前までは3軒の書店があったが、最後の一店が今月末に閉店するそうだ。80過ぎの御店主の新書の選別眼は秀逸で、面白い本を幾つも見つけることが出来た。「毎日店を開き続けねばならず老人にはきつい仕事だ。儲けが少なくやって行けない。」という理由のようだ。この街で四方山話をする相手が減るのが残念だ。

 書店はその街の文化を支える貴重な存在だ。東京でもここ数年急激に書店の数が減ってるらしい。Amazonは便利だが街の書店の商売が立ち行くようにするための努力が消費者にとっても必要だ。

2023年1月22日 日曜日

1963年の還暦

 時々珠玉の随筆を読み感動することがある。

 今日(2023年1月21日)の日経朝刊の文化面、「1963年の還暦」はそのような随筆だった。書いたのは佐藤良明東大名誉教授にしてポピュラー音楽の研究家だ。

 まず、1963年が想い出される。ビートルズに少女たちが熱狂したのも、キング牧師の人種差別反対のワシントン大行進と有名な演説も、ソ連の女性飛行士による「私はカモメ」も、米ソ首脳間の直通電話も、坂本九の「スキヤキ」が全米1位になったのも、みなこの年の出来事だと説明される。

 その年に12歳だった私はすべての出来事が鮮明に記憶に残っている。前年の1962年にはキューバ危機があり、翌年の1984年にはケネディ大統領が暗殺された。11月23日、日米を結ぶ初の衛星中継の最初の映像がケネディの暗殺事件だったからその衝撃は大きかった。

 今や1963年から60年が経過し思い出が押し寄せるが、それにどのように抗したらよいのかと著者は問題提起する。

 佐藤の文章は以下でくくられている。
 「奢りを捨てることだろう。我々の周りは萎びた自由と、太った不平等で一杯になった。老化したのだ。還暦を迎えた1963年よ、君もワークアウトが必要である。」

 佐藤氏は英文法の本も何冊か著しているようだ。一度読んでみると啓発されるかもしれない。

2023年1月21日 土曜日