世界の動き 2024年6月24日 月曜日

今日の言葉
「日本株ブーム失速」
 『今年に入ってからの日本株の記録的な騰勢は、すでに遠い記憶になりつつある。外国人投資家は6月14日まで、4週連続で売り越した。コーポレートガバナンス改革や日本銀行の金融政策見通しが依然不透明であることを理由に、シティグループやアバディーンなどは日本株に対して悲観的な見方を強めている。』(Bloomberg記事より)
 完全に上値が重い展開だが、日本だけが特に具合が悪いわけでは無い。NYCではNVIDIAの一本足打法が続いてきたが、これ以上高値が続くか誰もがおっかなびっくりだ。ウクライナ、ガザ、米国・欧州の選挙の行方と、リスクオフの要因は幾らでもある。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエル市民のハマスへの非難とガザの人々への同情の少なさ
【記事要旨】
 イスラル南部の右派やリベラルの拠点で行われたインタビューや、国中の住民へのインタビューによると、一部のイスラエル人はガザで苦しんでいる人々への配慮を示すのに苦労している。
 イスラエル人はガザの惨状を知っているが、10月7日にパレスチナ人が同情を示さなかったと言えばなぜ同情を示す必要があるのか​​と国内の多くの人々が疑問を抱いている。
 彼らは、戦争を開始し、ガザの住宅地に潜伏し、民間人を危険にさらしているのはハマスだと非難している。そして、ホロコースト以来ユダヤ人にとって最も死者を​​出した10月7日の攻撃の痛みは、いまだに生々しく、ますます怒りに覆われている。
 イスラエルの主流メディアもガザの民間人の苦しみに焦点を当てることはめったになく、戦闘で亡くなった兵士の葬儀やプロフィールを放送の冒頭で取り上げるのが常だ。
 外交:イスラエルのヨアブ・ギャラント国防相は昨日、米国高官との会談のためワシントンを訪問した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、バイデン政権によるガザ戦争への軍需品の配布について新たな不満を表明した。
 ヨルダン川西岸:イスラエルの有力当局者は、私的なイベントの録音されたスピーチの中で、政府は占領地の支配を固めるために秘密裏に活動していると述べた。また、土曜日にはイスラエル軍が負傷したパレスチナ人を軍用車両に縛り付けたが、その様子がビデオに撮られてすぐに拡散し、怒りを招き、イスラエル軍による調査が約束された。
【コメント】
 イスラエル市民の感情を報道する記事だ。見出しの「ハマスへの非難とガザの人々への同情の少なさ」が市民の見方の総括だ。

2.ロシアの共和国で武装集団が少なくとも6人を殺害
【記事要旨】ダゲスタン共和国
 地元当局によると、ロシア南部のダゲスタン共和国の2つの都市で武装集団が少なくとも6人の警察官と1人の司祭を殺害した。国営通信社は、10人以上の警察官が負傷したと報じた。当局によると、シナゴーグ、少なくとも2つの教会、警察署への攻撃は、計画的に行われたようだ。
 ロシアの国営通信社は、地元の法執行当局者の話として、10人以上の警察官が負傷したと報じた。銃撃は首都マハチカラとアゼルバイジャンとの国境にある都市デルベントで発生した。ロシアのFBIに相当するロシア捜査委員会は、テロ捜査を開始したと発表した。
 地域:ダゲスタンはイスラム教徒が大多数を占める共和国だが、ユダヤ人の人口も多く、少なくとも30年間暴力が激化している。イスラエルとハマスの戦争が勃発して以来、同地域での民族的、宗教的緊張は悪化している。
【コメント】
 ダゲスタン共和国はカスピ海に面したロシアの共和国の一つ。
 国名はトルコ語で山を意味する”dağ”にペルシャ語の地名の接尾辞である”-stān”(スターン)が付いて「山が多い場所」を意味する。山岳地帯が人々の自由な行き来を妨げたため、非常に多様な民族が混在し今でも部族的な生活を送っている。(Wikipedia)

3.EUと中国、貿易戦争回避の試行に合意
【記事要旨】
 中国とEUは、関税案をめぐる激化する紛争の解決に向け協議すると発表した。数十億ドルの貿易が危機に瀕している。
 EUが中国からの電気自動車に最大38%の関税を課すことを提案し、中国が欧州からの豚肉輸入に関税を課すと脅したことを受けて、この明らかな緊張緩和が起きた。
【コメント】
 欧州も対中政策で一枚岩ではないからこれからいろいろな協議が行われることだろう。

熱波
ハッジ:
 毎年恒例のメッカ巡礼で数百人の巡礼者が亡くなった後、エジプトは医療などのサービスを提供していないとして16の旅行会社の免許を停止したと発表した。
米国:
 過去7日間、国土の大半を襲った早い熱波は終わりが見えてきたが、まずは焼けつくような暑さが数日続くと予想される。

その他のニュース
HIV:
 アフリカで行われた大規模な臨床試験の結果、新しい抗ウイルス薬を年に2回注射すると、若い女性がウイルスから完全に保護されることがわかった。
ウクライナ:
 ロシア軍機が投下した爆弾により、今週末、ハリコフで少なくとも4人が死亡した。ウクライナは同盟国に対し、ロシア空軍基地に使用できるよう、西側諸国の兵器に対する制限をさらに緩和するよう求めた。
貿易:
 バイデン政権は、中国の軍事力強化に利用できる可能性がある重要な中国のハイテク産業への米国の新たな投資を抑制する計画を概説した。
フランス:
 極右勢力が台頭する中、一部の有権者は国が厳重に封鎖できる国境を持つことを望んでいる。エマニュエル・マクロン大統領はこれを注視している。
ドイツ:
 ドイツのための選択肢党のビョルン・ヘッケ党首は、着実に国内の主流派を極右に傾け、過激主義の土壌を育てている。
中国:
 ジェットスキーで中国から逃亡した反体制活動家クォン・ピョン氏は、中国、そして韓国から脱出する助けとなった一連の賭けについて初めて語った。

2024年6月24日 月曜日

沖縄慰霊の日

今日は沖縄慰霊の日だ。那覇市のHPには以下の説明がある。

 『慰霊(いれい)の日は、1945(昭和20)年6月23日に日本軍の組織的戦闘が終結した節目として琉球政府や沖縄県が定めた記念日。日付は6月23日で、沖縄県の自治体が定めた記念日のため、県庁や各市町村役場、公立の小・中学校、高校などは「公休日」になる。毎年、慰霊の日には糸満市摩文仁の平和祈念公園にて沖縄全戦没者慰霊祭が行なわれ、平和の礎へたくさんの遺族が訪れ礼拝している。』

 Wikipediaによると、両軍の人的被害は以下だ。
 『日本側の死者・行方不明者は188,136人で、沖縄県外出身の正規兵が65,908人、沖縄出身者が122,228人、そのうち94,000人が民間人である。日本側の負傷者数は不明。戦前の沖縄県の人口は約49万人であり、実に沖縄県民の約4人に1人が亡くなったことになる。
 アメリカ軍側は死者・行方不明者20,195人となったが、これは1944年12月に戦われた、西部戦線最大の激戦の1つであるバルジの戦いの戦死者最大約19,000人を上回るものであり、戦傷者は最大で55,162人、戦闘外傷病者26,211人を加えた人的損失は実に投入兵力の39%という高水準に達したため、ハリー・S・トルーマン大統領らアメリカの戦争指導者たちは大きな衝撃を受けて、のちの日本本土侵攻作戦「ダウンフォール作戦」の方針決定に大きな影響を及ぼした。』

 県民の4人に一人が、しかも終戦からわずか半年前から2か月前の間に亡くなったということは驚くべき事実だ。

 沖縄戦の記録を読むと日本軍は「沖縄の長期維持で本土決戦までの時間を稼ぐ」ことを目的としており、沖縄県民や若者(女子のひめゆり部隊の悲劇が良く知られる)は捨て駒として扱われている。県民を守るという姿勢は軍司令部には少しもみられない。

 かかる大きな犠牲を払いながら、沖縄には在日米軍基地の7割以上が現在も存在し、騒音や軍用機の墜落の危機や米兵による乱暴狼藉が続いている。

 「少なくとも県外」と言った首相がいたが、日本全体で米軍基地の在り方を考えるべきだ。その前提として日本の国防の全体像の再検討が必要だ。

2024年6月23日 日曜日

都知事選のポスター

 自宅近辺を散歩するだけでも4つのポスター掲示場がある。これらを見ての雑感だ。(以下敬称略)

 小池、蓮舫、石丸という有力三候補はすべての掲示板にポスターが貼られている。もう一人の有力候補と言われる田母神は半分に貼られているが、組織力・資金力の弱さが否めないという印象だ。

 今ニュースになっている同じポスター(猫とか犬の写真もあるそうだ)が多数張られる光景は無い。

 諸派候補で、4か所全部にポスターが貼られているのは、東京都の補選で選挙妨害で逮捕者が出たつばさの党の候補と、在日の特権を糾弾する団体のヘッドの候補者だ。これらのグループは、資金力や組織動員力はかなりありそうだ。

 他の諸派の候補は、数か所にポスターを掲示してる。タレントの清水国明は我が家の近くの一か所。どの辺にポスターを貼れば効果的か分析しているのだろうか。

 そうそう、ドクター中松を忘れていた。彼のポスターは4か所すべてに掲示されている。実際の年齢は96歳だが、ポスターの写真は70歳代だと思われる。「積分すれば知識と経験で他の候補を圧倒的に凌駕する」とポスターに書いてあった。それはそうかもしれないが、任期満了時は100歳だ。米国民がバイデンに投票するよりも私にはハードルが高いと思った。

2024年6月22日 土曜日

世界の動き 2024年6月21日 金曜日

今日の言葉
「都知事選挙」(以下サンケイ新聞の記事より)
 『都の人口1400万人はベルギーより多く、年間予算16・5兆円はスウェーデンと遜色がない。国内総生産(GDP)の都内分である都内総生産約113兆円はオランダ並み。欧州諸国1国分の規模を誇る東京は地盤沈下の危機にある。今月発表された都の合計特殊出生率は初めて1を割り込み、「0・99ショック」に見舞われた。
 生まれる子供が減る一方、一極集中が進む。都外からの流入が人口増を支え、国全体の活力を奪いながら、東京は急激に老化している。
 東京の麻痺(まひ)は国家の危機に直結する。都の課題は、国にとっても重要な論点であり、今回の都知事選を好機として、大きな議論につなげることが重要となる。
 過去には、首都のトップが国を動かした。都知事時代の石原慎太郎氏は「玄関が狭くて客が来なければ、この国はますます衰弱する」と訴え、「羽田空港再国際化」の道筋を付けた。
 羽田の強化は、現在も東京の国際競争力を支える。首都のリーダーには今、国を動かす政策と行動力が求められている。』

 東京は衰退しているか?不動産の状況や企業業績を見ればまだ活況とも思える。東京の問題は突き詰めれば日本の問題だから、狭い東京都の枠内で考えるのではなく、日本の課題解決のブースターとしての役割がますます求められる。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.プーチン大統領、北朝鮮訪問後にベトナムを訪問
【記事要旨】
 ロシアのプーチン大統領は昨日、平壌で北朝鮮の金正恩委員長と会談した翌日にベトナムを訪問した。
 大きな進展はなかったが、ウクライナ侵攻で孤立を深めるロシアにとって、今回の訪問はロシアに国際的な正当性の見せかけを与えた。
 プーチン大統領とベトナムの指導者たちは慎重な態度を貫いた。両国は共産主義の歴史を共有しており、モスクワは長い間ベトナムの主な武器供給元だった。しかしハノイは最近、米国との距離を縮めている。訪問前、米国当局はベトナムを非難し、「いかなる国もプーチン大統領に侵略戦争を推進する場を与えたり、残虐行為を正常化させたりするべきではない」と述べた。
 北朝鮮訪問の影響:ロシアが今週北朝鮮と署名した防衛協定は、北朝鮮からの安全保障上の課題が増大すると予想していた韓国と日本の当局者を動揺させた。これは北京にとっても頭痛の種だ。この条約は地域における対立のリスクを高め、米国とその同盟国が中国周辺での軍事的プレゼンスを強化するきっかけになる可能性がある。
【コメント】
 プーチン大統領は人道に関する罪で国際指名手配を受けているので動ける国が限られる。狭い範囲で動きを速めている印象だ。
 ベトナムは日本や米国との関係をつよめており、北朝鮮のような孤立国とは状況が違う。俺たちはもともとすごく仲が良かったよね、というノスタルジックな訪問だ。

2.イスラエル軍とネタニヤフ首相の対立
【記事要旨】
 何カ月もの間、ガザでの戦争の方向性をめぐってイスラエル軍とネタニヤフ首相の間に亀裂が生じているとの報道が飛び交っていた。今週、その亀裂が公になった。
 最も鋭く、公然とした亀裂は、軍の首席報道官であるダニエル・ハガリ少将の異例の率直な発言によってもたらされた。水曜日にイスラエルのテレビで放映されたインタビューで、ハガリ少将はネタニヤフ首相のハマスに対する「絶対的な勝利」の約束に反論したようだ。「ハマスを破壊し、消滅させることが可能であるという考えは、国民の目を曇らせるものだ」と彼は語った。
 ネタニヤフ首相の事務所は、軍と政府がともに「ハマスの軍事力と統治能力の破壊」に取り組んでいるとの声明をすぐに発表した。
 分析:ハガリ氏の発言は、イスラエル軍指導者の間で、ガザの管理責任を任されるかもしれないという懸念が高まっていることを反映していると、イスラエルの退役将軍は述べた。
 米国:ネタニヤフ首相が火曜日、米国が一部の重火器を差し控えていると非難した後、ホワイトハウスの報道官は昨日、同首相の発言を「非常に残念」と評したが、イスラエルの戦争遂行方法について意見が分かれている同盟国からのコメントだ。
 ガザ:ガザのほぼすべての人々がイスラエルとハマスとの戦争の恐怖から逃れる唯一の方法は、隣国エジプトを経由して脱出することだ。しかし、それは仲介人やエジプトの会社に何千ドルも支払う複雑で費用のかかる試練だ。
【コメント】
 ハマスは組織ではなく思想だという見解だ。殲滅したと思っても適切に管理されなければ再びガザで頭をもたげてくるというのがハガリ氏の考えだ。ネタニヤフ首相は戦いはハマスの「殲滅まで」と言うが、ハガリ氏は、どこまで進めば和平のポイントになると考えているのだろか。

3.オランダ首相がNATOを率いる準備が整う
【記事要旨】
 オランダの退任首相マーク・ルッテ氏は、ルーマニア大統領が立候補を取り下げたことを受け、次期NATO事務総長に選出される見通しだ。
 57歳のルッテ氏は、2022年以降、ウクライナに対するオランダの軍事支援を30億ドル以上に上回る額にまで引き上げてきた。同氏は、NATO全体の民主主義と国家主権を守るためには、ロシアとの戦争でウクライナを支援することが不可欠だというNATOの主要メッセージをますます強調している。
【コメント】
 NATOの事務総長は歴代欧州の有力政治家が務めてきた。NATO軍司令官は歴代米国から指名されている。
 ルッテ首相とは(NHKの報道より)
 オランダのルッテ首相はハーグ出身の57歳。2010年から首相を務め、ヨーロッパではもっとも在任期間が長い首相の1人です。
 ルッテ首相のもと、オランダはウクライナへの支援を積極的に行ってきました。ドイツの研究機関「キール世界経済研究所」によりますと、ことし4月末の時点で、オランダによる軍事支援はアメリカ、ドイツなどに次いで5番目に多い金額で、ウクライナに対するF16戦闘機の供与もいち早く表明しました。
 その背景のひとつにあるのが、10年前にウクライナ上空で旅客機が撃墜された事件です。旅客機はオランダ発で、オランダはもっとも多くの犠牲者を出しました。
 ルッテ首相は去年9月に国連総会で行った演説で、旅客機はロシアに撃墜されたという見方を示した上で、「この日、オランダの国民と世界中の人たちは、平和や自由、正義は与えられるものではなく、絶え間ない努力を必要とするものだということを思い知らされた」などと述べました。
 そのうえで、ロシアによるウクライナ侵攻を改めて強く非難し、ウクライナへの支援を国連加盟国に訴えるなど、ルッテ首相はウクライナを支持する姿勢を強く示してきました。

その他の主要記事
米国:
 北東部と中西部南部を襲った熱波は4日目に突入。米国人の約1億人が猛暑注意報の対象となっている。
フランス:
 12歳のユダヤ人少女の強姦疑惑で国内の緊張が高まり、反ユダヤ主義が今後の選挙の主要課題となった。
トランプ:
 ドナルド・トランプに対する機密文書事件の判事は、同僚らの2023年に辞任するという提案を却下した。同判事はトランプによって任命された。
テロ:
 米軍陪審は元アルカイダ司令官に戦争犯罪で30年の懲役刑を命じた。司法取引により、彼の刑期は2032年に終了する。
抗議:
 2人の環境活動家がストーンヘンジの一枚岩にオレンジ色の粉を撒いたとしてイングランドで逮捕された。

経済
英国:
 イングランド銀行は、インフレ率が5月に2%に減速したにもかかわらず、金利を据え置いた。
EU:
 EUは、EU加盟国への液化天然ガスの販売によるロシアの利益を対象とする制裁を含む新たな制裁に合意した。
フランス:
 EUは、総選挙まで2週間を切った時点で、債務を抑制しなければ罰金を科せられると警告した。

2024年6月21日 金曜日

世界の動き 2024年6月20日 木曜日

今日の言葉
「Juneteenth 奴隷解放記念日」
 6月19日は米国の祝日でNY市場は開かなかった。
 バイデン大統領が2021年6月17日、同国の奴隷制度が廃止された6月19日を連邦祝日とする「ジューンティーンス独立記念日法案」に署名して成立した歴史の浅い祝日だ。1865年6月19日はテキサス州で奴隷解放宣言が読み上げられた日で、「ジューンティーンス」と呼ばれている。
 この日は南部諸州では祝日化していない州も多く米国の国論の分化を象徴する祝日でもある。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事(今日はTop2です)
1.ロシアと北朝鮮が防衛協定に署名
【記事要旨】
 プーチン大統領と金正恩氏は昨日、ロシアと北朝鮮の間で結ばれた冷戦時代の相互防衛協定を復活させた。
 両国は「侵略があった場合の相互援助」を約束したが、そのような援助が、現在は無効となっている1961年の条約で規定されているような本格的な軍事介入を意味するかどうかは不明だ。
 しかしプーチン氏は、ロシアは新協定に従って北朝鮮との「軍事技術協力の発展を排除しない」と述べた。また、具体的な技術支援も約束した。もしこれに金正恩氏が完成させようとしてきたいくつかの重要な技術が含まれていれば、北朝鮮が米国をはじめとする敵国をより効果的に狙うのに役立つ可能性がある。
 プーチン氏はまた、北朝鮮の核・ミサイル計画の抑制に長年協力してきたことにも終止符を打ったようだ。「平壌には自国の防衛力を強化し、国家の安全を確保し、主権を守るために合理的な措置を取る権利がある」と昨日述べたが、それが北朝鮮の核・ミサイル計画の目的かどうかについては言及しなかった。
【コメント】
 露朝安全保障条約の再締結だ。北の核ミサイル発射を我が国は現実的にどのような対処が出来るのか、真剣な議論が必要だ。

2.ガザへの援助が進まないのはなぜか?
【記事要旨】
 人道支援団体はガザに送る食料、燃料、医薬品を何千トンも用意しているが、その多くはガザに入ることができない。なぜか?
 いくつかの問題は戦争地帯によくあることだ。援助団体は爆弾や銃撃から職員を守りたい。道路や倉庫が破壊され、地形が移動を困難にしている。しかし、もっと大きな問題もある。イスラエルは安全上の懸念を理由に、援助トラックを引き返させる不透明な規則を施行している。エジプトはイスラエルの軍事作戦に抗議して援助を阻止している。ハマスは援助物資を盗んだり、盗もうとしたりしている。
 言い換えれば、ガザへの援助を許可する責任者たちは、パレスチナ人を助けることよりも自らの利益を優先している。そうすることで、彼らは人道支援団体が克服できない決定を繰り返し下してきた。

イスラエルの懸念
 イスラエルは援助を阻止する理由として、ハマスを助ける可能性のある物資を止めたい、援助職員を安全に保ちたい、という2つの理由を挙げるのが一般的だ。
 最初の理由はより議論を呼ぶものだ。アメリカの当局者や人道団体は、ハマスが差し押さえた輸送品はごくわずかだと主張している。批評家は、イスラエルは脅威を誇張しすぎている、あるいはもっと悪いことに、援助をパレスチナ人に対する武器として利用している、と述べている。人道団体である国際難民連盟のジェレミー・コニンディク会長は、「彼らは集団懲罰のもっともらしい口実使っている」と述べた。
 しかし、ハマスは援助品を差し押さえており、イスラエルは予防措置により同団体がそれ以上の援助を受け取らないようにしている、と述べている。
 ハマスのその他の戦術もイスラエルをより慎重にしている。ハマスはしばしば民間人の陰に隠れ、病院に工作員を配置し、学校に武器を隠している。イスラエルは、ハマスが人道団体や労働者の陰に隠れる可能性もあると懸念し、援助団体に活動を報告するよう義務付けている。例えば、イスラエルは特定のルートを承認しているが、これは、これらが本当に人道的任務であり、敵の秘密作戦ではないことを保証するためのものである。
 しかし、こうしたチェックが失敗することもある。 4月、イスラエルはワールド・セントラル・キッチンの従業員7人を殺害したが、同グループは軍と連携して任務を遂行していると主張していた。イスラエルは攻撃を誤りと呼び、殺害について謝罪した。関与した警官2人を解雇し、他の警官を懲戒した。
 「あれが転機だった」と、エルサレムに拠点を置く同僚のアダム・ラスゴンは語った。殺害後、イスラエルはガザへの援助物資の搬入のため、より多くの検問所を開いた。イスラエル軍はまた、今週、日中はガザ南部の一部での作戦を停止すると発表した。戦闘の一時停止は、パレスチナ人への援助物資のさらなる供給に役立つ可能性がある。

さらなる障害
 イスラエルはガザへの出入りを管理しているため、ガザ危機の責任を多く負わされている。しかし、パレスチナ人への物資供給を停止したのはイスラエルだけではない。
 イスラエルが先月南部の都市ラファに侵攻した後、エジプトは援助物資の輸送を阻止して侵攻に抗議した。エジプトはラファの検問所をイスラエルに管理させているようには見えたくなかったし、イスラエルがエジプト国境のすぐ近くで活動していることに腹を立てていた。(エジプトはかつてガザを占領したが、1967年にイスラエルとの戦争で支配権を失った。)
 エジプトはその後、イスラエルとの国境にある検問所、ケレム・シャロームを通じた援助を一部許可し始めた。それでも、国連によると、イスラエルがラファで作戦を開始して以来、ガザに流入する援助の量は3分の2近く減少している。これらの問題にもかかわらず、人道支援団体は危機におけるエジプトの役割をめったに批判しない。「彼らはエジプトが彼らの活動にとって本当に重要であり、また国民の批判に非常に鈍感であることを知っています」とアダムは私に語った。
 これとは別に、パレスチナ人は飢えと絶望から、あるいはガザの闇市場で物資を売るために、一部の積荷を略奪した。
 イスラエルの極右活動家らも、ヨルダンからガザに向かう支援トラックを阻止し、物資を破壊した。活動家らは、ハマスがイスラエル人人質を返還するまで、パレスチナ人は支援を受けるべきではないと主張している。米国は先週、これらの攻撃に関与したグループの一つであるツァブ9に制裁を課した。

選択
 援助活動家は、これらすべての問題の責任は結局イスラエルにあるとよく主張する。ガザの人々が飢えているのは、イスラエルが同地域で軍事作戦を開始したためであり、イスラエルには戦争を止める力がある。
 しかしイスラエルは、ハマスを壊滅させることに真の国家安全保障上の利益を持っている。イスラエルは、10月7日の攻撃のようなことが二度と起こらないようにしたいのだ。そのためには、イスラエルの指導者たちはガザ全域で戦わなければならないと考えている。その意味で、イスラエルはイスラエル人の安全をガザの人々の安全よりも優先している。これは戦争において予想通りの選択だが、議論の余地がある。
【コメント】
 長い記事だが従来の議論の繰り返しだ。最後の結論部分は何とも弱く、今後の展望が開けない。

その他の記事
スーダン:
 ダルフールで再び大虐殺の危機が迫っており、大量虐殺が頻発するこの地域は新たな恐怖の章に直面しているかもしれない。
フランス:
 同国は膨れ上がる赤字と債務を抑制できなかったため、EUから財政的制裁を受ける可能性がある。
南アフリカ:
 大統領は昨日就任宣誓した。
ロシア:
 裁判所は、恋愛関係にあった女性から盗み、脅迫したとして、米兵に懲役4年近い刑を言い渡した。
暑さ:
 サウジアラビアのメッカへの毎年恒例のハッジ巡礼中に、猛暑で数十人が死亡したと、複数の国から報告されている。

2024年6月20日 木曜日