世界の動き 2024年5月29日 水曜日

今日の言葉:
「AIを組み込んだPC」
5月21日、マイクロソフトは、PCを動かすWindowsオペレーティングシステムにAIを直接組み込むと発表した。同社は、6月18日に発売されるCopilot+ PCと名付けた新製品を発表した。これは、マイクロソフト自身のSurfaceデバイスだけでなく、Acer、Dell、HP、Lenovo、SamsungなどのメーカーのWindowsデバイスにも組み込まれる。
人工知能技術を組み込んだ新しいコンピューターは、大手テクノロジー企業がユーザーの行動をますます監視していることを意味する。
目玉はRecallと呼ばれる機能で、これはユーザーのアクティビティを監視し、イライラして一度見たものを探しているときにオンデマンドで呼び出せるようにする。「Recallを使用すると、写真のような記憶力があるかのように、PCで見たものや行ったことに仮想的にアクセスできる」とマイクロソフトは説明するが、これはユーザーの行動を絶えずに監視した結果もたらされる。

便利になることを喜んでばかりはいられないようだ。自分のデスクの上に、家中にBig Brotherが存在する世界が来るのだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプの刑事裁判の最終弁論
【記事要旨】
昨日、アメリカ大統領に対する初の刑事訴追で、検察側と弁護側は陪審員に対し最終弁論を行った。
検察官のジョシュア・スタイングラスは、ドナルド・トランプが2016年の選挙前夜に、ポルノ女優がトランプ氏と性的関係を持ったという証言を黙らせることで、アメリカ国民に対する詐欺行為を行ったと述べた。同氏は、ストーミー・ダニエルズへの13万ドルの支払いは「トランプ大統領が当選した原因である可能性が高い」陰謀の一部であると述べた。
本稿の公開時点ではまだ発言を終えていなかったスタイングラスは、トランプ氏がかつてのフィクサーであるマイケル・コーエンとタブロイド紙ナショナル・エンクワイアラーの助けを借りて、選挙前にネガティブなニュース記事を隠そうとした経緯を大々的に語った。「これは明白な選挙詐欺であり、違法な手段でトランプの当選を推進する陰謀を促進する行為だ」と同氏は述べた。
その日、トランプ氏の弁護士トッド・ブランシュは、コーエン氏の信頼性を何時間も攻撃し、同氏を「G.L.O.A.T.」つまり「史上最大の嘘つきgreatest liar of all time」と呼んだ。
ブランシュの計算は単純だ。陪審員がコーエンを信じなければ、それは合理的な疑いとなり、依頼人を有罪にすることは不可能になる可能性がある。ブランシュは、コーエンを「文字通り、合理的な疑いの体現者」と呼んだことがある。
水曜日には、判事のフアン・マーチャンが陪審員に関連法を説明してから審議を開始する。陪審員が評決を下すまでには、数時間から数週間かかる可能性がある。有罪となれば、トランプ氏は最長4年の禁固刑に処される。
【コメント】
陪審員の判断はどうなるだろうか。数人は無罪と考える人が必ずいるだろうから、すんなり有罪になるのは難しい。

2.イスラエル、ラファへの攻撃継続
【記事要旨】
イスラエル軍は、日曜日のキャンプへの空爆で火災が発生し、45人が死亡したことに対する国際的な非難にもかかわらず、昨日ラファ地区での地上攻撃を続行していると述べた。
イスラエル軍の首席報道官は、イスラエルが攻撃に使用した爆弾は、その規模の火災を引き起こすには小さすぎたと主張した。
これとは別に、ガザ当局は、ラファ近くの安全地帯に指定されているアル・マワシの避難民が住むテント地区への攻撃で昨日21人が死亡したとも述べた。この地域で近接戦闘を行っていると述べたイスラエル軍は、同地帯内で攻撃を行ったことを否定した。
昨日、住民が言うところの激しい爆撃を受けて、ラファの一部から避難したパレスチナ人が逃げ出した。
援助:米国がガザに人道支援物資を届けるために建設した仮設桟橋が荒波で崩壊した。
【コメント】
何度も繰り返すが、イスラエルの攻撃はハマスを殲滅したとイスラエルが納得するまで決して終了しない。仮設桟橋が壊れたのは驚き。米軍の架設能力の低下かなと思う。

3.南アフリカの重要な選挙
【記事要旨】
30年前、南アフリカ国民は同国初の自由で公正な選挙で投票しました。今日、投票所に向かう中、アフリカ民族会議ANCはそれ以来初めて過半数を失う可能性がある。
新しい世代の有権者はアパルトヘイトを実際に体験しておらず、失業、犯罪の蔓延、停電で荒廃した経済をANCのせいにしている。投票率は2021年に初めて50%を下回った。私たちは、選挙を棄権する予定の全国の多くの若者と話をした。
タイムズ誌のヨハネスブルグ支局長はネルソン・マンデラの政党のゆっくりとした衰退について調べた。
【コメント】
ロイターの記事を引用します。
[ヨハネスブルク 26日 ロイター] – 南アフリカは今年、反アパルトヘイト(人種隔離政策)闘争を率いた故ネルソン・マンデラ氏のアフリカ民族会議(ANC)が政権を握ってから30年の節目に当たる。足元では相次ぐ停電や深刻な失業、汚職のまん延に怒りの声が広がっており、29日の総選挙では初めて議席数が単独過半数を割り込む可能性が出ている。
複数の世論調査によると、ANCの得票率は2019年の57.5%から40%に落ち込みかねない情勢。現実化すればシリル・ラマポーザ大統領は、票を争った他党との不安定な連立内閣を余儀なくされ、「ラマポーザ降ろし」の風に揺さぶられる恐れがある。
世論調査のうち、アフロ・バロメーターが今週初めに発表した結果では、有権者の3分の1が投票先を決めかねているという様子がうかがわれる。これほどの予測不可能な総選挙は過去にはない。

その他の主要記事
ジョージア:
議員らは大統領の拒否権を覆し、EU加盟に向けた同国の取り組みを台無しにする可能性のある法案を最終承認した。
ウクライナ:
ロシアが攻撃に備えて国境に軍隊を増強する中、西側諸国はウクライナにロシア領内での攻撃を許可するよう要求を強めている。
バチカン:
法王は、同性愛者を指す侮辱的な俗語を使ったとの報道を受け謝罪した。
台湾:
議員らの激しい抗議と争いの中、野党2党は新総統の権限を弱める可能性のある措置を強行した。
北朝鮮:
韓国軍は、昨日、偵察衛星を積んだロケットが打ち上げ後に爆発したと発表した。

ビジネスとテクノロジー
暗号通貨:
破綻した暗号通貨取引所FTXのトップ幹部が懲役7年半の判決を受けた。
SpaceX:
NASAと国防総省への打ち上げサービスの主要プロバイダーであるイーロン・マスク氏の会社の攻撃的な戦術にライバル各社が不満を表明している。
香港:
香港でのビジネスには、北京を怒らせる政治的コストというリスクがますます伴うようになっている。

2024年5月29日 水曜日

世界の動き 2024年5月28日 火曜日

今日の言葉:
「メモリアルデー」
 月曜日はメモリアルデーでニューヨーク市場は休場だ。
 メモリアルデーは戦没将兵追悼記念日。5月の最終月曜日と決められた祝日だ。
 南北戦争後、戦没者を思い出すために1866年に始まった行事だった。現在は、連邦の祝日で、兵役中に死去したアメリカ軍(陸軍、海軍、空軍、海兵隊、宇宙軍、沿岸警備隊)兵士を追悼する日である。多くの町で華やかにブラスバンドの行進が行われる。
 学校の学年が終了する5月末に設定されているので、夏休みや夏の始まりを意味するウキウキした気分にさせる祝日だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエルによるラファ攻撃で少なくとも45人が死亡
【記事要旨】
 ガザ南部ラファ市で空爆により数十人の避難民パレスチナ人が死亡した翌日、イスラエルのネタニヤフ首相は「悲劇的な事故」と呼び、ハマスが一般住民の中に隠れていると非難した。
 「私たちにとって、負傷した無関係の民間人はすべて悲劇tragedyだが、ハマスにとって、それは戦略strategyだ。 それがすべての違いだ。」と語った。
イスラエル軍は、攻撃の標的はハマスの施設であり、ハマスの幹部2人が死亡したと発表した。 しかし、あるイスラエル当局者は匿名を条件に、初期調査の結果、攻撃が現場の可燃性物質を発火した可能性があると述べた。
 ガザ保健省によると、女性、子供、高齢者23人を含む少なくとも45人が死亡した。 同省は249人が負傷したと発表した。 目撃者や生存者らは、テントが炎上し、犠牲者が火傷を負う恐ろしい光景を語った。
 この攻撃は、イスラエルにラファ攻撃の停止を命じたと思われる国際司法裁判所による13対2の判決の2日後に行われた。 フランスのマクロン大統領は、ラファでの空爆に「激怒している」と述べ、「これらの作戦は中止しなければならない」と付け加えた。
 援助:ガザへの援助の流れは5月に大幅に減少しており、人道当局者らは、広範囲にわたる飢餓の脅威がこれまで以上に深刻になっていると述べている。
【コメント】
 この期に及んでtragedyとstrategyの違いと説明するネタニヤフ首相の神経にはあきれる。

2.パプアニューギニアの土砂崩れで数千人が埋まった
【記事要旨】
 パプアニューギニアの人里離れた北部高地で金曜日に起きた地滑りで村と労働キャンプが埋まり2,000人以上が生き埋めになったと当局が国連に発表した。
 エンガ州にあるこの地域は人口が密集しており、ポルジェラ金鉱山の近くにあります。 この地域は人里離れた険しいジャングル地帯であり、生存者に連絡するのは大きな課題である。
【コメント】
 被害者は随分増えた。一刻も早い救出を希望したい。

3.中国はどのようにしてクリーンエネルギー技術を独占するようになったのか
【記事要旨】
 西側諸国は長年にわたってグリーンテクノロジーを追求してきた。1970 年、ジミー カーター米国大統領はホワイトハウスにソーラー パネルを設置しました。 しかし、中国の支援の規模と粘り強さに匹敵する国はまだない。
 2022 年には、中国は世界のクリーン エネルギー製造投資の 85% を占め、太陽電池パネル製造の各段階の 80% 以上を管理している。
 中国の比類のないクリーン エネルギー技術の生産は、化学、鉄鋼、電池、エレクトロニクス産業の初期の育成に基づいて構築され、現在の独占状態に至った。
 米国ではバイデン大統領が国内産業を守るために中国製電気自動車を法外に高価なものにしようとしている。 しかし、ドナルド・トランプ氏は、もし当選したらEV政策にブレーキを掛けると約束した。
【コメント】
 世界の脱炭素化の潮流が中国を世界のフロントランナーに押し上げた。太陽光発電やEVが本当に環境にやさしいかどうかという再検討が始まっているが、もうこの流れは押し止められない。

その他の主要ニュース
北朝鮮:
 韓国軍は、北朝鮮がロケットを発射したが、これは明らかに軍事偵察衛星を軌道上に乗せようとしていたと発表した。
米国:
 強力な嵐と竜巻により、少なくとも22人が死亡した。
トランプ氏:
 ドナルド・トランプ氏の刑事裁判では今日から最終弁論が始まる。 結果がどうであれ、トランプ大統領は復讐モードに入ることが予想される。
外交:
 韓国、日本、中国の首脳による三者会談は、中国と米国の間の緊張の影に隠れた。
台湾:
 米国議員の代表団が台湾を訪問し、新しく選出された総統を支持すると約束した。
中国:
 今月ロンドンで中国スパイ容疑で逮捕された男3人が逮捕され、中国政府が海外で自国民を監視する能力についての多くの活動家の懸念に焦点が当てられた。
南アフリカ:
 明日の国政選挙を前に、写真家のジョアン・シルバは、1994 年の最初の自由選挙に至るまでの暴力行為を回想している。
健康:
 ケニアの小さな会社は、アフリカのニーズの半分以上を満たすのに十分な注射器を生産し、アフリカが医療の自立という目標を達成するのに貢献している。
テクノロジー:
 イーロン・マスク氏の人工知能企業 xAI は 60 億ドルを調達し、OpenAI、Anthropic、その他のライバルとの資金格差を埋めることに貢献した。
天文学:
 科学者たちは金星で 2 つの広大な溶岩流を発見し、金星が激しい火山活動を行っていることを確認しました。
全仏オープン:
 ラファエル・ナダルがアレクサンダー・ズベレフに敗れた。

2024年5月28日 火曜日

 

世界の動き 2024年5月27日 月曜日

今日の言葉:
「徴兵制」
 支持率低下に対して起死回生の解散総選挙を狙った英国のスヌク首相が7月の総選挙を控えて公約した兵役を含む「国家奉仕」プログラムの復活は、25億ポンド(約5000億円)の財源調達と実行の方法を巡ってすでに実現性が問われている。
 このプログラムは18歳の若者を対象に兵役もしくは社会奉仕活動を義務付けるもので、そのニュースは英各紙の一面を飾った。クレバリー内相は義務を果たさない場合でも刑事訴追されることはないと説明。与党保守党が7月4日に野党労働党に勝利した場合、このプログラムは実行可能なのかという疑問が広がっている。
  提案されているような兵役義務はイスラエルや韓国、シンガポールで採用されている。英国が徴兵制度を最後に導入したのは第2次世界大戦の数年後。同制度は1960年代に廃止された。
 日本でこんな公約をしたら多くの国民、特に若者にそっぽを向かれるだろう。随分思い切った策だが、自爆行為に見える。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ゼレンスキー大統領、ロシアの新たな攻撃を警告
【記事要旨】
 ハリコフのホームセンターへのロシアのミサイル攻撃で少なくとも16人が死亡したと当局者が発表した翌日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍が北東部での新たな地上攻撃に向けて集結していると述べた。
 ゼレンスキー大統領は、ロシアは「攻撃行動の準備」をしており、国境付近に軍隊を集めていると述べた。 ハリコフでは今月、空襲の凶暴性が急激に高まり、多くの人が避難を余儀なくされている。 土曜日には、スーパーへの襲撃からわずか数時間後に行われた2度目の攻撃が商業インフラを直撃し、少なくとも25人が負傷した。
 最前線から遠く離れたところで、米国とその同盟国の情報当局者らは、欧州での低レベルの破壊活動の増加を追跡しており、これはウクライナへの支持を弱体化させるロシアの作戦の一環であると主張している。
 秘密工作は主に放火または放火未遂で、英国の倉庫、ポーランドの塗料工場、ラトビアの住宅、リトアニアのイケア店舗など広範囲の現場を狙った。 ロシア工作員とされる人々も、米軍基地への攻撃を計画した容疑で逮捕されている。
 分析: ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は今月、10年以上ぶりに国防大臣を交代し、最近では高官の汚職逮捕を許可した。 それはおそらく、彼がウクライナでの戦場の見通しについてより大きな自信を持っていることの表れだろう。
【コメント】
 ロシアの欧州での破壊活動は初耳だ。日本でも警戒が必要だ。

2.ハマスがイスラエル中部にロケット弾を発射
【記事要旨】
 ハマスは昨日午後、ロケット弾を集中砲火し、テルアビブ地域で少なくとも1月下旬以来初めて空襲警報を鳴らした。 この攻撃は、ハマスがある程度の長距離ミサイル能力を保持していることを示した。
 イスラエル軍は、同軍が侵攻しているガザ南部の都市ラファから少なくとも8発のロケット弾が発射されたと発表した。 大きな被害については直ちに報告はなかった。 イスラエルの救急サービスは、女性2人が防空壕に避難する際に軽傷を負ったと発表した。
 金曜日、国際司法裁判所はイスラエルに対し、ラファでの軍事攻撃を停止するよう命じたが、同裁判所の裁判官の一部は、限定的な作戦は継続できると述べた。 交渉関係者らは、米国とイスラエルの情報長官とカタール首相がパリで会談した後、来週中に停戦交渉が再開される可能性があると述べた。
【コメント】
 ハマスが反撃すればイスラエルは10倍返しで対応する。戦乱はいつまでも治まらない。

3.パプアニューギニアの土砂崩れで数百人が死亡
【記事要旨】
 パプアニューギニアの人口密集地域で輸送コンテナほどの大きさの岩石が落下する地滑りが発生してから48時間以上が経過し、同国の国連当局者は少なくとも670人が死亡したと推定されると述べた。
 土砂崩れは金曜日午前3時ごろ、多くの住民が就寝中に発生した。 日曜午後の時点でも、圧力の上昇と地下水の流出により土地が滑り、岩が落ち、土壌が亀裂を生じており、捜索救助活動が妨げられ、住民は自宅からの避難を余儀なくされている。
【コメント】
 急峻な山地があり降雨量も多い地域であり、大規模地滑りも起こる恐れは高かったようだ。中国が安保協定でこの地域に食い込んできており、地政学上も我が国でも生存者救助と復興支援に努力すべきだ。

その他の主要記事
インド:
 週末に発生した2件の火災により、遊園地で27人が死亡、診療所で7人の乳児が死亡し、インドの最悪の火災対策が明らかになった。
米国:
 テキサス州、オクラホマ州、アーカンソー州で激しい嵐が発生し、少なくとも14人が死亡し、数十万人が停電した。
航空会社:
 ドーハ発アイルランド行きのカタール航空便で乱気流により12人が負傷した。
中国:
 潜在的な不安を未然に防ぐため、監視活動が住民、学童、企業を追跡している。
エベレスト山:
 今シーズン、登山者5人が死亡、3人が行方不明となった。
健康:
 本日ジュネーブで開幕する世界保健総会を前に、各国は次のパンデミックに備えるための条約に合意できなかった。
ペルー:
 トランスジェンダーのアイデンティティを障害と呼ぶ政令が反発を引き起こした。
メキシコ:
 来月の選挙を前に数十人の候補者が襲撃の標的となっており、主に地元の犯罪グループによる暴力行為が急増している。
カンヌ:
 アメリカの映画監督ショーン・ベイカーによるセックスワーカーを描いた下品なコメディ「アノラ」がカンヌ最高賞のパルムドールを受賞した。
全仏オープン:
 カルロス・アルカラスと大坂なおみがテニストーナメント初日に勝利を収めた。

2024年5月27日 月曜日

大の里優勝

 3月場所の千秋楽の日も相撲のことを書いた記憶がある。その時は新入幕の「尊富士」が優勝した。110年振りの新入幕優勝として大きな騒ぎになった。

 今場所は、「大の里」が優勝した。初土俵から7場所目での優勝は史上初だそうだ。大学1年で学生横綱。3年4年では全日本優勝。という輝かしい実績で幕下付け出しという地位で相撲にデビューし、それからたった7場所目で幕内優勝を飾ったという凄さだ。人気大関の「琴桜」には圧勝し、今日の関脇「阿炎」戦も危なげなかった。「豊昇龍」には投げ飛ばされたが、実力はもう大関だ。

 先場所優勝した「尊富士」は、大学では「大の里」の一年上だ。「大の里」は日体大。「尊富士」は日大だ。「尊富士」は、大学時代の成績が大したことが無かったので、序の口から始めた苦労人だ。(「大の里」の幕下は、序の口、序二段、三段目を経てやっとたどり着く地位だ。) 今場所でも「尊富士」は活躍を期待されていたが、先場所痛めた足首が直らず全休した。来場所は十両に陥落するようだが、活躍を期待したい。

 横綱「照ノ富士」は満身創痍。大関「貴景勝」に元気は無く、「霧島」は陥落が決定した。世代交代の時期だ。

 ほぼ同学年だが、違った経歴をもつ「大の里」と「尊富士」。先場所は「尊富士」がリードしたように見えたが、今場所で「大の里」が一気に引き離した印象だ。「琴の若」から「琴桜」に四股名を替えた角界のプリンス「琴桜」と併せて、次代の大相撲を支える若手として大いに活躍を期待したい。

2024年5月26日 日曜日

鹿をはねた話

金融機関のトロントの現地法人に勤務していたころ、ニューヨークに住む家族に会うために毎週末車でトロントーニューヨークを行き来していたことがある。1997年頃のことだ。片道500マイルあり、急いでも7時間ほどかかる長距離ドライブだ。

或る夜、ニューヨークからトロントへ帰る途中で、鹿をはねたことがある。夜中の高速道路の真ん中に鹿がいたのだ。私の車のヘッドライトに驚いたのかこちらを見て身じろぎもしない。鹿の眼球がライトを反射して光った。

ブレーキを掛けるいとまもなく、車は鹿に衝突した。鹿は車の前部にあたり、フロントガラスの上を飛び越えて行った。停車して振り返ると、高速道路の脇の木立に消えて行った。

車を見ると、前部が大破している。エンジンに異常は無く、走るのにも支障は無さそうだ。しばらく走ってカナダ側に入った。国境の係官は何も言わずに通してくれたが、大破した車を見て何も思わなかったのだろうか。

トロントまであと30分のところで、エンジンがオーバーヒートして止まってしまった。エンジンの冷却水が漏れていたのが原因だ。

AAAを呼んで、一番近くのガレージまで曳航してもらった。その後どうやってトロントのアパートまで帰ったのか、どうやって車を修理したのか、全く記憶にない。

修理屋さんに「死ななくて運が良かった」と言われたことは、時々思い出す。幸い熊にはまだ遭遇したことはない。

2024年5月25日 土曜日