世界の動き 2022年12月15日 木曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の言葉:
「サステナビリティ等の開示強化」
 2022年11月に「企業内容等開示府令等の改正案」が公表された。
 その骨子を示すと、
・サステナビリティについては
  サステナビリティ全般
  気候変動
  人的資本・多様性
・コーポレートガバナンス
  取締役会・委員会の活動状況
  監査の信頼性確保
  政策保有株式等
・開示の効率化
  四半期開示
  その他(開示のタイミング等)
についての開示の改善だ。

 この項については週末に詳しく考えたい。 

ニューヨークタイムズ記事
1.中国の「無意味な」Covidデータ
【記事要旨】
 制限の緩和の一方で、中国では Covid-19 感染の明確な全体像が把握されていない。政府は、過去の陽性検査結果のほとんどを占めていた無症候性感染症の報告を停止すると発表した。国の公式データは不確かだが、症例数が急増しているという強力な事例証拠があり、病院も混んでいる。
 信頼できる情報の欠如は、経済に大きな影響を与える可能性がある。外国の企業や投資家は、中国経済が回復するのにどれくらいの時間がかかるかわからず、何年にもわたる強制的な封鎖の後、買い物客はまだ店やレストランに入ることをためらっている。
【コメント】
 苛烈な締め付けの後の急激な緩和の行方を見守りたい。

2.フランスがモロッコに2-0で勝利
【記事要旨】
 フランスは、モロッコを破り、日曜日にワールドカップ決勝でアルゼンチンと対戦する。
 フランスが1-0とリードして前半を終えた。 モロッコはしっかりと持ちこたえたが、フランスは後半、追加ゴールを決めた。
 フランスは、モロッコを1912 年から 1956 年の独立まで保護領としていた。フランスのモロッコ人の多くは今でも人種差別やその他の差別に直面しており、外交関係は複雑なままだ。
 モロッコのチームは、ワールドカップで最も外国生まれの選手が多かった. 14 人はフランス生まれだが、モロッコでプレーすることを選んだ。ヨーロッパで直面した偏見のために選択したと言う人もいた。
【コメント】
 フランスチームの主力にはアフリカ出身の選手も多くいる。差別はあるのだろうが栄光もある。ダイバーシティを上手くマネージして行くのがチームひいては国家の成功の鍵だ。

3.注目されるフィジーの選挙
【記事要旨】
 フィジーは昨日、総選挙を実施した。 この結果は、地域に大きな影響を与える可能性がある。この島国は最近、米国と中国の間の太平洋への影響力をめぐる戦いで非常に重要な役割を果たしている。
 バイニマラマ Bainimarama 首相の下で、フィジーは中国に近づいた。 彼の挑戦者であるラブカ Rabuka は最近、長年の同盟国であるオーストラリアとのより緊密な関係を好むことを示した。
 政治が不安定になる可能性がある。 バイニマラマは 2006 年にフィジーの最後のクーデターを率い、ラブカは 1987 年に初のクーデターを率いた。バイニマラマが負けた場合、結果を尊重するかどうかは不明だ。専門家は、彼がフィジー軍の助けを求めることができると述べた。フィジー軍は憲法上、必要に応じて介入することを許可されている。
 投票率は低かった。 専門家は「首相候補の二人がクーデターの元首謀者であり、『本当に民主主義なのか』と思われているのではないか」と指摘した。
 オーストラリアはバヌアツと新しい安全保障協定に調印した、と AP 通信は報じている。
【コメント】
 太平洋の島嶼国はオーストラリアの右側の頭上だ。中国に荒らされたくないだろう。第二次大戦の米豪を遮断する日本軍の作戦を思い出す。

その他:
ニュージーランドの禁煙
 The Australian police are investigating the potential influence of far-right extremism in a Queensland shooting, The Sydney Morning Herald reports.u
米は宇宙軍を韓国で作る
  U.S. created a space force unit in South Korea, The Associated Press reports. It is likely to be used to monitor the North.
イーロンマスクの新たなコストカット
 Elon Musk stopped paying rent on Twitter’s offices and disbanded a trust and safety council to cut costs.

2022年12月15日 木曜日

世界の動き 2022年12月14日 水曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「スタンドオフ防衛能力」(防衛白書より)
 『各国のレーダーや各種ミサイルの性能が著しく向上していく中、自衛隊員の安全を確保しつつ、わが国への攻撃を効果的に阻止する必要があります。このため、侵攻する相手方の艦艇などに対して、脅威圏外の離れた位置から対処を行えるようスタンド・オフ防衛能力の強化に取り組んでいます。
 具体的には、F-35A戦闘機に搭載するJSMなどのスタンド・オフ・ミサイルの導入や、島嶼防衛用高速滑空弾などの研究開発に取り組んでいます。さらに、スタンド・オフ防衛能力の強化を速やかに進めていくため、2020年12月の閣議決定において、車両や艦艇、航空機といった多様なプラットフォームからの運用を前提とした12式地対艦誘導弾能力向上型の開発を行うことを決定しています。このように、スタンド・オフ・ミサイルの多様な運用が可能となることで、相手方の対応をより困難にでき、わが国への攻撃に対する抑止力を高めることができると考えています。』

 と言う説明だ。相手方とは誰で、どういう意図を持つ国だろうか。

ニューヨークタイムズ記事
1.核融合のブレークスルー
【記事要旨】
 カリフォルニア州で核融合を研究している科学者たちは昨日、大きなブレークスルーを発表した。 初めて、実験室での核融合反応は、反応を開始するのに必要なエネルギーよりも多くのエネルギーを生成した。
 今月、192 個の巨大なレーザーが、ダイヤモンドに包まれた水素を含む鉛筆の消しゴムほどの大きさのシリンダーを爆破し、ビームはそれを蒸発させた。
 100 兆分の 1 秒未満で、2.05 メガジュールのエネルギー (TNT 1 ポンドにほぼ相当) がペレットに衝突し、 核融合の生成物である中性子粒子の洪水が流出し、投入エネルギーの1.5倍の約 3 メガジュールのエネルギーを生んだ。
 制御核融合は、温室効果ガスや放射性廃棄物を生成しないエネルギー源を提供する可能性がある。 しかし、専門家によると、実行可能なレーザー核融合発電所には投入エネルギーの 30 ~ 100 倍のエネルギー獲得が必要で、この目標を達成するには数十年かかる見込みだ。
【コメント】
 珍しい科学のトップ記事だ。
 核融合反応は2つ以上の原子が1つのより大きな原子に融合するときに発生、巨大なエネルギーを熱として生み出す。現在電力源となっている核分裂反応と異なり、長期間残存する放射性廃棄物を出さない特徴がある。世界中で様々な方法を使った取り組みが続けられてきた。
 報道されたプロジェクトでは「熱核慣性融合」と呼ばれる核融合反応でエネルギーを取り出した。水素燃料を含むペレットを200近いレーザーの層に撃ち込むと、1秒間に50回という極めて高速の連続した爆発が発生。中性子やアルファ粒子から集められたエネルギーが熱として抽出され、エネルギー生産に使われる。
 日本では研究しているのだろうか。

2.アルゼンチンがクロアチアに勝利
【記事要旨】
 アルゼンチンがクロアチアに 3 対 0 で勝利し、日曜日のプ決勝に進出する。
 リオネル メッシにとっては、ワールドカップで優勝する最後のチャンスだ。彼は 35 歳で、これが彼の最後のグローバル トーナメントになる可能性がある。
 スタジアムでは、試合が終わる前にアルゼンチンのファンが歌い始めた。 ハーフタイムで 2 点差をつけ、69分に、3点目のゴールを決めた。
 今日、フランスとモロッコが対決。 数十年の歴史が衝突する。
【コメント】
 タイムズもワールドカップに熱狂しているなー。

3.「誰も出てこない」
【記事要旨】
 中国が「Covid-19 ゼロ」制限を解除してから 1 週間も経たないうちに、北京は封鎖された都市のように見える。ただし、今回は住民による自主規制だ。
 Covidの波が中国の首都を席巻し、風邪やインフルエンザの薬が不足している。抗原検査キットが売れている。スタッフが陽性反応を示したため、レストランは閉鎖された。 通りには人影がなく、配達員も家にいる。
 北京のレストラン経営者は、「今は誰も出てきません。 先週、顧客が屋内で食事をすることを許可されたとき、祝いましたが、今はテイクアウトでもお客さんがいない」と語る。
 中国は大規模な検査システムを解体したので実際の感染を把握するのは困難だ。発熱クリニックへの訪問が 1 週間で 16 倍に増加したそうだ。
【コメント】
 PCR検査所を撤去していたが市民はどのように考えているのだろうか。日本では2類から5類への指定替えの議論がなかなか進まないが、中国では一度に普通の病気の扱いにしている。混乱は避けられないだろう。

その他:
中印の国境紛争
 Indian and Chinese soldiers again clashed at a disputed border, more than two years after a deadly confrontation.
ニュージーランドの喫煙禁止策
 New Zealand will bar people born on or after Jan. 1, 2009, from buying tobacco, Reuters reports.
FTXの創業者逮捕される
 Sam Bankman-Fried, the founder of FTX, has been arrested. .
Bankman-Fried faces criminal and civil charges and is accused of lying to investors from the start of the company.

2022年12月14日 水曜日

世界の動き 2022年12月13日 火曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の言葉:
「モロッコ」
 ワールドカップでベスト4に躍進したモロッコ。名画「カサブランカ」ぐらいしか知らなかったので調べてみた。
 首都はラバトだ。1956年にフランスから独立。国家体制は国王を元首とする立憲君主制を採り、現国王はアラウィー朝のムハンマド6世。憲法によって議会の解散権や条約の批准権を認められており、軍の最高司令官でもある。2011年の2月から4月にかけて、アラブの春の影響でデモが発生し、2011年7月の憲法改正により、国王の権限縮小と首相の権限強化が為された。現在は政情は比較的安定しているようだ。
 国民1人当たりのGDPは4000ドル未満でアフリカ諸国では高い水準にあり、アジアなどの新興国に匹敵するレベル。
 観光では、フェズ、カサブランカ、マラケシュといった都市部の旧市街地から、アイット=ベン=ハドゥなど集落レベルの各種居住エリアにある世界遺産、サハラ沙漠やトドラ渓谷といった自然が観光資源として利用されている。古い邸宅を利用したリヤドと呼ばれる「モロッコ独特の宿泊施設」も知られている。
 一度訪問したい国ですね。

ニューヨークタイムズ記事
1.中国の宇宙マラソン
【記事要旨】
 10月下旬、中国は天宮宇宙ステーションの組み立てを完了した。 先月末、3人の中国人宇宙飛行士が酒泉砂漠にある衛星発射センターから離陸し、宇宙ステーションの恒久的な占有を開始した。
 最近の月と火星への探査と相まって、中国の成功を示している。 中国は月と火星へ人間を送ることを企図している。
  中国は、世界での威信に磨きをかけようとして、特に宇宙計画が確立されていない国で、天宮を世界中の科学者のための宇宙ステーションとして描いている。
 米国は、中国が 2045 年までに宇宙能力で米国を上回ると予測した。
【コメント】
 中国は中国版の国際宇宙ステーションを目指し、火星に人を送るという壮大な計画だ。凄いね。宇宙技術は軍事転用が可能なので注意が必要だ。

2.中国のCovid計画:より多くの予防接種
【記事要旨】
 中国は、最新のCovid-19ワクチンが服用しやすく効果的であることを高齢者に納得させるための全面的なキャンペーンを開始した.
 吸入ワクチンは針刺しの恐怖を軽減できる。国営メディアではその容易さが宣伝されている。
 中国が抗議の後に制限を解除するにつれて、医療リソースを圧倒する可能性のある症例の急増に備えている。今後のアウトブレイクは、高齢者が接種する意思があるかどうかに部分的に依存しているが、根深い懐疑論を克服する必要がある。
 中国のワクチンは通常、外国のmRNAワクチンよりも効果が低く、吸入治療の実際の有効性についてはほとんど知られていない。中国の高齢者層の 40% はブースター接種を受け取っていない。
  中国はCovid-19 アプリの無効化も計画している、と CNN は報じている。 このアプリは何年もの間、日常生活を支配し、人々の動きを支配してきた。 政府は反対意見を鎮圧するためにアプリを使用した可能性がある。
【コメント】
 アプリの終了は本当だろうか。

3.日本はインドの技術系人材を求める
【記事要旨】
 日本は IT エンジニアの不足に直面しており、インドでは毎年 150 万人のエンジニアの卒業生が生まれている。しかし日本は、アメリカやヨーロッパとの競合で、高学歴のインド人を採用するのに苦労している。
 日本は人口の高齢化に伴い、より多くの労働者を必死に必要としている。技術部門だけでも、政府は、日本が長い間延期されてきた全国的なデジタル化の取り組みを追求しているため、今後数年間で労働者の不足がほぼ800,000人に達すると推定している。
 しかし、日本は外国人労働者を引き付け、インドで技術系人材を採用しようとしているが、厳しい課題に直面している。低賃金、厳格な企業階層、厳しい言語障壁により、日本は魅力的な選択肢ではなくなる。 たとえば、米国では、技術職の平均給与は日本の 2 倍以上だ。
 日本の外国人に対する両価性は、外国人を社会に統合する方法が確立されていないことを意味している。
 世界第 3 位の経済大国である日本は、物理的な事務処理からデジタル ツールへの移行に苦労しています。 日本企業のクラウド テクノロジーの使用は、米国の企業よりも 10 年近く遅れている。
【コメント】
 厳しい記事だ。IT技術者では数年で80万人。介護職では毎年20万人不足する、外国人に日本に来てもらうには給与レベルが低い。ぬるま湯日本に沈殿するのは日本人を太宗とした世界のクズ(宮台真司さんの言い方)と言うことになるのだろうか。

その他:
オーストラリアで亀の保護
 Australia is trying to move a rare tortoise to a cooler environment. The experiment is believed to be the first attempt to relocate an endangered vertebrate species because of climate change.
北朝鮮からの犬は動物園へ
 South Korea has found a home for two dogs, which North Korea’s leader gave to its former president. After a disagreement about the cost of their care, the dogs will live in a zoo, The Associated Press reports.
プーチンは恒例の記者会見を開かず
 Vladimir Putin, Russia’s president, won’t hold his traditional December news conference. The annual event was one of the few times that foreign reporters could question him directly.

2022年12月13日 火曜日

世界の動き 2022年12月12日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の言葉:
「ニューヨークタイムズのストライキ」
 ニューヨーク・タイムズの記者など従業員が加入する労働組合は、およそ40年ぶりとなるストライキを決行。記録的なインフレの中、賃上げなどの交渉で経営側と折り合いがつかなかったとしている。労働組合は8日、24時間のストライキに踏み切り、記者など1000人を超える従業員が参加した。
 マンハッタン中心部の本社前には多くの人が集まり、「新聞社は給料を払う時だ」などと声を上げながら抗議活動を行った。


 この報道には驚いた。24時間の時限ストで良かった。長引けばこのレポートも出来ないところだった。日本で朝日新聞がストを起こしたらどうだろうか。大いに批判されることだろう。

ニューヨークタイムズ記事
1.準決勝に備えよう
【記事要旨】
 4つの国がワールドカップの準決勝に進み、アルゼンチンは明日クロアチアと、フランスは水曜日にモロッコと対戦する。
 アルゼンチンは、このワールド カップで優勝することがリオネル メッシの運命であるという信念に突き動かされている。しかしクロアチアは、トップ候補であるブラジルを破り独自の目的を持っている。
 フランスはイングランドを破り、 モロッコがポルトガルを破り、アフリカおよびアラブ世界で初めて準決勝に進出した国になった。 その頑丈な防御は、トーナメントの主要な得点者であるキリアン・エムバペによって挑戦される。
 カタールはヨーロッパにとって重要なエネルギー源になる態勢を整えている。
 ベルギー当局は、カタールによる賄賂の可能性に関する調査で、欧州議会の現議員および元議員を含む 5 人を拘留した。
【コメント】
 米国が出ないのに準決勝に熱が入っているな。

2.中国はCovidの急増に備える
【記事要旨】
 中国はCovid-19の制限を撤回。 現在、北京は症例の急増に備えている。
 先週、氷点下に近い天候の中、中国の首都の住民は病院や薬局に列を作った。熱のために助けを求めたり、減りつつある在宅検査キットを買ったりした。 報告された症例数は信頼性が低く、政府が大規模な検査をやめた現在、かなりの過小評価されている。
 政府は、3 年間の絶え間ないプロパガンダの後、突然コロナウイルスの脅威を軽視し、資源を節約するために、必要でない限り助けを求めないように住民に呼びかけている。
 共産党にとっての課題の 1 つは、11 月までに中国の人口の 1% 未満しか感染していないため、多くの人が脆弱なことだ。 昨年以降、中国はまだ 4 回目の接種に移行していない。 中国のワクチンは、mRNA よりも効果が低い。
 多くの若者が失業しており、就職の見込みがほとんどない。抗議者たちは、彼らの戦いはCovidが制御するよりも大きいと言う。
【コメント】
 数百万人の単位で感染者が増えると共産党政府はどう対応するのだろうか。壮大な社会実験だ。

3.ロッカービー事件の容疑者逮捕
【記事要旨】
 1988 年にスコットランドのロッカビーでパンナム103便が爆破され270人が死亡した事件で起訴されたリビアの諜報工作員が、F.B.I. によって逮捕された。 彼は、米国史上最悪のテロ攻撃の 1 つで起訴されるため、米国に身柄を引き渡されようとしている。
 工作員アブ・アギラ・モハマド・マスードの逮捕は、彼を起訴するための司法省による数十年にわたる努力の結果だ。米国政府がマスードの身柄引き渡しをどのように交渉したかは不明だ。
 司法省が 2 年前に彼に対する容疑を明らかにしたとき、彼は無関係の犯罪でリビアの刑務所に拘留されていた。マスードは 2012 年の爆破事件について、リビアの法執行官に自供した。
 引き渡しにより、マスードは裁判を受けることになるが、法律の専門家は、戦争で荒廃したリビアの刑務所で得られた彼の自白が証拠として認められるかどうかについて疑問を表明している。
【コメント】
 「ロッカビー」といえば「御巣鷹山」と同様の意味を米国人には持つのだろう。この事件はパンナムの崩壊の引き金になったことで私には記憶に残っている。

その他:
香港の民主化運動家に刑期
 Jimmy Lai, the pro-democracy media tycoon in Hong Kong, was sentenced to more than five years in prison.
バヌアツは国際司法に訴える
 Vanuatu wants the world’s highest judicial body to weigh in on whether nations are legally bound to protect against climate risks.
キューバの経済危機
 Deepening poverty and hopelessness in Cuba have set off the largest exodus since Fidel Castro rose to power.

2022年12月12日 月曜日

昭和16年12月の動き

 「12月8日未明、帝国は米英と戦争状態に入れり。」大本営発表を勇ましく告げるNHKラジオの放送を聞き覚えのある人も多いだろう。

 昭和16年の12月に何が起こったか考察することはとても興味深い。以下に列記する。

【年表】
1941/12/01
御前会議が対米・英・蘭との開戦を決定する。

1941/12/05
野村、栗栖両大使が、日本側回答をハル国務長官に手渡す。

1941/12/06
野村駐米大使宛てに、対米最終覚書が打電される。

1941/12/07
ホノルル時間午前6時45分(日本時間8日午前2時15分)米駆逐艦ウォードが真珠湾港外で特殊潜航艇を撃沈する。

1941/12/08
日本時間午前2時、日本軍がマレー半島へ上陸開始する。

1941/12/08
日本時間午前3時19分(ホノルル時間7日午前7時49分)、日本軍がハワイ真珠湾空襲を開始する。日本時間午前4時、米英に宣戦布告の詔勅を発表し、太平洋戦争の開戦となる。

1941/12/08
イギリス、アメリカが日本に宣戦布告する。

1941/12/09
国民政府が、日本、ドイツ、イタリアに宣戦布告する。

1941/12/09
東条英機内閣が、左翼関係者・自由主義者・人道主義者など200人余を予防拘禁・スパイ容疑などで検挙する。

1941/12/10
日本軍が、マレー沖海戦でイギリスの主力艦のプリンス・オブ・ウェールズを撃沈する。

1941/12/11
ドイツ・イタリアがアメリカに宣戦布告する。

1941/12/12
ソ連軍が、モスクワに迫ってきたドイツ軍を撃退する。

1941/12/12
ブルガリア、ルーマニア、スロバキアがアメリカ、イギリスに宣戦布告する。

1941/12/13
ハンガリーが、イギリス、アメリカに宣戦布告する。

1941/12/16
戦艦大和が竣工する。

1941/12/25
香港のイギリス軍が日本軍に降伏する。

【年表を観て】
 この年表(日表?)を見るだけでとても多くのことがわかる。

 日本はハルノートを米国からの実質的な最後通牒ととらえ、真珠湾攻撃とマレー半島上陸に踏み切った。このタイミングはとても微妙で、もう1週間待てば独ソ戦でドイツが負け始めるところだった。日本はドイツが勝つ前に勝ち馬に乗るのに遅れまいと参戦しようとしたのだから間の抜けた話だ。

 ヒトラーは日本の参戦により米国が欧州の戦争に加わるのを歓迎しなかったのに、アメリカに戦線布告した。これは何故かいまだによくわからない行動だ。ドイツが宣戦布告しなければ米国は欧州の戦争に参加する理由はなかったはずだ。

 戦後ソ連の陣営にに組み入れられた東欧諸国(ブルガリア、ルー
マニア、スロバキア、ハンガリー)が枢軸国側で戦争に参加した。この判断も後知恵だが、滑稽だ。

 戦艦大和は開戦後にやっと完成したのだ。戦艦武蔵は更に後だ。この2艦が空母であったらと言うのも後知恵だ。

 香港はクリスマスに陥落したのだ。Merry Christmas, Mr. Lawrence. を思い起こさせる。

【防衛力強化論争に思う】

 論争が喧しい。
 保守陣営は、現下の国際情勢で、防衛費のGDP2%への増額は妥当であり、国防に不可欠だと主張する。
 左派陣営は、防衛費の増額で日本は米国、中国に次ぐ軍事大国になり、そんなに巨額の軍備は必要ない、戦争への前夜だ、と主張する。
 議論は全く嚙み合わない。

 中露という軍事大国と核武装を遂げた北調整、領土問題・歴史問題のある韓国に隣接する日本では、どのような紛争が起こり得て、どのような防衛策が効果的で効率的かは、国家の存亡に係る大問題だ。与野党を問わず、国民を巻き込んだ議論が必要だろう。一介の審議会で決定できる問題では無い。

 議論の際にベースになるのはあくまでも現行憲法ではないかと思う。理想主義だと笑われそうだが、憲法九条を見ると、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と謳っている。

 敵基地攻撃能力は「武力による威嚇」には相当しないのであろうか。日本に向けて数千発のミサイル攻撃能力を持つ中国・ロシアに対し、500発の巡航ミサイル整備は、抑止力になるのだろうか。結局は核武装が必要だと言うことになりはしないだろうか。

 安倍首相が「積極的平和主義」という良い言葉(安倍さんの意図は別のようだが)を残した。今こそ、国家の100年の計を考えるべき時であり、その際には現行憲法が議論のベースになるべきだと考える。

2022年12月11日 日曜日