世界の動き 2025年8月12日 火曜日

今日の一言
「時差ボケ」
 昨夜、一週間のポーランド旅行から帰国しました。旅行での経験は土日に記します。今朝は8時まで爆睡して、朝の配信が遅延しました。誠に申し訳ありません。
 旅行中は時差ボケはなかったのですが、帰国して一時に出たようです。西側への移動は楽だが東側への旅行は辛いと言いますが、そのせいかもしれません。言い訳ですが。。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領、ワシントン警察の統制を命令
【記事要旨】
 トランプ大統領は昨日、ワシントンの警察を一時的に統制し、首都の犯罪対策として800人の州兵を派遣すると発表した。
 記者会見で、大統領はワシントンのディストピア的な姿を描き、「血に飢えた犯罪者bloodthirsty criminals」と「荒くれ者の若者の徘徊する暴徒roving mobs of wild youth」に占拠された都市を描写した。この発言は、ワシントンの暴力犯罪が30年ぶりの低水準に達したことを示す公式統計とは対照的だった。さらに、トランプ大統領は「必要であれば」ワシントンに軍を派遣する用意があると付け加えた。
 トランプ大統領は数週間前からワシントンを連邦政府が統制すると警告しているが、リベラルな都市における犯罪に対しては数十年にわたり批判を続けてきた。今回のワシントンへの派遣は、トランプ大統領が国内の目標を達成するために軍を動員した最新の例である。
 ワシントン州司法長官は、トランプ大統領の行動を「前例のない、不必要な、そして違法な」ものだと批判した。トランプ大統領が計画を説明する中、ホワイトハウス周辺には抗議者が集まった。ホワイトハウス当局者は、連邦政府による警察の統制は30日間続く見込みだと述べた。
 関連記事:トランプ大統領がラテンアメリカの麻薬カルテルに対し軍事力行使を命じたことで、同地域への米国の介入に対する懸念が再燃した。
【コメント】
 ワシントンは特別区なのでトランプの行動は違法ではないという米国識者が多い。
 それにしても、いつもの八面六臂ぶりだ。

2.アルジャジーラ記者殺害で緊張高まる
【記事要旨】
 日曜日にイスラエル軍がアルジャジーラの記者5人を意図的に殺害した空爆は、カタールとイスラエル間の緊張を悪化させている。カタールはアルジャジーラに資金を提供し、ガザ紛争終結に向けた交渉において中心的な仲介役を務めてきた。カタールの首相は、ガザにおけるジャーナリストへの攻撃は「想像を絶する犯罪」だと述べた。
 この攻撃で、特派員アナス・アルシャリフ氏に加え、もう1人の特派員、2人のカメラマン、そしてアシスタント1人が死亡した。イスラエル軍はアルシャリフ氏をハマス戦闘員と非難していたが、アルシャリフ氏とアルジャジーラはこの主張を否定している。
 今回の殺害は、イスラエルとカタールの複雑な関係を浮き彫りにした。イスラエル指導部は、ハマスとの連絡ルートとしてカタールを頼りにしているが、同時にカタールに対しても疑念を抱いている。
 ガザ地区に関するその他のニュース:
・ネタニヤフ首相は、ガザ地区の占領がいつまで続くのか、またいつ開始されるのかについて、明確な見解を示していない。
・オーストラリアは、フランス、イギリス、カナダ同様に、パレスチナ国家を承認する意向を示した。
【コメント】
 米国のPBSでジャーナリスト殺害を報道していたが、意図的な空爆での殺害とはわからなかった。ガザで亡くなったジャーナリストの数はで第二次大戦後のいかなる戦争における死亡者よりも多いそうだ。

3.米国と中国は貿易期限に直面
【記事要旨】
 米国と中国が交渉の延長で合意しない限り、両国間の貿易休戦は本日期限切れとなる。
 延長により、両国は意見の相違を解決するための時間をさらに得ることができる。米国と中国は先月、スウェーデンでの協議で、当初90日間の合意に合意した。
 分析:トランプ大統領は、貿易とは全く関係のない事柄について、他国に自分の思い通りに行動させようと関税を棍棒のように利用し、従わない場合は罰してきた。
【コメント】
 延長を伝えるBloomberg記事。
「トランプ米大統領は中国との関税休戦を90日延長する。経済ニュース専門局CNBCがホワイトハウス高官による情報として報じた。報復関税の応酬を停止し、レアアースや一部テクノロジーの輸出規制を緩和することで合意した両国の取り組みは、12日に失効する予定だった。関税戦争が再燃すれば、米中の貿易にさらなる打撃が及ぶとの懸念があった。違法薬物の流通に関連した関税や、中国がロシア産やイラン産原油を購入していることへの懸念、さらには中国での米事業展開をめぐる摩擦など、取り決め延長は他の問題を解決するための時間を両国に与えるものとなった。」
 中国には早期合意するメリットは乏しそうだ。永遠に交渉してゆけば永遠に高関税を避けられる。一方、NVIDIAとAMDは、最先端でない半導体を中国へ輸出する許可を得た。売り上げの15%を米国政府へ上納するディールだとトランプが誇らしげに説明している。

その他の記事
ウクライナ:ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、金曜日にアラスカで行われたトランプ大統領との会談で、ウラジーミル・プーチン大統領が「アメリカを欺こうとする」と警告した。
テクノロジー:トランプ政権との異例の合意により、NVIDIAとAdvanced Micro Devicesは、中国へのAIチップ販売の15%を米国政府に支払う見込みだ。
シリア:新政権は多元主義的自由を尊重すると約束したが、ダマスカスの住民の多くは、首都がより保守的になったと述べている。

暗号通貨:トランプ一族の暗号通貨スタートアップ企業は、テクノロジー企業ALT5 Sigmaと15億ドル規模のデジタルコイン取引を発表した。

2025年8月12日 火曜日

世界の動き 2025年8月5日 火曜日

今日の一言
「shoot the messenger (伝令を撃つ)」
 「Shoot the messenger」は、「悪い知らせを伝えた人を責める、お門違いな非難をする」という意味の英語のイディオムだ。悪い知らせの内容ではなく、それを伝えた人に責任転嫁して攻撃することを指す。
 ヘロドトスには、スパルタ人がペルシャの使節を殺害したという記述があり、何世紀にもわたって、それは悪しき行為とみなされてきた。
 非常に失望的な雇用統計を受けて、労働統計局長を解任するというトランプ大統領の決定はどう説明すればよいのだろうか。
 問題は信頼性だ。大統領の恣意的な人事でポストを引き継ぐ者は、独立性があるとは見なされないだろう。世界経済の中心における米国の役割をさらに危うくする。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領の貿易協定は関税だけではない
【記事要旨】
 木曜日の期限を前に、数十カ国が米国との貿易協定締結を急ぐ中、トランプ大統領は市場や財政赤字といった従来の焦点を超えた戦略を採用した。米国への数十億ドル規模の投資を要求しているのだ。
 大統領の戦術は、彼の「アート・オブ・ザ・ディール」アプローチを反映している。大統領は経済的影響力を駆使し、貿易相手国に資金提供を迫り、さもなければ天文学的な関税を課すと脅迫している。
 貿易専門家にとって、これらの約束は、トランプ大統領が貿易相手「国」と交渉しているのか、それとも貿易「人質」として扱っているのかという疑問を提起する。以下にいくつか例を挙げる。
 韓国は、協定でより低い関税率を確保するため、米国への3,500億ドルの投資と1,000億ドルの液化天然ガス(LNG)購入に同意した。
 EUは、7,500億ドル相当の米国産エネルギーを購入すると表明し、EU企業は少なくとも6,000億ドルを投資する準備ができていると述べた。
 日本は、対米投資のための5,500億ドル規模の基金を設立すると発表した。
 専門家は、目を見張るような投資額に注目するのは時期尚早かもしれないと警告している。関税は投資や購入の約束よりも執行が容易であり、その曖昧な性質から、各国はトランプ大統領の関税を回避するための独創的な方法を模索している可能性がある。約束の中には、現実離れした内容のものもあり、具体的な内容が欠けているものも多い。
 関税に関するその他のニュース:
・インド:外務省は、トランプ大統領の追加関税の脅しは「不当かつ不合理」であり、インドの利益を守るために「必要なあらゆる措置を講じる」と表明した。
・マレーシア:バイデン政権下で関税によって壊滅的な打撃を受けたマレーシアの太陽光パネル産業は、地域にとって警鐘となっている。
【コメント】
 Japan said it would establish a $550 billion fund for investments in the U.S. という風に米国では理解されているようだ。日本政府の日本国内での説明とは異なる。

2.マスク氏への巨額報酬
【記事要旨】
 テスラは昨日、イーロン・マスク氏に約290億ドル相当の自社株を付与したと発表した。これは、過去に支払った数十億ドル規模の報酬制度が裁判所によって無効とされたことを受け、億万長者の最高経営責任者(CEO)の留任を支援するためだ。
 この報酬契約は、テスラの売上と利益が減少する中で、マスク氏にとって異例の報酬となる。テスラは市場シェアを失っているが、その一因はマスク氏の右派政治への関与であり、電気自動車を購入する可能性のある多くのリベラルな自動車購入者を遠ざけている。
 詳細:マスク氏は2年後から新株を得る可能性がある。同氏はテスラ株の約16%を保有することになり、昨日の株価に基づくと、1500億ドル以上の価値となる。
 その他のテクノロジー関連ニュース:人工知能(AI)はシリコンバレーで「ハードテック」の新時代を到来させた。
【コメント】
 TESLAは苦しい。頼みの自動運転もその技術に黄信号が点灯している。
 ハードテック企業とは、ハードウェア開発に特化したテクノロジー企業のことで、主に、物理的な製品(デバイス、機器、システムなど)を設計・製造・販売する企業を指す。IT技術を活用して、従来のハードウェアに新たな付加価値を与える企業も含まれる。

3.船の転覆事故で140人以上の移民が死亡の恐れ
【記事要旨】
 国連移民機関(UNMIST)によると、イエメン沖で昨日、少なくとも74人のアフリカ系移民が乗った船が転覆した。捜索救助活動は続いているが、この事故で140人以上が死亡した可能性があるとの懸念が高まっている。
 この船は、北方の湾岸諸国で仕事を探すアフリカ系移民にとって、往来は多いものの危険な航路で転覆した。過密状態と安全装備の不足が、事故の一因となった可能性が高い。
【コメント】
 しばらくぶりに移民の海難事故のニュースだ。地中海を船で渡る難民の群れは今は沈静化したのだろうか。

その他の記事
イスラエル:元治安部隊長らが、ガザ紛争の終結を求めるイスラエル人の声に加わった。しかし、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は戦闘停止の機会を逃したと、エルサレム支局長は報じている。
ロシア:衛星写真は、先週の地震でロシアの原子力潜水艦基地が被害を受けたことを示している。
自動車:リフトは来年、ドイツとイギリスで中国製の電気自動運転車の導入を開始する見込みだ。
【Lyftは米国で一般的な配車アプリだ】

ウクライナ:トランプ大統領の平和特使であるスティーブ・ウィトコフ氏は、ロシア政府に合意を迫るためロシアを訪問する可能性がある。

2025年8月5日 火曜日

世界の動き 2025年8月4日 月曜日

今日の言葉
「参政党」
遅ればせながら、参政党の躍進について一言。
昨日の夕方、Googleニュースを見ると以下の見出しが躍っている。
・FNNオンライン::【独自】人口7人の瀬戸内海の笠佐島にも“中国資本”の影…防衛上の不安の声も 土地を売った業者は「取材に答えられる状況にない」 シリーズ「買われる“すみか”」
・Newsポストセブン:《ブローカーが証言》中国人らが日本の不動産取得でもくろむ乱暴な開発計画 「日本の役人は言うだけで実力行使はしないと聞いている」
・読売新聞オンライン:尖閣諸島領海に侵入の中国海警船2隻、魚釣島沖の領海内にとどまる
・蘇州共同:蘇州で日本人女性が殴られて負傷した事件で、蘇州にある日本人学校は2日までに、外出時に安全を確保するよう保護者に注意喚起した。被害に遭ったのは日本人学校に通う子どもの母親だった。

隣国の傍若無人ぶりが国民の日常に迫っているのに、政府は有効な対策を打っていないように見える。また、隣国からの観光客が観光地を席捲していても政策はインバウンド様様で市民生活が圧迫されている。
こうした時には「日本人ファースト」という主張は至極まっとうなものに聞こえる。リベラル系の識者が参政党の「危険性」を指摘すればするほど、参政党への支持がしばらくは高まって行くのではないかと思う。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.米国とイスラエル、ガザ紛争で「オール・オア・ナッシング」合意を示唆
【記事要旨】
ガザでの停戦と人質解放をめぐる数ヶ月にわたる協議が行き詰まりを見せた後、米国とイスラエルの当局者は、戦争終結に向けた包括的な合意を推進する姿勢を示した。
トランプ政権のウィトコフ中東担当特使は、週末に行われた人質家族との会合の音声録音の中で、「我々はこの交渉を『オール・オア・ナッシング』、つまり全員が帰国する形に移行させる必要があると考えている」と述べた。
イスラエルのネタニヤフ首相とトランプ大統領は、ハマスに最後通牒を突きつける合意に向けて作業を進めていると報じられている。それは、残りの人質を解放し、ハマスの武装解除に合意するか、そうでなければイスラエルの軍事作戦が継続されるというものだ。
このような合意に向けて迅速に前進する見込みは薄いように思われる。ハマス幹部は、包括的な合意案は受け取っていないと述べ、原則的にはそのような合意を支持するものの、武装解除は行わないと表明した。
イスラエル政府がガザ地区の飢餓をめぐり世界から批判を受け、国内でも依然として拘束されている人質の解放を求める圧力が高まる中で、こうした姿勢の変化が起きた。ハマスは金曜日、イスラエルが生存しているとみている20人の人質のうちの1人が地下トンネルと思われる場所で衰弱死する様子を映したビデオを公開した。
【コメント】
思い返せばハマスの攻撃は2023年10月7日だった。もうすぐ2年が経とうとしている。この間トランプ政権の方針は揺れ動いた。ネタニヤフ首相の自己保身的な政策に乗ってしまったことも混迷の理由に挙げられるだろう。ハマスもどこかで手を打たないとガザの人々全員が餓死することになりそうだ。

2.トランプ大統領の関税がレソトを破綻させた経緯
【記事要旨】
南アフリカの小国であるレソトは、トランプ大統領が4月に発表した50%ではなく、15%の関税で決着したが、被害はすでに出ていた。
繊維産業が工業雇用の90%を占めるレソトではトランプ関税が混乱を引き起こした。
レソトの繊維製品のほとんどは、20年以上前から米国に無税で輸出されてきた。トランプ大統領が脅しをかけた50%の関税で、多くの米国企業が発注を停止した。一部の工場は生産の一部または全部を停止し、数千人の人員削減につながった。
関税はすでに米国政府の収入源となっており、撤回は困難になるだろう。
【コメント】
自国で関税を吸収する能力の低い開発途上の小国ほど関税の影響を避けられない。日本企業が頑張って関税分を値下げで吸収しようとすると、こうした国々の弱小事業者が根こそぎになる恐れがある。

3.プーチン大統領、ロシアのインターネット統制を強化
【記事要旨】
プーチン大統領が先週署名した新法は、ロシア国民が外国のアプリや禁止コンテンツにアクセスするために用いてきた迂回策を取り締まるものだ。
クレムリンは、西側諸国のテクノロジー製品を、容易に監視・検閲できるロシア製の代替品に置き換えることで、国家統制されたインターネットを構築しようとしている。その一つに、来月からロシアで販売されるすべての新型スマートフォンにプリインストールされる、国が承認した新しいメッセージングサービス「MAX」がある。モスクワはまた、VPNをブロックし、一般のロシア国民による使用を防ぐ取り組みも拡大している。
【コメント】
西側がテクノロジー機器を禁輸していることへの対策ということもあるだろうが、ロシアがますます北朝鮮化しているように見える。

その他の記事
ロシア:カムチャッカ半島の長らく休火山だった火山が400年ぶりに噴火し、灰雲が空高く噴き上がった。(富士山の噴火が懸念されます)
原油:サウジアラビアを筆頭とするOPECプラス加盟8カ国は、供給がまもなく需要を上回るとの予測にもかかわらず、増産を継続すると発表した。
インド:当局は、トランプ大統領からの罰金の脅しにもかかわらず、ロシアからの安価な原油購入を継続すると述べた。

ハイチ:ハイチでギャング団と戦うために派遣された米軍部隊は早期撤退を余儀なくされ、隊員2人が行方不明で、死亡したとみられる。

2025年8月4日 月曜日

ベンツの世界販売台数

 金曜のニュースで、メルセデスベンツ(以下MB)が米国でのBEVの販売を中止し、約20000台の米国での生産車を米国から他国への輸出に転換するという報道があった。トランプのEVに対する税控除の廃止で、米国でのBEV販売の急減に対した処置だそうだ。
 この記事を読んで驚いたのは、MBが米国で20000台ものBEVを生産し販売していたという事実だ。2024年の日本での新車販売台数は3725千台。うちBEVは60千台に過ぎない。海外メーカーで日本でBEVを生産しているところはない。
 BEV 60千台の内訳をみるとさらに驚く。輸入車(テスラ、BYD等)が42千台。日産が14千台。三菱7千台。トヨタは2.5千台に過ぎないのだ。
 このBEVへの取り組みの話は別の機会にしたい。

 今日のテーマはMBの世界販売だ。2024年のMB乗用車の販売台数を、全世界、米国、中国、日本に分けて示す。

 全世界
• 販売台数:1,983,400台(前年比3%減)
• うちBEV(純電動車):185,100台(前年比23%減)
• BEV+PHEV合計:367,600台(前年比9%減)
• ガソリン・ディーゼル車:約1,798,300台

 米国
• 販売台数:324,500台(前年比9%増)
• BEV販売台数は明確な公式数値なし
• 推定:9割以上がガソリン・ディーゼル車、EV/PHEVでの大幅増も全体比率は限定的

 中国
• 販売台数:683,600台(前年比7%減)
• 中国自動車市場全体のEV比率は年40%以上増
• 同ガソリン・ディーゼル車は17%減
• MBはガソリン・ディーゼル車主体、EVは増加だが割合は20%未満と推定される

 日本
• 販売台数:53,195台(前年比3.8%増)
• MBでは日本での販売車のほぼすべてがガソリン・ディーゼル車 BEV比率は1–2%と推定

 ということになる。

 驚くのは中国の販売台数の巨大さ(日本の13倍、米国の2倍だ)とBEV比率の高さだ。MBは低いと言っても20%はBEVを販売している。

 筆者がよく行くホテル・ニューオータニの駐車場では、約6割がMB、約2割がBMW、残りの2割が欧州の高級車と国産車、で99%が非BEVだ。日本の高級車はMBが席捲している印象だ。

 しかし、冷静にMBの世界販売数を見ると、日本市場がMBにとって限界的な市場になりつつあるのかなと思わざるを得ない状況だ。シェアは低いし、BEVにも飛びつかないからだ。

 トヨタは中国市場に新BEVを投入し再チャレンジし始めたようだ。スズキ、三菱は中国から撤退した。日本メーカーの世界戦略に思いを致す際に、MBの全世界での販売実績は多くの示唆を与えてくれる。

2025年8月3日 日曜日