世界の動き 2023年6月13日 火曜日

今日の言葉
「釣銭を盗む」
 コンビニのアルバイト店員が釣銭500円を盗み逮捕されたという報道があった。詳報を待ちたいが、どれほど生活に困っていたのだろうか。数千円単位の釣銭泥棒や、売上の窃盗は景気低迷で増えている。政府の言う「分厚い中間層の再構築」は遠い目標だ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.NATO、ドイツで大規模演習開始
【記事要旨】
 新たな加盟国であるフィンランドを含む24のNATO諸国が大規模な空軍演習に参加しているが、主催国ドイツはこれを同盟史上最大の航空機配備と呼んでいる。
 2週間にわたる軍事演習には250機以上の航空機と1万人以上の人員が参加する予定で、NATOは「ロシアに準備が整っていることを示したい」考えている。NATO諸国が攻撃された場合の対応を示す演習だ。
 この演習は、報復による抑止から拒否による抑止へのNATOの広範な移行を反映している。 最近のロシアの残虐行為に恐怖し、ロシア国境沿いにさらに多くの軍隊を恒久的に駐留させる予定だ。
 日本はオブザーバーとして訓練に参加した。 中国のロシア支援に対する西側諸国の懸念が高まる中、日本の当局者らは先月、NATOが日本に連絡事務所を開設することを検討していると発表した。 このような事務所はアジアではNATO初となる。
【コメント】
 日本はNATOのオブザーバーか。複雑な感情を持つ。ロシアと日本は安倍首相の時代に30回も首脳会談をしていたが、今は交流がなくなった。中国とも政治家の疎遠ぶりが目立つ。軍備は重要だが、外交の重要さが軽視されているように思うのだが。

2.米国がユネスコUNESCOに再加盟へ
【記事要旨】
 米国は2018年に脱退した国連教育科学文化機関UNESCOに再加盟すると同機関は発表した。 米国は、中国が米国の空白を埋めるのを阻止しようとしている。
 米国は、ユネスコがパレスチナを正加盟国に含めることを投票で決めた後、ユネスコへの資金提供を停止し、ユネスコの予算は5分の1近く削減され、プログラムの削減を余儀なくされてきた。
 ジョン・バス国務次官は3月、米国のユネスコ脱退により中国の影響が強化され、「自由な世界のビジョンを推進する上で効果的に行動する我々の能力」が損なわれたと述べた。 「デジタル時代における中国との競争に真剣に取り組むのであれば、これ以上休むわけにはいかない」と語った。
 ユネスコは世界遺産や無形文化遺産を指定し文化への影響力が強い。性教育、読み書き能力、きれいな水、女性の平等も促進している。
【コメント】
 トランプが脱退を決めた際に中国の影響の高まりは容易に想像できたのだが、親イスラエルを強調するため脱退したのだった。短視眼的なポピュリズム政策が国際的な影響力を損なった事例だ。

3.中国海警の軍事化
【記事要旨】
 アジアの戦略的な海路を支配しようとしている中国は、大砲や対艦ミサイルを備え、米海軍の駆逐艦よりも大きい沿岸警備隊「海警」の船舶を配備している。
 わずか 10 年で、中国は世界最大の沿岸警備隊を増強したが、軍事化された攻撃的な組織であり、密航業者や捜索救助にはあまり関心がない。
 中国の侵入を恐れる他の国々は、より大型でより重武装した自国の巡視船の配備を急いでいる。 当局者やアナリストは、事故や暴力的な小競り合いがより広範な紛争、あるいは大国間の戦争を引き起こす可能性があるとの懸念を強めている。
【コメント】
 米国から航空機や巡航ミサイルを爆買いするよりも大型巡視船の拡充に予算を使ってもらいたいものだ。

その他:
ベルルスコーニ元首相死す
 Silvio Berlusconi, a media mogul and Italy’s most polarizing and prosecuted prime minister, died at 86. He revolutionized Italy, our Rome bureau chief writes, “leaving an imprint, or a bruise, on almost everything he touched.”
トランプは出廷せず
 Donald Trump is expected to appear in a Miami federal court today for his arraignment. Authorities are bracing for protests.
 Across the world, many saw the indictment as another sign of the U.S.’s political messiness and pitched partisan upheaval.
JPモルガンはエプスタイン訴訟で和解
 JPMorgan Chase reached a tentative $290 million settlement with victims of Jeffrey Epstein over claims that the bank ignored warnings about him.

2023年6月13日 火曜日

世界の動き 2023年6月12日 月曜日

今日の言葉:
「森本毅郎スタンバイ」
 ほぼ毎日聞いているTBSラジオの番組で、森本さんの語り口のファンは多い。先週は発熱でお休みされたが今週はどうだろうか。いま名古屋に向かう新幹線車内でラジオが入らない。
 しっかり静養され早く復帰されることを祈っている。いまラジオ入りました。出演されているので安心しました。

ニューヨークタイムズ記事より
1.トランプ氏を擁護する暴力的な言説
【記事要旨】
先週、ドナルド・トランプ前大統領が連邦政府によって起訴されたことを受けて、同氏の支持者らによる暴力や同氏を守るための蜂起を求める声が相次いでいる。 この言説により、明日マイアミでの出廷を前に危険な雰囲気が醸成されるのではないかとの懸念が高まっている。
 元米大統領が連邦罪に問われるのは初めてで、この起訴状は、トランプ大統領が退任時に保管していた機密文書の取り扱いを誤った上、それらを取り戻す政府の取り組みを妨害したとして告発している。 これは、この国の最も機密な秘密の一部に対する衝撃的な無関心と、これまで知られていたよりもさらに露骨な行為の証拠を示している。
 トランプ大統領は土曜日、検察による起訴と現在の大統領選への立候補の両方を、国を破壊していると主張する「腐敗した」勢力との「最後の戦い」の一環として発言した。
 トランプ前大統領の親しい同盟者の発言は、この告発を戦争行為であるかのように描写しており、報復を求める声もあり、政治的暴力の専門家らは、それが暴力行動のリスクを高めると述べている。
 背景: トランプ氏が元大統領であるだけでなく、バイデン大統領と対決する2024年の共和党候補指名争いの現最有力候補でもあることを考えると、この起訴は国を複雑な立場に置くことになる。バイデン大統領は潜在的なライバルであるトランプ氏の複数の罪状での有罪判決を目指している。
 トランプ氏は明日マイアミで当局に出頭するとみられている。 しかし、裁判は数か月も予定されない可能性がある。
【コメント】
 熱烈なトランプ親衛隊は御しがたい。大金持ちの虚言にプアホワイトが扇動される。何故こうした現象が起きるのか、しっかり分析されるべきだ。

2.ウクライナ、初の反撃で得た成果を主張
【記事要旨】
 昨日、ウクライナ軍が反撃の初期段階で最初の小規模な領土獲得を主張した。ウクライナは軍事作戦の開始週、戦闘の経過について沈黙を守っていたが、攻撃や陽動を精査する段階にあるようで、ゼレンスキー大統領は土曜日、反撃が始まったことを示唆したが、「どの段階かについては詳細は明らかにしない」と述べた。
 ウクライナ軍部隊はドネツク東部のブラホダトネを占領したと主張し、別の部隊は近くのネスクチネ村を奪還したと発表した。 この発表が、ウクライナがロシアの防衛線を突破できたことを示しているのかどうかはまだ分からない。
 反撃の結果は、今後の西側諸国のウクライナ支援に関する議論や、国の将来をどのように保証するかに関する議論に影響を与えるだろう。
【コメント】
 反転攻勢は何が達成できれば成功なのだろうか。本土の全土を回復することは容易でないしましてクリミアまで回復するのは不可能だろう。
 戦争で疲弊していると思われるロシアとどの辺で妥協するのか、落としどころが難しい戦争だ。

3.スコットランドの元指導者が逮捕される
【記事要旨】
 スコットランドの元首相ニコラ・スタージョンは昨日、国の政治を支配するスコットランド国民党の財務を捜査していた司直によって逮捕された。 スタージョン氏は2月に突然辞任するまで党を率いていた。
 同党への捜査は2021年に始まり、スコットランド独立の再投票を求める運動のために集められた約60万英ポンド(約75万ドル)の寄付金の取り扱いに関する苦情を受けて捜査されたと報じられている。 (最初の住民投票は2014年に行われ、スコットランド人は55パーセント対45パーセントで独立に反対票を投じた。)
  当局は、独立に関する第2回投票を争うための資金が別の目的に転用されたかどうかを調査し、スタージョン氏の夫が党に融資した理由を調査していると考えられている。
【コメント】
 同氏は輝かしい女性政治家の一人だったのだが、お金の魅力は男女関係ないようだ。

その他:
中国のキューバでのスパイ基地
 A Chinese spy base in Cuba has been up and running since before 2019.
イランの報道の不自由
 Two journalists in Iran, who reported on a woman’s death in police custody that set off widespread protests in the country, were put on trial for conspiring with foreign intelligence agencies.
ジョンソン前首相突然の議員辞職
 Boris Johnson, the former British prime minister, abruptly resigned his parliamentary seat on Friday.

2023年6月12日 月曜日

専門家か、それとも素人か

 ウクライナ戦争のTV報道、特にBS放送、では、防衛省防衛研究所の専門家が出演して解説している。研究幹事の兵頭慎治氏や、防衛政策研究室長の高橋杉雄氏の顔を見ない日はない。

 こうした「専門家」の方々は、ロシアやウクライナについての秘密情報を入手して、見解をまとめているのだろうか。ロシア・ウクライナ軍の損害の程度だとか、支配地域、ウクライナの反転攻勢の中心地域などについての情報だ。もしそうだとしたら、彼らがTVで発言しているのは不用意この上ないことだ。ロシアが我が国の見解を公共放送でやすやすと入手することになるからだ。

 もし、専門家が特段の情報を持っていないのであれば、彼らのコメントの重みはお笑い芸人たちが発する言葉とあまり違わない。悪く言えば、専門家という肩書を基にTVに出まくっているタレントだということになる。

 私には、そのどちらが正しいのか判断することは出来ない。ただ、そもそも、国家公務員にはメディアへの露出や副業について厳しい規制があると理解している。防衛省の職員や外務省の職員がコメンテーターとしてTV番組に出演するのは見たことがない。防衛研究所の職員は、一体、どのような扱いになっているのだろうか。違和感を覚えるのは私だけだろうか。

2023年6月11日 日曜日

ESG投資考

 日本でもESG投資が注目されている。その動きの先導者は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)だ。GPIFは厚生労働大臣から寄託を受け、約200兆円に及ぶ年金積立金の管理・運用を行い、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的としている世界最大の機関投資家だ。
 GPIFでは2017年度から「ESG指数」に基づいた株式投資を行っている。GPIFの投資原則に、「投資先及び市場全体の持続的成長が、運用資産の長期的な投資収益の拡大に必要であるとの考え方を踏まえ、被保険者の利益のために長期的な収益を確保する観点から、財務的な要素に加えて、非財務的要素であるESG(環境・社会・ガバナンス)を考慮した投資推進する。」と謳われているのだ。
 ESG指数とは、企業が公開する非財務情報などをもとに、指数会社が企業のESGへの取組みを評価して組み入れ銘柄を決める指数のことであり、GPIFの運用資産の内約10兆円が、指数運用している。
 現在GPIFがインデクスとして使用しているのはFTSE Blossom Japan Sector Relative Indexであり、FTSE社により開発され、ESGにおいて高い評価を得た企業から構成される指数だ。また、温室効果ガス排出量の多い企業については、気候変動リスク・機会に対する経営姿勢も選定基準の一つとしている。FTSEのインデクスを構成するのは約250銘柄におよび、銘柄に選ばれたことをPRする企業が多い。
 FTSEのインデクス以上に世界的にポピュラーなのはMSCI ESG インデクスで、これは構成銘柄を個別に格付けしている。格付けは最低のCCCから最高のAAAまである。例えばトヨタはA、ソニーはAAA, MUFGはAといった具合だ。BBB以上で無いとそもそもインデクスに採用されないようで、BBB有名以上の取得を目指す企業が多い。有名企業ではライオンや電源開発、すぎホールディングス等がBBBであり、結構大変そうだ。MSCIは公開情報を基に勝手格付けしているが、ESGを気にせざるを得ない企業にとっては頭がいたい問題だ。

 企業の使命の第一番は、収益をあげることにある。収益を上げて顧客、従業員、コミュニティ、株主に還元するのが最も大切で、ESGはそれを可能にする手段のはずだが、最近は「手段の整備が目的化する」状況だ。
 本末転倒することがあってはならないことを肝に銘じたい。

2023年6月10日 土曜日

世界の動き 2023年6月9日 金曜日

今日の言葉:
「入管法の改正」
 法務委員会で大騒ぎしているが、論点がわからない。
 難民申請が3回否定されると強制送還される規定が論議を呼んでいるようだ。賛成派はこれで増加する難民認定を求める動きが正常化するという。反対派は人権を無視した法制で対象者が自国で極刑にされかねないという。
 日本での難民申請がどういう状況なのか。どこの国の人たちがわざわざ日本で申請するのか。難民と本当に言える人たちかどうか。世界的に見てこの処置は妥当なものか、そうでないのか。
 こうした疑問に答えてくれる報道はなかった。もやもやの残る改正だ。今後の運用がどうなるかしっかり報道して欲しいものだ。

ニューヨークタイムズ記事より
1.ウクライナ、南部で大規模な攻撃を開始
【記事要旨】
 米高官は、ザポリージャ南部地域でのウクライナ軍の攻撃は、ロシアから領土を奪還するための反攻のようだと述べた。 ウ政府とその西側同盟国にとって大きな賭けだ。
 同当局者によると、ザポリージャ駐留のウクライナ軍にはドイツの戦車レオパルト2と米国のブラッドレー戦闘車両が含まれていた。 この攻撃には、米国と他のウクライナ同盟国が特に反撃のために訓練し装備していた部隊の一部が関与した。
 ロシア軍当局者らは、ロシア軍は襲撃に耐え、敵に多大な死傷者を出したと述べた。 米当局者は、ウクライナ軍が初期の戦闘で死傷者を出したことを認めた。 ウクライナからは直ちにコメントは得られていないが、詳細については沈黙を守るとしている。
 ウクライナがロシアの防衛線を突破できなければ、ウ政府は同盟国から真剣な停戦交渉に入るよう圧力を受ける可能性がある。
 ロシア軍は昨日、ゼレンスキー大統領が洪水に見舞われた都市を訪問した数時間後にヘルソンを砲撃し、避難場所の近くを攻撃した。
【コメント】
 西側の新型戦車の威力はどれほどのものだろうか。戦争は新たなステージに入ったのは確かだ。

2.米国の投票権の勝利
【記事要旨】
 最高裁判所は、アラバマ州が黒人有権者が過半数を占める単一選挙区を含む投票区割を作成することによって黒人有権者の力を弱めたとの判決を下した。
 5対4の判決は驚きだった。最高裁の保守派多数派は、少数派の有権者を人種差別から守るために1965年に制定された連邦法である投票権法を阻止しようと努めてきた。
 今回の事件は、共和党が支配するアラバマ州議会が2020年の国勢調査を考慮して投票区割を書き直したときに始まった。 同州には 7 つの選挙区があり、選挙権年齢人口の約 27% が黒人だ。
 この決定は、アラバマ州議会が黒人が過半数を占める別の選挙区を作らなければならないことを意味する。
 中絶、銃、宗教、気候変動に関する判決に見られる最近の最高裁判所の右傾化は、その道徳的権威に対する国民の信頼を揺るがしていた。
【コメント】
 サラマンダーというが、自党に有利なように選挙区割を行う行為だ。黒人の投票者を一つの区に集めれば、他の選挙区では黒人投票者が減り力が弱まる。共和党だけでなく民主党もやっている政策だ。

3.中国のモスク再建計画
【記事要旨】
 中国雲南省のナグと沙店にあるモスクは、対立と共存の間で揺れ動く北京とイスラム教の関係を語る上で特に重要なモスクである。
 共産党によるモスクの閉鎖、取り壊し、または強制的な再設計を求める キャンペーンの後、中国に現存するアラブ風の建築を持つ最後の主要なモスクの1つである。
 しかし先月下旬、当局がモスクの中庭に建設用クレーンを打ち込んだ後、ナグ市の少数民族イスラム教徒回族のメンバーが警察と衝突した。 当局者らは、ドームを撤去し、ミナレットをより「中国風」に作り直す計画だと述べていた。 取り壊しは一時停止されたが、住民らは取り壊しは避けられないと考えている。ナグのイスラム教徒住民にとって、この改造計画は彼らの生活様式に対するより広範な弾圧の前触れだ。
【コメント】
 どんな建物になるのだろうか。大きなラーメン屋さんのような建物でしょうね。文化の弾圧は共産党の常套手段だ。

その他:
中国がキューバに接近
 China has agreed to pay several billion dollars to Cuba to build an electronic eavesdropping center, which could be used to spy on the U.S., The Wall Street Journal reports.
山火事の煙がNYを覆う
 Smoke from raging wildfires in Canada that has plagued the northeastern U.S. is spreading south and west.
クワタサトシさん 知っていましたか?
 Satoshi Kuwata, the Japanese designer and founder of Setchu, won fashion’s most prestigious award for young designers.
(装苑オンラインに詳しい記事があります。https://soen.tokyo/from-paris/news/lvmh_prize_2023_230608/ )

2023年6月9日 金曜日