日本の総選挙の行方

イアン・ブレナーが代表を務めるユーラシアグループのニュースレターは、以下の記事を昨日掲載した。
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日本の自民党は政権を失うのか?
今週日曜日に投票日を迎える日本において、就任からわずか数週間で早期総選挙を決断した石破茂首相の決定は、大きな賭けになりつつある。与党である自民党は過去65年間のうち4年間を除いてずっと国を支配してきたが、最近の世論調査では、議席を大きく失うか、過半数を失う可能性もあると予測されている。
「野党は政治資金スキャンダルで自民党を激しく非難している」とユーラシア・グループの日本担当ディレクター、デビッド・ボーリング氏は、自民党内で未公開の政治資金と賄賂が発覚したことに触れて述べた。インフレが進行し、生活費が高騰する中、国民の信頼を揺るがすニュースとなっている。
以前の世論調査では、自民党と連立政権を組む公明党とで過半数を維持すると示されていたが、週末の世論調査では自民党は247議席のうち50議席を失う可能性があることが示され、石破氏の立場は不安定になっている。
自民党が過半数を失った場合、金融政策で譲歩を迫られる可能性がある。最大野党である立憲民主党は、日本銀行のインフレ目標を2%から「ゼロ超」に修正することを提案しており、これによりインフレが下がっても利上げの余地が残る。
経済政策を放棄せざるを得なくなるだけでなく、「自民党・公明党連立政権が過半数を失った場合には、石破首相の死刑執行が始まるかもしれない」とボーリング氏は警告する。
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日本の政治に関する珍しく長文の記事で、海外からの関心もうかがえそうだ。株価への影響はどうだろうか。

以下はみずほ証券のストラテジストの記事だ。
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日経平均は10月15日ザラ場に40,000円台をつけた後、10月24日に一時38,000円割れとなった。衆議院選挙の行方が不透明であるうえ、中間決算が市場予想より芳しくないため、我々の日経平均の目先慎重見通しは正しかった。今週の日経平均は10月25日時点で前週末比1,068円下落したため、与党が過半数を維持すれば、10月28日に日経平均は500円程度の反発が予想される一方、与党議席数が過半数を10以上下回れば、日経平均はさらに500円以上下落する可能性があろう。
自民党が不利な選挙戦になっている一因に、石破首相が総裁選前の清廉な印象から、旧来型の自民党の主張に軌道修正したことが挙げられているが、石破政権の経済政策は国民のみならず、外国人投資家からも評価されにくいだろう。

我々は先週までの北米訪問で、北米投資家は日本株に前向きでない印象を受けた。石破政権の構造改革策の欠如、日本企業のリストラ策の不十分さがその主因だった。
外国人投資家は10月15~18日に現物で-579億円、先物含めて-4,156億円と2週ぶりの売り越しだった。外国人投資家は過去9週のうち8週で売り越しだった。
北米投資家からは、円安でドルベースの日本株パフォーマンスが悪化していることも嫌気されているようだ。
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与党が過半数維持でも株価浮揚効果は限定的であり、過半数を割り込めば株価下落要因だ。立憲民主党は自民以上に財政再建重視、金融引締めに積極的で、株価には悪影響を与えそうだ。
石破首相は、トップに立った途端に梯子を外され可哀そうな点はあるが、しかし、総裁選で言っていたことをあっという間に翻すのには、人間性を疑われても仕方がない状況で、早期退陣も大いにありうると見る。
選挙結果に関しては、個人的には自公の最後の頑張りで与党が過半数を維持すると見るが、日曜夜の開票速報を注視したい。

2024年10月26日 土曜日

世界の動き 2024年10月25日 金曜日

今日の一言
「リアルエコノミーとシンボルエコノミー」
 以下はエコノミスト水野和夫氏の講演からの抜粋だ。面白い分析だ。
 『日本では2010年前後を境に、シンボルエコノミーの代理変数である内部留保金(資本主義者の資本)が、リアルエコノミーの代理変数である固定資産(唯物論者の資本)を上回るようになった。
 リアルエコノミーの主役が中間層である一方、シンボルエコノミーの主役はビリオネアである。
 日米ともにシンボルエコノミーを表す株式時価総額が、リアルエコノミーを表すGDPを上回るようになっている。
 世界的にシンボルエコノミーが続く限り、ドル高が続こうが、極端に開いた格差拡大は庶民の反乱という形でいつ爆発するか分からないので、ドル高の継続性にもリスクがあろう。
 米国では所得格差が1820年以降で最大に開いており、自殺・アルコールや麻薬中毒等に基づく絶望死が増えている。』
 日本では生活苦の若者の闇バイトによる強盗殺人が増えているが、それも極端なシンボルエコノミー化がもたらしたものとも言えそうだ。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.ハリス氏にスターが集結
【記事要旨】
 投票日まで残り2週間を切った今、カマラ・ハリス氏は支持者を投票所に向かわせるためビッグネームを起用している。数時間後にはジョージア州でバラク・オバマ氏やブルース・スプリングスティーンと集会を開く予定。そして明日はテキサス州でビヨンセと集会に立つ予定だ。
 先月の大統領選討論会後にハリス氏を支持したテイラー・スウィフトとビヨンセの2人により、ハリス氏は今や世界最大のポップスター2人の支持を得ており、特に若者に影響力を持つ。
 同時に、ハリス候補に対して若い有権者の熱気が薄れつつあると懸念する声もある。ハリス陣営の右派への融和的な姿勢は、共和党に投票するかもしれない大学教育を受けた裕福な白人有権者をターゲットにしている。しかし、一部の民主党員はハリス氏が行き過ぎて進歩主義者や労働者階級の有権者を遠ざけるリスクがあると指摘している。
選挙を巡る動き:
・ハリス氏はCNNのタウンホールでトランプ氏をファシストと呼んだ。
・イーロン・マスク氏はトランプ氏の当選を支援する取り組みにますます熱心になっている。
・トランプ氏は所得税を廃止し、失われた税収を関税で補う可能性を提起した。
【コメント】
 Just wait and see.

2.ガザでの停戦に向けた新たな取り組み
【記事要旨】
 イスラエルとハマス間の停戦交渉を再開するため、交渉担当者らが週末に会合を開く予定。イスラエルの諜報機関のトップは、CIA長官ビル・バーンズ、カタールの首相と会談する予定。
 米国当局者は、数十人の人質のうち少数の解放と引き換えにガザへの援助を増やすため、約1週間半の短期停戦の可能性に前向きだと述べた。しかし、イスラエルがハマスの指導者を殺害した後、ハマスが長らく行き詰まっている交渉に再び応じる意思があるかどうかは不明だ。
その他の中東ニュース:
・ガザ地区の主要緊急サービスは、同地区でのイスラエルの攻撃のため、同地区北部のすべての救助活動を中止した。
・レバノン軍は、イスラエルの攻撃により南部でさらに3人の兵士が死亡したと発表した。
・フランスは、レバノン軍への数千人の追加兵力募集を支援すると述べた。
【コメント】
 碁で言えば盤面の9割はイスラエルで埋められ、ハマスは1割を割り込んだ状況だ。しかし、ハマスは碁ではなくオセロゲームを戦っていると考えている。石が少しでも残っていれば逆転のチャンスがある。

3.世界はタリバンに門戸を開く
【記事要旨】
 女性の権利を抹消したことでここ数年ほぼ全面的に国際社会から孤立していたタリバンだが、今や変化が見られる。数十カ国がタリバンの外交官を歓迎している。同組織をテロリストから外すという話さえ出ている。
 タリバンの正常化に向けた外交的動きは、タリバン政権は今後も存続するという世界の指導者たちの共通認識の高まりを反映している。
 シラジュディン・ハッカニはかつて米国の最重要指名手配犯リストのトップにいた死の天使として知られていた。しかしタリバンが政権に復帰して以来、彼は現実的な政治家に生まれ変わろうとしている。
【コメント】
 アフガニスタンの話だ。外務省のHPでは以下の説明だ。
【危険レベル】
●アフガニスタン全土
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
【ポイント】
●アフガニスタンでは、2021年8月15日から、タリバーンによる支配が継続しています。この間、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)ホラサーン州(IS-KP)」等によるテロが継続して発生しています。また、殺人、強盗、誘拐などの犯罪は漸増傾向となっており、情勢及び治安は極めて不安定かつ危険です。
●アフガニスタンへの渡航は、どのような目的であれ止めてください。既に滞在されている方は直ちに退避してください。

その他の記事
カナダ:
 ジャスティン・トルドー首相は、数年にわたる移民の拡大の後、新規移民の数を大幅に削減すると発表した。
ロシア:
 首脳会談で、ウラジミール・プーチン大統領は、北朝鮮軍が自国に配備されたことを認めたようだ。
ビジネス:
 ボーイング最大の労働組合は暫定契約を拒否し、同社が61億ドルの損失を報告した後、損害を与えるストライキを延長した。

テクノロジー
AI:
 バイデン大統領は、国防総省と諜報機関がAIをどう扱うべきかに関する初の国家安全保障覚書に署名するとみられる。
チップ:
 インテルは米国のチップ製造を復活させる計画の中心にいる。しかし、同社の業績不振は、その実行能力に対する懸念をかき立てている。
暗号通貨:
 ナイジェリアの暗号通貨取り締まりにより、バイナンスのアメリカ人従業員が逮捕された。彼は帰国するが、両国間の関係は緊張している。

日本関連
 ジャーナリストの伊藤詩織さんは、有名なテレビ記者に対するレイプ疑惑を公表し、日本における#MeTooの顔となった。
 現在、彼女は日本の司法制度と闘った経験をまとめたドキュメンタリー「ブラックボックスダイアリーズ」の公開を準備中で、前に進む準備ができている。
 伊藤さんの反抗的な姿勢は、彼女を一部の界隈ではフェミニストの英雄に、また他の界隈ではサンドバッグにしている。

2024年10月25日 金曜日

世界の動き 2024年10月24日 木曜日

今日の一言
「投票率」
衆議院議員選挙の投票率の推移をみる。戦後最初の昭和21年(第22回)には72%。その後平成2年(第39回)の73%までは、70%台を維持してきた。
最近の数字を見ると、平成24年(第46回)選挙で59%となって60%を切り、その後平成26年に53%、平成29年は54%、令和3年56%と50%台で推移してきた。
この間、「選挙に強い安倍首相」が自公で3分の2以上の議席を押さえ、いわゆる安倍・菅政治を推し進めてきた。投票率が50%だと有権者の25%以上の支持を獲得すれば、議席を獲得できることになる。
是非今回の選挙では投票して国政への意志を表示したいものだ。
因みに2020年の米国大統領選挙の投票率は66%で、米国民1億6000万人が投票した。この投票率は120年ぶりの高さだったそうであり、米国の投票率も意外に低い。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事(今日はTop2でした)
1.米国大統領選挙が世界にとって何を意味するか
【記事要旨】
世界中の人々が、最終段階に差し掛かる米国の選挙戦を注視している。11月5日の選挙の結果は、世界中に影響を及ぼすだろう。ドナルド・トランプ氏とカマラ・ハリス氏の2人の候補者は、世界的な危機や課題について、しばしばまったく異なる見解を持っている。
米国大統領選挙が海外でどのように見られているのかをタイムズ紙のヨーロッパ担当特派員と話した。
Q: 世界中の選挙ウォッチャーはどのように感じているか?
A: ヨーロッパの生活や政策の多くがノースカロライナ州、ジョージア州、アリゾナ州の有権者にかかっているという、ある種の興味とほとんど怒りが渦巻いている。米国大統領は全世界の市民に影響を与えるからだ。
Q: カマラ・ハリス氏は、バイデン大統領との差別化を図ろうとしているが、彼女の政権はどのように異なるだろうか?
A: 彼女の経験と私生活は、カリフォルニア出身でインド系とジャマイカ系のハーフという点でまったく異なる。バイデンはアメリカ最後の真の大西洋横断主義者という決まり文句があるが、第二次世界大戦はずっと昔のことで、ハリスの見方は異なるだろう。
例えばガザに関しては、ハリス氏の方がパレスチナ人の苦しみにバイデン氏よりも共感しているように感じられる。彼女はイスラエルに対して同じコミットメントを共有しているのか、彼女の外交政策に関してはわからない。
Q:第2次トランプ政権は第1次政権と大きく異なるのか?
A:前回、トランプ氏は勝つ準備ができていなかったため、よく知らない人たちを集め、そのほとんどは典型的な共和党員と軍人で、ほとんどの時間をトランプ氏がやりたいことをしないように説得することに費やしました。
今回、トランプ氏が勝利すれば、彼の周囲には、システムの仕組みを知り、トランプ氏の直感を政策に反映させたいと考えている、非常に賢く、はるかにイデオロギー的な人々が大勢いるだろう。
Q:人々が特に懸念しているのはどのような問題か?
A:最大の問題は国家安全保障で、これはヨーロッパ、実際はウクライナとNATOにとっての問題だ。この2つはつながっている。ドナルド・トランプ氏には不安がある。なぜならトランプ氏は多くの問題で、言葉では強硬だが、実際には予測不可能だからだ。トランプ氏は、NATOは人々が会費を払わなければならないクラブであり、誰も十分な額を払っておらず、アメリカはだまされていると考えている。
トランプ氏が、例えばNATOを信じていない、あるいは防衛費を十分に払っていない加盟国を守らないと言い始めたら、NATOの信頼性と第5条への信頼を損なうのではないかと心配する人もいる。それが次の本当の懸念、ウクライナにつながる。ウクライナが陥落すれば、ロシアはポーランド国境に立つことになる。
これに関連して、共和党が大統領と議会を制した場合、トランプ大統領に対する制約が弱まるのではないかという懸念もある。
最近の動き:
・トランプ陣営は、英国与党労働党を「露骨な外国の干渉」と非難した。
・トランプ政権で最長の首席補佐官であったジョン・ケリー氏は、トランプ氏はファシストの定義に当てはまると考えていると述べた。
・ハリス氏とトランプ氏は、ジェンダー問題に直接言及することはめったにない。しかし、選挙は多くの点で、米国における女性の役割に関する国民投票である。
・偽情報の専門家によると、選挙をめぐって渦巻く半真実、嘘、捏造の洪水は、これまでのどの事件よりも激しい。
【コメント】
無事選挙が行われ終了することを祈るばかりだ。

2.米国は北朝鮮軍がロシアにいると述べた
【記事要旨】
ロイド・オースティン米国防長官は昨日、北朝鮮がウクライナ戦争で戦うためにロシアに軍隊を派遣したと述べ、北朝鮮の存在は「非常に深刻な」緊張の高まりだと述べた。
オースティン長官は、ウラジーミル・プーチン大統領が北朝鮮の傭兵を必要としていることを絶望の表れとみなした。米国国家安全保障担当報道官は、北朝鮮が少なくとも3,000人の兵士をロシア東部の訓練場に派遣したと述べた。
北朝鮮がロシア支援のために軍隊を派遣する決定は、中国を外交的に厳しい立場に追い込む可能性がある。
【コメント】
北朝鮮は精鋭部隊を派遣したとの報道もある。ならず者国家の親分と子分がそろい踏みした印象だ。

その他の記事
トルコ:
国営航空宇宙企業で当局が「テロ攻撃」と呼ぶ事件で5人が死亡、22人が負傷。
(この企業はドローンやミサイルの製造で知られている)
外交:
中国の習近平国家主席とインドのナレンドラ・モディ首相が5年以上ぶりに会談し、関係改善の見通しが高まった。
日本:
東京メトロの株価は取引初日に45%急騰した。

野球:
大谷翔平選手の50本目のホームランボールがオークションで記録的な439万2000ドルで落札された。

2024年10月24日 木曜日

世界の動き 2024年10月23日 水曜日

今日の一言
「暗雲か」
Bloombergの記事より要旨
『ウォール街の大手銀行2行が米国株式市場の今後数年の行方について対照的な見解を示している。
ゴールドマン・サックスは、S&P500指数の年率リターンが3%程度にとどまると予測し、相場の高水準や米国債利回り上昇による資金流出の可能性を指摘している。
一方、JPモルガンはより楽観的で、主要企業の株価が今後10~15年間も投資家のポートフォリオの柱となり、年率6.7%のリターンを見込んでいる。
ただし、バリュエーションの低下は避けられないとしつつも、堅実なファンダメンタルズがそれを補うと予測している。両行の見解の違いは、利下げ後の市場不確実性を反映している。』
筆者の考える不確定要因
・金利上昇懸念:レバレッジを利用する投資ファンドにとっての運用資金コストの上昇
・米国大統領選挙後の政治の不安定化
・イスラエル、ウクライナを巡る戦乱の継続
いずれにしてもあまり明るい見通しは持てない。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.共和党議員らが選挙に疑念を植え付ける
【記事要旨】
ドナルド・トランプ氏が11月5日の選挙は不正選挙になるだろうと広く主張する中、同氏の同盟者の一部はすでに今年の投票に疑問を呈している。彼らの取り組みは、トランプ氏が負けた場合に選挙結果を覆すための下地作りに役立つ可能性がある。
トランプ氏が2020年の選挙結果を覆そうとするのを支援したペンシルベニア州選出のスコット・ペリー下院議員も、この取り組みを主導する1人だ。同氏と共和党議員らは州政府を相手取り訴訟を起こし、軍人や海外在住の米国人が投じた投票用紙を検証するシステムが不十分だと主張している。これは、有権者名簿や外国人有権者などの問題に関連して共和党同盟者が起こした約100件の訴訟の1つだ。選挙管理当局者や他の専門家は、これらの主張には根拠がないと述べている。
大統領選挙のその他の動き:
・ロシアは米国の選挙結果をめぐる抗議行動や暴力を煽る行動を取る可能性があると、諜報当局は昨日警告した。
・トランプ氏は、若者にアプローチする戦略の一環として、ジョー・ローガン氏とのポッドキャストインタビューを収録する予定だ。
(ジョー・ローガンは格闘技に関する著名なコメンテーターでポッドキャストで大人気。世論調査では、男性の36%、女性の32%がポッドキャストのリスナーで、よく聴くポッドキャスト番組を尋ねた結果、男性は「ジョー・ローガン・エクスペリエンス」と「ベン・シャピロ・ショー」と回答し、女性は「ニューヨーク・タイムズ ザ・デイリー」と「ディス・アメリカン・ライフ」と回答している。)
・ハリス陣営は、フェイスブック広告やワッツアップチャンネルの集中攻撃が、幻滅したイスラム教徒やアラブ人の有権者の支持獲得に役立つことを期待している。
・タイムズ紙の分析によると、保守派による政府再編計画「プロジェクト2025」は、トランプ氏の主張とは裏腹に、トランプ氏とその陣営と多くのつながりがあることが判明した。
【コメント】
ジョー・ローガンか。いかにもトランプらしい目の付け所だ。

2.ハマスのゲリラ戦術は敗北を困難にしている
【記事要旨】
ハマスのトップ司令官の殆どは死亡し、一般兵士は壊滅し、隠れ家や備蓄の多くは破壊された。ハマスの戦闘員はイスラエル軍と正面から戦うには敵わないが、ハマスはそういう戦い方をしていない。
小規模な一撃離脱攻撃により、ハマスはイスラエルに損害を与え続け、敗北を免れている。ハマスの広大な地下トンネル網は、イスラエルの破壊努力にもかかわらず、ほぼ無傷のままである。アナリストらによると、ハマスの指導者ヤヒヤ・シンワルの死でさえ、ガザ北部のハマス戦闘員の能力に影響を与える可能性は低い。
外交:アントニー・ブリンケン国務長官は昨日イスラエルを訪問し、ベンヤミン・ネタニヤフ首相に対し、シンワル殺害を「利用」してガザ戦争を終わらせるよう圧力をかけた。
【コメント】
イスラエルとしてはどこまでハマス組織を破壊しつくせば安心できるだろうか。軍事組織としては破壊できても思想を根絶することは不可能だ。

3.ウクライナへの500億ドルの融資
【記事要旨】
米国と欧州は、凍結されたロシア中央銀行の資産を担保とする500億ドルの融資をウクライナに提供する計画をほぼ最終決定したと、米国財務長官が昨日述べた。
今週、ワシントンで国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会中に財務相と中央銀行総裁が協議するため、発表が行われる可能性がある。「これは、ロシアがウクライナに与えている損害のコストと費用をロシアに負担させる方法だ」とジャネット・イエレン財務長官は記者会見で述べた。
関連:米国は、長距離ドローンの製造のためにウクライナに8億ドルの軍事援助を提供することに合意した。
インフレ:IMFは報告書で、世界の中央銀行が金利を数年ぶりの高水準に引き上げたにもかかわらず、世界経済は景気後退に陥るのをなんとか回避したと述べた。
【コメント】
石破内閣での蔵相は誰か覚えていますか?

その他の記事
ロシア:
西側諸国から孤立しているウラジミール・プーチン大統領は、中国、インド、南アフリカの首脳を首脳会談に迎え入れ、外交上の勝利を収めた。
外交:
インドと中国は、ヒマラヤの国境問題で合意に達し、敵対関係が緩和される可能性がある。
インド:
イスラムの政治活動家ウマル・ハリド氏は、裁判も受けずに4年間投獄されている。ハリド氏は、声を上げることの代償の象徴となっている。

2024年10月23日 水曜日

世界の動き 2024年10月22日 火曜日

今日の一言
「民主主義の危機」
 ドイツの話だ。ブランデンブルグ州の議会選挙で、与党の社会民主党SPDが僅差で勝利した。極右政党とされるドイツのための選択肢AfDが第二党になった。
 AfDは既にチューリンゲン州では第一党になった。AfDに政権を取らせないために第二党のキリスト教民主同盟は緑の党や共産党系の政党との連立を模索している。保守派から極左まで連合してAfDに政権を渡さない構えだ。
 極右政党であるAfDの躍進は民主主義の危機かも知れない。しかし、AfDを支持する多数の世論に反し、その他の政党が右から左まで連立するのは、これも民主主義の危機だ。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.米国大統領選は実質的に同点
【記事要旨】
 11月5日の投票まで2週間となった今、世論調査ではドナルド・トランプ氏とカマラ・ハリス氏が接戦を繰り広げている。
 ペンシルベニア、ミシガン、ネバダ、ウィスコンシン、ノースカロライナの5つの重要な激戦州におけるタイムズの世論調査平均では、ハリス氏とトランプ氏は実質的に同点だ。どちらの候補も1ポイントもリードしておらず、これらの州のいくつかではどちらの候補も0.2パーセントポイント以上リードしていない。
 しかし、選挙は世論調査で決まるのではなく、有権者によって決まる。世論調査平均で0.2ポイントリードしているかリードしていないかは、勝敗を分けるものではない。
 陣営とも、まだ獲得できる数少ない有権者を必死に追い求めている。両陣営とも若年層、黒人、またはラテン系を追求している。ハリス陣営は白人で大学教育を受けた女性にも注目している。
最近の動き
・国内の多くの地域で期日前投票が行われている中、トランプ氏は選挙が不公平になるという証拠は見当たらないと述べたが、それでも疑念を植え付け続けた。
・ハリス氏はトランプ氏に疑念を抱く共和党員にアピールするため、激戦州3州を訪問した。
・ヒンズー教徒の母とキリスト教徒の父を持つハリス氏の経歴は、彼女が率いようとしている多宗教、多元主義、そしてますます世俗化しているアメリカを体現している。
・ジル・スタイン氏に近い人々は、ハリス氏から重要な票をはぎ取るかもしれないとして、彼女に大統領選への出馬をやめるよう懇願しているが、スタインは無視している。
【コメント】
 Jill Steinは米国緑の党の党首で、独立した政治活動家だ。

2.レバノン紛争は「制御不能」と米国当局者が発言
【記事要旨】
 バイデン大統領のレバノン特使は昨日、イスラエルとヒズボラの紛争は「制御不能にエスカレートしている」と述べた。
 ベイルートを訪問したアモス・ホクシュタイン特使 は、イスラエル軍のレバノンからの撤退と両国国境沿いのヒズボラの武装解除を求める国連決議の実施を求めた。
 その後、イスラエル軍はベイルート近郊で新たな一連の空爆を開始した。レバノン保健省によると、政府病院付近での攻撃で少なくとも子供1人を含む4人が死亡、20人以上が負傷した。
中東のその他の動向:
・アントニー・ブリンケン米国務長官は中東への再訪問に出発する予定。
・イスラエル当局は、イランのために情報収集していたイスラエル人7人からなるスパイネットワークを解体したと発表した。
・イスラエルとパレスチナの紛争の二国家解決は依然として米国と西側諸国の目標だが、この地域の多くの人々は、その見通しは遠いと述べている。
【コメント】
 特使のコメントを待つまでもなく、制御不能なのは明らかだ。

3.ロシア、西側諸国を追い越すべく各国をホスト
【記事要旨】
 BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)サミットが今日、ロシア南西部の都市カザンで始まる。ウラジミール・プーチン大統領は、この会議で、ロシアが世界的に孤立しているにもかかわらず、依然として重要な経済的同盟国がいることを西側諸国に示すことを期待している。
 何が問題か:ロシアは、西側諸国が支配しない新しい世界秩序を形成するために、各国を連合に引き入れたいと考えている。プーチン大統領がホストを務める一方、中国の最高指導者、習近平が、首脳会議に主導的な立場で出席する。アナリストらは、習近平が近年米国に接近しているインドのナレンドラ・モディ首相とどのように交流するかに注目すると述べている。
【コメント】
 類は友を呼ぶ。Birds of a feather flock together,
 西側の自由民主主義国が世界の基軸ではないことを忘れずに世界情勢に対応する知恵が必要だということだ。

その他の記事
モルドバ:
 国民投票の結果、同国はロシアではなく欧州との緊密な関係に僅差で「賛成」票を投じた。
自然保護:
 世界各国の代表団が、史上最大規模となると見込まれる国連生物多様性会議のためにコロンビアを訪れている。
パキスタン:
 議会は最高裁判所長官の任命手続きの全面見直しを可決したが、批評家らは最高裁の統制を狙った動きだと指摘している。

2024年10月22日 火曜日