日本の総選挙の行方

イアン・ブレナーが代表を務めるユーラシアグループのニュースレターは、以下の記事を昨日掲載した。
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日本の自民党は政権を失うのか?
今週日曜日に投票日を迎える日本において、就任からわずか数週間で早期総選挙を決断した石破茂首相の決定は、大きな賭けになりつつある。与党である自民党は過去65年間のうち4年間を除いてずっと国を支配してきたが、最近の世論調査では、議席を大きく失うか、過半数を失う可能性もあると予測されている。
「野党は政治資金スキャンダルで自民党を激しく非難している」とユーラシア・グループの日本担当ディレクター、デビッド・ボーリング氏は、自民党内で未公開の政治資金と賄賂が発覚したことに触れて述べた。インフレが進行し、生活費が高騰する中、国民の信頼を揺るがすニュースとなっている。
以前の世論調査では、自民党と連立政権を組む公明党とで過半数を維持すると示されていたが、週末の世論調査では自民党は247議席のうち50議席を失う可能性があることが示され、石破氏の立場は不安定になっている。
自民党が過半数を失った場合、金融政策で譲歩を迫られる可能性がある。最大野党である立憲民主党は、日本銀行のインフレ目標を2%から「ゼロ超」に修正することを提案しており、これによりインフレが下がっても利上げの余地が残る。
経済政策を放棄せざるを得なくなるだけでなく、「自民党・公明党連立政権が過半数を失った場合には、石破首相の死刑執行が始まるかもしれない」とボーリング氏は警告する。
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日本の政治に関する珍しく長文の記事で、海外からの関心もうかがえそうだ。株価への影響はどうだろうか。

以下はみずほ証券のストラテジストの記事だ。
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日経平均は10月15日ザラ場に40,000円台をつけた後、10月24日に一時38,000円割れとなった。衆議院選挙の行方が不透明であるうえ、中間決算が市場予想より芳しくないため、我々の日経平均の目先慎重見通しは正しかった。今週の日経平均は10月25日時点で前週末比1,068円下落したため、与党が過半数を維持すれば、10月28日に日経平均は500円程度の反発が予想される一方、与党議席数が過半数を10以上下回れば、日経平均はさらに500円以上下落する可能性があろう。
自民党が不利な選挙戦になっている一因に、石破首相が総裁選前の清廉な印象から、旧来型の自民党の主張に軌道修正したことが挙げられているが、石破政権の経済政策は国民のみならず、外国人投資家からも評価されにくいだろう。

我々は先週までの北米訪問で、北米投資家は日本株に前向きでない印象を受けた。石破政権の構造改革策の欠如、日本企業のリストラ策の不十分さがその主因だった。
外国人投資家は10月15~18日に現物で-579億円、先物含めて-4,156億円と2週ぶりの売り越しだった。外国人投資家は過去9週のうち8週で売り越しだった。
北米投資家からは、円安でドルベースの日本株パフォーマンスが悪化していることも嫌気されているようだ。
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与党が過半数維持でも株価浮揚効果は限定的であり、過半数を割り込めば株価下落要因だ。立憲民主党は自民以上に財政再建重視、金融引締めに積極的で、株価には悪影響を与えそうだ。
石破首相は、トップに立った途端に梯子を外され可哀そうな点はあるが、しかし、総裁選で言っていたことをあっという間に翻すのには、人間性を疑われても仕方がない状況で、早期退陣も大いにありうると見る。
選挙結果に関しては、個人的には自公の最後の頑張りで与党が過半数を維持すると見るが、日曜夜の開票速報を注視したい。

2024年10月26日 土曜日