世界の動き 2024年10月25日 金曜日

今日の一言
「リアルエコノミーとシンボルエコノミー」
 以下はエコノミスト水野和夫氏の講演からの抜粋だ。面白い分析だ。
 『日本では2010年前後を境に、シンボルエコノミーの代理変数である内部留保金(資本主義者の資本)が、リアルエコノミーの代理変数である固定資産(唯物論者の資本)を上回るようになった。
 リアルエコノミーの主役が中間層である一方、シンボルエコノミーの主役はビリオネアである。
 日米ともにシンボルエコノミーを表す株式時価総額が、リアルエコノミーを表すGDPを上回るようになっている。
 世界的にシンボルエコノミーが続く限り、ドル高が続こうが、極端に開いた格差拡大は庶民の反乱という形でいつ爆発するか分からないので、ドル高の継続性にもリスクがあろう。
 米国では所得格差が1820年以降で最大に開いており、自殺・アルコールや麻薬中毒等に基づく絶望死が増えている。』
 日本では生活苦の若者の闇バイトによる強盗殺人が増えているが、それも極端なシンボルエコノミー化がもたらしたものとも言えそうだ。

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.ハリス氏にスターが集結
【記事要旨】
 投票日まで残り2週間を切った今、カマラ・ハリス氏は支持者を投票所に向かわせるためビッグネームを起用している。数時間後にはジョージア州でバラク・オバマ氏やブルース・スプリングスティーンと集会を開く予定。そして明日はテキサス州でビヨンセと集会に立つ予定だ。
 先月の大統領選討論会後にハリス氏を支持したテイラー・スウィフトとビヨンセの2人により、ハリス氏は今や世界最大のポップスター2人の支持を得ており、特に若者に影響力を持つ。
 同時に、ハリス候補に対して若い有権者の熱気が薄れつつあると懸念する声もある。ハリス陣営の右派への融和的な姿勢は、共和党に投票するかもしれない大学教育を受けた裕福な白人有権者をターゲットにしている。しかし、一部の民主党員はハリス氏が行き過ぎて進歩主義者や労働者階級の有権者を遠ざけるリスクがあると指摘している。
選挙を巡る動き:
・ハリス氏はCNNのタウンホールでトランプ氏をファシストと呼んだ。
・イーロン・マスク氏はトランプ氏の当選を支援する取り組みにますます熱心になっている。
・トランプ氏は所得税を廃止し、失われた税収を関税で補う可能性を提起した。
【コメント】
 Just wait and see.

2.ガザでの停戦に向けた新たな取り組み
【記事要旨】
 イスラエルとハマス間の停戦交渉を再開するため、交渉担当者らが週末に会合を開く予定。イスラエルの諜報機関のトップは、CIA長官ビル・バーンズ、カタールの首相と会談する予定。
 米国当局者は、数十人の人質のうち少数の解放と引き換えにガザへの援助を増やすため、約1週間半の短期停戦の可能性に前向きだと述べた。しかし、イスラエルがハマスの指導者を殺害した後、ハマスが長らく行き詰まっている交渉に再び応じる意思があるかどうかは不明だ。
その他の中東ニュース:
・ガザ地区の主要緊急サービスは、同地区でのイスラエルの攻撃のため、同地区北部のすべての救助活動を中止した。
・レバノン軍は、イスラエルの攻撃により南部でさらに3人の兵士が死亡したと発表した。
・フランスは、レバノン軍への数千人の追加兵力募集を支援すると述べた。
【コメント】
 碁で言えば盤面の9割はイスラエルで埋められ、ハマスは1割を割り込んだ状況だ。しかし、ハマスは碁ではなくオセロゲームを戦っていると考えている。石が少しでも残っていれば逆転のチャンスがある。

3.世界はタリバンに門戸を開く
【記事要旨】
 女性の権利を抹消したことでここ数年ほぼ全面的に国際社会から孤立していたタリバンだが、今や変化が見られる。数十カ国がタリバンの外交官を歓迎している。同組織をテロリストから外すという話さえ出ている。
 タリバンの正常化に向けた外交的動きは、タリバン政権は今後も存続するという世界の指導者たちの共通認識の高まりを反映している。
 シラジュディン・ハッカニはかつて米国の最重要指名手配犯リストのトップにいた死の天使として知られていた。しかしタリバンが政権に復帰して以来、彼は現実的な政治家に生まれ変わろうとしている。
【コメント】
 アフガニスタンの話だ。外務省のHPでは以下の説明だ。
【危険レベル】
●アフガニスタン全土
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
【ポイント】
●アフガニスタンでは、2021年8月15日から、タリバーンによる支配が継続しています。この間、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)ホラサーン州(IS-KP)」等によるテロが継続して発生しています。また、殺人、強盗、誘拐などの犯罪は漸増傾向となっており、情勢及び治安は極めて不安定かつ危険です。
●アフガニスタンへの渡航は、どのような目的であれ止めてください。既に滞在されている方は直ちに退避してください。

その他の記事
カナダ:
 ジャスティン・トルドー首相は、数年にわたる移民の拡大の後、新規移民の数を大幅に削減すると発表した。
ロシア:
 首脳会談で、ウラジミール・プーチン大統領は、北朝鮮軍が自国に配備されたことを認めたようだ。
ビジネス:
 ボーイング最大の労働組合は暫定契約を拒否し、同社が61億ドルの損失を報告した後、損害を与えるストライキを延長した。

テクノロジー
AI:
 バイデン大統領は、国防総省と諜報機関がAIをどう扱うべきかに関する初の国家安全保障覚書に署名するとみられる。
チップ:
 インテルは米国のチップ製造を復活させる計画の中心にいる。しかし、同社の業績不振は、その実行能力に対する懸念をかき立てている。
暗号通貨:
 ナイジェリアの暗号通貨取り締まりにより、バイナンスのアメリカ人従業員が逮捕された。彼は帰国するが、両国間の関係は緊張している。

日本関連
 ジャーナリストの伊藤詩織さんは、有名なテレビ記者に対するレイプ疑惑を公表し、日本における#MeTooの顔となった。
 現在、彼女は日本の司法制度と闘った経験をまとめたドキュメンタリー「ブラックボックスダイアリーズ」の公開を準備中で、前に進む準備ができている。
 伊藤さんの反抗的な姿勢は、彼女を一部の界隈ではフェミニストの英雄に、また他の界隈ではサンドバッグにしている。

2024年10月25日 金曜日