世界の動き 2022年10月10日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「雨の月曜日」
カーペンターズに「雨の月曜日はいつも気持ちを落ち込ます」という名曲がある。今日はまさにそうなのだが、「元気があれば何でもできる」はずだ。頑張って一週間を始めましょう。

ニューヨークタイムズ記事
1.ロシアはクリミア橋の爆破後ウクライナの都市を攻撃
【記事要旨】
ロシアはザポリージャ近郊をミサイル攻撃し13人が死亡し60人が負傷とウクライナが発表。2014年にクリミアとロシアを結ぶ物資供給の要路として建設された12マイルの橋はウクライナの工作で爆破されたとロシアが発表した。ロシア当局は既に橋は復旧と述べるが、橋の両側で長い車列が出来ている。
【コメント】
キエフでは祝勝気分のようだがまだ早い。プーチンの戦争の「始まりの終わり」が近いかもしれないが、「終わりの始まり」はまだ来ていない。プーチンの誕生日の翌日の攻撃はプーチンの顔に泥を塗るものだ。核兵器使用の恐れが更に高まった。

2.タイは喪に服す
【記事要旨】
土曜にウタンサワンの町で行わえた葬儀では子供達の棺に彼らが来世で無事暮らせるようにお供えが入れられた。犯人の遺体は犯行の舞台となった街では受け入れられずウドンタニで火葬された。東南アジアで最大の銃の普及が今回の犯行につながった。
【コメント】
手持ちの銃を出せばお金をあげるという「銃狩り」をすれば相当数の銃が供出されると思われる。

3.中国でコロナ再燃
【記事要旨】
コロナ感染者数は昨週1400人を記録し前週比2倍になった。国際的には微小な数字だが中国では10月16日の重要な共産党大会を前に更にゼロコロナ策を強化する動き。新疆では火曜からロックダウンし市民の行動制限と空路陸路での通行を封鎖している。海南島では2つの発症事例後全住民の検査を強制している。ゼロコロナ策の実施は習主席への忠誠心の踏み絵になっている。
【コメント】
共産党大会では国民の不満は反映されないのだろうか。

その他:
北朝鮮のミサイル発射
North Korea has tested a record number of missiles this year, an indication that the country needs to gain leverage over the U.S. and “is frustrated, isolated and uncertain about its future,” said Choe Sang-Hun, The Times’s Seoul bureau chief.
草間彌生さんのかぼちゃが戻る
A giant pumpkin sculpture by the artist Yayoi Kusama has been reinstalled on the Japanese island where it was thrashed by a typhoon last year.
(かぼちゃの彫刻が流されていたとは知らなかった)
米中間選挙は混とん
A month from Election Day, the 2022 midterm elections in the U.S. are surprisingly unpredictable.

Cash is king.

「現金は王様である」は相場の格言で最も有名ではないだろうか。特に相場の下落時には現金以上の資産はない。価格が下がらので、やられようがないからだ。多くのファンドマネジャーは、投資対象に「現金を最大10%までしか認めない」というような運用上の縛りがあるため、下落相場への対応に四苦八苦している。

 最近岸田政権が「資産所得倍増プラン」を打ち出している。これは、投資による資産所得の倍増を目指して、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充や、iDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、政策を総動員し、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進める国家戦略だ。現預金を持つものはアホだと言わんばかりのメディアの報道もある。

 今のような相場が不安定な時にこのようなプランを国を挙げて打ち出すのは悪い冗談だ。預貯金から資産有用に資金が動かなかったのは、バブル崩壊後の殆どの時期で庶民にとっては、預貯金の運用成績の方が株や債券での運用より堅実だったからだ。デフレ下では資産価値の減額を防げば実質的にはプラスの運用になる。

 自分は長年運用に従事してきたものだが、証券会社が安全だとして推奨するラップ口座でも運用利回りはかなりのマイナスだ。一部の株式投資で大幅なキャピタルゲインが出たので、ラップ口座を含む各種の投資からのマイナスは、ゲインとの相殺に使っている。価格変動が異なる性質をもつ各種資産にアセットアロケーションが可能なほど運用資金に余裕がなければ、政府の口車に乗って運用に大金をつぎ込むべきではない。

 まさに Cash is king. なのだ。

2022年10月9日 日曜日

不正について

 不正とは辞書で調べると「正しくないこと」と説明されている。これでは全く説明になっていない。

 「正しくない」行為がメディアで最近大きく報じられたのは、東京五輪を巡る汚職事件だ。東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の高橋治之・元理事が、大会スポンサーだった紳士服大手「AOKIホールディングス」側から賄賂を受け取ったとして、8月17日に東京地検特捜部に逮捕された。AOKIの青木拡憲・前会長ら3人も贈賄容疑で逮捕されている。その後、KADOKAWAの会長をはじめとする役員と、大阪の広告代理店大広の役員も取り調べを受けている。

 何が正しくなかったのだろうか? オリパラ委員会の理事はみなし公務員であるため、自らの口利き行為に対し報酬を受け取っているのは賄賂に相当するという論理だ。高橋氏がもし理事でなければ、汚職にみなされるかどうかは微妙なところだ。贈収賄は公務員に対して成立する概念であり、民間企業の間では成立しないという解釈が一般的だろう。

 高橋氏がもらった金額には及びもつかないが、私も昔銀行の支店で貸付係をしていた時には、お歳暮やお中元をありがたく頂戴していた。飲食やゴルフの接待を受けたこともあった。どこまではOKでどこからはダメかという線引きは難しい。このため今では金融機関では接待はする方もされる方も原則禁止になっている。

 私がタイの金融会社で日系企業・多国籍企業向けの貸し出しの責任者をしていたころ、現地企業向け貸し出しでは、貸し出しを実行すると担当者にお礼として金銭が渡されることを知った。日本の感覚では当然「汚職」行為で、この慣行は最後まで辞めさせることができなかった。現地では当たり前のどの金融機関でもやっている慣行だったからだ。

 日本でも一昔前までは建設業の談合は公認された慣行だった。新日鉄の購買部長をすれば家が建つと北九州では言われていたと聞いた事がある。電通の高橋氏の実弟の治則氏は、EIE Int’lという不動産開発会社を立ち上げ自家用機で金融機関の役員を世界中の開発案件に招待し篭絡した。その不良資産が原因で長銀は破たんしたとも言われている。

 さてさて、何が「不正」で何がそうでないか、基準は世相によっても国によっても変わりうる。一筋縄では行かない難しさがある。

2022年10月8日 土曜日

世界の動き 2022年10月7日 金曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「情報伝達の2要素」
 情報を扱う際に考えないといけないのは「透明性」と「即時性」だ。最近の政治に関する情報はこれらを満たさないケースが多い。良い情報は遅れても良い。悪い情報は「即時に」「透明に」公開することが重要だ。

ニューヨークタイムズ記事
1.タイでの銃乱射事件
【記事要旨】
 銃とナイフを持った男がタイ東北部の児童施設で24人の子供を含む36人を殺害した。犯人は34歳の麻薬所持で解雇された元警察官。犯行後自宅で妻と4歳の子供を殺害後自殺した。タイはアジアで最大の銃の保有国で銃による殺人は多いが大量殺害は珍しい。
【コメント】
 昔タイに勤務していたころ、日系企業の役員が運転手を解雇したら銃弾と脅迫状が届き国外へしばらく非難したことがあった。警官の銃管理もゆるそうで、今回の事件の下地はあったということかもしれない。

2.ロシアで不満が高まる
【記事要旨】
 ウクライナ侵攻支持派の中でプーチンへの批判が高まる。特に侵攻の失敗をショイグ国防相に求め辞任を要求する声が大きい。ブロガーから始まった批判はロシア軍の部分撤退後は高官にも広まっている。追加動員策は支持されているがその実施の拙さが批判されている。声高な批判はチェチェン共和国の指導者から始まり全国的に広がっている。
【コメント】
 侵攻支持派からも批判され、プーチンの選択肢は狭まってる。頼るのは核兵器だとすればウクライナの危機は全世界の危機になる。

3.中国の借金漬け政策
【記事要旨】
 中国は途上国に多額の融資を行い鉄道、港湾、ダム、空港、道路建設を支援してきた。中国はこれらの国を見捨てるか、もっと金を貸すか、少しの元本を放棄するのかと言った生殺与奪の権力がある。中国からの融資は変動金利が多く、最近の金利の上昇で多くの借入国が利払いと返済が困難になっている。
【コメント】
 中国の与える「借金の罠」は以前から指摘されていたが、近時のインフレで途上国はますます返済が困難になってる。中国は担保として建設したインフラの所有権・使用権を有する場合が多い。ちょうど戦前の日本が満州で満鉄をてこに支配を進めたのに似ている。

その他:
ミャンマーで日本人が有罪
Myanmar sentenced the Japanese documentary filmmaker Toru Kubota to 10 years in prison for violating sedition and communications laws.
(久保田徹さんの記事、日本で報道されましたっけ?気が付かなかった)
イランでの暴動
Universities across Iran have erupted in protests after being politically dormant for more than a decade, with students joining the unrest that has convulsed the cou「ntry for the past three weeks.
米はマリワナを合法化
President Biden pardoned thousands of people convicted of marijuana possession under U.S. law.
(日本にも影響のありそうな判断)

2022年10月7日 金曜日

世界の動き 2022年10月6日 木曜日

ニュータイムズ電子版より

今日の一言:
 「解散権」
 国会が開会された。国会開催中は首相は伝家の宝刀である解散権を行使できる。窮地に追い込まれた岸田首相は野党が不統一の機に乗じて解散に打って出る可能性がある。注目したい。

ニューヨークタイムズ記事
1.米国はウクライナがロシア人記者の暗殺を指示と確信
【記事要旨】
 米国情報筋は、ウラジーミル・プーチン大統領の世界観に大きく影響したとされる国家主義思想家の娘が乗った車が爆発して死亡した事件について、ウクライナの特殊部隊による犯行だと信じている。思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏(60)の娘ダリヤさん(29)は20日夜、首都モスクワ近郊で、運転していた車が爆発して死亡した。ドゥーギン氏は当初、同じ車に同乗する予定だったが、直前に別の車に乗ることにしたとロシア・メディアは報じており、ドゥーギン氏を対象にした攻撃だった可能性が、指摘されていた。米情報筋はウクライナからから相談を受けたことは無く、暗殺には否定的な見解だ。
【コメント】
 ウクライナ人ジャーナリストがロシアに暗殺された事件があったが「ウクライナの自作自演」だとの報道もある。どろどろした情報戦だ。

2.米国は台湾を軍事支援
【記事要旨】
 米国当局によれば台湾をハリネズミのように武器で守り中国の侵略を防ぐと語る。ペロシ訪台後の中国軍の演習は中国の侵攻能力を誇示した。台湾防御に必要な最新兵器はウクライナに送られており武器産業は台湾向けに生産ラインの増強をするのには否定的だ。バイデン政権は先月11憶ドルの台湾向け武器売却を承認している。
【コメント】
 ドローン、ジャベリン等々の先進兵器の有効性はウクライナで実証済みだ。

3.OPECとロシアは原油の減産を決定
【記事要旨】
 価格維持のために日量100万バレル(生産量の2%相当)の減産を決定する。ロシアを利するとの見方がある。この発表で米国ではガソリン価格が上昇し全米平均は1ガロン3.83ドルに達した。
【コメント】
 バイデン大統領は減産を最小限にするように圧力をかけていたが、大幅な減産になった。

その他:
激化するアジアの豪雨
South Asia’s monsoon is becoming stronger and less predictable because of climate change. Our interactive shows the places most at risk.
サウジで冬季アジア大会?
Saudi Arabia will host the Asian Winter Games in 2029 at what is planned to be a year-round ski resort there, according to The Associated Press.
オーストラリアは種の保存に努力
Australia announced a plan to prevent any more of its plant and animal species from going extinct, an ambitious goal for a country that has lost species at one of the highest rates in the world. Scientists and conservationists welcomed the 10-year plan, which commits to preserving 30 percent of Australia’s landmass and specifies protecting animals like the growling grass frog, but they worried that it would still prove to be insufficient.

2022年10月6日 木曜日