世界の動き 2022年8月11日 木曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「線状降雨」
酷暑の東京から那須へ大きな植木鉢を沢山運んだ。カブリオレの天井を開けてである。那須の自宅から500メートルほどで急に空が曇り雨が降ってきた。家に着いたときは土砂降りだ。慌てて植木鉢を下すが天井から容赦なく雨が降ってくる。鉢を下ろし終わったときには車内に水がたまった。東北の豪雨の南端が那須にかかったのだろう。本格的に線状降雨帯に巻き込まれたら大変なことになることを実感した出来事だった。

1.トランプは尋問を回避
【記事要旨】
トランプ前大統領は米憲法修正5条に従い黙秘権を行使し同氏の企業をめぐる質問に回答しなかった。2019年3月以来ニューヨーク州の司法省はトランプの企業群が不正に企業価値を操作してきた嫌疑で調査してきて今回の召喚になった。月曜にはトランプの別荘が公文書の不法保持嫌疑でFBIに操作されたばかり。
【コメント】
「黙秘権を行使します」で切り受けられるとしたら、米国の民主主義は凄い。もちろん皮肉です。

2.クリミア半島での大規模爆発
【記事要旨】
クリミアでのロシア基地をめぐる一連の爆発でクリミアでは非常事態宣言が発令される。爆発の原因は不明。ウクライナ筋からはパルチザンの活動によるものとの情報も出る。ウクライナの攻撃だとしたら占領地の奪回から攻勢を一歩進めたことになる重大事象。ロシアが占拠する原発近くでミサイル攻撃によりウクライナの死者13人。露は原発の電気をクリミアに供給する方針とウクライナは非難。
【コメント】
米は武器供与に際しウクライナがロシア領内とクリミアは攻撃しないようにウクライナには念を押していたという報道がある。ウクライナはこれを無視しクリミアを攻撃したということだろうか。まずい展開だ。

3.韓国では洪水の死者を悼む
【記事要旨】
大規模な洪水が、アカデミー賞受賞映画「パラサイト」で描かれた都市の貧民層の苦難をあからさまにした。教育や就労の機会を求め半地下室に居住する住民は多数存在する。
【コメント】
昨日に続く続報。タイムズは何に興味を持ったのかに興味がある。

その他:
米軍は台湾海峡での行動を継続
The U.S. said it would continue operating in the Taiwan Strait in response to Chinese military drills that U.S. officials say are evolving into long-term military pressure on the island.
岸田改造内閣は統一教会から距離
Fumio Kishida, Japan’s leader, reshuffled his cabinet yesterday, The Associated Press reported. The move, which happened a month after the assassination of Shinzo Abe, was an effort to distance his government from the controversial Unification Church.
たまには規模の大きな宇宙のニュースを
Astronomers think they have found our galaxy’s youngest planet: It may be just 1.5 million years old, so young that its building blocks of gas and dust are still coming together.

(2022年8月11日 木曜日)

世界の動き 2022年8月10日 水曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
 「内閣改造」
 議会制民主主義を標榜する日本では、閣僚の半数以上は国会議員から選ばれなければならない。当選6回以上とかいう人たちのプールがあり泊付のために大臣にする必要が出てくる。そのため有為な一般の人が大臣になることは稀有だ。行政府各省の長に専門家が就任する米国とは大きく異なり、政治が劣化する要因の一つと思うが如何だろうか。

1.FBIがトランプの自宅を捜索
【記事要旨】
 FBIはフロリダのトランプ前大統領の自宅を捜索した。FBIも司法省も捜査の理由を明らかにしていないがトランプが在任中手に入れた国家の機密文書を違法に保持していることが対象の模様だ。もしトランプがそのようなことをしていれば次回大統領選に出馬できない。トランプ支持の極右勢力はこれは内戦だと表現している。
【コメント】
 トランプ氏は自身の納税状況も設営していない。このような人がプアーホワイトの強い支持を集めるのは何故なのか、民主党は真摯に考えなければならない。トランプなら機密文書の持ち出しは大いにありそう。自伝を書くために収集しているのではないかと推測する。

2.ソウルの洪水で9人が死亡
【記事要旨】
 月曜朝から火曜朝の一日で17インチの豪雨により地下住宅で溺死したり流され死んだ人が少なくとも9人にのぼる。更なる豪雨が予想され、高層化され保水性の低いソウルでのさらなる被害が懸念される。
【コメント】
 映画であった地下室に暮らす人たちは大変なんだろうな。ソウルも日本と同じモンスーン地帯だから集中豪雨や台風の被害はあるはずだが、知らなかった。

3.ケニアでの緊迫する選挙
【記事要旨】
 3選が禁じられているため現職のケニヤッタ大統領は立候補せず、ウィリアム・ルト副大統領(55)と野党指導者のライラ・オディンガ元首相(77)による一騎打ち。オディンガはルオ族の出身で副大統領候補には女性を立てる。ケニアでの選挙には暴動がつきものだが、一応民主的な選挙が実行されれば他の圧政国への模範になる。
【コメント】
 この辺りのニュースが全くないので理解するのが難しい。現大統領はオディンガ候補を支持しているらしい。

その他:
ウクライナの原発が危険
An official at Ukraine’s atomic energy company said that international inspectors should visit the Zaporizhzhia power plant, where shellfire damaged a nuclear fuel storage facility.
米国はアフリカの民主主義を支援
The U.S. plans to promote democracy in Africa, Secretary of State Antony Blinken said during a visit to South Africa.
セリーナ・ウィリアムスの引退
Serena Williams, the 23-time Grand Slam champion, said in an article in Vogue that she planned to retire from tennis after this year’s U.S. Open.

(2022年8月10日 水曜日)

世界の動き 2022年8月9日 火曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「国葬」
 是非についての議論が喧しいが、時期について比較したい。
 吉田茂 1967年10月20日没 国葬1967年10月31日
 シャルル・アズナブール 2018年10月1日没 国葬2018年10月5日
 安倍晋三 2022年7月8日没 国葬予定2022年9月27日
 どう思われますか?

1.中国は台湾近海で更なる軍事演習を実施
【記事要旨】
 台湾を包囲する演習で海空での台湾へのアクセスを制限する狙い。合湾軍は、中国艦船40隻が台湾周囲で活動し内21隻は非公式の台湾海峡の中間線を犯し台湾側に侵入と発表。中国はペロシ訪台への報復と言うが、日本のような台湾支援国への警告であり、すぐにも武力侵攻可能という示威行動。習近平は秋の共産党大会での3選を狙い強いリーダーのイメージを示す。
【コメント】
 習近平はイメージ作りを狙っているのだろうか。そういう人なのだと見るほうが妥当だ。私は人殺しの真似をしていると言って殺人を犯せば、その人は殺人者だ。

2.ウクライナでの戦争の日常化
【記事要旨】
 タイムズのウクライナ人レポーターがドンバス地域で死者を埋葬する大規模墓地の状況を報告している。死者を越えてくる風が死臭を記者の胸に送る。キエフに戻れば親友がミサイル攻撃で死亡し葬儀に参加しなければならない。ロシアの戦争開始から5か月経過し、ウクライナではどこにも安全な場所が無い日常だ。
【コメント】
 英文ではこう表現されている。 deaths are an “inescapable reality that feels like the very air in your lungs”

3.崖っぷちのアフガニスタン
【記事要旨】
 米軍の撤退後1年経ち、アフガンは貧困にあえぐ。西側諸国からの1000億ドル以上の支援にかかわらずアフガンは援助に依存する最貧国の一つ。タリバン政権の女性への教育抑制、ブルカの着用の強制等の政策が西側の好意を抑制している。勧善懲悪省による文化政策には政権内からも批判が出ている。先週バイデン大統領はアルカイダのリーダーであるザワヒリ師をドローンで殺害したと発表したが、大統領は同師の役割を過大に発表。
【コメント】
 この辺りは常にきな臭い。ソ連が、そして米軍でさえ撤退した地域に、どこの国が支援を積極化して行けるのだろうか。

その他:
米国連邦海事委員会がインフレ退治に機能するか?
The Federal Maritime Commission is an obscure U.S. institution charged with regulating the massive global shipping industry — and now, taming inflation.
予算案は可決したが人気は?
Passing climate, health care and tax provisions has President Biden on a sudden roll, but whether the efforts will mark a turning point in his presidency remains to be seen.
経済弱者は物価高のあと失業?
In today’s profoundly unequal economy, low-income people could face inflation now and job losses later.

(2022年8月9日 火曜日)

世界の動き 2022年8月8日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「軍事演習」
 中国の軍事演習は予定通りに終わらず継続しているようだ。台湾周辺の演習のみが注目を集めているが、尖閣周辺では日本領海への海警局船舶の侵入が続いている。日本政府には毅然とした態度で対応してもらいたい。

1.米上院は記念すべき法案を可決
【記事要旨】
 気候変動へ4000億ドルを支出する法案は世界的な影響を持つ。処方箋薬の薬価引き下げ、税制の簡素化をも含む法案は50対50の同数で拮抗したがハリス副大統領の賛成票で可決。同法案は下院へ送られ、民主党多数の下院で可決成立の見込み。
【コメント】
 タイムズのようなリベラルメディアは歓迎しているが、バイデン大統領の支持率は低迷。トランプが元気づいている米国はどうなっているのか。

2.中国の軍事演習は台湾を孤立化させる
【記事要旨】
 72時間の大規模軍事演習は台湾を支援する西側諸国に警告を与えた一方、中国には交渉による台湾統一の道を遠のけ、軍事衝突のリスクを高めている。台湾では経済協力による中国との融和案への支持率は最低に。世論調査では現状維持が多数。台湾は共産党の支配をうけたことは一度も無い。中国は1970年代後半から台湾を「一国二制度」で統一すると公言してきた。
【コメント】
 西側諸国が中国を国家として認め国交を回復したのはソ連との冷戦が大きな要因。ソ連と中国が連帯している現在、有効なフレームワークの構築が必要だが、具体策はない。

3.ロシアがウクライナ原発付近をミサイル攻撃
【記事要旨】
 ロシアが支配するザポリージャ原発の使用済核燃料貯蔵庫近くにミサイルが着弾し懸念が高まる。ロシアはウクライナを、ウクライナはロシアを危険な攻撃の犯人だと非難。
【コメント】
 原発を攻撃すれば核攻撃と同様の効果を持つ。日本の原発はミサイル攻撃への耐久力はどの程度あるのだろうか。

その他:
ガダルカナルの戦い80周年
Caroline Kennedy, the U.S. ambassador to Australia, and Wendy Sherman, the U.S. deputy secretary of state, visited the island of Guadalcanal on the 80th anniversary of the World War II battle there and spoke about the current fraught diplomatic moment.
ガザ地区では紛争が激化していた
Israel and Palestinian Islamic Jihad militants agreed to a cease-fire, potentially ending a three-day conflict that killed dozens of Palestinians and paralyzed parts of Israel.
At least 44 people have been killed so far in Gaza and 311 wounded, according to the health ministry.
ケニアの鉄道
A Kenyan railway designed, funded and built by China has become a national fiasco, and a hot-button issue leading up to Tuesday’s presidential election.

(2022年8月8日  月曜日)

日中関係の歴史的困難

 西部邁の『続批評する精神』という本を愛読している。那須に来るたびに一日一度は5分ほど目を通し、いつも目から鱗が落ちる思いがする。

 この本は主に同氏の論壇時評を集めたもので七〇年代終わりから八六年ぐらいまでをカバーしている。八七年七月の標記のタイトルの文章は二五年の歳月を経ているが、日中関係が基本的には少しも変化していないことをあらわしている。

 西部はこの文章のなかでいくつかの論考を批判的に解説しているが、結論部は主に中嶋峰雄の「いまこそ歴史の「帳簿」の決算を」という正論に発表された論文を批判している。

 中島は「中国に対する「御祝儀外交」および「陳謝外交」をそろそろ止めにし、友好のみではない対決もまた必要なのだ」と主張する。西部は「それはそうなのだが、中嶋氏も認めているように「日本は中国に一番借りの有る国である」という「歴史の帳簿」を廃棄することなどできはしない。そんなことをすれば日本が法匪になってしまう。とすれば祝儀や陳謝の必要もまだまだ続くのであろう。そこでなおかつ対決もしようというのだから、なまじっかな力量では「フラジャイルな国際関係の典型である」日中関係に対処できない」と説く。

 この後西部は自身初の中国旅行の予定だったが、旅行後の論考は、残念ながら載っていない。1987年当時日本のGDPは中国の八倍もあった。現在は中国が日本の四倍であり世界中で影響力を強めている。

 西部が存命であったら現在の日中関係にどのような判断を下すだろうか。

(2022年8月7日 日曜日)