8月は憂鬱な月

 毎年のことだが8月6日(広島原爆の日)8月9日(長崎原爆の日、ソ連参戦)8月15日(終戦の日)と続く8月は憂鬱な月だ。

 日本本土へのB29爆撃機による大規模な空襲が始まったのは昭和20年に入ってからで、空襲による民間人の死者・行方不明者は60万人をかぞえる。5月8日のドイツの降伏後、敗戦必至の戦争を早期に止められなかった指導者の責任は重い。

 ウクライナ戦争でのロシアの戦争犯罪が取りざたされているが、「戦争に関係のない日本の国民を焼き殺す」ことを狙った米国の爆撃行為は処罰されず、爆撃を指揮したカーチス・ルメイは、日本政府から1964年に勲一等旭日大綬章をもらってる。当時の政府はルメイに感謝していたらしい。

 政治中の指導者の責任を追及する機会は、極東軍事裁判で戦犯が処罰されて幕引きとなり、日本国民にはその機会が無かった。

 最近明白になってきた岸元首相の勝共連合との関係といった戦前的な考え方の悪しき残滓は、保守政治家と自民党に沈殿しているようにも見える。

 バブルの崩壊以来失われた年数は既に30年を超えた。本来、国の成長は民間企業の起業家精神により実現されるものなのに、麻薬的な財政政策と金融政策が永続されており国民もそれを希求しているようだ。

 過去を清算し清々しい日本を作りたいが、ご破算で願いましては、とはなかなか問屋が卸さない。

 憂鬱な日々が続く。

(2022年8月6日 土曜日)

世界の動き 2022年8月5日 金曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「ハトとタカ」
 弱腰の人をハト、強硬な人をタカと言う。英語でも同じで、dovishとhawkishという言い方をする。FRBの金融政策で、金利引き締め派をhawkish。金利緩和派をdovishという。howkishが優勢だと次回FOMCで0.75-1.00 %政策金利が引き上げられ、dovishが優勢だと0.25-0,5%の引き上げになるだろうという予想を立てるのだ。どちらが優勢か直前までわからないので世間はあれこれ予想する。これだけコストプッシュインフレが明確な状況下、次回引き上げはせいぜい0.5%までと予想する。

1.ブリトニー・グリナーはロシアで禁錮9年の判決
【記事要旨】
 薬物保有で2月からロシアで逮捕されていたブリトニー・グリナーは流刑地(penal colony)で9カ月禁錮される判決を受けた。米露間で収監者の交換の可能性も含め交渉が行われたが実らなった。バイデン大統領はこれまでの強硬姿勢を継続するか交換条件を緩和するか難しい選択を迫られる。
【コメント】
 ハトとタカのたとえで言えば、相手がタカだとこちらもタカで行くしかない。安易に立場を緩めれば食べられるだけだ。双方がタカのままだと対立が継続するのはウクライナ情勢を見れば明らかだ。ハトとタカは簡単な例えだが、これ以上の知恵は専門家からも出てこない。

2.中国は軍事演習で台湾を威嚇
【記事要旨】
 ペロシ訪台への見せしめ処置。少なくとも11発のミサイルがペロシ離台後24時間以内に発射され、演習の一部は台湾から10マイル以内で実施されている。威嚇に加え、実際に台湾進攻時の役に立つ演習になっている。3日間の大規模演習は地域の安全に大きな脅威。日本は排他的経済水域内に5発の中国ミサイルが着弾したと中国を非難。米国は演習が突発的な戦闘に発展しないか憂慮。中国国内のSNSでは政府の弱腰ぶりを自国のサッカーチーム(これまで一度しかワールドカップに出ていない)にたとえ揶揄する記事が目立つ。ペロシは台湾の後韓国を訪問したが尹大統領は直接面談は避け電話で会談。中国を刺激したくない韓国の立場の表れか。
【コメント】
 相手が明らかに狂暴なタカの場合は、こちらはタカで行くしか選択肢は無い。

3.豪州は気候対策法案を整備へ
【記事要旨】
 世界3位の化石燃料産出国の豪州で遅ればせながら気候対策法案が可決された。2005年比で2030年までに43%炭素ガス算出を削減し2050年までに炭素ガスのネットゼロを達成するという法案。緑の党の2030年までに75%削減案は否決され、同党は政府案は遅きに失しグレートバリアーリーフの破壊が食い止められないと警告。
【コメント】
 炭素ガス削減では米国、欧州、英国が先行。日本の削減策はどの辺まで進んでいるのだろうか。インフレと戦乱ですっかり関心が薄れている。

その他:
日本の半導体は脆弱
Covid outbreaks shut down Japan’s semiconductor plants, and an unanticipated surge in demand for electronics constrained supplies. The country is now spending billions to catch up.
米国はサル痘で緊急事態
The U.S. declared a public health emergency over monkeypox, but its supply of the vaccine will be limited for months because officials waited too long to ask the maker to process enough vials.
英仏でのインフレ対策 英は金融で仏は財政で
Britain’s central bank raised interest rates by half a percentage point, the largest jump since 1995, and warned that the country could see a long recession starting later this year.
The French Parliament approved a $65 billion inflation relief package.

(2022年8月5日 金曜日)

世界の動き 2022年8月4日 木曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「Wifiがつながらない」
 昨日は福島県の山奥に行った。Wifiがつながらず「世界の動き」が発信できませんでした。すいません。
 知床の観光船ではないが複数の通信手段が必要と痛感しました。

1.ペロシは緊張を高め台湾を離れる
【記事要旨】
 台湾ではペロシの蔡英文総統との会談が米国の台湾への力強い支援の象徴として歓迎された。中国は台湾を取り囲む5日間の軍事演習で対抗。台湾への土砂の輸出と、台湾からの一部の果物や野菜の輸入の制限を発表。           欧州は台湾に距離を置く。日本は台湾から70マイルしか離れていない西南諸島を抱え、台湾は自国防衛上重要と見做し始める。
【コメント】
 ペロシの訪台は筋金入りの民主主義者である同氏の面目躍如。立法府の代表としての訪台に、行政府の長である大統領もストップをかけられなかった。今回のペロシ訪台について日本の報道はねじれている。台湾や東シナ海での防衛問題に立場の違いを超えて真剣に取り組む時期だ。

2.ウクライナは南部での露軍の侵攻を耐える
【記事要旨】
 米国からの長距離砲の支援によりケルソン市の奪還に向け反撃しているウクライナはさらなる血なまぐさい戦闘を予想している。東部では数週間にわたり戦線は膠着。ドイツのショルツ首相はロシアのガス輸出制限を非難。
【コメント】
 戦争ゲームはもう見飽きた。やっている方はもっとやり飽きただろう。

3.メキシコでの干ばつ
【記事要旨】
 極度の干ばつでメキシコの殆どで水不足が起き、2/3以上の都市で給水制限。モントレー市の周辺は75日以上給水が無い。気候変動が干ばつの理由とされるが、メキシコ国土の48%が今年は干ばつで昨年の28%より大幅増加。メキシコでは司法長官が前大統領の不正蓄財を告発しているが、国民の大半は政治ショーだと冷やか。
【コメント】
 乾燥で米国西部では山火事も起きている。日本では今山形で豪雨警報が出ている。全て異常気象のせいにするのは如何なものかと思う。人為的な努力が必要だろう。

その他:
スリランカでは反政府勢力が弾圧を受ける
Sri Lanka’s government arrested several leaders of the protest movement that toppled the nation’s president last month.
バイデンのサウジ訪問の効果か?
The group of oil producers known as OPEC Plus approved a small increase in production, following calls from President Biden to take action to cool prices.
中国の通信機器はへっちゃらで生き残る
Phone and internet equipment from Chinese technology companies were declared a grave threat by the U.S. in 2019. Three years later, most of that equipment remains.

(2022年8月4日 木曜日)

世界の動き 2022年8月2日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「最低賃金」
 全国平均で31円上がって時給961円になるそうだが、この数字にはため息だ。この30年のデフレで日本は国際的には本当に貧しい国になったものだ。この賃上げも一部の中小企業には苦しいのだろう。どのように実行してゆくのかが課題だ。

1.台湾は中国の敵対意欲に衝突
【記事要旨】
 ペロシ下院議長は火曜の夜に訪台し蔡総統と面談予定。中国は強硬に反発しており、コロナによる経済の停滞に悩む習主席は棄権な強硬策を取る可能性もあえう。バイデン大統領との会談で主席は「火遊びをするな」と警告。
【コメント】
 バイデン大統領はペロシを止めようとしたようだが、ペロシが訪台すれば米国の台湾防衛へのメッセージにはなる。

2.国連の平和維持軍がコンゴで2人を殺害
【記事要旨】
 コンゴ民主共和国で反政府デモが国連の平和維持軍にも向けられ多くの市民や維持軍にも犠牲者が出た。ブリンケン国務長官が来週コンゴを訪問予定し安定を話し合う予定。
【コメント】
 アフリカのニュースは日本では全く報道されない。どのようにこの辺の動乱が世界に影響を与えるかについては想像力が必要。

3.シンガポールは都市の熱波に対抗策
【記事要旨】
 平均湿度84%,平均気温31度のシンガポールは、居住不能の恐れと戦っている。都市全体の気温をITで把握して分析し、酷暑の緩和手段を取るというもの。上手く行けば熱帯の都市で活用可能だ。政府は100万本の木を植樹計画。
【コメント】
 神宮外苑で1000本以上の木を切る東京とは大きな違い。

その他:
ウクライナからの穀物輸出が再開
A ship loaded with Ukrainian corn left the Port of Odesa for the first time since the war began, raising hopes that desperately needed grain would reach the Middle East and Africa.
However, experts say the global food crisis is so significant that the immediate impact of the grain exports may be modest — if it is even felt at all.
マッキンリー山の山火事
At least two people have died as the McKinney fire in Northern California spreads to more than 55,000 acres, becoming the state’s largest this year.
リビアの混乱
After more than a year of fragile stability, Libya is tipping toward the chaos that gripped it after rebels overthrew Col. Muammar el-Qaddafi, the dictator of more than 40 years. Few places feel the upheaval more than Tarhuna, where seven murderous brothers reigned for years.

(2022年8月2日 火曜日)

世界の動き 2022年8月1日 月曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「ジャパネットタカタ」
 TVやラジオで広告を積極化している。いつも同じパターンで、製品の説明を長くしたあとで値段を発表し、更に荷引きするパターンだ。説明する人の口調が、男性も女性もよく似ている。驚くほど安い価格とプレゼンを楽しみに聞いている。通販のパイオニアによる名人芸だ。

1.ゼレンスキーは東部住民の移住を促す
【記事要旨】
 戦闘の続くドネツク州の住民に移住を促す。冬が来る前に移住し混乱を避けたい狙いだ。副首相の発表では暖房のない住民が20万人いる。ウクライナのロシア占領地域ではロシア支配を受容するか受容しない住民は逮捕する動き。住民投票が手段として使われている。
【コメント】
 燃料の無い冬は耐えられないだろう。何十万人をどこへ移住させるのかも問題だ。日本の震災での仮設住宅の数を考えると膨大な数だ。

2.ペロシは台湾問題を抱えシンガポールへ出発
【記事要旨】
 ペロシ下院議長のアジア歴訪で台湾を訪問するかどうかが焦点に。シンガポール、マレーシア、韓国、日本を訪問し地域の安定について話し合うとだけ発表し台湾訪問は明らかにしていない。中国は台湾近海で大規模演習を行い連日台湾の航空識別圏に航空機が侵入。バイデン大統領は、ペロシの台湾訪問について米軍はいまは良い考えではないと言っていると発言。
【コメント】
 バイデンのはっきりしないコメントは中国との対決姿勢をこれ以上強くしないメッセージだと思うが、台湾を守るという言説とは不一致。台湾有事に日本はどうするかしっかりした政策が必要。

3.ラテンアメリカの左翼は世界情勢に直面し苦境に
【記事要旨】
 2018年のメキシコのオブラドール大統領の選任以来ラ米の左傾化が進み現在では6か国で左派政権が樹立されている。長く続く貧困への反対から出来た左派政権は、ウクライナ戦争で高騰する燃料や食料の価格上昇により苦境に立っている。アルゼンチンやチリでは支持率が急落。グアテマラでは反政府ジャーナリストを拘束した。
【コメント】
 バラ色の公約で政権交代を果たしたものの、約束を果たせないとどうなるかは日本の民主党政権の動きを見ればよくわかる。

その他:
イラクの混乱
Iraqi protesters loyal to the nationalist Shiite cleric Moktada al-Sadr occupied Parliament for the second time in a week, preventing lawmakers from forming a government.
イタリアでの人種差別的殺人
The brutal, senseless murder of a Nigerian street vendor in Italy has shocked Italians, stirred political bickering ahead of national elections and spawned fresh debate over racism.
学校を守るのは銃で
More American school employees are carrying guns to defend against school shootings.
(コメント:これはトランプが言っていた動き)

(2022年8月1日 月曜日)