世界の動き 2022年8月5日 金曜日

ニューヨークタイムズ電子版より

今日の一言:
「ハトとタカ」
 弱腰の人をハト、強硬な人をタカと言う。英語でも同じで、dovishとhawkishという言い方をする。FRBの金融政策で、金利引き締め派をhawkish。金利緩和派をdovishという。howkishが優勢だと次回FOMCで0.75-1.00 %政策金利が引き上げられ、dovishが優勢だと0.25-0,5%の引き上げになるだろうという予想を立てるのだ。どちらが優勢か直前までわからないので世間はあれこれ予想する。これだけコストプッシュインフレが明確な状況下、次回引き上げはせいぜい0.5%までと予想する。

1.ブリトニー・グリナーはロシアで禁錮9年の判決
【記事要旨】
 薬物保有で2月からロシアで逮捕されていたブリトニー・グリナーは流刑地(penal colony)で9カ月禁錮される判決を受けた。米露間で収監者の交換の可能性も含め交渉が行われたが実らなった。バイデン大統領はこれまでの強硬姿勢を継続するか交換条件を緩和するか難しい選択を迫られる。
【コメント】
 ハトとタカのたとえで言えば、相手がタカだとこちらもタカで行くしかない。安易に立場を緩めれば食べられるだけだ。双方がタカのままだと対立が継続するのはウクライナ情勢を見れば明らかだ。ハトとタカは簡単な例えだが、これ以上の知恵は専門家からも出てこない。

2.中国は軍事演習で台湾を威嚇
【記事要旨】
 ペロシ訪台への見せしめ処置。少なくとも11発のミサイルがペロシ離台後24時間以内に発射され、演習の一部は台湾から10マイル以内で実施されている。威嚇に加え、実際に台湾進攻時の役に立つ演習になっている。3日間の大規模演習は地域の安全に大きな脅威。日本は排他的経済水域内に5発の中国ミサイルが着弾したと中国を非難。米国は演習が突発的な戦闘に発展しないか憂慮。中国国内のSNSでは政府の弱腰ぶりを自国のサッカーチーム(これまで一度しかワールドカップに出ていない)にたとえ揶揄する記事が目立つ。ペロシは台湾の後韓国を訪問したが尹大統領は直接面談は避け電話で会談。中国を刺激したくない韓国の立場の表れか。
【コメント】
 相手が明らかに狂暴なタカの場合は、こちらはタカで行くしか選択肢は無い。

3.豪州は気候対策法案を整備へ
【記事要旨】
 世界3位の化石燃料産出国の豪州で遅ればせながら気候対策法案が可決された。2005年比で2030年までに43%炭素ガス算出を削減し2050年までに炭素ガスのネットゼロを達成するという法案。緑の党の2030年までに75%削減案は否決され、同党は政府案は遅きに失しグレートバリアーリーフの破壊が食い止められないと警告。
【コメント】
 炭素ガス削減では米国、欧州、英国が先行。日本の削減策はどの辺まで進んでいるのだろうか。インフレと戦乱ですっかり関心が薄れている。

その他:
日本の半導体は脆弱
Covid outbreaks shut down Japan’s semiconductor plants, and an unanticipated surge in demand for electronics constrained supplies. The country is now spending billions to catch up.
米国はサル痘で緊急事態
The U.S. declared a public health emergency over monkeypox, but its supply of the vaccine will be limited for months because officials waited too long to ask the maker to process enough vials.
英仏でのインフレ対策 英は金融で仏は財政で
Britain’s central bank raised interest rates by half a percentage point, the largest jump since 1995, and warned that the country could see a long recession starting later this year.
The French Parliament approved a $65 billion inflation relief package.

(2022年8月5日 金曜日)