政治家の年齢

Donald Trump(74歳)に「sleepy Joe」と揶揄されているJoseph Bidenは77歳。80歳に近づく候補者が米国では大統領選を争っている。

世界の政治指導者の年齢はどうか、G7+ロシア+中国の指導者を見てみよう。
40歳代  氏名 国  生年月日  現年齢
Emmanuel Macron 仏 1977,12.21 43
Justin Trudeau 加   1971.12.25 48
50歳代
Giuseppe Conte 伊   1964.8.8 55
Boris Johnson 英    1964.6.19 56
60歳代
安倍晋三 日     1954.9.21 65
Angele Merkel 独    1954.7.17 65
Vladimir Putin 露    1952.10.7 67
習近平 中       1953.6.15 67
70歳代
Donald Trump 米    1946.6.14 74

Trumpはとびぬけて高齢だが、
筆者の予想以上に高齢化が進んでいる印象だ。
安倍晋三さん近辺の65歳から67歳が大きな分布の山になっており老練な政治家が多い印象だ。

小泉進次郎環境相(海外で「私は若い政治家」と演説して失笑を買った)が39歳であること。旧日本海軍の山本五十六連合艦隊司令長官(長官は50歳までと生前言っていたそうな)が59歳で戦死したことなどを考えると、日本人が仕事において全力を出し切れる年齢はいくつぐらいなので有ろう。

職種によって最適年齢にはばらつききがあるのだろうか。政治家は楽だから、特に日本で老齢の政治家がいつまでも頑張り、結果として世襲して行くようになるのだろうか。

アメリカの大統領選挙に戻ると、
有力候補だったBernie Sandersは78歳、Trumpを弾劾に追い込んだ民主党下院院内総務Nancy Pelosiは80歳。とかなりの年齢だ。
Obama前大統領はまだ58歳、その前のGeorge Bush Jr.でさえ、まだ74歳でTrumpと同年齢であるのに驚く。

こうしてみるとTrumpとBiden間の大統領選が年寄りの冷や水っぽく見えるのは筆者だけだろうか。今回はあきらめるにしても、60歳を超え経験に富む世界のリーダーと闘える清新な候補者が次回の大統領選挙には是非登場して欲しいものだ。

(2020.7.11)

連続降雨日数

毎日雨に降られ続けている。
水害の被災地の方々の苦労には比ぶべくもないが、家庭栽培のトマトは色づかず、野鳥用の餌箱に入れておいた種から発芽し、太陽光発電も不調だ。
やはり雨がこれほど降るのは困りものだ。

ノアの方舟では確か40日間雨が降り続け洪水が起きた。東京の連続降雨記録はどんなものか調べてみた。
2019年6月27日から7月28日までの32日間連続が最長記録らしい。

ここで降雨についてのトリビアを披露すると、
・降雨量と降水量は違う。降水量には雨以外の雪や雹も含むから。
・降水量は0.5㎜が最小単位。
・1時間に1㎜の雨が降ると、人間(面積50㎝ x 50㎝とする)の上に30分で125ml の雨が降ることになる。
・1時間に1㎜以上の雨だと人は傘が欲しくなる。

世界での降雨記録はどうだろうか。
・カウアイ島のある場所では年間300日以上降雨がある。
・オーストラリアのマッコーリー島では年間307日以上の降雨記録がある。とのことだ。

辺鄙な場所でなく、観光で日本人が訪れそうな都市ではどうだろうか。
グアム、バンクーバー、ロンドン、レイキャビク(アイスランドの首都)、クアラルンプールなどが雨の多い都市として挙がっている。

グアムとレイキャビクには行ったことがないが、それ以外の都市は、雨が降り続くイメージはない。
皆さんどのように思われますか?

(2020.7.10)

Brooks Brothers(BB)の破綻

米国のアパレル業界の老舗であるBBが7月8日に連邦法11条による破産申請(日本の民事再生法申請に相当)を行った。

日経新聞等我が国のメディアでも大きく報じられているが筆者の感想を述べてみたい。

BBは特に男性用の衣類の老舗だった。アメリカンカジュアルのおしゃれさと、歴代大統領45人中40人が愛用していたトラッドさがあり、ビジネスにもレジャーにもふさわしいブランドだった。
ソニーの盛田昭夫さんが愛用していたブランドでもある。オーダースーツよりBBのつるしのほうがずっとカッコ良く見えるので、好んで着ていたそうな。
有名ブランドにしては極端に高い価格帯でないので、筆者にも手が出た。店舗のつくりはどこも似ており、気軽に店に入ることが出来た。

米国で240店、世界で424店舗を展開し4000人の従業員がいたそうだがその4分の3は休職中とのことだ。日本の店舗は引き続き営業されるらしい。

倒産の原因は、コロナ禍による販売不振だが、小売業のデジタル化に遅れ近年低迷していたという見方もある。
この1年以内に、JC Penny, Neiman Marcus, J Crewといった有名小売業の倒産が相次いでいるが、これらに共通するデジタル化の遅れを指摘する声は多い。

もっと基本的な業界特性を言おう。
米国の小売業は景気の波の影響を受けやすく、連邦法11条申請の常連だ。以下のステップの繰り返しだ。
・連邦法11条で既存債務を減免してもらう。
・収益が回復し数年で再上場する。
・信用力が回復し社債発行や銀行借り入れの拡大する。
・事業の急拡大する。
・景気後退により売上減少して赤字化する。
・連邦法11条の申請により債務減免を目指す。

日本の小売業もコロナ禍で大きく傷んでいるが民事再生法の申請はまだ出ていない。日本では、不況下の解雇や雇止めの件数はまだ数万件というレベルだ。
米国では小売業の連邦法11条申請は一般的だ。失業保険の申請者はすでに10百万人を超えている。

不況下のresilienceは経営の大きなテーマだ。
企業がつぶれず失業者も少ない日本は米国よりresilienceが大きいのだろうか。
それとも、文字通り「ご破算に願いまして」で進める米国のほうがresilienceがあるのだろうか。

(2020.7.9)

米国ではRVのリースが好調だ

RVはrecreational vehiclesを指す。キャンピングカーや宿泊可能な車でけん引するトレーラーなどを指す。

米国では、旅行の一形態として、長い夏休みに大型のキャンピングカーに乗ってオート・キャンプ場に停車し好きな観光地を巡るのが、昔からポピュラーだった。
アメリカをドライブしてのろのろ走る大型のRVを抜くことが出来ずにいらいらした経験をお持ちの方も多いだろう。

さて、RVを買うのは値が張るが、リースは簡単だ。RV ShareというRVのリースを手掛ける企業の調べでは、今年のRVのリース需要は前年の3倍。4月以降は実に16倍になっているそうだ。

人気の高まりには2つの理由がある。
一つ目は、従来からある旅行の需要。飛行機で移動したり、ホテルに宿泊するのはまだコロナが心配だという人たちが、RVを運転し、気に入った場所で宿泊している。
二つ目は、ミレニアル世代(通常、1981年から1995年に生まれた世代を指す)の縮み志向だ。この世代は、金融危機の経験があり消費も堅実だ。大きな家を持ちたいという欲求は低く、むしろ、RVを住まいに使用するという合理的な考えの持ち主が多い。RVに住むというのは一昔前なら貧乏人の代名詞だったが、ミレニアル世代は気にしないらしい。

RVリース需要急増の背景には、ミレニアル世代の消費行動があるのだ。日本のミレニアル世代への示唆はどうだと思いますか?

追伸:今日、初めてひぐらしの声を聴いた。梅雨明けまえに秋が来た気分だ。

(2020.7.8)

Pull a rabbit out of the hat

“The Pandemic and Political Order” by Francis Fukuyama
Foreign Affairs July/August 2020 より

著名な政治学者であるフランシス・フクヤマのフォーリン・アフェアーズ̪誌への寄稿を読んだ。印象深い内容なのでその概要を紹介したい。
(読者登録しておけばこのようなレベルの高い専門誌が無料で読めるのはありがたい)

この論考で、まずフクヤマは、パンデミックのコントロールに成功した国と失敗した国を分け、結果の違いを3つの要因に求めている。

3つの要因は以下。
1.State Capacity: 国家の能力
2.Social Trust: 社会の信頼
3.Leadership: リーダーシップ
これらの要因は、民主国家で有れ独裁国家で有れ変わらないと説明する。

フクヤマが挙げる要因を使って分析すると、
日本はまがりなりにも成功したうちの一つと思うが、
1はB,2はA,3はCという点数ではなかろうか。
ニュージーランドやドイツはすべてにおいてAが付くような気がする。
米国やブラジルは2. 3.がCではないか。

フクヤマは米国については、具体的に言及し、
The US has bungled its response badly and seen its prestige slip enormously.とトランプ政権の対応を批判し、

世界の政治の中心が東に移動する(つまり中国の重要性が高まる)という持論を述べている。

さらに、
政治の不安定性が高まると、ファシズムに向かう危険性が高まるが、自由民主主義(liberal democracy)が再評価される可能性が無いわけではないと説く。

パンデミックをめぐる緊急を要する危機的状況は過ぎたが、世界は長く陰鬱で困難な時期に入ってきている、と述べている。

最後に、
民主主義、資本主義、そして米国は、以前は、変革や対応をリードできることを証明した。
しかし今回は、
They will need to pull a rabbit out of the hat once again.

と意味深な言葉で結んでいる。

コロナの第一波は幸運さもあり日本は乗り切ったように見える。大きなゲオポリティックスのうねりの中で、どのようにすれば、自由な民主主義国として生き残り、発展して行けるのか、グランドデザインを一刻も早く描かなければならないと思う。

(2020.7.7)