米国のアパレル業界の老舗であるBBが7月8日に連邦法11条による破産申請(日本の民事再生法申請に相当)を行った。
日経新聞等我が国のメディアでも大きく報じられているが筆者の感想を述べてみたい。
BBは特に男性用の衣類の老舗だった。アメリカンカジュアルのおしゃれさと、歴代大統領45人中40人が愛用していたトラッドさがあり、ビジネスにもレジャーにもふさわしいブランドだった。
ソニーの盛田昭夫さんが愛用していたブランドでもある。オーダースーツよりBBのつるしのほうがずっとカッコ良く見えるので、好んで着ていたそうな。
有名ブランドにしては極端に高い価格帯でないので、筆者にも手が出た。店舗のつくりはどこも似ており、気軽に店に入ることが出来た。
米国で240店、世界で424店舗を展開し4000人の従業員がいたそうだがその4分の3は休職中とのことだ。日本の店舗は引き続き営業されるらしい。
倒産の原因は、コロナ禍による販売不振だが、小売業のデジタル化に遅れ近年低迷していたという見方もある。
この1年以内に、JC Penny, Neiman Marcus, J Crewといった有名小売業の倒産が相次いでいるが、これらに共通するデジタル化の遅れを指摘する声は多い。
もっと基本的な業界特性を言おう。
米国の小売業は景気の波の影響を受けやすく、連邦法11条申請の常連だ。以下のステップの繰り返しだ。
・連邦法11条で既存債務を減免してもらう。
・収益が回復し数年で再上場する。
・信用力が回復し社債発行や銀行借り入れの拡大する。
・事業の急拡大する。
・景気後退により売上減少して赤字化する。
・連邦法11条の申請により債務減免を目指す。
日本の小売業もコロナ禍で大きく傷んでいるが民事再生法の申請はまだ出ていない。日本では、不況下の解雇や雇止めの件数はまだ数万件というレベルだ。
米国では小売業の連邦法11条申請は一般的だ。失業保険の申請者はすでに10百万人を超えている。
不況下のresilienceは経営の大きなテーマだ。
企業がつぶれず失業者も少ない日本は米国よりresilienceが大きいのだろうか。
それとも、文字通り「ご破算に願いまして」で進める米国のほうがresilienceがあるのだろうか。
(2020.7.9)